物価上昇とオイルショック

イメージ:スーパーマーケット

この記事はフジトミ証券所属のCFP(1級FP技能士)の岩井が作成しました。
消費者物価指数(CPI)は、政策金利の決定を大きく左右する今注目の指標です。今回は、過去のデータから消費者物価指数が上昇している原因と金融政策以外で物価上昇を抑える方法について考えてみました。

1.米、4月の消費者物価指数(CPI)

イメージ:ガソリンスタンド

日本時間5月11日21時30分、4月のアメリカ消費者物価指数(CPI)が発表されました。
消費者物価指数の上昇は、政策金利の決定に大きな影響を及ぼすため、市場の注目が集まっています。

次のグラフは、アメリカの政策金利と消費者物価指数(CPI)の変動を表したものです。

米政策金利と消費者物価指数(CPI)

フラフ:米政策金利と消費者物価指数

出典:Bloombergデータ、米労働省労働統計局を元にフジトミ証券が作成

オレンジ色で示したCPIは、2022年4月時点でプラス8.2%でした。過去と比較しても、とても高い上昇率であることがわかります。同じように高い上昇率になったのは、①1974年11月の12.2%をピークとした上昇と②1980年3月の14.6%をピークとした上昇がありました。

過去2回の上昇はどうして起きたのでしょうか。

2.過去2回の急激な物価上昇時に起きていた出来事

イメージ:イスラエル

この2回の上昇時には世界史の教科書にも載っている有名な出来事が起きました。

それは「オイルショック」です。

1973年イスラエルとエジプト、シリアなどのアラブ諸国との間で第4次中東戦争が勃発し、クウェート、サウジアラビア、リビアの3国で結成されたOAPEC(アラブ石油輸出機構)は、イスラエルを支持するアメリカやオランダなどに石油禁輸を実施しました。この時の原油価格上昇を「第1次オイルショック」と称します。

1979年にはイラン=イスラーム革命が起きました。当時世界第2位の産油量だったイランが混乱状態となったことによる石油供給量の減少が原油価格の上昇を招きました。この時の原油価格上昇を「第2次オイルショック」と称します。

過去アメリカで10%を上回る物価上昇を記録したのは、オイルショックのタイミングでした。

この2回の危機、今起きている政情不安と似ていると思いませんか?

3.過去2回のオイルショックと比べて

イメージ:戦争

第1次オイルショックでは、石油禁輸という経済制裁が実施され、第2次オイルショックでは、産油国の混乱によって石油供給量が減少しましたが、今起きているウクライナ情勢によるロシアへの制裁は、ロシア産原油の禁輸や先行き不透明感を引き起こしました。現在の動向は、オイルショックに酷似していると思います。

現在、消費者物価指数は、8.5%と高い水準まで上昇していますが、過去の変動と出来事を関連づけして考えると石油価格が大きく影響していると考えるのがスムーズです。 物価上昇の原因が石油価格の上昇にあるのであれば、どんなに金融政策を行ったとしても焼け石に水で、物価上昇も止まらないはずです。

シェールオイル生産量(アメリカの産油量)や再生可能エネルギーを増加させることで需給バランスが改善し、原油価格を下げることが物価安定の特効薬なのかもしれません。

もしかしたら、今起きている物価高は後々第3次オイルショックと呼ばれるのかもしれませんね。

現在のプラッツドバイ原油の値動きはご覧の通りです。


このコメントは編集者の個人的な見解であり、内容を保証するものではありません。また、売買を推奨するものでもありません。ご了承ください。

 

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