金の産地について

イメージ:金

この記事はフジトミ証券所属のCFP(1級FP技能士)の岩井が作成しました。

皆さんがお持ちの金(ゴールド)はどこで取れたものですか?

残念なことに金の延べ棒を見てもその金がどこの鉱山で採掘されたものかについて書いていません。延べ棒に書いてある情報は、ブランドの刻印、金の純度(通常は999.9)、重量、地金の番号だけです。

当然の事ながら金は貴金属なので、DNA鑑定して産地を特定するなんてことはできません。その金がどこで取れたものなのか、知る術はない訳です。

昔から金投資や商品先物取引をおこなっている方は、金の産地と言えば、「南アフリカ」をイメージする方が多いかもしれませんが、それは古い情報です。

今から20年前(2002年)の国別金生産高は次のとおりでした。

20年前と現在を比較して

イメージ:鉱山

国別金生産高(2002年)

No 国名 2002年
1 南アフリカ 419
2 アメリカ 299
3 オーストラリア 266
4 中国 202
5 ロシア 181
6 ペルー 163
7 インドネシア 158
8 カナダ 153
9 ガーナ 70
10 メキシコ 21

出典:ゴールド・サーベイ2012

南アフリカの生産量は、2位のアメリカよりも100トン以上多く、圧倒的な生産量を誇っていました。当時の生産量は、世界シェアの16%にも及んでいました。

それから20年の月日が経過し、現在の生産は次のようになりました。

国別金生産高(2021年)

No 国名 2021年
1 中国 370
2 オーストラリア 330
3 ロシア 300
4 アメリカ 180
5 カナダ 170
6 ガーナ 170
7 南アフリカ 100
8 メキシコ 100
9 ペルー 90
10 インドネシア 90

出典:U.S. Geological Survey - Mineral commodity summaries 2022

在世界最も金を生産しているのは中国です。2002年時点で圧倒的な生産量を誇っていた、南アフリカの年間生産量は、100トンにまで落ち込んでしまい、7位まで順位を落としてしまっています。

南アフリカに変わって世界一の産金国になった中国は、年間370トンもの金を発掘しています。ただし、中国の生産量は、数年後には減少すると考えられます。その理由は中国の埋蔵量にあります。現時点で可能とみられている中国の埋蔵量は、2000トンです。今のペースで採掘し続けていくと6年ですべて取りつくしてしまう訳です。新たな金鉱山が見つからない限り、中国の生産量はランキングから消えているはずです。

埋蔵量で見るとつぎのようになります。

金の埋蔵量

No 国名 埋蔵量
1 オーストラリア 11,000
2 ロシア 6800
3 南アフリカ 5000
4 アメリカ 3000
5 インドネシア 2600

出典:U.S. Geological Survey - Mineral commodity summaries 2022

埋蔵量が多いのは、オーストラリア、ロシア、南アフリカの3か国です。特に、オーストラリアの埋蔵量は群を抜いており、2位のロシアと3位の南アフリカを足した量に匹敵するほどの埋蔵量をもっています。

現在、ウクライナ侵攻への経済制裁の一環で、アメリカ、日本、英国、カナダなどでは、ロシアで新たに採掘・精製された金の輸入を禁止していますので、今後、ロシア産の金が日本国内に入ってくることは無いはずですが、冒頭でお伝えしたように精錬されてしまった金は、どこ産の金なのか見分けることはできません。

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