ロシアのウクライナ侵攻から1ヶ月

イメージ:ロシア国旗

この記事はフジトミ証券所属のCFP(1級FP技能士)の岩井が作成しました。
ロシアへの経済制裁が商品(コモディティ)相場に与える影響について分かりやすく説明しています。

ロシアがウクライナ侵攻を開始したのが2022年2月24日。今日で1ヶ月が経過しました。
まだ1ヶ月と言うべきか、もう1ヶ月と言うべきか分かりませんが、今回の戦争で多くのものが失われています。この1ヶ月間、戦場となったウクライナ国内では多くの市民が犠牲になってしまいました。とても悲しい出来事です。

何の罪もない民間人が犠牲になり、家や財産が奪われてしまいました。

平和ボケと言われるかもしれませんが、こんなことが現代のヨーロッパで起きるなんて誰が想像していたでしょうか。私には想像できませんでした。

一刻も早く戦争が終結し、平和な日々になることを願います。

さて、この1ヶ月、相場はどのような反応だったのか。簡単に振り返ってみたいと思います。今回は商品(コモディティ)相場をお届けします。

1.小麦

イメージ:小麦チャート

ウクライナとロシアの緊張が高まるにつれて小麦価格は上昇し、侵攻前と比べ45.59%も上昇しました。ちなみにウクライナの国旗の青と黄色は、青空と小麦畑を表しています。侵攻前、ウクライナとロシアは世界に輸出される小麦の30%を占めていました。そのウクライナが戦場となったことは世界の穀物市場にとって大打撃です。
日本の場合、アメリカ、カナダ、オーストラリアから政府が一括して買い付けており、それを製粉企業などに販売しています。政府売り渡し価格は直近6ヶ月間の買付価格をもとに4月と10月に改定されます。本格的に日本の小麦価格に影響してくるのは、今年の10月以降になりそうです。

2.金(ドル建て)

イメージ:金チャート

「有事の金」と言われるように金価格(ドル建て)は一時大きく上昇しましたが、その後は落ち着きを取り戻し侵攻前の水準近くまで水準を下げています。侵攻前と比べると最大で7.5%上昇しました。
2021年第4四半期時点でロシア中央銀行は2,301トンの金を保有していますので、西側諸国による経済制裁で追い込まれたロシアが中央銀行保有の金を売却するのかどうか、マーケットが注目するポイントです。

3.原油(WTI)

イメージ:原油チャート

WTI原油は、最大で34.79%上昇しました。世界のエネルギー供給量の約10%を占めているロシアへの経済制裁が原油市場にもたらした影響はとても大きく、WTI原油価格は一時124ドル台まで上昇しました。その後100ドルを割り込む場面もありましたが、現在は、再び高値を目指す展開になっています。2016年からOPECは原油価格の安定を目指し、ロシアなどの産油国と一緒にOPECプラスの枠組みを作り、各国の協議の上で生産枠を決めていますが、この枠組みがどうなるのか注目です。

今回、商品(コモディティ)市場の値動きを確認しましたが、資源大国であるロシアが小麦の一大産地であるウクライナを侵攻したことは、世界の穀物相場や資源価格に大きな影響を及ぼす大事件です。

侵攻が開始して1ヶ月が経過しましたが、長引けば長引くほどマーケットに大きな影響を与え、私たちの生活にも影響を及ぼしてきます。2022年の商品(コモディティ)市場は乱高下が続きそうな気配ですね。

一刻も早くウクライナに平穏な日々が戻りますよう願っています。

このコメントは編集者の個人的な見解であり、内容を保証するものではありません。また、売買を推奨するものでもありません。ご了承ください。

 
参考文献:
World Gold Council

金先物や原油先物などデリバティブ取引ならフジトミ証券のFITS

フジトミ証券株式会社が提供するオンライン商品先物取引「FITS」は、初めての人でも安心して取引できることを第一に考えて作ったオンライントレードシステムです。

投資家お役立ち情報

商品デリバティブ取引経験がない人でも解る初心者向けページ