アメリカの政策金利と金(ゴールド)の価格

イメージ:米国旗とドル紙幣

この記事はフジトミ証券所属のCFP(1級FP技能士)の岩井が作成しました。

2022年、アメリカの政策金利は過去に例をみないスピードでの利上げが繰り返されました。投資家の皆さんは、場面に応じた判断が求められた1年だったのではないでしょうか。

特にコモディティ投資をおこなっている方は、他市場の動向に振り回されることが多かったと思います。

今回は、今年の相場状況を振り返ってみたいと思います。

物価上昇を抑えるため連邦準備制度理事会(FRB)は、2022年3月以降実施されたすべてのFOMCにて、利上げを実施しました。6回のFOMCで合計3.75%の利上げとなりましたので、通常では考えられないスピードです。

今年利上げを実施した国は、アメリカだけではありませんでした。

次のグラフは、主要国の政策金利を表したものです。
引されている原油価格を比較したものです。

グラフ1.主要国の政策金利

イメージ:主要国の政策金利

現在、アメリカの政策金利は下限3.75%-上限4.00%まで上昇していますが、他の主要国に関しても大幅な利上げが実施され、変わっていないのは日本ぐらいでした。

債券市場はどうなっているでしょうか。

グラフ2.主要国の10年国債利回り

イメージ:主要国の10年国債利回り

日本で生活していると世界の変化を実感しにくいですが、主要国の10年債利回りは大きく上昇しています。各国の利回りは1年前と比べると1%から2%程度上昇しています。

金(ゴールド)と比べるとどうなのか

今ある資産で金を買った場合と債券を買った場合の違いについて考えています。
現在(2022年11月30日)、金の先物価格は1グラムあたり7,800円ですので、1キログラムの延べ棒を購入するには780万円の資金が必要です。
仮に1キロの金を購入する予定だった資金を使ってアメリカの10年債を買った場合、3.74%前後の利回りが発生しているので(為替変動を無視した場合)年間29万円程度のリターンを得ることができる訳です。
現物の金を手元に置いておいても金利や配当を生み出すことはないので、10年債よりも好成績を収めるためには、1キロあたり29万円(1グラムあたり290円)円以上の値上がりが期待できないと過剰なリスクテイクになってしまいます。

2022年3月以降FOMCは利上げを繰り返しましたが、回を増す毎に国債が生み出す利潤と金が生み出す利潤(事実上0)との差が大きくなってきました。

FOMCの実施された時の金市場の値動きは次のとおりでした。

グラフ3.FOMCの政策金利発表とNY金価格の変動

イメージ:FOMCの政策金利発表とNY金価格の変動

(出所:TradingViewによる金先物(当限つなぎ足)チャート

直近6回のFOMCでは利上げが実施されましたが、各回の間の値動きを見ると回を増す毎に下落していることがわかります。利上げが続く場面では、どうしても売り方優勢な状況になってしまいます。

金利上昇が終わるまでは現物金ホルダーにとって厳しい状況が続くことが予想されます。状況が変化するまでは、債券市場でヘッジするか、先物市場で売りを作ってヘッジするなど、リスク軽減に努めた方がよさそうです。本格的に金価格の上昇が期待できるのは、利上げが落ち着いてからになるのかもしれませんね。

このコメントは編集者の個人的な見解であり、内容を保証するものではありません。また、売買を推奨するものでもありません。ご了承ください。

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