ガソリン価格が高い理由

イメージ:ガソリンスタンド(見出し画像)

1.最近ガソリン価格が高いと思いませんか?

イメージ:渋滞

最近ガソリン価格が高いですよね。

ガソリン小売価格全国平均

イメージ:ガソリン小売価格全国平均

出典:資源エネルギー庁

上のグラフは2020年からのガソリン小売価格全国平均の推移を表したものです。
コロナショックの影響で一時的に大幅値下げされた後はどんどん価格は上昇し、今年に入ってからは170円台での取引が続いています。

なんで高いのか?

一番の原因は、その原材料である原油価格が上昇しているからです。
次のグラフはWTI原油の値動きを示したものです。

WTI原油

イメージ:TradingViewによるWTI原油チャート

(出所:TradingViewによるWTI原油チャート

世界的な供給不足を背景に原油価格は上昇しました。最近ではウクライナ情勢によってもたらされる地政学的リスクが上昇を後押しし、価格は100ドルに迫る水準まで上昇しました。

2.ガソリン価格が高い理由は原油価格高騰以外にも

イメージ:税金

ガソリンには多くの税金が課せられていることはご存じですよね。

 

ガソリンの価格構成

イメージ:ガソリン価格の構成

ガソリン価格の約40%は税金です。

ガソリン税(揮発油税)とトリガー条項について

ガソリンには、消費税の他に国税である揮発油税48.6円と、地方税である地方揮発油税5.2円が課せられています。現在の税額は両税合わせて1リットルあたり53.8円です。

最近話題になっているのが「トリガー条項」です。
本来、揮発油税法で定められている税率は1リットルあたり24.3円、地方揮発油法で定められている税率は1リットルあたり4.4円です。両方を合わせて課せられる税金は28.7円のはずですが、現在は「租税特別措置法」が適用され、揮発油税に48.6円、地方揮発油税に5.2円の税金が課せられています。

トリガー条項というのは、租税特別措置法89条で定められている適用停止のことで、その内容はガソリンの平均小売価格が3ヶ月連続して1リットルにつき160円を超えた際には、財務大臣は速やかに告示し、翌月から特別税が停止するというものです。

冒頭のグラフ「ガソリン小売価格全国平均」で確認したとおり、ガソリン価格は2021年10月以降継続して160円を超えていますので特別税が停止されてもおかしくないのですが、停止されないのには理由があります。

3.トリガー条項が適用されない理由

イメージ:スタンドのトリガー

いつまで経ってもトリガー条項が適用されないのは、「東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律」44条でその適用を停止すると定められているからです。この44条を停止する日を定めない限り、このトリガー条項が停止する日は訪れません。
2022年2月10日に報道されたニュースですが、松野官房長官は現在凍結しているガソリンの特別税解除について、国や地方の財政に大きな影響があることを理由に適当ではないとの考えを示しました。

財政に大きな影響がある・・・。

この特別税(計53.8円)を停止させないことで、どのくらいの税収が見込まれるのでしょうか。

4.日本で使われるガソリン消費量

イメージ:日本地図

自動車燃料消費量統計月報(令和3年(2021年)11月分)

燃料消費量 (KL)
自家用 3,470,100
営業用 56,625
合計 3,526,725

2021年11月の1ヶ月間で3,526,725キロリットルのガソリンが日本国内で消費されました。

1キロリットルは1,000リットルなのでリットルにすると3,526,725,000リットルです。
1リットルあたり53.8円のガソリン税が課せられていますので、掛け算すると11月の税収は1897億3千万円でした。仮に租税特別措置法が停止したとすれば税収は885億円減額され1012億1万円だったはずです。

年間で計算すると1兆円以上(!)の税収が無くなるので税収を管理している財務省としては、トリガー条項を適用したくないのだと考えられます。

ガソリンに掛かっている税金が一般歳入に占める割合

イメージ:歳入グラフ

※国税庁ホームページ(https://www.nta.go.jp/taxes/kids/hatten/page03.htm)より抜粋

揮発油税というのがガソリン税のことです。歳入額が大きい項目順は、消費税、所得税、法人税、相続税、揮発油税の順で、歳入の1.9%は揮発油税によってまかなわれています。

5.揮発油税以外の税金

イメージ:石油貯蔵

石油石炭税

石油石炭税は石油石炭税法に基づき、原油や石油製品に課せられる税金です。採取者および保税地域から引き取った者は石油石炭税を納める義務があるとされており、1リットルに付き2.4円の税金が課せられています。

私たち消費者が給油しているガソリンはすでに2.4円の税金が課せられたものなので、その分が載せられて販売されている訳です。

6.ここまでのまとめ

イメージ:スタンド

ガソリンは原油から精製されるため、原材料である原油価格が上昇するとガソリン価格も上昇してしまいます。また、ガソリンには多くの税金が課せられているため、その分小売価格が高くなっています。
需給バランス、地政学的リスク、物価の上昇など、現在のエネルギー市場を取り巻く環境は消費者にとって好ましい状況ではなさそうですね。この価格上昇による出費の増加をヘッジする方法はないのでしょうか?

エネルギー相場と言えば、WTI原油が有名ですが、WTI原油はニューヨーク・マーカンタイル取引所に上場している先物取引です。日本国内で、エネルギー相場を取引するのであれば、ドバイ原油先物取引やバージガソリン先物取引を利用するのが一般的です。

それぞれの値動きはご覧のとおりです。

ドバイ原油先物(東京商品取引所)

イメージ:ドバイ原油チャート

(出所:TradingViewによるドバイ原油先物チャート

バージガソリン先物(東京商品取引所)

イメージ:バージガソリンチャート

(出所:TradingViewによるバージガソリン先物チャート

原油を精製してガソリンが作られるのでどちらも同じような値動きをしています。ちなみに2つを比較した際、一日の取引量が多いのは原油先物取引です。取引量が少ない銘柄は、価格変動リスクとは別に流動性リスクが大きくなってしまうので、多くの一般投資家が参加しているのはドバイ原油先物に偏っています。

先の読めない世の中ですが、原油先物取引にご興味をお持ちの方は、「はじめての原油先物取引」もご覧ください。

このコメントは編集者の個人的な見解であり、内容を保証するものではありません。また、売買を推奨するものでもありません。ご了承ください。


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