FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

2018/07/30/15:14:19

日経平均株価:NYダウ先物の軟調地合いを受け先物主導の売り優勢

前週末のNYダウが76ドル安の反落やハイテク株の急落を嫌気した売りが先行した。時間外取引のNYダウ先物が下落すると先物がつれ安をたどった。また、上海総合株価指数も小幅安で推移したことも売り先行の動きとなった。結局、前週末比167円安の2万2544円と反落して取引は終了した。

 

東京外国為替市場:日銀の指値オペにも反応は限定的

ドル/円は月末に絡む本邦実需筋などのドル買い・円売りに支えられ、一時111.15円へじり高となった。先週末に発表された米4-6月期GDPは市場予想を若干下回ったものの、約4年ぶりの高水準となり、米景気先行きに対する楽観的な見方が浮上していることもドル買いにつながった。午後は、日経平均株価や上海総合指数の動向をにらみながらの敵界となった。日銀が14時に金利上昇をけん制する今月3回目となる指値オペを通知したが、ドル/円相場への影響は限定的だった。ユーロ/ドルは、1.16ドル台半ばで方向感の乏しい展開が続いた。欧州勢待ちの様相となっている。

 

英中銀は8月2日の政策金利発表で利上げか

イングランド銀行(英中銀)の政策当局者が8月2日の政策金利発表に備える中で、昨年11月以来となる利上げへの期待が高止まりしている。最近の統計を見ると、大雪の影響を受けた1-3月(第1四半期)後に経済が勢いを付けているとの英中銀の見解が裏付けられている。当局者らは金融政策が引き締めの方向にあると示唆しており、最近の発言は8月利上げの見通しを否定するものではない。6月の金融政策委員会(MPC)では委員9人のうち既に3人が金利引き上げを主張しており、あと2人が加われば利上げが決まる。

 

8月1日の米国の資金調達計画に注目

ムニューシン米財務長官は膨張する米財政赤字を埋める資金調達計画の公表を準備している。ムニューシン長官は向こう3ヵ月間の資金調達計画を8月1日に公表する見込みとなっている。債券ディーラーは利付き債発行が3四半期連続で増加するのは既知の事実と述べている。一部には財政赤字の穴埋めで頼る国債を5年債まで広げるとの見方もある。いずれにしても、資金調達計画の発表がイールドカーブフラット化傾向を後押しする可能性がある。トランプ政権策では、税収は歳出を下回っている。この結果、財政当局者らは、金融当局が利上げとバランスシート縮小を進める中でも米国債発行残高を現在の15兆ドル(約1660兆円)から増やし続ける以外はほとんど選択肢は残されていない。

 

7月24日付シカゴIMM投機筋の対米ドルでの差し引き持ち高

 

      (7月17日)   ⇒   (7月24日)

・円     :▲58,650   ⇒   ▲73,769

・ユーロ   :+21,407    ⇒     +29,640

・ポンド   :▲38,752   ⇒    ▲46,743

・豪ドル   :▲40,525   ⇒    ▲45,486

 7月24日付シカゴIMM投機筋の対ドルでの差引き持ち高は、円ショート(円売り)持ち高が前週からさらに増加し、6週連続の円ショートポジションとなった。7月17日付け▲58,650枚の円ショートから7月24日付け▲73,769枚と15,119枚の円ショートポジションの増加となった。この期間では、7月18日に高値113.13円をつけたあと24日には安値110.93円と2.20円の円高となった。普通であれば、ロスカットが入りポジションは縮小する傾向となるが、投機筋はドルをナンピンして買い増ししたことになる。裏を返せば、投機筋は今後ドル高・円安傾向になるとの相場観から、このような戦略に出ていると言える。

 

欧米イベント

○15:00   6月南アフリカマネーサプライM3(予想:前年比5.80%)
○16:00   7月スイスKOF景気先行指数(予想:101.5)
○16:30   4-6月期スウェーデン国内総生産(GDP)速報値(予想:前期比0.5%)
○17:30   6月英消費者信用残高(予想:13億ポンド)
○17:30   6月英マネーサプライM4
○18:00   7月ユーロ圏消費者信頼感指数(確定値、予想:▲0.6)
○18:00   7月ユーロ圏経済信頼感指数(予想:112.0)
○21:00   7月独消費者物価指数(CPI)速報値(予想:前月比0.4%)
○23:00   6月米住宅販売保留指数(仮契約住宅販売指数、予想:前月比0.1%)
○コンテ伊首相が訪米、トランプ米大統領と会談

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欧米タイム直前市場コメント!

2018/07/27/15:16:15

日経平均株価:海外投資家の買戻しが支えに上昇

上海総合株価指数の下げを嫌気した売りが先行したものの26日のNYダウの3日続伸や米欧通商摩擦への懸念後退にヘッジファンドなど海外投資家の買いが優勢となった。結局、前日比125円だかの2万2712円と反発して取引を終了した。

 

東京外国為替市場:日銀の指値オペ受け111円台回復

ドル/円は、国内の長期金利が一時約1年ぶりの高水準となる0.105%まで上昇したことで、ポジション調整などのドル売り・円買いが持ち込まれ一時110.95円まで下げた。月末に絡む国内輸出企業のドル売り・円買いも観測された。午後もこの流れが続き一時110.92円まで下げた。しかし、NY市場で発表される4-6月基GDPを見極めたいとの雰囲気から下押しは限られた。その後、日経平均株価が上げ幅拡大をながめてショートカバーが入り、111.15円まで持ち直した。14時に日銀が金利上昇けん制に向けて5~10年を対象にした指値オペを通知したことも円売りを誘った。ユーロ/ドルは1.16ドル台半ばで方向感の乏しい展開となった。欧州勢の参入待ちの様相となっている。

 

米欧首脳会談の主な合意内容

トランプ大統領はEUが乗用車に課す10%の関税を批判、EUが譲歩しなければ『欧州車に20%の関税を課す』と脅しをかけ、EUはドイツの自動車メーカー等に大打撃が及ぶのを懸念し、関税発動回避を米国に訴えてきた。自動車関税には米産業界や議会、支援企業や支持者からも強い反対意見があり最終的に矛を収めると期待されていたが、前倒しの妥協となった。

[米欧首脳会談の主な合意内容]

①自動車除く工業製品の関税・非関税障壁・補助金撤廃

②EUは米国産大豆やLNG輸入を拡大

③鉄鋼・アルミ追加関税及び報復関税問題の解決

④不公正な貿易慣行(中国)やWTO改革で緊密連携

 

米国からのトルコへの警告受け下げ止まらないトルコリラ/円

米国のトランプ大統領やペンス副大統領は、2016年のトルコのクーデター未遂への関与疑惑で、約2年間収監されていた米国の牧師を開放しなければ、大規模な制裁を加えるとトルコに警告した。この報道を受け、トルコ経済の成長鈍化懸念が広がりリラ売りに拍車がかかった。

 

米国市場では4-6月期国内総生産(GDP)が公表

米国商務省は27日に4-6月期GDPを発表する予定で、強い成長期待が注目されている。1-3月期の反動や減税が奏功し、5%台の成長予想も浮上した。市場エコノミストの平均予想は前期比年率で+4.2%と、2014年7-9月期以来の大幅な伸びが期待されている。トランプ政権は+4.8%とスタッフに伝えたとの噂があるほか、金融機関も4%台の成長を予想している。トランプ大統領とともに、クドロー国家経済会議(NEC)委員長(NEC)も、明確な数字は知らないと前置きしながらも、『米国4-6月期GDPの成長は大きなものに』と期待を膨らませている。一方、アトランタ連銀は、4-6月期GDP見通しを従来の+4.5%から+3.8%へ引き下げた。3.8%成長も依然高い伸びだが、4%に達しないと市場で失望感がひろがる可能性ももあり、警戒刷る必要はある。

 

米国市場では7月のミシガン大学消費者信頼感指数が公表

7月にかけて、通商摩擦の拡大に警戒感が広がった。輸入関税の増強が輸入物価の押し上を通じて家計には打撃となるほか、米国の農業分野ではすでに悪影響がみられつつある。ガソリンなどの資源価格の上昇もあり、米国の消費マインドは改善基調の鈍化リスクが意識される。しかし、7月後半には、過度な通商摩擦懸念の後退も見られ始めた。米国株は持ち直し傾向にあるほか、長期金利の上昇は抑制されている。そのため、米国の消費者信頼感が改めて底堅さを示す可能性も残る。

 

欧米イベント

○14:30   4-6月期仏国内総生産(GDP)速報値(予想:前期比0.3%)
○15:00   6月独輸入物価指数(予想:前月比0.2%/前年比4.4%)
○15:45   6月仏消費支出(予想:前月比0.6%)
○19:30   ロシア中銀、政策金利発表(予想:7.25%で据え置き)
○21:30   4-6月期米GDP速報値(予想:前期比年率4.1%)
○23:00   7月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、確報値、予想:97.1)

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欧米タイム直前市場コメント!

2018/07/26/15:14:34

日経平均株価:日銀のETF購入配分見直しの思惑から先物への売りが重石

日銀が株式ETF購入配分を見直し日経平均連動型を減らす検討が伝わりヘッジファンドの先物売りに値がさ関連株がつれ安となり全体の相場を押し下げた。一方、25日の米欧首脳会談で貿易摩擦の緩和へ歩み寄りを受け輸出関連株に買いが入った。結局、前日比27円安の2万2586円と小幅反落して終了した。

 

東京外国為替市場:ドルが総じて弱い展開

ドル/円は、来週予定されている日銀金融政策決定会合で、ETF買い入れ購入は分を見直すとの思惑からドル売り・円買いが優勢となり、一時110.70円前後まで下げた。日経平均株価がプラス圏からマイナス圏に転じたこともドルの重石となった。ただ、下値では値ごろ感からドルを買い戻す動きも見られ、110.80円前後でもみ合いとなった。午後は、日銀が長期金利の上昇をけん制に向けて指値オペを通知しなかったことから、持ち高調整のなどのドル売り・円買いがはいり110.65円までじり安となった。ユーロ/ドルは、今晩開催されるECB定例理事会を控えて様子見ムードが広がり、1.17ドル台前半で小動きとなった。

 

国内長期金利が1年ぶりに上昇:日銀金融政策決定会合の思惑で売り優勢

国内債券市場で長期金利が1年ぶりの高水準を付けた。日本銀行が30-31日の金融政策決定会合で現行の金融政策の調整を検討するとの観測を背景に、長期ゾーンの債券に売り圧力がかかった。約5ヵ月半ぶりに指値オペが実施された今月23日に付けた高水準に並んだ。その後、午後に入って日銀が緊急指値オペ実施との思惑があったが見送られたことも売りにつながり、0.10%と2017年7月7日以来の高水準を付けた。

 

欧州市場ではECBの定例理事会か開催

通商摩擦への懸念や中国などの世界減速、物価伸び悩みなどにより、先行きの量的緩和縮小ペースや利上げ時期に慎重姿勢が示されるとユーロの下落要因となりやすい。また、景気や物価の見通し下方修正なども、ユーロ安の材料となりやすい。一方トランプ米大統領は前週からECBの緩和政策などによるユーロ安を『為替操作』と批判し始めた。その直後にECBが利上げに慎重メッセージなどで間接的にユーロを押し下げると、米国からのユーロ安不満を再燃させる可能性が高い。その意味でECB理事会については、過度なユーロ安をもたらさないような『通貨安競争配慮の市場との対話』も注目される。

 

米国市場では6月耐久財受注が公表

6月指標では米ISM製造業指数の『新規受注』が62.3となり、5月の61.5からやや鈍化した。通商摩擦への懸念や、中国などの世界減速警戒、ドル高傾向となっていることで、耐久財受注も伸び悩みのリスクが警戒される。しかし、ISM新規受注の水準自体は、3-4月の61台に比べると高水準が維持されている。6月は米中の輸入関税応酬を前にした駆け込み需要も観測されたほか、原油などの資源価格も受注を下支えしている。米トランプ政権は米国内外の企業に対し、米国への投資と米国内での生産拡充を促しており、耐久財受注が底堅さを示す可能性も残っている。

 

欧米イベント

○15:00   8月独消費者信頼感指数(Gfk調査、予想:10.7)
○15:45   7月仏消費者信頼感指数(予想:98)
○16:30   6月スウェーデン失業率(予想:6.8%)
○18:30   6月南アフリカ卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.4%/前年比5.2%)
○20:45   欧州中央銀行(ECB)定例理事会、終了後政策金利発表(予想:0.00%に据え置き)
○21:30   ドラギECB総裁、定例記者会見
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数(予想:21万5000件)
○21:30   6月米耐久財受注額(予想:前月比3.0%/輸送用機器を除く前月比0.5%)
○27日02:00   米財務省、7年債(300億ドル)入札
○27日05:00   インテル第2四半期決算
○27日05:01   アマゾン・ドット・コム第2四半期決算

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欧米タイム直前市場コメント!

2018/07/25/15:16:57

日経平均株価:円安と上海株の上昇を好感

米長期金利上昇に1ドル=111円台前半の円安を受けヘッジファンドなど海外投資家が自動車や金融株を買い戻した。上海総合株価の上昇も買い安心感につながり一時上げ幅を150円に広げた。結局、前日比103円だかの2万2614円と2日続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:米欧首脳会談を控えて様子見ムード強い

ドル/円は、本邦実需筋などのドル買い・円売りや日経平均株価の上昇に支えられ、一時111.38円まで上昇した。しかし、本日予定されているトランプ大統領とユンケル欧州委員長の会談を見極めたいとの雰囲気から上値を追う動きは限られ111.20円台中心に狭いレンジで取引された。午後は、日経平均株価や上海株価指数の伸び悩みをあんがめて111.15円前後までじり安となった。米長期金利も小幅に低下したことも、ドル売りを誘った。ただ、下値では値ごろ感からのドルを買い戻す動きも見られた。ユーロ/ドルは、1.16ドル台後半で方向感に欠く値動きとなった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

欧米首脳会談に注目:トランプ大統領の強気姿勢からの変化に注目

欧米首脳会談はホワイトハウスで開催され(時間は未定)る。市場では、貿易戦争を回避できるかが注目される。トランプ大統領は『EUは敵』・『関税は最高に素晴らしい』などと述べ、自動車・自動車関連への追加関税もちらつかせており、その強気姿勢の変化が注目される。ただし、対中制裁においては、輸入コストの上昇を懸念した米企業から反対や適用除外の要求が高まっている。米国内農家も貿易摩擦の悪影響を受け始めており、そのために米政権は最大で120億ドルの救済策を実施すると発表した。強気一辺倒では立ち行かなくなる可能性にトランプ大統領が気づけば、摩擦緩和への動きも見らる。その場合は、単純ではあるがリスク選好の動きとなる可能性が高い。

 

中国の実体経済の発展を促す方針

中国の国務院(内閣に相当)は23日の常務会議で、内需構造の調整により実体経済の発展を促すため、財政・金融政策の作用を一段と発揮させる方針とは

①積極的な財政政策をさらに積極的にする:減税と料金引き下げに焦点をあて、年間に税負担を1兆1000億元以上減らす。さらに、研究開発費の控除比率を75%に引き上げる措置の対象をハイテク型中小企業から全企業に拡大し、年間で650億元の減税を実施する。年内に地方政府債で1兆3500億元を調達してすみやかに投資し、インフラ施設建設による効果が早期に出るようにする。

②穏健な金融政策の適度な緩和と引き締め:適度な社会融資規模と十分な流動性を維持する。金融機関が預金準備率引き下げによって使えるようになった資金を小企業支援や債務株式化(DES、デットエクイティスワップ)に投じるよう促す。

③国家融資担保基金の資金集めを急ぎ、毎年15万社の小企業を新たな融資先として加え、1400億元を貸し付ける目標の達成に向け努力する。

④「ゾンビ企業」を清算し、むだに占有されている資金を減らす。

 

中国からの融資提供で南アランドは買われる

ラマポーザ南ア大統領は24日、習近平・中国国家主席と南ア・プレトリアで会談した。中国は、南アとの経済的な結びつきを強化し貿易増加を模索するため、147億ドルを投資し、電力会社や物流会社に融資を提供することを約束した。ラマポーザ大統領は『中国は様々な分野で南アフリカに投資して協力する用意がある』『過去数年にわたり貿易収支が着実に増加しているものの、二国間貿易はその可能性を発揮していないことも認識している』などと発言した。 習国家主席は『中国と南アの関係は新たな歴史的出発点にある』『ラマポーザ大統領と非常に生産的な議論を重ね、戦略的パートナーシップをさらに進めて議論した』『我々は、より密接な高レベルの取り組みを構築する必要がある』などと語った。この会談結果を受けて、南アランド/円は8.400円まで上昇した。

 

トルコ中銀の金利据え置きでトルコリラ売り

エルドアン政権2期目初めての中央銀行金融政策決定会合に市場は注目していた。中央銀行はこの会合で、市場の利上げ予想に反して、金融政策据え置きを決定。トルコリラ売りに拍車がかかった。インフレの上昇に対処するため、市場エコノミストは利上げを織り込んでいた。そのため、トルコリラ/円は一時22.40円まで売られた。

 

欧米イベント

○15:45   6月仏卸売物価指数(PPI)
○17:00   6月ユーロ圏マネーサプライM3(予想:前年比4.0%)
○17:00   7月独Ifo企業景況感指数(予想:101.5)
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○23:00   6月米新築住宅販売件数(予想:前月比▲2.8%/67万件)
○23:30   EIA週間在庫統計
○26日02:00   米財務省、5年債(360億ドル)入札
○米EU首脳会談(ワシントン)
○新興5カ国(BRICS)首脳会議(南アフリカ・ヨハネスブルク、27日まで)

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欧米タイム直前市場コメント!

2018/07/24/15:22:44

日経平均株価は円安と上海株高を好感

米長期金利上昇に1ドル=111円台前半の円安を受けヘッジファンド等海外投資家が自動車や金融株の買い戻しが入った。また、上海総合株価指数の上昇も買い安心感につながり一時上げ幅を150円に広げた。結局、前日比113円高の2万2510円と4日ぶりに反発して終了した。

 

東京外国為替市場:上海株上昇で過度な円買いは後退

ドル/円は、日銀が長期金利誘導目標の柔軟化を検討しているとの思惑や日経平均株価の上げ幅縮小で、持ち高調整などのドル売り・円買いが入り一時111.06円まで下落した。中国人民銀行が人民元取引の基準値を人民元安・ドル高に設定したことも、米中貿易摩擦への警戒感を高めてドル/円の押し下げにつながった。しかし、111円割れが回避されると、本邦実需勢などがドル買い・円売りを持ち込んだことで切り返した。また、上海総合株価指数が上昇したことを受け、過度なリスク回避の円買いも後退した。ユーロ/ドルは、今週予定されている米欧首脳会談やECB理事会を控えて様子見ムードが広がり、1.16ドル台後半でもみ合いの展開となった。

 

欧州市場では7月ユーロ圏総合PMIが公表される

参考となる6月実績は54.9で5月実績を上回ったが、今年1月の58.8がピークと見られており、短期間で急上昇する可能性は低い。自動車の輸入関税などの影響が出てくるのは8月以降になるち見られている。ユーロ圏総合PMIは54程度で下げ止まる可能性があると見られている。

 

26日のECB理事会に注目:通商協議にも影響

通商摩擦への懸念や中国などの世界減速、物価伸び悩みなどにより、先行きの量的緩和縮小ペースや利上げ時期に慎重姿勢が示されるとユーロの下落要因となる。景気や物価の見通し下方修正なども、ユーロ安の材料となりやすい。一方で、トランプ米大統領は前週からECBの緩和政策などによるユーロ安の『為替操作』と批判し始めた。その直後にECBが利上げ慎重メッセージなどで間接的にユーロを押し下げると、米国からのユーロ安不満を助長し、米欧の通商協議に悪影響を及ぼす可能性がある。その意味でECB理事会については、過度なユーロ安をもたらさないような『通貨安競争配慮の市場との対話』も注目される。

 

日銀の指値オペは為替操作に抵触する可能性も

トランプ米大統領とムニューシン米財務長官は、中国人民元の下落に対して為替操作の疑いがある、と警告した。昨日、中国人民銀行は、米政権の警告を受けて人民元の対ドル基準値を元高に設定するという従順な対応を示したが、日本銀行は、長期金利の上昇を抑制するために、挑発的ともいえる2月以来となる指値オペを行った。日銀の指値オペは、日本国債買い・円売りとなることで、外国為替市場での米国ドル(米国債)買い・円売り介入という直接的な円安誘導ではないものの、間接的な円安誘導となる。米財務省が4月に発表した為替報告書では、円を監視対象リストに置き、円は『実質実効レート』だけではなく、日銀のイールドカーブ・コントロールでの日本国債買いにより『名目レート』でも円安に推移している、と指摘している。トランプ米政権が懸念している為替操作に抵触する可能性があることで、今月末の日米通商協議(FFR)では、対日強硬派のライトハイザー米通商代表部(USTR)代表から、関税政策だけでなく、為替操作疑惑に言及される可能性に要警戒する必要がありそうだ。

 

27日の米4-6月期GDP速報値の思惑などから米長期金利上昇

米長期金利は2.88%から2.95%まで上昇した。今週は米国財務省が国債入札を予定しているほか、27日に米商務省が発表予定の4-6月期国内総生産(GDP)が5.0%近くの成長率を示すとの思惑が広がったため、債券売りに拍車がかかった。市場エコノミスト予想では前期比年率+4.2%となっている。トランプ大統領が4.8%成長をほのめかしたとの報道が背景にある。また、日本銀行が金融政策を修正する必要が浮上するとの観測が広がったことも、米国債売りにつながったと思われる。

 

欧米イベント

○15:45   7月仏企業景況感指数(予想:107)
○16:00   7月仏製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値(予想:52.4)
○16:00   7月仏サービス部門PMI速報値(予想:55.7)
○16:30   7月独製造業PMI速報値(予想:55.5)
○16:30   7月独サービス部門PMI速報値(予想:54.3)
○17:00   7月ユーロ圏製造業PMI速報値(予想:54.6)
○17:00   7月ユーロ圏サービス部門PMI速報値(予想:55.0)
○20:00   トルコ中銀、政策金利発表(予想:18.75%に引き上げ)
○22:00   5月米住宅価格指数(予想:前月比0.3%)
○22:45   7月米製造業PMI速報値(予想:55.4)
○22:45   7月米サービス部門PMI速報値(予想:56.5)
○22:45   7月米総合PMI速報値
○23:00   7月米リッチモンド連銀製造業景気指数(予想:18)
○25日02:00   米財務省、2年債(350億ドル)入札
○欧州連合(EU)財務相理事会

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