FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

2018/09/03/15:15:21

日経平均株価はリスク回避の動きから売りが優勢に

前週末のNYダウの小幅続落を受けて寄り付きから下げて始まった。また、為替相場の円高が中国株の続落を嫌気した売りが優勢となり、下げ幅が拡大した。その後も、トランプ米政権による保護主義的な通商政策に対する警戒感から積極的な買いは見送られた。結局、前週末比157円安の2万27078円と続落して終了した。

 

東京外国為替市場:日本株下落を横目に円買い優勢

ドル/円は、日経平均株価の下落が100円を超えたことや中国株安を背景にドル売り・円買いが進み、一時110.91円付近まで下落した。北米自由貿易協定(NAFTA)を巡る米国とカナダの協議が難航していることも、リスク回避の円買いを誘った。午後もこの流れは続き、日経平均株価の一段安をながめて110.85円付近まで下落した。しかし、31日の海外市場でつけた安値110.69円が視野入りすると下げ渋り、110.90円前後でもみ合いとなった。ユーロ/ドルは、31日の海外時間に下落した反動から利益確定やポジション調整のユーロ買い・ドル売りが入り一時1.1615ドル付近までじり高となった。

 

今回のガソリン販売量は増加:好天が続いた結果

高値にもかかわらず今夏のガソリン販売量は増加した。好天が続き自動車を使った外出機会が増えたことによる。記録的な猛暑でカーエアコンの稼動が高まったことも消費を押し上げたと見られる。石油連盟の資料を基に推計した国内出荷量(7月1日から8月25日までの合計)は約828万キロリットルだった。前年同期を3%上回った。自動車の燃費の改善やエコカーの増加でガソリンの内需は年々縮小している。2017年夏は前年の水準を割り込んでいた。

 

海外投資家の日本株売りはリーマンショックを抜く

東京証券取引所の投資部門別売買状況によると、2018年年初から8月3週までの海外勢による日本株現物の売買額は差し引き3兆8511億円の売り越しとなった。統計を開始した1982年以降ではリーマンショックの08年を抜き、世界的に株価が急落したブラックマンデーの87年に記録した7兆1928円に次ぐ売越額となった。東証1部全体の値動きを示すTOPIXの年初来パフォーマンスは、28日時点でマイナス4.7%となった。

 

アジア通貨危機の状況に似てきた

1997~98年のアジア通貨危機と状況が似てきた。97年7月のタイ・バーツ急落を発端に、東南アジアや韓国に通貨安が波及したアジア通貨危機がある。当時も米国経済は4%台の高い成長が続き、先進国の中でも突出していた。米国の『強いドル』政策も加わり、ドル指数は95年春を底に右肩上がりで上昇した。対外債務に依存していたアジア各国の通貨はヘッジファンドの空売り攻勢を浴びて急落した。海外からの資金流入が止まり経済は崩壊した。今回もFRBによる利上げ継続を受けてドルが上昇し、新興国通貨には売り圧力がかかる。トルコ・リラ、アルゼンチン・ペソの年初来の下落率は約40%に達する。ともに経常収支の赤字が拡大傾向にあるうえ、対外債務の9割前後が外貨建てという脆弱さを抱える。国内政治が混乱し、経済政策への信頼性が低下している点も売られる要因となっている。

 

リーマン危機以降の米国の変化

リーマン・ブラザーズ破綻後の10年間で、米国はどう変わったのか。FRBの金融緩和により株式や債券といった金融資産の価格が大きく押し上げられたのに対し、実体経済の改善度合いは見劣りする。家計の抱える債務の額がリーマン危機時を上回るなど、新たな不安の種も浮上してきた。NYダウは10年間で2.3倍、ハイテク主体のナスダック総合指数は3.6倍になった。中央銀行が放出した緩和マネーがアップルやアマゾン・ドット・コムをはじめとする主力銘柄に勢い良く流れ込んだ。米国債の利回りも低下(価格は上昇)した。一方、米国実質国内総生産(GDP)の増加率は4割に満たない。税制改革の効果もあり足元の景気こそ個人消費を中心に好調だが、失業率の低下にもかかわらず賃金の伸びは鈍く、物価上昇圧力が高まってこない。住宅販売も昨年秋ごろをピークに伸び悩んでいる。住宅市況が悪化すれば膨らんだ家計債務の返済が滞りかねない。戦後最長の景気拡大をうかがう米国ではあるが、次の危機の芽も見え隠れし始めている。

 

欧米イベント

○16:00   8月トルコ消費者物価指数(CPI、予想:前月比2.23%/前年比17.60%)
○16:15   7月スイス小売売上高
○16:30   8月スイスSVME購買部協会景気指数(予想:60.8)
○16:50   8月仏製造業PMI改定値(予想:53.7)
○16:55   8月独製造業PMI改定値(予想:56.1)
○17:00   8月ユーロ圏製造業PMI改定値(予想:54.6)
○17:30   8月英製造業PMI(予想:53.8)
○4日03:00   8月ブラジル貿易収支(予想:40億ドルの黒字)
○米国、カナダ(レーバーデー)、休場

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

欧米タイム直前市場コメント!

2018/08/24/15:14:29

日経平均株価:海外勢からの先物への買戻しが先導

米中貿易摩擦を巡る新たな悪材料が出なかったことで、半月間に空売りしていた海外ヘッジファンドなどからの先物への買戻しが広がり現物株の裁定買いを誘発して上げ幅を広げた。結局、前日比190円高の2万2601円と4日続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:パウエル米FRBの講演控えポジション調整の動き

ドル/円は、国内輸入企業などのドル買い・円売りに支えられて一時111.48円まで上げた。前日にジョージ・カンザスシティ連銀総裁が『トランプ大統領の利上げ批判は、金融当局の政策判断に影響しない』との見解を示したことも、引き続きドル買い要因となった。しかし、米中貿易摩擦のさらなる激化が警戒されていることから、上値では利益確定売りなども見られ、111.40円前後でもみ合いとなった。午後は、日経平均株価や上海総合株価指数の動向をにらみながら111.40円前後で取引された。パウエル米FRB議長の講演を控えて様子見ムードが強く、積極的な売り買いは見られなかった。ユーロ/ドルは、前日の海外市場で下落した反動から利益確定やポジション調整のユーロ買い・ドル売りが入り、1.15ドル台半ばから1.15ドル台後半へレンジを切り上げた。

 

9月の米国株相場は?

相場格言では『Sell in May,and go away;don’t come back until St Leger day』と『5月に売ってLeger day(9月第2土曜日)まで戻って来るな』とあるとおり5月から9月は弱い期間とされるが、年末高のシナリオに基づくなら押し目買いの機会となる。ただ、今年は秋に中間選挙を控えている。1950年以降、中間選挙がある都市の9月は弱いジンクスがある。NYダウは11回下げ、平均1.0%安を記録した。S&P500は9回下げて、平均0.4%安、ナスダック指数は1971以降で7回下げ、平均0.8%安となった。また、9月は歴史的な事件が多いためNYダウの下落率が大きいことも留意される。2001年は米同時テロが起きて11.1%安、2008年はリーマンショックで6.0%安、2011年には米国の債務上限問題が警戒されて6.0%安となっている。

 

パウエル米FRB議長講演の注目点

24日にパウエル米FRB議長が講演を行う。金融政策の方向性が示されることもあり、市場での注目度は高い。ただ、直近のFOMC議事要旨でも9月の利上げが示唆されていることから、当面の政策についてはサプライズはなさそうだ。講演内容では、①米国の利上げに伴う金利上昇が新興国経済や通貨に与える影響と、②米中貿易戦争の経済やインフレに与える影響で、これらについて議長がどの程度警戒を示すかが注目されている。

 

米中貿易摩擦懸念は今後も相場の重石

米中貿易摩擦の激化や長期化への懸念が引き続き相場のの重石となる。米中は23日、相互に160億ドルの輸入品に対する追加関税を発動した。トランプ米生計はさらに2000億ドル分の制裁関税を検討しており、これに中国も報復する構えを示している。一方、22日から始まった米中次官級協議は終了した。米ウォルターズ副報道官は声明で『公正で均衡の取れた、互恵的な経済関係を築く方法を意見交換した』と説明し、知財侵害や過剰な補助金政策など『中国の構造問題への対処』を話し合ったとした。ただ、具体的な成果に関する言及は見られず、今後も対話を続けるかは明らかになっていない。米中の対立緩和は依然として見通せない状況となっている。

 

米国市場では7月の耐久財受注が公表

7月分ではISM製造業景況指数の『新規受注』が60.2となり、前月の63.5から減速した。通商摩擦の不透明感や新興国など世界経済減速懸念、ドル高などで受注関連は踊り場鈍化が警戒される。参考となる6月実績は、前月比+0.8%で市場予想を下回った。輸送用機器を除く数字は+0.2%で5月実績を下回った。企業の設備投資を表す民間航空機を除く非国防/除航空機は+0.2%で市場予想を下回った。7月については輸送用機器をのぞく受注は増加すると見られているが、全的には6月実績に近い数値にとどまりそうだ。

 

欧米イベント

○15:00  4-6月期独国内総生産(GDP)改定値(予想:前期比0.5%/前年同期比2.3%)
○21:30  7月米耐久財受注額(予想:前月比▲0.5%/輸送用機器を除く前月比0.5%)
○22:00  4-6月期メキシコGDP確定値(予想:前期比▲0.1%/前年比2.7%)
○23:00  パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、ジャクソンホール会議で講演
○米カンザスシティー連銀主催のシンポジウム(ジャクソンホール会議、25日まで)
○トルコ(犠牲祭)、休場

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

欧米タイム直前市場コメント!

2018/08/23/15:17:00

日経平均株価:円安で輸出関連株がけん引となり買い優勢

前日のNYダウは反落したが、ナスダックが5日続伸しハイテク株が堅調推移したことが投資家心理を支えた。また、1ドル=110.80円近辺への円安を受けて輸出企業の採算悪化懸念が和らぎ主力株中心に買いが優勢となった。上海総合株価指数もプラス圏に回復したことも買い安心感につながった。結局、前日比48円高の2万2410円と3日続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:総じてドル買い優勢も111.00円が意識される

ドル/円は、ターンブル豪首相に反発する閣僚の辞任が相次いだことを嫌気した豪ドル売り・ドル買いが波及しじり高となった。日経平均株価の上げ幅が一時100円を超えたことも、円売りを誘った。午後もこの流れは続き、110.93円近辺まで小幅に値を上げた。ただ、心理的節目となる111.00円が意識されると、利益確定売りもみあられ、110.90円を挟んでもみ合い相場となった。トランプ政権は13時過ぎに、予定通り160億ドル相当の中国製品に対して25%の制裁関税第2弾を発動した。これに対して中国も対米へ報復関税を発動するなど、貿易摩擦は激化しているが、為替相場への影響は限定的だった。ユーロ/ドルは、短期筋による利益確定などのユーロ売り・ドル買いが午前で一巡したこともあり、1.15ドル台半ばで方向感の乏しい展開となった。

 

欧州市場ではマークイット8月ユーロ圏製造業PMIが公表

7月の改定値は55.1だった。新規受注指数は6月と同水準となった。将来の算出を示す指数は62.4で6月の60.7から上昇したが、景気拡大を示唆する数値ではないと見られている。8月については、7月改定値をやや上回る可能性があるものの、製造業の各種指数の先行観は後退しつつある。

 

7月31-8月1日分のFOMCが議事録を公表について

この中で、多くの高官が『もし、指標が見通しを後押しする結果となった場合、比較的すぐに追加利上げが適切となる可能性が強い』と見ており、FOMCが9月に追加利上げに踏み切る用意があることを明らかにした。同時に、貿易、住宅、新興諸国市場を下方リスクとして挙げた。全般的に持続的な経済活動の拡大、強い労働状況、インフレが目標である2%に近づいたことに連動し、政策金利をさらに緩やかに引き上げると見込んでいる。少数のメンバーが2%のインフレが持続すると自身をより強めたことも明らかにした。他の数人は、経済が過熱し、インフレを加速させ、金融不均衡または、結果として景気後退をまねくとの懸念を表明した。『金政策は指標次第』とするFRBは、9月、おそらく12月にも利上げを実施する可能性が強い。また、FRBは緩やかに政策金利を引き上げており、近く『金融政策は依然緩和的』との文言を声明から咲く上する意向を示した。

 

中国向け追加関税は共和党『マザーの反乱』に配慮する必要性も

米中『貿易戦争』激化への懸念材料は第3弾としての2000億ドル25%の追加関税の是非であり、トランプ大統領の発言などを受けて懸念が強まったり、弱まったりしている。22-23日の米中通商交渉の事務レベルの協議再掲を控え、米中『貿易戦争』が緩和するとの期待からリスク選好ムードも高まっている。トランプ政権は8月中の議会公聴会の結果を受け9月にも2000億ドル25%の追加関税の発動を検討していたが、米中『貿易戦争』のエスカレートによる生活必需品の値上げに怒る共和党『マザーの反落』に配慮し、発動の是非を中間選挙後に先送りする可能性が出てきた。

 

米中間選挙次第でトランプ大統領の弾劾の可能性も

2016年の大統領選挙でのロシア疑惑が再燃したため、ドルの上値を引き続き抑制することになる。トランプ大統領の個人弁護士マイケル・コーエン氏や大統領のマナフォード元選対部長に有罪判決が下されたことは、2016年米大統領選のロシア関与疑惑を総裁するロバート・ムラー特別警察官の勝利と見られている。11月に実施される中間選挙で、民主党が下院の議席を勝ち取った場合、トランプ大統領の弾劾を求める可能性も除外できない。そうなった際、トランプ大統領が掲げてきた経済政策が滞ることになり、経済の成長も停滞に転じると考えられる。

 

欧米イベント

○15:00   4-6月期ノルウェー国内総生産(GDP)
○15:45   8月仏企業景況感指数(予想:107)
○16:15   8月仏製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値(予想:53.4)
○16:15   8月仏サービス部門PMI速報値(予想:55.1)
○16:15   4-6月期スイス鉱工業生産指数(予想:前年同期比7.5%)
○16:30   7月スウェーデン失業率(予想:5.8%)
○16:30   8月独製造業PMI速報値(予想:56.5)
○16:30   8月独サービス部門PMI速報値(予想:54.3)
○16:30   バイトマン独連銀総裁、講演
○17:00   8月ユーロ圏製造業PMI速報値(予想:55.0)
○17:00   8月ユーロ圏サービス部門PMI速報値(予想:54.4)
○20:30   欧州中央銀行(ECB)理事会議事要旨(7月26日分)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数(予想:21万5000件)
○22:00   6月米住宅価格指数(予想:前月比0.3%)
       4-6月期米住宅価格指数
○22:45   8月米製造業PMI速報値(予想:55.0)
○22:45   8月米サービス部門PMI速報値(予想:55.9)
○22:45   8月米総合PMI速報値
○23:00   7月米新築住宅販売件数(予想:前月比2.2%/64万5000件)
○23:00   8月ユーロ圏消費者信頼感指数(速報値、予想:▲0.7)
○米中事務次官級通商協議(最終日)
○米財務省2年、5年、7年債入札条件
○米カンザスシティー連銀主催のシンポジウム(ジャクソンホール会議)、テーマは「変化する市場構造と金融政策への影響」(ワイオミング州ジャクソンホール、25日まで)
○トルコ(犠牲祭)、休場

 

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

欧米タイム直前市場コメント!

2018/08/22/15:19:26

日経平均株価:NYダウ高や円高一服を好感した買い

前日にNYダウが63ドル高となり4日続伸の6ヵ月半ぶり高値や円高一服を受け、輸出関連株中心に継続的な買いが入り一時上げ幅を171円に広げた。ただ、その後は利益確定売りに押される展開となった。結局、前日比142円高の2万2362円と続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:株高と円高一服を好感してリスク選好の円売り傾向

ドル/円は、『トランプ大統領の元顧問弁護士コーエン氏が、選挙資金法に違反したことを認めた』との報道が嫌気され、110円割れをうかがう展開となった。しかし、今日から始まる米中通商協議を見極めたいとの雰囲気から、ドル売りは続かなかった。その後は、本邦実需筋などのドル買い・円売りや日経平均株価の上げ幅が100円を超えたことに支えられ110.39円までじり高となった。一部の報道で『米国がメキシコとの北米自由貿易協定(NAFTA)をめぐり、再交渉の合意に向けて調整している』と報じられたことも、リスク選好の円売りを誘った。午後もこの流れは続き、日経平均株価の上げ幅拡大も好感され110円台半ば近辺まで上昇した。ただ、NY時間に付けた110.54円が上値目処として意識されると上値の重い展開となった。ユーロ/ドルは、1.15ドル台後半で小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

23日の米中通商協議の行方が注目される

米中が新たに追加関税を発動する23日に向けて、改めて意見対立の大きさが確認されたり、23日から相互関税発動となれば、リスク回避による日米株の大幅下落やリスク回避の円全面高を招く可能性が残る。同時に米トランプ大統領は11月の中間選挙対策として、対中国通商圧力を強化させてきた。輸入関税強化策などの成果アピールと圧力の結果としての中国の妥協・上方などを米国民向けに宣伝sるのは『また時期尚早』という見方が強い。一方で、『米中首脳が11月に会談する見込み』と報じられている。また、『両国は首脳会談の開催を前提に、対立解消への行程表を策定している』とも報じられている。そのため、今回の次官級協議は『首脳会談での一定の不均衡是正合意に向けた地ならしの始動』という見方も出来る。23日にかけて一旦の緊張緩和となれば、クロス円ではリスク選好の円安が支援される一方、ドルはリスク回避の後退で全般的に売り戻しの圧力がかかりやすい。

 

カプラン米ダラス連銀総裁の論文:利上げはあと3-4回

その中で、カプラン総裁は中央銀行が金利の中立水準に達するまで、利上げを続ける必要があるとの見解を示した。中立水準とは、経済の成長をあおることなく、鈍化させることない水準としている。その水準で、利上げを打ち止めることが好ましいとした。中立水準に達するには、あと3回から4回の利上げが必要になるとの見方をしている。2018年のGDPは+3.0%を予想している。ただ、米国の利上げを受けた、世界の経済や市場の安定性を監視する必要があることや、利回り曲線の逆転の重要性を無視すべきではないと警告している。ボスティック米アトランタ連銀総裁も20日の演説で、利回り曲線の動向に注視が必要で、万が一、逆転した場合は、対応が必要だと訴えている。

 

米国市場では7月中古住宅販売が公表

先行指標となる中古住宅販売成約指数は、最新6月に前月比+0.9%の上昇となった。3ヵ月ぶりのプラス回復となっており、雇用改善や金利上昇の抑制、若年層の雇用と改善を受けた独立増加などが示唆されている。一方で、米国の住宅市場では売り出されている物件の在庫不足や販売価格の上昇、減税効果の息切れなどが懸念材料になっている。参考となる6月実績は538万戸(年率換算)で5月実績を0.6ポイント下回った。市場予想を545万戸程度だった。中古住宅市況はやや弱含みとなっているが、6月の販売価格の中央値は過去最高を記録しており、この点を考慮すると7月の販売件数は6月実績を上回る可能性がある。

 

米国市場ではFOMCの議事要旨が公表(7月31日-8月1日分)

焦点はトルコなどの新興国不安や通商摩擦懸念などによる金融政策への影響度合いとなる。その点、米FRB幹部の中で変わり身が早く、柔軟な思考を持つブラード米セントルイス連銀総裁は前週15日『トルコには特殊要因が存在し、現時点では影響が広がる感染症とはならないだろう』と楽観的な見通しを示した。通商摩擦懸念も、前週末からは過度な泥沼化懸念が一服している。その中でFRBから、①来年に向けた緩やかな利上げペースは堅持、②来年の『中立化』以上の利上げは来年の景気次第、③新興国や通商摩擦の影響は注意を要するものの、現状は影響が限定的、といった見解が示されると、ドル/円は現在のレンジ相場が継続する可能性が高い。

 

欧米イベント

○17:00   7月南アフリカ消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.7%/前年比5.0%)
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○21:30   6月カナダ小売売上高(予想:前月比0.1%/自動車を除く前月比▲0.1%)
○23:00   7月米中古住宅販売件数(予想:前月比0.6%/年率換算540万件)
○23:30   EIA週間在庫統計
○23日03:00   米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(7月31-8月1日分)
○米中事務次官級通商協議(23日まで)
○シンガポール(ハリラヤハジ)、インド(イスラム教謝肉祭)、トルコ(犠牲祭)、休場

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欧米タイム直前市場コメント!

2018/08/21/15:16:17

★日経平均株価:上海総合株価指数が底堅推移したことで買戻し

トランプ大統領が米利上げに不満を表明し1ドル=109円台後半へ円高が進み輸出関連株の一角に売りが先行するも昼休みに上海総合株価指数が上げ幅を広げたほか1ドル=110円台への円安を好感したヘッジファンドが先物への買いに傾斜したことで上げ幅を一時100円超に広げた。結局、前日比20円高の2万2219円と小幅反発して終了した。

 

東京外国為替市場:過度なリスク回避の動き後退で110円台回復

ドル/円は、前日にトランプ米大統領がFRBの利上げ政策に不満を漏らしたことから下値を模索する展開となり、一時109.77円まで下落した。約2ヵ月ぶりの安値を付けた。しかし、東京市場では、109円台では国内輸入企業などがドル買い・円売りを持ち込んだことから110円近辺まで持ち直した。日経平均株価の下げ幅縮小や上海総合株価指数が続伸して始まったこともあり、過度なリスク回避の動きは後退した。午後もこの流れが続き、日経平均株価がプラス圏に転じたことも支えに110.14円まで上げた。ただ、トランプ米大統領の不規則発言が警戒されていることからドル買い・円売りも続かず110.10円を挟んだ値動きとなった。ユーロ/ドルは、FRBによる利上げペースが想定より緩やかにとどまるとの思惑から持ち高調整などのユーロ買い・ドル売りが入り、1.1530ドル台へ上昇した。

 

米国の貯蓄率が上昇傾向:過去にない傾向

米国経済が直近2回のリセッションに陥る前、家計は無防備だった。数年にわたり株式や持ち家など資産価値の上昇が続き、雇用見通しが改善する中、貯蓄はあまり必要ないと消費者は考えていた。そのため、2001年と07年からの2回のリセッション時に失業率が上がり、資産価値が下がると、消費者は支出を厳しく引き締めた。新たなデータでその構図が変わった。商務省経済分析局(BEA)が先月発表したデータの改定値で、家計が数年にわたり、はるかに多くの貯蓄を溜め込んでいたことが分かった。今年1-3月期だけをとってみても、BEAは個人貯蓄率の推計を従来の3.3%から7.2%へと倍以上に引き上げた。この炊事は1990年代の平均貯蓄率である6.4%を上回る。直近の底である05年の2.5%に比べると3倍近い。1-3月期分の上方修正だけでも、年率にすると貯蓄が6135億ドル(約67兆7400億円)増えたことになる。

 

22-23日の次官級通商協議:自動車関税導入に踏み込みにくい環境

すでに中国サイドは輸入関税制裁を受けて、景気減速や株安、通貨安が深刻化しつつある。先行き雇用悪化につながると国民からの中国共産党不満が高まるため、表向きは国家威信をかけた強硬姿勢を堅持しつつも、水面下では貿易戦争の長期化阻止に向けた態度軟化が見られ始めた。一方、米国でも輸入関税の引き上げが資源高と重なり、輸入物価の上昇要因となっている。前週末の最新8月ミシガン大学信頼感指数は95.3と前月の97.9から悪化したが、一因としては通商摩擦への懸念と輸入物価発の物価上昇警戒などが影響した。購買意欲では家庭用の大型耐久財が約4年ぶり、自動車が約5年ぶりの低水準に低下しており、洗濯機や鉄鋼・アルミなどの各種関税引き上げと値上げの影響がじわりと顕在化しつつある。トランプ政権としては中間選挙対策として、こうした製品の一段の価格上昇につながる輸入関税増強、自動車関税導入には踏み込みにくい環境となってきた。

 

市場はパウエル米FRB議長の演説に注目

米ワイオミング州ジャクソンホールでカンザスセティー連銀主催の年次シンポジウムが開催される。市場ではパウエル米FRB義侠の演説に注目している。そんな中、トランプ米大統領は先週17日、ニューヨーク、ハンプトンで開催された非公式の資金集めのイベントで、共和党政治献金者に向けてFRBが実施した利上げを批判した。利上げの必要はなく、一段の緩和策を望んでいると語ったと報じられた。FRBのパウエル議長が低金利政策を好んでおり、引き締めに転じるとは思っていなかったと語ったという。パウエル議長のジャクソンホールでの証言では、トランプ大統領の見解に対するFRBの対応に焦点が集まる。FRBはあくまでも独立機関であるため、経済の回復に伴い、中立を目指した緩やかな利上げを継続する方針を貫く可能性が強い。そのため、ドルも短期的には伸び悩む可能性があるものの、中長期的には依然、上昇基調にある。

 

欧米イベント

○17:30  7月香港消費者物価指数(CPI、予想:前年同月比2.4%)
○21:30   6月カナダ卸売売上高(予想:前月比0.8%)
○トルコ(犠牲祭)、休場

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