FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

2018/09/10/15:17:14

日8月の景気ウォッチャー調査:改善方向

内閣府が発表した8月の景気ウォッチャー調査によると、街角の景況感を示す現状判断DIは48.7となり、前月比で2.1ポイント上昇となった。また、先行き判断DIは51.4となり、前月比2.4ポイント上昇した。

 

日経平均株価:米長期金利上昇で金融株買われる

8月の米雇用統計が米利上げを後押しするとの観測から円安・ドル高が進み、自動車など輸出関連株の一部に買いが集まった。しかし、トランプ米政権ほ保護主義的な通商政策への警戒感が高まるなかで買い控えムードが強く、上値も限定的となった。米長期金利上昇で運用収益改善が期待される保険や銀行など金融株への見直し買いが相場を押し上げた。結局、前週末比66円高の2万2373円と7日ぶりに反発して終了した。

 

東京外国為替市場:週初で様子見ムード強く狭いレンジ相場

ドル/円は、日米通商問題に対する懸念からドル売り・円買いが先行し、一時110.85円まで下げた。ただ、7日に発表された米8月雇用統計の強い数字が好感され、下値を追う動きは限られた。その後は、国内輸入企業などのドル買い・円売りや日経平均株価の持ち直しに支えられ、111円前後まで値を戻した。午後は日経平均株価や上海総合株価指数の動向をにらみながら110.90円台のもみ合い相場となった。ユーロ/ドルは、1.15ドル台半ばで小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

通貨危機総計警戒指標:ダモクレスの紹介レポート

ノムラ・セキュリティーズの『通貨危機早期警戒指標・ダモクレスの紹介』と題するリポートで、30の新興国うちスリランカ、南アフリカ、アルゼンチン、パキスタン、エジプト、トルコ、ウクライナの7カ国で通貨危機にさらされていることが示されていると指摘した。同社がダモクレストと名付けた通貨危機のリスク指標は1996年以降、過去54回起きた通貨危機のうち67%を1年以内に発生すると正確に予想した。既に通貨が激しく急落しているアルゼンチンやトルコで危険な兆候が出ているのはうなずけるが、一方でブラジル、ブルガリア、インドネシア、カザフスタン、ペルー、フィリピン、ロシア、タイではダモクレスのスコアがゼロとなっている。リポートでは『全ての新興国市場を、1つのグループとしてまとめることは重要ではない』と指摘している。

 

支持率回復のためにエルドアン大統領利は上げを承認か

9月3日に発表された8月トルコ消費者物価指数(CPI)は前年比+17.90%となり市場予想の+17.60%を上回り、2003年9月以来の水準まで上昇した。この結果を受けて、トルコ中央銀行が『物価安定のために必要な措置をとる』、『9月の政策決定会合で金融スタンスの調整を行う』と声明を発表した。13日の中銀会合で現在17.75%の政策金利を引き上げるのではないかとの期待感が市場で高まっている。しかし、利上げ積極派のキリミジ・トルコ中銀副総裁が辞任を表明したことや、利上げを嫌うエルドアン大統領などが依然として懸念材料となる。ただし、自国通貨の暴落、景気への不安感を背景に大統領の支持率は低下傾向にある。支持率は押し上げるためにも、エルドアン大統領が利上げを認める可能性もある。

 

米国の追加関税で中国の貿易に陰り

トランプ米大統領は7日、追加関税を課す中国からの輸出品の対象を一段と広げ、全ての輸入品に『すぐさま』課税する用意があると述べている。エコノミストの間では通商摩擦が経済に即座に及ぼす影響は限定的との見方が優勢だが、中国人民銀行前総裁の周小川氏は『経済への信頼に対する影響はより大きいだろう』と指摘している。中国税関総署が8日に発表した8月の貿易統計は、米中のにらみ合いの原因とその結果を如実に示した。対米貿易黒字は過去最大に膨らんだ一方、ドルベースの輸出の伸びは全体として鈍化した。中国財政省は7日、潤滑油や児童書など397品目を対象に輸出企業への税還付の率を引き上げると発表した。対商品の輸出企業は15日から、付加価値税などの負担が減ることになる。

 

13日の英国、ECBの金融政策会合に注目

9月13日に英国中央銀行が金融政策決定会合、ECB定例理事会を開催する。英国中銀は8月に利上げを実施後、政策金利を据え置く見込みとなっている。ただ、利上げ軌道を探るために、新興諸国や英国のEU離脱を巡る不透明感を受けた景気見通しに焦点が集まる。ECBは来月から年末にかけて、資産購入を解消する方針を再確認すると見られる。また、貿易緊張を受けた成長、インフレ見通しに注目が集まる。ドラギ総裁は引き続き慎重な方針を維持し、ユーロの上値を抑制する可能性が高い。

 

欧米イベント

○15:00   8月ノルウェー消費者物価指数(CPI、予想:前月比▲0.6%/前年比3.2%)
○16:00   4-6月期トルコ国内総生産(GDP、予想:前年比5.3%)
○17:30   7月英貿易収支(予想:117億5000万ポンドの赤字)
○17:30   7月英鉱工業生産指数(予想:前月比0.2%)
         製造業生産高(予想:前月比0.2%)
○17:30   7月英GDP(予想:前月比0.2%)
○10日01:00   ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演
○10日04:00   7月米消費者信用残高(予想:144億ドル)
○10-11日   4-6月期ロシアGDP改定値(予想:前年比1.8%)

 

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欧米タイム直前市場コメント!

2018/09/07/15:18:31

日経平均株価:日米貿易摩擦と地震の影響を嫌気した売り

トランプ大統領が対日貿易赤字の削減を直迫る姿勢と伝わり、電気機器や機械などの輸出関連株が売られた。また、北海道地震の実態が明らかになるにつれ、経済活動への影響も徐々に見えてきており、半導体関連企業などに影響が出る可能性が嫌気された。そのため、一時下げ幅を300円超に広げた。結局、前日比180円安の2万2307円と6日続落で終了した。

 

東京外国為替市場:リスク回避の円買い優勢

ドル/円は、日米貿易摩擦に対する懸念や日経平均株価の下げ幅が200円を超えたことを背景にリスク回避のドル売り・円買いが進み、110.38円まで下落した。しかし、今晩発表される8月米雇用統計を見極めたいとの雰囲気もあり、下げ幅は一服した。その後は、国内輸入企業などのドル買い・円売りや上海総合株価指数が買い先行で始まったことに支えられ110.60円近辺へ値を戻した。午後は、日経平均株価や上海総合株価指数の動向をにらみながら110.60円を挟んだもみ合いとなった。手掛かり材料に乏しく週末ということもあり、積極的な売り買いは手控えられた。ユーロ/ドルは、1.16ドル台前半で方向感の乏しい展開となった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

スウェーデンクローナが9年ぶりの安値圏

スウェーデンの通貨クローナが9年ぶり安値権で低迷している。対ユーロは8月下旬に1ユーロ=10クローナ台後半と2009年7月以来のユーロ高・クローナ安水準を付けた後、戻りらいし戻りがない。9日投開票のスウェーデン総選挙では反移民を掲げる極右政党が躍進する可能性が高い。イタリアなどで生じたポピュリズムの波が北欧にも広がるとの警戒感から先回りしたクローナ売りが続いている。

 

今朝のトランプ大統領発言報道のニュアンスが違う

昨日NY市場引け間際に伝えられたCNBCの『トランプ砲』だったが、カナダとNAFTA再交渉が難航しているほか、中国製品2000億ドル相当への関税発動期限となっている中、『次は日本との貿易戦争だ』となれば、市場の反応は当然にリスク回避の動きとなる。ただ、実際のWSJでのコラムでは、少しニュアンスが違う。コラムこそ『日本の貿易戦争を視野に』となっているが、中身は『トランプ米大統領は日本との貿易に関して思い悩んでいるようだった。日本の指導者(安倍首相)とは友好な関係だが、いくら払えなどと言った途端にその関係が終わってしまうと心の内を明かした』という内容だった。市場が徐々に中身まで目を向け始めるにつれて、リスク回避の動きも後退する可能性がある。

 

米経済指標は予想より強くてもドル軟調推移

米供給管理協会(ISM)が発表した8月ISM非製造業総合景況指数は58.5となり、7月55.7から上昇し、市場予想56.8を上回った。 一方で、米商務省が同時刻に発表した7月製造業受注は前月比-0.8%となり、市場予想-0.6%を下回り3カ月ぶりのマイナスに落ち込んだ。さらに1月来で最低となった。 7月耐久財受注改定値は前月比-1.7%となり、市場予想に一致し、速報値から修正なしとなった。ただ、企業の設備投資の先行指標となるコア資本財の受注は+1.6%となり、速報値の+1.4%から上方修正されたほか、国内総生産(GDP)の算出に使用されるコア資本財(航空機を除く非国防資本財)の出荷は+1.0%と、速報値の+0.9%から上方修正され、7-9月期GDPの成長を押しあげる。 事前に民間マークイットが発表した8月サービス業PMI改定値は54.8となり、市場の予想外に、速報値55.2から下方修正された。8月総合PMI改定値も54.7となり、速報値55.0から下方修正された。 市場予想を上回ったISM非製造業指数にもかかわらず米長期低下に伴いドルの軟調推移が継続した。

 

米国市場では8月雇用統計が公表

非農業部門雇用者数は反動増が予想されるが、失業率は横ばいとなる見込みとなっている。市場が注目する平均時給の伸び率は、労働市場における需給ひっ迫などの理由で前年比+2.8%と予想されているが、市場予想を下回る伸び率にとどまった場合でも、賃金の上昇基調が維持されていると判断された場合、ドル買い材料となる可能性もある。

 

欧米イベント

○14:45   8月スイス失業率(季節調整前、予想:2.4%)
○15:00   7月独貿易収支(予想:195億ユーロの黒字)
○15:00   7月独経常収支(予想:200億ユーロの黒字)
○15:00   7月独鉱工業生産(予想:前月比0.2%)
○15:45   7月仏貿易収支(予想:57億ユーロの赤字)
○15:45   7月仏経常収支
○15:45   7月仏財政収支
○15:45   7月仏鉱工業生産指数(予想:前月比0.2%)
○18:00   4-6月期ユーロ圏域内総生産(GDP)確定値(予想:前期比0.4%/前年比2.2%)
○21:30   ローゼングレン米ボストン連銀総裁、講演
○21:30   8月カナダ雇用統計(予想:新規雇用者数変化5000人/失業率5.9%)
○21:30   8月米雇用統計(予想:非農業部門雇用者数変化19万1000人/失業率3.8%/平均時給、前月比0.2%/前年比2.7%)
○22:00   メスター米クリーブランド連銀総裁、講演
○22:00   8月メキシコ消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.51%)
○23:00   8月カナダIvey購買部協会景気指数(予想:61.4)
○8日01:45   カプラン米ダラス連銀総裁、講演
○ユーロ圏非公式財務相会合
○ブラジル(独立記念日)、休場
○9日 スウェーデン総選挙

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欧米タイム直前市場コメント!

2018/09/06/15:15:34

日経平均株価:北海道の地震の影響を警戒して売り優勢

前日の米ハイテク株安に加え、北海道で発生した地震の影響を警戒した海外投資家の売りが優勢となった。相場の下げが続いていることで運用リスク回避したい個人投資家が増えており、中型株に売りが目立ったことも相場の重石となった。下げ幅を一時160円あまりに広げたが、前引けにかけて下げ幅を縮めた上海総合株価指数が上昇し、市場心理の悪化に歯止めをかけた。その後、上海株が下落期基調となったことで、日本株の戻りも限定的だった。結局、前日比92円安の2万2487円と5日続落して終了した。

 

東京外国為替市場:様子見ムード強く値動きは限定的

ドル/円は、トランプ米政権による2000億ドル相当の対中追加関税発動が警戒される中、持ち高調整などのドル売り・円買いが入り、一時111.16円まで下げた。日経平均株価の下げ幅が一時160円超えたこともリスク回避の円買いを誘った。しかし、米8月雇用時計を明日に控えていることからさげは一服し、111.30円近辺に持ち直した。午後は米長期金利が小幅ながら上昇に転じたことに支えられ、じり高となった。ただ、北米自由貿易協定をめぐる米加の再交渉を見極めたいとの雰囲気から上値を追う動きは限られた。ユーロ/ドルは、前日の海外時間に急反発した反動から利益確定などのユーロ売り・ドル買いに押され、1.16ドル台半ばから1.16ドル前半へ水準を切り下げた。

 

豪州経済は堅調ながら政治情勢はガタガタ

豪州経済は堅調さが続く一方で、政治情勢は真逆の動きとなっている。来年5月までに実施される次期総選挙を見据え、与党国民党ではターンブル前首相への圧力を強まり、先月には1週間のうちに2度の党首選が実施される異常事態となった。最終的にはターンブル氏に近いモリソン氏が勝利して新首相に就任したが、政治的な不安は払拭出来そうにない。同国経済は政治と遊離して堅調さを維持しており、直線的な影響は乏しいと見られるが、先行きについては政権交代などに伴う政策変更リスクに注意する必要は高い。

 

イタリアの予算案への懸念は一旦後退しつつ

EUの財政均衡化ルールを破るのではないかというイタリア予算案への懸念は後退しつつある。昨日は、サルビーニ副首相の『公共財政を破壊することはできない』との発言が伝わり、積極財政を推し進めようとしていたディマイオ副首相も『秩序ある収支を維持する』と述べた。先月はイタリア予算への警戒感で伊債売りに走った市場だったが、買い戻しの動きが強まりつつある。伊10年債利回りは8月31日につけた約3カ月ぶりの高値3.246%から、昨日には一時2.86%まで低下した(引けは2.935%)。イタリア予算案は10月半ばに公表予定となっている。

 

★南アのラマポーザ政権は窮地に

国際金融市場は、トルコリラの急落をきっかけとする『トルコショック』に加え、米FRBによる金融正常化も重なり、新興国に資金流出圧力が強まっている。こうした中、先月末にべトランプ大統領がSNSで南アフリカの政策批判を行い、両国関係の悪化が懸念されている。金融市場では『第2のトルコ』を探す動きが活発化しており、その対象に南アフリカが当てはまりやすい中、ランド相場は下落基調を強めている。年明け以降の南ア経済は天候要因により弱含んでおり、ランド安圧力につながってきた。さらに、4-6月期の実質GDP成長率も2四半期連続でマイナス成長となるリセッションに陥るなど、厳しい状況に直面している。

本日18:00に4-6月期南アフリカ経常収支(予想:1665億ランドの赤字)が発表される。改めてランド安となる可能性があるので注意が必要となる。

 

アルゼンチンは9回目のデフォルトに向かって

アルゼンチンは1816年の独立以来、計8回(1827、1890、1951、1956、1982、1989、2001、2014年)デフォルトした。直近の2001年のデフォルトでは、デ・ラ・ルア大統領は、ドルペッグ制の破綻を受けて、1320億ドルの対外債務の支払い停止を宣言した。2014年のデフォルトでは、アルゼンチン政府は、米系ヘッジファンドによる債務不履行債権の買い取り勝訴に対する防衛措置として『テクニカル・デフォルト(支払い余力があるにも関わらず債務返済不能)』を断行した。そして、2018年は、米FRBやECBの出口戦略を受けて、新興国市場から資本が流出しており、新興国通貨危機から金融危機へ伝搬しつつある。マクリ・アルゼンチン大統領は、2108年6月にIMFに対して500億ドルの融資枠設定を要請した。アルゼンチン経済は、第3四半期に景気後退入りすると警戒されている。アルゼンチン中銀は、年初来約50%以上も下落して過去最安値まで売り込まれたアルゼンチンペソや30%前後まで上昇したインフレ危機に対処するため、政策金利を45%から60%へ引き上げた。アルゼンチンの対外債務残高は2330億ドルだが、来年249億ドルのペソ建てと外貨建ての債務が償還を迎える。アルゼンチン中銀が公表した月例調査の見通しでは、今年のGDP伸び率は▲1.9%、年末のインフレ率は40.3%、ペソの年末相場は1ドル=41.90ペソと予想している。

 

欧米イベント

○14:45   4-6月期スイス国内総生産(GDP、予想:前期比0.5%/前年比2.4%)
○15:00   7月独製造業新規受注(予想:前月比1.8%)
○16:30   スウェーデン中銀、政策金利発表(予想:▲0.50%で据え置き)
○18:00   4-6月期南アフリカ経常収支(予想:1665億ランドの赤字)
○20:30   8月米企業の人員削減数(チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマス社調べ)
○20:45   ラウテンシュレーガー欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○21:00   8月ブラジルIBGE消費者物価指数(IPCA、予想:前月比横ばい)
○21:15   8月ADP全米雇用報告(予想:19万人)
○21:30   4-6月期米非農業部門労働生産性・改定値(予想:前期比3.0%)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数(予想:21万4000件)
○21:30   7月カナダ住宅建設許可件数(予想:前月比1.3%)
○22:45   8月米サービス部門購買担当者景気指数(PMI)改定値(予想:55.2)
○22:45   8月米総合PMI改定値
○23:00   ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、講演
○23:00   8月米サプライマネジメント協会(ISM)非製造業指数(予想:56.8)
○23:00   7月米製造業新規受注(予想:前月比▲0.6%)
○24:00   EIA週間在庫統計
○米財務省3年、10年、30年債入札条件

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欧米タイム直前市場コメント!

2018/09/05/15:13:12

日経平均株価はアジア株安を嫌気して下げ幅拡大

米通商政策の先行き不透明感を背景に、建設機械など『中国関連銘柄』に売りが広がった。引き続き米中摩擦への注目が高い中で、新たに東南アジアの新興国で進む通貨安が日本株の下押し要因になるシナリオが意識され始めている。午後になると日銀による株式ETF購入の観測が相場の支えとなり、短期筋の買戻しが継続的に入った。しかし、上海総合株価指数や香港ハンセン株の下落が重石となり、引けにかけて短期筋の先物売りに下げ幅を広げた。結局、前日比116円安の2万2580円と4日続落して終了した。

 

東京外国為替市場:さえないアジア株にらみ111円半ばでもみ合い

ドル/円は、本邦実需筋などのドル買い・円売りに支えられ、一時111.70円近辺まで上げた。前日米長期金利が2.90%付近まで上昇し、日米金利差拡大が意識されたことも、ドル買い要因となった。しかし、米国の対中追加関税発動が警戒されおり、上げは一服した。アジア株が総じてさえない展開から利食いなどに111.50円近辺へ押し戻された。午後は北米自由貿易協定(NAFTA)を巡る米加の再交渉を見極めたいとのムードが広がり111.50円近辺でのもみ合い展開となった。ユーロ/ドルは、短期筋などのショートカバーが一巡したこともあり、1.15ドル台後半で方向感を欠く展開となった。

 

貿易論争の激化でもべいこ米国の製造業需要は強い結果に

米供給管理協会(ISM)が発表した米8月ISM製造業景況指数は61.3となり、低下予想に反して7月58.1から上昇し、2004年5月以降14年ぶりの高水準となった。貿易論争が継続するなか、製造業の需要は第3四半期も一段と強まり、2018年下半期の経済も強い成長が見込まれた。一方で、輸出入の鈍化は、貿易戦争の激化が具体化されつつあることを示している。米国のトランプ政権は早くて今週中にも中国商品2000億ドルに追加関税を課す方針となっている。直ちに中国も報復措置を講じると見られている。

 

英国・EUのブレグジット交渉は11月にずれ込む可能性も浮上

懸案のブレグジット交渉については、10月を目標としていた英・EU仮合意が11月にずれ込む可能性も浮上している。例えば合意に至っても、欧州議会で承認されるのが最短で英国のEu離脱期限(2019年3月29日)のわずか2週間前との見通しもあり、最後の最後まで予断は許せない状況となっている。『合意無き離脱』懸念でポンド売り、『交渉進展』でポンド買いのシナリオは変わらず。

 

欧州市場では7月ユーロ圏小売売上高が公表

6月の実績は前月比+0.3%だった。食品・飲料・タバコ、ネット販売が伸びた一方、衣料品、靴類は低迷した。国別ではドイツ、スペインの伸びが好調だったが、フィンランド、エストニア、ポルトガルの減少が目立った。7月については、ネット販売の増加が予想されていることや6月に売上高が減少した国の一部で反動増が予想されることから、上げ幅は6月実績の+0.3%と同水準となる見込み。

 

米国市場では7月貿易収支が公表

7月の前渡商品貿易収支は▲722億ドルで赤字幅は6月の▲679億ドルから拡大した。7月については、財の輸出額が伸び悩む可能性があること、輸入額は6月実績の2602億ドルと同水準となる可能性があることから、月間の貿易収支はやや悪化する可能性がある。

 

欧米イベント

○16:50   8月仏サービス部門PMI改定値(予想:55.7)
○16:55   8月独サービス部門PMI改定値(予想:55.2)
○17:00   8月ユーロ圏サービス部門PMI改定値(予想:54.4)
○17:30   8月英サービス部門PMI(予想:53.9)
○17:30   プラート欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○18:00   7月ユーロ圏小売売上高(予想:前月比▲0.2%/前年比1.3%)
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○未定   ポーランド中銀、政策金利発表(予想:1.50%で据え置き)
○21:30   7月カナダ貿易収支(予想:11億3000万カナダドルの赤字)
○21:30   4-6月期カナダ労働生産性指数(予想:前期比0.4%)
○21:30   7月米貿易収支(予想:503億ドルの赤字)
○22:20   ブラード米セントルイス連銀総裁、講演
○23:00   カナダ銀行(BOC、中央銀行)、政策金利発表(予想:1.50%で据え置き)
○6日05:00   カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、講演
○北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉の米加2国間協議再開
○5-6日   8月ロシアCPI(予想:前月比0.1%)

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欧米タイム直前市場コメント!

2018/09/04/15:17:18

日経平均株価:イベント控え積極的な売買は見送り

米中貿易摩擦が激化するとの警戒感から利益確定売りなどが優勢となった。その後は為替相場の落ち着きや上海総合株価指数が上昇したことを高官して主力株の一角に押し目買いが入り、下げが一服した。ただ、米8月ISM製造業景況指数の発表を控えていることや、5日米国・カナダによる北米自由貿易協定(NAFTA)見直し再協議が予定されるなどで投資家は様子見ムードが強く積極的な買いは見送られた。結局、前日比10円安の2万2696円と小幅4日続落で終了した。

 

東京外国為替市場:アジア市場では111円を挟んだ展開

ドル/円は、トランプ米政権の保護主義的な通商政策に対する警戒感や日経平均株価の下げ幅が100円付近に接近したことが嫌気され、111円台を割り込み、一時110.90円近辺まで下落した。しかし、前日のアジア市場で付けた安値110.85円が意識されると下げは一服した。午後は、日経平均株価や上海総合株価指数をにらみながら111.10円台中心とした狭いレンジでのもみ合いが続いた。休み明けとなる米国市場の動向を見極めたいとの雰囲気から売買は閑散だった。ユーロ/ドルは、ポジション調整などのユーロ売り・ドル買いが午前中で一巡したため、1.16ドル台前半で小動きとなった。

 

米国と中国による輸入関税欧州の行方に注目

前週にはトランプ米大統領が対中国制裁『第3弾2000億ドル(約22兆円)分』の高関税措置について、9月6日に公聴手続きの期間を終え次第、すぐに発動を表明する意向が明らかになった。6日にかけては実際の発動警戒が、日米の株安やリスク回避の円高要因として警戒される。ただし前週末以降、中国からは新たな対抗措置の威嚇けん制は見られていない。反対に米国が強く要請している中国人民元の下落歯止めについては、前週から中国当局は遵守させている。米国の追加関税実施でも中国が追加報復の様子見を保ったり、米国が中国による人民元安定化の努力を評価する形で、関税実施を段階的な発動にとどめると、追加関税『一旦の出尽くし』とあいまってリスク選好の展開を招く可能性も残る。

 

英国のEU離脱手法を巡る懸念が継続

英国のEU離脱に向けた会合が8月31日に開催されたが、離脱協定の合意目標とする10月18日のEU首脳会議が迫るなか、最大の難関となっている『将来の英EUの陸上境界となる英国とアイルランドの国境問題』で溝が埋まらなかった。10月にかけては英国のEU離脱に関する手法の協議を巡り、ポンドは一喜一憂の不安定さが継続する。キング前英中銀総裁は『ブレグジットには安楽な境遇はないかもしれないが、世界の終わりになるわけではない』と楽観的な見方を示していた。そして、2018年8月『合意が無い方が悪い合意よりもまし』という持論のメイ英首相は、『合意無き離脱でも、世界の終わりというわけではない』と述べた。そして、持論でもある第2回国民投票の可能性を再び否定している。

 

米国とカナダのNAFTA再交渉の行方に注目

合意期限であった前週末には、乳製品に関するカナダの農業分野の市場開放や協定加盟国間の紛争処理手続きを巡って溝が埋まらなかった。9月5日に再協議となるが、5日に向けては合意困難の観測が広がるとカナダ・ドル安やリスク回避の円高、歩み寄りの期待感が出てくるとカナダ・ドル高やリスク選好の円安が支援されやすい。トランプ米大統領の最終判断は予測不能ながら、米議会は8月31日、カナダ抜きの新協定の承認は難しいと警告した。そのうえでメキシコのみとの2国間協定の承認には、野党・民主党の支持が必要になるとの見方を示している。そのために、メキシコとは一定の歩み寄りが見られている。しかし、カナダとの交渉が決裂すると、メキシコとの2国間合意も米議会の反対で進展が阻まれてしまう。反対に交渉決裂の場合、短期的な日米の株安と円高加速が警戒されるが、円高と同時に対円以外で『安全逃避のドル高』が後押しされやすい。ドル/円は短期的にドル安に振れても、他通貨に対してのドル高がドル/円でのドル下落幅を抑制させる。

 

米国市場では8月ISM製造業景況指数が公表

7月実績は58.1で6月の60.2から低下した。輸入関税が供給額を圧迫する兆候が見られている。7月の新規受注指数は60.2で6月の63.5から低下した。8月については、関税の影響で輸出が圧迫される可能性があることや、投入価格の上昇などが予想されることから、聖慈雨行景況指数は年末にかけてやや低下する可能性がある。

 

欧米イベント

○16:15   8月スイスCPI(予想:前月比横ばい)
○17:30   8月英建設業購買担当者景気指数(PMI、予想:55.0)
○18:00   7月ユーロ圏卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.3%/前年比3.9%)
○18:30   4-6月期南アフリカ国内総生産(GDP、予想:前期比年率0.6%/前年同期比1.0%)
○18:30   ロウRBA総裁、あいさつ
○21:15   カーニー・イングランド銀行(BOE)総裁、ホールデン英中銀金融政策委員会(MPC)委員、テンレイロMPC委員、サンダース英MPC委員、講演
○22:45   8月米製造業PMI改定値(予想:54.5)
○23:00   7月米建設支出(予想:前月比0.5%)
○23:00   8月米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景気指数(予想:57.7)

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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