FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

2018/07/13/15:15:49

日経平均株価:先物主導で株価指数を押し上げ

前日の米国株高や外国為替市場で円安・ドル高が進行したことを受けて、投資家心理の改善により買いが優勢となった。午後に入り、海外ヘッジファンドなどの短期筋が円安進行などを材料に株価指数先物に買いを入れたことで、最低取引で現物株指数を押し上げた。結局、前日比409円高の2万2597円と続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:米中貿易摩擦を巡る過度な懸念が後退

ドル/円は、本邦実需筋などのドル買い・円売りや日経平均株価の大幅続伸に支えられて一時112.77円まで上伸し、約半年ぶりの高値を付けた。米中貿易摩擦をめぐる過度な懸念が後退していることもリスク選好の円売りを誘った。午後は、東京市場の3連休を控えて様子見ムードが広がり、112.60円近辺で小動きとなった。ユーロ/ドルは1.1660ドル前後で大きな方向感が出なかった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

13日にフィッチがトルコの格付けを発表予定

現在のトルコの格付けは、南アフリカと同様のBB+、見通しはネガティブとなっている。金融市場では米中通商摩擦を背景としたリスク回避の動きは大きく後退しているが、格付け発表への警戒感がトルコリラ/円の重石となっている。6月に再選され新たに5年の任期を得たエルドアン・トルコ大統領の強権政治に対し、投資家の警戒感は強まっている。トルコの新財務相に任命されたエルドアン大統領の娘婿、アルバイラク氏は、中銀は独立していると表明した上で、中銀は経済と市場の状況に応じて必要な措置を講じると述べた。アナドル通信が12日に伝えた。同通信によると、新財務相は『中銀の目標に沿ったより予見可能で簡素、かつ断固とした金融政策の実行を支持する』との姿勢を示した。そのため、トルコリラへの警戒感が後退して買い戻す動きとなっている。

 

米国では関税賦課もインフレを一段と押し上げる

FOMCが注視している変動の激しい食料品やエネルギーを除いたコア消費者物価指数(CPI)は前年比+2.3%と、2017年1月以降1年半ぶり高水準となった。11日に発表された6月生産者物価指数(PPI)のコア指数も前年比+2.8%と、2011年9月来で最高となった。関税もまた、インフレを一段と押し上げる。インフレの上昇で、FOMCによる利上げ軌道は正当化される。米国内のインフレが高まってきていることから、輸入物価を抑えるためにも、しばらくの間はドル高に放置する必要がある。そたのめ、全通貨に対してドルが強くなっている昨今でも、トランプ政権内からドル高けん制発言が出ていない。

 

米国のNATO離脱の危機が回避され市場に安心感

北大西洋条約機構(NATO)加盟国が首脳会議で早期の国防支出増加を約束したため、トランプ米大統領は、米国がNATOから離脱する必要はなくなったとの考えを示したことで市場では安心感につながった。NATOは2014年、国防費を国内総生産(GDP)比2%以上に引き上げる共通目標を設定した。しかし、18年時点で目標を達成したのは加盟29カ国のうち、米英など8カ国にとどまっていたため、トランプ大統領はNATOを脱退する可能性を警告していた。

 

米国市場では7月ミシガン大学消費者進退間指数速報値が公表

前回実績は98.2、またCBの6月消費者信頼感指数は126.4で5月実績を下回った。直近の雇用情勢は良好だが、トランプ政権の通商政策に対する懐疑的な見方は残されていることから、7月速報値は6月実績の98.2と同水準か若干下回る可能性がある。

 

欧米イベント

○15:00   6月独卸売物価指数(WPI)
○16:15   6月スイス生産者輸入価格
○19:45   JPモルガン・チェース第2四半期決算
○20:00   カンリフ・イングランド銀行(BOE)副総裁、講演
○21:00   ウェルズ・ファーゴ第2四半期決算
○21:00   シティ・グループ第2四半期決算
○21:30   6月米輸入物価指数(予想:前月比0.1%)
○23:00   7月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、速報値、予想:98.2)
○14日01:30   ボスティック米アトランタ連銀総裁、討議に参加
○欧州連合(EU)財務相理事会
○米英首脳会談(ロンドン)

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欧米タイム直前市場コメント!

2018/07/12/15:16:29

日経平均株価はアジア株上昇でリスク選好の買い優勢

前日NYダウが219ドル安の反落にも値ごろ感を意識した買いが先行した。また、上海や台湾などアジア株上昇を横目に投資家心理が改善し、米中『貿易摩擦』で中国等アジア減速への警戒感がやや後退して輸出関連株中心に見直し買いが入った。結局、前日比255円高の2万2187円で反発して取引を終了した。

 

東京外国為替市場:リスク選好のドル買いが優勢に

ドル/円は、本邦実需筋などのドル買い・円売りや日経平均株価の堅調推移に支えられ、一時112.34円まで上昇した。動向が注目されていた上海総合株価指数がマイナス圏からプラス圏へ転じたことも、リスク選好の円売りを誘った。午後もこの流れが続き、一時112.38円まで値を上げて半年ぶりの高値を付けた。しかし、利益確定売りや持ち高調整のドル売り・円買いも見られ、112.20円台を中心とした狭いレンジでもみ合いとなった。ユーロ/ドルは、1.16ドル台後半で方向感に欠く値動きとなった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

欧州市場ではECB定例理事会の議事要旨が公表(6月14日分)

ECB議事要旨は、開示され始めて歴史が浅いためか、市場は通常さほど目立った動きを示さないことが多い。しかし昨日、利上げ時期への言及で一時ユーロ買いが優勢となる局面もあったため、いつもより神経質に反応することが考えられる。

 

南アフリカの経済対策で企業景況感持ち直すか注目

南アフリカ商工会議所(SACCI)が発表する企業景況感は、ラマポーザ大統領の経済対策への期待から1月に99.7まで上昇したが、その後は一本調子で低下した。10日発表の6月分は93.7と昨年10月以来の低水準となった。南ア議会は6日、『ラマポーザ大統領が2週間以内に、燃料価格の上昇と最近の付加価値税(VAT)の引き上げに対処するための経済対策を発表する』ことを明らかにしており、新経済対策が企業景況感の低下に歯止めを掛けることができるか、来月10-18日に予定される7月分の結果を見定めたいところだ。

 

米中貿易戦争も水面下では改善方向も

米中貿易摩擦が深刻化する可能性が警戒されている。米国のトランプ政権は、2000億ドル相当の中国からの輸入品に追加関税を賦課する計画を発表した。これに対し、中国も早速、報復措置をとると訴えた。ただ、関税で規模的に米国と対抗できない中国は、M&Aの承認を遅らせるなど他の報復措置を検討していると報じられている。中国は人民元を人為的に切り下げることも可能だ。中国人民元は対ドルで急落し、2015年8月以来で最大の下落幅を記録し、ドルを押し上げる一因ともなっている。
警戒感をよそに、貿易論争が改善する兆候も見られる。当初、トランプ大統領は1000億ドル相当の中国輸入品に対して25%の関税を発動するとしていたが、決局2000億ドル相当の輸入品に10%の関税を課す計画に変更した。全体的には方針を緩めた形となった。米中貿易協議が水面下で進んでいる兆候も見られる。米国のサプライヤー業者との取引を禁じられている中国通信機器メーカー、中興通訊(ZTE)が制裁解除に向け一歩前進したと述べた。

 

米国市場では6月消費者物価指数(CPI)が公表

5月実績は前年比+2.8%、コア指数前年比+2.2%と堅調推移となった。エネルギー価格の上昇の影響が出ているとみられる。6月についても原材料価格や家賃代の上昇が続いていることから、6月CPIは前年比+2.9%、コア指数前年比+2.3%と5月実績を上回る見通しとなっている。市場予想と一致した場合、6月のFOMC議事要旨から年4回利上げへの基地アは持続し、ドルの下支え要因となる。

 

欧米イベント

○15:00   6月独消費者物価指数(CPI)改定値(予想:前月比0.1%)
○15:45   6月仏CPI改定値(予想:前月比0.1%/前年比2.1%)
○16:30   6月スウェーデンCPI(予想:前月比0.2%/前年比2.1%)
        コア指数(予想:前月比0.3%/前年比2.3%)
○18:00   5月ユーロ圏鉱工業生産(予想:前月比1.2%)
○20:30   欧州中央銀行(ECB)理事会議事要旨(6月14日分)
○21:00   5月インド鉱工業生産(予想:前年同月比5.2%)
○21:00   5月ブラジル小売売上高指数(予想:前年同月比2.2%)
○21:30   カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、講演
○21:30   5月カナダ新築住宅価格指数(予想:前月比0.1%)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数(予想:22万5000件)
○21:30   6月米CPI(予想:前月比0.2%/前年比2.9%)
      エネルギーと食品を除くコア指数(予想:前月比0.2%/前年比2.3%)
○13日01:15   ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁、講演
○13日02:00   米財務省、30年債(140億ドル)入札
○13日03:00   6月米月次財政収支(予想:982億ドルの赤字)
○ユーロ圏財務相会合

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欧米タイム直前市場コメント!

2018/07/11/15:11:30

日経平均株価は米中貿易摩擦激化を嫌気した売り優勢

米国が中国の知財侵害に対し追加関税2000億ドル(約22兆円)相当6031品目に10%の追加関税リストを公表し米中『貿易摩擦』激化懸念が強まり幅広い銘柄に売りが入った。また、上海総合株価指数が2%超の下落になったことも嫌気された。結局、前日比264円安の2万1932円と4日ぶりに反落して取引を終了した。

 

東京外国為替市場:リスク回避の円買いも下値は限定的

ドル/円は、米中貿易摩擦激化を嫌気して日経平均株価が下げ幅を広げるとドル売り・円買いが先行し、一時110.77円近辺で下落した。しかし、下押しは限定的となり短期筋などがショートカバーを持ち込んだことで111.10円台まで急反発した。午後は、株価にらみの展開となり111.05円前後でのもみ合い相場となった。ユーロ/ドルは、1.17ドル台前半で小動きの展開となった。欧州勢参入待ちの様相となっている。

 

トルコ新政権が金融政策に介入ならトルコ安の可能性も

トルコでは、9日に大統領就任式が行われた。同日に閣僚人事が発表されたが、金融市場からの信任が厚いシムシェキ氏は閣僚から外れた。一方、経済政策の要となる財務省にはエルドアン大統領の娘婿で思想的にも近いアルバイラク氏が就任する。足もとではトルコ経済政策の脆弱なファンダメンタルズを理由に通過リラ安が進むなど建て直しが急務となる。しかし、中銀に利下げ実施を求め、政策への介入も辞さないエルドアン大統領に近い人物が財務相となることへの懸念は高い。また、同日発表された官報では中銀総裁の任期を巡る規定も変更され、大統領の人事介入も可能となる。当面は24日の次回中銀会合に注目が集まるが、『ゼロ回答』が繰り返されればリラ安に傾く可能性が高い。

 

メイ首相の進退でポンド安に一段と拍車

メイ首相が示した離脱後の通商関係を想定する基本方針で合意に達した。しかし、メイ首相のビジネスフレンドリーなソフトブレグジットに反発し、政権内の中核的存在であったデービッド・デービス欧州連合(EU)離脱担当相、ボリスジョンソン外相が相次いで辞任を表明した。そのため、主要閣僚の辞任で離脱交渉の行方が一層不透明になるほか、メイ政権の基盤がさらに揺らぐ可能性が警戒された。そのため、メイ首相が辞任に追い込まれるとの警戒感も根強い。万が一、メイ首相が辞任した場合、新たに選出された首相がメイ首相と逆のEUに対して強硬派姿勢をとり、ハードブレグジットを主張する可能性が強まる。こうなると、ポンド安に一段と拍車がかかる。ただ、今のところ、メイ首相の政治的地位は確保されている模様である。

 

米労働参加率の上昇は遅行して賃金上げにつながる

前週末の米6月雇用統計は市場予想を上回る増加となったが、失業率や平均時給は市場予想より悪化した。もっとも失業率が18年ぶり低水準である3.8%から4.0%へと上昇悪化となったのは、『底堅い労働市場を背景に、より多くの人が職を探し始めたことが要因』と見られている。実際労働参加率は62.9%と前月の62.7%から上昇し、3月以来の高水準を回復した。平均失業期間は21.2週と3ヵ月連続で減少(前月は21.3週)だった。2012年の40週超えを最悪ピークとした改善の減少が続き、2009年3月以来の低水準へと短縮化されつつある。過去実績として労働参加率の上昇と失業期間の減少はタイムラグを経て平均賃金の底上げに波及し、為替市場でもドル安抑制やドル高につながる相関性がある。

 

欧米イベント

○16:00   ドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
○16:30   プラートECB専務理事、講演
○未定   ポーランド中銀、政策金利発表(予想:1.50%で据え置き)
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○21:00   メルシュECB専務理事、講演
○21:30   6月米卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.2%/前年比3.2%)
      食品とエネルギーを除くコア指数(予想:前月比0.2%/前年比2.6%)
○23:00   カナダ銀行(BOC、中央銀行)、政策金利発表(予想:1.50%に引き上げ)
○23:00   5月米卸売売上高(予想:前月比0.5%)
○23:00   5月米卸売在庫(予想:前月比0.5%)
○23:30   EIA週間在庫統計
○12日00:15   ポロズBOC総裁、記者会見
○12日00:35   カーニー・イングランド銀行(BOE)総裁、講演
○12日02:00   米財務省、10年債(220億ドル)入札
○12日05:30   ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、講演
○北大西洋条約機構(NATO)首脳会議(ブリュッセル、12日まで)

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欧米タイム直前市場コメント!

2018/07/10/15:16:08

中国のインフレ指標:過度な懸念は後退

中国国家統計局が発表した5月消費者物価指数(CPI)は前年同月比1.9%上昇となり、市場予想通りとなった。また、5月生産者物価指数(PPI)は前年同月比4.7%となり、市場予想の4.5%上昇を上回った。

 

日経平均株価は米国株高や円安進行を好感

前日のNYダウが320ドル高続伸したことや1ドル=111円台前半の約1ヵ月半ぶり円安を好感して採算改善期待から輸出関連株に買いが入ったものの、3日続伸で利益確定売りが重石となり引けにかけて上げ幅を縮めた。結局、前日比144円高の2万2196円と3日続伸して取引を終了した。

 

東京外国為替市場:株高を好感してドル買い・円売り優勢

ドル/円は、本邦実需勢などのドル買い・円売りや日経平均株価の上げ幅が200円を超えたことにに支えられ、111.05円近辺はじり高となった。米長期金利が上昇したことも、ドルの支援材料となった。午後もこの流れは続き、アジア主要株価の落ち着きをながめてさらにドル買い・円売りが進み111.20円付近まで上昇した。ユーロ/ドルは、前日にドラギECB総裁が早期の利上げに改めて慎重姿勢を示したことで、持ち高調整などのユーロ売り・ドル買いが入り1.1740ドル付近へ軟化した。

 

第二弾の対中制裁関税の発動には注意

週明けの上海総合指数が2%超大幅続伸となる中、人民元は買い戻しが先行した。先週末の終値1ドル=6.63元から6.62元前後まで人民元高が進んだ。米中関税合戦の第一弾が終了したことで悪材料の出尽くし感で、大幅の中国株安・人民元安に反動が入っている。ただ、トランプ米大統領は2週間後に第二弾の対中制裁関税の発動や、その後の制裁規模拡大などを示唆するなど、米中貿易摩擦の激化懸念は払拭されていない。現在のところ関税合戦の悪影響は深刻と思われていあにが、トランプ大統領が脅迫したように関税対象を最終的に5000億ドルまで増やされる可能性が強まれば、本格的な貿易戦争が勃発する。

 

10-16日にトランプ大統領訪欧で米中通商摩擦は小休止か

トランプ大統領が欧州訪問中の今週11-12日、ブリュッセルで開催されるNATO(北大西洋条約機構)首脳会議に出席する。加盟各国に対し、国防費増額は要請する構えとなっている。米政府による6月からの欧州自動車に対する輸入関税増強のブラフは、『国防費増額との駆け引き材料』の側面もあった。その意味で今週からのトランプ大統領訪欧では、欧州との通商摩擦に関して一定の歩み寄りがあるか注視される。米欧の通商摩擦が肥やすとなれば、ユーロ高やリスク選好によるクロス円での円安が支援される。

 

週末から4-6月期の米企業決算が本格化

米国株式市場では、今週末から4-6月期の決算発表が本格化する。通商摩擦や世界減速懸念、ドル高などもあり、収益見通しの減速リスクがドル安やリスク回避の円高材料として警戒されている。その反面、米国株市場はこうした悪材料を織り込む形で、6月から調整下落となってきた。その意味で実際の決算発表では、複合リスクによる打撃が『まだ尚早』という、打たれ強さへの期待感も消えていない。3-5月期決算企業の発表が散見されているが、情報技術コンサルティング大手アクセンチュアやスポーツ用品大手のナイキなどが良好な決算内容を打ち出し、両社の株価ともに上昇するという前向きな先行シグナルが見られている。

 

欧米イベント

○15:00   6月ノルウェーCPI(予想:前月比0.5%/前年比2.4%)
○15:45   5月仏鉱工業生産指数(予想:前月比0.7%)
○17:30   5月英鉱工業生産指数(予想:前月比0.5%)
      製造業生産高(予想:前月比0.9%)
○17:30   5月英貿易収支(予想:120億ポンドの赤字)
○18:00   7月独ZEW景況感指数(予想:▲18.0)
○18:00   7月ユーロ圏ZEW景況感指数
○21:15   6月カナダ住宅着工件数(予想:21万件)
○21:30   5月カナダ住宅建設許可件数(予想:前月比2.0%)
○11日02:00   米財務省、3年債(330億ドル)入札
○11日02:00   ラウテンシュレーガー欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演

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欧米タイム直前市場コメント!

2018/07/09/15:12:52

日銀地域経済報告:全ての地域で景気判断据え置き

日銀が9日公表した7月の地域経済報告(さくらレポート)では、各地域の景気の総括判断をみると、6地域(北陸、関東甲信越、東海、近畿、中国、九州・沖縄)で、『拡大している』、『緩やかに拡大している』としているほか、3地域(北海道、東北、四国)では、『緩やかな回復を続けている』等としている。この背景をみると、海外経済の着実な成長に伴い、輸出が増加基調にある中で、労働需給が着実に引き締まりを続け、個人消費が改善するなど、所得から支出への前向きな循環が続いていることが挙げられている。
 前回(2018年4月時点)と比較すると、全ての地域で総括判断に変更はないとしている。この間、近畿では『一部に地震の影響がみられるものの、緩やかに拡大している』としている。

 

日経平均株価:アジア株が堅調推移したことで買いが優勢に

前週末NYダウが続伸したことを受け電子部品など好業績銘柄中心に幅広く買いが先行した。上海総合株価などアジア株が堅調に推移したことも短期筋の先物買戻しが入り投資家心理を改善させ一時上げ幅は300円超となった。結局、前週末比264円高の2万2052円と大幅続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:株価上昇でドルの下値も限定的

ドル/円は、米中貿易摩擦をめぐる先行き不透明感から持ち高調整などのドル売り・円買いが入り一時110.35円まで軟化した。しかし、日経平均株価や上海総合株価指数が堅調推移したことから下押しは限定的となり110.45円付近に切り返した。午後は、株価をにらみながら110.45円前後でもみ合いとなった。本邦実需筋の売り買いは午前で一巡したこともあり、商いは薄くなった。ユーロ/ドルは、1.1765ドル付近で動きの展開となった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

米中貿易戦争勃発でも市場は冷静を保ったが

米中貿易戦争が本格的に始まり、世界経済には大きなインパクトを与えるが、株式市場も為替市場も根拠なき楽観状態となっている。しかし、この静けさは長く続かない可能性がある。6日に米国が予定通り中国からの輸入品340億ドル相当に関税を発動させ、中国も同程度の報復関税を導入しても数ヶ月前から対中関税が予想していたため、ほとんど驚きがなかった。ただ、トランプ大統領は先週、最終的に5000億ドル相当の中国からの輸入品に関税を課す可能性があると述べた。これは実質的に中国からの全ての輸入が関税対象となる。世界にとって厳しいシナリオは、企業投資と消費者支出の縮小による需要低下が、他の国にも貿易小へ行き拡大を促し、保護主義強化と成長鈍化の悪循環が生まれる可能性があることだ。

 

米国債の利回りの平坦化が継続:景気悪化の前兆

米長期金利は低下し、節目の3%からますますかい離している。米中間の貿易戦争激化の様相を受け、市場参加者は米国債相場の一段の上昇を見込んでいる。米10年債相場は週ベースで4週連続上昇した。今年に入って最長の値上がりを記録した。利回りは2.82%と、5月半ばに記録した約7年ぶり高水準の3.13%から大きく低下した。引き続き米国債に資金を逃避させ、保護主義による市場混乱リスクをヘッジする公算が大きい。米国債の利回り曲線の平坦化が続いており、動向に注目が集まっている。2年債と10年債の利回り格差は11年ぶりで最小となった。万が一、長短金利の利回りが逆転下場合、景気後退の前兆となると、FOMC高官やエコノミストが警戒しており、ドルのう姉を抑制する要因にもなる。

 

週末からの米国企業決算の動向に注目

今週末から米国株市場で決算発表が本格化する。米国株は6月以降、通商摩擦懸念や世界減速リスクなどで調整下落となってきた。その中で決算発表で『現段階で打たれ強さ』が示されると、米国株の上昇とクロス円主導の円安、リスク回避後退による全般ドル安の圧力が支援される。反対に通商摩擦などの収益影響が顕在化してくると、米株の一段安リスクが警戒される。ドル安やリスク回避の円高を促す波乱余地も残っている。

 

欧米イベント

○14:45   6月スイス失業率(季節調整前、予想:2.3%)
○15:00   5月独貿易収支(予想:202億ユーロの黒字)
○15:00   5月独経常収支(予想:198億ユーロの黒字)
○16:50   ブロードベント・イングランド銀行(BOE)副総裁、講演
○20:00   ノボトニー・オーストリア中銀総裁、講演
○22:00   6月メキシコ消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.30%)
○22:00   ドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
○10日04:00   5月米消費者信用残高(予想:125億ドル)
○ブラジル(護憲革命記念日)、休場

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