FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

2018/09/19/15:12:21

日経平均株価:米中貿易摩擦激化への過度な懸念後退で買い優勢

前日の米国株が大きく上昇し、市場心理が改善した。米中貿易摩擦への過度な懸念が和らいだとして『中国関連』が多いとされる機械株などに見直し買いが入り、相場を押し上げた。また、外交為替市場で円安・ドル高となったことも下支えとなった。短期筋による先物の買いも相場を押し上げた。市場では『海外の短期筋には20日投開票の自民党総裁選で安倍首相の3選が決まれば一段と株価上昇を後押しするとの期待がある』との指摘もあった。結局、前日比251円高の2万3672円と4日続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:ドル/円は大方112.30円でもみ合う展開

ドル/円は、短期筋などの利益確定売りが先行し一時112.23円まで下げた。しかし、日経平均株価が大幅高となったことから下押しは限られ112.30円台でもみ合う展開となった。日銀金融政策決定会合では、現状維持を賛成多数で決定したものの、市場の反応は限られた。午後は中国の李克強首相が『中国の一部製品に対する輸入関税の引き下げをさらに進める』と発言したことが好感され、112.43円まで上昇した。しかし、節目となる112.50円が意識されると持ち高調整などのドル売り・円買いに押し戻された。その後は15:30に予定されている黒田日銀総裁の記者会見を控えて様子見ムードが広がった。ユーロ/ドルは、1.16ドル台後半で方向感の乏しい展開となった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

米中貿易摩擦激化で米長期金利上昇の火種も

米国政府による追加関税発表を受け、米中貿易協議において中国は当初予定していた劉鶴福首相率いるハイレベルの代表団ではなく、次官級レベルの代表団を送ることを検討しているという。そうなった場合、貿易摩擦問題の解決がさらに遠のくことになる。 中国のレバレッジは、米国に比べ低い。報復の手段としては、人民元の切り下げや、米国債の購入を控えることなどが考えられる。 米国の財務省が18日に発表した最新7月の対米証券投資収支によると、中国の米国債保有額は77億ドル減少し1.17兆ドルと、6カ月ぶりの低水準となった。一方、日本の米国債保有額は51億ドル増加し、1.04兆ドルとなった。外国人投資家による米国債保有率は41.44%。前年同月の44.31%から低下した。 外国人投資家による米国債購入が控えられることは、長期債利回りの上昇にもつながり、長短利回り曲線の平坦化の改善にもつながる。

 

日米の通商交渉を控えてトランプ大統領の発言に注意

日米の通商交渉では、21日に閣僚級の第2回協議が調整されている。その後はNY国連総会の場で9月末に日米首脳会談が予定されており、それまではトランプ米大統領の恫喝けん制や、円安阻止に向けた為替条項の盛り込み圧力を含めて、円高と日本の株安要因として警戒される。ただし、米国が要求する日米2国間の自由貿易協定には、是非を含めた交渉に相応の時間を要する。そのため月末の首脳会談では、安倍首相が米国からの農産物・シェール資源・防衛装備品の購入や米国でのインフラ整備の協力、日本企業による米国現地生産の拡充などで『最大限の努力検討』を約束。具体策や2国間協定の協議入りなどは先送りさせつつ、トランプ氏の中間選挙対策に花を持たせながら、圧力緩和を講じる可能性がある。

 

米財政赤字1兆ドルは懸念すべきか

10月に米国の会計年度が始まる。議会の奇跡的な行動がなければ、年間1兆ドル規模の財政赤字が復活することになる。公的債務は、9月末の15兆7000億ドル、国内総生産(GDP)比78%から、10年後には28兆7000億ドル(同96%)に増加することになる。米議会予算局(CBO)によるこの予想は、経済成長率、インフレ率、雇用および金利に関する妥当な想定に基づいているが、幾つかの重要事項を含んでいない。米国土木学会は2025年までに1兆4000億ドルのインフラ投資が必要としている。

 

米国市場では8月の住宅着工件数が公表

参考となる7月実績は116.8万件で6月実績を上回ったが、126.4万件程度に届かなかった。8月については先行指標である住宅着工件数は、7月分が前年比+1.5%の増加となり、4ヵ月ぶりにプラスに転じた。そのため、7月実績を上回ると予想される。ただ、米国では住宅建設に関連した建築資材、建築、労働賃金のコスト上昇傾向にある。不動産価格も上昇傾向が続いていおり、住宅着工にマイナス要因となる。高齢化の進展や移民制限などもあって、米国の住宅指標が伸び悩むリスクも残る。

 

欧米イベント

○17:00   8月南アフリカ消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.2%/前年比5.2%)
○17:00   7月ユーロ圏経常収支(季節調整済み)
○17:00   ホールデン英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○17:30   8月英CPI(予想:前月比0.5%/前年比2.4%)
      小売物価指数(RPI、予想:前月比0.6%/前年比3.2%)
○17:30   8月英卸売物価指数(PPI、食品とエネルギーを除くコア指数、予想:前年比2.1%)
○18:00   7月ユーロ圏建設支出
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○21:30   4-6月期米経常収支(予想:1035億ドルの赤字)
○21:30   8月米住宅着工件数(予想:123万5000件、前月比5.7%)
        建設許可件数(予想:131万件、前月比0.5%)
○22:00   8月ロシア失業率(予想:4.7%)
○22:00   ドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
○23:30   EIA週間在庫統計
○20日06:00   ブラジル中銀、政策金利発表(予想:6.50%で据え置き)
○欧州連合(EU)非公式首脳会議(オーストリア・ザルツブルク、20日まで)

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欧米タイム直前市場コメント!

2018/09/18/15:16:37

日経平均株価:短期的な材料出尽くしよる買い優勢

トランプ米政権が対中制裁関税第3弾の発動を発表したが、年内の関税上乗せ幅が10%にとどまったこともあって『短期的には悪材料出尽くし』との受け止めが広がった。また上海総合株価指数が小動きで始まったことで、短期筋の買いを誘った。一時300円超に上げ幅を広げた。結局、前営業日比325円高の2万3420円と大幅3日続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:日本株高で全般円売り傾向

ドル/円は、トランプ米政権による対中制裁関税第3弾の発動がリスク回避の円買いを誘った。しかし、日経平均株価が上げ幅を拡大すると、ショートカバーが持ち込まれて111.90円台へ反発した。その後、上海総合株価指数がマイナス圏から一時プラス圏に転じたことも、円売りにつながった。午後もこの流れが続き、日経平均株価の大幅高を眺めてさらにドル買い・円売りが進み、112.02円までじり高となった。ただ、前日の海外市場でつけた高値112.11円が上値の節目として、利益確定売りも見られ112円を挟んだもみ合いとなった。ユーロ/ドルは、イタリアの財政問題を巡る過度な懸念の後退で、持ち高調整などのユーロ買い・ドル売りが入り1.117ドル付近へ上げた。

 

中間決算の再投資に期待が膨らむ

25日に配当権利付き最終日を向かえ翌26日が配当落ち日となる。25日の大引け値、もしくわ26日寄り近辺では、日経平均型で1000億円強、TOPIX日経400型で400億円のどの配当の再投資需要が想定される。合計では約4700億円となる。また、MACI型を含めると、7000億円程度まで膨らむ可能性がある。GPIFなどから再投資による新規買いが入ってくることが見込まれ市場の期待が膨らむ。

 

米中貿易摩擦激化の一途

トランプ米政権が第3弾の対中制裁の発動方針を表明したことを受け、中国も近く報復措置の発動を正式に発表する見通し。年間600億ドル(約6兆7000億円)相当の米製品に追加関税を課す方針を既に表明しており、米国と同時に実施に踏み切ると見られる。対象は食料品や金属部品など計5207品目で、品目により5~25%の関税を上乗せする。中国は繰り返し、米国が新たな制裁に踏み切れば『必要な反撃措置を取る』(商務省報道官)とけん制してきた。追加関税以外の報復手段として、米国の産業には重要な部品の対米輸出を制限することなども検討している模様。

 

米国市場では9月NAHB住宅市場指数が公表

米国の住宅市場では価格上昇のほか、販売側の在庫不足が重石となってきた。9月には長期金利も上昇となっており、住宅市場は改善ペースの鈍化が警戒される。一方で、米国では9月に雇用統計や平均賃金が改善した。米国株も持ち直しており、資産効果とあいまって家計環境は良好さが持続されている。若年層の雇用の質改善と独立の増加、減税効果、9月の新学期要因による引越し需要などもあり、改めて住宅市場指数が打たれ強さを示す可能性も残る。

 

欧米イベント

○16:00   ビルロワ・フランス中銀総裁、ドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
○16:30   8月スウェーデン失業率(予想:5.8%)
○21:30   7月カナダ製造業出荷(予想:前月比0.6%)
○23:00   9月全米ホームビルダー協会(NAHB)住宅市場指数(予想:66)
○19日05:00   7月対米証券投資動向
○第73回国連総会開会(ニューヨーク)

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欧米タイム直前市場コメント!

2018/09/13/15:13:15

日経平均株価:米中貿易摩擦への過度な警戒感後退で買い優勢

米中貿易摩擦への過度な警戒感が和らぎ、建設機械など中国関連株への買いが先行した。週末に9月メジャーSQ算出に向けて相場を一定の水準に押し上げたいとの思惑を持つ海外ヘッジファンドによる日経先物買いの動きもみられ、ソフトバンクなどの値がさ株への裁定買いにつながった。上げ幅は一時254円に広げた。結局、前日比216円高の2万2821円と反発して終了した。

 

東京外国為替市場:欧米市場イベントを控え小動きの展開

ドル/円は、米中通商協議の再開を期待したドル買い・円売りが優勢となり、111.46円まで上昇した。日経平均株価が寄り付き後に上げ幅を拡大したこともあり、リスク選好の円売りが強まった。ただ、前日に発表された米8月PPIが予想外に低調だったこともあり、利食い売りなどで111.30円台へ小幅下げた。午後は111.40円台を中心とした狭いレンジでのもみ合いが続いた。今晩予定されているトルコの金融政策会合や米消費者物価指数(CPI)を見極めたいとのムードが広がり動きの鈍い展開となった。ユーロ/ドルは、今晩のECB定例理事会を控えて1.16台前半で方向感の欠く展開が続いた。欧州勢待ちの予想となっている

 

欧州市場ではECB理事会が開催

前回(7月26日開催)の理事会では年末までに債券買い入れ策を終了させる方針を伊jいし、少なくとも2019年夏までは過去最低の金利水準を維持するとの見通しを提示した。ドラギECB総裁は前回の記者会見で『ユーロ圏経済は底堅く裾野の広い成長軌道に沿って推移している』との見解を示した。インフレ見通しについては、『基調インフレは年末にかけて持ち直し、中期的には徐々に伸びる見通し』と指摘した。インフレ見通しについての総裁の見解は変わっていないことから、ECB理事会では金融政策の現状維持と低金利政策を1年程度維持する方針が再度定時される見込み。

 

英国のEU離脱後は測位衛星も利用停止

英国がEU離脱後に、EU に所属していることを享受できる恩恵の一部を、離脱後も受け続けることが困難であることを指摘するユンケル欧州委員長の言葉が伝えられている。ユンケル委員長は、そのなかで自由貿易圏としてのアクセス維持以外に、EUの測位衛星システムを使えなくなる懸念を述べた。メイ英首相は独自の衛星開発に動き始めているが、ユンケル委員長はガリレオに匹敵する衛星の開発は難しいとしている。

 

米国の借入れ急増のリスク

米ワシントンポスト紙は、米経済が堅調でありにも関わらず、政府の借入れが急増していることに警鐘を鳴らす記事を掲載した。米与野党の議員は、経済を押し上げるため、財政赤字を促進するような提案を行っており、赤字が異例な水準まで膨らんでいる。米議会予算局は今週、過去11ヵ月に得た税金などの収入を、8950億ドル上回る額の支出があったと述べた。これは1年前より33%の支出増となる。昨年議会を通過した積極的な税制改革案により、過去合意で決議し、軍事と国内政策の双方に資金を注ぎ込み、急激な支出水準の上昇を招いた。赤字穴埋めのための債務の雪だまる式の増加だけでなく、金利上昇によっても債務コストが上昇すると考えられる。これは将来の盛大に大きな財政負担を残すことを意味するとしている。

 

米8月生産者物価指数(PPI)は予想外のマイナス

米労働省が発表した8月のPPIは前月比▲0.1%と、上昇予想に反して、予想外に昨年2月来のマイナスに落ち込んだ。前年比では+2.8%となり、市場予想の前年比+3.2%を下回り、4月来で裁定となった。FOMCが注視している変動の激しい食品とエネルギーを除いたコア指数は前月比▲0.1%と、上昇予想に反して昨年12月来のマイナスとなった。前年比では+2.3%となり、予想外に7月+2.7%から低下し、4月来の低水準となった。ただ、食品・エネルギー取引サービスを除いたPPIは前年比で+2.9%と、7月の前年比+2.8%から上昇した。少なくとも4年ぶりで最高となった。

 

米国市場では8月消費者物価(CPI)コア指数が公表

8月消費者物価コア指数は、25-26日開催のFOMCに向けた最終の点検材料で、想定通りなら9月利上げを織り込む展開となりそうだ。参考となる7月実績は前年比+2.4%、主に家賃、輸送サービス価格が上昇した。8月はどう項目における価格上昇が予想されることから、物価転嫁の動きは広がっていないが、雇用市場における需給関係はひっぱくしつつあり、コスト増を価格に転嫁するケースが増える可能性がある。

 

欧米イベント

○15:00   8月独消費者物価指数(CPI)改定値(予想:前月比0.1%)
○15:45   8月仏CPI改定値(予想:前月比0.5%/前年比2.3%)
○16:15   8月スイス生産者輸入価格(予想:前月比横ばい)
○16:30   4-6月期スウェーデン国内総生産(GDP)改定値(予想:前期比0.9%)
○20:00   英中銀金融政策委員会(MPC)2日目、終了後政策金利発表(予想:0.75%で据え置き、資産買取プログラムは4350億ポンドで維持)
○20:00   MPC議事要旨
○20:00   トルコ中銀、政策金利発表(予想:22.00%に引き上げ)
○20:45   欧州中央銀行(ECB)定例理事会、終了後政策金利発表(予想:0.00%に据え置き)
○21:00   7月ブラジル小売売上高指数(予想:前年同月比1.2%)
○21:30   ドラギECB総裁、定例記者会見
○21:30   7月カナダ新築住宅価格指数(予想:▲前月比0.1%)
○21:30   8月米CPI(予想:前月比0.3%/前年比2.8%)
      エネルギーと食品を除くコア指数(予想:前月比0.2%/前年比2.4%)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数(予想:21万件)
○14日02:00   ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演
○14日02:00   米財務省、30年債入札
○14日03:00   8月米月次財政収支(予想:1565億ドルの赤字)

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欧米タイム直前市場コメント!

2018/09/12/15:13:41

日経平均株価:半導体中心に売りが優勢

前日の米国株式市場で半導体株指数の下げが嫌気され、半導体関連株を中心に売りが出た。前日に大きく上昇した後とあって、短期筋の株価指数先物に継続的な売りをだしたことも相場の下押しとなった。ただ、今週末のSQ算出を控えたヘッジファンド等の思惑的な買いに下げ幅を縮めた。結局、前日比60円安の2万2604円と3日ぶりに反落して終了した。

 

東京外国為替市場:明日にイベントを控え様子見ムード強い

ドル/円は、米中貿易摩擦が激化するとの懸念からポジション調整などのドル売り・円買いが持ち込まれ111.46円まで下落した。日経平均株価が朝高後に失速したことや上海総合株価指数が軟調だったこともリスク回避の円買いを誘った。午後はアジア株の動向をにらみながら111.50円前後で取引された。明日のトルコ金融会合やECB理事会などのイベントを控えて様子見ムードが強く、薄商いだった。ユーロ/ドルは、1.15ドル台後半で小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

13日のトルコ中銀政策会合への楽観論は禁物

7月以降の国際金融市場ではトルコリラの急落をきっかけに『トルコ・ショック』とも呼べる混乱が続き、早期に収束出来るか否かに注目が集まっている。経済のファンダメンタルズの脆弱さに加え、対米関係悪化も重なり資金流出圧力が強まり、リラ安の進展は対外債務の負担増加を通じて経済の重石となる懸念もある。4-6月期の実質GDP成長率は内需が幅広く鈍化して減速し、先行きも一段と減速感を強める可能性は高い。 金融市場では13日に開催される次期定例会合の行方に注目が集まる。今月3日に中銀は突如『物価安定に必要な対応を取る』旨の声明を発表し、市場では利上げ観測が強まっている。ただし、声明は期待値のハードルを上げた可能性もあり、中途半端な対応は失望を招くリスクも残る。財務相が掲げる『財政政策の強化』の方向性も不透明であり、中銀が如何なる答えを提示するか、現時点で過度な楽観視は禁物である。

 

スペイン北東部のカタルーニャ州の独立気運高まる

昨年、スペインからの独立の是非を問う住民投票を行い、政府と激しく対立したカタルーニャ州で、およそ100万人が独立を訴えてデモ行進を行い、再び双方の対立が強まる懸念も出ている。スペイン北東部のカタルーニャ州では、昨年10月、独立の是非を問う住民投票の結果を受けて州議会が一方的にスペインからの独立を宣言し、これに対して中央政府は州の自治権を停止したうえで、幹部を解任し、議会も解散させた。
カタルーニャ州の中心都市バルセロナでは、11日、スペインからの独立と、国家反逆罪に問われて拘束されている州の元幹部の解放などを求めるデモ行進が行われた。

 

米国の平均賃金上昇はドル高トレンドを持続

米国では前週末の8月雇用統計が改善したほか、平均賃金は前年比+2.9%と2009年6月以来の高い伸びを記録した。米FRBによる利上げ継続と、ドルの下限切り上がりが支援されやすい。長期間の統計記録が残る『時間あたり平均賃金・名目前年比』も+2.8%となり、2009年7月以来のプラス幅になってきた。同統計では前回の悪化局面のあと、2005年7月から現在と同じ+2.8%を超えてきた。当時のドル/円は同月ドル安値の109円前後から、賃金が+4.2%と改善ピークをつけた2007年6月の124円方向までドル高トレンドが持続した実績を有している。その前では1995年6月から+2.8%を突破したが、ドル/円は同月ドル安値83円前後からドル高モメンタムが点火した。賃金上昇は1998年6月の+4.3%で天井をつけたが、その2カ月後にあたる同年8月の147円方向までドル高基調が継続されている。

 

25日の日米首脳会談までは日本への貿易圧力が強まる

米トランプ政権による貿易赤字削減に向けた対外通商攻勢の行方だ。前週末にはトランプ米大統領が中国の輸入製品に対し、2000億ドル(約22兆円)相当の関税強化の準備進展を示したほか、『私が望めば追加で2670億ドル(約29兆円)相当の関税をすぐに科す用意がある』と波状攻撃の可能性を示唆した。さらに日本に対しても、対米貿易黒字の削減に向けた威嚇圧力を始動させている。25日の首脳会談では、安倍晋三首相が米国からの農産物・シェール資源・防衛装備品の購入や米国でのインフラ整備の協力、日本企業による米国現地生産の拡充などで「最大限の努力検討」を約束。具体策や2国間協定の協議入りなどは先送りさせつつ、トランプ氏の中間選挙対策に花を持たせながら、圧力緩和を講じる可能性がある。

 

欧米イベント

○18:00   7月ユーロ圏鉱工業生産(予想:前月比▲0.5%)
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○20:00   7月南アフリカ小売売上高(予想:前年同月比1.3%)
○21:00   7月インド鉱工業生産(予想:前年同月比6.6%)
○21:30   4-6月期カナダ設備稼働率(予想:86.9%)
○21:30   8月米卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.2%/前年比3.2%)
      食品とエネルギーを除くコア指数(予想:前月比0.2%/前年比2.7%)
○22:40   ブラード米セントルイス連銀総裁、講演
○23:30   EIA週間在庫統計
13日01:45   ブレイナード米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○13日02:00   米財務省、10年債入札
○13日03:00   米地区連銀経済報告(ベージュブック)
○英中銀金融政策委員会(MPC、13日まで)

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欧米タイム直前市場コメント!

2018/09/11/15:12:31

日経平均株価:自然災害に対する過度な警戒感緩和で買い戻し

国内の自然災害に対する過度な警戒感の後退が買い安心感につながり、日経先物を中心に海外投資家の買い戻しが膨らんだ。また、前日の海外株が堅調な中でも半導体関連を中心にハイテク株の上昇が好感された。心理的な節目の2万2500円を上抜けした。結局、前日比291円高の2万2664円と続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:日本株高で111円半ば近辺まで円安進行

ドル/円は、英国のEU離脱交渉に楽観的な見方が浮上していることや日経平均株価が上げ幅を拡大したことに支えられ一時111.48円まで上昇した。国内企業による米半導体大手メーカーの買収に関する報道が伝わったことも、ドル/円を押し上げた。ただ、心理的節目となる111.50円近辺では、ドル売り・円買いが厚く押し戻された。午後は日経平均株価や上海総合株価指数をにらみながら111.40円台を中心とした狭いレンジ相場となった。ユーロ/ドルは、イタリアの財政問題を巡る過度な懸念の後退で、持ち高調整などのユーロ買い・ドル売りが入り一時1.1612ドルまでじり高となった。

 

中国の対米貿易摩擦の激化に伴う影響を警戒

昨年以降の中国景気の持ち直しの動きには、世界経済の自律回復に伴う外需拡大が一助になってきた。しかし、足もとでは米中貿易摩擦の激化に伴う悪影響が警戒される。貿易制裁の影響が懸念された8月の輸出額は前年比+9.8%とプラス維持したが、頭打ち感は強まっている。米国向けは輸出前倒しの動きが押し上げにつながる一方、今後の制裁拡大を懸念する動きがみられる。一方の輸入額は前年比+20.0%と高い伸びが続くも、素材・部材関連の輸入に下押し圧力が掛かった。なお、貿易制裁にもかかわらず対米黒字幅は拡大しており、米トランプ政権は一段と態度を効果する可能性が高い。8月のインフレ率は前年比+2.3%に加速し、対抗措置に伴う資料価格上昇は家畜関連で物価上昇を招いている。商品市況の上昇や人民元に伴う価格転嫁の動きも広がり、徐々にインフレ圧力が強まると見込まれる。

 

米国経済は依然強い:ゴールドマン・サックスレポート

ゴールドマン・サックスは10日付の『さらなる成長、さらなる関税、さらなる利上げ』と題するリポートで『より大きなイメージは、米国の経済成長が依然として強いことである』と指摘した。8月の米雇用統計や米ISM製造業・非製造業景況感指数を踏まえながら『雇用統計で平均時給が前年同月比+2.9%増えたことの重要性を市場は過小評価している』などと指摘した。その上で、トランプ政権が追加の関税措置を発動すると見込まれることについて『既に発動したものよりも必然的に消費財に向けて焦点が移っており、コアインフレ率の出発点が高くなっている。2670億ドルの追加関税と自動車関税で追加引き上げが行われる場面、コアPCE指数への影響は最悪のケース2000億ドルの対中追加関税の3倍となるだろう』と市指摘した。これらの要因を踏まえ『2019年末までにFRBがさらに6回の利上げを行うと予想することについて、我々は依然カンファタブルなままだ』と締めくくった。

 

13日の英国中銀金融政策委員会を開催

8月に利上げを実施したばかりであるほか、EU離脱の手法を巡るEUとの協議難航や通商摩擦懸念などもあって、追加利上げへの慎重姿勢が想定される。為替市場ではポンドの戻り売りが支援されやすい。

 

13日ECB定例理事会を開催

通商摩擦懸念や中国を始めとした新興国の減速不安、イタリアの政治財政不透明感などにより、先行きの景気・物価見通しや利上げ時期への慎重さが予想される。理事会の前段階にかけては、ユーロの戻り売り圧力を高める。ただし、ECBの慎重姿勢は、一定の織り込みも進捗している。ECBについては『ドラギWCB総裁の任期満了となる2019年10月までに1回は利上げを行う』という観測も消えていない。改めて緩和出口軌道の堅持と1年以内の利上げの可能性が示唆されると、材料出尽くしなり、短期的にユーロが買い戻される可能性もある。

 

13日トルコ中銀政策会合を開催

すでに3日の同国8月消費者物価指数(CPI)が前年比+17.9と約15年ぶりの高い伸び率となったことで、直後にトルコ中銀は『次回会合では物価安定を支援するために必要な対応をとる方針』と表明した。実際にインフレ抑制と市場安定化につながるような大胆な施策が講じられると、短期調整的なトルコリラの上昇やリスク選好の円安が支援される。ただし、大幅利上げトルコ経済の一段の悪化につながる。しかもトルコ経済の深刻な窮状は、中銀による1回の政策会合だけで改善するほど簡単ではない。13日の中銀会合の直前や直後には短期調整的なリラ買い戻しが入っても、根強い戻り売り圧力に押される可能性もある。

 

欧米イベント

○17:30   8月英雇用統計(失業保険申請件数推移1万件/失業率)
○17:30   5-7月英失業率(ILO方式、予想:4.0%)
○18:00   9月独ZEW景況感指数(予想:▲14.0)
○18:00   9月ユーロ圏ZEW景況感指数
○21:15   8月カナダ住宅着工件数(予想:21万300件)
○23:00   7月米卸売売上高(予想:前月比0.3%)
○23:00   7月米卸売在庫(予想:前月比0.7%)
○12日02:00   米財務省、3年債入札
○北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉の米加2国間協議
○東方経済フォーラム(ロシア・ウラジオストク、13日まで)

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