FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

2018/10/19/15:24:30

中国7-9月期GDPは貿易摩擦の影響から減速傾向

中国政府が発表した2018年7-9月期の国内総生産(GDP)伸び率は市場予想を下回り、景気減速が確認される結果となった。中国国内での投資減に加え、消費の弱さが響いている。来年にかけて米中貿易摩擦の影響が実体経済にも鮮明に表れてくると考えられ、景気の減速傾向が続く可能性がある。日本企業にとっても自動や電子部品関連の需要落ち込みが懸念される。同時に発表された1-9月期の固定資産投資は市場予想をやや上回った。政府の景気テコ入れ策の効果が出始め、インフラ投資には下げ止まりの兆しも見える。しかし、中国政府による現状の対策は景気の減速ペースを緩めることはあっても、拡大方向に転換させるほどの力はない。

 

日経平均株価:中国株の持ち直しで後場急速に下げ渋る

中国の景気減速懸念から前日の米国株の大幅安となった流れが波及し、東京市場でも中国関連とされる銘柄を中心に売りが先行し、一時下げ幅を445円まで拡大する場面もあった。ただ、その後は押し目買いや売り方の買戻しが下支えし、後場は急速に下げ渋った。また、上海総合株価指数が持ち直したことや、日銀によるETF買いの思惑も支えになった。結局、前日比126円安の2万2532円と続落して終了した。

 

東京外国為替市場:株価の下げ止まりで円売り優勢に

ドル/円は、本邦実需勢などのドル買い・円売りに支えられ、一時112.42円まで値を上げた。米財務省の為替報告書について中国は米国との対立姿勢を強める中、麻生財務相が『日本の為替政策が制約されるものではない』との見解を示したことで市場に安心感が広がった。ただ、米国とサウジとの関係懸念も根強く上値を追う動きは限定的となった。午後は、日経平均株価やアジア株の動向をにらみながら小幅値を下げてもみ合いとなった。その後、『中国の劉副首相が貿易に関して米国と接触している』と報じたことをきっかけに、中国主要株式がプラスに転じ、連れて日経平均株価も下げ幅を縮めると、112.50円近辺まで値を上げた。ユーロ/ドルは、1.14ドル台半ばで方向感の乏しい展開となった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

中国は株価下落で異例の各当局の口先支援

中国人民銀行と銀行保険監督管理委員会、証券監督管理委員会の各トップが19日に声明を発表した。各当局が口先支援でそろい踏みするのは異例なことである。マーケットへの支援を表明し、株式担保の割合が大きい企業を中心に金融面の圧力緩和に向けた措置を講じる方針示した。ただ、直接介入を約束するまでには至らなかった。

 

イタリア財政問題で来週は格付け会社の動向に注意

イタリアの予算を巡るEUとの対立の中、来週にもソブリン格付けを引き下げられる恐れがある。そのため、イタリア債のドイツ債に対するスプレッドは2013年4月以来の最大に達した。イタリア政府は来年の財政赤字をGDPの2.4%と想定しており、EUの現在の規則に抵触する。米格付会社のS&Pとムーディーズは同国のソブリン債格付けの見直しを月内に完了する予定となっている。

 

リスクパリッティ戦略ファンドが市場の火種

運用残高が15兆円を超えるとされる『リスク・パリティ』戦略ファンドがある。米金利上昇が同ファンドの債券売りを呼び、それが株式の割高感を強めて別の投資家の株式売りを招くという新たな構図が生まれつつある。リスク・パリティ戦力とは、ファンド全体の運用成績に対して株式や債券、商品などの各資産の価格変動が及ぼす影響が均等になるように設計されファンドである。そのリスクを測る指標が『ボラティリティ(価格変動率)』となる。リスク・パリティによる売りは今年2月の世界同時株安『VIXショック』を助長した。その後は、株式に代わり債券(先進国の国債と社債)の保有比率が25%から35%以上に膨らんでいることである。そのため、金利上昇(価格は下落)局面ではリスク・パリティ戦略の損失が拡大するため債券売りが加速し、金利のさらなる上昇を呼びやすい。要するに金利が上昇すれば、ハイテク株を中心に株式が割高感が強まり、株式のボラティリティも上がって売られる。金利上昇とリスク・パリティの『共振』となる。今後も世界市場の火種となりやすい。

 

欧米市場イベント

○17:00   8月ユーロ圏経常収支(季節調整済み)
○21:30   8月カナダ小売売上高(予想:前月比0.3%/自動車を除く前月比0.2%)
○21:30   9月カナダCPI(予想:前月比横ばい/前年比2.7%)
○23:00   9月米中古住宅販売件数(予想:前月比▲0.7%/年率換算530万件)
○20日01:00   ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演
○20日01:10   カーニー・イングランド銀行(BOE)総裁、講演
○20日01:45   カプラン米ダラス連銀総裁、講演

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

欧米市場タイム直前市場コメント!

2018/10/18/15:26:46

さくらレポートで天災の影響を反映

日銀が公表した10月の地域経済報告(さくらレポート)では、各地域の景気の総括判断をみると、全ての地域で「拡大」または「回復」としているが、前回(2018 年7月時点)と比較すると、北海道と中国では、地震や豪雨など自然災害の影響を踏まえ、判断を引き下げている。一方、近畿では、台風の影響がみられるとしているものの、『緩やかに拡大している』との判断に変更はないとしている。それ以外の6地域(東北、北陸、関東甲信越、東海、四国、九州・沖縄)では、前回の判断から変更はないとしている。こうした各地域の判断の背景には、海外経済の着実な成長に伴い、輸出が増加基調にある中で、労働需給が着実に引き締まりを続け、個人消費が緩やかに増加するなど、所得から支出への前向きな循環が続いていることが挙げられている。

 

日経平均株価:海外筋の先物売りに下げ幅拡大

前日のNYダウ91ドル安の反落を受けて売りが先行した。また、通関統計の輸出減速懸念に加え中国の李克強首相が強い景気下押し圧力を認めたと伝わり上海株が一時2%超へ下げ足を速めヘッジファンドなど海外短期筋が先物に売りを出し中国事業が大きい輸出関連株が大幅安となった。結局、前日比182円安の2万2658円と反落して終了した。10月第2週は海外投資家は4週間ぶりに売り越しとなった。

 

東京外国為替市場:リスク回避の円買い・ドル買いが優勢

ドル/円は、日経平均株価は大引けにかけて下げ幅を拡大したほか、上海総合指数は前日比2%超下げ、リスク回避的な円買いに振れている。また、欧州情勢への懸念からポンドやユーロが売られ、クロス円が下げていることも引き続きドル/円を圧迫している。ユーロ/ドルは、1.15ドル付近でこう着状態が続いたが、一部イタリア紙が報じた『もし欧州委員会が伊予算案をつき返しても同案を変更せず』とのサルビーニ伊副首相の見解が伝わると、15時過ぎには1.1486ドルまで下値を広げた。

 

イタリアの財政問題が引き続きユーロの重石

欧州委員会のエッティンガー委員(予算・人事担当)は、イタリアの2019年予算案がEuの財政規律に沿っていないとの見解を示した。この見解を伝える欧州委員会のモスコビシ委員(経済・財務・税制担当)のイタリア政府宛の書簡は18日、もしくは19日に届けられる。モスコビシ委員は18-19日にローマを訪問する。欧州委員は同委員の訪問中にイタリア政府と協議を行う。イタリア予算案がEU規律から大幅に逸脱していると公式に芳名し、是正を求めるのは、イタリア政府との協議後になる。

 

トルコが金融市場から資金調達:トルコリスク後退

エルドアン大統領の金融政策への介入や米国との対立への懸念で、トルコリラは年初から約35%下落した。しかし、テロ関連の罪で有罪判決を受け収監されていた米国人牧師が釈放されたことで、対米関係悪化の火種が消え、リラは2ヵ月ぶり高値を付けるなど、回復の兆しが見えてきた。トルコは17日に20億ドルのユーロ債を発行した。投資家の需要は旺盛で3倍の応募があった。

 

FOMC議事録ではタカ派的な内容

FRBはFOMC議事要旨(9月25-26日分)を公表、その中で、緩やかな利上げを継続する軌道を確認した。議事録では、メンバーが緩やかな利上げが持続的な経済成長、強い労働市場の状況、中期的な目標である2%に近いインフレに一致すると指摘している。また、将来の政策軌道に関し協議。過熱を回避し、インフレをコントロールすることを目指し、一部メンバーはFRBが政策を一時的に中立水準を上回り、どちらかというと引き締め水準まで金利の正常化を進める必要がでてくる可能性を指摘した。緩和的でもなく、引き締めでもない中立水準はおそらく3%前後と、FOMCメンバーは見ている。さらに、『政策は緩和的』との文言削除に関して、『中立的な政策金利を巡る不透明性から「緩和的」との文言は意味をなさない』と判断したことが明らかになった。

 

米中貿易戦争がじわじわと株式相場にも波及

2019年に中国の全輸入品に25%の関税が賦課された場合、S&P500指数の19年の1株辺り利益(EPS)は当初予想の179ドルから8ドル減少すると予想されている。それにより9年に及ぶ米国株の強気相場が終焉する。19年半ばまで続くとされるトランプ減税による成長押し上げ効果が、米長期金利上昇や米中『貿易戦争』による景気下押し効果に減殺されれば、米景気に減速の跫音が忍び寄る一方、インフレを助長する原油価格に中東混乱『サウジの火種』が降って沸いて米利上げペースの不透明感を増長しつつある。

 

欧米イベント

○15:00   9月独卸売物価指数(WPI)
○16:30   9月スウェーデン失業率(予想:6.0%)
○17:00   ノボトニー・オーストリア中銀総裁、講演
○17:30   9月英小売売上高指数(自動車燃料含む、予想:前月比▲0.4%/前年比3.6%)
○21:30   10月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数(予想:20.0)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数(予想:21万2000件)
○22:05   ブラード米セントルイス連銀総裁、講演
○23:00   9月米景気先行指標総合指数(予想:前月比0.5%)
○19日01:15   クオールズFRB副議長、講演
○米財務省2年、5年、7年債入札条件
○EU首脳会議(ブリュッセル、18日まで)

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欧米タイム直前市場コメント!

2018/10/17/15:28:02

日経平均株価:米国株大幅高につれたリスク選好の買い

前日の米国株式市場が主要企業の好決算を受けて大幅高となり、市場心理が改善した。日本株にはヘッジファンドなど短期スタンスの投資家による買い戻しが広がった。米半導体製造装置が大手が市場予想を上回る業績見通しを公表したことで先行きへの警戒感が後退し、上げ幅は一時400円を超えた。結局、前日比291円高の2万2841円と続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:日本株の上値重くなると持ち高調整の売り

ドル/円は、日経平均株価の大幅高や本邦実需などのドル買い・円売りに支えられ、一時112.40円まで上昇した。しかし、112.40円超えにはオプション関連などのドル売り・円買いオーダーが観測されているため、上値が重くなり112.30円台での推移となった。午後は、日経平均株価の上値が重くなると、持ち高調整などのドル売り・円買いが優勢となり、112.16円近辺まで下落した。また、15日期限の米財務省による為替報告書公表が未提出であることから、為替条項に対する警戒感が再燃したこともドル売りを誘った。ユーロ/ドルは、英国のEU離脱交渉についてルクセンブルク外相が12月まで延長する可能性を示唆したことから、1.15ドル台に持ち直した。

 

イタリアだけでなくドイツの景気指数悪化がユーロの重石

イタリアの財政不安や英国のEU離脱交渉への懸念だけではない。昨日発表された10月の景気指数が大幅に悪化するなど域内主要国ドイツの政治経済に不透明感が急速に強まっているの要因となっている。欧州経済研究センター(ZEW)が昨日発表した10月のドイツ景気予測指数はマイナス24.7と約6年ぶりの低さだった今年7月に並ぶ水準だった。マイナス幅は前月から14.1ポイント拡大と大幅に悪化した。この数字は市場関係者に向こう半年間の景況感を聞き、楽観的な見方から悲観的な見方を差し引いて指数化している。ドイツ自動車産業を代表とする輸出主導型の経済で、世界経済変調の影響が敏感に受ける。米長期金利の急上昇や世界的な株式相場の大幅調整といった金融・資本市場の不安定な動きが、指数に色濃く反映された。さらに米中貿易摩擦の激化はすでにドイツの輸出を下押し始めている。政治情勢にも不透明が漂う。14日実施のバイエルン州議会選では政権与党のキリスト教社会同盟(CSU)が大敗した。28日ヘッセン州議会選でも連敗すれば、メルケル首相の責任論にも発展しかねない。

 

『為替条項』を材料とした円高・株安への警戒感は後退

米財務省が今週中にも米議会に提出する予定の為替政策報告書では、中国と日本が4月同様に監視対象国のままなのか否かに要警戒となる。中国に関しては、トランプ米大統領の大統領選挙時の公約通りに為替操作国と認定されるのか否か、日本に関しては、ムニューシン米財務長官が日本との新しい『物品貿易協定(TAG)』交渉において『為替条項』導入に言及したことで、『実質実効為替レート』で25%、『名目為替レート』でも円安、という表現の変更に要注目となる。昨日は、茂木経済財政相が『為替条項』に関する協議は、日米財務相により協議される、と述べ、麻生財務相が日米財務相会談の場で、ムニューシン米財務長官から『為替条項』への言及はなかった、と述べたことで、『為替条項』を材料とした円高・株安への警戒感は後退している。日米通商協議は、来年1月から開始されると報じられており、目先の材料ではなくなったのかもしれない。

 

米国の好調な雇用を確認:FRBの利上げを正当化する結果

米労働省が発表した8月JOLT求人件数は713.6万件となり、減少予想に反して7月からさらに増加し、再び過去最高記録を更新した一方で、雇用者数は580万人と過去最高に達した。離職は570万人だった。また、仕事を探している労働希望者の623万人を上回った。特に、建設業の労働者不足が深刻で、29.8万人の求人件数で、昨年に比べ39%増。その他、金融、保険、ヘルスケアの求人が目立った。労働市場のひっ迫を受けて、企業は賃金インフレの圧力に一段と直面することになる。最新9月の平均賃金は前年比+2.8%だった。 JOLT指数の項目の中で特に雇用者の労働市場への自信を示すとして注目される退職者数は360万人と前月7月からほぼかわらずで、統計開始した2000年12月以降で最高を維持した。米8月JOLT求人件数は米労働市場のひっ迫を示す新たな証拠となり、FOMCの利上げ軌道をさらに正当化する結果となった。

 

米国市場ではFOMC議事要旨(9月25-26日分)が公表

トランプ大統領はFRBの利上げ継続方針に批判的な発言を繰り返しており、大統領の発言が市場に与える影響を注視する必要がある。12月利上げの手掛かりを得られるか注目される。また、2020年まで利上げスタンスが継続するか、議論の内容が注目される。

 

★欧米イベント

○16:30   プラート欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○17:30   9月英消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.2%/前年比2.6%)
      小売物価指数(RPI、予想:前月比0.2%/前年比3.5%)
○17:30   9月英卸売物価指数(PPI、食品とエネルギーを除くコア指数、予想:前年比2.3%)
○18:00   8月ユーロ圏建設支出
○18:00   9月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)改定値(予想:前年比2.1%)
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○20:00   8月南アフリカ小売売上高(予想:前年同月比0.3%)
○21:30   8月カナダ製造業出荷(予想:前月比▲0.6%)
○21:30   9月米住宅着工件数(予想:122万件、前月比▲5.6%)
         建設許可件数(予想:127万8000件、前月比2.0%)
○22:00   9月ロシア失業率(予想:4.7%)
○22:15   カンリフ・イングランド銀行(BOE)副総裁、講演
○23:30   EIA週間在庫統計
○18日01:10   ブレイナード米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○18日01:30   バイトマン独連銀総裁、講演
○18日02:00   ブロードベントBOE副総裁、講演
○18日03:00   米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(9月25-26日分)
○欧州連合(EU)首脳会議(ブリュッセル、18日まで)

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欧米タイム直前市場コメント!

2018/10/16/15:24:57

日経平均株価:リスク回避の動きが後退し先物主導で買い戻し

前日に400円超下落したため、短期的に戻りを狙った個人投資家の買いが優勢だった。ソフトバンクやファストリなど前日に大きく売られた主力株の上げが目立った。また、日経オプションの価格から算出する日経ボラティリティ・インデックスが大幅に下落したのも、投資家の不安心理を和らげた。後場にはNYダウ先物が上昇し16日の米国株の反発を見込んだ買いが先物中心に入り現物株の値がさ株が買われ相場全体を押し上げた。ただ、主要企業の4-9月期決算発表を控え、商いは低調だった。

 

東京外国為替市場:日経平均株価上昇で112円台回復

ドル/円は、本邦実需勢などのドル買い・円売りや日経平均株価の上げ幅が一時100円を超えたことに支えられ、一時112.05円まで上昇した。麻生財務大臣が『日米間の為替条項の議論は行われない』と発言したことも、ドルの押し上げにつながった。その後は、サウジアラビア国籍のジャーナリスト殺人疑惑を巡って、米国と中東の緊張が高まりつつあることから伸び悩み112円を割り込んだ。午後は、下値で海外短期筋などから利益確定や持ち高調整のドル買い円売りが入り、一時112.15円まで上げた。日経平均株価の上げ幅が200円を超えたこともドル買いを誘った。ユーロ/ドルは、1.15ドル台後半で方向感に欠く値動きとなった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

米国のサウジアラビア制裁措置と報復措置リスク

サウジアラビア政府が、サウジアラビアの反体制ジャーナリストのジャマル・カショギ氏がトルコのサウジ領事館での尋問中に死亡したことを認めたことで、米国による制裁の可能性、サウジアラビアによる報復措置の可能性に要警戒となる。 トランプ米政権はサウジアラビアとの間で1100億ドルの武器輸出契約を締結しており、原油価格抑制のための原油増産を要請している。サウジアラビアの報復措置としては、原油価格の上昇を放置すること、保有している米国債(1670億ドル)や米株式の売却などが警戒される。カショギ氏は、米国同時多発テロを断行したアルカイダに対するサウジアラビア王族の資金支援に関する秘密情報を握っており、ムハンマド・サウジアラビア皇太子が真相解明に動いていた、との報道もあり、サウジアラビア内部での政権闘争もからみ、石油ショックなどへ深刻化する可能性に要警戒となる。

 

米国発の貿易・通貨戦争懸念:日米貿易交渉と為替条項の協議

米財務省はすでに韓国やメキシコなどとの貿易交渉で為替条項の協議を行ってきたが、米国の要求は『為替介入の透明性向上を義務付け、競争目的での通貨安誘導の回避を約束させる』という内容だった。日本はG7加盟国としてG7の為替ルールを遵守しており、これまでに①介入はG7合意に即した『急激な変動』への対処のみであり、しかも円高阻止だけで通貨安の誘導介入は原則行っていない。②介入の前には米国事前連絡し、了承を得ている、③介入の実施日や規模は公表し、透明性に留意している、といった非G7国との違いがある。そのため、日米間での本格的な為替条項を巡る対立が表面化するリスクは限定的となる。

 

欧州リスクとなる要因:ユーロ安・ポンド安要因

イタリアの財政赤字問題が引き続き警戒される。また、格下げリスクやイタリア国債の一段の混乱による同国銀行への打撃のほか、15日前後までの正式予算案のEU提出や17-18日のEU首脳会議での判断、対立迷走を含めて一喜一憂の波乱が警戒される。イタリアの財政が著しく軌道を逸脱する危険があると欧州委員会が判断した場合、1週間以内に同国政府に警告し、2週間以内に予算の是正を求める意見表明を行う必要がある。

ドイツ南部バイエルン州の州議会選挙が14日投開票され、メルケル連立政権の一角を担うキリスト教社会同盟(CSU)が第1党を維持したものの、単独過半数を確保できず、歴史的敗北を喫した。メルケル政権が進めてきた難民受け入れ政策への反発が背景にあり、ドイツでの政治不安や欧州全体での反難民ムードの高まりが改めて懸念される。

英国のEU離脱を巡り、英領北アイルランドとEU加盟国アイルランドの間に税関などの『ハード・ボーダー』を復活させないための方策を協議したが、決裂となってポンドが下落した。17日からのEU首脳会議で再協議が調整されており、歩み寄りと12月までの交渉遅延に神経質となる地合いが続きそうだ。

 

米国市場では9月鉱工業生産が公表

8月実績は前月比+0.4%となった。自動車生産が増えたことが要因となっている。9月については、自動車関連、家電製品、鉱業生産の増加が予想されており、4ヵ月連続で増加となる可能性が高い。

 

欧米イベント

○15:00   8月独輸入物価指数(予想:前月比0.2%/前年比5.2%)
○16:00   8月トルコ鉱工業生産(予想:前月比▲2.4%)
○17:30   9月英雇用統計(失業保険申請件数推移0.75万件/失業率2.6%)
○17:30   6-8月英失業率(ILO方式、予想:4.0%)
○18:00   10月独ZEW景況感指数(予想:▲12.0)
○18:00   10月ユーロ圏ZEW景況感指数
○18:00   8月ユーロ圏貿易収支(季節調整前)
○20:00   モルガン・スタンレー第3四半期決算
○20:30   ゴールドマン・サックス第3四半期決算
○21:30   8月対カナダ証券投資
○22:15   9月米鉱工業生産指数(予想:前月比0.2%)
       設備稼働率(予想:78.2%)
○23:00   10月全米ホームビルダー協会(NAHB)住宅市場指数(予想:67)
○17日05:00   8月対米証券投資動向
○17日05:15   デイリー米サンフランシスコ連銀総裁、講演

 

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欧米タイム直前市場コメント!

2018/10/15/15:18:13

日経平均株価:円安期待剥落で失望感から売り優勢

ムニューシン米財務長官が13日通貨安誘導を封じる『為替条項』を日本にも求める考えを示したことで先行き一段の円安期待剥落に伴う輸出採算改善期待の後退を受け自動車など輸出関連株中心に幅広い銘柄に売りが出て、400円超に下げ幅を広げた。結局、前営業日比420円安の2万2271円と大幅反落で終了した。

 

東京外国為替市場:米国からの為替条項要求への警戒感から円買い

ドル/円は、軟調な日経平均株価を受けてのリスク回避の円買い、週末にムニューシン米財務長官が示唆した『物品貿易協定(TAG)交渉にて為替条項を要求』への警戒感などでドル/円の戻りは限定的となり112円割れとなった。ユーロ/ドルは、1.15ドル半ばでこう着状態ではあったが、ポンド/ドルが買い戻されるとユーロドルも1.1550ドル台でじり高となった。 

 

イタリアによる2019年度予算案の提出期限

欧州市場では、本日イタリアによる2019年度予算案の欧州委員会への提出期限となる。最終的な予算内容や承認が明確になるまでは、ユーロ安やリスク回避の円高要因として注目される。一方で、すでに一定の歳出削減やEU基準への遵守方向には、期待感も高まっている。実際の予算案転出や先行きにEU承認となれば、一旦の悪材料出尽くしもあって、ユーロ高やリスク選好の円安材料となる可能性もある。

 

バイエル州議会選挙大敗で独メルケル首相の求心力は低下

14日の独バイエルン州議会選挙でメルケル政権を支える保守与党CSU(キリスト教社会同盟)が暦的大敗を喫し、独政治先行き不透明感が広がっている。独CSUはメルケル首相率いるキリスト教民主同盟(CDU)の姉妹政党でありカトリック系保守党が多いバイエルン州議会は戦後ほぼ一貫してCSUが過半数を維持してきた。ところが、難民んのドイツ入国の『入り口』にあたるバイエルン州だけに2015年の難民危機とその後の党迷走が仇となり、今回の州議会選挙でCSU得票率は前回13年の47.7%から37.2%に急落し、68年ぶりの低さへと得票率は減少した。

 

NY金の売越残高2006年以降最大:ポジション手仕舞いで上昇

米政府が12日発表したデータによると、投機家による金の先物とオプションの売越残高は9日終了週に少なくとも2006年以降で最大となった。世界の株式市場下落に加え、米国のインフレ率が市場予想を下回ったことから米金融当局が利上げペースを緩めるとの見方が広がったため、金価格は11日にかけて上昇した。金は8月下旬以降1オンス当たり1200ドル近辺で推移し、ボラティリティーを測る指数は今月に入って8ヵ月ぶりの低水準となっていた。

 

トランプ大統領の娘婿のクシュナー氏の立場が危うくなる恐れ

サウジアラビアの著名ジャーナリスト、ジャマル・カショギ氏がトルコのサウジ領事館に入って以降、行方不明となっており、サウジ当局に殺害されたのではないかとの疑惑が高まっている。カショギ氏はサウジ当局に批判的な報道をしていたとい、海外メディアはサウジのムハンマド・ビン・サルマン皇太子がカショギ氏を標的としてた作戦を指示したと報じていた。14日付けのワシントンポスト紙電子版は、サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子と親しいトランプ大統領の娘婿、ジャレッド・クシュナー氏が先週、カショギ氏の失踪についてサルマン皇太子に個人的に尋ねたところ、皇太子はあらゆる関与を否定したと報じた。サウジ情勢の悪化を受けて、トランプ政権内でのサウジとの関係強化に努めていたクシュナー氏の立場が危うくなる恐れがある。

 

米国の半期ごとの為替報告書公表予定:中国が為替操作国に認定するか注目

米財務省は今週中に半期ごとの為替報告書(15日が議会提出期限)を公表するとみられている。中国を為替操作国に認定するか注目されているが、一部報道では米財務省スタッフはムニューシン財務長官に対して『中国は為替操作をしていない』と報告したようだ。国際貿易環境の悪化を懸念した円買いは縮小していないものの、米国(財務省)が中国を為替操作国と認定しなかった場合、リスク先行的なドル買い・円売りが活発化する可能性がある。

 

米国市場では9月小売売上高が公表

8月実績は前月比+0.1%だった。自動車・同部品、衣料品の売上は減少したが、ガソリンスタンドは増加した。9月については8月に減少した項目の反動増が予想されることやガソリン価格の上昇などの要因でガソリンスタンドの売上増も想定されており、全体的にはやや高い伸びとなる見込みとなっている。

 

欧米イベント

○15:30   9月インド卸売物価指数(WPI、予想:前年比4.90%)
○16:00   7月トルコ失業率
○16:15   9月スイス生産者輸入価格(予想:前月比0.1%)
○19:45   バンク・オブ・アメリカ(BOA)第3四半期決算
○21:30   10月米ニューヨーク連銀製造業景気指数(予想:19.0)
○21:30   9月米小売売上高(予想:前月比0.6%/自動車を除く前月比0.4%)
○23:00   8月米企業在庫(予想:前月比0.5%)
○15-16日   9月ロシア鉱工業生産(予想:前年比2.5%)

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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