FITS エコノミックレポート

欧米市場直前市場コメント!

2019/02/28/15:20:08

日経平均株価:米中貿易協議の進展への期待後退で売り優勢

米中貿易協議の進展への過度な期待が後退したことを受け前日NYダウが72ドル安の続落を受けて利益確定売りが先行した。ヘッジファンドや海外短期筋の先物への卯木が現物株を押し下げた。結局、前日比171円安の2万1385円と反落して終了した。

 

東京外国為替市場:狭いレンジ内でもみ合い

ドル/円は、日経平均株価の下落をながめて利食い売りなどが持ち込まれ、110.82円近辺まで下落した。月末に絡む国内輸出企業のドル売り・円買いも観測された。もっとも、前日に米長期金利が上昇し、日米金利差拡大が意識されているため下押しは限られ、110.85円を挟んでもみ合いになった。午後は、日経平均株価や上海総合株価指数をにらみながら110.80円台を中心とした狭いレンジで取引された。ユーロ/ドルは、1.13ドル台後半で小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

米FRBは年内にB/Sの正常化を終了することに含み

パウエル米FRB議長が27日に米議会下院金融サービス委員会の議会証言の中で、バランスシート(B/S)の縮小方針について『計画の合意は近く、間もなく(fairly soon)何らかの発表をする』との見解を示した。この日の米国債や米株式市場は目立った反応はなかったが、26日に上院で『年内にB/Sの正常化を終えることを広く支持する』と述べた翌日、踏み込んだ発言が出た。ゴールドマン・サックスは27日付けレポートで『パウエル米FRB議長の証言はB/ Sの正常化が終了すると予想する』との見解を示した。3Q末にFRBの資産総額は3兆7000~8000億ドルになりそうで、長期的な規模に大きな影響はないだろうと指摘した。また、住宅ローン担保証券(MBS)の適度な売却は可能とも予想し、『将来的に償還期間の延長余地を残すため、短期の米国債に移行することが長期的に可能性が高いとみている』と指摘した。

 

米中貿易摩擦の影響が周辺国にも波及

米中貿易摩擦を受けて香港経済の減速が鮮明になっている。香港政府が27日に発表した2018年の実質域内総生産(GDP)は前年比3%増となった。輸出が足を引っ張り、17年の3.8%より落ち込んだ。18年10~12月期の成長率は1.3%と、7~9月期の2.9%を大幅に下回り、16年1~3月期以来の低い水準を記録した。香港政府は昨年夏時点で、18年の成長率見通しを3~4%としていた。貿易戦争の影響が予想以上に広がり、11月に3.2%に下方修正したものの、最終的にこの予想も下回った。19年の成長率は2~3%と予想した。中国経済の減速が続けば、過去10年の平均成長率(2.8%)を下回る可能性も出ている。

 

前日の米国の経済指標結果:住宅市場の弱さを露呈し全般弱めの結果

全米不動産業者協会(NAR)が発表した1月中古住宅販売成約指数は前月比+4.6%となった。伸びは予想+1.0%を上回り、6月来のプラスとなった。上昇率は、2010年10月以降8年ぶり最大を記録した。ただ、前年比では13カ月連続の下落で、住宅市場の弱さを露呈した。 同時刻に米商務省が発表した12月製造業受注は前月比+0.1%と、伸びは4カ月ぶりのプラスに改善したが、予想+0.6%は下回った。米12月耐久財受注改定値は前月比+1.2%と、速報値から修正はなかった。輸送用機器を除いた12月耐久財受注改定値は前月比+0.1%とやはり、速報値から修正はなかった。一方、国内総生産(GDP)算出に用いられる12月製造業出荷・資本財(航空機を除く非国防)改定値は前月比横ばいと、速報値+0.5%から下方修正され、10-12月期GDPの成長を抑制したと見られる。 先に発表された12月前渡商品貿易収支は795億ドルの赤字と、赤字幅は予想736億ドルを上回り過去最大に拡大した。米12月卸売在庫改定値は前月比+1.1%と、鈍化予想に反して、速報値を維持した。

 

米国市場では10-12月期国内総生産が公表

アトランタ地区連銀の経済予測モデル『GDP Now』の試算によると、2月14日ジテンで前期比年率+1.5%にとどまっている。12月の小売売上高が低調だったことが要因となっている。11月の貿易収支が改善したことはプラス材料だが、成長率の押し上げにつながる項目は少ないことから、10-12月期の成長率は前期比年率で2%台にとどまる見込みとなっている。

 

欧米イベント

○15:00   1月南アフリカマネーサプライM3(予想:前年比5.71%)
○15:45   10-12月期スイス国内総生産(GDP、予想:前期比0.4%/前年比1.7%)
○16:00   1月独輸入物価指数(予想:前月比0.2%/前年比1.3%)
○16:00   1月トルコ貿易収支(予想:25億ドルの赤字)
○16:00   2月英ネーションワイド住宅価格指数(予想:前月比横ばい)
○16:45   1月仏卸売物価指数(PPI)
○16:45   1月仏消費支出(予想:前月比1.0%)
○16:45   2月仏消費者物価指数(CPI)速報値(予想:前月比0.4%/前年比1.5%)
○16:45   10-12月期仏GDP改定値(予想:前期比0.3%)
○17:00   2月スイスKOF景気先行指数(予想:95.0)
○17:30   10-12月期スウェーデンGDP(予想:前期比0.6%)
○18:30   1月南アフリカPPI(予想:前月比0.1%/前年比5.0%)
○19:00   外国為替平衡操作の実施状況(介入実績)
○21:00   1月南アフリカ貿易収支(予想:145億ランドの赤字)
○21:00   10-12月期インドGDP(予想:前年同期比6.8%)
○21:00   10-12月期ブラジルGDP(予想:前年同期比1.4%)
○22:00   2月独CPI速報値(予想:前月比0.4%/前年比1.5%)
○22:00   クラリダ米連邦準備理事会(FRB)副議長、講演
○22:30   10-12月期カナダ経常収支(予想:135億カナダドルの赤字)
○22:30   1月カナダ鉱工業製品価格(予想:前月比0.1%)
○22:30   1月カナダ原料価格指数
○22:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:22.0万件/173.7万人)
○22:30   10-12月期米GDP速報値(予想:前期比年率2.2%)
      個人消費(速報値、予想:前期比3.0%)
      コアPCE(速報値、予想:前期比1.6%)
○22:50   ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演
○23:45   2月米シカゴ購買部協会景気指数(予想:57.5)
○1日01:00   ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁、講演
○1日03:00   カプラン米ダラス連銀総裁、講演
○米朝首脳会談(ベトナム・ハノイ、最終日)

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

欧米タイム直前市場コメント!

2019/02/27/15:14:25

日経平均株価:海外勢の先物買いがけん引して上昇

米FRB利上げ見送り観測などを背景にヘッジファンドなど海外投資家が先物に買いを入れ閑散相場の中で現物株を押し上げた。また中国上海株価指数などアジア株価の上昇も支えとなった。結局、前日比1007円高の2万1556円と反発して終了した。

 

東京外国為替市場:値動きの乏しい展開継続

ドル/円は、日経平均株価や上海総合株価指数をにらみながら110.50円台中心とした狭いレンジで取引された。月末に絡む本邦実需筋の動向注目されたが、積極的な売り買いは目立たなかった。トランプ大統領がツイッターに『北朝鮮が非核化宣言をすれば、繁栄するベトナムと同じになるだろう』と投稿したものの、市場の反応は限られた。午後に入っても、110.60円を挟んで方向感の乏しい値動きとなった。ユーロ/ドルは、1.1380ドル前後で小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

英国メイ首相の変心

英国のメイ首相は26日議会で、3月29日に予定通り離脱を実現できるようEUと合意に達するべく努力を続ける意向だと表明した。それができなかったとしても、議会の同意なく合意なしの離脱に踏み切ることはないとし、『3月29日に合意なしでEUを離脱するのは、議会の明確な同意があった場合だけだ』と言明した。その結果として、遅くとも3月12日までに、EUとの間で修正に向けた協議を続けている離脱協定案について議会で採決を行う。もし否決された場合には、翌日に今度は『合意なき離脱』の是非について採決する。議会が『合意なき離脱』の回避を求めた場合、14日に離脱の延期について議会に諮るとしている。

 

ビットコインのマイナー(採掘者)の勢力図に異変

昨年11月のビットコインキャッシュ(BCH)分裂に伴うコイン相場の急落を受け、それまでビットコインのシステムを支えてきた多くの採掘者が撤退した一方、正体不明マイヤー存在感が高まってきた。『unknown』を巡る憶測は市場回復が遠いことを改めて認識させる。ささやかれている1つの説は新興勢力の台頭。昨年11月BCH分裂騒動にビットコインを含む多くのマイヤーがカタンした結果、ビットコインはシステム不安から投機的な売りが加速した。ドル建ての価格は昨年12月に1ビットコイン=3100ドル近辺と、2017年9月以来の安値水準まで下げた。『4000ドル以下では採算割れするマイヤーが続出し、中小が撤退しただけでは済まず大手でもシェア低下が顕著になった。ビットコインのマイニングにかかえる電力消費量は昨年11月下旬に急減し、足もとでも同じ水準でもみあっている。採掘者の減少で競争が緩み、電気代をそれほどかけずに採掘できる環境となっている。インターネットの情報サイドでは中国系と見られる新参の採掘者が昨年の終盤以降、勢力を伸ばしているとのデータも出ている。

 

パウエル米FRB議長の議会証言:新味のない内容

パウエル米FRB議長は26日に開催された半期議会証言(上院銀行委員会)で政策金利がすでに『中立水準のレンジ内』にあり、辛抱強く、様子見する時期だと、1月連邦公開市場委員会(FOMC)の記者会見と同じく利上げを急がない方針を再確認した。 経済や見通しは引き続き堅調ながら過熱する兆候は見られず、また、インフレの圧力は抑制されており、賃金の上昇がインフレの脅威になる兆候もないと判断し、1月のFOMCでFRBは政策金利の据え置きを決定。政府の政策の不透明性、金融市場の展開、欧州や中国など世界経済の弱さ、ブレグジットの影響などが米国経済成長の逆風になる可能性を警告した。今後も経済指標次第で政策を決定していく方針を繰り返した。議長の発言は、将来の金利の動きにバイアスがないことを再確認した。

 

欧米イベント

○17:30   クーレ欧州中央銀行(ECB)理事、講演
○18:00   1月ユーロ圏マネーサプライM3(予想:前年比4.0%)
○19:00   2月ユーロ圏消費者信頼感指数(確定値、予想:▲7.4)
○19:00   2月ユーロ圏経済信頼感指数(予想:106.0)
○19:00   バイトマン独連銀総裁、講演
○21:00   MBA住宅ローン申請指数
○22:30   1月カナダ消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.2%/前年比1.5%)
○24:00   1月米住宅販売保留指数(仮契約住宅販売指数、予想:前月比1.0%/前年比▲4.6%)
○24:00   12月米製造業新規受注(予想:前月比0.5%)
○24:00   パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、米下院金融サービス委員会で証言
○28日00:30   EIA週間在庫統計
○米朝首脳会談(ベトナム・ハノイ、28日まで)

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

欧米タイム直前市場コメント!

2019/02/26/15:15:22

日経平均株価:利益確定売りや地政学リスクを意識した売り優勢

前日の米国株高や円安を好感して買いが先行した。しかし、相場の上値が重いとみた海外投資家が利益確定売りや3月決算期末を控えた国内金融機関等の戻り売りが入った。また、インド軍がパキスタンへ空爆報道を嫌気した売りが優勢となり売りが優勢となった。結局、前日比78円安の2万1449円と反落して終了した。

 

東京外国為替市場:ドル/円は111円台維持できず

ドル/円は、日経平均株価がプラス圏からマイナス圏へ転じたことや米長期金利の低下で調整色が強まり111円台を割り込んで110.75円まで下落した。月末に絡む国内輸出企業のドル売り・円買いも継続的に観測された。ただ、米中貿易交渉の行方を見極めたいとの雰囲気もあり、ドルの下げも一服した。午後は、日経平均株価や上海総合株価指数の動向をにらみながら110.80円を挟んだもみ合いが続いた。今晩予定されているパウエルFRB議長のの議会証言を控えて、上下に動き難い展開となっている。ユーロ/ドルは、1.1360ドル前後で方向感を欠いた値動きとなった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

パウエル米FRB議長の議会証言に注目

米国市場では26-27日にパウエル米FRB議長が半期に1度の議会証言を行う。議長以外でもFRBメンバーの発言機会が相次ぐため、直近の米景気・物価判断や今後の金融政策に関する考え方などが注目される。すでにFRBに関しては、当座の利上げ停止やバランスシート縮小の年内終了などは織り込みが進捗してきた。微妙に利下げやバランスシート縮小の前倒し終了の地ならしが示唆されるとドル安になりやすい。反対に米中貿易協議の進展機運や米国株高などにより、当座の中立・様子見継続が強調されるとドル下支えの効果が注視さる。

 

27日のライトハイザー代表の議会証言に注目

前週末にはブルームバーグが、『トランプ米大統領とライトハイザー米通商代表部(USTR)代表との関係がぎくしゃくしている』と報じた。米中の合意は覚書の形になるとのライトハイザー氏の説明に対し、トランプ氏が『覚書は好きではない。何も意味しないからだ』と批判したことや、トランプ氏は中国との早期の合意成立を重要と見なし始めているのに対し、中国警戒の根強いライトハイザー氏がまだ成立させていないことなどで、『両氏の関係が悪化している』という。その報道後、トランプ氏は『ライトハイザー氏に感謝』と報道打ち消しのコメントを発した。それでも今週は27日にライトハイザー氏の議会証言が予定されており、通商強硬派の同氏を巡っては、①米中協議の早期妥結否定と強硬姿勢堅持によるリスク回避、②トランプ氏との対立深刻化と米通商政策の迷走によるリスク回避、③トランプ氏の不満に配慮した対中姿勢軟化とリスク選好、⑤同氏の影響力減退や先行き退任論の高まりによる日米貿易交渉などの難航懸念後退とリスク選好、といった影響が注目さる。

 

今後の米経済指標内容次第では米FRBの利上げも

12月、1月の米経済指標の低調な結果は、米国の政府機関閉鎖や米中貿易への不透明という特別要因で、一時的な兆候に留まる可能性もある。2月には政府機関の閉鎖が解除されたほか、米中貿易協議で進展が見られた。トランプ大統領は交渉期限を当初の1日から延長すると発表。対中輸入品への関税引き上げも延期された。2019年の米国経済の成長減速や2020年の景気後退への懸念が強まる中、貿易摩擦が解消し、従来の対中貿易協定に比べ米国経済に有利になるように内容が改善された場合、米国経済の成長を支援する可能性もある。アトランタ連銀のボスティック総裁はウォールストリートジャーナル紙とのインタビューで、経済が堅調で、縮小の兆候が見られない限り、依然緩やかな利上げの余地があるとの考えを示した。一方で、市場は年内の利上げを予想していない。

 

米国市場ではCB2月消費者信頼感指数が公表

1月実績は120.2で6.4ポイント低下した。株式市場の変動と一部政府機関の閉鎖によって短期見通しが悪化したことが要因となっている。2月については、政府機関の閉鎖が1月下旬に解除されていることや株式市場が安定しつつあることから、1月実績を上回る可能性が高い。

 

欧米イベント

○16:00   3月独消費者信頼感指数(Gfk調査、予想:10.8)
○16:45   2月仏消費者信頼感指数(予想:92)
○18:30   レーン・アイルランド中銀総裁、講演
○19:00   カーニー・イングランド銀行(BOE)総裁、ラムスデンBOE副総裁、ブリハ英中銀金融政策委員会(MPC)委員、ハスケルMPC委員、議会証言
○22:30   12月米住宅着工件数(予想:125.0万件、前月比▲0.2%)
        建設許可件数(予想:129.0万件、前月比▲2.6%)
○23:00   12月米住宅価格指数(予想:前月比0.4%)
       10-12月期米住宅価格指数
○23:00   12月米ケース・シラー住宅価格指数(予想:前年比4.5%)
○23:30   メルシュ欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○24:00   2月米リッチモンド連銀製造業景気指数(予想:5)
○24:00   2月米消費者信頼感指数(予想:124.7)
○24:00   パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、米上院銀行委員会で証言
○27日01:00   ビスコ・イタリア中銀総裁、講演
○27日03:00   米財務省、7年債入札
○27日04:00   クーレECB理事、講演

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欧米タイム直前市場コメント!

2019/02/25/15:25:52

日経平均株価:米中貿易交渉の先行き不透明感から上値重い展開

週末の米国株の上昇を好感して寄り付きから3桁上昇スタートした。さらに上を試す動きも見せたが、21600円台に迫るところでは戻り売りも出てきており、その後は21500円近辺での一進一退が続いた。トランプ大統領が24日に対中関税引き上げ延期を表明してリスク選好の動きとなったものの、米中交渉の先行き不透明感もあり昼休み中に円相場が1ドル=110円台半ばへ円高が進みヘッジファンドなど海外短期筋の先物への断続的な売りが重石となった。結局、前営業日比102円高の2万1528円で反発して取引が終了した。

 

東京外国為替市場:狭いレンジ内での値動きに終始

ドル/円は、トランプ米大統領が対中関税の引き上げを延長すると表明したことが好感され、110.86円まで上昇した。日経平均株価の反発もリスク選好の円売りを誘った。しかし、心理的節目の111.00円が視野にはいると、上昇は一服した。その後は、一部メディアが『米中貿易協議で新たな不確実性がある可能性』、『最終段階へはさらに困難』などと報じたことで、持ち高調整などのドル売り・円買いに押されて110.58円まで下落した。午後は、日経平均株価や中国株の動向をにらみながら110.65円前後でもみ合い相場となった。ユーロ/ドルは、1.1340ドル前後で方向感に欠く値動きとなった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

ドル/円の季節要因と過去の経験則

ドル/円の為替需給では、3月末に向けて日本企業による年度末の決算対策が注視される。季節要因として、輸出企業のドル売り手当てや海外収益の円転・国内送金・外債の益出し・損切りやヘッジファンド売り対応などがドルの戻り売り(円高)要因となりやすい。ただし、今年度の場合、日本の貿易収支が赤字化しており、『輸出ドル売りの減退と輸入ドル買いの増加』という微妙な需給変化も見られ始めた。すでに今年2月に関しては『年度末の需給円高』が意識されながらも、ドル/円は1月比、前年同月比でドル高の流れになってきた。1990年代以降の過去実績として、3月の期末接近前における『2月のドル高』は、決算対策などに伴う需給円高の圧力減退を示す先行きシグナルとなってきた。結果、『2月ドル高』の年には裁定でも7-8月まで、多くのケースで年後半までドルの下値切り上がりやドル高のトレンドが形成されるパターンが目立っている。

 

アイルランド問題の解決策が出ない限り再び国民投票も

わずか100年前までアイルランドの歴史は、英国による侵略とそれへの抵抗の歴史であた。EU加盟で初めて国家として真に英国と対等の地位に立ったアイルランドにとってEU離脱の選択肢はあり得ない。ブレグジットとなれば、北アイルランドとアイルランド共和国との間に改めて関税の壁を築き、国境線を引き直す必要性が生じ、あれは恐らく『戦争と平和』の問題に直結する。北アイルランドのカトリックは『南』との統一を望み、プロテスタントは英国の一部であり続けたいと願う。30年の長きにわたる血みどろの内戦が収まったのは、英国とアイルランドがEUに同時加盟し、名実ともに『国境』が消えたからである。事実、アイルランドも編んだ伊の難解きは、①DUP(民主統一党)が北アイルランドと英国本土の厳格な国境管理は受け入れないとし、北アイルランドと英国本土で単一の関税地域に留めるべきと主張、②北アイルランドとアイルランドで関税率が異なる場合、ハードボーダーを設けない限り、租税回避的な行動の取り締まりが困難、北アイルランドとアイルランドで単一関税地域に留める必要-等による。アイルランド問題が『解』を見出せない以上、ブレグジットが再度の国民投票にかけられる可能性がぬぐえない。

 

英国メイ首相は離脱協定案の修正案の採決を延期

英国メイ首相は、EU=ヨーロッパ連合からの離脱協定案の修正案について、来月12日までにイギリス議会で採決を行う考えを示した。目標にしていた月内の合意が間に合わないことを認めた形で、経済界や野党からは批判の声が上がっている。英国メイ首相は、離脱協定案が先月、議会で否決されたこと受け、EUに修正を求めたうえで、今月中に新たな案を議会に示す方針を示していた。メイ首相は24日、アラブ連盟とEUの首脳会議が行われているエジプトで記者団に対し、『修正に向けた話し合いを続けているが、今週、議会に諮ることはない』と述べ、協議が難航する中で、当初の日程は延期せざるをえないことを認めた。

 

トランプ大統領とライトハイザーUSTR代表で関係がぎくしゃく

トランプ米大統領とライトハイザー米通商代表部(USTR)代表との関係がぎくしゃくしている、と報じている。政権内の事情に詳しい複数の関係者によれば、中国製品に対する関税率引き上げ期限が日に日に近づくなかで、お互いにフラストレーションを募らせているという。事情に詳しい関係者2人によれば、大統領はライトハイザー氏から中国の訪米団や記者団の前で訂正され、恥をかかされたと、後に周囲に不満を漏らした。トランプ氏はまた、中国との合意成立が一段と重要になっているとみており、ライトハイザー氏がまだ成立させていないことにいら立ちを示したという。

 

欧米イベント

○19:00   カーニー・イングランド銀行(BOE)総裁、記者会見
○23:00   10-12月期メキシコ国内総生産(GDP)確定値(予想:前期比0.3%/前年同期比1.7%)
○24:00   12月米卸売売上高
○24:00   12月米卸売在庫(予想:前月比0.2%)
○26日01:00   クラリダ米連邦準備理事会(FRB)副議長、講演
○26日01:30   米財務省、2年債入札
○26日03:00   米財務省、5年債入札

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

欧米タイム直前市場コメント!

2019/02/22/15:11:14

日経平均株価:全般様子見ムーと強く小幅な展開

欧米の経済指標下振れや前日のNYダウの反落に投資家心理が弱気に傾いた。利益確定売りが先行するも米中貿易協議の進展期待に押し目買いが下支えとなった。結局、前日比38円安の2万1425円と5日ぶりに反落した。

 

東京外国為替市場:手がかり材料難から値動きの乏しい展開

ドル/円は、手がかり材料難から110.70円前後で方向感に乏しい値動きが続いた。NY時間に予定されているトランプ米大統領と中国の副首相の会談を控え、上下に動きにくくなった。午後は、米中通商協議の進展期待から持ち高調整などのドル買い・円売りが入り、一時110.80円近辺までじり高となった。日経平均株価が下げ幅を縮小したことも円売りを誘った。ユーロ/ドルは、1.1335ドル前後で小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

米中貿易交渉は大詰めの交渉再開

ムニユーシン財務長官、ライトハイザーUSTR代表、クドローNEC委員長と、中国の副首相が率いる派遣団との閣僚級協議が21日から22日まで開催される。特に困難な知的財産権問題に取り組む。米国側は強制的な書類の提出を求められるような権利を要請するようだ。 ロイター通信は20日、米国と中国の両政府が貿易協議の決着に向け、知的財産権保護や技術移転強要見直し、為替など中国の構造改革に関して六つの覚書を作成していると報じている。米国の貿易赤字解消を目指し、中国は農産品やエネルギー、半導体を含めた米国産品の巨額購入リストの作成を検討との報道もある。トランプ大統領と習近平国家主席の首脳会談で署名、成立と見られるが、1日の期限を前に大詰めの交渉が再開される。

 

英国のEU離脱先行き不透明感からブラックスワン指数が高止まり

英国のEU離脱期限が3月29日に迫る中、期限延長の可能性が高いものの、事業継続に必要な手続き等が不透明なまま、合意なき『ハードブレグジット』になればEUへの輸出に10%の関税がかかる他、通関手続きが発生する。自動車大手は数時間分の部品しか在庫に持たず、1日に1千台以上のトラックが英欧ドーバー海峡を行き来しておりサプライチェーンが大混乱に陥りかねない。かかる『ハードブレグジット』リスクに従来の販売低迷が背中を押す形でホンダが2022年までに英工場の閉鎖を決めた。
EU離脱を決めた16年の国民投票以降、初の自動車大手の工場閉鎖であり、日本とEU間の経済連携協定(EPA)発効で英国生産の優位性が削がれた側面もある。従業員3500人は解雇する予定で、早くも『英経済への壊滅的な打撃』との懸念が沸き上がっている。 英調査会社LMCオートモーティブは、『ハードブレグジット』の場合、19年の英自動車生産は140万台と『ソフトブレグジット』に比べ-11%減少と予想している。3月29日の離脱期限を控え英経済に壊滅的な打撃を与える『合意なきブレグジット』リスクがブラックスワン指数の高止まりを支えている。

 

米国経済指標にも景気減速懸念の様相が見えてきた

米商務省が発表した12月耐久財受注速報値は前月比+1.2%となった。伸びは11月+1.0%から拡大したものの、市場予想の+1.7%は下回った。変動の激しい輸送用機を除いた指数は前月比+0.1%と11月-0.2%からプラスに改善し8月来で最大の伸びとなった。しかし、市場予想の+0.3%を下回った。 設備投資の先行指標となる航空機を除く非国防資本財(コア資本財)の受注は前月比-0.7%と2カ月連続のマイナスとなった。企業は設備投資に消極的になっている証拠となった。一方、国内総生産(GDP)の算出に用いられるコア資本財の出荷は前月比+0.5%と11月-0.2%からプラスに改善。伸びは市場予想0.0%も上回り、GDPの成長に寄与する。 同時刻に米労働省が発表した先週分新規失業保険申請件数は前週比2.3万件減の21.6万件と、予想以上に減少し、ほぼ1カ月ぶりの低水準となった。失業保険継続受給者数は172.5万人と、前回178万人から減少し、市場予想174.3万人を下回った。 2月フィラデルフィア連銀製造業景況指数は-4.1と、予想外に16年5月以降ほぼ3年ぶりマイナスに落ち込んだ。

 

欧米イベント

○16:00   10-12月期独国内総生産(GDP)改定値(季節調整済、予想:前期比横ばい/前年同期比0.6%)
○16:00   10-12月期独GDP改定値(季節調整前、予想:前年同期比0.9%)
○16:30   10-12月期スイス鉱工業生産指数
○17:30   1月香港CPI(予想:前年同月比2.6%)
○18:00   2月独Ifo企業景況感指数(予想:99.0)
○19:00   1月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)改定値(予想:前年比1.4%)
○19:00   1月ユーロ圏HICPコア改定値(予想:前年比1.1%)
○22:15   ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演
○22:30   12月カナダ小売売上高(予想:前月比▲0.3%/自動車を除く前月比▲0.3%)
○24:00   ビルロワ・フランス中銀総裁、講演
○23日00:15   ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、講演
○23日00:30   ドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
○23日02:00   クラリダ米連邦準備理事会(FRB)副議長、講演
○23日03:30   ブラード米セントルイス連銀総裁、講演
○23日03:30   クオールズFRB副議長、講演
○23日03:30   ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁、パネルディスカッションに参加
○23日04:30~   トランプ米大統領、劉鶴・中国副首相と会談
○米中閣僚級貿易協議(ワシントン、最終日)

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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