FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

2019/03/07/15:13:13

日経平均株価:半導体関連と銀行株の売りが相場の重石に

前日のNYダウが133ドル下落し3日間続落となったことやフィラデルフィア半導体株指数(SOX)が下落したことを嫌気して半導体関連株中心に売りが先行した。また、みずほFGの業績下方修正を受けた銀行株全般の下落も相場の重石となった。結局、前日比140円安の2万1456円と3日続落して終了した。

 

東京外国為替市場:様子見ムード強くもみ合い相場に終始

ドル/円は、日経平均株価の続落をながめてドル売り・円買いが先行し、111.56円近辺まで下落した。前日の経済協力開発機構(OECD)が、世界経済の成長率見通しを再び下げたことも、引き続きリスク回避の円買い要因となった。ただ、明日発表される米雇用統計を見極めたいとの雰囲気もあり、下押しは限られた。その後は、本邦実需筋などおのドル買い・円売りに支えられ、111.70円付近へ持ち直した。午後は、111.70円前後でもみ合う展開となった。今晩予定されているトランプ大統領とムニューシン米財務長官の会談に対する警戒感が広がっており、積極的な売買は見送られた。ユーロ/ドルは、今晩のECB理事会やドラギ総裁の会見を控えて様子見ムードが強く、1.13ドル台前半で小幅な値動きに終始した。

 

米貿易赤字拡大で日米貿易協定交渉も圧力強まる可能性

米商務省が6日発表した2018年の貿易統計によると、国際収支ベース(季節調整済み)のモノの取引に限った貿易赤字は10.4%増の8913億ドルと過去最大を記録した。中国との貿易戦争の影響で、米国による対中関税引き上げを見込んだ駆け込み輸入が膨らんだ。中国に対するモノの貿易赤字(通関ベース、季節調整前)は11.6%増の4192億ドルと、過去最大を更新し、赤字全体の半分を占めた。トランプ大統領は貿易赤字削減を公約に掲げているが、貿易戦争でむしろ赤字が広がった。
対日赤字は1.8%減の676億ドル。国別の赤字幅は中国、メキシコ、ドイツに次ぐ4位。自動車関連の赤字が540億ドルと全体の8割を占めた。トランプ政権は、日米両国が今春にも正式に始める貿易協定交渉で、是正圧力を強める可能性がある。

 

経済協力開発機構(OECD)の世界経済見通し

・世界経済見通し:今年3.3%(昨年11月時点3.5%)、来年3.4%(同3.5%)引き下げ

・ユーロ圏:今年1.0%(昨年11月時点1.8%)、来年1.2%(同1.6%)

・英国:今年0.8%(昨年11月時点1.4%)、来年0.9%(同1.1%)

・米国:今年2.6%(昨年11月時点2.7%)、来年2.2%(同2.1%)

・中国:今年6.2%(昨年11月時点6.3%)、来年6.0%(同6.0%)

・日本:今年0.8%(昨年11月時点1.0%)、来年0.7%(同0.7%)

 

欧州市場ではECB理事会が開催

 1月の議事要旨によると、新たな貸出条件付き長期資金供給オペ(TLTRO)に関する分析をすみやかに進めるようなスタッフに求めていたことが判明した。ユーロ圏経済の減速に備えた措置とみられる。ECBが量的緩和を再び導入することは困難だが、長期期間にわたって銀行に低金利の資金供給を行う必要があると判明している。主要政策金利の引き上げ時期については特定しない方針を維持している。

 

英国中銀総裁は合意なき離脱は想定していない

イングランド銀行(英中銀)のカンリフ副総裁は6日、無秩序な欧州連合(EU)離脱は英国の金融システムにとってなお最大のリスクだが、合意なき離脱は想定しておらず、英銀行は万全の準備をしているとの認識を示した。
カンリフ副総裁は講演で、『そのような結果(合意なき離脱)は、われわれの予想や起こる可能性があるものでなく、可能性のある最悪のケースである』としたうえで『もし合意なく離脱した場合、英資産価格の調整や英銀行の損失につながることはほぼ確実だ』と述べた。 英経済の高水準の債務は、主に低金利のおかげでかつてよりは管理可能とみられると述べた。しかし、離脱を巡る不確実性が後退し、住宅融資が持ち直すことがあれば、注視する必要があると指摘した。

 

欧米イベント

○15:45   2月スイス失業率(季節調整前、予想:2.7%)
○18:00   10-12月期南アフリカ経常収支(予想:1625億ランドの赤字)
○18:30   テンレイロ英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○19:00   10-12月期ユーロ圏域内総生産(GDP)確定値(予想:前期比0.2%/前年比1.2%)
○21:30   2月米企業の人員削減数(チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマス社調べ)
○21:45   欧州中央銀行(ECB)定例理事会、終了後政策金利発表(予想:0.00%に据え置き)
○22:30   ドラギECB総裁、定例記者会見
○22:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:22.5万件/177.5万人)
○22:30   10-12月期米非農業部門労働生産性・改定値(予想:前期比1.6%)
○22:30   1月カナダ住宅建設許可件数(予想:前月比▲5.0%)
○23:00   2月メキシコ消費者物価指数(CPI、予想:前月比▲0.02%)
○8日02:15   ブレイナード米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○8日05:00   1月米消費者信用残高(予想:160億ドル)
○米財務省3年、10年、30年債入札条件

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欧米タイム直前市場コメント!

2019/03/06/15:15:46

日経平均株価:中国政府の経済成長目標引き下げを嫌気

前日のNYダウが13ドル安の小幅続落となったことを受けて売りが先行した。中国政府の経済成長目標引き下げが投資家心理の悪化につながり先物に継続的な売りが出て、一時下げ幅を170円に広げた。また、値がさ株に金融機関の利益確定類が続いていることも相場の重石となった。結局、前日比129円安の2万1596円と続落で終了した。

 

東京外国為替市場:リスク回避のドル高・円高の展開

ドル/円は、日経平均株価の続落や米長期金利の低下をながめて持ち高調整などのドル売り・円買いに押され111.72円近辺まで下落した。前日にボンペオ米国務長官が『トランプ米大統領は、対中貿易協議の内容が完璧でなければ合意しない』と発言したことも、リスク回避の円買いにつながった。ただ、4日につけた安値111.64円が下値の目処として意識されると下げは一服した。午後は、日経平均株価や上海総合株価指数をにらみながら111.80円前後でもみ合う展開となった。ユーロ/ドルは、明日のECB理事会に対する警戒感から持ち高調整などのユーロ売り・ドル買いが入り、約2週間ぶりの安値圏となる1.1295ドル前後でもみ合う展開となった。

 

ドル/トルコリラの再暴落をカナダ系証券が予想

ドル/トルコリラは、昨年8月に記録した7.23リラ台のドル高・リラ安水準から11月末には5.13リラまでリラの買い戻しが強まった。もっとも心理的節目5リラには届かず、ここ最近は米金利上昇のあおりを受けて5.3-5.4リラ台でドルが底堅い動きとなった。
 昨夏に比べれば比較的落ち着いた動きとなっているトルコリラだが、先週、リラの再暴落を予想したレポートをカナダ系の証券会社が発表した。TD(トロント・ドミニオン)証券は、この秋までにトルコリラがドルに対して約40%下落し、8.90リラのリラ史上最安値までリラ売りが進むと予想している。現在の落ち着きは一時的なものとした。

 

英国のEU離脱協議の決断の時が迫る

協議期限まで25日を切った英国では、“離脱なし”を恐れる強硬離脱派に態度軟化の兆しがみられる一方で、英EU間のバックストップ見直し協議が強硬離脱派の意図する方向から乖離し始めている。 12日までにバックストップの時限性を法的に保証する方法で合意し、与野党の強硬離脱派がそれを受け入れるかは引き続き予断を許さない。議会を突破する道のりはある程度みえてきたが、それが来週になるのか、延長後になるのか、現時点では後者が有力となりつつある。

 

長引きそうな米債務上限の適用停止:今夏以降大騒ぎ?

2019年3月1日は、米国法定債務上限の適用停止期限だった。そのため3月4日からは、米国財務省は、資金調達のための米国債の発行は出来ず、2011年夏のようなデフォルト(債務不履行)懸念や米国債格下げショックの再現が警戒されていた。しかし、3月4日、ムニューシン米財務長官は、連邦政府の債務上限突破を回避するため、特別債務措置を発動したと表明した。米国財務省は、連邦職員の退職年金制度と障害者基金への投資を保留することで、3月4日から『債券発行停止期間』に入り、6月5日まで政府証券の支払いなどの資金繰りが可能となった。そして、民主党が多数派を占める米下院に対して、出来る限り早急に債務上限を引き上げて、米国への十分な信頼と信用を守るように要請した。しかしながら、トランプ米政権と下院民主党は、トランプ米大統領の国家非常事態宣言によるメキシコ国境の壁建設費用の流用やロシアゲート疑惑を巡って対立が激化しており、債務上限が引き上げられる可能性は限りなく低くなっている。債務上限を管轄しているグラスリー米上院財政委員長は、『議会は恐らく連邦債務の法定上限を少なくとも今夏まで引き上げないだろうし、10月1日まで上げないこともあり得る』と述べている。
 

米国市場では12月貿易収支が公表

11月実績は▲493億ドルの赤字となった。携帯電話端末と石油製品の輸入が減少したことによって貿易赤字は縮小した。ただし、12月の前渡し商品貿易収支は▲795億ドルで赤字幅は11月の705億ドルから大幅に拡大しており、サービスを含めた12月の貿易収支は500億ドルを大幅に上回る赤字となる可能性がある。

 

欧米イベント

○20:00   トルコ中銀、政策金利発表(予想:24.00%で据え置き)
○未定   ポーランド中銀、政策金利発表(予想:1.50%で据え置き)
○21:00   MBA住宅ローン申請指数
○21:15   カンリフ・イングランド銀行(BOE)副総裁、講演
○22:15   2月ADP全米雇用報告(予想:18.9万人)
○22:30   12月カナダ貿易収支(予想:28億カナダドルの赤字)
○22:30   10-12月期カナダ労働生産性指数(予想:前期比▲0.3%)
○22:30   12月米貿易収支(予想:579億ドルの赤字)
○24:00   カナダ銀行(BOC、中央銀行)、政策金利発表(予想:1.75%で据え置き)
○24:00   2月カナダIvey購買部協会景気指数
○7日00:30   EIA週間在庫統計
○7日02:00   ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、講演
○7日02:00   メスター米クリーブランド連銀総裁、講演
○7日02:30   サンダース英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○7日04:00   米地区連銀経済報告(ベージュブック)
○6-7日   2月ロシアCPI(予想:前月比0.4%)
○米欧貿易相会談(ワシントン)

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欧米タイム直前市場コメント!

2019/03/05/15:36:42

日経平均株価:利益確定売りに押される展開

前日のNYダウが一時410ドル超の下落となり結局204ドル安と反落したことを受け、日経平均株価も軟調推移となった。前日に18年10月高値から12月安値の下げ幅に対して『半値戻し』を達成したことで利益確定売りが出やすかった。中国・全人代で19年のGDP成長率を2年ぶりに引き下げたことで、中国の景気減速懸念に一時下げ幅を163円まで広げた。しかし、押し目買いも入り引けにかけて下げ足を縮めた。結局、前日比95円安の2万1726円と反落して終了した。

 

東京外国為替市場:111台後半でもみ合う展開継続

ドル/円は、本邦実需筋などのドル買い・円売りに支えられ、一時111.94円まで上昇した。しかし、午前に発表された中国非製造業PMIが予想を下回ったことを受けて、利食い売りなどに押されて111.80円台へ軟化した。午後は、日経平均株価の下げ幅縮小や中国株の持ち直しをながめて111.95円近辺までじり高となった。ただ、前日につけた112.01円がレジスタンスとして意識されると上げは一服し、111.90円を挟んでもみ合う展開となった。ユーロ/ドルは、米中通商交渉が合意に近づいているとの観測からポジション調整などのユーロ売り・ドル買いが入り1.1325ドル付近へ下落した。

 

★欧州市場では1月ユーロ圏小売売上高が公表

12月実績は前月比▲1.6%と急減したが、市場予想と概ね一致した。食品を除く売上やオンライン販売の減少が要因となっている。ドイツの小売売上高が大幅に減少したことも影響した。1月はドイツの小売売上高の反動増が予想されるが、オンライン販売の大幅な増加期待できないことから、ユーロ圏全体の売上高は市場予想を下回る可能性がある。

 

米名目GDP前年比と米10年債金利から市場を読む

米国では悪材料が相次いだ昨年10-12月期の米GDPは名目前年比が+5.3%となり、前期の+5.5%から鈍化したものの高い伸び率が堅持されている。一方で同期に米10年債金利のほうは、2.68%方向に低下する場面があった(債券価格は上昇)。結果、『名目GDP前年比-10年債金利』の格差は+2.62%となり(前期は+2.69%)、3期連続で+2.6%超えの大幅乖離が維持された。米国で『名目GDP前年比-10年債金利』の格差が3期連続以上の2.6%超えとなったのは、2014-2015年があった。その前でいえば、2012年に観測されている。いずれもその後は1-2年後を含めて、短期調整的な景気減速や株安を挟みながらも、景気改善と株高の軌道は慣性的に維持されてきた。さらにさかのぼると、1976年から1979年以来となる緩和環境となるものだ。当時の名目GDP前年比は1977年1-3月の+9.2%をボトムとして、1979年1-3月には+14.7%へと成長モメンタムが増幅されている。こうした前例を含めて、『名目GDP前年比-10年債金利』の格差がプラス化となっている局面では、FRBによる利下げ転換は観測されていない。いずれも利下げ転換までには1-2年の期間を有しているほか、1980年代以降の前例では、同格差がマイナス転換(=引き締め環境による景気悪化)になって、初めてFRBは利下げへと移行している。

 

再びパウエル米FRB議長を批判:転ばぬ先の杖批判

トランプ米大統領は週末にメリーランドで開催された保守政治活動会議(CPAC)のラリーで、ドル高や米国の金利上昇、量的引き締めを導いたとして米FRBのパウエル議長を再び批判した。『ドルが高すぎる』として、ドル安誘導に努めた。トランプ大統領は、米国経済に有益に働く理に適う『強いドル』が望ましく、米国の企業が他国と取引ができなくなりビジネスチャンスを奪われる『強すぎるドル』は望まないと訴えた。米国経済の回復が中断すようなことになったり、金融市場に混乱がもたらされた場合、その責任をFRBに担ってもらう策略だと市場は分析している。

 

米雇用統計では賃金上昇率が高まる傾向維持なら丸く収まる

米雇用統計が週末に発表されるほか、ベージュブックの発表が注目される。雇用統計は、2月分も市場は好調な結果を予想しているが、景気に遅行する性質を勘案すれば十分あり得る。 ここのところ就業者の増加幅が大きい一方で、失業率は上昇気味となるなど、一見すると矛盾する動きが目立っているが、これは労働参加率の改善で説明可能だ。労働参加率の水準はまだ低く、改善も緩やかではあるが、着実に上昇傾向を辿っている。 労働参加率改善を促しているのは、賃金を中心とした雇用環境の改善にあると考えられる。インフレ懸念が極めて低いなかでの景気の減速懸念から、FF金利先物は先行きの利下げを織り込むような格好となっている。 しかし、賃金上昇率が高まるような傾向を維持していれば、“結局全てが丸く収まる”ことを期待しているような市場の動きにも変調が生じる可能性が出てくる。

 

米国市場では2月ISM非製造業景況指数が公表

2月ISM非製造業景況指数は57.2と、1月の56.7を上回る見通しである。FRBの3月利上げ観測が後退しているが、想定以上に強い内容となれば株高・ドル高を誘発する手掛かりとなる。

 

欧米イベント

○16:30   2月スイス消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.4%)
○17:50   2月仏サービス部門PMI改定値(予想:49.8)
○17:55   2月独サービス部門PMI改定値(予想:55.1)
○18:00   2月ユーロ圏サービス部門PMI改定値(予想:52.3)
○18:30   2月英サービス部門PMI(予想:49.9)
○18:30   10-12月期南アフリカ国内総生産(GDP、予想:前期比年率1.8%/前年同期比0.6%)
○19:00   1月ユーロ圏小売売上高(予想:前月比1.2%/前年比1.9%)
○21:30   ローゼングレン米ボストン連銀総裁、講演
○23:30   カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、ミネソタ州議会で証言
○23:45   2月米サービス部門PMI改定値(予想:56.2)
○23:45   2月米総合PMI改定値
○24:00   2月米サプライマネジメント協会(ISM)非製造業指数(予想:57.3)
○24:00   12月米新築住宅販売件数(予想:前月比▲8.7%/60万件)
○6日00:35   カーニー・イングランド銀行(BOE)総裁、英上院経済問題委員会の公聴会に出席
○6日01:30   バーキン米リッチモンド連銀総裁、講演
○6日04:00   1月米月次財政収支(予想:250億ドルの黒字)
○ブラジル(カーニバル)、休場

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欧米タイム直前市場コメント!

2019/03/04/15:14:35

日経平均株価:米中貿易摩擦解消による期待から買い優勢

ブルームバーグが1日までに早ければ3月半ばに米中首脳会談を開催して貿易協議で合意する可能性があると報じた。前週末のNYダウ110ドル高の反発を好感した動きとなった。米中貿易摩擦解消による世界経済減速懸念の後退に景気敏感株を中心に買われた。結局、前日比219円高の2万1822円と反発して終了した。

 

東京外国為替市場:112円台を意識するも上値の重い展開

ドル/円は、国内輸入企業のドル買い・円売りや日経平均株価の続伸に支えられ、112.01円まで小幅に値を上げた。一部米メディアが『米国が中国に課している追加関税の大半を撤廃することを検討』と報じたことも、リスク選好の円売りを誘った。ただ、1日にNY市場で付けた約2ヵ月ぶりの高値112.08円に接近すると、上げは一服した。その後は、週末にトランプ大統領がドル高をけん制したことが意識され、111.95円を挟んでもみ合う展開となった。午後も111.95円を挟んだもみ合い相場が続いた。明日から始まる中国全国人民代表大会を控えて様子見ムードが強く、上下に動きにくい展開となった。ユーロ/ドルは、1.1365ドル前後で方向感に乏しい値動きとなった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

英国の離脱日延期は延命に過ぎず:ポンド買いも限定的

足もとでは英国の『合意なきEU離脱』回避の期待が高まったことを背景に、ポンド買いが優勢となっている。しかし、仮に3月29日の離脱日の延期が決定されたとしても、その後EUとの協議がまとまる保証はなく、ポンドの買い戻しも一段落する可能性が高い。延期は一時的な延命に過ぎず、数ヵ月後には再び『合意なき離脱』の危機に直面する可能性があり、上値を追う展開にはなりくい。英国が離脱の延期を決めても、EU27加盟国の首脳が同意する必要があり、離脱の延期が認められるかどうかが判明するのは21日に予定されているEU首脳会議になる。EUは基本的に離脱の延期には応じる姿勢を示しており、英国が離脱を要請すれば承認される可能性が高い。

 

イタリアの2018年の成長率は政府予想を下回る

イタリア国家統計局が発表した2018年の国内総生産(GDP)は0.9%増となった。政府の直近の予想は1.0%増だった。17年は1.5%増から1.6%増に上方修正された。イタリアは、18年の第3四半期と第4四半期がともに前期比マイナス成長で景気後退に突入した。国家統計局によると、18年は、17年よりも就業日が3日多く、それが成長率を少なくとも0.1%押し上げた。18年の財政赤字はGDP比2.10%で、EUが定める上限の3%を大きく下回り、07年以来の低水準だった17年2.4%から低下したが政府目標の1.9%は上回った。政府は今年の財政赤字をGDP比2.0%にする目標を揚げているが、不況による税収減少で達成が危ぶまれている。

 

米中通商合意の決着に期待高まる

米紙ウォール・ストリート・ジャーナルが3日に『米中は通商合意の決着に近づいている』と報道したことを受けてリスク選好の動きとなっている。同紙は、米中両国が追加関税の引き下げも含めて貿易協議を進めていると報じた。トランプ米大統領は1日のツイッターで、中国には米農産物へのすべての関税を撤廃するように求めたと明らかにした。ウォール・ストリート・ジャーナルは、中国が農産品や化学品など2018年に課した報復関税を取り下げることを提案しているとし、米国側も中国の構造問題を巡る協議が進展した場合、対中制裁関税の一部か全部を取り下げることを検討していると報じた。また、米中首脳会談が3月27日前後に開かれる可能性があると伝えている。トランプ米大統領は3月中に習近平・中国国家主席と会って決着を目指す方針で、首脳会談に向けて水面下で駆け引きが続いている。 

 

3月1日米国債務上限の適用停止期限

トランプ政権と米民主党は今後、債務上限の引き上げを巡って協議が難航することが予想される。2019年会計年度(18年10月-19年9月)の財政赤字が1兆ドルを超える可能性が高まっている。債務残高が22兆ドルを超えており、債務上限の引き上げ協議も難航しているため、1月の米財政収支で財政赤字が拡大していた場合は、ドル売り要因となりやすい。

 

欧米イベント

○16:00   2月トルコ消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.40%/前年比19.90%)
○18:30   2月英建設業購買担当者景気指数(PMI、予想:50.5)
○19:00   1月ユーロ圏卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.3%/前年比2.9%)
○24:00   12月米建設支出(予想:前月比0.2%)
○インド(シバ神生誕日)、ブラジル(カーニバル)、休場

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欧米タイム直前市場コメント!

2019/03/01/15:16:46

日経平均株価:円安が好感され上げ幅拡大

米長期金利上昇を背景に1ドル=111円台後半への円安を受け輸出関連中心に買いが先行した。また、18年10-12月期の法人企業統計の設備投資額が増加したことを受け、機械関連株にも物色が広がり上げ幅は200円を超えた。結局、前日比217円高の2万1602円と反発して終了した。

 

東京外国為替市場:中国の経済指標が予想を上回りリスク選好の円売り

ドル/円は、国内輸入企業などのドル買い・円売りや日経平均株価の反発に支えられて111.76円近辺まで上昇した。およそ2ヵ月ぶりの高値を付けた。財新・マークイットが発表した2月中国製造業PMIが、市場予想を上回ったことも、リスク選好の円売りを誘った。午後は、急速な上昇に対する警戒感から利食い売りなどに押されて111.65円近辺へ小緩んだ。ただ、今晩発表される米2月ISM製造業景況感指数を見極めたいとの雰囲気から下値を追う動きは限られ、111.70円を挟んでもみ合う展開となった。ユーロ/ドルは、1.1370ドル前後で小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

欧州市場では2月ユーロ圏消費者物価指数が公表

1月実績は前年比+1.4%だった。ユーロ圏の成長減速によるインフレ鈍化の可能性は高まっていないとみられている。2月については、エネルギー価格の下落は一服しつつあるものの、需要増の兆候は確認されていないことから、物価上昇率は1月実績と同水準にとどまる可能性がある。

 

英国のEUからの合意なき離脱は後退

 メイ首相は3月12日までに議会が修正後の合意案を受け入れなければ、13日に合意なき離脱の是非を問う採決、14日に協議期限延長の是非を問う採決の実施を約束。議会は27日、こうした政府方針を賛成多数で可決した。 これにより合意なき離脱の確率は後退した。協議期限延長という逃げ道があるなかで、必要な妥協のタイミングが先送りされる可能性がある。ただ、ひとまず離脱を確定したい強硬離脱派に名誉ある撤退の動きも散見されている。そのため、合意に向けた条件は整いつつある。

 

2018年の米国経済は13年ぶりの高成長

米商務省が発表した10-12月期国内総生産(GDP)速報値は前期比年率+2.6%となった。伸びは7-9月期+3.4%から鈍化したものの、予想+2.2%を上回った。内容で消費が+2.8%、企業の設備投資も+6.2%で、2016年末以来の低い伸びにとどまった前四半期の+2.5%から回復、長期的な成長が期待されている。対中貿易摩擦の激化で、米国政府が対中輸入品に賦課する関税を引き上げる可能性に備えて、企業は在庫の積み上げを加速させた結果、在庫が増えた。 2018年通年のGDPは+3.1%と、2005年以降13年ぶり最大の伸びを記録した。また、トランプ政権の目標である3%成長を上回った。FRBのパウエル議長も2018年の経済が3%を小幅下回る2.9%を予想しているとしていたが、議長の見通しも上回った。2018年の米国経済の成長はトランプ政権による1.5兆ドル規模の税制改革、財政支出拡大などの経済政策が奏功した。2019年経済は、こういった効果が薄れるため、成長ペースは鈍化が予想されている。市場のエコノミストやFOMCメンバーは2019年の成長が2%を小幅上回る成長にとどまると見ている。
今後、数四半期は膨大な在庫の処理がすすむため成長を抑制する可能性が指摘されている。過剰に積み上げられた分を処理することを見込むと、2019年の第1四半期のGDPの成長率が2%に減速する可能性が強い。

 

米国では2月ISM製造業景況指数が公表

1月実績は56.6に上昇した。新規受注と生産が上昇したことが要因となった。2月については生産の水準は維持される見込みだが、新規受注のさらなる上昇は期待出来ないことから、全体的には1月実績に近い水準となる可能性がある。エネルギー価格は下げ止まっており、原材料コストの低下は一服していることから、仕入れ価格指数はやや上昇するとみられる。

 

欧米イベント

○16:00   1月独小売売上高指数(予想:前月比2.0%/前年比1.2%)
○16:00   2月トルコ製造業購買担当者景気指数(PMI)
○16:30   1月スイス小売売上高(予想:前年同月比0.4%)
○16:45   1月仏財政収支
○17:30   2月スイスSVME購買部協会景気指数(予想:53.5)
○17:50   2月仏製造業PMI改定値(予想:51.4)
○17:55   2月独製造業PMI改定値(予想:47.6)
○17:55   2月独雇用統計(予想:失業率5.0%/失業者数変化▲0.5万人)
○18:00   2月ユーロ圏製造業PMI改定値(予想:49.2)
○18:00   2月ノルウェー失業率(予想:2.5%)
○18:30   1月英消費者信用残高(予想:8億ポンド)
○18:30   1月英マネーサプライM4
○18:30   2月英製造業PMI(予想:52.0)
○19:00   1月ユーロ圏失業率(予想:7.9%)
○19:00   2月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値(予想:前年比1.5%)
○19:00   2月ユーロ圏HICPコア速報値(予想:前年比1.1%)
○22:30   12月カナダ国内総生産(GDP、予想:前月比横ばい%/前年比1.4%)
       10-12月期カナダGDP(予想:前期比1.2%)
○22:30   12月米個人消費支出(PCE、予想:前月比▲0.2%)
       1月米個人所得(予想:前月比0.3%)
       12月米PCEデフレーター(予想:前年比1.7%)
       12月米PCEコアデフレーター(予想:前月比0.2%/前年比1.9%)
○23:45   2月米製造業PMI改定値(予想:53.7)
○24:00   2月米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景気指数(予想:55.5)
○24:00   2月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、確報値、予想:95.7)
○2日02:50   ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演
○2日03:00   2月ブラジル貿易収支(予想:30.00億ドルの黒字)
○米中貿易協議の期限

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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