FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

2019/04/05/15:12:50

日経平均株価:米中通商協議の進展期待から買い優勢

米中通商協議を巡る合意が近いとの期待から、投資家心理が改善して景気敏感株を中心に買いが先行した。一時上げ幅を100円超に広げ約1ヵ月ぶり高値を付けた。ただ、海外投資家の利益確定売りが重石となった。結局、前日比82円高の2万1807円と続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:ドル買いが継続するも上値も重い

ドル/円は、本邦実需筋のドル買い・円売りや米中通商協議の進展期待から一時111.79円付近まで上昇した。しかし、心理的節目の112.00円が視野入ると、ドルの上げは一服した。その後は、週末を控えた利益確定や持ち高調整のドル売り・円買いに押され111.60円付近まで下落した。午後は、日経平均株価をにらみながら111.70円前後でもみ合う展開となった。米3月雇用統計を控えて、様子見ムードも広がった。ユーロ/ドルは、1.12ドル台前半で方向感に欠く値動きとなった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

ノルウェー政府年金基金の年次白書の発表:円資産の除外の可能性も

ノルウェー財務省は東京18時45分に年次白書を発表し、運用資産額が1兆ドル超のノルウェー政府年金基金のグローバル債券ポートフォリオの見直しが明らかとなる。基本的なポートフォリオのうち債券は約30%(株式が最大70%、不動産が上限7%)の配分。同基金は2年前、20以上の債券指数構成通貨をドル、ユーロ、ポンドに限定することを政府に提案した。もし提案通り円が除かれた場合、直ぐに資金移動があるとは思えないが、円が全般的に弱い地合いの中で円売りが強まる可能性がある。

 

サウジがドル建て原油取引をやめる可能性も:ドル安材料となりやすい

世界最大の原油輸出国サウジアラビアがドル建ての原油取引をしない可能性が報じられた。その確率はまだ高くないものの、米議会が『OPEC加盟国を反トラスト法違反で提訴できる法案』を通過させた場合、サウジの脱ドルの動きが強まるとの見方をする市場参加者はいる。また、米下院が4日に『イエメン内戦に介入するサウジへの軍事支援の停止を求める決議案』を賛成多数で可決したことも、サウジ側からの反発に繋がっている。

 

格付け会社のコメント受けリラ買いも戻り鈍い

昨日は、欧州序盤の5.66リラ前半からNY昼前には5.55リラ半ばまでリラ高・ドル安が進んだ。トルコ中銀の外貨準備高が増加したことが明らかになるとリラが底堅くなり、格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)のトルコについてのコメントをきっかけに5.62リラを割り込み5.55リラ台までリラ買い・ドル売りが加速した。S&Pは、『リラ安がこれ以上進むようであればトルコ企業にとって大きな痛手になる』としながらも、『現時点ではトルコ格下げのリスクはない』と述べた。東京外国為替市場では、5.61リラ後半でもみ合い推移した。

 

インドは引き続き金融緩和を継続:総選挙控え政権への忖度?

インドの中央銀行にあたる準備銀行は4日、金融政策を決める会合を開き、政策金利を6.25%から6%に引き下げることを決めた。政策金利の引き下げは前回、ことし2月の会合に続いて2回連続となる。準備銀行のダス総裁は声明を出し『世界経済の低迷の影響で国内経済は逆風を受けている。停滞している民間投資を刺激し成長の勢いを増す必要がある』と述べて、利下げは景気を刺激するための判断だと強調した。
インドでは今月11日から来月にかけて総選挙が行われる予定で、モディ政権は経済成長の勢いを維持して国民の支持を得ようと、準備銀行側に景気刺激策を求めていた。準備銀行のダス総裁はモディ政権に近い人物とされ、利下げの判断は政権の意向が反映されたものと受け止められている。

 

米国市場では3月雇用統計が公表

2月実績は、非農業部門雇用者数が前月比+2万人にとどまったが、平均時給の伸びは1月実績を上回った。3月については、新規失業保険申請件数の推移を基にすると15万人程度の雇用増となる可能性があり、市場予想の17.5万人は妥当な水準となる。市場の失業率予想は3.8%、平均時給予想は前月比+0.3%、前年比3.4%となっている。

 

欧米イベント

○15:00   2月独鉱工業生産(予想:前月比0.5%/前年同月比▲1.4%)
○15:45   2月仏貿易収支(予想:47億ユーロの赤字)
○15:45   2月仏経常収支
○21:30   3月カナダ雇用統計(予想:新規雇用者数変化1万人/失業率5.8%)
○21:30   3月米雇用統計(予想:非農業部門雇用者数変化17.5万人/失業率3.8%/平均時給、前月比0.3%/前年比3.4%)
○6日04:00  2月米消費者信用残高(予想:170億ドル)
○6日04:30  ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演
○5-8日   3月ロシアCPI(予想:前月比0.4%)
○主要7カ国(G7)外相会合(仏ディナール、6日まで)
○7日 豪州、NZが冬時間に移行

 

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欧米タイム直前市場コメント!

2019/04/04/15:14:15

日経平均株価:短期的な過熱感から売りに押される展開

前日の米ハイテク株高を好感し半導体や電気機器関連に買いが先行した。ただ、内需関連への売りや短期的な過熱感を警戒したヘッジファンドなど海外短期筋の売りに押される展開となった。結局、前日比11円安の2万1724円と小幅続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:日経平均株の伸び悩みでドルの上値も限定的

ドル/円は、国内輸入企業などのドル買い・円売りの支えられ一時111.52円まで上昇した。しかし、前日に付けた111.57円が上値目処として意識されると、利食い売りも見られ111.45円近辺まで下落した。黒田日銀総裁が『粘り強く現在の金融緩和を続けていく』『金融政策運営は、金融情勢も十分に勘案して進めていく』などと発言したものの、目新しいものはなく、市場の反応は限定的だった。午後は日経平均株価の伸び悩みや米長期金利の低下をながめて、持ち高調整などのドル売り・円買いが入り111.35円付近へ下落した。ただ、米中通商協議の行方を見極めたいとの雰囲気もあり、下値は限定的となった。ユーロ/ドルは、1.1240ドル前後で方向感の欠いた展開となった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

中国の経済政策不確実性指数(EPU)は高止まり

中国当局の猛烈な信用拡張策に米中貿易協議の進展期待、さらに緩和的な金融政策などを背景に個人投資家中心に上海株の先行き『強気』ムードが醸成され、しかるべき『資産効果』が減税効果と相まって景気底入れを後押すと期待されている。もっとも中国の投資家心理は一方向に傾きやすく、金融当局が信用取引の規制強化などに乗り出さなければ上昇基調が続く可能性が高い。一方、前述NY金融筋の『中国構造不況論』が景気底入れ後の回復力の鈍さが危惧させる。その最たる要因が、すでに日本のバブル期と同じ200%を超えた中国の民間債務比率の大きさである。リーマン危機以降の財政大判振る舞いにより、世界の債務増加額67兆ドルのうち、中国が27.5兆ドルと全体の4割を占める。米ブルームバーグによれば、2017年の中国全体の負債額は32.5兆ドル(GDP比266%)を超え、10年間で4.4倍(GDP比で1.6倍)に膨れ上がった。とりわけ、企業負債の中で突出しているのがドル建て債務である。2011年頃から急増し、2017年10-12月期には450億ドルに迫る膨張となり、底入れ後の回復力を減殺しそうだ。さらに、中国経済の先行き不透明感を象徴するのが市場を取り巻く『不確実性』の物差し『経済政策不確実性指数』(EPU)の高止まりである。

※経済政策不確実性指数(EPU)とは、経済政策の不確実性に関する新聞記事の数、将来的に控える税制の変更による金額的影響度、エコノミストによる経済予想のバラツキ度合いの三項目から構成され、先行きの不透明感を示すもの。

 

英国は12日まで綱渡りの様相:ポンドの不安定が続く

12日のEU離脱期限に向け英下院は3日夜、12日に合意なくEU離脱することを阻止しるために、メイ英首相に離脱延期を要請する議案を313対312の僅差で可決した。可決報道を受けて市場の反応はポンド買いとなった。延期については、英大衆紙サンが『来週の臨時EU首脳会議で首相は9カ月の離脱延期(中断条件項目付き)を求める』と報じた。しかしながら離脱強硬派の反発は必至であり、メイ内閣の離脱派の多くが辞任する可能性も同紙は伝えている。もし英政権の混乱が深まるようであれば、ポンドの上値は再び重くなる。

 

トルコリラは下げ止まるも上値追いの勢いはない

3日に発表された3月トルコ消費者物価指数(CPI)は前年比+19.71%と前回・予想を上回った。食料品の上昇率が31%と高く、医療品なども20%前半から後半に上昇した。指標結果を受けてトルコリラ円は19.90円台から19.70円割れと1%超下落するも、その後は19.80円を挟みもみ合う展開となっている。もっとも米トルコ関係悪化の懸念もあり、上値追いの勢いはない。 昨日3日の講演でペンス米副大統領は、露からミサイルシステムを購入するトルコを無謀だと強く非難した。露側に歩み寄るトルコの姿勢に、同国の北大西洋条約機構(NATO)加盟継続についても疑問を呈している。昨夏のトルコショックは米国との溝の深まりが大きな要因であり、両国の関係がこのまま改善しなければトルコリラの下向きバイアスが強まる可能性が高い。

 

米国市場では4月5日に3月雇用統計が公表

市場予想は、失業率が3.8%とほぼ50年来の低水準を維持している。非農業部門雇用者数の伸びは前月比17.8万人と、2月の2.5万人から改善が予想されている。
ただ、先行指標の中でも労働省が発表する雇用統計との相関関係が最も強いとされている民間雇用の統計であるADP雇用統計の3月分は前月比+12.9万人となり、市場予想+17.5万人を下回り2017年9月以降1年半ぶりで最小を記録した。そのため、米3月の雇用統計にも警戒感が浮上した。 2月の低調な結果は政府機関閉鎖など特別かつ一時的要因が影響したと見られている。万が一、3月分もネガティブサプライズとなった場合は、労働市場の兆候をあらわし、今後の成長減速見通しを裏付けることになる。

全米の製造業動向を示すISM製造業指数の3月の雇用は57.5と、11月来で最高に達し、全体指数を押し上げた。米国経済の7割を消費が占めるため民間雇用動向を判断する上で重要視されるISM非製造業の3月分の雇用は55.9と2月55.2から改善も、6カ月平均57.0を下回り、全般的な消費の減速が確認された。

 注目の平均時給は前月比+0.3%、前年比+3.4%と、前月比では伸びの鈍化が予想されているものの、前年比では2009年4月来10年ぶりの大幅な伸びを維持すると見られている。

 

欧米イベント

○15:00   2月独製造業新規受注(予想:前月比0.3%/前年同月比▲3.1%)
○15:15   インド中銀、金融政策決定会合(予想:6.00%に引き下げ)
○20:30   欧州中央銀行(ECB)理事会議事要旨(3月7日分)
○20:30   3月米企業の人員削減数(チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマス社調べ)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:21.6万件/175.0万人)
○23:00   3月カナダIvey購買部協会景気指数(予想:51.1)
○5日02:00   メスター米クリーブランド連銀総裁、講演
○5日02:00   ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁、講演
○米財務省3年、10年、30年債入札条件

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欧米タイム直前市場コメント!

2019/04/03/15:13:46

日経平均株価:米中通商協議の進展報道を好感

前日にNYダウは79ドル安と反落したものの、ナスダック総合指数は昨年10月以来の高値示現でハイテク関連株中心に買いが先行した。英FT紙が『米中閣僚協議で最終合意が近い』と報じて投資家心理が強気に傾き上げ幅を200円超に広げた。結局、前日比207円高の2万1713円と反発して終了した。

 

東京外国為替市場:米中通商協議の合意期待や中国経済指標改善を好感

ドル/円は、米中通商協議の合意期待や日経平均株価の反発を背景にドル買い・円売りが進み、111.52円近辺まで序章した。財新・マークイットが発表した3月中国サービス業部門購買担当者景気指数(PMI)が54.4と市場予想の52.3を上回ったことも、リスク選好の円売りを誘った。ただ、トランプ米大統領がFRB議長への不満を漏らしていることから、上値では利益確定や戻り待ちのドル売り・円買いも見られ111.50円前後で推移した。午後は日経平均株価や上海総合株価指数をにらみながら小幅値を下げて111.40円を挟んだもみ合いとなった。ユーロ/ドルは1.12ドル台前半で小幅な動きとなった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

欧州市場では2月小売売上高が公表

1月の実績は前月比+1.3%だった。2月については反動減となる可能性があるものの、ドイツ、フランスの個人消費がやや持ち直していることから、前月比でプラスとなる可能性は残されており、市場予想の前月比+0.1%は妥当な水準。

 

空売りの解消の買いでビットコインが5000ドル台回復

インターネット上の仮想通貨ビットコインが堅調推移している。ドル建て価格は日本時間2日午後に急伸した後も買いが継続し、一部交換所で2日夜に昨年11月以来の高値となる1ビットコイン=5100ドル台を付けた。情報サイトのコインデスクのデータでもじり高で、日本時間午前は5000ドル近辺で推移している。昨年12月~今年2月に空売りを仕掛けた投機筋の持ち高解消が続き、それに日本の個人投資家などが追随して買いを進めている。ビットコイン以外の仮想通貨であるオルトコインからビットコインへ資金を移す動きも一部で出ている。市場では『商いが薄いなかでの短期的な上昇を狙った買いが主流で、相場上昇の持続性は乏しい』との見方が多い。

 

米中の通商協議も大詰めに

米中の貿易問題に関する閣僚級の交渉は、先週、北京で行われたのに続いて、3日からワシントンで再開し、アメリカからライトハイザー通商代表やムニューシン財務長官、中国からは劉鶴副首相が出席する。交渉では、中国による知的財産権の侵害やアメリカが抱える巨額の貿易赤字の削減などについて協議を続けている。さらに、中国からの輸入品に高い関税をかける制裁措置について、中国側は、交渉が合意したら直ちに解除するよう求めているが、アメリカ側は、中国が合意を守るかどうか確かめるため当面は解除しない考えで、米中の主張が分かれ、交渉の焦点になっている。

 

いよいよ日米通商協議再開

日米両政府は、今月下旬に行われる予定の首脳会談に先立って、15日と16日の2日間、茂木経済再生担当大臣とライトハイザー通商代表による閣僚級の交渉の初会合をワシントンで行う方向で最終調整に入った。今回の貿易交渉について、日本政府は、先に首脳間で合意した共同声明に沿って、TAG=物品貿易協定の締結に向けた物品関税の撤廃・削減の議論が中心になるとしていて、サービスを含むほかの分野については『早期に結果を生じえるもの』のみが当面の交渉対象になると説明している。

 

欧米イベント

○16:00   3月トルコ消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.92%/前年比19.57%)
○16:50   3月仏サービス部門PMI改定値(予想:48.7)
○16:55   3月独サービス部門PMI改定値(予想:54.9)
○17:00   3月ユーロ圏サービス部門PMI改定値(予想:52.7)
○17:30   3月英サービス部門PMI(予想:50.9)
○18:00   2月ユーロ圏小売売上高(予想:前月比0.2%/前年比2.3%)
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○未定   ポーランド中銀、政策金利発表(予想:1.50%で据え置き)
○21:15   3月ADP全米雇用報告(予想:17.0万人)
○21:30   ボスティック米アトランタ連銀総裁、ジョージ米カンザスシティー連銀総裁、バーキン米リッチモンド連銀総裁、講演
○22:45   3月米サービス部門PMI改定値(予想:54.8)
○22:45   3月米総合PMI改定値
○23:00   3月米サプライマネジメント協会(ISM)非製造業指数(予想:58.0)
○23:30   EIA週間在庫統計
○4日06:00   カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、講演
○米中閣僚級貿易協議(ワシントン)

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欧米タイム直前市場コメント!

2019/04/02/15:15:38

日経平均株価:戻り待ちの売りに押される展開

米中の経済指標の改善を手がかりにした世界的な株高を好感して買いが先行し、一時上げ幅を200円超へ広げ約1ヵ月ぶり高値を付けた。しかし、戻り待ちや金融機関の利益確定売りに押されて下げに転じた。結局、前日比3円安の2万1505円と小反落して終了した。

 

東京外国為替市場:日本株上げ幅縮小で111円台前半でもみ合い相場

ドル/円は、前日に発表された米3月ISM製造業景況感指数の上振れや米国株高を好感したドル買い・円売りが先行した。しかし、上値の111.48円が意識されると、上げは一服した。その後、日経平均株価の上げ幅縮小や米長期金利の低下をながめて利食い売りなどに押され、111.30円付近へ下落した。午後は、日経平均株価や上海総合株価指数をにらみながら111.30円台を中心とした狭いレンジ内のもみ合い相場となった。ユーロ/ドルは、豪ドル安・ドル高の流れが波及し、1.12ドル台を割り込んで1.1195ドル付近まで下落した。しかし、下値では値ごろ感からユーロを買い戻す動きも見られ、1.1210ドル付近へ切り返した。

 

英国のEU離脱問題も最終コーナー

メイ首相が退陣を条件に離脱合意の受け入れを迫った3度目の投票は、強硬離脱派の中心人物が土壇場で合意受け入れに方針転換したものの、58票差で再び否決された。
議会は1日に代替案の採決を予定、3日も代替案の審議時間確保に動いており、政府に関税同盟を中心とした穏健離脱の受け入れを一段と迫る模様である。対する政府は四度目の合意受け入れ採決を目指して、強硬離脱派や閣外協力する地域政党の説得を続けている。 穏健な代替案か政府案での離脱か、いよいよ最終決戦を迎える。四度目の採決が失敗に終わった場合も、メイ首相は保守党分裂の恐れがある穏健な代替案を受け入れるのではなく、議会の解散・総選挙に打って出る可能性が高い。

 

NYダウ輸送株指数が再反発

米国の内需や全体株に先行性のある『NYダウ輸送株指数』は、年初からの反発と2月後半以降の調整下落を経て、3月25日以降は再反発へと転じてきた。トレンド基調を示す前年比変化率(月間安値÷前年同月の月間高値)では、昨年12月の▲19.6%、今年1月の▲22.5%が最悪ボトムとなる形で3月は-7.9%と底入れ攻防に直面している。過去の株安局面における前年比大幅マイナスの最悪ボトムは、2016年1月、2012年7月、2009年3月、2003年3月などで観測されてきた。

 

米国の利下げ観測も後退気味

米供給管理協会(ISM)が発表した3月ISM製造業景況指数は55.3と、2年ぶりの低水準となった2月54.2から回復した。特に雇用の改善が全体指数を押し上げた。主要項目である新規受注は57.4と、2月の55.5から上昇した。雇用は57.5と、4カ月ぶりに上昇し2018年11月来の高水準を記録し労働市場が引き続きひっ迫している証拠となった。一方で、輸出:51.7(52.8)、輸入:51.1(55.3)それぞれ前月から低下し、2年ぶり低水準となった。対中貿易摩擦が引き続き影響し、成長を抑制している証拠となった。一方、米商務省が発表した2月小売売上高は前月比-0.2%と予想外のマイナスに落ち込んだ。悪天候が影響し建材(-4.4%、2012年4月来で最大の減少率)や食料雑貨(-2.3%)の売り上げが冴えず、全体指数に影響した。2月に北部、北東部は歴史的大雪に見舞われたほか、東南部は歴史的な雨量を記録した。
国内総生産(GDP)の算出に使用される自動車・建材・給油・食品を除いたコントロールグループは-0.2%と、やはり予想外に12月来のマイナスを記録した。ただ、1月分は1.7%に上方修正され、2001年10月以降ほぼ17年ぶり高い伸びを示し、まちまちの結果となった。
1-3月期GDPは平均で1.5%前後の成長が予想されている。米商務省と類似したモデルを使用しているとして度々注目されるアトランタ連銀の予想では1-3月期GDPで+2.13%を見込んでいる。

 

米国市場では2月耐久財受注が公表

1月の実績は前月比+0.4%だった。民間航空機・同部品が前月比+15.9%と大幅に増加したことが要因となった。輸送関連を除く新規受注額は前月比▲0.1%だった。2月については、民間航空機・同部品の受注額は大幅に減少すると予想されており、全体の受注額は減少する見込みとなっている。なお、1月の航空機を除く非国防資本財(コア資本財)の受注額は前月比+0.8%だった。2月については若干減少する見込みとなっている。

 

欧米イベント

○15:30   3月スイス消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.4%)
○16:00   プラート欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○17:30   3月英建設業購買担当者景気指数(PMI、予想:49.8)
○18:00   2月ユーロ圏卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.1%/前年比3.1%)
○21:30   2月米耐久財受注額(予想:前月比▲1.8%/輸送用機器を除く前月比0.2%)

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欧米タイム直前市場コメント!

2019/04/01/15:24:24

日経平均株価:買い安心感が広がり先物主導で上昇

新年度入りした東京株式市場では、前週末の米国株式市場の上昇や中国景況感改善を受けて投資家心理が上向いたこともあり、海外勢を中心に株価指数先物に買いが入った。また、外国為替市場で1ドル=111円台まで円安・ドル高が進行し輸出関連株を中心に買いが広がり、一時上げ幅は500円に迫る場面もあった。ただ、午後になると、利食い売りなどにより上げ幅を縮小する展開となった。結局、前日比303円高の2万1509円と続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:リスク選好の円売りも111円台では上値重い

ドル/円は、日経平均株価の大幅高や米長期金利の上昇に支えられ、111.18円まで上昇した。財新・マークイットが発表した3月中国製造業PMIが50.8と市場予想の49.9を上回ったことも、リスク選好の円売りを誘った。ただ、今晩発表される米2月小売売上高や米3月ISM製造業景況指数を見極めたいとの雰囲気もあり、上げ幅は一服した。午後は、日経平均株価指数の上げ幅縮小をながめて利食い売りなどに押され、111.00円近辺まで小緩んだ。ただ、下値では本邦実需筋のドル買い・円売りが入り、111.05円を挟んでもみ合い相場となった。ユーロ/ドルは、ポンド/ドルのポンド高・ドル安が波及、1.1240ドル台へ値を上げた。欧州勢待ちの様相となっている。

 

新元号で『レイ』が買われる:利食いも早そう

CM向け映像やイベントの製作を手掛ける『レイ(4317)』に買いが集まっている。後場には買い注文が膨らみ、買い気配のまま商いが成立していない。株式市場の昼休み時間中に、平静の次の元号が『令和』になると発表された。社名に新年号『令和』の『レイ』の読みが入っていることで、個人投資家を中心に思惑買いが入った。ただ、市場では『改元はきょうの大きなテーマなので個人投資家が買っているが、業績などの材料で買われているわけではない以上、直ぐに利益確定売りに押さえれる』との指摘がある。

 

中国景気も底打ちの兆し

中国政府が3月31日に発表した3月の製造業購買部担当者景気指数(PMI)は前月比1.3ポイント上昇の50.5となり、景況感の分かれ目となる50を上回って昨年9月以来の高水準となった。中国メディアの財新などが1日に発表した民間版の製造業PMIも0.9ポイント上昇の50.8となり、好調だった。中国政府が過去1年以上にわたり実施してきた各種の景気対策が奏功し始めた可能性が高い。

 

米格付け会社のコメントを受けトルコリラ弱含み

米格付け会社ムーディーズは、通貨下落を止めるためにリラ買い介入を行ったトルコ中銀の独立性に懸念を表明した。また、今後も不透明な金融政策が続くようであれば、トルコからの資本逃避が増加する可能性についても言及した。

 

景気減速を示唆するような日銀短観結果

大企業・製造業の企業の景況感を示す業況判断指数(DI)はプラス12となった。前回2018年12月調査のプラス19に比べて7ポイントの悪化となり、悪化は2四半期ぶりとなった。7ポイントの悪化は12年12月の9ポイント悪化以来となる。先行きについてはプラス8と、さらに4ポイントの悪化を見込んでいる。製造業の中堅企業のDIはプラス7と前回のプラス17から10ポイントの悪化となり、先行きプラス3と4ポイント悪化を見込んでいる。製造業の中小企業のDiはプラス6と前回の14ポイントから8ポイントの悪化となり、先行きはマイナス2と8ポイントの悪化となりマイナスに転じるとの見込みとなった。

非製造業をみてみると、大企業は足もとプラス21とプラス3の悪化、先行きは1ポイントの悪化を見込んでいる。中堅企業は足もと18と1ポイントの改善、先行きは6ポイント悪化を見込んでいる。中小企業は足もとプラス12と1ポイントの改善、先行き7ポイントの悪化を見込んでいる。

2019年度の事業計画の前提となる想定為替レートは大企業・製造業で1ドル108.87円としている。現在のところは為替想定レートを上回っている。

短観の結果をみてみるとすでにピークアウトしたことが伺える。

 

米国市場では2月小売売上高が公表

1月の実績は前月比+0.2%で市場予想をやや上回った。自動車・関連部品を除いた売上高は同比+0.9%となった。インライン・ストアなどの無店舗小売は+2.6%となった。2月については自動車・関連部品売上高の反動増が予想されることや、無店舗小売りは順調であるとみれており、売上高の伸びは1月実績をやや上回る可能性がある。

 

欧米市場イベント

○15:30   2月スイス小売売上高(予想:▲0.3%)
○16:00   3月トルコ製造業PMI
○16:30   3月スイスSVME購買部協会景気指数(予想:53.6)
○16:50   3月仏製造業PMI改定値(予想:49.8)
○16:55   3月独製造業PMI改定値(予想:44.7)
○17:00   3月ユーロ圏製造業PMI改定値(予想:47.6)
○17:30   3月英製造業PMI(予想:51.0)
○18:00   2月ユーロ圏失業率(予想:7.8%)
○18:00   3月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値(予想:前年比1.5%)
○18:00   3月ユーロ圏HICPコア速報値(予想:前年比0.9%)
○21:30   2月米小売売上高(予想:前月比0.3%/自動車を除く前月比0.4%)
○22:45   3月米製造業PMI改定値(予想:52.5)
○23:00   3月米ISM製造業景気指数(予想:54.5)
○23:00   2月米建設支出(予想:前月比▲0.3%)
○23:00   1月米企業在庫(予想:前月比0.3%)
○2日04:10  ポロズ・カナダ銀行(中央銀行、BOC)総裁、講演
○1-2日   10-12月期ロシア国内総生産(GDP、予想:前年比2.0%)
○1-2日   3月ブラジル貿易収支(予想:55億ドルの黒字)
○欧州は3月31日から夏時間に移行済み

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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