FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

2019/03/14/15:13:49

日経平均株価:本邦金融機関からの利益確定売りに押される展開

前日のNYダウが148ドル高と反発したことや、英国がEUから『合意なき離脱』反対動議の可決を受けて買いが先行し、一時上げ幅を230円超へ広げた。しかし、3月決算期末を控えて国内金融機関の利益確定売りに押されて下げに転じた。結局、前日比3円安の2万1287円と小幅続落して終了した。

 

東京外国為替市場:日本株上昇と米長期金利上昇を好感したドル買い

ドル/円は、日経平均株価の上げ幅が一時200円を超えたことに支えられ、111.50円付近へ上昇した。米長期金利が上昇したことも、ドル買いにつながった。午後もこの流れは続き、111.63円程度まで上昇した。しかし、8日に付けた111.65円が上値の目処として意識されると、上げは一服した。その後は、日経平均株価の伸び悩みをながめて利益確定売りに押され、111.50円台を中心とした狭いレンジ内での動きとなった。ユーロ/ドルは、1.13ドル台前半で小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

英国のEU離脱リスクや政局不安は依然残る

英国は29日に欧州連合(EU)離脱を控えて、また協定が成立していない。英議会は13日の採決で、合意ない離脱案を排除した。14日には離脱延期を巡る採決を控える。メイ首相は2カ月間延期し5月の離脱を目指すようだ。さらに、21-22日に予定されているEUサミット前、20日までに、英国政府は離脱巡る3回目の重要な採決を目指すとしている。 『合意なき離脱』の可能性が排除されたため、2016年の国民投票でサプライズとなった離脱決定の結果を受けたヘッジの手仕舞がさらに強まり、ポンドは急反発している。 議会は6月末までの離脱延期を求める。離脱延長にはEU27カ国の承認が必要となりる。承認が得られる保証はなく、ハードルは高い。また、政局不安もくすぶるなど、リスクも存続する。ポンドの変動率は当面高止まりすると予想される。

 

豪州中銀の利下げも現実味を帯びる干ばつ

6日に発表された10-12月期豪GDPが市場予想を下回り、大手銀行各社が相次いでRBAの年内2回利下げを予想するレポートを発表したことは記憶に新しいが、早くも次回6月5日に発表予定の1-3月期GDPを警戒する声が目立っている。1月には南オーストラリア州アデレードで46.6℃まで上がった。ここ数年間、深刻な干ばつに悩まされている東部地方では、今夏の熱波で農業・家畜農家に壊滅的な被害をもたらしており、干ばつで牧草が育たず、家畜用飼料の干し草の需給が逼迫し、価格が高騰したため家畜農家のコスト増を招いている。更に悪いことに2月に入って記録的な雨が2週間に渡って降り続き、洪水で数十万頭に及ぶ牛が死亡するなどさらなる甚大な被害を受けた。
干ばつはあらゆる方面に影響をもたらしており、水位の低下と高温で主要河川のマレー川では100万匹に達する魚の大量死が確認されたほか、タスマニア州では1カ月以上にわたり山火事が続き、太古の昔から生き続けている原生種や高山植物相が絶滅の危機に陥っている。RBA副総裁を務めるデベル氏は昨日、東部で続く深刻な干ばつが今年のGDP成長率の足枷となると懸念を示しており、同氏は既に0.15%程度GDP成長率を押し下げていると警告した。そして本日朝方に発表された3月ウェストパック消費者信頼感指数も98.8と2017年9月以来の低水準となるなど、好調な労働市場を除いてはネガティブニュース続きの豪州。RBAの利下げは現実味を帯びている。

 

トルコショックから立ち直ったが実体経済は悪化の一途

トルコの実体経済は悪化の一途を辿り、昨年10-12月の実質GDP成長率は前期比年率▲9.44%と2四半期連続のマイナス成長となる『景気後退局面』入りしている。外需に底堅さがみられる一方、高インフレと雇用悪化に伴い内需は軒並み悪化している。
 企業部門のマインドに底打ちの兆候はあるが、家計部門はマインド悪化が続くなど景気浮揚の兆しは乏しい。アルバイラク財務相は足下の経済に好意的な見方を示すが、政府の経済見通しの実現は極めて難しく、統一地方選の結果を含め政治を揺さぶる可能性には要注意である。

 

トランプ大統領は中国との通商合意は急がず

トランプ米大統領は13日、中国との通商合意は急いでいないとし、米政府は知的財産権の保護を含む構造的な改革が合意に含まれることを望んでいると述べた。
トランプ大統領はホワイトハウスで『交渉は極めて順調に進捗していると考えている。(合意が)いつになるのか様子を見たい』とし、『(合意は)急いでいない。米国にとり正しいディール(取引)である必要があり、そうでなければディールは行わない』と述べた。『私が納得のいかない合意には背を向けることを習国家主席は理解していると考える。物別れに終わる可能性は常にあり、習氏はそれを望んでいないだろう』と語った。 ただ、中国と合意できる公算は極めて大きいとも指摘。首脳会談前に合意するのか、首脳会談の場で合意することになるのかについては『いずれの方向も可能』とした上で、中国の習近平国家主席とともに詳細について最終決定することを望むと述べた。

 

欧米イベント

○15:30   2月インド卸売物価指数(WPI、予想:前年比2.88%)
○16:00   2月独消費者物価指数(CPI)改定値(予想:前月比0.5%/前年比1.6%)
○16:00   1月トルコ鉱工業生産(予想:前月比0.3%)
○16:30   2月スイス生産者輸入価格(予想:前月比▲0.1%)
○16:45   2月仏CPI改定値(予想:前月比横ばい/前年比1.3%)
○17:30   2月スウェーデン失業率(予想:6.5%)
○21:00   1月ブラジル小売売上高指数(予想:前年同月比0.8%)
○21:30   1月カナダ新築住宅価格指数(予想:前月比横ばい)
○21:30   2月米輸入物価指数(予想:前月比0.3%)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:22.5万件/177.5万人)
○23:00   1月米新築住宅販売件数(予想:前月比▲0.6%/62.0万件)
○英議会が「EU離脱時期の延期」について採決

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

欧米タイム直前市場コメント!

2019/03/13/15:17:38

日経平均株価:国内金融機関からの利益確定売りに押される

前日までの大幅上昇を受け国内金融機関などから利益確定売りが出た。寄り付き前に発表された1月の機械受注が市場予想を大幅に下回り、企業業績に対する警戒感が強まった。さらに、英国のEU離脱問題の先行き不透明感が増したことも投資家心理を冷やした。主力値がさ株や、米長期金利の低下を受けた金融株の下落が目立った。結局、前日比213円安の2万1290円で終了した。

 

東京外国為替市場:株安を嫌気したものの111円台前半の動き

ドル/円は、日経平均株価の下げ幅が300円を超えたことや、中国株安を嫌気したドル売り・円買いが進み111.14円付近まで下落した。しかし、前日の海外市場で付けた111.12円が下値目処として意識されると下げは一服し、111.20円前後でもみ合う展開となった。午後は、日経平均株価の下げ幅縮小で過度なリスク回避の動きが後退すると、ショートカバーが入って111.35円付近まで持ち直した。米長期金利が小幅に上昇したことも、ドルの買い戻しにつながった。ユーロ/ドルは1.12ドル台後半で動意の薄い展開となった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

英国のEU離脱修正案は再び否決

英下院は12日、メイ首相と欧州連合(EU)がまとめた離脱修正案を賛成242票、反対391票で否決した。合意案の否決は1月に続き2回目となる。前回の230票よりも差は縮んだとはいえ、今月29日の離脱期限を前に混迷は深まる一方となっている。
メイ首相は前日、離脱協定案で懸案となっているアイルランド国境の厳格な管理復活を避けるためのバックストップについて、法的拘束力を持たせるよう修正することでEU側の合意を取り付けたばかりだった。
メイ首相は投票に先立ち、『修正案が議会を通らなければブレグジット(英国のEU離脱)は路頭に迷う恐れがある』と訴えた。議会は翌13日、合意なき離脱に関する投票を行う。メイ首相は通常通り党議拘束はないと明言した。その上で議員らに対し、『はっきり言っておくが、合意なき離脱に反対したり、離脱期限延長に賛成したからといって目の前の問題が解決するわけではない』と語った。

 

英国のEU離脱案否決受け2つのリスク

EU側が一定の譲歩したにも関わらず大差による否決となったことで、EUとの溝の深さが浮き彫りになった。13日に『合意なき離脱』の是非、14日に『離脱延期』の是非をそれぞれ議会で採決するが、市場の想定通り離脱延期となる公算が大きい。そのため、目先は二つのリスクに注意した。1つ目は英国の政治混迷である。一部野党からメイ首相の退陣や2度目の国民投票を求める声がある。総選挙の実施に至る可能性も残っている。いずれにせよメイ首相は一両日中にも政治的判断を下す可能性がるが、英国の政治リスクが高まった場合には世界的に投資家の不安心理が高まる。2つ目は今回の議会採決を受けてEUとの離脱案の協議がさらに難航する可能性である。短期間の期限延期では離脱案がまとまりにくい。長期化したとしてもEU側が一段と譲歩する可能性が低いからである。いずれにしても現状想定するもの全てにおいて不確実性が高く、月末にかけてどういった経緯を辿るか注意しておく必要がある。

 

米国の2月の物価動向:金融政策変更に慎重で辛抱強い方針を正当化

米労働省が発表した2月消費者物価指数(CPI)は前月比+0.2%と、予想通り1月の横ばいから上昇した。前年比では+1.5%と、予想外に1月+1.6%から低下した。2016年9月以降ほぼ2.5年ぶり低水準となった。 変動の激しいエネルギーと食料品を除く2月消費者物価コア指数は前月比+0.1%と、予想外に1月+0.2%から低下した。4月来で最低となった。また米FOMCがインフレ指標として注視している前年比は+2.1%とやはり予想外に1月+2.2%から低下し、10月来で最低となった。ただ、FRBの目標値2%は12カ月連続で上回った。 FOMCの次回の金融政策変更に慎重で辛抱強い方針が正当化される結果となった。 米10年債利回りは2.67%から2.63%まで低下し、ドルの上値を抑える結果となった。

 

トランプ政権は自動車関税の導入議論が下火に

ドナルド・トランプ米大統領の自動車関税導入計画に対し、議会や消費者の反対、訴訟リスクなどの逆風が強まっている。
商務省が自動車関税に関する報告書を提出してから3週間たったが、トランプ政権はこの問題への取り組みを公表していない。同政権にしては珍しく沈黙を守っていることから、専門家の間では、大統領選を2020年に控えてさらなる通商摩擦の引き金を引く意向がホワイトハウスにはないとの見方が出ている。

 

欧米イベント

○19:00   1-3月期南アフリカ経済研究所(BER)企業信頼感指数(予想:32)
○19:00   1月ユーロ圏鉱工業生産(予想:前月比1.0%/前年比▲2.1%)
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○21:30   2月米卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.2%/前年比1.9%)
      食品とエネルギーを除くコア指数(予想:前月比0.2%/前年比2.6%)
○21:30   1月米耐久財受注額(予想:前月比▲0.5%/輸送用機器を除く前月比0.1%)
○23:00   1月米建設支出(予想:前月比0.4%)
○23:30   EIA週間在庫統計
○14日02:00   クーレ欧州中央銀行(ECB)理事、講演
○14日02:00   米財務省、30年債入札
○英議会が「合意なき離脱」について採決

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

欧米タイム直前市場コメント!

2019/03/12/15:20:13

日経平均株価:米中の景気減速懸念が緩み買い優勢

米国市場ではアップルなどが買われたほか、東京市場でも電子部品株の上げが目立つなど成長期待が高かったハイテク関連株に再び資金が戻りつつある。米中で景気が急減速するとの警戒が緩む中、FRBが近くバランスシートを停止するうえ、人民銀行が景気対策として資金供給量を増やすことで、世界の主要中銀の試算合計値が増えれば、世界の株式市場が上昇するという『順相関』の強い関係が再び意識された。結局、前日比378円高の2万1503円と続投して終了した。

 

東京外国為替市場:心理的な節目では上値が重い展開

ドル/円は、本邦実需筋や日経平均株価の大幅高に支えられ、111.45円付近まで値を上げた。米長期金利が上昇したことも、ドル買いにつながった。ただ、心理的節目となる111.50円がに接近すると上昇も一服し、111.40円を挟んだもみ合いとなった。午後は、株価をにらみながら111.30円台を中心とした狭いレンジで取引された。今晩予定されている米2月消費者物価指数(CPI)や英議会でのEU離脱協定案採決を控えて、様子見ムードが強かった。ユーロ/ドルは、1.12ドル台半ばで小幅な値動きとなった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

★日本企業に設備投資を控える動きが広がる

日本工作機械工業会が11日発表した2月の工作機械受注総額(速報)は、前年同月比29.3%減の1097億円となった。5カ月連続のマイナスで、2017年1月以来、約2年ぶりに1100億円を割り込んだ。米中貿易摩擦などを背景とした先行き不透明感から企業に設備投資を控える動きが広がっており、前年実績からの落ち込み幅は外需に加え、内需でも拡大している。 

 

★中国の景気動向が分かる新車販売台数

中国自動車工業協会が11日発表した2月の新車販売台数は、前年同月比13.8%減の148万2000台だった。前年実績を割り込んだのは8カ月連続で、2桁減は6カ月連続となった。景気減速や米中貿易摩擦に伴う購入意欲の低下が響いた。消費のけん引役だった自動車市場の低迷長期化で、中国経済の下押し圧力が一段と強まる可能性もある。

 

★日銀が14-15日に金融政策会合を開催:追加緩和の地ならしも

市場予想は現状維持ながら、景気・物価判断や総裁会見などで先行き緩和強化の地ならしがあるか否かが注目される。前週には内閣府の景気動向指数で景気後退入りの可能性が警戒され始めたほか、政府・与党は10月に消費税の増税を予定している。その中で日銀に対しては、景気下支えに向けた緩和強化の圧力が高まりやすい。しかも日本市場では、4月後半から10連休が予定されている。連休中には円高仕掛け激化のリスクがあり、日銀については連休前4月24-25日の政策会合での『危機管理的な未然緩和強化』が焦点になっている。

 

★英国の合意なきEU離脱の懸念が後退

12日に予定されている英国議会による政府離脱修正案に関する採決を控えて、メイ首相はユンケル欧州委委員長と協議するためにフランス、ストラスバーグを訪問。市場関係者は何らかの合意の見通しがない限り、首相がフランスを訪問しユンケル委員長と会談することはないとの見方から、何らかの合意を期待したポンド買いが強まった。ドイツのメルケル首相はユンケル欧州委委員長が離脱に関して、英国に重要な提案をすると述べた。メイ首相は採決前に、演説を予定している。

 

★米国市場では2月消費者物価コア指数が公表

1月実績は、総合指数は前年比+1.6%、コア指数は同比+2.2%だった。住宅関連と衣料関連のコスト上昇が寄与した。2月については、住宅関連費の上昇が続いていることや、一部衣料品価格の上昇が予想されてり、全体の物価上昇率は1月実績と同水準となる可能性がある。

 

★欧米イベント

○17:30   2月スウェーデンCPI(予想:前月比0.8%/前年比2.0%)
        コア指数(予想:前月比0.7%/前年比2.0%)
○18:30   1月英商品貿易収支/英貿易収支(予想:122億ポンドの赤字/35億ポンドの赤字)
○18:30   1月英鉱工業生産指数(予想:前月比0.2%/前年比▲1.3%)
      製造業生産高(予想:前月比0.2%)
○18:30   1月英国内総生産(GDP、予想:前月比0.2%)
○19:45   ラウテンシュレーガー欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○21:00   1月インド鉱工業生産(予想:前年同月比2.0%)
○21:00   2月ブラジルIBGE消費者物価指数(IPCA、予想:前月比0.38%)
○21:30   2月米消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.2%/前年比1.6%)
        エネルギーと食品を除くコア指数(予想:前月比0.2%/前年比2.2%)
○21:45   ブレイナード米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○13日02:00   米財務省、10年債入札
○英議会が欧州連合(EU)離脱協定案を採決
○EU財務相理事会(ブリュッセル)

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欧米タイム直前市場コメント!

2019/03/11/15:14:34

日経平均株価:連日の下げで値ごろ感からの買い戻しが優勢

世界景気減速懸念に売りが優勢となり、一時下げ幅を87円まで広げた。ただ、前週末までの下げで自律反発期待と値ごろ感が意識され買い戻しが優勢となった。また、上海・香港株が上昇する場面で一時上げ幅を100円超に広げた。結局、前週末比99円高の2万11125円と5日ぶりに反発して終了した。

 

東京外国為替市場:株価が上昇したことで111円台前半でもみ合い

ドル/円は、世界経済の減速懸念からドル売り・円買いが先行し、110.86円近辺まで下落した。日経平均株価がプラス圏から一時マイナス圏へ転じたことも、円買いを誘った。しかし、8日の米雇用発表後につけた安値110.75円が視野に入りすると、下げは一服した。その後は日経平均株価の持ち直しや上海総合株価指数の上昇をながめてショートカバーが入り111.10円台へ切り返した。午後は、株価を睨みながら110.10円台でのもみ合い相場となった。今晩発表される米1月小売売上高を控えて様子見ムードが強く、積極的な売り買いは目立たなかった。ユーロ/ドルは、夕方から参入してくる欧州勢待ちの様相となっており、1.130-35ドル近辺でこう着相場となった。

 

次は日米通商協議でドル/円の上値を抑える可能性も

米中通商協議は、27日頃に予定されている米中首脳会談での最終合意に向けてビデオ会議で継続されており、関連報道に警戒していく展開となる。日米通商協議関連では、ライトハイザー米中通商代表部(USTR)代表は3月中の開催予定となっている。茂木経済財政相は4月の開催を望んでおり、自動車関税や為替条項への警戒感がドル/円の上値を抑える可能性が高い。トランプ大統領は、2018年の対日貿易赤字676億ドルが大き過ぎるとフマンを表明し、退嬰投資の拡大を要求している。

 

3月末の日月例経済報告に注目:下方修正なら追加緩和の可能性も

月例経済報告は、日本政府が毎月、景気に関する政府の公式見解を示す報告書であり、内閣府が景気動向指数に基づいて取りまとめ、経済財政政策担当大臣が関係閣僚会議で原案を提出し、了承を経て公表される。経済全般が総括的に評価されるが、2012年以降、景気の基調判断が『下方修正』された4回の後、黒田日銀総裁が金融緩和政策を実施している。3月末に公表される月例経済報告で景気判断が下方修正された場合、黒田バズーカ第5弾の可能性が高まることになる。

 

10-12月期の豪州経済の落ち込み激しく利下げの可能性も

豪準備銀行(RBA)は数カ月前までは『次の政策変更は利下げよりも利上げ』と発言していたが、180ドル方向転換しなくてはいけない状態に落ちいっている。すでに豪大手金融機関、豪大手生命保険会社、米大手金融機関などが今年2回の利下げ予想を発表している。経済指標では、10-12月期の落ち込みが激しく国内総生産(GDP)計算の元となる小売売上高は+0.1%(予想+0.5%)、賃金指数は結果+0.5%(予想+0.6%)、建設工事完工高は+0.1%(予想+0.5%)、賃金指数は結果▲3.1%(予想+0.5%)、民間設備投資は+2.0%(予想+1.0%)、企業在庫は▲0.2%(予想+0.3%)となり、民間の設備投資以外は全て市場の期待を裏切るものとなった。豪州では、住宅市場の問題もあり、シドニーとメルボルンの大都市圏で住宅か買うは急速に値下がりしており、シドニーにいたっては年間で2桁の下げ幅を見せている。この下げ幅は1980年代前半のリセッション以来になる。また、中銀関係者は住宅取得能力の低下で次世代が住宅を購入できないことや、住宅ローンを返せない債務者の拡大が懸念される。

 

英国はEU離脱をめぐって正念場の週

メイ首相は政府の離脱案が12日議会で否決された場合、13日の議会で『合意なき離脱』の是非を問い、そこで『合意なき離脱』の回避が求められた場合には14日に『6月末を限度とする離脱の延期』を採決するとし、議会で承認された。もちろん、離脱を延期するにはEUの承認が必要だが、英国内では来週に『離脱案の承認』、『合意なき離脱』、『短期間の離脱延期』のいずれかが決定される。現状を踏まえれば『離脱延期』が議会で承認される可能性が高い。もっとも3月29日の離脱日がすぐ目の前に迫っており、何らかの方針を決めなければならない。2016年6月の国民投票から2年8ヵ月も経っており、『結局今まで何をやってきたの』と誰もが文句を言いたくなるが、不透明感は未だに払拭されていない。『6月末までの離脱延期』が決まっても国境問題が解決するかは見通せない。離脱を延期しても、難題のアイルランド国境問題をめぐって解決の目処が立たなければ、再び『合意なき離脱』への懸念が高まる可能性がある。一方で、2度目の国民投票を求める動きが強まる可能性もある。2月下旬に最大野党・労働党のコービン党首は党として、2度目の国民投票の実施を支持しると初めて明言した。

 

米国市場では1月小売売上高が公表される

12月実績は前月比▲1.2%で減少率は過去9年で最大となった。金融市場の混乱や世辞不期間の一部併催が影響した。1月については、健康・パーソナルケア、スポーツ、趣味用品などの項目の売上高やオンライン販売の増加が予想されているが、反動増の域を出ないと見られており、前月比で小幅な増加にとどまる見込みとなっている。

 

欧米イベント

○16:00   1月独鉱工業生産(予想:前月比0.5%/前年同月比▲3.4%)
○16:00   1月独貿易収支(予想:152億ユーロの黒字)
○16:00   1月独経常収支(予想:179億ユーロの黒字)
○16:00   2月ノルウェー消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.7%/前年比2.8%)
○16:00   10-12月期トルコ国内総生産(GDP、予想:前年比▲2.7%)
○16:00   1月トルコ経常収支(予想:8.3億ドルの赤字)
○21:30   1月米小売売上高(予想:前月比▲0.1%/自動車を除く前月比0.2%)
○22:00   ハスケル英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○23:00   12月米企業在庫(予想:前月比0.6%)
○12日02:00   米財務省、3年債入札
○ユーロ圏財務相会合(ブリュッセル)
○米国は10日から夏時間に移行済み

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欧米タイム直前市場コメント!

2019/03/08/15:18:59

10日から米国は夏時間

経済指標などが現在の時間より1時間早まる。

 

日経平均株価:国内景気の後退懸念から売りが優勢

前日のNYダウ200ドルの下落や8日の上海株の大幅安を嫌気した売りが強まった。また、国内景気の後退懸念から機械株や金融株など景気敏感株中心に売りが優勢となった。さらに、海外投資家の先物売りや3月末を控えて国内機関投資家の売りも相まってほぼ全面安の展開となった。結局、前日比430円安の2万1025円と4日続落して終了した。

 

東京外国為替市場:リスク回避の円買いが優勢

ドル/円は、前日のECB理事会でユーロ圏成長率見通しが大幅に下方修正されたため、世界経済の減速懸念から調整色が強まり、111.45円まで下落した。日経平均株価の大幅続落や上海総合株価指数の急反落も、リスク回避の円買いを誘った。午後もこの流れは続き、日経平均株株価の2万1000円を一時的に割り込むと、さらにドル売り・円買いが進んで111.05円付近へ下落した。ユーロ/ドルは、1.1200ドル付近で小動きとなった。欧州勢の参入待ちの様相となっている

 

中国政府の景気対策から見える危機感

中国政府は今年の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)で、大型減税やインフラ投資による景気下支え策を打ち出した。米中貿易摩擦の影響で成長減速が鮮明となる中、経済政策の軸足を前年の債務抑制から成長重視に移した。李克強首相は5日の政府活動報告で、今年の成長率目標を6.0~6.5%に設定した上で、達成には『多大な努力を払う必要がある』と危機感をあらわにした。景気対策の柱が大型減税となる。米中摩擦を受けて景況感の悪化が著しい製造業を対象とする付加価値税(消費税)の税率を16%から13%に引き下げるほか、中小企業向けの減税も強化する。社会保険料の引き下げ分を合わせた企業の負担軽減額は2兆元(約33兆3000億円)近くに達する計画で、現地紙は『思いがけない贈り物』と評価した。

 

米朝首脳会談の真実とかけ離れた北朝鮮の報道

北朝鮮の国営テレビは5日遅く、先週ベトナムの首都ハノイで行われた米朝首脳会談の模様を撮影した78分間のドキュメンタリー番組を放映した。 首脳会談は物別れに終わったが、番組では両首脳が笑顔で握手をする場面などを放映した。金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長が列車でベトナムに向かう様子のほか、9日間にわたってハノイに滞在しトランプ米大統領と会話する場面や、北朝鮮大使館を訪問する場面が収められている。 北朝鮮の国営メディアは、首脳会談が物別れに終わったことを報じていない。 番組のプレゼンターは『両国が、互いに認め合い尊敬するという原則に基づいて公正な提案をし、問題解決に向けた意欲と正しい姿勢を示して交渉に臨めば、紆余曲折と苦難を乗り越えて前進できる』と語った

 

来週の英国のEU離脱協定案の採決を控えて要人発言増える

ハモンド英財務相は7日、同国のEU離脱について、メイ首相の離脱協定案が来週の議会採決で否決された場合、おそらくEU離脱を延期せざるを得ないとの認識を示した。英議会は、首相の離脱案が議会で承認されない場合、『離脱延期か』『合意なき離脱か』を採決することになる。 同相はBBCラジオに『政府はこの問題で議会の意思をはっきり把握している。議会は合意なきEU離脱を選ばないだろう』と述べ、EU懐疑派の議員に対し、首相の離脱案を拒否すれば、EUとの経済関係が強化されるリスクがあると警告した。『(首相の離脱案を拒否すれば)下院全体でコンセンサスを形成しなければならないという未知の領域に突入する。そうなれば妥協は避けられない』とし、『これを避けるには、離脱案に賛成することだ』と述べた。

 

米国市場は2月雇用統計が公表

労働省が発表する雇用統計との相関関係が最も強いとされる民間雇用の統計であるADP雇用統計の2月分は前月比+18.3万人となった。伸びは1月+30万人から鈍化し11月来で最小の伸びとなり、予想の+19.0万人を下回った。製造業雇用の指針となる2月ISM製造業の雇用は52.3と、1月55.5から低下し、2016年11月来の低水準となった。また、米国経済の7割を消費が占めるため民間雇用動向を判断する上で重要視されるISM非製造業の2月分の雇用も55.2と、1月の57.8から低下し、8カ月ぶりの低水準となった。雇用の伸びがピークをつけた可能性が示されるともとれる。ただ、ISMで調査対象となった企業によると、条件を満たす雇用者を見つけることが『非常に困難』であるという。求人件数は依然高止まりしている可能性がある。米国の労働市場は依然強く、いずれ賃金の上昇に繋がるとの見方も強まった。 注目の平均時給は前月比+0.3%、前年比+3.3%と、1月+0.1%、+3.2%から伸びが拡大すると見られている。ただ、米FOMCの当面金融政策を据え置く方針に変わりはないと見る。

 

欧米イベント

○16:00   1月独製造業新規受注(予想:前月比0.5%/前年同月比▲3.2%)
○16:45   1月仏貿易収支(予想:49.41億ユーロの赤字)
○16:45   1月仏経常収支
○16:45   1月仏鉱工業生産指数(予想:前月比0.1%)
○17:00   ノボトニー・オーストリア中銀総裁、講演
○22:15   2月カナダ住宅着工件数(予想:20.5万件)
○22:30   2月カナダ雇用統計(予想:新規雇用者数変化ゼロ/失業率5.8%)
○22:30   10-12月期カナダ設備稼働率(予想:81.9%)
○22:30   1月米住宅着工件数(予想:119.7万件、前月比10.4%)
        建設許可件数(予想:128.9万件、前月比▲2.8%)
○22:30   2月米雇用統計(予想:非農業部門雇用者数変化18万人/失業率3.9%/平均時給、前月比0.3%/前年比3.3%)
○10日 米国が夏時間に移行

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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