FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

2019/04/12/15:13:28

日経平均株価:円安と好決算銘柄を材料に買い優勢

外国為替市場で111円台後半まで円安が進行したことや、良好な決算を発表したファーストリテイリングなど好材料が出た銘柄に投資家の買いが集まり、指数を押し上げた。結局、前日比159円高の2万1870円と続騰して終了した。

 

東京外国為替市場:ユーロ高に連れた円安進行

ドル/円は、ユーロ円の急伸に連れ高となり、111.82円近辺まで上昇した。しかし、15-16日にワシントンで開催される日米品貿易協定(TAG)交渉への警戒感からドル買い・円売りは続かず、111.70円台を中心に狭いレンジ内の展開となった。午後は日経平均株価や上海総合株価指数をにらみながら111.80円前後で取引された。今晩発表される米大手金融機関の決算や経済指標を控えて、様子見気分も強かった。ユーロ/ドルは、1.1290ドル前後で方向感に欠く展開となった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

中国景気は外需の回復は期待しにくい

昨年の中国経済は内・外需双方で減速感が強まり、世界経済にも下押し圧力が強まる動きがみられた。ただし、年明け以降は米FRBの『ハト派』転換に加え、中国の経済政策も景気重視にシフトした結果、中国企業のマインドに改善の動きが出ている。
 米中協議を巡っては一部に合意間近とする見方もあるが、過去の協議などをみれば『一時休止』の延長に留まると見込まれる。よって、先行きの中国景気は外需の回復は期待しにくいが、当局の景気対策効果の発現により内需が下支え役となる形で景気の底打ちが促される可能性がある。

 

中央銀行の金買いが相場を支えている要因

世界的な景気減速に対する懸念や、ECB・FRBなど各国中銀のハト派姿勢が相場の支援材料となる。中国の金需要が続いていることも相場の押し上げ要因となっている。
 先月の中国人民銀行の発表によると、同国は昨年12月に9.95トン、今年1月に11.8トン、2月に9.95トン、3月に11.2トンと金準備を4カ月連続で増加した。金の国際調査機関、ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)の発表では昨年の中央銀行の金の買い入れは651トンと1971年のニクソン・ショック以来最大の数字となったことが明らかになっている。金相場が下げない大きな要因となっている。

 

英議会は11日間の休会期間:余裕のある英議会と先行き不安の企業

英国の欧州連合(EU)離脱期限が再延期され、離脱条件を巡って対立を続ける政治家は一息ついた。しかし、企業を悩ませ、経済全般の足かせとなる不透明感は一向に晴れていない。最長6カ月の離脱延期によって、秩序立った離脱から合意なき離脱、さらには離脱撤回に至るまで、多岐にわたる可能性が残された。
企業幹部は、当面は秩序なき離脱が回避されたことに安堵の表情を浮かべている。一方で、政治的な見通しが立たない中、引き続きさまざまなシナリオに備える必要があると語っている。

英議会は11日の審議日程を終え、イースター(復活祭)休暇に合わせた11日間の休会期間に入った。ただ、EU離脱をめぐって議会は多くの時間を浪費した末、10月末まで離脱を再延期したばかり。混乱のさなかの休暇入りに、国民からはあぜんとする声が上がっている。

トゥスクEU大統領は11日未明、EU臨時首脳会議で約6カ月間の再延期を決めた後の記者会見で、『どうかこの時間を無駄にしないでほしい』と英国に呼び掛けていた。議会は23日から再開される予定となっている。

 

米国市場では4月ミシガン大学消費者信頼感指数

同指数の3月確報値は98.4、1年先の期待インフレ率確報値は+2.5%だった。また、参考となる3月CB諸費者信頼感指数は前月から7.3ポイント低下していること、消費者の景況感は不安定な状態が続いていることから、4月の数字は3月実績をやや下回る可能性が高い。

 

欧米イベント

○15:00   3月独卸売物価指数(WPI)
○18:00   2月ユーロ圏鉱工業生産(予想:前月比▲0.6%/前年比▲1.0%)
○21:00   2月インド鉱工業生産(予想:前年同月比2.0%)
○21:30   3月米輸入物価指数(予想:前月比0.4%)
○21:45   プラート欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○23:00   4月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、速報値、予想:98.0)
○20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議(ワシントン、最終日)
○IMF・世界銀行春季会合(ワシントン、14日まで)
○13日 国際通貨金融委員会(IMFC、ワシントン)

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

欧米タイム直前市場コメント!

2019/04/11/15:13:44

日経平均株価:内需株に買いが入り上げに転じた

前日にNYダウが3日ぶりに小反発したにも関わらず、日本固有の材料に乏しく様子見を決め込む投資家の利益確定売りが先行した。しかし、後場に内需関連への物色が続いて上げに転じた。結局、前日比23円高の2万1711円と反発して終了した。

 

東京外国為替市場:111.05円を挟んだもみ合い相場

ドル/円は、国内輸入企業などのドル買い・円売りに支えられ111.12円付近まで上昇した。しかし、日経平均株価や上海総合株価指数がさえない動きとなったことから伸び悩み、111.05円前後でもみ合う展開となった。中国国家統計局が発表した3月消費者物価指数は、前年比+2.3%となり市場予想の+2.4%を下回ったものの、市場の反応は限定的だった。午後は株価をにらみながら111.05円を挟んだもみ合う展開となった。ユーロ/ドルは、1.1280ドル前後で小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

条件付きで英国の離脱期限

 EUサミットも、『英国の10月31日までの離脱期限延期』が決定されたが、5月末に行われるEU議会に参加し、きちんと拠出金も出して、加盟国としての義務を果たすことが最低限の条件となった。それさえも確約できないのであれば、選挙後の6月1日に離脱することになりそうです。トゥスクEU大統領からは、何度この言葉を聞いたか定かではありませんが、再び『全ては英国の手の中にある』状況となった。英国議会の大人の決断を待つことになる。市場は既に『この話題には飽きてきている』わけで、たいした反応もないが、2回目の国民投票といった選択肢が現実的になってきたことは事実である。市場はとりあえずは仕切り直しで新たな方向性が出てくるのを待つしかない状態となっている。

 

ECBは一段と下押しするリスクに警戒を強め現状維持

ECBは10日理事会で19年入り後のユーロ圏経済が英国EU(欧州連合)離脱に伴う混乱などで一段と下押しするリスクに警戒を強め、金融緩和の現状維持を決めた。
ドラギECB総裁はこの日の理事会後の会見で、『必要であればECBはあらゆる手段を調整する用意がある』、『欧州経済の見通しに対するリスクは依然下振れ方向に傾く』、『マイナス金利の影響を軽減する必要性があるか検討』等と発言、改めて欧州経済の脆弱性に『ハト派』継続を強調した。
ECBは現在の超低金利を少なくとも19年末まで続けるが、物価上昇率2%という目標を達成すべく必要であれば、さらに緩和の長期化を視野に入れている旨表明した。
国際通貨基金(IMF)が9日公表した世界経済見通しでドイツとイタリアの19年成長率を0.8%、0.1%といずれも僅か3ケ月前比0.5ptも下方修正した。米中貿易戦争などを契機に世界経済減速が輸出主導ドイツの景気を冷やし悪影響が欧州主要国に広がっている。

 

米国のインフレ率はFRBが利上げを急ぐほどではない

米労働省が発表した3月の消費者物価指数(CPI)は前月比+0.4%と市場予想通り1月来の高水準となった。前年比では+1.9%と、2月+1.5%から予想以上に上昇し、昨年12月来で最高となった。 また、変動の激しい食品やエネルギーを望くCPIは前月比+0.1%と上昇予想に反して2月と同水準を維持した。米連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ指標として注視している前年比では+2.0%と、予想外に2月+2.1%から低下し、ほぼ1年ぶりの低水準。しかし、FRBの目標値である2%を保った。

 

FOMC議事要旨では柔軟な金融政策方針を確認

米連邦準備制度理事会(FRB)は3月19-20日に開催した連邦公開市場委員会(FOMC)議事録を公表した。FRBはこの会合で、中国や欧州経済の成長鈍化を理由に利上げを見送り、景気判断・見通し、インフレ、金利見通しをそれぞれ引き下げ年内の利上げを見送る方針を示した。
議事録の中で、リスクの上昇で、大半のメンバーが年内の金利据え置きが正当化されると見ていることが再確認された。同時に、一部のメンバーはもし、経済の成長が長期の潜在的水準を上回った場合は、『年後半の利上げが適切』と主張している。数人のメンバーは経済動向次第で、金利政策が『利上げ』『利下げ』どちらの方向にもシフトする可能性に言及するなど、委員会の柔軟な姿勢が示された。
景気判断では、さまざまな不透明感から、昨年10-12月期の成長減速が1-3月期も継続すると見ている。リスクには英国の欧州連合(EU)離脱、国内の消費の弱さが長期化すること、欧州や中国経済の成長減速の深刻化などを挙げた。ただ、景気減速やリスクが存続する中、景気の弱さは『一時的』との判断で、メンバーは概ね経済活動は拡大が続き、労働市場も引き続き強く、インフレも2%前後で推移すると見ている。FOMCは万が一、リセッションの兆候などが見られたら利下げに踏み切る準備があることを証明したものの、現時点で利下げは予想していないようだ。

 

欧米イベント

○15:00   3月独消費者物価指数(CPI)改定値(予想:前月比0.4%/前年比1.3%)
○15:45   3月仏CPI改定値(予想:前月比0.8%/前年比1.1%)
○16:00   2月トルコ経常収支(予想:8.5億ドルの赤字)
○16:30   3月スウェーデンCPI(予想:前月比0.2%/前年比1.8%)
       コア指数(予想:前月比0.1%/前年比1.8%)
○21:30   2月カナダ新築住宅価格指数(予想:前月比横ばい)
○21:30   3月米卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.3%/前年比1.9%)
      食品とエネルギーを除くコア指数(予想:前月比0.2%/前年比2.4%)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:21.1万件/173.8万人)
○22:30   クラリダ米連邦準備理事会(FRB)副議長、講演
○22:40   ブラード米セントルイス連銀総裁、講演
○12日02:00   米財務省、30年債入札
○12日03:00   カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、ツイッターで質疑応答
○12日05:00   ボウマンFRB理事、講演
○20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議(ワシントン、12日まで)

 

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

欧米タイム直前市場コメント!

2019/04/10/15:15:11

日経平均株価:米国株安と米欧貿易摩擦の過激化懸念で売り優勢

前日米国株の下落や米欧貿易摩擦の過激化が懸念され、ヘッジファンドなど海外投資家のリスク回避の先物売りが強まった。一時下げ幅は200円超に広がった。ただ、売り一巡後は個人投資家の押し目買いに支えられ下げ幅を縮小した。結局、前日比115円安の2万1687円と反落して終了した。

 

東京外国為替市場:111.15円前後でもみ合う展開

ドル/円は、国内輸入企業などのドル買い・円売りに支えられ111.23円まで上昇した。日経平均株価の下げ幅縮小で、過度なリスク回避姿勢が後退したことも、円売りを誘った。ただ、前日にトランプ大統領がEU製品に報復関税を課す方針を示し、米欧の貿易摩擦が激化するとの懸念から上値を追う動きは限られ、111.15円台前後でもみ合う展開となった。午後は、日経平均株価や上海総合株価指数をにらみながら111.15円前後でもみ合い展開となった。本日のEU首脳会議やFOMC議事要旨などのイベントを控えて様子見気分も強かった。ユーロ/ドルは、1.1260ドル前後で方向感を欠く値動きが続いた。欧州勢待ちの様相となっている。

 

欧州市場では欧州中央銀行(ECB)政策金利を発表

ECBのドラギ総裁は2018年ECB年次報告で、『中期的に域内の物価圧力の継続的な上昇を確実にするために、大幅な金融刺激策が引き続き必要不可欠となる』との見解を表明している。世界経済の減速懸念は消えていないことから、現行の金融政策を長期期間維持する姿勢を再度表明する見込み。

 

G20の議題は『米中貿易摩擦の影響や経常収支の不均衡と是正』

11-12日に米ワシントンで開かれる20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議の議題が9日、固まった。米中貿易摩擦の影響や経常収支の不均衡是正について議論する。貿易摩擦に端を発し世界経済の減速懸念が強まる中、G20が結束して対応できるかが試される。混迷する英国の欧州連合(EU)離脱問題についても議論する見通しだ。共同声明は出さない予定。トランプ米大統領は2国間協議を通じて貿易赤字の削減を日中などに迫っている。これに対し、G20議長国を務める日本は、モノの輸出入だけでなく、サービスや金融のやりとりを含む経常収支で経済不均衡の問題を議論すべきだと主張。G20会議の主要議題に掲げている。

 

米国では労働市場ひっ迫緩和を示唆

米労働省が発表した2月JOLT求人件数は前月から53.8万件減の708.7万件となった。予想755万件を下回り、昨年4月以降で最低となった。主に、食品サービス、不動産、レンタルやリースなどでの求人件数減少が目立った。減少幅は2015年以降で最大を記録。労働市場のひっ迫具合がいくらか緩む兆候が見られた。求人件数の急減は予想外に低調だった2月の雇用統計に一致する。ただ、700万件を維持したほか、失業者総数を85.2万人上回っている。ただ、その差は過去8カ月間で初めて、100万人を割った。
注目の退職率(Quits rate)は2.3%と1月と変わらず。昨年同月や金融危機前の水準2.1%を依然上回っており、労働市場への自信は相変わらず強いことが証明された。2月求人率(Job openings rate)は4.5%と、1月4.8%から低下した。昨年同月の4.2%からは上昇。
労働市場のひっ迫が緩和した場合、賃金の上昇圧力も後退することになる。米連邦公開市場委員会(FOMC)の慎重な姿勢も正当化される。米金利先物市場での年内の利下げ確率はほぼ50%となっている。

 

米国市場では3月消費者物価コア指数が公表

2月実績は前年比+2.1%になった。新車、処方薬の価格は低下したが、住居費は4ヵ月連続で前月比+0.3%の上昇を記録した。3月については、複数の項目で物価下落が予想されるが、住居費の上昇が続くことから、コアの物価上昇率は2月実績と同水準となる可能性が高い。

 

米国市場ではFOMC議事要旨が公表(3月19-20日実施分)

FOMC議事要旨は、ハト派姿勢の度合いが注目される。金利引き上げについて極めて慎重であることが判明下場合、長期金利は低下し、ドル売りを誘発させやすい。

 

欧米イベント

○15:00   3月ノルウェー消費者物価指数(CPI、予想:前月比横ばい/前年比2.8%)
○15:45   2月仏鉱工業生産指数(予想:前月比▲0.5%)
○17:30   2月英商品貿易収支/英貿易収支(予想:127億ポンドの赤字/38億ポンドの赤字)
○17:30   2月英鉱工業生産指数(予想:前月比0.1%/前年比▲0.9%)
          製造業生産高(予想:前月比0.2%)
○17:30   2月英国内総生産(GDP、予想:前月比横ばい)
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○20:45   欧州中央銀行(ECB)定例理事会、終了後政策金利発表(予想:0.00%に据え置き)
○21:00   3月ブラジルIBGE消費者物価指数(IPCA、予想:前月比0.62%)
○21:30   ドラギECB総裁、定例記者会見
○21:30   3月米消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.3%/前年比1.8%)
      エネルギーと食品を除くコア指数(予想:前月比0.2%/前年比2.1%)
○23:30   EIA週間在庫統計
○11日00:50   クオールズFRB副議長、討論会に参加
○11日02:00   米財務省、10年債入札
○11日03:00   米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(3月19-20日分)
○11日03:00   3月米月次財政収支(予想:1800億ドルの赤字)
○臨時の欧州連合(EU)首脳会議(ブリュッセル)

 

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

欧米タイム直前市場コメント!

2019/04/09/15:13:13

日経平均株価:上海総合株価指数の持ち直しに買いが優勢に

前日のNYダウが4日ぶりに83ドル安を受けて、利益確定売りが先行した。お昼休みに上海総合株価指数が持ち直し、投資家心理が改善したほか、日銀によるETF買い入れへの思惑から海外ヘッジファンドなど短期筋が継続的に先物に買いを入れ、現物株を押し上げた。結局、前日比40円高の2万1802円と反発して終了した。

 

東京外国為替市場:111.35円を挟んだもみ合い相場

ドル/円は、日経平均株価のさえない動きや米長期金利の低下をながめて、持ち高調整などのドル売り・円買いに押され111.28円付近まで下落した。イランの革命防衛隊を『外国テロ組織』に指定したことで、両国の対立が一段と深まったことも、ドルの重石となった。ただ、下値では値ごろ感からドルを買い戻す動きも見られ、111.35円付近へ切り返した。午後は、株価にらみながら111.35円を挟んでもみ合い相場となった。ユーロ/ドルは、1.1265ドルを挟んだ方向感に欠く展開となった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

トルコの政権への不信感の高まりがリラの重石

トルコのイスタンブール市長選の敗北を受け入れられないエルドアン大統領が選挙結果に介入し、政権への不信感の高まりがリラ売りを強めた。また、シリアを巡り米国と再び溝が深まりつつあることもトルコ金融市場にとっては重石となっている。米国は、トルコがテロ組織としているシリア国内のグループに物質支援を継続している。トルコはそのテロ組織の掃討作戦を計画しているもよう。トルコの代表的な株式指数であるBIST100も軟調推移している。

今週は11日に2月トルコ経常収支が発表される。3カ月連続の赤字が見込まれているが、前回8.1億ドルの赤字からどの程度上下に振れるかが注目。また、週半ばにはアルバイラク・トルコ財務相が経済計画を発表するとも伝わっており、内容次第では相場の動意に繋がりそうだ。

 

英メイ首相は保守党内の支持取り付けを諦めた可能性も

英国のメイ首相が欧州連合(EU)離脱期限の再延期を要請したことを受け、EUは10日の首脳会議で対応を協議する。そうした中、英国では与党・保守党と最大野党・労働党が、新たな合意の取りまとめに向けた動きを加速させている。メイ首相は先週、EUとの間でまとめた離脱協定案が議会で3回否決されたことを受け、労働党の協力を得て協定案の議会可決を目指す方針に転換した。その後、両党は協議を続けている。つまりメイ首相は、保守党内のEU離脱強硬派を説得して協定案への支持を取り付けることを諦めたようにも見える。

 

10日にECB定例理事会開催

欧州経済は中国などの世界減速や貿易摩擦余波のほか、英国のEU離脱混迷などで景気悪化リスクが高まっている。ECB理事会で景気見通しが一段と下方修正されたり、利上げ時期の再延期や先行きの利下げといった緩和姿勢が示さると、ユーロの戻り売りが後押しされる。ただし、ECBによる景気配慮の緩和転換は、先行き欧州の景気や株価を下支えしていく。世界的にもリスク選好にプラスとなる部分があり、根深いユーロ安の圧力にあって、ユーロ/円はリスク回避のユーロ安・円高が抑制される可能性もある。

 

決算発表時期は米国企業の自社株買いは自粛

米国株市場では12日前後から、1-3月期の決算発表がスタートする。決算発表時期には米国企業による自社株買いが自粛されるほか、決算内容自体への警戒感もあり、米国株は下落のリスクが警戒される。貿易摩擦や世界減速の先行きに不透明感が残されていることも、米国企業の決算見通しには悪材料になるものだ。その反面、米国株市場は昨年10-12月での大幅下落により、当座の減益リスクの織り込みも進捗してきた。今後については米金利低下や前年比での過度なドル高の一服、昨年の大規模な財政出動と減税の反動剥落の一回転、中国など世界減速の底入れ期待などが、業績悪化の歯止め要因として注目されやすい。

 

欧米イベント


○21:00   2月ブラジル小売売上高指数(予想:前年同月比2.9%)
○22:00   3月メキシコ消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.41%)
○10日02:00   米財務省、3年債入札
○10日06:00   クオールズ米連邦準備理事会(FRB)副議長、講演
○国際通貨基金(IMF)世界経済見通し発表
○独英首脳会談(ベルリン)
○仏英首脳会談(パリ)
○欧州連合(EU)・中国首脳会談(ブリュッセル)
○イスラエル総選挙

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

欧米タイム直前市場コメント!

2019/04/08/15:15:04

日経平均株価:利益確定売りに上値の重い展開

前週末の世界的な株高の流れを受け、朝方は買い先行で堅調推移し、約4ヶ月ぶり高値を示現した。ただ、買い一巡後は機関投資家や個人の利益確定売りに押され下げに転じた。結局、前日比45円安の2万1761円と4日ぶりに反落して終了した。

 

東京外国為替市場:ドルの上値の重い展開

ドル/円は、日経平均株価の反落や米長期金利の低下をながめて、111.32円付近まで下落した。仲値にかけて国内輸出企業のドル売り・円買いも観測された。ただ、米中通商協議の進展期待からドルの下げは一服し、111.40円を挟んでもみ合いとなった。午後は株価をにらみながら111.40円前後で取引された。今週発表の米インフレ指標や中国統計を見極めたいとの雰囲気もあり、積極的な売り買いは目立たなかった。ユーロ/ドルは、1.12ドル台前半で小動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

ドル調達コスト上昇で逆ザヤに喘ぐ邦銀

日銀統計によれば、19年1月時点で、国内銀行による米国債はじめ外国証券の保有残高をは約46.7兆円となった。米中貿易戦争による米中減速懸念に米長期金利が低下する一方でドル調達コストが2.9%前後に上昇し、2.5%前後の米国債投資で『逆ザヤ』に陥った。コストが利回りを上回る状態で保有しているだけで損が膨らみ、損切りを迫られる銀行が増えている。厳しい本業を外債や有価証券の運用収益で補ってきた構図が崩れつつある。みずほFGが19年3月期に計上する約6800億円の損失には店舗やシステム減損処理だけでなく、含み損を抱えた外債売却損も含まれる。

 

投機筋も英国の離脱リスクからポンドのポジションを縮小

12日には英国と欧州連合(EU)が合意した離脱協定案に対して英国議会が可決されなかった場合、『合意なき離脱』するのか、『離脱の長期延期』のための対応策をEUに提出しなければならない期限日を迎える。しかしながら、メイ首相は首相辞任を賭け、与党の離脱強硬派や民主党一党(DUP)の説得を試みたが、3度目の離脱協議案の採決は否決された。そして、離脱をめぐる方針は全く決まらず情報も二転三転するなど不透明感が漂っている。ポンドの4月2日付けシカゴIMM投機筋ポジションの対ドルの差引き持ち高は、ポンドショート(ポンド売り・ドル買い)は▼9,931枚と直近ピークとなった2月19日付け▼47,528枚から大きく減少している。投機筋も英国のEU離脱への先行き不透明感に備えてポジションを縮小させている。

 

先週ドル建てビットコインが急騰:ホエール・アラートの投稿も増える

不正流出事件が相次ぎ、バブルが崩壊してから1年余りが経過した仮想通貨ビットコインのドル建て価格が先週、突然急騰した。情報サイトのコインデスクによると、ビットコイン価格は日本時間2日の14時過ぎに1ビットコイン(BTC)=5000ドル近くと、わずか1時間で約2割上昇し、昨年11月以来の高値を付けた。理由は定かではないが、1億ドル(約111億円)規模の大口注文が切っ掛けと言われている。また、大口注文の主体について、ヘッジファンドによるコンピューター・プログラム経由のアルゴリズム取引との見方もある。証拠金取引で空売りしていた投資家が担保割れを起こし、損失を限定するために買い戻したとの観測もある。先週交流サイトのツイッターに『ホエール・アラーと(クジラ警報)が鳴っている』との投稿も増えている。クジラとは大量保有者を示す仮想通貨市場のスラング。

 

ノルウェー政府年金基金の年次白書で円資産除外対象にならず

ノルウェー財務省の年次白書が発表され、運用資産が1ドル超のノルウェー政府年金基金のグローバル債券ポートフォリオの見直しが明らかになった。基本的なポートフォリオのうち債券や約30%の配分となっている。同基金は2年前、20以上の債券指数構成通貨をドル、ユーロ、ポンドに限定することを政府に提案していた。5日に発表された債券ポートフォリオ見直しでは、新興市場国を除くよう提言した一方、円建て債券は除外対象にならなかった。

 

欧米イベント

○15:00   2月独貿易収支(予想:165億ユーロの黒字)
○15:00   2月独経常収支(予想:185億ユーロの黒字)
○21:15   3月カナダ住宅着工件数(予想:19.3万件)
○21:30   2月カナダ住宅建設許可件数(予想:前月比2.0%)
○23:00   2月米製造業新規受注(予想:前月比▲0.6%)
○9日00:45   ビルロワ・フランス中銀総裁、講演

 

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

カテゴリー

カレンダー

4月 2024
« 1月    
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

ページの先頭へ