FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

2021/06/07/15:11:19

日経平均株価:主力のハイテク株中心の買いで反発

前週末の米国株高の流れを引き継ぎ、上げ幅を拡大した。その後は、NYダウ先物やアジア株の総じてさえない動きが重石となり、徐々に上げ幅を縮小する展開になった。週初めであることや、週内にメジャーSQ算出を控えて上値は重いものの、ハイテク株に対する見通し買いや景気敏感株の下げ止まりなど、『地合いは悪くない』との声が聞かれた。主力のハイテク株を中心に買いが入った。ただ、日経平均株価が2万9000円より上の水準では利益確定売りも出やすく、上値は重かった。結局、前営業日比77円高の2万9019円と反発して終了した。

 

東京外国為替市場:円高基調も値ごろ感から109円半ばまでドル買い戻し

ドル/円は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、109.50円台を中心とした狭いレンジで取引された。仲値にかけて本邦実需筋の動向が注目されたが、需給に大きな偏りは見られなかった。午後になると、4日に発表された5月米雇用統計が期待されたほど強い数字でなかったため、海外短期筋などがドル売り・円買いを持ち込み、109.38円付近まで下落した。しかし、1日に付けた109.33円が下値目処として意識されると下げは一服した、その後は、値ごろ感からドルを買い戻す動きが見られ、109.50円近辺へ切り返した。ユーロ/ドルは、1.2160銅r前後で小動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

8日発表の本邦1-3月期実質GDP改定値の下方修正に注意

8日に発表される日本の1-3月期実質国内総生産(GDP)の改定値では速報値の前期比年率-5.1%からの下方修正が警戒されている。日本の4-6月期GDPも緊急事態宣言によりマイナス成長が予想され、2四半期連続のマイナス成長によるリセッション(景気後退)入りとなる可能性が高い。

 

トルコの利下げ思惑とドル建て債務絡みで波乱含み

先週は、エルドアン大統領による金利引き下げ主張の後、カブジュオール・トルコ中銀総裁が早期緩和に対する警戒感の打ち消しに努めた。もっとも5月消費者物価指数(CPI)が前年比16%台まで低下したことで、現状19%の政策金利の引き下げ余地が出てきたとの見方も広がりつつある。インフレはまだ高い水準ではあるが、エルドアン大統領が望む『7、8月の金利引き下げ』が現実味を帯び始めている。また、今月は、トルコの企業が合計で約69億ドル規模の外貨建て債務を返済またはロールオーバーしなければならないとされている。これに絡んだトルコ国内からのドルやユーロ買い圧力がリラ相場の重石となりやすい。

 

南アランドはネガティブ材料に反応せず強い買いトレンド継続

先週も南アフリカ発の様々なネガティブニュースが流れた。週初にはウイルス感染第3波の影響で、ロックダウンの規制水準がレベル1から2へ引き上げられた。経済協力開発機構(OECD)が発表した『G20国でパンデミック前のGDPにいつ回復するか』との予測で、南アはアルゼンチンに次いで遅い『2024年第4四半期』とされた。失業率は計測史上最悪の結果となっただけではなく、若年層(15-24歳)の失業率が63.2%まで上昇した。週後半には電力の負荷制限がステージ2まで上昇している。このようにランド売り要因が目白押しだったにもかかわらず、ランドは強い買いトレンドが継続している。なお、今週は南アの経済指標では8日に発表される1-3月期GDP、10日の同期経常収支が注目される。

 

英国では21日に抑制措置が完全会場されるかが焦点

ポンドはロックダウン(都市封鎖)措置の完全解除を見極める動きが予想される。英政府の予定通り21日に抑制措置が完全解除される見通しが強まればポンド買い、解除が遅れるとの懸念が高まれば売りに押される可能性が高い。ハンコック英保健相は抑制措置を解除できるかどうかを14日に正式に判断するとしており、今週末までにはおおむね意見がまとまることになる。英国では1日、コロナによる死者が昨年3月のコロナ流行以降初めてゼロになるなど、ワクチン普及の効果が表れているものの、感染力の強いインド変異株が拡大し始めている。英政府の発表によれば、最近の新規感染者のうち、最大75%が変異株によるものとなっている。ジョンソン英首相は2日に『現時点で完全解除を阻むデータは示されていない』と述べた一方で、『慎重な対応が必要で、もう少し待つ必要がある』との見解を示した。

 

ECBとカナダ中銀の金融政策会合に注目

今週は欧州中銀(ECB)、カナダ中銀が金融政策決定会合を予定している。特に、ワクチンの普及で経済活動の再開が進み、欧州でも回復加速期待が広がっており、パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の行方に注目が集まっている。一方で、ECBのラガルド総裁は、FRB高官達と同じく、緩和策の修正を協議するのは時期尚早と断固とした方針を示している。今回の会合では、景気の判断や見通しを若干引き上げる可能性があるものの、大規模緩和を据え置き、緩和策の修正は特に示唆しないと考えられる。ユーロの上値も抑制される可能性が強い。

 

10日の米5月財政赤字と米5月消費者物価指数に注目

10日に発表される米5月財政赤字では、2021会計年度(20年10月-21年9月)の財政赤字が過去最大ペースで増加していることから、バイデン米政権の大規模財政支出の米議会での審議が難航する可能性がある。8月に復活する債務上限適用措置がドルの上値を抑える要因となる可能性もある。ただ、同日に発表される予定の米5月消費者物価指数(CPI)は、4月の前年比+4.2%と同様にベース効果などでインフレ率の高進が警戒されており、強い数字となった場合は15-16日の米連邦公開市場委員会(FOMC)でのテーパリング(資産購入の段階的縮小)協議への警戒感を高めることになる。

 

欧米市場のイベント

○14:45   5月スイス失業率(季節調整前、予想:3.1%)
○15:00   4月独製造業新規受注(予想:前月比0.5%/前年同月比77.8%)
○15:30   5月スイス消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.3%)
○8日01:00   5月ロシアCPI(予想:前月比0.6%)
○8日04:00   4月米消費者信用残高(予想:200.0億ドル)

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欧米タイム直前市場コメント!

2021/06/04/15:14:57

日経平均株価:様子見ムード強まり手仕舞い売りが優勢

前日の米国株式市場の下落を嫌気したほか、NYダウ先物やアジア株のさえない動きも重石となった。米雇用統計の発表を控え様子見みも強まり、マイナス圏でのもみ合い相場が続いた。市場では米雇用統計発表後の長期金利上昇が警戒されており、本格的な下落局面とみる向きは少ないが、一時的な値幅調整を警戒し、手仕舞い売りが優勢となった。一方、自動車や海運といった景気敏感株の一部に買いが入り、相場を支えた。結局、前営業日比116円安の2万8941円と3日ぶりの反落で終了した。

 

東京外国為替市場:様子見ムードから110.20円を挟んでもみ合う展開

ドル/円は、高値警戒感から利益確定や持ち高調整のドル売り・円買いに押され110.41円付近まで軟化した。日経平均株価の下げ幅が一時200円を超えたことも、リスク回避の円買いを誘った。しかし、前日に発表されたADP全米雇用リポートや週間の米新規失業保険申請件数が強い数字となり、米景気は順調に回復しているとの見方から下値を追う動きは限られた。その後は、本邦輸入勢などがドル買い・円売りを持ち込み、110.20円を挟んでもみ合いとなった。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、110.20円台を中心とした狭いレンジでもみ合い相場になった。今晩発表される5月米雇用時計を前に、様子見ムードが広がった。ユーロ/ドルは、前日に発表された米経済指標の改善でユーロ売り・ドル買い基調が続き、一時1.2106ドル付近まで下落して5月中旬以来の安値を付けた。

 

食料価格の指数は10年ぶりの高水準:インフレへのアレルギー高まる

市場関係者が警戒してきたインフレは現実になっている。世界各地で発表が始まった5月の消費者物価指数は上昇傾向が目立っている。食料価格の指数は約10年ぶりの高水準となった。新型コロナウイルスをきっかけに強まる商品市況を発端とした物価高は今後さらに次ぐく気配を見せる。インフレに対し市場関係者が抱くのは恐怖心である。インフレ懸念は経済の足かせになり、新興国には通貨安をもたらす。さらに現在は米FRBが大規模な金融緩和の『畳み時』を模索する段階で、市場はインフレへのアレルギーを高めている。

 

ロシア政府系ファンドはドル資産撤退

ロシア財務省は、政府系ファンド(SWF)『ナショナル・ウェルス・ファンド(NWF)』からドル建て資産を排除する方針を明らかにした。米国から制裁の脅威が続く中、経済のドル依存低下を加速させる。NWFは同国の石油収入を運用しており、規模は1860億ドル(約20兆5100億円)程度である。ロシア財務省によると、同ファンドのドル資産保有は現在の35%からゼロになる。今後は資産の大半をユーロ、人民元、金で運用するとしている。今回の動きは、中国とロシアが関係強化を図る中で、人民元の役割をさらに強めそうだ。ロシアのアンドレイ・ベロウソフ第1副首相はサンクトペテルブルク経済フォーラムの合間に、『これは理にかなった決定であり、米国指導部から繰り返し受けている制裁の脅威に関連したものだ』と述べた。

 

トルコCPIは予想外に下振れ:エルドアン大統領への忖度との声も

5月トルコ消費者物価指数(CPI)は前年比で+16.59%と17%台の市場予想から下振れた。一方、同時に発表された5月生産者物価指数(PPI、前年比)は38%台と前回35%前半から大きく上昇し、2018年11月以来の水準を記録した。カブジュオール・トルコ中銀総裁は一昨日、市場の早期緩和への警戒感を和らげようとしていた。しかしながら昨日のCPIの結果を受けて市場では、現在19%の政策金利の引き下げ余地がでてきたとの見方も一部では浮上した。5月トルコPPIが約3%も前月から上昇したにもかかわらず、CPIが鈍化したのは不可解との声もでている。夏の利下げを求めるエルドアン大統領に忖度したのかもしれない。重要データの信憑性が疑われるようでは、金融当局への不信感や金融政策への不透明感が高まるばかりである。そういった中では、通貨リラを手放す動きが更に進んでしまうかもしれ ない。なお昨日トルコ中銀が発表した5月28日時点の外貨準備高は487.2億ドルと前週から1%弱ほど減少した。年初来では2.5%減、前年同時期と比べても約10%減と準備高枯渇への警戒感は引き続き強まったままである。

 

メキシコでは6日に下院議員選挙:単独過半数を失う見込み

最新の世論調査によるとロペスオブラドール大統領が率いる国民再生運動(Morena)は現在の256議席から議席数を減らし、単独過半数を失う見込みである(メキシコ連邦下院は定数が500議席)。もっとも、現在連立を組んでいる労働党(PT)やメキシコ環境主義緑の党(PVEM)を含めると過半数は確保できるとみられており、ロペスオブラドール大統領の推進している国家エネルギー戦略を可能とする憲法改正に必要な3分の2の議席を確保できるかが焦点とされている。

 

米国市場では5月雇用統計が公表

先行指標の中で雇用統計と最も相関関係が強いとされる民間の雇用者数を示すADP雇用統計の5月分は前月比+97.8万人となった。伸びは4月+65.4万人から縮小予想に反して拡大し、2020年6月来で最大となった。さらに、5月29日までの先週分新規失業保険申請件数は前週比2万件減の38.5万件と、前回から予想以上に減少しパンデミックが始まって以降初めて40万件を割り込み、米国の労働市場が順調に回復している証拠となった。一方で、ISM製造業の雇用は50.9と、4月55.1から大幅低下。50割れとなった昨年11月来の低水準。活動の縮小を示す50割れ寸前となった。特に米国経済の7割を消費が占めるため注目となっていたISM非製造業の5月分の雇用も55.3と、4月58.8から低下した。パンデミックの混乱がまだ収束しておらず、季節調整なども複雑化しており、雇用統計でも変動の高さが警戒される。

市場予想:

失業率:5.9%(4月6.1%)非農業部門雇用者数:前月比+65.5万人(+92,6万人)民間部門雇用者数:前月比+60万人(+21,8万人)平均時給:予想:前月比+0.2%、前年比+1.6%(+0.7%、+0.3%)

 

欧米市場イベント

○17:30   5月英建設業購買担当者景気指数(PMI、予想:62.3)
○18:00   4月ユーロ圏小売売上高(予想:前月比▲1.2%/前年比25.5%)
○20:00   パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、パネルディスカッションに参加
○20:00   ビルロワ・フランス中銀総裁、講演
○21:30   1-3月期カナダ労働生産性指数(予想:前期比▲0.9%)
○21:30   5月カナダ雇用統計(予想:新規雇用者数変化▲2.0万人/失業率8.2%)
○21:30   5月米雇用統計(予想:非農業部門雇用者数変化65.5万人/失業率5.9%/平均時給、前月比0.2%/前年比1.6%)
○23:00   5月カナダIvey購買部協会景気指数
○23:00   4月米製造業新規受注(予想:前月比▲0.2%)
○先進7カ国(G7)財務相会議(ロンドン、5日まで)

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欧米タイム直前市場コメント!

2021/06/03/15:08:53

日経平均株価:ワクチン接種の拡大で経済正常化への期待

米国株式市場は、週内に発表される経済指標をにらみ、小幅高で終了した。今週は3日に週間失業保険申請件数と5月のADP全米雇用報告、4日に5月雇用統計の発表を控え、方向性がつかみにくくなっている。日本株も、米雇用統計を見送りの材料としてとらえるムードもあった。ただ、ワクチン接種の拡大で経済正常化が進むとの見方から、景気敏感株を注視に底堅い展開となった。上げ幅は一時200円を超えた。結局、前営業日比111円高の2万9058円と続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:リスク選好の円売りで109円台後半で推移

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りに支えられ、109.70円付近へ上昇した。日経平均株価は続伸で、リスク選好が高まったことも円売りを誘った。午後に入ってもこの流れは続き、米長期金利が小幅に上昇すると、さらにドル買い・円売りが進んで109.77円付近まで値を上げた。ただ、今晩発表されるADP全米雇用リポートや米ISM非製造業景況感指数を見極めたいとの雰囲気もあり、上値を追う動きは限られた。ユーロ/ドルは、上値の重さが意識されユーロ売り・ドル買いが持ち込まれ、1.2195ドル近辺まで下落した。

 

20年度需給ギャップは1980年度以降で最大のマイナス

内閣府は2日、2021年1-3月期の国内総生産(GDP)1次速報を基に新たに推計した『需給ギャップ』がマイナス4.7%になったと発表した。需要不足となるのは6四半期連続となった。2020年度はマイナス6.1%と、試算を始めた1980年度以降で最大のマイナス幅となった。需給ギャップは日本経済の需要と供給のバランスを示したもので、需要が供給を下回ればマイナスとなり、物価に下押し圧力がかかりやすいとされる。

 

仮想通貨ドージコイン急騰:コインベースが取り扱い開始

暗号資産(仮想通貨)のドージコインベースが2日の取引で31%急騰し、0.41ドルを付けた。暗号資産交換所大手の米コインベースがプロトレーダー向けのプラットフォーム『コインベース・プロ』でドージコインの取り扱いを開始すると表明したことを受け、買いが入った。コインゲッコー・ドットコムによると、この価格に基づくドージコインの時価総額は540億ドルと、暗号資産としては6番目の規模となった。

 

金ETFから資金が流出:ドル安で実物資産は堅調の中

2日の米国市場で金価格に連動するSPDRゴールド・シェアーズ(GLD)から資金が流出した。2億4897万ドルの流出となり、過去1ヵ月で3億ドル超の流入が続いているものの、やや一服感が出た。この日のGLDは反発し、前日比0.48%高の178.77ドルで終了した。ドル指数が90を割り込んで年初来の安値圏にある中、実物資産のGLDは堅調だったが高値圏では利食いが出やすいようでフローが流出した。前年は米FRBの金融緩和の長期化期待で好調な流入となったが、年初来では12億ドル超の流出に転じている。

 

イラン核合意再建:イラン大統領選前の妥協を目標

イラン核合意の当事国である英仏独中ロとイランは2日、米国の復帰による合意再建を目指し、ウィーンで合同委員会を開いた。ロイター通信によると、議長役を務める欧州連合(EU)欧州対外活動庁(EEAS)のモラ事務局次長は記者団に、来週行われる見通しの次回会合での妥結を『確信している』と語った。米国も委員会外でイランを除く各国と協議した。ロイターによれば、次回会合は10日が有力だが、最終確定ではない。また、英仏独は交渉の行方についてEU当局より慎重な見方を示しているという。各国は反米保守強硬派が優勢となっている18日のイラン大統領選前の妥結を目標にしており、残された時間は少ない。イランのアラグチ外務次官は2日、合同委開始に先立ち『全関係国が相違は解消不能ではないと思えるところまできた』と記者団に語った。

 

トルコではインフレ指標が公表:市場は大注目の指標

本日のリラ相場は欧州序盤に発表されるトルコの5月インフレ指標が注目される。同月消費者物価指数(CPI、前年比)は+17.25%と前回+17.14%から上振れが予想されている。商品価格が上昇傾向を強め、リラ安が長期化するなか、金融当局が物価高への危惧を和らげるのは容易ではない。また、インフレの先行指標とされる生産者物価指数(PPI、前年比)も4月が35%台だったところから、5月は36%台までの上昇が確実視されている。カブジュオール総裁は昨日、『第3四半期末か第4四半期にインフレが大幅な低下傾向に入ると見込む』と述べたが、大幅な低下が後ずれする可能性は捨てきれない。

 

ベージュブックは物価圧力上昇示すもサプライズなし

米連邦準備制度理事会(FRB)は4月初旬から5月後半にかけて集められた情報をもとに集計された地区連銀経済報告(ベージュブック)で全米地区の経済が緩やかなペースで拡大していることが明らかになった。さらに、数地区は、ワクチン接種ペースの加速やパンデミック対策の規制の緩和が経済にプラスの影響を与えたとし 経済成長は引き続き堅調だと楽観的な見解を示した。注目の物価圧力は『前回に比べてさらに上昇した』と言及されている。 ベージュブックの結果は6月15-16日に開催されるFOMCで金融政策決定の材料となる。回復ペースの加速や物価圧力を示すインフレの一段の高進を示唆する結果が、現状でFRBの考えを大きく変えることは困難と見られる。FRBはいずれ多くの労働者が職場に復帰しサプライチェーンの逼迫もいずれ緩和すると予想している。現在、いくらかの物価圧力が見られるものの、持続的とは考えていないと繰り返している。

 

欧米市場イベント

○16:00   5月トルコ消費者物価指数(CPI、予想:前月1.32%/前年比17.25%)
○16:50   5月仏サービス部門PMI改定値(予想:56.6)
○16:55   5月独サービス部門PMI改定値(予想:52.8)
○17:00   5月ユーロ圏サービス部門PMI改定値(予想:55.1)
○17:30   5月英サービス部門PMI改定値(予想:61.8)
○20:30   5月米企業の人員削減数(チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマス社調べ)
○21:15   5月ADP全米雇用報告(予想:65.0万人)
○21:30   1-3月期米非農業部門労働生産性・改定値(予想:前期比5.5%)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:39.0万件/361.5万人)
○22:45   5月米サービス部門PMI改定値(予想:70.1)
○22:45   5月米総合PMI改定値
○23:00   5月米サプライマネジメント協会(ISM)非製造業指数(予想:63.0)
○24:00   EIA週間在庫統計
○4日01:00   ベイリー英中銀(BOE)総裁、講演
○4日01:30   ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演
○4日02:00   カプラン米ダラス連銀総裁、講演
○4日02:50   ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁、講演
○4日04:05   クオールズ米連邦準備理事会(FRB)副議長、講演
○ポーランド(聖体祭)、ブラジル(キリスト聖体祭)、休場

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欧米タイム直前市場コメント!

2021/06/02/15:13:13

日経平均株価:ワクチン接種進展や原油相場の上昇を好感した買い

日本株は引き続き方向感が定まらない中、朝方は下振れして始まったものの、景気敏感株を中心に押し目買いが入り、自律的な切り返しとなった。物色面では、需給の良し悪しで明暗が分かれるケースが目立つとの声も聞かれた。また、新型コロナウイルスワクチンの接種進展を好感した買いが次第に優勢になった。原油相場の上昇を受けて資源株にも買いが入った。結局、前営業日比131円高の2万8946円と反発して終了した。信用評価損率は5月28日申し込み時点でマイナス8.82%と前週のマイナス8.94%からマイナス幅が0.12ポイント縮小した。改善は2週連続となった。

 

東京外国為替市場:リスク選好の円売りも上値追いにはならず

ドル/円は、本邦輸入企業などのドル買い・円売りに支えられ109.65円付近へじり高となった。日経平均株価がマイナス圏からプラス圏は転じたことも、リスク選好の円売りを誘った。午後に入ってもこの流れが続き、原油先物価格の上昇一服を眺めた資源国通貨に対するドル高も波及して109.73円付近まで上昇した。しかし、今晩の米国株か動向や米FRB当局者の講演を見極めたいとの雰囲気もあり、上値を追う動きは限られた。その後は、短期筋による利益確定などのドル売り・円買いもみられ、109.70円を挟んでもみ合いとなった。ユーロ/ドルは、1.22ドル台前半で小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

国内のコロナワクチン1回接種の人数は1000万超

新型コロナワクチン1回接種の人が1日時点で1000万人を超えたという。内訳は医療従事者が465万3566人、65歳以上の高齢者が573万4023人の合計1038万7589人となった。菅義偉首相は1日100万回の接種体制の構築を目指し、接種ペースの加速を指示してきた。

 

エルドアン・トルコ大統領の発言受けリラ急落

5月トルコ製造業PMIは49.3と約1年ぶりに景況感の境目となる50を割り込んだ。5月半ばまで実施されていたトルコ全土のロックダウン(都市封鎖)では製造業への規制は一部免除されていたが、やはりその影響は避けられなかった。一昨日のトルコGDPを受けてやや高まった同国経済への楽観的な見方も後退した。そして、その後の流動性が薄い時間帯に、エルドアン・トルコ大統領の発言『中銀総裁と話をした』『我々は金利を引き下げる必要がある』が伝わるとリラは急落した。エルドアン大統領や与党・公正発展党(AKP)への支持率低下が顕著な中、大統領は利下げをすれば人気回復に繋がると本気で信じている。3月以降、中銀・金融政策委員会(MPC)メンバーは全7名中3名も入れ替えられたが、金融緩和圧力をより強めるため更なるメンバー更迭もあり得る。中銀の独立性は完全に揺らいでおり、リラの買い難さは続く可能性が高い。

 

南アの1-3月期の失業率は史上最悪の結果

1-3月期の南ア失業率が市場予想よりは若干良かったものの、昨年10‐12月期に続いて2008年からの観測以来で最悪となる結果となった。南アの失業率は再び史上最悪の結果となった。しかも、若年層(15-24歳)の失業率は63.2%まで上昇している。政府は様々な対策をしているが、なかなか結果として表れない。また、一昨日経済協力開発機構(OECD)が発表した『G20国でパンデミック前のGDPまでいつ回復するか』との予想で、南アはアルゼンチンに次いで遅い『2024年第4四半期』という結果になった。

 

メキシコ当局は今後の成長について強気な見通し

メキシコ財務公債省の高官は昨日、2021年のメキシコGDPは6.5%の成長となり、予想よりも早く新型コロナウイルス感染拡大前の水準を回復できるだろうとの見解を示した。メキシコは昨年のGDPがマイナス8.2%と戦後最悪の落ち込みとなったものの、メキシコ当局は今後の成長について強気な見通しを維持している。なお、国際通貨基金(IMF)は今年のメキシコ成長率を5%台と予想している。

 

米国株は3週ぶりに売り越し:BofAセキュリティーズ

BofAセキュリティーズの2日付けの顧客フローのリポートによると、同社の顧客は5月24~28日の1週間に米国株は20億3600万ドル売り越した。3週間ぶりに売り越しに転じたことになる。この週は28日に発表された4月のコア個人消費支出(PCE)価格指数が前年同月比3.1%上昇し、市場予想(3.0%上昇)を上回ったものの物価上昇は一時的と受け止められて長期金利が低下する中、S&P500指数が週間で1.16%高となって3週びりに上昇した時だった。主体別動向ではヘッジファンド(HF)が14億2800万ドルの売り越しで、2週ぶりに売り越し。機関投資家は1億7200万ドルの小幅買い越しで、3週連続の買い越しだった。個人投資家は14億7300万ドルの売り越しで、4週連続の売り越しだった。企業の自社株買いは6億9300万ドルにとどまり、4週移動平均は10億ドルを割り込んだ。傾向としてはHFや個人投資家の大幅売り越しが顕著だった一方、企業の自社株買いが鈍化した。自社株は買いはコロナ禍で低調だった2020年の同時期と比べて32%増となっているが、コロナ禍前の2019年の同時期と比べれば24%減で回復は鈍い。

 

米5月ISM製造業景況指数では過熱感のない結果

米供給管理協会(ISM)が発表した5月ISM製造業景況指数は61.2と、4月60.7から予想以上に上昇した。重要な項目である新規受注は67と、4月64.3から予想以上に上昇した。一方、インフレ上昇が警戒される中、注目の支払い価格は88と、4月の89.6から予想以上に低下し、インフレ懸念が和らいだ。入荷遅延は78.8と1974年4月来の高水準となった。平均的な材料の出荷日数は85日に一段を拡大した。製造業の原材料不足が依然目立つ。雇用も50.9と、4月の55.1から大きく低下し、拡大と縮小の境目となる50割れ寸前まで再び悪化した。熟練労働者の確保が依然困難となっている。製造業指数の結果はまちまちでサプライチェーンの混乱の影響がいまだに観測される。FRBも当面、緩和姿勢を崩しそうもない。

 

欧米市場イベント

○15:00   4月独小売売上高指数(予想:前月比▲2.0%/前年比10.1%)
○15:45   4月仏財政収支
○17:30   4月英消費者信用残高(予想:5億ポンド)
○17:30   4月英マネーサプライM4
○18:00   4月ユーロ圏卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.9%/前年比7.3%)
○19:15   ビルロワ・フランス中銀総裁、講演
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○21:30   4月カナダ住宅建設許可件数(予想:前月比▲5.0%)
○23:30   EIA週間在庫統計
○3日01:00   ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁、講演
○3日03:00   米地区連銀経済報告(ベージュブック)
○3日03:00   エバンズ米シカゴ連銀総裁、ボスティック米アトランタ連銀総裁、カプラン米ダラス連銀総裁、パネルディスカッションに参加

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欧米タイム直前市場コメント!

2021/06/01/15:12:27

日経平均株価:材料に乏しく方向感欠く展開

前日の米国株式市場は休場で材料に乏しく、月初のポジション調整やリバランスが中心で方向感を欠く動きとなった。週後半には米国の重要指標の発表を控えているため、市場では『ひとまず連休明けの米市場の動向を見極めたいとの投資家が多く、動きにくい』との声が聞かれた。2万9000円台を手前にした上値の重さが確認されると、先物主導で売りが出て、下げ幅は200円を超える場面もあった。結局、前営業日比45円安の2万8814円と続落して終了した。

 

東京外国為替市場:本邦輸出勢からドル売り・円買い

ドル/円は、本邦輸出勢などからドル売り・円買いが持ち込まれ、109.33円付近まで下落した。日経平均株価の下げ幅は一時200円を超えたことも、リスク回避の円買いを誘った。しかし、このところ発表される米経済指標の改善で、米景気は順調に回復しているとの見方から、下げは一服した。その後は値ごろ感からドルの押し目買いが入り、109.40円前後で取引された。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、109.40円台を中心とした狭い値幅でもみ合いとなった。ユーロ/ドルは1.22ドル台前半で方向感に欠ける値動きとなった。

 

ECBは景気回復の裏付けない金利上昇には対処へ

欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーのビスコ・イタリア中銀総裁は31日、ユーロ圏の景気回復見通しは依然として不透明との認識を示し、ECBは経済状況によって正当化されない金利の大幅上昇に対処すると述べた。イタリア中銀の年次会合で講演し、2008-09年の金融危機時に金融刺激策の拙速な解除を行うことのリスクが示されたと指摘した。現在の状況下では回復の時期と強さが不透明なため、金融状況は長期にわたって緩和的でなければならないと述べた。『現在の経済見通しを踏まえると、大幅で持続的な金利上昇は正当化できず、対処が必要』との見解を示した上で『(ECBは)債券買い入れプログラムを最大限活用する』用意があると語った。

 

トルコGDPは好結果でも手放しでは喜べず

欧州序盤に発表された1-3月期GDPは前年比+7%と市場予想+6.3%や前回+5.9%から上振れた。リラ安を追い風に工業生産などの輸出関連が拡大し、全体の成長率を押し上げた。トルコGDPは好結果だったが、一部メディアが『実感なき高成長』と呼ぶように、決して手放しでは喜べない。失業率は改善には程遠い状況であり、また物価上昇が止まらないなかでトルコ国民の景況感は悪化したままである。今後はやはり、トルコ主要産業の1つであり、重要な外貨獲得手段でもある観光業の復活が待ち望まれるところである。

 

南アの感染による規制水準引き上げ:ランド相場の影響は軽微

南アでは昨日よりウイルス感染第3波(日本では第4波ですが、南アでは第3波となっている)の影響から、規制水準がレベル2に上がり追加規制が加わった。これにより夜間外出禁止令は1時間禁止時間が延長され23時から翌4時までとなり、レストラン、バーなどの時間制限(閉店時間)は22時までに前倒しされた。屋外のイベントは250人、屋内は100人までの集客となった反面、アルコール販売の規制は回避された。レベル2への引き上げにも関わらずランド相場への影響はほぼないことで、ランドの買い場探しは変わらない。

 

南アの1-3月期失業率が発表

市場予想は前回の32.5%よりも若干悪化するとなっている。ただし、最近はパンデミックの影響で就職活動すら諦めた見えない失業者が増えていることで、失業率の正確性に疑問符がついている。市場がどの程度指標で反応するのかは難しいところである。また、失業率発表の後にABSA製造業PMIも発表される。

 

メキシコでのインフレ懸念根強い:金融引き締めへの思惑も台頭

メキシコ国内では前週に発表された5月隔週メキシコ消費者物価指数(CPI)が前年比で5.80%と市場予想の5.66%を上回る結果となった。前回の6.12%からは鈍化したものの、依然としてインフレ率はメキシコ銀行(中央銀行)のインフレ目標(3.0%±1.0%)上限を大きく上回っており、国内でのインフレ懸念は根強く残っている。中銀は足もとの物価上昇について一時的なものとの見解を示しているが、一方でインフレリスクについては懸念を示しており、市場では金融引き締めへの思惑も台頭した。今後も中長期的なペソ相場のサポート要因として意識される。

 

米国ではワクチンの普及で旅行需要回復の兆し

米国で夏の始まりとされるメモリアルデー(戦没将兵追悼記念日)の連休を迎える中、新型コロナウイルスワクチンの普及を背景に、昨年低迷していた旅行需要に回復の兆しが見られた。米国自動車協会(AAA)によると、31日までの3連休に自宅から50マイル(80キロ)以上離れた場所へ出かける旅行者数は3700万人(車での旅行者3440万人を含む)と、新型コロナ流行で落ち込んだ昨年から60%急増する見通しとなった。しかし、コロナ禍前の19年の水準は依然13%下回っている。米運輸保安局(TSU)は、先週末28日の国内空港利用者が約196万人だったと発表した。昨年3月7日以降で最多となる。 

 

5月雇用統計がFRBの政策を左右するか

6月4日に発表される5月の米雇用統計は、これまで1年以上にわたって米経済と市場を支えてきた金融緩和からの出口政策を模索する米連邦準備制度理事会(FRB)にとって、転換点となりそうである。5月分の雇用統計は、中銀当局者が現在注視している二つの重要な問いについて、理解を深める助けとなる。その一つ目は、新型コロナウイルスの感染拡大で失われた雇用を、米労働市場がどれほど迅速に回復するのかといことである。二つ目は、最近のインフレ率上昇の要因になっている供給面の障害に緩和の兆候が見られるかである。これらの問いに対する答えは、FRBが債券の大量購入プログラムをいつ縮小させ始めるのか、FRBが将来の利上げに関しどう考えるのかとの観点を判断する手助けになる。

 

米国市場では5月ISM製造業景況指数が公表

4月実績は60.7で3月実績を下回った。長期化するさプアリチェーン目詰まりの問題や原材料不足によって生産が抑制されていることが要因。5月については半導体不足の複数の業種で生産抑制が続いているが、新規受注や雇用の数値は多少改善するとみられており、全体的には4月実績を多少上回る可能性がある。

 

欧米市場イベント

○15:00   5月英ネーションワイド住宅価格指数(予想:前月比0.8%)
○15:30   4月スイス小売売上高
○16:00   1-3月期スイス国内総生産(GDP、予想:前期比▲0.4%/前年比▲0.2%)
○16:00   5月トルコ製造業PMI
○16:30   5月スイスSVME購買部協会景気指数(予想:68.0)
○16:50   5月仏製造業PMI改定値(予想:59.2)
○16:55   5月独製造業PMI改定値(予想:64.0)
○16:55   5月独雇用統計(予想:失業率6.0%/失業者数変化▲0.9万人)
○17:00   5月ユーロ圏製造業PMI改定値(予想:62.8)
○17:30   5月英製造業PMI改定値(予想:66.1)
○18:00   4月ユーロ圏失業率(予想:8.1%)
○18:00   5月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値(予想:前年比1.9%)
○18:00   5月ユーロ圏HICPコア速報値(予想:前年比0.9%)
○21:00   1-3月期ブラジルGDP(予想:前年同期比0.8%)
○21:30   3月カナダGDP(予想:前月比1.0%/前年比6.5%)
       1-3月期カナダGDP(予想:前期比6.6%)
○22:45   5月米製造業PMI改定値(予想:61.5)
○23:00   4月米建設支出(予想:前月比0.5%)
○23:00   5月米ISM製造業景気指数(予想:60.9)
○23:00   クオールズ米連邦準備理事会(FRB)副議長、インタビュー
○24:00   ベイリー英中銀(BOE)総裁、講演
○2日03:00   5月ブラジル貿易収支(予想:95.00億ドルの黒字)
○2日03:00   ブレイナードFRB理事、講演
〇石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟産油国による「OPECプラス」閣僚級会合(テレビ会議)

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