FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

2021/06/14/15:11:11

日経平均株価:ワクチン接種進み経済活動正常化への期待買い

前週の米国株高を好感したものの、15-16日の米連邦公開市場委員会(FOMC)など重要イベントを控えている上、戻る売りも警戒され上値に対して慎重な動きとなった。市場では、2万9000円を超すと戻り売りが厚くなり、商いの盛り上がりに欠く状態では上値を追い切れないとの声が聞かれた。日経平均VIが午後に一段安となり、17.05まで下げてザラ場ベースで4月15日以来、2ヵ月ぶりの低水準を付けた。市場からは6月のメジャーSQを終えて15~16日の米FOMCを控えてこう着が強まった。ただ、国内で新型コロナウイルスのワクチン接種が進み、経済活動が正常化することへの期待が引き続き支援材料となった。結局、前営業日比213円高の2万9161円で終了した。

 

東京外国為替市場:109円台後半でもみ合い相場

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りに支えられ、109.83円付近まで値を上げた。米長期金利が小幅に上昇したことも、ドル買いを誘った。ただ、11日の海外市場でつけた109.84円が上値の目処として意識されると上げは一服した。短期筋による利益確定などのドル売り・円買いも見られ、109.75円を挟んでもみ合いとなった。午後は、日経平均株価や米長期金利の動向を睨みながら、109.70円台を中心とした狭いレンジでのもみ合いとなった。明日から開催される米FOMCを控えて、上下に動きにくくなっている。ユーロ/ドルは、1.2100ドルを挟んで小幅な値動きに終始した。

 

FX概況では前週のドル買い比率は56.1%に低下

QUICKが算出した前週末11日時点のFX6社合計(週間)の建玉状況によると、円に対するドルの買い比率は56.1%と前の週末から2.3ポイント低下した。前週は週間で小幅ながら円安・ドル高が進み、個人投資家からは目先の利益確定売りを目的とした円買い・ドル売りが増えた。前週の外国為替市場で円相場は1ドル=109円台前半で始まったあと、10日発表の米5月消費者物価指数(CPI)が市場予想を上回ったのを受けた米金利上昇を背景に、109.80円まで円安・ドル高が進む場面があった。短期売買の個人投資間の間では利益確定や相場の流れに逆らう『逆張り』のp円買い・ドル売りの動きが広がり、ドル買い比率の低下につながった。

 

日銀の金融政策決定会合では緩和継続見通し

日銀は17-18日の金融政策決定会合で、景気の現状判断をおおむね維持し、大規模な金融緩和を継続する見通しである。緊急事態宣言の延長で引き続き対面型サービス消費に下押し圧力が掛かる一方、輸出や生産は4月展望リポート時から若干上振れているとの見方が日銀では出ている。9月末に期限となる『新型コロナ対応資金繰り支援特別プログラム』の延長の是非も議論し、早ければ今回の会合で半年間の延長を決めるとみられる。

 

中国の新車販売台数は1年2ヵ月ぶりにマイナス

中国自動車工業協会は11日、5月の同国新車販売台数が前年同月比3.1%減の212万8000台だったと発表した。伸びは4月の8.6%増から落ち込み、1年2カ月ぶりにマイナスとなった。前年は新型コロナウイルスの感染抑制を背景に2桁増を記録したが、反動減となった形である。乗用車は1.7%減、商用車は7.4%減。一方、政府が普及を後押ししている電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)などの『新エネルギー車』は2.6倍の21万7000台で、全体に占める比率は初めて10%を上回った。

 

本日のトルコと米国の首脳会談:協議内容の深掘りは難しい

北大西洋条約機構(NATO)首脳会議が開催されるベルギー・ブリュッセルで、トルコと米国の大統領が両国関係改善に向けて歩み寄るとの期待が先週から高まっており、リラ相場の押し上げ要因となった。ただし、両国間の懸案事項は、ロシア製ミサイルのトルコ配備から中東情勢のみならず、トルコ国内の人権問題、歴史認識、また2016年のトルコ・クーデター未遂に絡むことなど多岐に渡る。トルコと米政府間で十分な予備交渉ができていれば別だが、NATO会議の合間で協議内容を深掘りするのは難しいかもしれない。互いの重要性を認める程度に留まり、問題解決は先送りとなる可能性も高い。『非難合戦とならなければ良ししとする』程度の見方が安全かもしれない。

 

17日のトルコ金融政策決定会合では金利据え置き見込み

トルコ中銀が17日に開く金融政策決定会合では、3会合連続の政策金利据え置きが見込まれる。エルドアン大統領が夏の利下げを望むなかで、引き締めスタンスに関しどの程度の文言が声明に織り込まれるかがポイントとなる。なお、先週は一部の米投資銀行と格付け会社から、早期緩和リスクが残るとしながらも利下げ時期は第4四半期までずれ込むとの予測が示された。

 

南アの国内事情とポジティブ材料

南アで今週懸念される国内事情は2つあります。1つ目は、国営会社エスコムによる電力負荷制限の水準が先週、一部地域でレベル4まで上がるなど電力のひっ迫が問題になっている。南アでは冬季に入っており、電力調整が厳しくなっている。2つ目は、公務員労働組合がストライキを行う可能性がある。一方でランドにとりポジティブ材料となりそうなのは、先週後半にゴーダン公共企業相が国営の南ア航空(SAA)株の売却を発表したことである。今後の財政赤字削減に弾みがつく可能性がある。なお、17日には4月の小売売上高が発表される。前年同月比では、昨年のパンデミック禍との比較でもあり、大幅なプラスが予想されている。

 

イスラエルではベネット新政権発足:ネタニヤフ氏は退陣

イスラエル国会は13日、右派政党『ヤミナ』のベネット党首が率いる連立政権を承認し、歴代最長の12年続いたネタニヤフ政権に終止符が打たれた。ただ、国会での投票は賛成60、反対59の僅差となり、左派から中道、右派、アラブ系政党まで幅広い勢力で構成し、ネタニヤフ氏の退陣以外に共通点の乏しい連立政権の危うさが浮き彫りになった。ネタニヤフ氏は1996-99年と2009年以降に首相として政権を率いた。しかし、過去2年間に実施された4度の総選挙では勝利を収められず、汚職疑惑を巡る裁判も逆風となった。

 

メキシコ中銀による利上げ期待:インフレ率が中銀目標を上回る結果

メキシコペソの足元でのサポートとなっているのは、メキシコ中銀による利上げ期待である。金利動向を最も左右する最新の5月消費者物価指数(CPI)が先週発表され、前年比で+5.89%と前4月の+6.08%からはやや鈍化したものの中銀目標の±3%を大きく上回っている。4-6月期のインフレ上振れは中銀の予想通りではありますが、来週24日に行われるメキシコ中銀の金融政策決定会合では引き続き引き締め路線への見方となりそうである。

 

欧米市場イベント

○15:30   5月スイス生産者輸入価格
○15:30   5月インド卸売物価指数(WPI、予想:前年比13.30%)
○16:00   4月トルコ経常収支(予想:22.0億ドルの赤字)
○17:00   デコス・スペイン中銀総裁、講演
○18:00   4月ユーロ圏鉱工業生産(予想:前月比0.4%/前年比37.4%)
○21:30   4月カナダ製造業出荷
○22:00   シュナーベル欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○22:00   ベイリー英中銀(BOE)総裁、講演
○北大西洋条約機構(NATO)首脳会議(ブリュッセル)
○ロシア(ロシアの日の振替休日)、休場

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欧米タイム直前市場コメント!

2021/06/11/15:14:43

日経平均株価:模様眺めムードに支配され小動き

5月米消費者物価指数(CPI)の発表を受けた米国株式市場が堅調だったことから好感された。また、米10年債利回りが1.4%台前半まで低下した。これが手掛かりとなって日本株も比較的底堅く推移した。しかし、週末とあって模様眺めムードに支配され、全体的に小動きに終始した。結局、前営業日比9円安の2万8948円で終了した。メジャーSQ値(速報値)は2万9046.40円。

 

東京外国為替市場:材料出尽くしで週末を控えた持ち高調整の動き

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りに支えられ、109.45円付近まで小幅に値を上げた。しかし、前日に米長期金利が1.43%台まで急低下し、日米金利差縮小が意識されているため、追随する動きは見られなかった。その後は、週末を控えた持ち高調整などのドル売り・円買いが入り、109.40円を挟んでもみ合いとなった。午後に入っても、109.40円前後で方向感に乏しい値動きが続いた。主要イベントが終了し、手掛かり材料難から積極的な売り買いは手控えられた。ユーロ/ドルは、1.21ドル台後半で小動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

G7では新たな『大西洋憲章』を発表する見通し

日本時間の11日から始まるG7サミット=主要7か国首脳会議を前に、アメリカのバイデン大統領とイギリスのジョンソン首相が会談し、世界的な課題の解決に向けて両国が協力するための目標をまとめた、新たな『大西洋憲章』を発表する見通しとなった。今回の憲章のモデルとなった大西洋憲章は、第2次世界大戦中の1941年、当時のルーズベルト大統領とチャーチル首相が、戦後の国際秩序の構築に向けて自由貿易の促進など8項目の目標を示したもので、その後、国連の創設などにつながった。今回、合意する見通しの新たな憲章では、当時と同様、価値観を共有するアメリカとイギリスが、安全保障や新型コロナウイルスからの復興、さらにサイバー攻撃や気候変動といったさまざまな課題に対応するための内容が含まれる。

 

格付け会社フィッチはトルコの実質金利マイナスは回避と予想

米投資銀行ゴールドマン・サックスや格付け会社フィッチ・レーティングスは昨日、強まるトルコ中銀への利下げ圧力がリスクとしながらも、実際に政策金利が引き下げられるのは第4四半期とした。エルドアン大統領は先週、『7、8月に金利は下がらなければならない』と主張しているが、金融政策委員会(MPC)は冷静な判断を下すと見られている。またフィッチはトルコのインフレについて、今後17%台へ上昇するものの年末には15.5%まで伸び率が縮小すると予想している。それに伴う政策金利の引き下げは17%までとし、実質金利マイナスは避けられるもようである。

 

メキシコ中銀のインフレ目標を上回る消費者物価指数

発表された5月メキシコ消費者物価指数(CPI)は前年比で5.89%の上昇となり、市場予想の5.86%を上回る結果となった。前月の6.08%から伸びは鈍化しているものの、依然としてメキシコ銀行(中央銀行)のインフレ目標(3.0%±1.0%)上限を大きく上回っている。また、ロペスオブラドール大統領は昨日、次期中央銀行総裁としてエレラ財務公債相を指名した。現在のディアスデレオン総裁は2021年末に任期満了を迎えるが、大統領は以前から同総裁を再任しない方針を示していた。財務公債相の後任には大統領の側近で、これまで経済政策を助言してきたラミレスデラオ氏が指名されている。

 

5月米消費者物価指数発表後の米長期金利動向

昨日の米長期金利の動向をどう解釈するかである。市場では『中古自動車が前年比7.3%と急騰。全体の5.0%の3分の1を占めるに至っている。この数字がピークであり、徐々に落ち着いてくるはず』との認識が強い模様である。FRBが頑なに主張するインフレ率上昇の『一時的』との見方を共有したような債券市場の値動きとなった。また、直近の安値が5月7日の米雇用統計直後につけた1.4643%だったわけで、短期筋のテクニカル的なストップロスを誘発したことも低下幅を拡大させた要因になった。ただ、最近の動きとは明らかに違う反応もみられている。実は、米10年債利回りが急低下したのに対して、米10年のブレイクイーブン金利(BEI)は逆に2.3144%から2.3704%に急上昇している。今月に入ってからというもの、名目の10年債利回りとBEIはともに低下傾向を続けていたが、昨日はBEIが反発するといった動きになった。結果的には実質金利が前日の▲0.78%前後から▲0.94%前後まで低下したことになった。それでもドル/円は前日の安値さえ更新しないといった状況である。米10年債利回りがBEIの反発につれて今後値を戻してくる可能性も否定できない。

 

米国における新型コロナウイルスの新規感染者数が増加

報道によると、米国における新型コロナウイルスの新規感染者数は3日連続で増加し、1週間ぶりに2万人を超えた。7日平均の感染者数も増えているが、2週間前との比較では大幅に減っている。

・6月9日における新規感染者数:22314(8日:15059、7日:13758、 6日:6067)
・6月9日における死者数:449(8日:373、7日:305、6日:253)

・データソース:New York Time Tracker
※米CDC(Centers for Disease Control and Prevention)によると、これまでに合計3億475万回のワクチン接種が実施されており、1億6483万人(63.9%)の成人が少なくとも1回以上のワクチン接種を受けている。

 

米国市場は6月ミシガン大学消費者信頼感指数速報

5月CB消費者信頼感指数は117.2で市場予想を下回った。主にワクチン接種の拡大によって、米国における新型コロナウイルスの感染流行は終息に向かいつつある。雇用情勢の顕著な改善は期待できないものの、消費者信頼感は4月との比較で多少改善する可能性がある。

 

欧米市場イベント

○15:00   5月独卸売物価指数(WPI)
○15:00   4月英国内総生産(GDP、予想:前月比2.2%)
○15:00   4月英鉱工業生産指数(予想:前月比1.2%/前年比30.5%)
         製造業生産高(予想:前月比1.5%)
○15:00   4月英商品貿易収支/英貿易収支(予想:121.0億ポンドの赤字/25億ポンドの赤字)
○16:00   4月トルコ鉱工業生産(予想:前月比▲0.5%)
○17:00   ホルツマン・オーストリア中銀総裁、講演
○17:30   ベイリー英中銀(BOE)総裁、カンリフBOE副総裁、ラムスデンBOE副総裁、スナク英財務相、国際決済銀行(BIS)主催のイベントに参加
○19:30   ロシア中銀、政策金利発表(予想:5.50%に引き上げ)
○20:00   4月メキシコ鉱工業生産(季調済、予想:前月比0.3%)
○21:00   4月インド鉱工業生産(予想:前年同月比120.0%)
○21:30   1-3月期カナダ設備稼働率(予想:80.6%)
○23:00   6月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、速報値、予想:84.0)
○先進7カ国(G7)首脳会議(英コーンウォール地方カービスベイ、13日まで)

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欧米タイム直前市場コメント!

2021/06/10/15:15:02

日経平均株価:全般見送りムード強く値動きの乏しい展開

朝方安く始まったが、米国市場で米長期金利の利回りが低下し、米ハイテク株がしっかりとなったことを追い風に、半導体関連や電子部品が買い戻された。一方、百貨店や外食、レジャー、空運、電鉄といった経済正常化への期待で買われた銘柄の一角が利益確定売りに押された。米金利動向やメジャーSQへの警戒感が根強い一方、国内経済正常化への期待感もあるとして強弱材料が対立した。5月米消費者物価指数(CPI)の発表を控え、売買の見送りムードも強かった。結局、前営業日比97円高の2万8958円と反発して終了した。東京証券取引所が10日発表した6月第1週(31日~4日)の海外投資家(外国人)は605億円買い越した。買い越しは2種連続となった。

 

東京外国為替市場:様子見ムード強く1090円台半ばでもみ合い

ドル/円は、本邦輸出勢などからドル売り・円買いが持ち込まれ、109.50円付近へ下落した。米中閣僚級レベルで電話会談が行われ、貿易の健全な関係推進で一致したため、これを好感した人民元高・ドル安が波及した面もあった。午後は日経平均株価や米長期金利を睨みながら、109.55円を挟んでの取引が続いた。今晩は発表される5月消費者物価指数(CPI)や週間の米新規失業保険申請件数を前に、様子見を決め込む市場参加者が多かった。ユーロ/ドルは、今晩の欧州中央銀行(ECB)定例理事会を控えて積極的な売買は目立たず、1.21ドル台後半で小動きに終始した。

 

5月の東京都心オフィス空室率は6年9ヵ月ぶりの高水準

オフィス仲介の三鬼商事が10日に発表した5月の東京都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)のオフィス空室率は、前月比0.25ポイント上昇の5.90%だった。15ヵ月連続で上昇し、2014年8月以来6年9ヵ月ぶりの高さとなった。新型コロナウィルス感染症で企業のテレワーク導入が進み、オフィス集約に伴う解約が続いた。既存ビルの空室率の前月比0.24ポイント上昇の5.86%と、14年7月以来の水準に上昇した。新築ビルは8.97%と1.67ポイント上昇した。満室稼働の大規模ビル1棟を含む3棟が竣工から1年たち、新築ビルの区分から外れたためである。

 

欧州市場ではECB理事会を開催

欧州中央銀行(ECB)の金融政策調査部門責任者はインフレ目標について、厳密な数字よりレンジで設定した方が、インフレ期待をうまく制御できるとの研究結果を公表しており、ECBの金融政策に影響を及ぼす可能性がある。ただ、今回の理事会では、パンデミック購入プログラム(PEPP)の現行の購入ペースを維持することが決定される見込みである。

 

かなり強力な物価圧力が存在:ハルデーン英中銀理事

イングランド銀行(英中央銀行)のハルデーン理事は9日、『かなり強力な物価圧力』がすでに存在しており、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて導入した大規模な金融政策をある段階で縮小する時期に来ているかもしれないとの認識を示した。同理事はLBCラジオとのインタビューで『われわれは蛇口の引き締めを開始し、われわれが刷っている紙幣の量のペースを落とし、最終的には逆の方向に向かい始める可能性さえある』と述べた。同理事は今月、退任する。5月の金融政策委員会では債券買い入れプログラムの縮小に賛成票を投じた。

 

米トルコ首脳会談に向けて関係改善期待

来週14日にブリュッセルで開催予定の米トルコ首脳会談に向けて、両国高官から歩み寄りを期待する発言が出ていることもリラの支えとなった。米トルコ首脳会談では、トルコがロシアから購入した地対空ミサイルS400についても話し合われると見られている。これまでトルコ側は『配備は決定事項』と米国の反対を拒み続けていた。ただ一部メディアが、起動させないことを条件にトルコのS400を米側が認める可能性を報じており、トルコの対応次第では関係改善に繋がっていくかもしれない。

 

南アの国内指標よりも欧米事情によりランドは変動の可能性

本日は南アから1-3月期経常収支が発表される。南アの財政問題を知るには重要な指標ではあるが、市場が反応するのは難しいと思われる。むしろ、欧州中央銀行(ECB)定例理事会及びその後のラガルドECB総裁の会見がランド相場に与える影響があるかもしれない。来週は米連邦公開市場委員会(FOMC)も開かれますが、主要国が早期のテーパリングなどを否定すると、これまで通りのランド買いトレンドが続くのではないかと思われる。なお、南ア国内のニュースでは国営電力会社エスコムの電力負荷制限が深刻になっている。昨日は一部地域で14時から22時までステージ4まで水準が上がった。南半球の南アでは冬季のため、電力の需要をできるだけ抑えようとはしているが、かなり苦戦している。

 

米国が制裁解除なら迅速にイラン原油増産

イラン国営石油(NIOC)の幹部は9日、イラン核合意の再建に向けた協議で、米国が対イラン制裁を解除すれば、迅速に原油生産を増やす方針を示した。同幹部は石油省傘下のシャナ通信に『制裁が解除されれば、国内の原油生産の大半が1カ月以内に復旧する見通しだ』とし『1週間、1カ月、3カ月の間隔で原油生産を制裁前の水準に戻す綿密な計画を立てている』と述べた。ただ、米政府は8日、イラン核合意が復活しても、数百にのぼる対イラン制裁は解除されないと表明しており、イラン産原油の市場への供給が直ちに増えない可能性もある。

 

メキシコ中銀総裁任期満了で交代:健全な財政バランスを目指す

メキシコのロペスオブラドール大統領は9日、アルトゥロ・エレラ財務公債相を次期中央銀行総裁に指名した。ロペスオブラドール大統領はこれまでに、今年末に任期が切れるディアス・デ・レオン総裁を再任せず、次期総裁に『社会的視点』を備えた人物を起用する方針を示していた。エレラ氏は世界銀行などでの勤務を経て、2019年7月に財務公債相に就任した。ロペスオブラドール大統領の意向に従い、緊縮的な財政政策を実施した。エレラ財務公債相の後任にはエコノミストのロヘリオ・ラミレス・デラ・オー氏を指名した。同氏は、24年までの任期を通して健全な財政バランスを目指すと表明した。

 

米国市場では5月消費者物価コア指数(CPI)が公表

5月米消費者物価指数コア指数(CPI)は前年比+3.4%で上昇率は4月実績の+3.0%を上回る見込みになっている。市場予想を上回った場合、インフレ進行の懸念はくすぶり、ドルは下げづらくなりやすい。

 

欧米市場イベント

○15:00   5月ノルウェー消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.1%/前年比2.9%)
○15:45   4月仏鉱工業生産指数(予想:前月比0.5%)
○16:00   4月トルコ失業率
○16:30   5月スウェーデンCPI(予想:前月比0.4%/前年比2.0%)
        コア指数(予想:前月比0.4%/前年比2.2%)
○18:00   1-3月期南アフリカ経常収支(予想:1821億ランドの黒字)
○20:45   欧州中央銀行(ECB)定例理事会、終了後政策金利発表(予想:0.00%に据え置き)
○21:05   ホールデン英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○21:30   ラガルドECB総裁、定例記者会見
○21:30   5月米CPI(予想:前月比0.4%/前年比4.7%)
       エネルギーと食品を除くコア指数(予想:前月比0.4%/前年比3.4%)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:37.0万件/360.2万人)
○11日02:00   米財務省、30年債入札
○11日03:00   5月米月次財政収支(予想:2500億ドルの赤字)
〇英米首脳会談

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欧米タイム直前市場コメント!

2021/06/09/15:10:38

日経平均株価:手掛かり材料難でもみ合い相場

前日の米国株式市場が方向感のない展開となり、日経平均は手掛かりを欠く中でもみ合いが続いた。半導体関連などハイテク株が売られた一方、経済正常化への思惑から業績回復期待銘柄への物色が広がり、底堅さも意識された。また、10日の5月米消費者物価指数(CPI)の発表や週末のメジャーSQ算出などイベントを控えて方向感に乏しい展開だった。結局、前営業日比102円安の2万8860円と続落して終了した。信用評価損率は4日申し込み時点でマイナス8.33%と、前週のマイナス8.82%から、マイナス幅が0.49ポイント縮小した。改善は3週連続となった。

 

東京外国為替市場109.45円前後で方向感に乏しい展開

ドル/円は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、109.40円台を中心とした狭い値幅で推移した。仲値にかけて本邦実需勢の動向が注目されたが、需給に大きな偏りは見られなかった。午後に入っても、109.45円前後で方向感に乏しい値動きが続いた。NY時間に予定されているカナダ中銀の政策金利発表や米10年債入札を前に、様子見ムードが広がった。ユーロ/ドルは、1.2180ドルを挟んで小動きに終始した。欧州勢待ちの様相となった。

 

ビットコインが米政府が規制強化するとの見方から一時失速

情報サイトコインデスクによると、代表的な暗号資産(仮想通貨)のビットコインが日本時間9日に一時、1ビットコイン=3万1000ドル台まで下落した。5月初旬に米東海外の燃料パイプラインがランサムウエア(身代金ウイルス)による攻撃を受けた。サイバー攻撃の身代金支払いにビットコインが使われたことで、米政府が暗号資産への規制強化をするとの見方が出た。

 

昨日欧州時間ではシステム障害

欧州時間に世界中のメジャーなウェブサイトに接続できないという事態が発生した。アマゾンやCNN、BBCやNYTなどのサイトが一斉にダウンするという異常事態にリスク回避で反応した。米10年債利回りが一時1.5111%まで急低下したほか、NYダウ先物が下落幅を広げると一時109.27円まで値を下げる場面もみられましたが、アジア時間の安値109.20円にも届かないことを確認した市場は109.51円まで買い戻してNY市場を引けることになりましたね。FBIがパイプラインへのサイバーテロにかかる身代金として支払われたビットコインをダークサイドから奪取したことが話題となったばかりである。市場ではその報復として『再びサイバーアタックされたのでは』との憶測が台頭したのも致し方のないことだったのかもしれない。ただ、結局はファストリーというクラウドサーバーを管理している大元のシステム障害だったことが判明した。すぐにも修復されて事なきを得たといったところである。

 

中国では少子高齢化に伴う国力の低下は大きな脅威

中国が5月に発表した国勢調査によると、2020年の出生数は約60年ぶりの低水準となった。中国は2015年に『一人っ子政策』を廃止し、『二人っ子政策』を導入したが、出生数の減少傾向が続いている。GDPが近い将来に米国を上回り世界一になる可能性が高まっているが、少子高齢化に伴う国力の低下は大きな脅威となっている。中国の少子高齢化は先進国よりも深刻な問題となっており、中国人民銀行(中央銀行)は人口構造の変化に伴って『経済の停滞や物価下落、資産価格のデフレ』の懸念が高まると警告している。2020年の国勢調査では、15-59歳の『生産年齢人口』の総人口に占める比率が63.4%と、10年前の前回調査と比べ6.8ポイント低下した。労働力確保が急務となり、当局は早期の対応が不可欠と判断し、夫婦が3人まで子どもをもうけることを認める方針を示した。

 

トルコリラは原油高で経常赤字の拡大は避けられない

原油価格の高止まりはエネルギーを輸入に頼るトルコにとっては悩みの種である。昨日のNY原油先物は約2年8カ月ぶりの高値で引け、このままでは通貨安に繋がる同国経常赤字の拡大は避けられない。また、エネルギー価格の高騰はトルコ運輸産業の収益を圧迫しかねず、同国株の上昇を鈍らせることにもなる。

 

南アの1-3月GDPは好結果でもランドは利益確定売り

注目された1-3月期国内総生産(GDP)は前期比では市場予想を上回る好結果だったが、指標発表前にランドが買われていたこともあり、指標発表後は僅かにランドが買われた後は利食い売りに押された。なお、GDPは主に鉱業や貿易産業がけん引した。

【昨日の指標結果】        (結果)   (前回) 
1-3月期南アフリカGDP(前期比年率)+4.6%    +2.5%
1-3月期南アフリカGDP(前年同期比)-3.2%    -3.2%

 

欧米市場イベント

○15:00   4月独貿易収支(予想:163億ユーロの黒字)
○15:00   4月独経常収支(予想:230億ユーロの黒字)
○19:00   4-6月期南アフリカ経済研究所(BER)企業信頼感指数(予想:37)
○20:00   5月メキシコCPI(予想:前月比0.17%)
○未定   ポーランド中銀、政策金利発表(予想:0.10%で据え置き)
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○21:00   5月ブラジルIBGE消費者物価指数(IPCA、予想:前月比0.71%)
○23:00   カナダ銀行(BOC、中央銀行)、政策金利発表(予想:0.25%で据え置き)
○23:00   4月米卸売売上高
○23:00   4月米卸売在庫(予想:前月比0.8%)
○23:30   EIA週間在庫統計
○10日02:00   米財務省、10年債入札

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

欧米タイム直前市場コメント!

2021/06/08/15:13:06

日経平均株価:重要イベント控えて様子見ムード

まちまちの米国株を受けて、日本株は続伸して始まったものの、重要イベントや週末にメジャーSQ算出を控える中で、明確な方向性が感じられず、続伸した後に軟化する展開になった。引き続き個別物色の動きとなった。心理的な節目の2万9000円を超えた水準では上値の重さが意識され、利益確定売りに次第に押された。結局、前営業日比55円安の2万8963円と小幅反落して終了した。

 

東京外国為替市場:短期筋による持ち高調整などのドル売り

ドル/円は、仲値にかけて本邦輸入勢などのドル買い・円売りが通常より多く持ち込まれ、109.45円付近へ上昇した。しかし、先週末に発表された5月米雇用統計の非農業部門雇用者数が予想を下回り、米FRBが早期に量的緩和を縮小するとの観測が後退していることから、上値を追う動きは限られた。その後は、短期筋による持ち高調整などのドル売り・円買いも見られ、109.40円を挟んだもみ合いとなった。午後に入っても、109.40円台を中心とした狭いレンジでの取引が続いた。10日に発表される5月消費者物価指数(CPI)を前に、様子見ムードが広がった。ユーロ/ドルは1.2180ドル前後で方向感に欠ける値動きとなった。

 

FOMCを控えてハイイールド債ETFから資金流出

7日の米国市場でハイイールド債を対象とするSPDRバークレイズ・ハイイールド債券ETF(JNK)から資金が流出した。5億4434万ドルとなり、15~16日に米FOMCを控える中で3日連続の流出超となった。この日のJNKは前週末比0.07%高で小幅に続伸し、テーパリング懸念が残るなかでも米長期金利が落ち着いた展開となる中で堅調だった。JNKには3300万株を超える空売り残高があり、年初来高値圏で堅調な中、売り方の買い戻しにっよる資金流出が起きやすい地合いとみられる。

 

顧客が米国株を2週ぶりに買い越し

BofAセキュリティーズの8日付けの顧客フローのリポートによると、同社の顧客は5月31日~6月4日の1週間に米株を14億6400万ドル買い越した。2週ぶりに買い越しに転じたことになる。この週は4日に発表された5月の米雇用統計で非農業部門の新規雇用者数が前月比55万9000人増となり、市場予想(65万人増)を下回ったことで長期金利が低下する中、S&P500指数が週間で0.61%高となって2週連続で上昇した時だった。主体別動向ではヘッジファンド(HF)が3100万ドルの小幅売り越しで、、2週連続の売り越し。機関投資家は7億9700万ドルの買い越しで、4週連続の買い越しだった。個人投資家は2億900万ドルの売り越しで、5週連続の売り越しだった。企業の自社株買いは9億700万ドル。傾向としてはS&P500指数が史上最高値圏にある中、機関投資家の買いが目立った。ほとんどがパッシブ買いだといい。その反面、個人投資家とHFの売り基調は続いた。

 

トルコのポジティブ材料

トルコで新型コロナウイルス感染が減少傾向となっていることを受け、ドイツは同国を新型コロナの高リスクリストから外すことを決定した。今後、両国間の渡航が正常化に向かうことが期待され、トルコ観光業にとっての明るい材料は通貨リラの支えにもなった。 また、エルドアン大統領が週末、黒海でトルコが進めている資源開発において新たな天然ガス鉱床を発見したと発表した。エネルギーを輸入に頼る同国の経済にとってポジティブな話題ではあり、こちらも市場に好感された面もあった。

 

南アフリカのネガティブ材料

ムボウェニ南ア財務相の解任の噂については、ラマポーザ南ア大統領が内閣の改造を行おうとしているが、その中で緊縮財政に走り過ぎている財務相を交代させようという声が出ている。すでに、南アの情報誌では後任にクガニャゴ南アフリカ準備銀行(SARB)総裁をはじめ複数の名前が出ている。解任のニュースが流れた場合は、ランドが売られる可能性もあるが、後任者次第では売りも限られる。南ア公務員組合(PSA)のストライキについては、早ければ11日金曜日に投票が行われるとされている。23万5千人という大きな組合には看護師、教師、警官、などを含む公務員が含まれている。賃金交渉が一向に進まないことが原因でもめたままだが、ストライキが実行された場合は当然ランドには悪いニュースである。

 

米国債需要動向次第で米金利とドル相場を左右

今週の米国債市場では入札が予定されている。日程は8日に3年債、9日に10年債、10日に30年債といった順番である。前週末には米雇用統計が予想を下回り、米FRBによる早期の緩和縮小観測は一旦の後退してきた。米国内での根強いカネ余りなどもあり、米債入札で一定の需要が示されると米債金利は低下(米債価格は上昇)。為替相場ではドル/円を含めて、全般的なドル安の要因になりやすい。一方、今週の米指標など次第では、改めて米国でのインフレ上昇が示される可能性がある。先行きFRBが緩和縮小に移行する余地は残されており、米債入札が低調となると米債金利は上昇(米債価格は下落)。全般的にドルが上昇となる余地も残されている。

 

5月米雇用統計が下振れの背景

週末の米雇用統計は予想を下回る伸び悩みとなった。米雇用下振れの背景としては、改めて⓵失業保険給付金の上乗せによる『給付金頼み』と就労の先送り、②希望する職種や賃金で職場復帰が出来ないミスマッチ、③ワクチン未接種者を中心とした感染恐怖による就労敬遠、④学校の登校制限などによる子育て世代の就労制約、などが意識されている。もっとも就労意欲低下の一因となっている失業給付上乗せ措置については、前週までに『全米50州の半数に当たる25州が9月期限前の打ち切りを発表した』(2日ロイター)。同措置はアラスカ州、アイオワ州、ミシシッピ州、ミズーリ州で12日に終了し、その後7月10日にかけて他の21州で順次終了していく。学校の登校制限についても、米国で最大級の学区であるNY市とロサンゼルスは5月24日、9月の新学期に向けて学校の対面授業を全面再開する計画を発表した。こうした要因により、米国では段階的に求職者と雇用者数が増加していく伸びシロが残されている。

 

米国市場では4月貿易収支が公表

3月実績は-744億ドルだった。財の輸入額は過去最大となった。輸出額は前月比で増加したが、景気回復による国内需要の増大で輸入額はさらに増える可能性がある。4月については、消費財と資本財の輸入が増える可能性があるが、複数の項目で輸出額は増加するとみられており、貿易赤字は3月実績との比較で縮小する可能性がある。

 

欧米市場イベント

○15:00   4月独鉱工業生産(予想:前月比0.5%/前年同月比29.5%)
○15:45   4月仏貿易収支(予想:54.21億ユーロの赤字)
○15:45   4月仏経常収支
○18:00   6月独ZEW景況感指数(予想:86.0)
○18:00   6月ユーロ圏ZEW景況感指数
○18:00   1-3月期ユーロ圏域内総生産(GDP)確定値(予想:前期比▲0.6%/前年比▲1.8%)
○18:30   1-3月期南アフリカGDP(予想:前期比年率2.5%/前年同期比▲3.2%)
○19:00   雨宮正佳日銀副総裁、オンラインセミナーで講演
○21:00   4月ブラジル小売売上高指数(予想:前年同月比19.8%)
○21:30   4月カナダ貿易収支(予想:8.1億カナダドルの赤字)
○21:30   4月米貿易収支(予想:690億ドルの赤字)
○22:00   ホールデン英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○9日02:00   米財務省、3年債入札

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