FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

2021/05/24/15:12:07

日経平均株価:目先の材料なく上値の重い展開

欧米の企業景況感指数の上昇を手掛かりにグローバルな景況感改善で恩恵を受けやすい自動車や海運中心に買いが集まり国内で新型コロナウイルス大規模ワクチン接種が始まったことも支援材料として意識された。ただ、市場ではNYダウ先物や台湾株は小幅高、暗号資産を代表するビットコインは小幅安など、目先の材料もなく海外市場の動きもない中では、動きようがないとの声もあった。もっとも、高値では戻り待ちの売りや利益確定の売りも出やすく上げ幅は限られた。結局、前営業日比46円高の2万8364円と3日続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:資源国通貨安で円買いがやや優勢

ドル/円は、本邦輸入企業などのドル買い・円売りや日経平均株価の続伸に支えられ、109.00円付近へ小幅に値を上げた。しかし、今晩の米国株価動向やFRB当局者の講演内容を見極めたいとの雰囲気もあり、上値を追う動きは限られた。その後は、持ち高調整などのドル売り・円買いに押されて108.85円付近へ値を下げた。銅やアルミニウムなどの下落を眺めた資源国通貨安・円高が波及した面もあった。午後は、日経平均株価の伸び悩みや米長期金利低下がドル売り・円買いを誘い、108.77円付近まで下落した。ユーロ/ドルは、1.21ドル台後半で小動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

ビットコインに対する逆風が続く:高値から約半値落ち

米電気自動車大手テスラのイーロンマスク最高形成責任者(CEO)が今月、テスラ車の購入でビットコインの受付を停止したと明らかにするなど、同氏の一連のツイートを受けてビットコインは売り圧力にさらされている。中国の金融安定発展委員会が21日、東医や金融リスクの防止に向け、ビットコインのマイニングや取引を取り締まる方針を示したことも重石となっている。劉鶴副首相が委員長を務める同委員会は、規制を強化する必要がある資産としてビットコインを挙げた。このほか、中国の金融業界3団体は先週、銀行と決算企業による暗号資産間れサービスについて、これまでよりも厳しい禁止措置を発表した。さらに米国でも財務省が20日、1万ドル以上の暗号資産を送金する場合に内国歳入庁(IRS)への報告を義務付ける案を示し、米FRBは暗号資産が金融安定に潜在的なリスクをもたらす可能性に言及した。

 

トルコのインフレ悪化と今後の経済指標に注目

トルコでは先週、ガソリンや軽油、液化石油ガスなどに課される特別消費税が引き上げられた。一部通信社によるエコノミスト調査によれば、今回の増税でインフレが0.4%程度押し上げられるとされている。また建設資材の高騰などで同国住宅価格の上昇が止まらないこともインフレ悪化への悪循環となっている。カブジュオール・トルコ中銀総裁は金融引き締めスタンスの継続を強調しているが、エルドアン大統領に睨まれて追加利上げに踏み切れそうにない。それどころか逆に、低下傾向の支持率を回復させるためにエルドアン大統領が利下げを強く求める可能性もあり得る。先週発表されたトルコの5月消費者信頼感指数は2年ぶりの低水準となり、景気回復の鈍さが示された。今週は同月設備稼働率や経済信頼感指数で足もとの状況を確認することになる。

 

南アのインフレ動向に注目:27日4月生産者物価指数

南アの消費者物価指数(CPI)は市場予想より上振れ、SARBのインフレ警戒による利上げ論の要因となっている。原油価格の上昇に連れた輸送費(+10.6%)の高騰、食品価格が前年比+6.3%となり、45カ月ぶりの数値を記録したことが要因となっている。一方で、3月の小売売上高は前年比でマイナスとなった。市場が懸念する、高インフレ下の経済の停滞が現実的になってきている。市場では政策金利より高いインフレ率を警戒する声が高い。若干ながら利上げ期待論の方が強いことはZARの支えとなる。なお、今週27日の4月生産者物価指数(PPI)が注目される。

 

メキシコが2年連続で海外駐在員が選ぶ居住地ランキング2位

ドイツのミュンヘンに本部を置くウェブサイト「インターネイションズ(InterNations)」が発表した海外駐在員が選ぶ住みやすい・働きやすい居住地ランキングで、台湾に続いてメキシコが2年連続で59か国中、2位に選ばれた。駐在員の85%がメキシコに定住しやすいと述べており、それは世界平均の23%高い結果になった。しかしながら、『安全とセキュリティ面』では59カ国中の51位、『環境の質』では42位とかなり悪く、水や衛生のインフラについての不満も多くある。しかし、それを補う以上の魅力がメキシコにはあるとの意見が圧倒的に多く、今後のメキシコ経済を占ううえで、この結果はポジティブなニュースである。

 

米国が人権侵害から北京オリンピック外交的ボイコット呼び掛け

ペロシ米下院議長は、中国当局による新疆ウイグル自治区での人権侵害などを理由に、来年2月の北京オリンピックに選手以外の政府代表団の参加を見送るように主要国に『外交的ボイコット』を呼び掛けた。中国政府は強く反発しており、関連するヘッドラインに要警戒となる。

 

米FOMCの議事要旨公表から市場の見方に変化

連邦準備制度理事会(FRB)は19日に公表した連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(4月27-28日会合分)の中で、メンバーのほとんどが依然、インフレを一時的と見ており、圧力を懸念していないことが明らかになった。また、経済がFRBの目標である最大雇用や物価安定目標に向けて著しい進展を見せるまでにはかなりの時間を要する可能性が強いと見ており、大規模緩和を維持する姿勢を再表明した。同時に、複数の参加者は、もし、委員会の目標に向けて経済が急回復を継続した場合、今後の会合で、資産購入ペースの修正に関する計画協議を開始することが適切になるかもしれないと指摘した。また、4月会合で初めて、メンバーは資産購入ペースの修正に言及している。米国債市場では当初、緩和縮小観測を受けて一時売りが加速する局面もあったが、その後は、堅調な推移となっている。今までのように、インフレが上昇しても対応しないと強固な姿勢を見せるのではなく、むしろ、柔軟なFRBの姿勢を歓迎した。政策立ち遅れを警戒した債券売りが後退している。

 

欧米市場イベント

○22:00   ブレイナード米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○23:30   ベイリー英中銀(BOE)総裁、カンリフBOE副総裁、ホールデン英中銀金融政策委員会(MPC)委員、サンダース英MPC委員、議会に出席
○24:00   メスター米クリーブランド連銀総裁、講演
○25日01:00   ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演
○ノルウェー、スイス、ドイツ(聖霊降臨祭翌日の月曜日)、カナダ(ビクトリア・デー)、休場
○欧州連合(EU)首脳会議(25日まで)

 

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

欧米タイム直前市場コメント!

2021/05/21/15:16:39

日経平均株価:週末の手仕舞い売りもあり上値の重い展開

前日の米国株式市場が上昇したことを好感し、グロース株中心に底堅い地合いを維持した。ただ、週末とあって手仕舞い売りもみられ、後場にかけて模様眺めムードが強くなるとの見方も出ていた。一時300円を超す上昇となったものの、前場中盤からは伸び悩む動きに変わった。5月末までの東京や大阪の緊急事態宣言期間が延長されるとの観測が嫌気された。時価水準より戻り売り圧力が強くなるとの警戒感も生じた。結局、前営業日比219円高の2万8317円と続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:アジア株下落でリスク回避の円買いやや優勢

ドル/円は、日経平均株価の反発に支えられ、108.90円付近まで小幅に上昇した。しかし、前日に発表された5月フィラデルフィア連銀製造業景気指数が予想を大きく下回り、米FRBのテーパリング観測がやや後退していることから上値を追う動きは限られた。その後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら108.85円付近で取引された。午後は、週末を控えた持ち高調整などのドル売り・円買いに押され、108.70円近辺へ下落した。中国や香港の株価がさえない動きだったことも、円買いを誘った。ユーロ/ドルはフランスやドイツの5月PMI速報値を控えて様子見ムードが広がり、1.223ドル台を中心とした狭いレンジ内でもみ合った。

 

海外投資家は8ヵ月ぶりに日本株売り越し

東京証券取引所が20日発表した5月第2週(10-14日)の投資部門別売買動向(東京・名古屋2市場+1-2部と新興市場の合計)によると、ワクチン接種の遅れを懸念した外国人投資家の売りが広がり、海外投資家が4215億円と大幅に売り越し、売越額は8ヵ月ぶり高水準だった。この週は新型コロナウイルス感染拡大や緊急事態宣言の延長、ワクチン接種の遅れから日本の景気回復鈍化との見方が広がりワクチン接種加速で経済再開が早まる欧州や米国などへ資金移動が広がった。

 

欧州市場では5月マークイットユーロ圏製造業PMI

4月実績は62.9となった。新型コロナウイルスのワクチン接種拡大によって製造業の企業景況感は改善しつつある。雇用情勢の急速な改善は期待できないものの、新規受注はまずまず順調とみられており、5月は4月実績に近い数値となる可能性がある。

 

トルコでは特別消費税引き上げでインフレ率も上昇

トルコでは20日にガソリンや軽油、液化石油ガスなどに課される特別消費税が引き上げられた。一部通信社の調査によれば、今回の増税でインフレが0.4%程度押し上げられると見るエコノミストが多い。トルコ中銀が追加利上げに踏み切れず物価対策に手詰まり感がでるなかで、更なるインフレ悪化となれば、通貨リラの重石になる。また、昨日トルコ中銀が発表した外貨準備の保有高は、グロスで488.6億ドルと前週から4%ほど増加した。もっとも年初来では依然として減少しており、外貨準備高枯渇に対する警戒感は高まったままである。リラ安値圏での推移が続くようであれば、準備高不足を狙った投機筋のリラ売りにも注意しておきたい。

 

南ア準備銀行の金融政策委員会の政策金利は据え置き

南ア準備銀行(SARB)は市場予想通り3.5%に政策金利を据え置いた。金融政策委員会(MPC)メンバー5名の全会一致で決定された。SARBインフレ見通しは2021年が前回予測4.3%から4.2%へ下方修正されたものの、22年は4.4%、23年が4.5%と変更はあなかった。またコアインフレ予想も今年は3.3%から3.0%へ引き下げられたが、22,23年は前回と変わらず4.0%と4.3%だった。また、SARBは今年の成長見通しを3.8%から4.2%へ上方修正した。原油価格が上昇し総輸入額も増加しているのにもかかわらず、堅調なコモディティ価格が経済の好循環に繋がっているとの見解を示した。ただし、パンデミック前の水準に戻るにはしばらく時間がかかり、22年は2.3%と成長が鈍化し、23年は2.4%成長との予想をたてた。

 

メキシコの下院議員選挙の世論調査には注意が必要

6月6日に迫っているメキシコ連邦下院議員選挙ですが、最新の世論調査によると与野党の支持率が接近している。メキシコ連邦下院は定数が500議席(選挙区300議席、比例代表200議席)だが、世論調査によるとロペスオブラドール大統領が率いる国民再生運動(Morena)は現在の256議席から230議席へと議席数を減らし、単独過半数を失う見込み。現在連立を組んでいる労働党(PT)やメキシコ環境主義緑の党(PVEM)を含めても315議席と過半数は維持できるものの、現在の334議席からは議席を減らすとの予想になっている。さらに別の世論調査ではMorenaの予想議席数が195議席、Morena-PVEM-PT同盟でも242議席と過半数に届かないという驚きの結果が伝わった。
ロペスオブラドール大統領が依然として60%強という高い支持率を維持しているため、連立与党が過半数を失うという結果は想定し難いが、メキシコの政権基盤が安定していることが現在のペソの下支え要因となっている面もあるだけに、今後の世論調査にも注意が必要となる。

 

米国市場では5月マークイットサービス業PMIが公表

4月実績は64.7だった。新型コロナウイルスのワクチン接種が急速に拡大しており、経済制限措置が緩和されている。対面型のサービス業の企業活動は拡大しており、個人消費は持ち直していることから、5月は4月実績と同水準か、やや上回る可能性がある。

 

欧米市場イベント

○15:00   4月英小売売上高(自動車燃料含む、予想:前月比4.5%/前年比36.8%)
○15:00   4月英小売売上高(自動車燃料除く、予想:前月比4.4%/前年比31.7%)
○15:30   1-3月期スイス鉱工業生産指数
○16:15   5月仏製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値(予想:58.5)
○16:15   5月仏サービス部門PMI速報値(予想:53.0)
○16:30   5月独製造業PMI速報値(予想:65.9)
○16:30   5月独サービス部門PMI速報値(予想:52.0)
○17:00   5月ユーロ圏製造業PMI速報値(予想:62.5)
○17:00   5月ユーロ圏サービス部門PMI速報値(予想:52.3)
○17:30   4月香港CPI(予想:前年同月比0.6%)
○17:30   5月英製造業PMI速報値(予想:60.5)
○17:30   5月英サービス部門PMI速報値(予想:62.0)
○20:00   ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
○21:30   3月カナダ小売売上高(予想:前月比2.3%/自動車を除く前月比2.2%)
○22:45   5月米製造業PMI速報値(予想:60.2)
○22:45   5月米サービス部門PMI速報値(予想:64.5)
○22:45   5月米総合PMI速報値
○23:00   5月ユーロ圏消費者信頼感指数(速報値、予想:▲6.8)
○23:00   4月米中古住宅販売件数(予想:前月比2.0%/年率換算609万件)
○22日01:15   カプラン米ダラス連銀総裁、ボスティック米アトランタ連銀総裁、バーキン米リッチモンド連銀総裁、講演
○22日02:30   デイリー米サンフランシスコ連銀総裁、講演
○欧州連合(EU)財務相理事会(非公式、22日まで)

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欧米タイム直前市場コメント!

2021/05/20/15:12:54

日経平均株価:下値は堅いが上値も重い展開

米国株安を受けて朝方に安く始まった後は、前日の終値を挟んだもみ合いとなり、方向感を欠いた。前日の米国株式市場では、4月の米FOMC議事要旨の内容が嫌気される形で下落した。また、暗号資産(仮想通貨)のビットコインやイーサが急落したこともリスク回避ムードを高めた。ただ、米国株の主要3指数の下げは大きくなく、日本株への影響は限定的となった。ただし、高くなったところでは戻り売りに押されて失速した。その後は下値は堅いが上値も重いという状況が続いた。結局、前営業日比53円高の2万8098円と小幅反発して終了した。5月第2週の海外投資家は、3週間ぶりに4214億円の売り越しとなった。

 

東京外国為替市場:米長期金利の動向を睨みながら神経質な動き

ドル/円は、米長期金利低下を眺めたドル売り・円買いに押され、109.10円付近へ軟化した。ビッドコインなどの暗号資産の急落で、リスク許容度が低下していることも円買いを誘った。ただ、一時200円を超える下げ幅を記録していた日経平均株価が持ち直したこともあり、下値を追う動きは限られた。午後は、日経平均株価や米長期金利の動向を睨みながら、109.15円でもみ合いが続いた。前日に公表された米FOMC議事要旨がサプライズとなり、FRBが想定よりも早期に量的緩和の縮小に動くとの見方が広がっている。ユーロ/ドルは、1.2180ドル前後で小動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

本邦製造業DIは18年12月以来の高水準

5月ロイター短観では、製造業DIが前月比8ポイント改善のプラス21、非製造業が5ポイント改善のプラス2となった。製造業は2018年12月以来の高水準。世界経済の回復や市況改善を追い風に化学製品のDIは調査開始以来の最高を更新した。非製造業は新型コロナウイルスの感染拡大の影響が出始める直前の20年2月以来のプラス圏。ただ、非製造業の回答企業からはコロナの影響を懸念する声が値強い。

 

イスラエル・パレスチナ交戦を巡る米・トルコ関係悪化懸念

リラを買い難くさせているのが、イスラエル・パレスチナ交戦を巡る米・トルコ関係悪化への懸念である。パレスチナを支援するエルドアン・トルコ大統領はイスラエルを『テロ国家』と呼び、その後も激しく非難し続けている。これに対し米国務省報道官が18日、『エルドアン大統領の最近の発言は反ユダヤ主義だ』と強く批判し、両国の溝の広がりが顕著となっている。バイデン米政権が成立して4カ月が経ったが、トルコは依然として米政権との関係構築を模索しているところである。来月に対面では初の米トルコ首脳会談が予定されており、両国関係の改善を期待する声も上がっているが、このままでは逆に物別れに終わる可能性もでてきてしまう。

 

南アの金融政策金利の発表:金利は据え置きの予想

市場の注目は南ア準備銀行(SARB)の金融政策委員会(MPC)になります。南アの消費者物価指数(CPI)は市場予想より上振れていることで、SARBのインフレ警戒による利上げ論が出てくる要因となっている。今回のCPIの上昇は主に原油価格の上昇に連れた輸送費の高騰(+10.6%)が一つ、もう一つが食品価格が前年比+6.3%となり、45カ月ぶりの数値を記録したことが要因である。その一方で、3月の小売売上高は2月にロックダウンが緩和されたこともあり、市場ではプラス転になると思われていたが、ふたを開けるとマイナスとなっている。市場が懸念する、高インフレ下の経済の停滞が現実的になってきている。本日のSARBのMPCは、ほぼすべての予想が政策金利の変更はなしとなっている。上述の政策金利の上下両要因があるが、市場は若干ながら政策金利より高いインフレ率への懸念をしめすエコノミストが増えていることで、SARBがどのような見解を示すかが注目される。

 

初の米・メキシコ・カナダ協定は無難に終了

17-18日に行われた米・メキシコ・カナダ協定(USMCA)を巡る初の3国会合が終了し、気候変動への取り組みや強制労働で製造された製品の輸入取り締まりでお互い協力することを確認した。労働分野の紛争解決メカニズムに関しては、メキシコと米国で大きな見解の相違はあるが、今回はこの件に踏み込んだ議論はなかったものと思われる。

 

4月FOMCで緩和縮小協議への思惑強まる

連邦準備制度理事会(FRB)は連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(4月27-28日会合分)を発表した。その中で、メンバーのほとんどが依然、インフレを一時的と見ており、圧力を懸念していないことが明らかになった。4月会合は、4月の雇用統計やインフレ指標発表される前に開催されている。FRBの高官達は短期の価格圧力はいずれ和らぐという見解を示している。経済活動の再開に伴うサプライチェーンの問題が価格を短期的に、FRBの目標である2%以上に引き上げると予想した。こういった短期的な問題が解決したのち、インフレは和らぐと見ている。また、経済がFRBの目標である最大雇用や物価安定目標に向けて著しい進展を見せるまでにはかなりの時間を要する可能性が強いと見ている。FRBはインフレ2%をいくらか上回る水準まで過熱させ平均で2%を目指す。同時に、複数の参加者は、もし、委員会の目標に向けて経済が急回復を継続した場合、今後の会合で、資産購入ペースの修正に関する計画協議を開始することが適切になるかもしれないと指摘した。今までの会合で初めて、メンバーは資産購入ペースの修正に言及した。このため、市場では、今後数会合のうちに、FRBが緩和縮小協議を開始するとの見方を強めた。

 

ビットコインの不安定な値動きがテスラの企業価値のリスク

足元で暗号資産(仮想通貨)ビットコイン価格が急落したため、米電気自動車(EV)大手テスラが保有するビットコインの時価は3月末時点から半減して12億6000万ドルと、実質的な取得原価の13億ドルをやや割り込んだ。テスラは、ビットコイン価格が実質的な取得原価を下回った場合、減損費用を認定する必要があり、どこかの時期の業績に悪影響を及ぼす可能性があるとの認識を示した。ただ、マスク最高経営責任者(CEO)は19日、『テスラはダイヤモンド・ハンズを持っている』とツイッターに投稿し、保有分を売却しないとのメッセージを発信した。ダイヤモンド・ハンズは、掲示板レディットでしばしば使われる言葉で、リスクの高い資産を果敢に持ち続けることを意味する。テスラは2月8日、ビットコインに15億ドルを投じてその10%を既に売却したことを明らかにしていた。この売却は第1・四半期利益の押し上げにつながったものの、ビットコインの不安定な値動きがテスラの企業価値を揺さぶる危険性も浮き彫りになった。

 

SPAC人気の冷え込み拍車で個人投資家は大やけど

特別買収目的会社(SPAC)やSPACを利用して上場した企業の株価が急落する中、つい先日までの注目セクターに殺到した個人投資家は大きな痛手を負っている。SPACとの合併を通じて上場した企業のほか、まだ企業を買収していないSPACをカバーしているディファイアンス・ネクスト・ジェンのSPACディライブドETF(上場投資信託)は、ここ3カ月で約30%下落し、一時は6カ月ぶり安値に沈んだ。電気自動車(EV)電池企業のクアンタムスケープや宇宙旅行会社ヴァージン・ギャラクティックなど、セクター関連の人気銘柄はこの期間に50%以上急落した。EV新興企業ルシッド・モーターズや消費者向け融資を手掛けるソーシャル・ファイナンス(ソーファイ、SoFi)など、話題の企業を上場させたSPACも売りを浴びている。SPAC関連銘柄は投げ売りの対象となり、いわゆる白紙小切手会社に対して規制当局が監視を強化させる兆しも重荷となっている。

 

欧米市場イベント

○15:00   4月独生産者物価指数(PPI、予想:前月比0.8%)
○17:00   3月ユーロ圏経常収支(季節調整済/季節調整前)
○18:00   3月ユーロ圏建設支出
○18:00   レーンECB専務理事兼主任エコノミスト、講演
○18:05   カンリフ英中銀(BOE)副総裁、講演
○20:50   ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、ホルツマン・オーストリア中銀総裁、ゲオルギエバ国際通貨基金(IMF)専務理事、講演
○21:30   5月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数(予想:43.0)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:45.0万件/364.0万人)
○23:00   4月米景気先行指標総合指数(予想:前月比1.4%)
○未定   南アフリカ準備銀行(SARB)、政策金利発表(予想:3.50%で据え置き)
○23:30   カプラン米ダラス連銀総裁、講演
○23:45   ビルロワ・フランス中銀総裁、講演
○24:00   マックレム・カナダ銀行(BOC)総裁、あいさつ

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欧米タイム直前市場コメント!

2021/05/19/15:17:08

日経平均株価:米FOMC議事要旨公表待ちで上値の重い展開

米国株が取引終盤に大きく崩れたことを嫌気して、寄り付きから300円を超る下落となった。その後、節目の28000円を下回り、下げ幅を500円超に拡大した。マザーズ指数が売り先行からプラス転換するなどポジティブな動きも見られたことから、下では押し目買いが入って急速に値を戻した。しかし、28000円を大きく上回ってきたところでは売り直される展開になった。今晩は米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨(4月27-28日開催分)の公表を控えており、市場では公表後の米金利や株価の反応を見極めたいとの声が聞かれた。ビットコインの下落も重荷になった。結局、前日比362円安の2万8044円と反落して終了した。

 

東京外国為替市場:108円台後半の狭いレンジ相場

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りに支えられ、109.07円付近まで値を上げた。日経平均株価の下げ幅縮小で、リスク回避姿勢が和らいだことも円売りを誘った。ただ、前日の欧州市場でつけた高値109.08円が意識されると上げは一服した。その後は、利益確定などのドル売り・円買いも見られ、108.95円付近へ下落した。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、108.90円台を中心とした狭いレンジで取引された。米FOMCの議事要旨公表を控えて、様子見を決め込む市場参加者も多かった。ユーロ/ドルは、欧州で新型コロナウイルスワクチン接種が順調に進んでいるため、経済の正常化が早まるとの思惑からユーロ買い・ドル売り基調が続き、1.2240ドル付近へ上昇した。

 

ビットコインは2月以来の安値

代表的な暗号資産(仮想通貨)であるビットコインが再び大きく下落している。情報サイトのコインデスクによると、日本時間19日午後にドル建て価格は1ビットコイン=4万ドルを割り込み、2月以来の安値水準となった。米テスラのイーロンマスク最高経営責任者(CEO)が前週、環境問題への懸念からビットコインでの決済停止を発表したことを受けた持ち高整理の売りが続いている。足元では中国などが仮想通貨での決済禁止などの規制を強めるのではないかとの警戒感もある。

 

中国のメーデー連休は活況:ワクチン普及で経済活動がほぼ回復

中国も今年は日本と同じく1-5日がメーデー連休となったが、コロナ禍から経済活動がほぼ回復している中、あっちこっちで活気が溢れた。中国文化観光部の統計によると、メーデー連休の5日間で約2億3000万人が国内旅行に出かけ、昨年の同じ時期に比べると119.7%増加した。同国内観光収入は1300億元を超え、138%以上の増加となった。2019年に比べても、フライトの予約は180%、ホテルの予約は40%以上増加したことが明らかになった。4月29日から5月6日までの8日間の国内鉄道旅客数は延べ1億1700万人で、2019年同期から1154万人(11%)増加した。また、メーデー連休の興行収入が約16億300万元と、同期の記録を更新した。中国映画市場のゴールデンタイムの一つであるメーデーが今年は5連休となり、消費が著しく促され、上映本数、興行収入、来場者数、上映回数などにおいて史上最高を記録した。

 

トルコ観光業には辛いニュースが続く

ロシアが来月1日までとしていたトルコへの航空便の運航停止を少なくとも6月半ばまで延長すると伝わった。ロシアがトルコへの運航停止期間を延長したことは、ロシアを上顧客としているトルコ観光業を失望させることになった。また、欧州域内では移動の制限が緩和されているものの、トルコに対する渡航制限はまだ厳しい国が目立つ。欧州サッカー連盟(UEFA)はチャンピオンズリーグ決勝の開催地をイスタンブールから他地域に変更、モータースポーツ最高峰のF1もトルコ・グランプリ(GP)開催が中止との見方が強まるなど、トルコ観光業にとって辛いニュースが続く。トルコにとって主要な外貨獲得手段の1つである観光セクターの回復が見込まれないようであれば、リラ相場の本格的な反発も望めそうにない。やはり、新型コロナウイルスの感染抑制が急務となってくる。そういった意味では、米ファイザーとコロナワクチンを共同開発した独ビオンテックCEOがトルコのパンデミック会議に参加するというのは、ワクチン普及の加速化に繋がる明るい材料かもしれない。

 

南アでは4月分消費者物価指数が公表:金融政策にも影響

南アフリカの2月のCPIは、前年比で南ア準備銀行(SARB)の目標とする3.0-6.0%を下回る+2.9%という結果となったが、3月は+3.2%まで回復した。そして、本日発表される4月分は+4.3%まで上昇が予想され、市場の一部ではインフレを警戒する声も出始めた。もし、市場予想よりも上回る結果となれば、明日20日に南ア準備銀行(SARB)の金融政策委員会(MPC)が行われることで、政策金利変更はないとしても、その声明への注目度がより高まることになる。

・17:00 4月南アフリカCPI(予想:前月比0.5%/前年比4.3%)

 

メキシコは好材料でペソ底堅い展開

メキシコ中銀が先週の金融政策決定会合でタカ派的な見解を示したことで、利上げ観測が浮上していることも支えとなるなど、ペソにとって現在、好材料がそろっている。また、格付け会社フィッチがメキシコの格付け据え置きを発表するとともに最新の経済見通しも発表した。今年の経済成長率については、従来の+4.2%から+5.0%に大幅に引き上げたほか、他国と比べて債務比率が低いことを強みとして評価するなど、総じてみるとポジティブな内容となった。 

 

米4月住宅着工件数は着工が進まず予想以上に減少

米商務省が発表した住宅着工件数は前月比-9.5%の156.9万戸となった。3月の173.3万戸から予想以上に減少した。住宅着工件数の先行指標となる住宅建設許可件数は前月比+0.3%の176万戸と、3月175.5万戸からかろうじて増加も予想は下回った。今後の住宅着工件数は増加も低調な伸びにとどまる可能性が示唆された。需要は相変わらず強く、在庫が不足する中、住宅建設業者は生産を鈍化させている。木材価格など材料費の急騰や、土地や人手不足で、着工が進まないことが原因になっている。

 

米国市場ではFOMC議事要旨を公表(4月27-28日開催分)

議事録公表を控えて、ハト派な内容を織り込み、米国債相場も堅調推移を維持する可能性がある。このためドルの上昇も限定的か。FRBはこの会合で、市場の予想通り政策金利を据え置き、また、月1200億ドルの資産購入規模を維持した。さらなる著しい進展が見られるまで、国債購入ペースを維持する方針を再表明した。ワクチンが奏功し、経済やインフレに関して判断を若干引き上げた。年内の強い成長を予想しているが、インフレに関してはサプライサイドの混乱で2%超上昇後は、混乱の鎮静化に伴いインフレも落ち着くと、今年の上昇が『一時的』との見方を維持している。

 

欧米イベント

○15:00   4月英CPI(予想:前月比0.6%/前年比1.5%)
○15:00   4月英CPIコア指数(予想:前年比1.3%)
○15:00   4月英小売物価指数(RPI、予想:前月比0.8%/前年比2.4%)
○15:00   パネッタ欧州中央銀行(ECB)専務理事、レーン・フィンランド中銀総裁、講演
○17:00   4月南アフリカCPI(予想:前月比0.5%/前年比4.3%)
○18:00   4月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)改定値(予想:前年比1.6%)
○18:00   4月ユーロ圏HICPコア改定値(予想:前年比0.8%)
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○20:00   3月南アフリカ小売売上高(予想:前年同月比1.9%)
○21:30   4月カナダCPI(予想:前月比0.4%/前年比3.2%)
○23:00   ブラード米セントルイス連銀総裁、講演
○23:30   EIA週間在庫統計
○23:30   デコス・スペイン中銀総裁、議会証言
○20日00:35   ボスティック米アトランタ連銀総裁、インタビュー
○20日00:50   レーンECB専務理事兼主任エコノミスト、講演
○20日02:00   米財務省、20年債入札
○20日03:00   米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(4月27日-28日分)
○香港、韓国(釈迦誕生日)、トルコ(青年とスポーツの日)、休場

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

欧米タイム直前市場コメント!

2021/05/18/15:10:18

日経平均株価:先物主導で上げ幅拡大

米国株の下落は悪材料視されず、寄り付きから3桁の上昇した。早い時間に28000円台に乗せると、そこからは買いに勢いがついた。投資家心理の一段冷え込みが回避され商品投資顧問(CTA)等が先物に買いを強めて上げ幅は拡大した。また、これまで決算発表に対する警戒感が株価の重石になっていたが、発表シーズンが終了となったことで上ふたが取れる格好となり、好業績銘柄を注視に買いが活発化した。結局、前営業日比582円高の2万8406円と大幅反発して終了した。

 

東京外国為替市場:109円台前半でもみ合う展開

ドル/円は、日経平均株価の大幅反発がリスク選好の円売りを誘い、109.28円付近まで小幅に上昇した。しかし、前日にクラリダFRB副議長が早期の量的緩和縮小に否定的な見解を示したこともあり、ドル買い・円売りは続かなかった。その後は、原油先物価格の上昇を眺めた資源国通貨やオセアニア通貨に対するドル安が波及、109.10円台へ下落した。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、109.10円台を中心とした狭いレンジで取引された。ユーロ/ドルは、1.2165ドルを挟んで小動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

日本の実質GDPの年度下げ幅は最大:リーマン危機を上回る下げ幅

内閣府が発表した2021年1-3月期実質国内総生産(GDP)1次速報は前期比1.3%減、年率換算で5.1%減となった。大都市圏を中心とする1月の緊急事態宣言発令で個人消費が落ち込み、3四半期ぶりのマイナス成長に陥った。2020年度の実質成長率は4.6%減となり、年度ベースの下げ幅はリーマン危機時を上回り比較可能な1995年度で最大だった。

 

欧州市場では、1-3月期ユーロ圏域内総生産(GDP)改定値が公表

速報値は前年比∸1.8%、前期比でもマイナス成長となった。ユーロ圏諸国における経済制限措置が導入されていたことから、個人消費や企業設備投資などは弱含みとなっており、速報値が上方修正される可能性は低いとみられる。

 

トルコの今後の懸念材料

原油相場が堅調推移しているが、トルコは石油を輸入に頼っており、通貨安要因とされる経常赤字の拡大が懸念される。トルコ当局は、19日に燃料価格の上限規制を撤廃すると発表した。今後のインフレ加速に繋がりかねず、リラを買い難くさせている。また、イスラエルとパレスチナの交戦が激化するなか、イスラエル支持を譲らない米国とパレスチナを支援するトルコの関係悪化も危惧される。米国の反対で国連安保理が機能しておらず、国際世論はバイデン米大統領に不信感を持ち始めたようにみえ、そうなるとエルドアン大統領の勢いが増すかもしれない。

 

南アの経済活動のマイナス要因

週末に、南アで話題になったは7つの異なる電力発電所の10台の発電ユニットが故障し、電力制限が再び日曜(16日)から始まり、本日南ア時間22時までステージ2の負荷制限の実施が決定されたことである。今後の経済活動にはマイナス要因となる。なお、いまだに続く政府と南ア公務員組合(PSA)の労使(賃金)交渉だが、週末15日に再交渉が始まった。PSAはこのまま交渉がすれ違いのままの場合は、6月の第2週目からストライキを行うことを示唆している。

 

顧客が米国株を5週ぶりに買い越し:BofAセキュリティーズ

BofAセキュリティーズの18日付の顧客フローのリポートによると、同社の顧客は10~14日の1週間に米国株を19億1300万ドル買い越した。5週ぶりに買い越しに転じたことになる。この週は米消費者物価指数(CPI)を受けてインフレ懸念が高まったことで、S&P500 指数が週間で1.38%安となって3週ぶりに下落した時だった。主体別動向ではヘッジファンド(HF)が3億2900万ドルの売り越しで、2週ぶりの売り越し。機関投資家は12億1000万ドルの大幅買い越しで、5週ぶりに買い越しに転じた。個人投資家は8900万ドルの小幅売り越しで、2週連続の売り越しだった。企業の自社株買いは11億2100万ドルで、4週移動平均(8億6100万ドル)を上回って活発だった。

 

米国市場では米5月NY連銀製造業景気指数は11ヵ月連続で活動拡大

米5月NY連銀製造業景気指数は24.3と、4月26.3から低下したものの、予想の23.9は上回った。パンデミックの影響を受けた経済封鎖で昨年3月から6月までの4カ月間、ゼロを割り込みマイナスとなり、活動の縮小を示したあとは、7月以降11カ月連続で活動の拡大を示している。主要項目である新規受注が15年ぶり高水準となり、指数を押し上げた。仕入れ価格は83.5、販売価格は37.1と、過去最高を記録した。

 

欧米市場イベント

○15:00   4月英雇用統計(失業率/失業保険申請件数推移)
○15:00   1-3月英失業率(ILO方式、予想:4.9%)
○17:00   ビルロワ・フランス中銀総裁、講演
○18:00   1-3月期ユーロ圏GDP改定値(予想:前期比▲0.6%/前年比▲1.8%)
○18:00   3月ユーロ圏貿易収支(予想:季節調整前なし/季節調整済187億ユーロの黒字)
○21:30   4月米住宅着工件数(予想:171.0万件、前月比▲2.0%)
         建設許可件数(予想:177.0万件、前月比0.6%)
○23:00   ベイリー英中銀(BOE)総裁、ブロードベントBOE副総裁、ラムスデンBOE副総裁、講演
○19日00:05   カプラン米ダラス連銀総裁、パネルディスカッションに参加
○欧州連合(EU)財務相理事会

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