FITS エコノミックレポート

金標準先物60分足では年初来高値更新!

2021/05/18/08:22:33

 

★5月11日以降の金標準先物60分足では、1月7日の年初来高値6,488円を上抜けした。しかし、6,550円を挟んでもみ合い展開が続いている。一時24時間SMA(緑線)まで下落したものの、サポ―トとして意識され反発する展開になった。上値が重くなると利益確定売りが出やすく上値の重石となりやすい。

 

NY金先物市場は1841.10-1869.30ドルのレンジ相場となった。米株が反落するなど、投資家のリスク回避姿勢を背景に逃避資産の金に買いが入り、6月限は中心限月として4カ月ぶりの高い水準となった。インドや日本などアジア地域でコロナ感染の拡大が続いていることも、金の買いを後押しした。アジア市場での取引開始後に1841.10ドルまで下げたが、まもなく反転し、ニューヨーク市場で上げ幅は拡大した。一時1869.30ドルまで一段高となった。また、中東情勢の悪化を意識した安全逃避的な買いが入った。

 

価格帯別出来高では、年初来高値を上抜けしたものの、高値圏での出来高は少ないままである。そのため、今後出来高が膨らんでこないと上値が重くなる。

 

MACD(パラメータ:12、26、9)は、ゼロラインの上方で再びシグナルとゴールデンクロス展開になっている。ただ、MACDは横ばいになってきており、上昇の勢いは鈍化してきている。また、ストキャスティクス・スロー(パラメータ:14、3、3、20、80)でも、買われ過ぎ過熱感のある高水準で横ばいになっていることで、上昇の勢いは鈍化している。

 

金標準先物の日足では、5日SMA、10日SMAとも上向きになっていることで、短期的には上昇基調が継続している。そのため、5日SMAの6,464円や10日SMAの6,405円がサポートとして意識される。NY金先物市場は、米国株安や中東情勢悪化による地政学リスクから買いが優勢になっている。為替市場では、ドル/円は方向感が出ずに狭いレンジ内での値動きになっている。ただ、109円台を維持していることから、金標準先物の下支えになりやすい。

本日の注目点は、年初来高値を上抜けしたことから、昨年8月7日高値7,032円へ向かって上昇基調が継続するかが焦点になる。次の上値目標は昨年10月12日高値6,568円となる。ただ、上昇ピッチが速いことから、一旦上値が重くなると利益確定売りが出やすく上値が重くなる。そのため、高値圏で出来高が膨らむかがポイントになる。

 

 

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

欧米タイム直前市場コメント!

2021/05/17/15:11:00

日経平均株価:ウイルスの感染再拡大やワクチンの遅れを嫌気した売り

寄り付きは前週末の米国株高を好感して続伸スタートとなったものの、その後上げ幅を縮小し、マイナス転換した。国内での新型コロナウイルスの感染再拡大やワクチン供給の遅れが嫌気され、利益確定売りが優勢になった。市場では、台湾の株式市場が急落した流れを嫌気しているとの声も聞かれた。日経平均の下げ幅は一時400円を超えた。結局、前営業日比259円安の2万7824円と反落して終了した。

 

東京外国為替市場:米長期金利低下から109円台前半でもみ合う展開

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りに支えられ、1009.50円付近まで上昇した。しかし、14日に発表された4月米小売売上高などの指標が総じて弱い数字だったこともあり、上値を追う動きは限られた。その後は、日経平均株価の下げ幅拡大や米長期金利低下を眺めたドル売り・円買いに押され、109.30円付近へ軟化した。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、109.30円台を中心とした狭いレンジで取引された。ユーロ/ドルは、1.21ドル台前半で小動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

14日時点のドル買い比率は56.4%に低下

QUICKが17日算出した14日時点の店頭の外国為替証拠金(FX)6社合計(週間)の建玉状況によると、円に対するドル買い比率は56.4%と前の週末から6.5%ポイント低下した。先週は米連邦準備理事会(FRB)による量的金融緩和の縮小観測から円相場が弱含んだ。相場の流れに逆らう『逆張り』の戦略が多いとされる個人投資家の間では、円買い・ドル売りに持ち高を傾ける動きが目立った。

 

米国当局がセブン&アイの買収に難癖:米企業買収の動きに変化の可能性も

セブン&アイは昨年8月、米コンビニ『スピードウェイ』の買収について同コンビニを傘下に持つ米石油精製大手マラソン・ペトロリアムと210億ドルで合意した。買収資金はセブン&アイと米セブン―イレブンがそれぞれ普通社債と金融機関からの借り入れで調達したとされ、先週14日付けで買収完了が発表された。しかしながら、その買収について、米連邦取引委員会(FTC)の委員らが14日、反トラスト法(独占禁止法)違反の懸念があるとの声明を発表したと複数のメディアが報じた。取引の違法性を訴えた声明に対し、米セブン―イレブン側が『買収は合法的』とのコメントを公表している。一方、セブン&アイは19日に予定されていた中期経営計画の公表を延期した。210億ドルの巨額買収ではあるが、資金調達は普通社債と借り入れ、そして米セブン―イレブンも絡んでいることで、為替市場にインパクトを与えるほどの日本から米国への資金移動(円売りドル買い)なかったと推測される。ただ、もしFTCが『買収が違法』と判断した場合には、念のためドル円の値動きには注意しておきたい。また、企業買収に対し、今回のように米規制当局がいちいち難癖をつけてくるようなことが続けば、米企業の買収を躊躇する動きもでてくるかもしれない。もしそうなればだが、買収に絡むドル需要が減少に傾くことにもなる。

 

トルコはラマダン明けで相場変動に注意

今週からトルコ勢がラマダン(断食月)明けの祝日から相場に戻ってくる。エルバン・トルコ財務相は認めていないが、トルコ中銀は3月下旬からリラ支えのために為替介入を再開していると見られており、週明けのトルコ勢の動きが警戒される。もっとも介入の効果が長続きするとも思えず、投機筋にリラの売り場を提供するに留まる可能性もある。 先週発表された3月トルコ経常収支では、全体の赤字幅は市場予想よりも小さかったものの、ポートフォリオ投資の流出額が過去最大となったことが話題となった。エルドアン大統領がトルコ中銀総裁を突然入れ替えたことを嫌気し、外国人のトルコ離れが急速に進んだ。トルコ中銀の独立性への不信感を拭うことが、外国人の投資を呼び込むための最優先事項となる。 

 

南アの4月CPI次第では利上げ圧力増す可能性も

今週は19日に4月消費者物価指数(CPI)と3月小売売上高が発表されるが、特にCPIに注目したいところである。3月CPIはSARBの目標レンジ(3.0%-6.0%)内に戻したが、この流れが継続されるかがポイントとなる。先週発表された米国のCPIが大幅に上振れたように、南アCPIも上昇傾向をたどれば、SARBに対する利上げ圧力が増す可能性がある。また、CPI発表翌日の20日にはSARBの金融政策委員会(MPC)が開かれる。政策金利は据え置かれるが、CPI次第では声明文の内容に変化があるかもしれない。。

 

メキシコの金融政策の緩和サイクルは終焉との思惑:ペソの下支え

メキシコの金融政策を巡る思惑も今後のペソ相場を下支えする可能性がある。メキシコ銀行(中央銀行)は14日、政策金利を4.00%で据え置いた。声明文では『インフレ率は予想を上回るペースで加速しているものの、2022年の4-6月期から物価目標に向けて収束していく』との見解を示し、足もとで中銀の物価目標(3%の±1%)上限を大幅に上回った4月CPI(前年比6%超の上昇)に関しては一時的なものとの判断を下した。ただ、その一方で中銀は『インフレリスクのバランスは上向き』との見方も示しており、市場では緩和サイクルは終わったとの思惑も広がっている。一部金融機関などでは年内にも利上げが実施されると見込む向きもあり、こうした市場の思惑は高金利通貨の側面もあるペソの下値を支えることになる。

 

アルケゴスから百度株など購入:ソロス・ファンド・マネジメント

著名投資家ジョージ・ソロス氏の投資会社『ソロス・ファンド・マネジメント』が破綻した米アルケゴス・キャピタル・マネジメントが放出した百度を含む多数の株式を買い入れた模様である。取得対象にはテンセント子会社のテンセント・ミュージック・エンターテイメント・グループ(TME)や唯品会(VIPS)などの中国企業が含まれる。香港経済紙『信報』が伝えた。米証券取引委員会(SEC)が14日に公開した資料によると、ソロス・ファンド・マネジメントは今年1-3月期に7700万米ドル相当の百度株と、4600万米ドル相当の唯品会株、3400万米ドル相当のTMEを購入した。他に1億9400万米ドルでバイアコムCBS株を取得した。

 

欧米市場イベント

○15:30   4月スイス生産者輸入価格
○15:30   4月インド卸売物価指数(WPI、予想:前年比8.95%)
○21:15   4月カナダ住宅着工件数(予想:29.14万件)
○21:30   3月対カナダ証券投資
○21:30   5月米ニューヨーク連銀製造業景気指数(予想:23.7)
○23:00   5月全米ホームビルダー協会(NAHB)住宅市場指数(予想:83)
○23:05   クラリダ米連邦準備理事会(FRB)副議長、講演
○18日01:00   1-3月期ロシア国内総生産(GDP)速報値(予想:前年比▲1.2%)
○18日05:00   3月対米証券投資動向
○ノルウェー(憲法記念日)、休場

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

欧米タイム直前市場コメント!

2021/05/14/15:11:53

日経平均株価:自立反発の買い戻しが優勢

前日の米国株式市場で主要3指数が反発した流れを引き継ぐ展開になった。日経平均は3日間で約2070円下げた反動もあり買い戻しが入った。また、決算を手掛かりとした個別物色の流れも継続した。市場では、急な下げに対する突っ込み警戒感に加え、週末とあって買い戻す動きも活発化した。これまでの下落を考えれば、自立反発の域を出ていないとの声もあった。NYダウ先物やアジア株が上昇したのも支援材料になり、午後には一時700円近くまで拡大した。結局、前営業日比636円高の2万8084円と4営業日ぶりに反発した。

 

東京外国為替市場:109円半ば近辺でもみ合い相場

ドル/円は、仲値に向けて本邦輸入勢などのドル買い・円売りが通常より多く持ち込まれ、109.65円付近まで上昇した。日経平均株価の大幅反発でリスク選好が高まったことも円売りを誘った。ただ、前日の海外市場でつけた109.69円が上値の目処として意識されると上げは一服した。その後は、週末を控えて利益確定や持ち高調整のドル売り・円買いも見られ、109.60円を挟んでもみ合いとなった。午後は、日経平均は米長期金利を睨みながら、109.50円台と中心とした狭いレンジで取引された。ユーロ/ドルは、米長期金利の低下を眺めたユーロ買い・ドル売りが入り、1.2095ドル付近へじり高となった。

 

インド変異株は抗体をかわしワクチン効果を低減

米紙NYタイムズによれば、「インド変異株のうち『E484Q』は抗体をかわしワクチン効果を低減させる。ワクチン接近を完全に済ませた37人の医師が感染し発病している。しかも、『L452R』は日本人の6割が持つ種類の白血球攻撃を逃れ、感染力が高い」という。米ジョンズ・ホプキンス大学によれば、変異株が猛威をふるうインド感染『第2波』は収まる気配がなく、9日の新規感染者は36.6万人と5日ぶり40万人を割り込んだが、19日連続で30万人を超え、累計感染者は2266万人に及ぶ。インドで二重変異体が初めて見つかったのは3月末、当初は感染急増と因果関係なしとされたが、新規感染者・死者数が4月初旬から約6倍の爆発的な増加となり、もはや『二重変異株』の影響が確実視されている。

 

ヘッジファン運用有資産は3月末過去最高

米ヘッジファンド・リサーチ(HFR)によれば、2021年1-3月期末の世界のヘッジファンドの運用資産が3兆8014億ドル(約410兆円)と前年比3割増え過去最高を更新した。未曾有のコロナ禍から『K字』経済回復では企業業績に明暗が分かれているが、銘柄選別に強みを持つファンド勢には追い風となり1-3月は運用成績も15年ぶり高水準となった。ヘッジファンドへの資金の流れは20年4-6月期までは9四半期連続の流出超だったが、今年1-3月の資金流入は61億ドルと3四半期連続の流入超となり、改めてコロナ過剰流動性相場により人気の回復が顕著化することなった。

 

トルコリラ離れを止めるには中銀の独立性を証明する必要

商品価格が高止まり、またリラ安が続いているため、トルコのインフレがより加速する可能性が強まっている。それにもかかわらず、エルドアン大統領の圧力により追加利上げができないと見られているトルコ中銀への不信感は募るばかりである。外国人投資家のトルコ離れを止めるには、今後は中銀がその独立性を証明する必要がある。 なお、複数のメディアが報じていまるが、欧州サッカー連盟(UEFA)は今月末の欧州チャンピオンズリーグ決勝の開催地をトルコ・イスタンブールからポルトガルのポルトに変更した。モータースポーツのF1トルコ・グランプリ(GP)もキャンセルが確定的と伝わっている。どちらもトルコにおける新型コロナウイルス感染拡大が影響しており、同国観光業にとって回復への大きなきっかけを逃すことになる。

 

南アフリカのネガティブ要因

政府と南ア公務員組合(PSA)の労使協議行き詰まりによるストライキ・リスクがひとつある。そして、もう一つは新型コロナウイルスの感染が再び懸念されていることである。14日間の新規症例を比較すると、直近では24%以上新規の症例が増加したという結果が出ている。ムキゼ保健相は第3波とはまだ認めていないが、今後再びロックダウンを行う可能性も否定はできないことはリスクとなりそうである。

 

メキシコ政府に米石油会社からの苦情:米国側から制裁を受ける可能性も

ロペスオブラドール大統領による国営エネルギー企業の保護政策に対し、米石油会社の不満が高まっている。米石油会社のロビイストは米政府に対して書簡を送付した。米石油会社はメキシコ政府が米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)に反して、米石油セクターの投資家と輸出業者を差別していると主張している。貿易協定を順守するようメキシコ政府に要請することを求めた。今回の非難の的となったのは4月にメキシコ連邦議会が可決した炭化水素法の改定案である。米石油会社は同法案によってメキシコ国内で国営石油企業ぺメックスの1強支配がさらに進むことになり、エネルギー部門への新しい民間投資が妨げられていると述べている。また、メキシコ経済界からも米国がメキシコ製品への関税などで制裁措置を行う可能性があるため、米石油会社からの苦情を過小評価するべきではないとの懸念が伝わっている。メキシコでは新型コロナウイルスによる景気後退からの回復において、米国への輸出に大きく依存している面があり、米国側から制裁を受けるような事態は避けたいところである。

 

米4月PPIは3月分からは伸び鈍化:インフレ懸念が一旦後退

労働省が発表した4月生産者物価指数(PPI)は前月比+0.6%になった。伸びは3月+1.0%から鈍化したが予想は上回った。前年比では+6.2%と、伸びは3月+4.2%から予想以上に拡大し、少なくとも2010年来で最大になった。変動の激しい燃料や食品を除いたコアPPI指数は前月比+0.7%と、3月から鈍化予想に反して同水準を維持した。前年比では+4.1%と、3月+3.1%から伸びが拡大した。

 

米国市場では4月小売売上高を公表

3月実績は前月比+9.7%の大幅増となった。新型コロナウイルス追加経済対策で実施された国民への現金給付や新型コロナウイルスのワクチン接種拡大が消費押し上げに寄与した。4月については、ワクチン接種拡大による個人消費の押し上げが引き続き期待されており、前月比プラスとなる可能性がある。

 

米国市場では5月ミシガン大学消費者信頼感指数は公表

前回4月実績は88.3だった。また、参考となる4月のコンファレンスボード消費者信頼感指数は3月実績を上回った。新型コロナウイルスワクチン接種拡大によって消費者心理や雇用環境は改善しつつあることから、5月の数値は4月実績を上回る可能性がある。

 

欧米市場のイベント

○15:30   4月インド卸売物価指数(WPI、予想:前年比8.95%)
○17:30   1-3月期香港域内総生産(GDP)確定値(予想:前期比5.3%/前年同期比7.8%)
○20:30   欧州中央銀行(ECB)理事会議事要旨(4月22日分)
○21:30   3月カナダ製造業出荷(予想:前月比3.5%)
○21:30   3月カナダ卸売売上高(予想:前月比1.0%)
○21:30   4月米輸入物価指数(予想:前月比0.6%)
○21:30   4月米小売売上高(予想:前月比1.0%/自動車を除く前月比0.7%)
○22:15   4月米鉱工業生産指数(予想:前月比1.0%)
        設備稼働率(予想:75.0%)
○23:00   3月米企業在庫(予想:前月比0.3%)
○23:00   5月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、速報値、予想:90.4)
○15日02:00   カプラン米ダラス連銀総裁、討議に参加
○インド(イスラム教断食明け祭)、トルコ(砂糖祭)、休場

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

欧米タイム直前市場コメント!

2021/05/13/15:14:49

日経平均株価:米国株安の流れを引き継ぎ大幅続落

前日の米国株式市場はインフレ懸念による金融緩和の早期解除への警戒感から大幅安となった。日本株もこの流れを引き継ぐ展開になった。東京市場でもハイテク株との連動性が高いソフトバンクグループや半導体関連銘柄の売りが膨らんだ。国内では新型コロナウイルスの感染が広がり、経済活動の制約が強まるとの観測から、小売や鉄道といった内需関連銘柄の売りも目立った。結局、前営業日比699円安の2万7448円と、約4ヵ月ぶりの安値水準で終了した。海外投資家の5月第1週は2152億円の買い越しとなり、2週連続となった。

 

東京外国為替市場:109円台半ば近辺でもみ合う展開

ドル/円は、NY市場で発表された4月消費者物価指数(CPI)の強い数字で上値を試す展開となった流れを引き継ぎ、一時109.78円まで上昇して約1ヵ月ぶりの高値をつけた。しかし、日経平均株価の大幅安や米長期金利の上昇一服を眺めた利食い売りなどに押されて109.48円まで軟化した。その後は、本邦輸入勢などがドル買い・円売りに動き、109.65円付近へ値を戻した。午後は、日経平均株価や米長期金利の動向を睨みながら、109.70円前後で取引された。今晩発表される4月米生産者物価指数(PPI)を前に、様子見ムードが広がった。ユーロ/ドルは、1.20ドル台後半で小動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

英中銀委員はインフレ見通しについては懸念せず

イングランド銀行(英中央銀行、BOE)金融政策委員会のハスケル委員は12日、英国の中期的なインフレ見通しについてあまり懸念していないとした上で、新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)による生産能力への影響を注視する姿勢を示した。英中銀は先週、インフレ率が2021年末に現在の0.7%から2.5%を上回る水準に上昇した後、22年には中銀目標の2%に戻るとの見通しを示した。
ハスケル委員は、ダートマス大学タックビジネススクール主催のオンラインパネル討論会で『インフレについてそれほど懸念していない』と述べた。

 

トルコ外相が4年ぶりにサウジを訪問:関係改善に向けての第一歩

トルコでは本日から砂糖祭(ラマダン明けの祭り)の祝日に入るため、リラ円は13円前後で様子見ムードが広がりそうである。チャブシオール・トルコ外相は10‐11日とサウジアラビアを訪問した。トルコ外交のトップがサウジを訪問したのは約4年ぶりとなる。サウジ外相と会談を終えたチャブシオール外相は、両国が関係改善に向けて第一歩を踏み出したとの認識を示した。トルコは長年敵対してきたエジプトとも溝を埋め始めており、これまで懸念された周辺諸国との対立が緩和に向かうことはリラにとってポジティブな要因である。

 

南アの労使協議は音信不通の状態

数週間にわたっている南ア政府と南ア公務員組合(PSA)の労使協議では、続報は流れていない。一方、物別れによるストライキ突入との報道もないが、協議の進展の声も聞こえてこないので、引き続き協議の動向にも注目である。

 

米4月CPIは2009年6月来最大:米FRBは緩和政策維持の可能性が強い

4月消費者信頼感指数(CPI)は予想以上の伸びで、前月比+0.8%と、伸びは3月+0.6%から鈍化予想に反して拡大した。金融危機による景気後退から脱した2009年6月来で最大となった。前年比では+4.2%と、13年ぶり最大の伸びとなった。また、FRBが最も注視している変動の激しい食品や燃料を除いたコアCPIは前年比では、+3.0%と、伸びは3月+1.6%から予想以上に拡大し1995年5月来で最大を記録した。市場エコノミストがFRBの緩和縮小が必要との見方をさらに強める中、FRB高官はおそらく、インフレの上昇は一時的で、パンデミック終息まで政策を修正する必要はないとの見方を再確認する可能性が強い。

 

米財政赤字は過去最大を更新する可能性高い

米財務省は、米国の4月の財政赤字が2255.79億ドルとなり、2020年10月から21年4月までの累積財政赤字が1兆9318億ドルに拡大したと発表した。過去最大の財政赤字を記録したトランプ政権下の2020会計年度(19年10月~20年9月)の赤字は3兆1319億ドルで、2020年4月までの7カ月間では1兆4814億ドルだった。バイデン米政権下での2021会計年度の財政赤字は、米国救済計画(1.9兆ドル規模)や米国雇用計画(2.26兆ドル規模)、米国家族計画(約1.8兆ドル)などにより、過去最大を更新する可能性が高まっている。バイデン米政権の大規模財政支出を米国債に依存する場合、非居住者による米国債投資を誘引するには、高金利かドル安誘導が必要となる。イエレン米財務長官は低金利での調達を望んでいることから、ドル安誘導政策への警戒感が高まることなる。さらに、米国の『双子の赤字』の拡大を受けて、2011年8月のような米国債の格下げというドル安要因にも要警戒となる。

 

米与党内からもパレスチナ問題収拾の声高まる

バイデン米政権は、イスラエルとパレスチナの衝突激化を受けて、歴代政権に比べて消極的だったパレスチナ問題への対応の見直しを迫られている。緊張緩和に向けて関係国への働き掛けを強め始めた。バイデン政権は、パレスチナ国家樹立を認める『2国家共存』を支持すると表明した。トランプ前政権が停止したパレスチナ支援を再開するとも発表したが、問題の根本的解決を図る中東和平の仲介には後ろ向きな構えを貫いてきた。だが、今月に入り、イスラム組織ハマスによるパレスチナ自治区ガザからのロケット弾攻撃や、これに応じたイスラエル軍のガザ空爆と、情勢は急速に悪化している。ニューヨーク・タイムズ紙(電子版)によれば、与党・民主党内では、事態収拾に向けより積極的な役割を果たすようバイデン氏に求める声が高まっている。

 

欧米イベント

○21:00   カンリフ英中銀(BOE)副総裁、講演
○21:30   4月米卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.3%/前年比5.8%)
      食品とエネルギーを除くコア指数(予想:前月比0.4%/前年比3.8%)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:49.0万件/365.0万人)
○23:00   バーキン米リッチモンド連銀総裁、講演
○24:00   マックレム・カナダ銀行(BOC)総裁、講演
○14日02:00   米財務省、30年債入札
○14日01:00   ベイリーBOE総裁、パネルディスカッションに参加
○14日02:00   ウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○14日03:00   メキシコ中銀、政策金利発表(予想:4.00%で据え置き)
○14日05:00   ブラード米セントルイス連銀総裁、討議に参加
○シンガポール(ハリラヤプアサ)、トルコ(砂糖祭)、スイス、ノルウェー、スウェーデン(キリスト昇天祭)、休場

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

欧米タイム直前市場コメント!

2021/05/12/15:15:47

日経平均株価:投資家心理が弱気に傾き下げ幅拡大

米国株安を受けても前日急落の反動で高く始まり、開始早々には上げ幅を200円超に拡大した。しかし、買いは続かず失速してマイナス圏に沈むと、見切り売りが加速して一気に下げ幅を広げた。ハイテク株からの資金流出が顕著になるなか、先物主導で日経平均も下げ幅を拡大した。日本株はこれまで最高値圏にあった米国株と比べて相対的な出遅れ感もあった。しかし、新型コロナウイルスの感染者数が足元でも増加基調にあるうえ、ワクチン普及もままならないとあって、海外勢からの日本株売りが出やすくなっているという指摘もあった。台湾株の下落もあいまって午後に下げ幅を700円超に広げる場面もあった。投資家心理が弱気に傾いたことで、ハイテク株だけでなく海運や石油、鉄鋼といった景気敏感株にも売りが出た。前営業日比461円b安の2万8147円と大幅続落して終了した。

 

東京外国為替市場:リスク回避でも108円台後半でもみ合い相場

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りに支えられ、108.90円近辺へじり高となった。米長期金利が小幅に上昇したことも、ドルの押し上げにつながった。しかし、前日につけた108.99円が上値の目処として意識されると上げは一服した。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、108.85円を挟んでもみ合いとなった。ユーロ/ドルは、今晩発表される4月消費者物価指数(PMI)を控えた持ち高調整などのユーロ売り・ドル買いが一巡すると、1.2120ドル台で方向感に欠ける値動きになった。

 

欧州市場では3月ユーロ圏鉱工業生産が公表

2月実績は前月比∸1.0%だった。資本財、エネルギー、耐久消費財の落ち込みが目立った。3月については反動増が予想されていること、経済活動の部分的な再開などによって鉱工業生産の持ち直しが予想される。

 

ECBの債券購入早期縮小との見方を否定:仏中銀総裁

欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーのビルロワドガロー仏中銀総裁は11日、ECBが異例の債券買い入れを早期に縮小し始める可能性があるとの見方は『全くの憶測』だと述べた。ビルロワドガロー氏は、ECBが近いうちに債券購入の縮小を決断できると指摘したECBタカ派メンバーの最近のコメントに反発した。ECBは新型コロナウイルス危機対策のパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)を少なくとも2022年3月まで継続すると約束している。

 

海外からのトルコへの直接投資は大幅減少:新規感染者減少は好感

2020年世界投資レポートによれば、19年の外国からトルコへの直接投資は840億ドルと前年比35%も減少した。投資減速は『通貨リラの価値低下、インフレの高止まり、トルコ経済の低迷、中東情勢の不透明感』などが主な要因としてあげられ、また世界経済の不確実性もトルコ投資を鈍らせた。 ただ、トルコでは、先月29日から全域でのロックダウン(都市封鎖)が実施されている。その効果もあり、新型コロナウイルスの新規感染者数は1日あたり1万3000人台と4月半ばの6万人台、ロックダウン直前の4万人台から減少してきた。制限措置はまもなく終了予定とされており、エルドアン大統領が目指す5000人前後に近づくことができるか注目される。新規感染者の減少によってトルコリラには、好材料となる。

 

南ア国債へ海外からの投資資金流入

南アからの報道によると、先週の米雇用統計発表後に米金利低下したことで、海外投資家が約52億ランドの南ア債を購入したとされる。この規模は昨年11月以来となるもので、今後も南ア債を購入するフローがでるのではないかと予測され、ランド買いを促しそうである。

 

メキシコ政府と裁判所との対立強まる

昨日にはメキシコ裁判所が炭化水素法の改定案を一時差し止めたとの報道が伝わった。同法案はロペスオブラドール大統領による国営エネルギー企業の保護政策の一環として、国営石油会社ぺメックスへの優遇を強める内容となっており、先月にメキシコ連邦議会が可決していた。メキシコの裁判所は国営電力公社CFEを保護する目的で進められた電力産業法の改正案も3月に差し止める判断を下しており、エネルギー市場での公平性などを巡って裁判所と政府の対立はさらに強まることになる。

 

米国市場では4月消費者物価指数コア指数が公表

各種産業における原材料価格の上昇や、サービス部門における需要は増加傾向にあることから、コアインフレ率は節目の2%を超える可能性が高いとみられる。

 

欧米市場イベント

○15:00   3月英国内総生産(GDP、予想:前月比1.5%)
○15:00   1-3月期英GDP速報値(予想:前期比▲1.6%/前年比▲6.1%)
○15:00   3月英鉱工業生産指数(予想:前月比1.0%/前年比2.9%)
      製造業生産高(予想:前月比1.0%)
○15:00   3月英商品貿易収支/英貿易収支(予想:144.00億ポンドの赤字/48.66億ポンドの黒字)
○15:00   4月独消費者物価指数(CPI)改定値(予想:前月比0.7%/前年比2.0%)
○15:00   1-3月期ノルウェーGDP(予想:前期比▲0.4%)
○15:45   4月仏CPI改定値(予想:前月比0.2%/前年比1.3%)
○16:30   4月スウェーデンCPI(予想:前月比0.2%/前年比2.2%)
        コア指数(予想:前月比0.2%/前年比2.4%)
○18:00   3月ユーロ圏鉱工業生産(予想:前月比0.7%/前年比11.6%)
○18:00   ベイリー英中銀(BOE)総裁、講演
○18:05   センテノ・ポルトガル中銀総裁、講演
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○20:00   3月メキシコ鉱工業生産(季調済、予想:前月比0.5%)
○21:00   3月インド鉱工業生産(予想:前年同月比17.6%)
○21:30   4月米CPI(予想:前月比0.2%/前年比3.6%)
       エネルギーと食品を除くコア指数(予想:前月比0.3%/前年比2.3%)
○22:00   クラリダ米連邦準備理事会(FRB)副議長、講演
○22:05   ローゼングレン米ボストン連銀総裁、講演
○23:30   EIA週間在庫統計
○13日02:00   米財務省、10年債入札
○13日02:00   ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演
○13日02:30   ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁、講演
○13日03:00   4月米月次財政収支(予想:2200億ドルの赤字)

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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