FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

2021/07/12/15:12:38

日経平均株価:米国株高の流れにつれた大幅高

前週末の米国株高の流れを受けて朝方から買いが先行し、その後も高値圏での堅調な推移が続いた。東京市場では米景気の減速懸念が和らいだほか、内閣府が発表した5月機械受注統計が市場予想を上回ったことが投資家心理にプラスに作用した。外需がけん引する形での業績改善への期待も追い風となった。前週末までに日経平均先物を売っていた短期筋による買い戻しも指数を押し上げた。結局、前営業日比628円高の2万8569円と4営業日ぶりに上昇した。

 

東京外国為替市場:本邦輸入勢のドル買いで持ち直し

ドル/円は、米長期金利低下を眺めた持ち高調整などのドル売り・円買いが先行し、110.01円付近まで下落した。しかし、9日の欧州市場でつけた109.91円が下値の目処として意識されると下げは一服した。その後は、本邦輸入勢などがドル買い・円売りに動き、110.20円付近まで値を持ち直した。午後は、日経平均株価やアジア主要株価を睨みながら、110.10円台を中心とした狭いレンジで取引された。今後の米国株価動向や米国債入札の結果を見極めたいとのムードが広がった。ユーロ/ドルは、1.1870ドル前後で方向感に欠ける値動きとなった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

前週のFX概況はドル買い比率上昇

QUICKが9日時点の外国為替証拠金(FX)6社合計(週間)の建玉状況によると、円に対するドル買い比率は61.6%と前の週末から13.2ポイント上昇した。5月上旬以来およそ2ヵ月ぶりの高水準となった。円は8日に一時1ドル=109.54円と約1ヵ月ぶりの高値を付け、個人投資家の間では相場の流れに逆らう『逆張り』でドルの買い持ち高を積み増す動きが広がった。

 

14日のトルコ中銀の金融政策会合の結果待ち

トルコでは14日にトルコ中銀・金融政策決定会合が開かれるため、今週のリラ/円は前半が会合に向けた思惑、結果発表後は今後の金利見通しで上下することになる。トルコ中銀の政策金利については、19%で据え置きが大多数の予想であり、注目は声明文となる。前回は、カブジュオール氏がトルコ中銀総裁就任後に一度取り除かれた『現行の引き締め的な金融政策を断固として維持する』との文言が再び追加された。先週発表された6月トルコ消費者物価指数(CPI)は前年比17%半ばまで加速しており、いくらエルドアン大統領が金利引き下げを求めていても、中銀・金融政策委員会(MPC)は前回同様にタカ派スタンスを継続せざるを得ないと予想される。もし、利上げに含みを持たせることができたならば、ポジティブサプライズとして受けとめられてレンジを上限に移すことができるかもしれない。逆に中立的なスタンスと捉えられれば、インフレ抑制策が手詰まりのなかで(カブジュオール総裁は否定しているが)実質金利マイナスへの警戒感が高まり、リラの下値余地を試すことになる。

 

南アでは前大統領収監の抗議デモが暴徒化

南アフリカでは新型コロナウイルスの感染が拡大していて、ラマポーザ大統領は11日夜の演説で先月末に強化した外出制限などの措置をさらに2週間延長すると発表した。
こうした中、ズマ前大統領が7日、在任中の汚職疑惑に関連して収監されたことに対して支持者の抗議デモが続いていて一部が暴徒化している。地元メディアによると高速道路が封鎖され、複数のトラックが放火されたり最大都市のヨハネスブルクの中心部で酒の販売店などが略奪されたりしている。

 

インフレ懸念とテーパリング議論開始に無頓着:NY連銀のPD調査

米FOMC開催の約2週間前から、NY連銀がプライマリー・ディラー(PD)と市場参加者に対してアンケート調査を実施する同調査はFOMC議事要旨の公表翌営業日に公表される。FOMC参加者は質問項目の作成には関わっていないものの、同調査の結果はFOMCスタッフから参加者に報告される。6月のFOMCは前回4月から大きくタカ派へと舵を切った。しかし、PD調査によると直前の予想は『2022年1~3月期から資産購入ペース減(テーパリング)の開始』、その1年半後の『23年7~9月期での利上げ開始』と4月開催のFOMC前の調査とほぼ変わっていない。5月中旬に発表された米消費者物価指数(CPI)の上振れによるインフレ懸念や、テーパリング議論の開始を示唆する米FRB高官に発言などを織り込んだ様子はない。かなりのサプライズであったはずの6月FOMC 以降、むしろ米金利は低下基調である。テーパリングが米金利に与える影響は限定的と市場参加者が考えている可能性はあるが、FRBが繰り返すように『インフレは一時的』として物価上昇及び金利上昇に対しての警戒は不要とタカを括っているかのようである。FRBがインフレ警戒へと舵を切り、市場参加者に対して警鐘を鳴らす時期が近づいているのもしれない。

 

米国では財政の崖への警戒感:8月1日に連邦債務上限が復活

米国では8月1日に法定債務上限が復活するが、イエレン米財務長官は、連邦政府の債務上限を早急に引き上げるか上限適用を停止するよう議会に要請するとともに、このままでは8月中にも米国が債務不履行(デフォルト)に陥る深刻なリスクがあると警告している。6月財政赤字は、8月1日に連邦債務上限が復活し、財政の崖への警戒感が高まりつつあることから注意したい。2021会計年度(20年10月~21年9月)の5月までの財政赤字は、2兆637ドルとなり、過去最大の3兆1319億ドルを記録した2020会計年度(19年10月~20年9月)の同時期の1兆8802億ドルを上回っている。米議会予算局(CBO)は、2021会計年度の財政赤字は3兆ドルと、過去最大の昨年度に近づくとの見通しを示している。 

 

勢い失うバイデン増税計画

ジョー・バイデン氏が第46代米大統領に就任してから間もなく6ヵ月になる。リアル・クリア・ポリティクスがまとめたバイデン大統領の仕事に関する世論調査は支持が52.6%、不支持は42.9%だった。6月22日から7月8日の期間に実施した8社の調査結果の平均値で、支持率は就任直後の55.7%から低下したものの安定している。CNBCは、バイデン大統領が就任から6ヵ月を迎えるが、選挙公約の増税に関する見通しがウォール街で分かれていると報じた。連邦法人税率を21%から28%に、個人所得税の上限を37%から39.6%に引き上げる提案をしたが、バイデン大統領の増税計画はモメンタムを失いつつあるとしている。野党の共和党は経済回復が依然として不安定と主張し、あらゆる増税に反対する。超党派議員はホワイトハウスとインフラ投資案について合意したものの、財源をめぐる協議は始まる兆しすらない。バイデン政権はいま、議会通過が困難な国内の増税案より、国際的な課税ルールの見直しによる税収増加に絞っているように見える。

 

欧米市場イベント

○15:00   6月独卸売物価指数(WPI)
○16:00   5月トルコ失業率
○18:00   デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演
○20:00   5月メキシコ鉱工業生産(季調済)
○21:00   5月インド鉱工業生産(予想:前年同月比32.0%)
○13日00:30   米財務省、3年債入札
○13日01:00   カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、講演
○13日02:00   米財務省、10年債入札
○ユーロ圏財務相会合

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

欧米タイム直前市場コメント!

2021/07/09/15:19:53

日経平均株価:引けにかけて急速に下げ幅縮小

前日の米国株安を嫌気して、朝方に大幅安で始まった後も、下げ幅を拡大した。新型コロナウイルスのデルタ株による感染拡大で世界経済の正常化に向けた動きが鈍化するとの警戒感が広がった。また、米中対立のリスクを嫌気する声が聞かれた。後場の中ごろから株価の下げが急ピッチだった反動から、下値では個人投資家などの押し目買いが入ったほか、日銀のETF買い入れ観測も支えになった。大引けにかけて急速に下げ渋った。結局、前営業日比177円安の2万7940円と3日続落して終了した。

 

東京外国為替市場:米長期金利の持ち直しで110円台回復

ドル/円は、本邦輸入勢などからドル買い・円売りが持ち込まれ、109.90円付近まで上昇した。低下していた米長期金利が持ち直したことも、ドル買い要因となった。午後もこの流れは続き、米長期金利が1.33%台へ上昇したことや日経平均株価の下げ幅縮小にも支えられてさらにドル買い・円売りが進み、110.09円付近までじり高となった。ただ、複数うのメディアが『バイデン政権は早ければ本日中に少なくとも10の中国企業・機関を経済ブラックリストに追加する』と報じられたことも、上値の重石となった。その後は、世界的に新型コロナウイルスの感染拡大が続いていることで、持ち高調整などのドル売り・円買いも見られ、110.00円付近へ緩んだ。ユーロ/ドルは、1.1835ドル前後で方向感に欠ける展開になった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

ECBはフォワードガイダンスを巡って語彙できず

欧州中央銀行(ECB)は8日、戦略見直しの結果を公表したものの、見直し内容が先行きの政策にどのように反映されるかを示す『フォワードガイダンス』を巡って合意に至らなかったことから、22日の理事会で改めて討議することになった。複数の関係筋が明らかにした。戦略見直しでは、中期的なインフレ率目標を『2%』に変更したほか、気候変動の問題に一段と配慮することなどを決定した。会合では、25人で構成される理事会メンバーの多数が、新たな戦略の導入に伴い一段と持続的な金融緩和が求められ、より長期的な景気支援の実施を市場に示すためにも、一段と持続的な金融緩和をフォワードガイダンスに反映させる必要があると主張した。これに対し一部の当局者は、戦略見直しと政策決定を混同すべきでなく、こうした場で政策決定を行うべきではないと反論した。

 

トルコ5月経常収支が公表

エルドアン大統領は昨日、与党・公正発展党(AKP)党員に向けた演説を行い、リラが記録的な安値圏で変動しているのは外国勢力が企てた攻撃のせいだと述べた。見えない敵をでっち上げ、経済的な苦境の原因を押し付ける方法は大統領がよく使う手である。国のリーダーが現実逃避しているともいえ、リラの信頼を更に失わせることにも繋がりかねない。なお、本日の欧州序盤には5月トルコ経常収支(予想:30.3億ドルの赤字)が発表される。月の半分は全国的なロックダウン措置が講じられていた時期でもあり、赤字幅が市場予想よりも拡大する可能性には注意したい。

 

南アのポジティブ材料:買収のためのランド買い

ドバイ政府が保有するドバイポートワールドが、南アのインペリアルロジスティクスの株式を買収するために127億ランドの入札を開始した。このフローが出た場合は一時的にランド買いが出てくることには注意しておきたい。

 

米労働市場の回復は連邦政府の支援策失効待ち

米労働省が発表した先週分新規失業保険申請件数(3日まで)は前週比2000件増の37.3万件と、前回から予想外に増加した。前回分も36.4万件から37.1万件へ上方修正された。申請件数の減少は滞っている。理由としては、失業者が雇用復帰よりも、政府が供給している緊急失業保険など様々な失業者優遇措置を受給することを意図的に選択していることに加えて、企業が必要としている人材と失業者の技術が相違していることなどが挙げられる。失業保険継続受給者数(6月26日まで)は333.9万人と、前回から減少し、パンデミックによる経済封鎖が始まった昨年3月来で最小となった。前回分は346.9万人から348.4万人へ上方修正された。失業保険緊急支援策を終了した州の継続受給者数は減少にある。連邦政府の失業保険緊急支援策は9月に失効するが、ワクチン接種が進み、ビジネス活動が正常化しつつあるため、多くの州がすでに支援策を中断している。求人件数も増加しており、雇用者獲得のためのボーナス支給などの企業努力が奏功するため、連邦政府の支援策が失効すれば申請件数が一段と減少。真の雇用の回復が実現すると期待される。

 

米国債利回りの低下はポジションの巻き戻し誘発によるもの

米国債券利回りはここ数カ月低下傾向にあったが、足元では低下ペースが加速した。利回り上昇を見込んだ投資家のポジション巻き戻しをさらに誘発する流れとなっている。向こう数カ月に力強い成長やインフレ加速を見込む投資家はなお多いが、足元の相場動向を受けて、最も楽観的な見通しを見直す動きが出ている。これがドミノ効果となって、依然として利回りの上昇予想を堅持する投資家にもじわり連鎖した。そのため、投資パフォーマンスで同業に見劣りしたくないとの考えから、自らの読みに反しながらも、米国債に買いを入れている。

 

欧米市場イベント

○15:00   5月英国内総生産(GDP、予想:前月比1.5%)
○15:00   5月英鉱工業生産指数(予想:前月比1.5%/前年比21.6%)
○15:00   5月英製造業生産高(予想:前月比1.0%)
○15:00   5月英商品貿易収支/英貿易収支(予想:111.00億ポンドの赤字/12.50億ポンドの赤字)
○15:00   6月ノルウェーCPI(予想:前月比0.4%/前年比2.9%)
○16:00   5月トルコ経常収支(予想:30.3億ドルの赤字)
○16:00   レーン・フィンランド中銀総裁、講演
○19:00   ベイリー英中銀(BOE)総裁、講演
○19:00   ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
○20:30   欧州中央銀行(ECB)理事会議事要旨(6月10日分)
○21:30   6月カナダ雇用統計(予想:新規雇用者数変化19.5万人/失業率7.7%)
○23:00   5月米卸売売上高
○23:00   5月米卸売在庫(予想:前月比1.1%)
○24:00   デコス・スペイン中銀総裁、講演
○20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議(伊ベネチア、10日まで)

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欧米タイム直前市場コメント!

2021/07/08/15:13:22

日経平均株価:経済市場か遅延と需給悪化懸念から売り優勢

東京都に4度目の緊急事態宣言が発令される見通しとなるなど、経済正常化が遅れるとの見方が株価の重石となった。また、今日と明日で約8000億円のETF換金売りが観測されるなど需給悪化も懸念材料となった。そのため、日本株は下落して寄り付き、買い材料が見当たらない中、安値もみ合いに終始した。中国当局によるネット起業などへの規制強化で上海株や香港株が下落したことも重荷となった。結局、前営業日比248円安の2万8118円と続落して終了した。6月第5週の海外投資家は2737億円と2週連続の売り越しとなった。

 

東京外国為替市場:サポートを割り込む円買い強まる

ドル/円は、日経平均株価の続落や米長期金利低下がドル売り・円買いを誘い110.40円付近まで下落した。しかし、今晩の米国株価動向や週間の新規失業保険申請件数を見極めたいとの雰囲気もあり、下げは一服した。その後は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りに支えられ、110.60 円付近へ戻した。午後に入ると、世界的な株安を背景に海外勢などから仕掛け的なドル売り・円買いが持ち込まれ、サポートとして意識されていた110.40-45円水準を割り込んだ。ユーロ/ドルは米長期金利の低下を眺めた持ち高調整などのユーロ買い・ドル売りが入り、1.1805ドル付近へ値を上げた。

 

本邦1~6月の企業倒産件数は1990年以来の少なさ

東京商工リサーチが発表した1~6月(上半期)の全国企業倒産件数は、前年同期比24%減の3044件だった。上半期の倒産件数としては1990年以来の低さとなった。新型コロナウイルス対応の資金繰り支援が倒産件数を押し下げた。負債総額は同7%減の6116億5900万円だった。産業別では10産業のうち『不動産業』『運輸業』を除く8産業で減少した。『農・林・魚・鉱業』『建設業』『製造業』『卸売業』『小売業』の5産業は、30年間で最も少なかった。上半期、新型コロナに関連した倒産は762件あった。

 

6月の東京都心オフィス空室率上昇

オフィス仲介の三鬼商事が発表した6月の東京都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)のオフィス空室率は、前月比0.29ポイント上昇の6.19%だった。16ヵ月連続で上昇し、2014年7月以来6年11ヵ月ぶりの高さとなった。募集を残したまま竣工した大規模な新築びりがあったほか、既存ビルで大型解約がみられた。既存びりの空室率は前月比0.26ポイント上昇の6.12%と、14年6月以来の水準に上昇した。新築ビルは9.85%と同0.88ポイント上昇した。竣工した4棟のうち3棟(千代田区と港区)が満室稼働とならなかった。

 

OPEC交渉難航の背景にUAEの新戦略

原油増産を巡る石油輸出国機構(OPEC)内部の交渉が難航している背景には、需要が干上がる前にできるだけ多くの原油を販売するという新戦略を抱えるアラブ首長国連邦(UAE)の存在がある。複数の関係者によると、UAEの戦略は、中東の主要産油国の中でも極めて顕著な石油政策シフトと位置づけられる。中東産油国の政府は長年、はるか将来まで原油の買い手不足を心配していないとしてきた。だが関係者によれば、世界有数の原油埋蔵量を誇るUAEは、こうした慣例を破ろうとしている。 UAEの戦略の説明を受けた関係者は『同国の炭化水素資源に価値があるうちに、その価値を最大化すべき時期だ』とし、『新エネルギーと、同様に重要である新たな収入源の双方に投資し、経済を多角化するための収入を生み出すことが投資の目標だ』と話した。

 

トルコ中銀の早期利下げに対する警戒感は後退

週初に発表された6月トルコインフレは予想以上に加速しており、トルコ中銀の早期利下げに対する警戒感は後退したが、それだけでリラを買い進むのは難しい。なお14日の中銀会合では、政策金利は19.00%で据え置かれると予想するアナリストが大半を占めている。足もとのインフレ動向をみると金利に手を付けることはできないのは明らかであるが、エルドアン大統領や金融当局者の発言には警戒が必要である。また先月報じられた『トルコ中銀が他中銀と通貨スワップ枠の締結を目指している』件については、その後の進展状況は伝わってきていない。そろそろ何か出てきても良いころであり、気にかけておく必要はある。 

 

南アに絡んだ2つのニュース

1つ目のニュースは世界最大の資産運用会社であるブラックロックが、南アを含め新興市場の株式と通貨の見通しをオーバーウェイトからニュートラルに格下げした。格下げの要因は2点あり、1点目は新型コロナウイルスのワクチン接種が遅れている中で、デルタ株が蔓延していることにある。また、2点目はインフレの可能性が高まり、新興国がより迅速に利上げに傾くリスクがあるとしている。これまで続いていた、ランド買いの中長期的なトレンドが変わりかねないかもしれない。
2つ目のニュースは本日、日本時間の早朝に、ズマ前大統領が警察に身柄を拘束されたと報じられている。前大統領は法廷侮蔑罪で有罪となったが、収監には抵抗をしていた。しかし、ついに拘束された。いまだにズマ支持者がいることで、政局や治安の乱れには要警戒となる。

 

6月FOMC議事要旨ではFRBテーパリング急がない姿勢示す

米連邦準備制度理事会(FRB)は6月開催の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨を公表した。6月会合で緩和縮小開始の手段を協議したことが明らかになった。また、インフレ見通しリスクは上方と指摘された。数名のメンバーが前回の会合で予想されていたよりも早く、緩和縮小の条件が達成できると見ていることも明らかにされた。しかし、経済活動のプロセスが強弱まちまちで、著しい進展の基準はまだ満たされておらず、最終的に全般的に経済の回復は終了しておらず、リスクは残るとの見解で一致した。 緩和縮小を巡り新たな情報はなく、連邦準備制度理事会(FRB)がテーパリングを急ぐ姿勢が示されなかった。タカ派的な内容を織り込んだドル買いが後退した。

 

欧米市場イベント

○14:45   6月スイス失業率(季節調整前、予想:2.9%)
○15:00   5月独貿易収支(予想:151億ユーロの黒字)
○15:00   5月独経常収支
○19:35   デコス・スペイン中銀総裁、講演
○20:00   6月メキシコ消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.51%)
○20:00   欧州中央銀行(ECB)、金融政策の戦略見直しの結果を公表
○未定   ポーランド中銀、政策金利発表(予想:0.10%で据え置き)
○21:00   6月ブラジルIBGE消費者物価指数(IPCA、予想:前月比0.59%)
○21:30   ラガルドECB総裁、会見
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:35.0万件/333.5万人)
○24:00   EIA週間在庫統計
○9日04:00   5月米消費者信用残高(予想:184億ドル)

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欧米タイム直前市場コメント!

2021/07/07/15:15:15

日経平均株価:世界景気の回復鈍化懸念から売り優勢

前日米国株式市場でNYダウとS&P500指数が下落した流れを引き継ぎ、景気敏感株を中心に売りが先行した。また、ドル/円が110円台半ばと前日より円高気味に推移していることも重石となった。さらに、世界景気の回復が鈍化するとの懸念が投資家心理を下向かせた。国内で新型コロナウイルスの新規感染者数が増加傾向にあるうえ、ワクチン接種の加速にブレーキがかかっていることも重荷だった。結局、前営業日比276円安の2万8366円と反落して終了した。6月21日以来、約2週間ぶりの安値となった。信用評価損率は2日申し込み時点でマイナス8.11%と、前週のマイナス8.19%からマイナス幅が0.08ポイント縮小した。改善は2週連続となった。

 

東京外国為替市場:日経平均株価と米長期金利睨みの展開

ドル/円は、前日NY市場で米長期金利の急低下や6月米ISM非製造業景況感指数の低調な数字を眺めたドル売り・円買いが優勢だった。東京市場でもこの流れが続き、日経平均株価の大幅安でリスク回避の円買いが先行し、110.40円付近まで下落した。ただ、8日未明に公表される米FOMC議事要旨を見極めたいとの雰囲気もあり、下げは一服した。その後は、本邦輸入勢などがドル買い・円売りに動き110.55円付近へ持ち直した。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、110.50円台を中心とした狭いレンジ内での展開となった。ユーロ/ドルは、1.18ドル台前半で小動きの展開に終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

ETFの分配金拠出売り出揃う

国内に上昇する投資信託(ETF)で最も純資産総額の大きいNFTOPIX(1306)が10日の収益分配金を1口36.6円と見込んだ。10日が土曜日のため、分配金支払い基準は前日の9日となる。これで8、9日に決算を迎える主要ETFの分配金見込み額が出揃った。前日の純資産総額を基に分配金支払いに伴う売却額を試算したところ、8日に日経平均で約1450億円、TOPIXで約1360億円。9日に日経平均で約500億円、TOPIXで約4200億円の売りじゅようが発生するとみられる。

 

顧客が米国株を2週連続で売り越し:BofAセキュリティーズ

BofAセキュリティーズの7日付けのリポートでは、同社の顧客は6月28日~7月2日の1週間に米国株を1億9900万ドル売り越した。2週連続の売り越しとなる。この週は2日に発表された6月の雇用統計で非農部門の新規雇用者が前月比85万人増となり、市場予想の70万人増を上回った一方、失業率は5.9%で市場予想の5.6%より悪かったことで米景気回復期待が強まる一方で米FRBによる早期のテーパリング懸念が和らいでS&P500指数が週間で1.67%高となって2週連続で上昇した時だった。主体別動向ではヘッジファンド(HF)が13億6400万ドルの売り越しで、2週連続の売り越し。機関投資家は4億7100万ドルの買い越しで、3週連続の買い越しだった。個人投資家は2600万ドルの小幅売り越しで、2週連続の売り越しだった。企業の自社株買いは7億2000万ドルで、2週連続で10億ドルを割り込んだ。

 

来週のトルコ中銀の政策会合まではレンジ相場を予想

トルコメディアは昨日、スペイン系銀行による予測、トルコ消費者物価指数(CPI、前年比)は11月までに18%台まで上昇を報じている。一昨日発表された6月生産者物価指数(PPI)が前年比42%台まで上昇していたことを考えると、年後半にかけてのインフレ上振れは十分にあり得る。そうなると、一部の米系銀行が予想している『トルコ、年内利下げなし』が現実味を帯びてくる。まずは来週のトルコ中銀金融政策決定会合を見極める必要があり、それまではこのところのレンジ(12円半ばから後半)を中心とした値動きが続く可能性が高い。

 

トルコの観光業は今年復活なるか

トルコにとっても観光業は同国GDPの約5%を占める重要産業であり、パンデミックによる観光低迷は経済全体にとっても大きな痛手となった。20年の外国人観光客数は前年比で約7割も減少し、UNCTADによれば、同国の観光需要の落ち込みは金額にして約330億ドルと推定された。また、観光と結びついた業種(食品や飲料、小売業だけでなく、通信や輸送など)まで範囲を広げると、総合的な損失は930億ドルにも達する可能性も指摘されている。夏の観光シーズンを迎えた今月1日、トルコではコロナ制限のほとんどが解除された。書き入れ時になんとか間に合い、業績回復への期待も高まっている。ここから重要なのはやはり感染対策である。トルコでは今のところ、1日あたりの新規感染者数は5000人を割り込む日が増えてきた。ただデルタ株への警戒感は高まりつつあり、今後の感染状況には目を配る必要は依然としてある。

 

メキシコではザマ油田の運営会社選定を巡って米国との軋轢に注意

メキシコのエネルギー省は、ザマ油田の運営会社として国営石油公社ペメックスを選定したことを明らかにした。メキシコ湾南部にある同油田は2017年に発見され、推定埋蔵量は過去20年間で世界最大規模となる7億バレル相当する。同油田を発見した米タロス・エナジーはこの決定に対して『非常に失望した』との見解を示しているほか、米政府も米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)に基づき、タロスの同プロジェクトに対する法的権利を強調している。今後はUSMCAなどを巡って米国との軋轢が生じる可能性もあり、注意が必要である。

 

米6月ISM非製造業景況感は引き続き高水準の伸びを維持

米供給管理協会(ISM)が発表した6月非製造業景況指数は60.1と、過去最高となった5月の64から低下した。予想も下回り、2月来で最低となった。しかし、活動の拡大と縮小の境目となる50は13カ月連続で上回った。5月から予想以上に低下も、引き続き高水準の伸びを維持している。主要項目である新規受注は62.1と、5月63.9から低下も6カ月平均の61.7は上回った。4-6月期国内総生産(GDP)で10%近くの成長予想は依然変わりはないとの見方である。仕入れ価格は79.5と、5月の80.6から低下し、高インフレが一段落したことは安心感に繋がる。一方で、雇用は、昨年12月来の50割れで活動が縮小した。調査への回答者は、求人に対して、適切な労働者を確保するのが一段と困難になったとコメントしている。さらに、製造業と同じく、政府の失業者支援策支給で、労働者が雇用復帰を望まない傾向にあることも影響していると見られる。

 

米国市場では米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨が公表

6月15-16日に開催したFOMCの議事要旨を公表する。量的緩和策の早期縮小についての高低的な意見が多くみられた場合、リスク回避的なドル売り・円買いは後退し、ドル/円は111円台定着の可能性ある。また、新型コロナウイルスの感染拡大前の水準である1ドル=112円台前半の水準が視野に入る。

 

欧米市場イベント

○15:00   5月独鉱工業生産(予想:前月比0.5%/前年同月比17.7%)
○15:45   5月仏貿易収支(予想:61.00億ユーロの赤字)
○15:45   5月仏経常収支
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○21:00   5月ブラジル小売売上高指数(予想:前年同月比16.5%)
○23:00   6月カナダIvey購買部協会景気指数
○8日01:00   6月ロシア消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.5%)
○8日03:00   米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(6月15日-16日分)
○8日04:30    ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

欧米タイム直前市場コメント!

2021/07/06/15:11:55

日経平均株価:様子見ムード強く小動きの展開

前日の米国市場が休場で手掛かりに乏しい中、欧州株式市場の上昇が支えとなり反発した。ただ、上値上値は重く、市場では国内での新型コロナウイルスの感染再拡大や週末の指数連動型ETF関連の分配金基準日を控え、換金売りを警戒する声が聞かれた。ただ、売り材料はないものの、買い進む材料もなく、盛り上がりに欠ける展開となった。全般休場明けの米国市場の動向を見極めたいとの様子見ムードが強かった。結局、前営業日比45円高の2万8643円と反発して終了した。東証2部指数は18年1月以来の過去最高値を更新した。

 

東京外国為替市場:110円台後半でドルの上値の重い展開

ドル/円は、本邦輸出企業などのドル売り・円買いに押され、110.79円付近まで下落した。原油先物相場を眺めた資源国通貨高・ドル安が波及した面もあった。ただ、休場明けとなるNY市場の米国株価動向や6月米ISM非製造業景況指数を見極めたいとの雰囲気もあり、下値を追う動きは限られた。その後は、日経平均株価の反発を眺めたドル買い・円売りが入り、110.85円を挟んでもみ合いとなった。午後は、新規手掛かり材料に乏しく、110.80円台を中心とした狭いレンジ取引となった。ユーロ/ドルは、米FRBによる早期のテーパリング観測の後退を手掛かりとしたユーロ買い・ドル売り基調が続き、1.1880ドル台へじり高となった。

 

OPECプラスの閣僚協議が中止:減産延長を巡る溝

石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟の主要産油国でつくる『OPECプラス』は5日、同日予定してい閣僚協議を中止した。次回は未定となっている。焦点となっている8月以降の協調減産幅が宙に浮き、原油相場に上昇圧力がかかっている。市場ではOPECプラスが8月以降の減産縮小を決めるとみられていた。協議中止で現行の規模の減産が続き、需給が引き締まるとの見方が浮上した。協議中止の背景には、減産延長を巡る溝がある。減産縮小とは別に、22年4月までとした協調減産を22年末まで継続する案が今回検討されたが、アラブ首長国連邦(UAE)が反対した。同国は増産投資を進めており、減産の基準となる生産量を引き上げるよう求めている。8月以降の減産縮小には同意している。

 

トルコのインフレ悪化を確認:来週の金融政策会合に注目集まる

トルコの6月CPI上昇率は前年比17.53%となり、市場予想の17%及び5月の16.59%を上回った。また、PPI前年比は5月の38.33%から42.89%へ一段と上昇した。利下げしたいトルコ中銀もこれでは動けず、利上げ催促的なリラ売り反応と利下げ見送り期待でのリラ買いが交錯した。足もとのインフレ悪化を確認し、市場の目は来週のトルコ中銀金融政策決定会合に向き始めた。

○エルドアン・トルコ大統領発言
『インフレの原因となっている構造的問題を緩和する必要』
『トルコ中銀は高インフレ問題を解決する決意を表明した』
『政府の成長政策はリラをより魅力的にしている』
『トルコの第2四半期GDP成長率は20%以上を予想』

 

南ア政府が賃金交渉に歩み寄り:ストライキ回避の可能性

南ア政府と公務員組合との間で平行線をたどっていた賃金交渉ではあるが、政府側がゼロ回答から1.5%の賃金引き上げと、月額1000ランドの一時現金給付を提案した。これにより公務員の最低水準労働者(レベル1)にとって11.7%の賃金調整になる。また、レベル6の公務員はCPI(+4.2%を基準)に2.1%を増額した給与、レベル10の公務員はCPIと同程度となるとされている。先週公務員組合は2%の賃上げと月額1500ランドの現金給付を求めていたことで、いまだに開きはあるが早ければ今週予定されていた組合のストライキが回避される可能性が高まっている。

 

7日のFOMC議事録のタカ派度合いが焦点

今週の為替相場で注目されるのは、7日の米FRBによるFOMC議事録である(6月15-16日開催分)。同会合では参加メンバーの中期見通しで『2023年末までに2回の0.25%利上げ』という予測が示され、3月FOMCでの『2023年以降』という中心予測が前倒しされた。同時に量的緩和について、縮小議論の開始が示唆されている。7日の議事録により、改めてFRBによる金融緩和見直しへの前進姿勢が確認されると為替相場では全般ドル高の材料となる。ただし米国株には悪材料になるため、クロス円ではリスク回避による円高と外貨安の圧力が警戒されやすい。一方で6月FOMCの内容については、すでに織り込みも進んできた。米国では前週末2日に6月の雇用統計が改善増加となる一方、失業率は悪化の上昇となっている。FRBによる緩和縮小や利上げについては、過度な前倒し観測が後退してきた。その中で7日のFOMC議事録が想定の範囲内のタカ派(緩和見直し前向き)内容にとどまったり、雇用懸念などで基本的な緩和長期化の姿勢が示されると、全般ドル安の材料となる。

 

米国市場では6月ISM非製造業景況指数が公表

5月実績は64.0で過去最高だった。経済活動の正常化によって需要が増加している。6月については、受注残の増加や新規受注は高い水準を維持する可能性があるが、雇用指数は伸び悩んでいる。60の大台を維持する見込みだが、5月実績をやや下回る可能性がある。

 

欧米市場イベント

○15:00   ロウ豪準備銀行(RBA)総裁、会見
○15:00   5月独製造業新規受注(予想:前月比1.0%/前年同月比59.4%)
○16:00   デコス・スペイン中銀総裁、講演
○17:10   デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演
○17:30   6月英建設業購買担当者景気指数(PMI、予想:63.8)
○18:00   7月独ZEW景況感指数(予想:75.2)
○18:00   7月ユーロ圏ZEW景況感指数
○18:00   5月ユーロ圏小売売上高(予想:前月比4.4%/前年比8.2%)
○22:45   6月米サービス部門PMI改定値(予想:64.8)
○22:45   6月米総合PMI改定値
○23:00   6月米サプライマネジメント協会(ISM)非製造業指数(予想:63.5)

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