FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント

2021/07/19/15:11:06

日経平均株価:世界的な景気回復の鈍化懸念から売り優勢

新型コロナウイルスの変異種デルタ株の感染動向が警戒される中、前週末の米株安が嫌気された。2万7600円台から始まり、いったん戻りを試したものの、2万7800円を超えられずに失速した。買いが手控えられる中で、売りは急がれる展開になった。世界的な景気回復の鈍化を懸念した売りが出て、下げ幅は一時500円を超えた。国内では週末に4連休を控え投資家の慎重姿勢が強く、押し目買いも入りにくかった。結局、前週末比350円安の2万7652円と4日続落となった。

 

東京外国為替市場:米長期金利が持ち直すとドル買い戻し

ドル/円は、米長期金利が1.26%台へ低下したことからドル売り・円買いが先行し、109.85円付近まで下落した。NYダウ先物や原油先物価格の下落も、リスク回避の円買いを誘った。しかし、16日の東京市場でつけた安値109.74円が視界に入ると下げは一服した。その後は、本邦輸入勢などがドル買い・円売りに動き109.95円付近へ値を切り返した。低下していた米長期金利が1.28%台へ持ち直したこともあり、ドル買い戻しの動きになった。午後は日経平均株価やアジア主要株価を睨みながら、109.90円台を中心とした狭いレンジで取引された。ユーロ/ドルは、1.1805ドルを挟んでこう着状態相場となった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

トルコはイスラム最大の祭りで今週は休暇ムード

今週のトルコは、イスラム最大の祭り『イード・アル・アドハー(いわゆる、犠牲祭)』で20日(火)から23日(金)が祝日、19日も前夜祭でイスタンブール株式市場は半休となる。夏季休暇ムード一色になることが予想され、想定外の事件が起きない限りリラ相場も大きくレンジを広げることはなさそうである。ただ、リラの流動性悪化には注意すべきであり、スプレッドも通常より広がる可能性がある。特徴的なのは犠牲祭期間というよりも、祭り後に下値を試していることが多い。値動きだけを参考にした場合、流動性薄い中で上げたところは売り場なのかもしれない。


 

政情・経済不安が重なり南アランドの上値は限定的

資産運用会社による南アフリカの株式と通貨見通し引き下げ、ウイルス感染拡大によるロックダウンの延長などネガティブ要因に加えて、暴動の激化は南ア経済にとって大きな痛手となっている。当初はズマ前大統領の支持者によるデモでしたが、失業率が32.5%(15-24歳の若年層は63.2%)まで悪化していることなどで、国民の不満が爆発したかたちになっている。ウイルス感染が拡大するなか、暴動によりワクチン普及の遅れも目立ち始めた。政情・経済不安も重なっていることからランドは売り場探しとなりやすい。

 

今週の注目は南アの6月消費者物価指数

今週の最大の注目は6月南ア消費者物価指数(CPI)と南ア準備銀行(SARB)MPCの結果である。CPIは前回、SARB目標の中心値を上回ったことで徐々に利上げ期待が高まっている。ナイドゥSARB副総裁は金利について『金融緩和政策を維持する』とした一方で、『現在はマイナス金利の状態で、50ベーシス利上げしてもまだマイナス金利』とも発言した。結果次第でランド相場は不安定な動きとなる可能性もある。

 

メキシコでは年内2回の利上げの予想も

先月のサプライズ的な利上げを受けて一部アナリストの間では年内にあと2回は利上げを行う可能性を予想する声も出ている。インフレも一時的とみていた4-6月を終えて7月に入って低下していくのかどうかを見極めるうえでは、22日に発表される速報的な7月前半のCPIに注目される。

 

米7月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値は2月来最低

米7月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値は80.8と、6月85.5から上昇予想に反して低下し、2月来で最低となった。現在景況感は84.5と、6月88.6から上昇予想に反し低下し、昨年8月来で最低となった。消費者先行景況感も78.4と、6月83.5から予想外に低下し2月来で最低。米連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ期待指標として注目している同指数の1年期待インフレ率速報値は4.8%と、6月4.2%から上昇し、2008年8月来で最高。5-10年期待インフレ率速報値は2.9%と、6月2.8%から上昇した。

 

リスク回避のなかでドルを支える可能性も:メイバンク

世界的に新型コロナウイルスのインド型(デルタ株)による感染再拡大が警戒される中、マレーシア最大手銀のメイバンクを19日付のリポートで『先週末に米国株下落によるリスク回避的な資金流出と、世界的なパンデミック状況におけるいくつかのネガティブな展開が19日のほとんどのドル/アジア通貨のペアを押し上げた』と指摘した。リスク回避の展開の中でドル高アジア通貨安が進んだことに着目しつつ、『インドネシアは一日の死亡者数がブラジルを超えている。シンガポールでは食品市場や学校での感染拡大が報告されている。フィリピンではデルタ株の初の症例が確認された。米国では、デルタ株の感染拡大により、50週全てで新型コロナの感染者数が増加しており、ワクチン接種率の低い地域でアウトブレイクが発生していると報告されている』などと指摘している。『センチメントは当面、警戒感を強める方に傾きドルを一時的に支える可能性がある』とし、リスク回避のなかで短期的にはドル高が続くとみていた。

 

欧米市場イベント

○18:00   5月ユーロ圏建設支出
○19:00   ハスケル英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○23:00   7月全米ホームビルダー協会(NAHB)住宅市場指数(予想:82)

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欧米タイム直前市場コメント!

2021/07/16/15:12:15

日経平均株価:感染拡大の警戒やファーストリテイリングの下げが重石

引き続き新型コロナウイルスの感染拡大が警戒される中、半導体関連株や前日に下方修正を発表したファーストリテイリングの下げが重石となった。ただ、下値では押し目買いが流入し、2万8000円を下回る水準では底堅い印象が強かった。日銀が15-16日に開いた金融性悪決定会合で、金融政策の現状維持を決めたことが昼休み中に明らかになったが反応は薄かった。結局、前営業日比276円安の2万8003円と3日続落となった。

 

東京外国為替市場:110.00円を挟んだもみ合相場

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・売りに支えられ、110.07円付近まで上昇した。米長期い金利が上昇したことも、ドルの押し上げ要因となった。ただ、前日の海外市場でつけた高値110.08円に接近すると上げは一服した。その後は、利益確定や戻り待ちのドル売り・円買いも見られ、110.00円付近へ緩んだ。日銀政策決定会合の結果が発表されたが、為替市場の影響は限定的だった。午後は、週末を控えて積極的な売り買いは目立たず、110.00円を挟んで小動きとなった。ユーロ/ドルは、1.181ドル前後でこう着した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

欧州とトルコ間の新たな火種が浮上

昨日はトルコ祝日でドル/リラは比較的落ち着いて動きとなった。来週はイスラム最大の祭り『イード・アル・アドハー(いわゆる犠牲祭)』で1週間ほぼ休みということもあり、お祭りムードが漂う。ところで欧州司法裁判所は15日、職場でイスラム教徒がヒジャブ(髪を覆うスカーフ)を着用することについて、雇用主は一定の条件下で禁止することができるとの判断を下した。エルドアン大統領のもとでイスラム化が進むトルコが、判決に口を挟むことは十分考えられ、欧州トルコ間の溝の広がりが懸念される。

 

来年の世界の石油需要はコロナ前の水準に回復:OPEC予想

石油輸出国機構(OPEC)は15日、来年の世界の石油需要が米国や中国、インドの伸びにけん引される形で新型コロナウイルス禍前と同様の水準に回復するという見通しを示した。月報では、2022年の石油需要が3.4%増の日量9986万バレルとなり、年後半には平均で同1億バレルを超えると試算した。『22年の世界経済の成長には確固たる期待が寄せられており、とりわけ新興国や途上国における新型コロナ感染の改善に伴い、石油需要はコロナ前の水準に達すると予想される』の述べた。

 

南アの暴動で海外からの投資が減少する可能性も

昨日、トヨタ自動車は南アのダーバン工場の操業停止を発表し、再開も目途が立たないと発表している。韓国LGの工場も略奪後に焼き討ちにあうなど、南東部の港湾都市ダーバンも大きな被害が報告されている。ヨハネスブルグでも同様な被害が報告されていることで、当面は南ア経済が麻痺している状況が続きそうである。今回の暴動により治安などの不安も増し、今後の南アへの投資が減少するのではないかという中長期的な問題にも直面しそうである。

 

住宅価格上昇は懸念するもインフレは一時的

イエレン米財務長官は15日、CNBCとのインタビューで、住宅価格の上昇で手頃な価格の物件が少なくなっていると懸念する一方、国内のインフレ高進については、今後数か月続く可能性があるものの、一時的な現象だとの見方を示した。また、米連邦準備理事会(FRB)はパウエル議長下で素晴らしい仕事をしていると評価した。その上で、手頃な価格の住宅の供給を増やす政府案について、議会が検討すると述べた。

 

米国市場では6月小売売上高が公表

5月実績は前月比-1.3%で大幅な減少となった。米国経済は正常化に向かいつつあるが、個人消費がただちに拡大する状況ではないとみられている。6月については、5月の売上高が減少したことを考慮する必要があるが、5月に続いて前月比マイナスとなる可能性がある。

 

欧米市場イベント

○15:30   黒田東彦日銀総裁、定例記者会見
○18:00   6月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)改定値(予想:前年比1.9%)
○18:00   6月ユーロ圏HICPコア改定値(予想:前年比0.9%)
○18:00   5月ユーロ圏貿易収支(予想:季節調整前なし/季節調整済80億ユーロの黒字)
○21:15   6月カナダ住宅着工件数(予想:27.00万件)
○21:30   5月カナダ卸売売上高(予想:前月比1.1%)
○21:30   5月対カナダ証券投資
○21:30   6月米小売売上高(予想:前月比▲0.4%/自動車を除く前月比0.4%)
○22:00   ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、イベントに参加
○23:00   7月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、速報値、予想:86.5)
○23:00   5月米企業在庫(予想:前月比0.5%)
○17日05:00   5月対米証券投資動向
○アジア太平洋経済協力会議(APEC)非公式首脳会議(オンライン)

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欧米タイム直前市場コメント!

2021/07/15/15:13:09

日経平均株価:ウイルス感染拡大や円高を嫌気した売り

前日の米国株式市場は不安定な値動きとなり、積極的な買い材料に欠ける中、日本国内での新型コロナウイルスの感染拡大が警戒され、前場を通して下げ幅を拡大する展開となった。外為市場でドル/円が円高基調となっていることも自動車や輸出関連株の重石となった。結局、前営業日比329円安の2万8279円と続落して終了した。7月第1週の海外投資家は3週ぶりに137億円の買い越しとなった。

 

東京外国為替市場:アジア株軟調からリスク回避でやや円買い優勢

ドル/円は、日経平均株価の下げ幅拡大や米長期金利低下を眺めたドル売り・円買いが入り109.82円付近まで下落した。前日に行われたパウエル米FRB議長の議会証券がハト派色の濃い内容となり、FRBによる緩和的な金融政策は当面続くとの思惑もドルの重石となった。しかし、今晩の経済指標を見極めたいとの雰囲気もあり、下げは一服した。その後は、本邦輸入勢などがドル買い・円売りに動き、109.90円付近へ値を戻した。午後は、日経平均株価やアジア主要株価の動向を睨みながら、109.80円台を中心とした狭いレンジで取引された。ユーロ/ドルは、FRBの早期テーパリング観測が後退しているため、利益確定やポジション調整のユーロ買い・ドル売りが持ち込まれ、1.1840ドル台へ値を上げた。

 

サウジアラビアとUAEの合意報道:ゴールドマン・サックスレポート

ゴールドマン・サックスは14日付リポートで、『UAEとサウジアラビアは生産協定に近づいているようで、UAEが要求していたより高い基準値(2022年4月から3.65万バレル/日量)と、サウジアラビアが要求していた生産協定の延長(22年12月まで)の両方を認める合意に向けた進展を報じている。OPECプラスの全加盟国がすべてこの決定を支持していることから、このような合意が確認されれば、21年12月までに毎月0.4万バレル/日糧の清算が徐々に増加することになるだろう』と指摘した。この合意に関してはゴールドマンのベースケースに対して強気であり、その結果、OPECプラスの生産予測に対する下振れリスクを意味しているという。他の条件に変化がない場合、『これは、夏の1バレル当たり80ドルと22年のブレント価格予測の75ドルに対する2~4ドルの上方リスクを表す』とも指摘した。明確なOPECプラスの生産合意の欠如やデルタ株による潜在的な需要の下リスクに関して、予測の変更をしていないとするものの、今回の合意に関しては『最近実現した北米の生産量の増加を相殺する以上の、強気の供給カタリストである』との見解を示した。

 

独経済はコロナ危機からの回復が本格化

ドイツ経済省は14日に公表した月報で、国内経済は新型コロナウイルス危機からの回復が本格化していると指摘した。中間製品の供給障害にもかかわらず工業部門の見通しは引き続き明るいとの見方を示した。『中間製品の供給障害は打撃を与えるが、経済全般の前向きな動きを損なうものではない』と分析した。昨年実施した付加価値税(VAT)の一時的な引き下げの反動で、今年後半のインフレ率が3%以上になる可能性があると予想した。インフレ率は2022年に大幅に鈍化すると付け加えた。

 

トルコの政策金利は据え置きが決定:本日は祝日で12円後半でもみ合いか

トルコ中銀会合では、市場予想通りに政策金利を19%で据え置きが決定された。声明ではトルコ経済に対し楽観的な見方が示さたが、インフレ見通しのリスクには言及した。依然として現在の引き締め的な金融スタンスを断固として維持することが表明された。本日はトルコ祝日(民主化と国民統一の日)ということもあり、トルコ勢不在の中でリラ/円は12円後半でもみ合うことになりそうである。本日は2016年にトルコでクーデター未遂が起きた日である。同国軍の一部反乱勢力がエルドアン政権の転覆を図ったが1日で失敗に終わった。記念行事が行われるかは定かではないが、エルドアン大統領が演説を行う見込みである。先日、大統領はトルコの経済や通貨は外国やテロ勢力から攻撃を受けていると述べた。本日も低水準で推移するリラについて、言い訳的な発言がでるかもしれない。また、持論である『金利を引き下げればインフレは低下する』を訴える可能性もある。

 

暴動で浮き彫りになった南アが抱える問題点

ズマ前大統領の収監をきっかけに、デモ隊が暴徒化した一連の騒動はいったんは収まっている。暴動が行われた地域では住民が率先して片付けに動き、地域のショッピングモールを守るために立ち上がる動きもみせている。また、今回の騒動を扇動していたズマ派の人物も特定されてきている。そのため、暴動が収束する可能性はあるが、今回の暴動により南アが抱えている問題がより浮き彫りになったとも言える。全年代を通して3割以上、若年層は6割以上の失業率を抱えている南アだが、この雇用問題だけでなくワクチンの普及率が低いことなども要因となり、国内情勢は不安定な状況である。ラマポーザ現南ア大統領は汚職・莫大な債務・瀕死の国営企業問題の解決に努力を重ねていることで、海外からの評価は高いが、国内は上述の問題もあり、今後の政権運営はますます難しくなる。

 

カナダ中銀は資産購入の規模を縮小

カナダ中銀は14日、カナダ経済の回復見通しを踏まえ、資産購入の規模を週20億カナダドルに縮小すると決めた。政策金利は11会合連続で現行0.25%で据え置き、『インフレ率が持続的に目標2%に達するまで』現行金利水準を維持する方針を改めて示した。加中銀は声明で『世界経済は新型コロナ感染拡大から力強く回復している』との認識を示し、『カナダ経済もワクチン普及や行動制限緩和などで年後半は強い持ち直しが見込める』とした。ただ、新型コロナ変異ウイルスへの懸念が高まり、『経済回復は非常にまだらでウイルスの動向次第』との見解を示した。

 

米FRBの金融緩和縮小の壁は高い

最新6月の消費者物価指数(CPI)や生産者物価指数(PPI)は予想を上回り、数十年ぶりの大幅な上昇となった。しかし、連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は注目となっていた下院金融サービス委員会での半期に一度の証言において、インフレが年内高止まりするが、その後、低下するとの予想を繰り返した。インフレを押し上げている中古車価格の急騰もいずれ収まり、上昇は一時的だとの見解を示した。パンデミックによる供給混乱がくすぶり不透明性がまだ高く、インフレリスクに時期尚早に対応することは間違いだと慎重な姿勢を強調した。金融緩和縮小の壁は高い。インフレが一時的と見ているのは連銀高官だけではない。FRBが公表した地区連銀報告(ベージュブック)でも、物価圧力は一時的との一般の意見も一部見られたことが分かっている。議長は緩和縮小の条件となっている『一段の顕著な進展』を達成するには『程遠い』とし、市場にあった速やかな緩和縮小の思惑が後退した。

 

欧米市場のイベント

○15:00   6月英雇用統計(失業率/失業保険申請件数推移)
○15:00   3-5月英失業率(ILO方式、予想:4.7%)
○19:00   サンダース英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○21:30   7月米ニューヨーク連銀製造業景気指数(予想:18.0)
○21:30   7月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数(予想:28.0)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:36.0万件/331.3万人)
○21:30   6月米輸入物価指数(予想:前月比1.2%)
○22:15   6月米鉱工業生産指数(予想:前月比0.6%)
          設備稼働率(予想:75.6%)
○22:30   パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、米上院銀行委員会で金融政策や経済情勢に関する半期に一度の証言
○24:00   エバンズ米シカゴ連銀総裁、講演
○米独首脳会談(ワシントン)
○トルコ(民主化と国民統一の日)、休場

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欧米タイム直前市場コメント!

2021/07/14/15:12:34

日経平均株価:上値の重さが意識され様子見ムード

前日までの急な戻りに対する警戒感や上値の重さが意識されていることから、軟調な始まりとなったものの、売り一巡後はさえ渋りの展開になった。ただ、上値を追う動きはみられず、小幅安の水準でのもみ合いに終始した。実需買いが入っているもみられたものの、参加者は依然として少ない。市場では、第1四半期の決算発表を見極めたいとのムードが強く、決算が出そろうまで閑散相場が続く可能性がある。午後は新規の取引材料に欠け、動意の薄い展開だった。結局、前営業日比109円安の2万8608円と3日ぶりに反落した。信用評価損率は9日申し込み時点でマイナス8.48%と、前週のマイナス8.11%からマイナス幅が0.37ポイント悪化した。悪化は3週間ぶりとなった。

 

外国為替市場:米長期金利の低下でドル売りやや優勢

ドル/円は、前日に発表された6月米消費者物価指数(CPI)の強い数字で、高インフレが今後も続くとの思惑からドル買いが優勢になった流れを引き継ぎ、110.70円付近まで上昇した。ただ、今晩に予定されているパウエル米FRB議長の議会証言を前に、積極的な上値追いは手控えられた。その後は、米長期金利低下を眺めたドル売り・円買いに押される展開となり、110.45円付近へ下落した。アジア主要株価が総じて軟調だったことも、リスク回避の円買いを誘った。午後は、新規の手掛かり材料に乏しく、110.50円前後で小動きとなった。ユーロ/ドルは1.17ドル台後半で方向感に欠ける値動きとなった。欧州勢待ちの様相となった。

 

20時のトルコ中銀の金融政策に市場の注目が集まる

主要政策金利である1週間レポレートは19%で据え置きが大方の市場予想です。見込み通りであれば、4会合連続の据え置きとなる。ポイントは声明内容となる。特に前回6月に注目された『高水準のインフレ率とインフレ期待を考慮し、4月インフレレポートの予測に沿った大幅な低下が達成されるまで、現在の引き締め的な金融政策スタンスを断固として維持する』とした一文である。その前の5月会合から、『引き締め的な』や『断固として』との文言が追加され、タカ派な内容と受け止められた。足もとのトルコインフレが再び加速するなかで引き締めスタンスの継続は当然のこととして、更なる利上げに含みを持たすことにでもなれば、リラ/円は昨日突入した日足一目均衡表・雲の中で強含むことができるかもしれない。逆に、支持率回復に躍起になっているエルドアン大統領の圧力に屈しタカ派姿勢を弱めることにでもなれば、リラ売りが加速する可能性もある。

 

南アの抗議活動が全土に拡大:南アランドの重石に

南アフリカで、ズマ前大統領(79)の収監に端を発した抗議活動が全土に拡大し、商店の略奪や警察への投石などの暴力行為が発生している。ズマ前大統領の出身地クワズール・ナタール州や、最大都市ヨハネスブルクを擁するハウテン州では警察が暴徒を抑えきれず、軍が2500人の派兵を決める事態となっている。ズマ前大統領の収監以来、数日間に少なくとも30人が死亡、500人近くが逮捕された。店舗やガソリンスタンド、政府機関は閉鎖を余儀なくされている。貧困や不平等、新型コロナウイルス対策の経済的影響に対する不満が火に油を注ぐ形となり、抗議活動は一層激しさを増している。

 

シティグループは南ア国債のオーバーウエート圧縮

米金融大手シティグループは、南アフリカ長期国債のいーバーウエート・ポジションを圧縮するとともに、通貨ランドのアンダーウエート・ポジションを構築したことを明らかにした。シティのルイス・コスタ氏は顧客向けノートに『南アにおける数日間にわたる社会情勢の混乱を受け、一方退いて騒乱の原因と影響を深く考える時が来た。われわれはこの不幸な最近の事態がさらに持続して与党アフリカ民族会議(ANC)のラマポーザ政権、そして最も大事な点として既に分裂しているANC内の今後の合意形成に重大な悪影響をもたらすのではないかとみている』と述べた。

 

米6月CPIは予想以上に上昇:インフレは一過性な要因との分析を裏付けた

米国の6月消費者物価指数(CPI)は前月比+0.9%となった。伸びは5月+0.6%から鈍化予想に反し拡大し、2008年6月以降13年ぶり最大を記録した。前年比も+5.4%とやはり予想外に伸びが5月+5.0%から拡大し、2008年8月来で最大となった。連邦準備制度理事会(FRB)が最も注視している変動の激しい燃料や食料品を除いたコアCPIは前年比で+4.5%と、1991年7月以降30年ぶり最大の伸びを記録した。
全体指数を押し上げたのは、5月と同様に中古車や航空運賃、輸送コストなど、主にパンデミックの影響を大きく受けたセクター。中古車、トラック価格は前月比+10.5%。全体の上昇のほぼ3分の1を占める。12カ月間で中古の自動車、トラックの価格は45.2%上昇した。新車の価格も前月比+2.0%。食品や燃料価格の上昇も、それぞれ+0.8%、+1.5%と著しい。ガソリン価格は前月比+2.5%、前年比では+45.1%。食品は前年比で+2.4%になった。 結果は、『インフレは一過性な要因が引き上げている』というFRBの分析を裏付けた。同時に、持続的にインフレを押し上げるとされる賃貸や宿泊施設などを含むシャルター価格の強い上昇に警鐘をならすアナリストも見られ、今後も動向を睨む。中古車などの価格は短期的にピークを付け、来年にかけて価格が下落に転じ、コアインフレを目標以下に押し下げるとの指摘もある。

 

6月米CPI結果を受け今後のパウエル米FRB議長の発言に注意

6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)後にパウエル米FRB議長は、『インフレはここ数カ月で著しく上昇し、数カ月間高止まりした後に鈍化する可能性がある』と発言している。消費者物価指数(CPI)は個人消費支出価格指数(PCE)と比較し調査対象も狭く、代替品などによる行動変化調整を行わず、対象品目も固定的なことで、短期的に上昇する傾向が強い。このようなことで、CPIの高まりがすぐにテーパリング期待につながらないように、米FRB議長は『インフレ要因は時間とともに後退するだろう』と6月後半の議会証言でも指摘している。しかしながら、FRB議長が上述の議会証言で『(前年比)5%のインフレは受け入れられない』と発言したこともあり、もし市場予想(4.9%)を上回り5.4%まで上昇したことで、パウエル米FRB議長の発言にも変化が出てくる可能性がある。

 

上院民主党が3兆5000億ドル規模のインフラ計画で合意

米議会民主党のチャック・シューマー上院院内総務が、上院民主党の指導部と上院予算委員会の民主党メンバーが3兆5000億ドル規模のインフラ投資計画で合意したと明らかにした。ロイターの報道によれば、予算委の民主党議員とホワイトハウス当局者は非公開で2時間余りにわたり協議を実施したといい、共和党議員は参加しなかったという。シューマー氏は『超党派計画の6000億ドルにこの額を足せば、4兆1000億ドルとなりバイデン大統領がわれわれに予算要求した額に非常に近い』と強調した。バイデン大統領と上院民主党は同計画について14日に協議する。

 

欧米市場イベント

○15:00   6月英消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.2%/前年比2.2%)
○15:00    CPIコア指数(予想:前年比2.0%)
○15:00   6月英小売物価指数(RPI、予想:前月比0.3%/前年比3.4%)
○15:30   6月インド卸売物価指数(WPI、予想:前年比12.23%)
○16:30   6月スウェーデン消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.1%/前年比1.3%)
        コア指数(予想:前月比0.1%/前年比1.5%)
○18:00   5月ユーロ圏鉱工業生産(予想:前月比▲0.2%/前年比22.2%)
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○20:00   5月南アフリカ小売売上高(予想:前年同月比12.2%)
○20:00   トルコ中銀、政策金利発表(予想:19.00%で据え置き)
○21:30   5月カナダ製造業出荷(予想:前月比1.0%)
○21:30   6月米卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.6%/前年比6.8%)
       食品とエネルギーを除くコア指数(予想:前月比0.5%/前年比5.1%)
○21:45   シュナーベル欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○23:00   カナダ銀行(BOC、中央銀行)、政策金利発表(予想:0.25%で据え置き)
○23:30   EIA週間在庫統計
○15日01:00   パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、米下院金融サービス委員会で金融政策や経済情勢に関する半期に一度の証言
○15日02:00   ラムスデン英中銀(BOE)副総裁、講演
○15日02:30   カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、講演
○15日03:00   米地区連銀経済報告(ベージュブック)

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欧米タイム直前市場コメント!

2021/07/13/15:15:53

日経平均株価:米国株高と円安を好感した買い優勢

前日の米国株高や円安基調を受けて朝方に続伸して始まった後も、徐々に上げ幅を拡大した。ただ、買い一巡後は、米国株に対する高値警戒感もあり上値が抑えられた。足元で個人投資家などによる個別株物色は旺盛なものの、日経平均が3まん延を超えていくには海外勢の買いが必要とみられている。しかし、新型コロナウイルス感染拡大を受けて東京都が緊急事態宣言期間入りしており、外国人投資家も積極的に日本株を買う状況になく、目先はレンジでの動きが継続するとの見方との声が聞かれた。結局、前営業日比149円高の2万8718円と続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:米イベント待ちで様子見ムード

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りや日経平均株価の続伸に支えられ、110.45円付近へ上昇した。米長期金利が小幅に上昇したことも、ドルの押し上げにつながった。ただ、今晩発表される6月消費者物価指数(CPI)を見極めたいとの雰囲気もあり、積極的な上値追いは手控えられた。午後は、14~15日に予定されている米パウエルFRB議長の議会証言を控えて様子見ムードが広がり、110.40円を挟んだ方向感に乏しい値動きが続いた。ユーロ/ドルは、このところECB要人によるハト派的な発言が相次ぎ、金融緩和が当面続くとの思惑から持ち高調整などのユーロ売り・ドル買いが入り1.1855ドル近くへ軟化した。

 

中国の4-6月期GDPに注目

今週の注目イベントの一つに、15日発表予定の中国4-6月期GDPである。事前予想は前年同期比8.0%増となっており、前四半期から伸び率は大幅に鈍化する見通しとなっている。中国当局は当該期に金融引き締めの動きを強めているとみられ、足元で社債のデフォルト件数も増加傾向にある。これらの点から、中国の経済活動にはブレーキがかかっている可能性がある。中国経済の鈍化は世界経済全体にも影響を与えるだけに、内容を注視したい。

 

OPECプラス会合の今週再開の公算は小さい

石油輸出国機構(OPEC)加盟国とロシアなどの非加盟国で構成する『OPECプラス』内で、サウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)の対立緩和に向けた動きが進んでおらず、週内に会合が再開される公算が小さいことが関係筋の話で明らかになった。
サウジアラビアとUAEの対立が表面化したことで、OPECプラスは5日に再開する予定だった閣僚級会合を延期された。対立緩和に向けた取り組みをロシアが主導している。ただロシアのペスコフ大統領報道官はこの日、9日に行われた米ロ首脳の電話会談では、OPECプラスや国際原油価格は議題にならなかったと明らかにした。サウジとオマーンはこの日、OPECプラス内の協力継続を呼び掛ける共同声明を発表した。

 

トルコ観光業の回復期待高まるが労働市場改善は遠い道のり

トルコメディアによれば、同国地中海側の人気観光都市アンタルヤでは、ここ2週間で約30万人のロシア人観光客を受け入れたと報じられている。ロシアは先月後半に露トルコ間の航空便運航を再開し、その影響が着実に出ている。パンデミック禍で大打撃を受けたトルコ観光業だったが、徐々に回復への期待が高まっている。 昨日発表された5月トルコ失業率は13.2%と前回から強まったが、月の半分が全土でロックダウン(都市封鎖)が講じられた時期であり、求職活動を控えた(または諦めた)人が増加した影響があった。いずれにせよ依然として高い水準であり、労働市場の改善はまだ遠い道のりとなっている。

 

南アではズマ前大統領の支持者による暴動拡大

収監されたズマ前大統領の支持者が、ハウテン州を中心に暴動を拡大している。一部では恩赦の話も出ているが、有罪になった法廷侮蔑罪だけでなく、収賄などの容疑などもあり、前大統領は一部の支持者を除くと南ア国内・国外ともに非常に悪評の高い大統領である。ラマポーザ現大統領も恩赦を与えることの方がリスクと言える。昨日は暴動鎮圧のために、休暇中や他地域の警官もハウテン州へ派遣しているが、暴動が収集するかはまだ分からない。

 

南アではワクチン普及不足から感染拡大

ロックダウンについては、週末にレベル4の2週間延長(7月25日まで)を行うことが決定している。週末の新型コロナウイルス感染件数は1万6千人を超え、151人が死亡している。感染拡大に対して『第3波は第1・2波より深刻』とラマポーザ南ア大統領は国民に向けて発言するなど、ワクチン普及不足もあり現時点では拡大が収まりそうもない。

 

パウエル米FRB議長の半期に一同の議会証言に注目

今週の米国市場ではパウエル米FRB議長が金融政策について、半期に1度の議会証言を14日に下院金融委員会、15日に上院銀行委員会でそれぞれ行う。6月FOMCでの量的緩和縮小の議論開始や利上げ時期予測の前倒しを踏襲する形で、改めて緩和見直しの地ならしを前進させると、為替相場ではドル高の要因となりやすい。その場合、米国株には悪材料となるため、クロス円では円高・外貨安が警戒される。一方で前週までには世界的なコロナ感染の再増加や、世界景気の減速などが警戒され始めた。米国では新たなインフラ投資計画を巡り、与野党間の調整が難航している。こうした要因により、パウエル議長が微妙に緩和見直し『前のめり』のタカ派姿勢を再後退させる可能性も注視される。その場合は全般ドル安となる反面、米国の株高を通じてクロス円では円安と外貨高が支援される。

 

NY連銀の調査報告:中期インフレ期待は過去最高

NY連銀が12日に発表した6月の調査報告の中で、今後12カ月の中期インフレ期待は5月から0.8%ポイント上昇し、4.8%となった。2013年の統計開始以降で最高。一方、今後3年間のインフレ期待は3.6%で変わらず。しかし、いずれも連邦準備制度理事会(FRB)が健全な経済の成長を示唆するとする2%を上回っている。FRBは、インフレの上昇が、パンデミックの影響による供給不足が経済活動の再開に伴う需要の急増に追い付かない一時的な要因によるものという考えを、6月連邦公開市場委員会(FOMC)でも再確認した。最新の予測で物価は2021年に3%へ上昇後、来年には2.1%へ伸びが鈍化。そののちは、目標値である2%前後で推移するとFRBは見ている。

 

米国市場では6月消費者物価コア指数が公表

5月実績は前年比+3.8%だった。中古車、家庭用調度品、航空運賃、衣料品の価格が主に上昇した。6月については社会活動の拡大などを通じてサービス需要は増大しており、インフレ率は5月実績をやや上回る可能性がある。

 

欧米市場イベント

○15:00   6月独消費者物価指数(CPI)改定値(予想:前月比0.4%/前年比2.3%)
○15:00   英中銀(BOE)、金融安定報告書を公表
○15:30   6月スイス生産者輸入価格
○15:45   6月仏CPI改定値(予想:前月比0.2%/前年比1.5%)
○16:00   5月トルコ鉱工業生産(予想:前月比▲0.4%)
○16:30   ベイリーBOE総裁、記者会見
○21:30   6月米CPI(予想:前月比0.5%/前年比4.9%)
       エネルギーと食品を除くコア指数(予想:前月比0.4%/前年比4.0%)
○14日02:00   米財務省、30年債入札
○14日03:00   6月米月次財政収支(予想:1940億ドルの赤字)
○欧州連合(EU)財務相理事会

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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