★欧州市場朝方の取引では、今年の主要2大リスクとして意識されていた米中貿易摩擦と合意なきブレグジットに対する警戒感が一段と後退したことを受け、リスク選好の改善による円安の流れが持続した。なお、欧州株は大幅続伸して取引を開始した。欧州市場のドル/円は109.60円付近とアジア市場の終盤からほぼ変わらなかった。欧州株が大幅に上昇したほか、日米株価指数先物も堅調地合いを維持するなか、一時109.70円と本日高値を更新した。米CNBCが『中国は米農産物購入目標について懸念を抱いている』と伝えて『部分合意』したとされた米中協議への不透明感が嫌気されドル売りが強まった。
トランプ米大統領が『WSJの関税に関する記事は間違っている』と発言したことを受けて、ドルは失速した。WSJは『米交渉担当者は15日に予定している対中関税第4弾の取りやめと既存の追加関税の引き下げを提案した』と報じた。その後、中国政府が『第1段階の貿易交渉は大きな進展を遂げた』『米中は文書を巡って合意が成立した』との声明を発表するとドルの買い戻しが優勢となった。しかし、15日発動予定の米中追加関税の見送りだけで終わり、米中協議が大きく進展したとは言えず、ドルが再び売られる展開となった。その後は、複数の重要イベントを通過し、本日の安値圏となる109.30近辺でもみ合う展開となった。
★欧米主要経済指標
・米・11月小売売上高:前月比+0.2%(予想:+0.5%、10月:+0.4%←+0.3%)
・米・11月小売売上高(自動車除く):前月比+0.1%(予想:+0.4%、10月:+0.3%←+0.2%)
・米・11月輸入物価指数:前月比+0.2%(予想:+0.2%、10月:-0.5%)
・米・11月輸入物価指数:前年比-1.3%(予想:-1.2%、10月:-3.0%)
・米・10月企業在庫:前月比+0.2%(予想:+0.2%、9月:-0.1%←0.0%)
★欧米市場のポイント
・ドル/円は109.20-70円のレンジ相場
・英総裁選挙は与党・保守党の圧勝
・中国が記者会見を開き米国との貿易協議の第1弾合意
・米下院司法委員会がトランプ大統領の弾劾訴追案の採決
・米10年債利回りは一時1.8139%前後まで大幅低下
・VIX指数は13.94から12.63へ低下
★東京白金の日足では、3,300円を超えてきたことで3回目の高値トライとなっている。横ラインを引いて見ると、3,100円からは100円刻みで相場の節目になっていることが分かる。このまま、明確に上抜けすると次の節目は3,400円となる。ただ、再び3,300円以下に押し戻されるともみ合い後に下落するパターンとなっている。
ストキャスティクス・スロー(パラメター:14、5、3、20、80)は、%DがSlow%Dを上抜けしており、両線ともかい離幅を広げながら上向きとなっている。そのため、上昇基調が強いことを示している。
過去において天井圏からの下落の際は、天井を付けた後は上値を切り下げる展開となっている。そのため、現状はその天井圏に向かって上昇している。
まとめると、高値圏に向かって上昇しており、上昇の勢いは強い。そのため、戻り売り狙いなら、上ヒゲのあるロウソク足が出た後にもみ合い相場になり、ストキャスティクスが上値を切り下げる展開になるまで待つ必要がある。順張り戦略なら、3,400円近辺まで上昇した際の値動きがポイントとなる。ただ、順張りでは高値圏に位置していることから、注意する必要がありそうだ。
★ポンド/円は、英国の総選挙に関して、出口調査で与党保守党が過半数を確保するとの内容が早い時間に出てきたことからポンド買いが加速した。
ボリンジャーバンド(パラメータ:21、±1σ、±2σ、±3σ)の日足では、バンド幅が縮小するスクイーズから、±3σのバンド幅が拡大するエクスパンションした。そのため、しばらくはポンド買い・円売り基調が継続する。
ストキャスティクス・スロー(パラメータ:14、5、3、20、80)は過熱感が出ているものの、明確な上昇トレンドが発生してきていることから、高水準に張り付く可能性が高く注意する必要がある。
ポンド/円は上放れたばかりなので、逆張りによるポンド売りは時期尚早となる。また、モメンタム系オシレーターであるストキャスティクスは、明確なトレンドが発生すると高水準に張り付くダマシが継続する可能性がある。そのため、過熱感だけでポンド売りは大きな損失につながるので注意する必要がある。
上昇の勢いが鈍化すると、まずはマイナス3σのバンドが横向きから内側に入ってくる。また、さらに上昇の勢いが鈍化するとプラス3σのバンドが横向きから内側に入ってくる。そのため、±3σのバンドが外向きに拡大している時は、順張りでついて行く戦略もある。
★NY株式市場では、三指数とも上昇したうえ、米長期金利も大幅上昇したことで、イールドスプレッドは三指数ともに前日比で大幅に縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した三指数ともに高値圏で推移している一方で、米長期金利も上昇してきたことで過熱感が出始めてきた。米中貿易摩擦の後退や英国総選挙で保守党が過半数を獲得できる見通しとなり、リスク選好の動きが強まっている。金利の上昇が進むようなら、NY株式に割高感が高まる。そのため、今後米長期金利が低下するのか、上昇するのか重要なポイントとなる。
NYダウは大幅上昇し、一時史上最高値を上回った。5日SMAの27,970ドル、10日SMAの27,851ドル、25日SMAの27,864ドルがサポートラインとして意識される。また、ストキャスティクス・スロー(パラメータ:14、5、3、20、80)でも、%DがSlow%Dを上抜け両線ともかい離幅を広げて上向きとなっていることで強い上昇基調を継続している。今後も長期金利の動向次第で米国株の割高・割安感が意識されるようになる。NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。割高になると米国株を売って、安全資産である債券などに資金がシフトされやすくなり、米国株の下落調整しやすい地合いとなる。一方で過剰に売り込まれるようなら、米長期金利の低下にともなって一気に割安感が出る。
★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。
そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。
○米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲4.256%
・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲3.069%、19/4/25-▲3.048%
(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/6/3-▲4.038%、
19/8/5-▲4.102%
(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)
・12月11日:▲3.356%⇒12月12日予想▲3.214%
12月12日のNYダウは大幅上昇したうえ、米長期金利も大幅上昇したことでイールドスプレッドは前日比で大幅に縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲4.256%から▲1.042%と平均値よりかい離していることで割高になっている。18年12月3日の天井▲3.069%まで▲0.145%に接近してきた。19年4月25日の天井3.048%まで▲0.166%に接近してきた。
NYダウが上昇したことで株式益利回りは低下した。しかし、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で大幅に縮小した。米国債券に対してNYダウが前日比で割高となった。前日比ではNYダウを買うよりも米国債券を買う方が良いことになる。トランプ米大統領がツイッターに『中国との大きな合意が非常に近づいている』と投稿したほか、WSJが『米交渉担当者は15日に予定している対中関税第4弾の取りやめと既存の追加関税の引き下げを提案した』と報じると、米中協議の進展期待から買いが広がった。ゴールドマン・サックスやJPモルガン・チェース、キャタピラーなどに買いが集まり、上げ幅は一時310ドルを超えた。
○米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲3.589%
・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲2.731%、19/4/25-▲2.966%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/6/3-▲3.881%、
19/8/5-▲4.002%、19/8月15日-4.179%
・12月11日:▲3.312%⇒12月12日予想▲3.165%
S&P500が上昇したうえ、米長期金利も大幅上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲3.589%から▲0.424%とかい離していることで割高になっている。また、18年12月3日の天井となった▲2.731%まで▲0.434%に接近した。19年4月25日の天井となった2.966%まで▲0.199%に接近した。
○米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲2.106%
・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、19/4/25-1.468%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/6/3-▲2.328%、
19/8/5-▲2.383%、 19/8/15-▲2.498%
・12月11日:▲1.773%⇒12月12日予想▲1.644%
NASDAQが上昇したうえ、米長期金利も大幅上昇したことでイールドスプレッドが前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲2.106%から▲0.462%と平均値より縮小した。また、18年12月3日の天井となった▲1.198%まで▲0.446%に接近した。19年4月25日の天井となった▲1.468%まで▲0.176%に接近した。
NASDAQが上昇したうえ、米長期金利も大幅したことでイールドスプレッドは1.60%台半ばまで一気に縮小した。NASDAQはハイテク関連銘柄が多く米中貿易摩擦の影響が大きく、三指数の中で上下に振れるボラティリティが最も高くなっている。特に米中通商協議の行方に左右されやすく、報道に振れやすい地合いとなっている。
三指数のイールドスプレッドは、指数が大幅したうえ、米長期金利も大幅したことで三指数ともに大幅に縮小した。米国株は史上最高値近辺に推移しているうえ、米長期金利も1.90%台に上昇してきたことで、やや割高感を感じるようになってきた。米長期金利がもう一段上昇すると、一気に米国株に割高感が出てくるので、今後の米長期金利の動向には注意が必要となる。
※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。
※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。
★12月6日以降の東京金60分足では、上昇基調から一転大陰線となる下落基調となった。しかし、引けにかけては上値は重いものの戻り基調は継続した。雲の上方に位置しており、24時間SMA(緑線)がサポートとなっていることや、先行きの雲が上昇基調を維持しているこで上昇基調は継続している。
NY金先物市場は1468.20-1491.60ドルのレンジ相場となった。一時1491.60ドルまで買われたが、米国が中国との通商協議で『第1段階』の原則合意に達したと報じられたことや、米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は関係筋の情報として、米通商交渉団が15日に発動を予定する対中追加関税の見送りを提案したと報じたことから、金先物は反落した。通常取引終了後の時間外取引で一時1468.20ドルまで売られる場面があった。
価格帯別出来高では、出来高が多い価格帯の上方に位置していることから、上値が重くなると利食い売りが入りやすい。ただ、出来高が多い価格帯で下げ止まる展開となっている。
MACD(パラメータ:12、26、9)は、ゼロラインの上方で横ばいとなっていることから、トレンドレスの状態となっているものの現状のトレンドは維持している。ストキャスティクス・スロー(パラメータ:14、3、3、20、80)は、低位で%DがSlow%Dを上抜けしたことで戻り基調は継続している。
東京金の日足では、75日SMAの5,170円がレジスタンスとなり上値を抑えられる一方で、100日SMAの5,135円がサポートとなり下げ止まる展開となっている。NY金先物市場は、米中貿易交渉の進展により米長期金利が上昇する中、NY金は売られやすい展開となっている。しばらくは、下値模索の展開になりやすい。為替市場では、ドルが急伸し109円台半ばまで上昇している。そのため、東京金はNY金の下落に対して円安基調が相殺する展開となり、小幅な動きとなっている。
本日の注目点では、下値にある5日SMAの5,117円、10日SMAの5,130円、25日SMAの5,120円、100日SMAの5,135円がサポートラインとなるかが焦点となる。
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