★欧州市場朝方の取引では、為替は全般もみ合い商状が継続した。なお、欧州株は全面安で取引を開始した。米長期金利が持ち直すに連れ、ドルが小幅上昇した。欧州株の全面安やNYダウ先物が弱含みで推移する中、円買いが観測された。米FOMC、ECB理事会、英総選挙投開票、米国による対中追加関税第4弾の残り発動を控えて、状況見極めムードから全体的に小動きとなった。NYダウ先物が170ドル超安、独DAXが1.6%超安と株価が下げ幅を広げる中、リスク回避目的で全般円高となった。
トランプ米政権の対中追加関税の発動を見送りする計画との一部報道を受けてドル買いが強まった。現物NYダウが100ドル超下落すると一転してドルが下落した。米中協議への不透明感がぬぐいきれない状況の中では戻り売りなどに押されやすい展開だった。米国株がプラス圏に浮上したことや、長期金利の上昇をながめながらドル買いが強まった。注目イベントを多く控えて値動きは鈍いものの、15日発動予定の対中追加関税は見送られるとの見方が強くドルの下支えとなった。
★欧米主要経済指標
・英・10月鉱工業生産:前月比+0.1%(予想:+0.2%、9月:-0.3%)
・英・10月製造業生産:前月比+0.2%(予想:0.0%、9月:-0.4%)
・英・10月貿易収支:-144.86億ポンド(予想:-116.73億ポンド、9月:-115.21億ポンド←-125.41億ポンド)
・独・12月ZEW景気期待指数:10.7(予想:0.3、11月:-2.1)
・米・7-9月期非農業部門労働生産性改定値:前期比年率-0.2%(予想:-0.1%、速報値:-0.3%)
・米・7-9月期単位労働コスト改定値:前期比年率+2.5%(予想:+3.4%、速報値:+3.6%)
★欧米市場のポイント
・ドル/円は、108.51-77円のレンジ相場
・英保守党が勝利するとの観測からポンド買い優勢
・重要イベントを控えて持ち高調整の売買中心
・12月独・ユーロ圏のZEW景況指数が改善でユーロ買い
・15日予定の対中制裁関税の見送り報道でドル買い
・米国10年債利回りは1.84%へ上昇
・VIX指数は15.86から15.68へ低下
★トルコリラ/円は、12日のトルコ中銀会合では150bp利下げを見込む向きが増え、一部では利下げ幅の更なる拡大を予想する声も聞こえ始めた。また、ロシアメディアが先週末、トルコが露製地対空ミサイルS400の追加購入を進めていると報道したことや、地中海を巡るトルコと欧州連合(EU)の対立も嫌気されトルコリラ売りが強まってきた。
ボリンジャーバンド(パラメータ:21、±1σ、±2σ、±3σ)の日足では、バンド幅が縮小するスクイーズから、±3σが拡大するエクスパンションの兆しが見え始めている。今回のエクスパンションでは、下放れの様相となっている。一目均衡表の雲の上限を下抜け雲の下限に向かって下落基調となっていることから、雲の下限を下抜けすると下落基調に勢いがつく可能性があるので注意が必要となる。
ストキャスティクス・スロー(パラメータ:14、5、4、20、80)では%DがSlow%Dを下抜け両線とも下向きとなっていることから、下押しバイアスが強まっている。
トルコリラ/円相場では、ボリンジャーバンドやストキャスティクスから、下振れする可能性が高まっている。12日のトルコ中銀の金融政策会合で150bp以上の利下げとなると、トルコリア売りが加速する可能性があるので注意が必要となる。
★エンベロープは200日SMA(黒線)に対してのかい離率のことであり、200日の手前から±3%、±5%、±10%、±15%、±20%になっている。
10月初旬にマイナス15%がサポートラインとなり当面の底値を確認した後、明確な上昇トレンドを維持しながら上昇してきた。一時プラス3%とプラス5%上抜けに上値が重くなりもみ合い足踏みとなったが、12月5日の大陽線でプラス5%を上抜けした。
現在はプラス10%がレジスタンスとして意識され、もみ合い相場となっている。このプラス10%ラインは4月から6月にかけてレジスタンスとなり、上値の重石となったラインである。今回も同様に意識されている。
ストキャスティクス・スロー(パラメータ:14、5、3、20、80)は、高値圏で%DがSlow%Dを上抜けしており、上昇基調は継続している。
この10%ラインを上抜け出来ると、6月にはプラス15%まで上昇したことから、今回も15%までの上昇が期待される。10%を上抜け出来ないと、下値ではプラス5%がサポートラインとして意識される。4月から6月相場のようにプラス5%~10%のレンジ相場となりやすい。
★NY株式市場では、三指数とも下落したうえ、米長期金利も低下したことで、イールドスプレッドは三指数ともに拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。三過3指数ともに高水準で推移していたものの、米長期金利が以前に比べて低下していたことで過熱感が抑えられている。しかし、このところの米長期金利上昇によって、過熱感が出始めてきている。また、米長期金利は1.8%台に再び上昇しており、今後米長期金利が低下するのか、上昇するのか重要なポイントとなる。
NYダウは低下したが、10日SMAの27,894ドルがサポートラインとして意識され下げ止まった。ストキャスティクス・スロー(パラメータ:14、5、3、20、80)でも、%DがSlow%Dを上抜けしたことで再び上昇基調に戻る兆しとなっている。そのため、テクニカル的には、下落基調から、一転して上昇基調を維持している。。今後も長期金利の動向次第で米国株の割高・割安感が意識されるようになる。NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。割高になると米国株を売って、安全資産である債券などに資金がシフトされやすくなり、米国株の下落調整しやすい地合いとなる。一方で過剰に売り込まれるようなら、米長期金利の低下にともなって一気に割安感が出る。
★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。
そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。
○米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲4.225%
・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲3.069%、19/4/25-▲3.048%
(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/6/3-▲4.038%、
19/8/5-▲4.102%
(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)
・12月6日:▲3.296%⇒12月9日予想▲3.336%
12月9日のNYダウは下落したうえ、米長期金利も低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲4.225%から▲0.889%と平均値よりかい離していることで割高になっている。18年12月3日の天井▲3.069%まで▲0.267%に接近してきた。19年4月25日の天井3.048%まで▲0.288%に接近してきた。
NYダウが下落したことで株式益利回りは上昇した。さらに、米長期金利も低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大した。米国債券に対してNYダウが前日比で割安となった。前日比では米国債を買うよりもNYダウを買う方が良いことになる。前週末に良好な米雇用統計を受けて大幅上昇したことから、利益確定目的の売りが優勢となった。アップルやボーイング、ゴールドマン・サックスなどの下げが指数の重石となった。半面、ホーム・デポやIBMなどが買われ相場を下支えした。10-11日から始まるFOMC(連邦公開市場委員会)や、15日に期限を迎える米中追加関税措置の発動可否を見極めたいとの思惑から、全般様子見ムードが広がった。
○米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲3.560%
・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲2.731%、19/4/25-▲2.966%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/6/3-▲3.881%、
19/8/5-▲4.002%、19/8月15日-4.179%
・12月6日:▲3.254%⇒12月9日予想▲3.254%
S&P500が下落した一方で、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲3.560%から▲0.306%とかい離していることで割高になっている。また、18年12月3日の天井となった▲2.731%まで▲0.523%に接近した。19年4月25日の天井となった2.966%まで▲0.288%に接近した。
○米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲2.080%
・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、19/4/25-1.468%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/6/3-▲2.328%、
19/8/5-▲2.383%、 19/8/15-▲2.498%
・12月6日:▲1.721%⇒12月9日予想▲1.757%
NASDAQが下落したうえ、米長期金利も低下したことでイールドスプレッドが前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲2.080%から▲0.323%と平均値より縮小した。また、18年12月3日の天井となった▲1.198%まで▲0.559%に接近した。19年4月25日の天井となった▲1.468%まで▲0.289%に接近した。
NASDAQが下落したうえ、米長期金利も低下したことでイールドスプレッドは1.70%台半ばまで戻した。NASDAQはハイテク関連銘柄が多く米中貿易摩擦の影響が大きく、三指数の中で上下に振れるボラティリティが最も高くなっている。特に米中通商協議の行方に左右されやすく、報道に振れやすい地合いとなっている。
三指数のイールドスプレッドは、指数が下落したうえ、米長期金利も低下したことで三指数は拡大した。米国株は史上最高値近辺に推移しているうえ、米長期金利も1.80%台で推移していることから、やや割高感を感じるようになってきた。米長期金利がもう一段上昇すると、一気に米国株に割高感が出てくるので、今後の米長期金利の動向には注意が必要となる。
※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。
※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。
★12月3日以降の東京金60分足では、5,090円前後で底這いの展開となっている。今週は重要イベントを控えていることから、イベント結果を見極めたとの雰囲気が強く全般様子見ムードとなっている。東京金が失速したことで24時間SMA(緑線)とかい離幅があったが、値動きが横ばいとなったことで24時間SMAが追いついてきた。現在はレジスタンスとし意識されているが、上抜け出来るようなら短期的な戻り基調になりやすい。
NY金先物市場は1463.00-1469.80ドルのレンジ相場となった。米連邦公開市場委員会(FOMC)や欧州中央銀行(ECB)定例理事会、英総選挙や米国の対中追加関税の発動などを控えていることで、様子見ムードが強かった。ただ、米主要3指数が揃って反落となった流れから、リスク回避目的の資金の一角は金先物に向かった。
価格帯別出来高では、5,090円前後でもみ合いながらも出来高が膨らん出来ていることから、押し目買いが続いていることを示している。金価格が失速したことから、上値で出来高が少ないため、値動きが上下に振れやすい。
MACD(パラメータ:12、26、9)は、ゼロラインの下方から緩やかに戻り基調となっている。一方で、ストキャスティクス・スロー(パラメータ:14、3、3、20、80)は、%DがSlow%Dを下抜け両線とも下向きとなっていることから、下落基調が続いている。横ばいもみ合いとなっていることから、MACDはダマシが出やすいためストキャスティクスの%Dが上向きになるまでは下落基調が続く可能性もある。
東京金の日足では、徐々に上値を切り下げ100日SMAを下抜けしていることから、下押しバイアスが強いので買い方は注意が必要となる。上値では、5日SMAの5,128円、10日SMAの5,125円、25日SMAの5,126円、100日SMAの5,128円が目先のレジスタンスとして意識される。NY金も重要イベントを控え様子見ムードが強く一旦方向感を欠く展開となっている。為替市場でも、ドル/円は108円台半ばでのもみ合いが続いており、イベント待ちの様子見ムードが強くなっている。
東京の日足では、重要イベントをにらみながらの展開が予想される。上にも下にも振れやすいので、注意が必要となる。ただ、東京金の場合は上値に各SMAが位置しており、レジスタンスとして意識されやすく上値の重石となりやすい。
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