★12月13日以降の東京金60分足では、高値圏でもみ合い相場となっている。一旦雲の下限を下抜けしたものの、120時間SMA(赤線)がサポートラインとなり雲のネジレ近辺で反転に転じた。雲の上限を上抜けしてきたことで、戻り基調が継続している。ただ、先々雲の厚みが薄くなることから、抵抗体としての機能は鈍化する。
NY金先物市場は1477.10-1485.80ドルのレンジ相場となった。本日発表された米経済指標は総じて弱く、結果を受けて金先物は買いが先行した。英・EU離脱の移行期間の短さから、結局は『無秩序な離脱』になるではないかという懸念の高まりも、安全資産の金の下値を支えた。
価格帯別出来高では、もみ合いながら5,190円前後で出来高が膨らんできている。一旦上値が重くなると、買い方からの利食い売りが入りやすく上値を抑える展開となっている。
MACD(パラメータ:12、9、26)は、一旦ゼロラインを下抜けしたものの再びシグナルを上抜けゼロラインに向かって上昇してきている。また、ストキャスティクス・スロー(パラメータ:14、5、3、20、80)は、%DがSlow%Dを上抜け両線とも上向きとなっていることで、戻り基調が継続している。
東京金の日足では、5日SMAの5,191円がサポートラインとして意識されている。ただ、下抜けしても75日SMAの5,168円も下値目処として意識される。5,200円を目前に足踏みとなっている。NY金先物市場も1,400ドル後半でもみ合い相場が続いている。米国株高やドル高からリスク選好の動きになっている反面、米中貿易摩擦不安や英国のEU離脱への先行き不透明感などから、金の買い材料も残っていることで、急落のような動きにはなりにくい。外国為替市場は、弱い米経済指標を受けドル売りがやや優勢となり、109円台前半で底堅い展開となっている。
本日の注目点は、5日SMAを再び上回るのか、それとも下抜けするのかが焦点となる。
★欧州市場朝方の取引では、黒田日銀総裁が記者会見で『マイナス金利の深堀りは必要になればあり得る』などと述べたが、新味に欠ける内容だったこともあり反応薄となった。なお、欧州株は高安まちまちで取引を開始した。米長期金利が続伸となったことにドルが下支えされ底堅く推移した。欧州株が伸び悩み、米長期金利の上昇も一服する中、ドルが小幅軟化した。109円後半で上値の重さが再確認されるとじり安となったが、方向感は出ずに動意に欠ける地合いが継続した。
12月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数や7-9月期米経常収支、前週分の米新規失業保険申請件数が軒並み予想より弱い内容となったことが重石となりドル売りが優勢となった。その後も、米長期金利が低下に転じたことも相場の重石となった。一時1.89%台へ低下した米長期金利を眺めながら109.15円近辺まで下落し日通し安値を更新した。米国株が史上最高値を更新したこともあって引けにかけては下げ幅を縮小した。
★欧米主要経済指標
・英・11月小売売上高(自動車燃料含む):前月比-0.6%(予想:+0.2%、10月:0.0%←-0.1%)
・米・先週分新規失業保険申請件数:23.4万件(予想:22.5万件、前回:25.2万件)
・米・失業保険継続受給者数:172.2万人(予想:167.6万人、前回:167.1万人←166.7万人)
・米・12月フィラデルフィア連銀製造業景況指数:0.3(予想:8.0、11月:10.4)
・米・7-9月期経常収支:-1241億ドル(予想:-1220億ドル、4-6月期:-1252億ドル←-1282億ドル)
・米・11月中古住宅販売件数:535万戸(予想:544万戸、10月:544万戸←546万戸)
・米・11月景気先行指数:前月比0%(予想:+0.1%、10月:-0.2%←-0.1%)
★欧米市場のイベント
・ドル/円相場は109.15-59円のレンジ相場
・英国のEU離脱で『合意なき離脱』と似たような事態に陥るとの懸念
・軒並み弱い結果となった米経済指標でドル売り優勢
・トランプ大統領への弾劾訴追決議案の可決でも相場の反応は軽微
・米10年債利回り低下がドルの重石
・VIX指数は12.58から12.50へ低下
★日経225の日足では、5日SMA(赤線)の23,968円を下抜けした。ただ、5日SMAは上向きを維持していることから、早々に上抜けするようなら上昇トレンドは継続する。しかし、5日SMAが下向きになるようなら、10日SMA(黄線)の23,685円や25日SMA(青線)23,453円が下値目処として意識される。12月4日には25日SMAを下抜けしたものの、翌日には25日SMAを回復出来たことから、上昇基調が継続した。
ストキャスティクス・スロー(パラメータ:14、5、3、20、80)は、%D:89.66、Slow%D:88.70と買われ過ぎ過熱感が出てきている。明日も下落するようなら、%DとSlow%Dがデッドクロスする可能性があり、下押しバイアスが強まりやすい。
まとめると、相場に過熱感が出てきている中、5日SMAを下抜けしたことで調整下落の兆しが出てきている。そのため、投資判断は『様子見』としたい。下落基調となった場合は、10日SMAと25日SMAがサポートラインとして意識される。特に25日SMAは重要なラインとなっている。一方で、直ぐに5日SMAを回復出来るようなら、再び高値追いの動きに反転しやすい。
明日の相場動向が重要なポイントになる。
★東京金のボリンジャーバンド(パラメータ:21、±1σ、±2σ、±3σ)では、バンド幅が縮小するスクイーズからバンド幅が拡大するエクスパンションとなっている。しかし、スクイーズの期間が短い分エクスパンションも地味なものとなっている。
長い期間ゆっくりスクイーズしてからバンド幅が拡張するエクスパンションすると非常に大きな動きになりやすい。
一目均衡表の雲の上限を上抜けしたことで、もう一段の上昇基調となっても不思議ではないが、上値の重い展開が続いている。
ストキャスティクス・スロー(パラメータ:14、5、3、20、80)は、%D:91.49、Slow%D:85.46と買われ過ぎ過熱感が出ていることも上値を重くしてる可能性がある。ただ、明確な上昇トレンドとなると、高水準に張り付く動きとなり売りシグナルを出しながら上昇する展開となりやすい。
±3σのバンドが拡張していることから、上値が重くなっているが上昇基調が続いていることを示している。マイナス3σが横ばいから内側に入ってくるようなら、上昇の勢いが鈍化を示しておりトレンドの消滅の兆しとなる。そして、プラス3σも横ばいから内側に入ってくるとトレンドの展開を示す。
★NY株式市場では、三指数は上昇・下落のまちまちとなったが、米長期金利が大幅に上昇したことで、イールドスプレッドは三指数ともに前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。三指数ともに高値圏で推移している一方で、米長期金利も1.90%台まで上昇してきたことで過熱感が出始めてきた。米長期金利の上昇が進むようなら、早々にNY株式に割高感が強まる。そのため、今後米長期金利が低下するのか、上昇するのか重要なポイントとなる。
NYダウは上昇した。5日SMAの28,202ドルがサポートラインとして意識され上昇基調が継続している。また、ストキャスティクス・スロー(パラメータ:14、5、3、20、80)では、%DがSlow%Dを上抜け両線とも上向きとなっているが、過熱感が出てきている。今後も長期金利の動向次第で米国株の割高・割安感が意識されるようになる。NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。3指数ともにこの割高の目安までスプレッドが縮小してきている。割高になると米国株を売って、安全資産である債券などに資金がシフトされやすくなり、米国株の下落調整しやすい地合いとなる。一方で過剰に売り込まれるようなら、米長期金利の低下にともなって一気に割安感が出る。
★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。
そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。
○米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲4.170%
・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲3.069%、19/4/25-▲3.048%
(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/6/3-▲4.038%、
19/8/5-▲4.102%
(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)
・12月17日:▲3.186%⇒12月18日予想▲3.144%
12月18日のNYダウは小幅下落した一方で、米長期金利も大幅上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲4.170%から▲1.026%と平均値よりかい離していることで割高になっている。18年12月3日の天井▲3.069%まで▲0.075%に接近してきた。19年4月25日の天井3.048%まで▲0.096%に接近してきた。
NYダウがわずかに下落したことで株式益利回りは低下した。また、米長期金利が大幅上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小した。米国債券に対してNYダウが前日比で割高となった。前日比ではNYダウを買うよりも米国債券を買う方が良いことになる。米中貿易合意が引き続き好感されて買いが入ったものの、そのあとは米下院で可決が見込まれる『トランプ米大統領を弾劾訴追する決議案』の審議を眺めながら様子見姿勢が強まった。但し下院で可決されても、共和党が多数を占める上院を通過する可能性は極めて低く、影響は限定的との見方が多い。引けにかけては利食い売りなどがやや優勢となり下げに転じた。
○米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲3.512%
・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲2.731%、19/4/25-▲2.966%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/6/3-▲3.881%、
19/8/5-▲4.002%、19/8月15日-4.179%
・12月17日:▲3.158%⇒12月18日予想▲3.113%
S&P500が小幅下落した一方で、米長期金利が大幅に上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲3.512%から▲0.399%とかい離していることで割高になっている。また、18年12月3日の天井となった▲2.731%まで▲0.382%に接近した。19年4月25日の天井となった2.966%まで▲0.147%に接近した。
○米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲2.041%
・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、19/4/25-1.468%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/6/3-▲2.328%、
19/8/5-▲2.383%、 19/8/15-▲2.498%
・12月17日:▲1.642%⇒12月18日予想▲1.594%
NASDAQが小幅上昇したうえ、米長期金利が大幅上昇したことでイールドスプレッドが前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲2.041%から▲0.447%と平均値より縮小した。また、18年12月3日の天井となった▲1.198%まで▲0.396%に接近した。19年4月25日の天井となった▲1.468%まで▲0.126%に接近した。
NASDAQが上昇したうえ、米長期金利も大幅に上昇したことでイールドスプレッドは1.60%台割れまで低下した。NASDAQはハイテク関連銘柄が多く米中貿易摩擦の影響が大きく、三指数の中で上下に振れるボラティリティが最も高くなっている。特に米中通商協議の行方に左右されやすく、報道に振れやすい地合いとなっている。
三指数のイールドスプレッドは、指数が上昇・下落のまちまちだったが、米長期金利が大幅上昇したことで三指数ともに縮小した。米国株は史上最高値近辺に推移しているうえ、米長期金利も1.90%台に上昇してきたことで、やや割高感を感じるようになってきた。米長期金利がもう一段上昇すると、一気に米国株に割高感が出てくるので、今後の米長期金利の動向には注意が必要となる。
※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。
※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。
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