★12月2日以降の東京金60分足では、良好な米雇用統計を受けて下落基調が強まった。ただ、5,100円を下抜けると下落の勢いが鈍化傾向となり、引けにかけて小幅な値動きとなった。休み明けお昼前後に一目均衡表の雲のネジレがあり、トレンドの反転や加速など相場の節目になりやすいので注意が必要となる。
NY金先物市場は1463.30-1485.30のレンジ相場となった。強い米雇用統計が、リスク回避の金買い後退の要因になった。ドルが対円では軟調ながら対ユーロを中心に総じて買われたことで、ドル建て金相場の割高感も意識され、価格を押し下げる要因となった。また、米長期金利の上昇も売り材料となった。
価格帯別出来高では、出来高の多い価格帯から下落基調が強まったことから急落的な動きとなった。買い方からの手仕舞い売りを交えて失速したものの、5,100円割れでは短時間に出来高も増えたことから、押し目買いが入ってきている。下値で出来高が膨らむかが焦点となる。
MACD(パラメータ:12、26、9)は、シグナルとかい離幅を広げながら下落基調となっており、下押しバイアスが強いことを示している。ただ、ストキャスティクス・スロー(パラメータ:14、3、3、20、80)では、%D:2.26、Slow%D:4.43と短期的に売られ過ぎ過熱感が出ている。そのため、MACDが横ばいから上向きになると、戻り基調となりやすい。
東京金の日足では、11月12日以降100日SMAの5,126円がサポートラインとして意識されていたが、下抜けする展開となっている。早々に回復出来るかが焦点となる。下値では、200日SMAの4,889円や260日SMAの4.780円が位置している。NY金もリスク選好の動きが強まり大幅下落となった。しかし、今週は米連邦公開市場委員会(FOMC)や欧州中央銀行(ECB)定例理事会、英総選挙や米国の対中制裁関税第4弾の発動など、重要イベントが集中しており結果によっては、リスク回避とリスク選好が交錯する可能性もある。外国為替市場では、リスク選好の中でポジション調整目的に円買いが入った。今週はイベントが多いことから、為替市場のボラティリティも高まりやすい。
注目点は、早々に100日SMAか回復できるのか、それとも明確に100日SMAを下抜け下落基調が継続するかにある。60分足ではお昼前後に雲のネジレがあるので、相場の節目となり大きな動きが出てくるかも注目される。
★欧州市場朝方の取引では、ドル安の流れが持続し、主要6通貨に対するドル指数が小幅続落し108.60円台で推移した。なお、欧州株は堅調に取引を開始した。米国の11月雇用統計の発表待ちムードが広がり、日経平均株価の上昇や『中国が大豆など輸入関税の一部解除の報道にも円売りは限定的』となった。欧州株は堅調に推移したものの、米長期金利が低下したことで円が小幅に強含みとなった。米雇用統計発表を控えて、積極的な売買は手控えられた。
米雇用統計関連指標の大幅改善を受けて、初期反応としてはドル買いが優勢となったが、前日の高値109.00円手前でドル買いの勢いは後退した。クドロー米国経済会議委員長がCNBCとのインタビューで『米国と中国の貿易合意は近い』としながらも『トランプ大統領は中国との貿易合意に署名する用意はできていない』との見解を示したことも相場の重石となった。強い米雇用統計で108.92円まで上振れた値幅はほぼ解消した。NYダウが350ドル高付近の高値圏を維持しているのとは対照的な動きとなった。
★欧米主要経済指標
・米・11月失業率:3.5%(予想:3.6%、10月:3.6%)・米・11月非農業部門雇用者数:+26.6万人(予想:+18万人、10月:+15.6万人←+12.8万人)・米・11月平均時給:前年比+3.1%(予想:+3.0%、10月:+3.0%)
・米・12月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値:99.2(予想:97.0、11月:96.8)
・米・12月ミシガン大学1年期待インフレ率速報値:2.4%(11月:2.5%)
・米・12月ミシガン大学5年期待インフレ率速報値:2.3%(11月:2.5%)
・米・10月消費者信用残高:+189.08億ドル(予想:+160.00億ドル、9月:+95.79億ドル←+95.13億ドル)
★欧米市場のポイント
・ドル/円は108.36-92円のレンジ相場
・来週の重要イベントを控えてポジション調整目的の円買い優勢
・好調な米雇用統計を受けても109.00円の上値の重さがを意識
・米ドルインデックスは一時97.84まで上昇
・米中貿易協議の先行き不透明感を嫌気
・12月ミシガン大学消費者信頼感指数での期待インフレ率低下を嫌気
・VIX指数は14.52から13.62へ低下
★東京ゴムRSS3の日足では、5日SMA(赤線)と10日SMA(黄線)がサポートラインとなり、絵に描いたような上昇トレンドが継続している。
これだけ綺麗な上昇トレンドも珍しい。
ただ、よく見ると各SMAを上抜けする際には一旦上値が重くなっていることが分かる。
ストキャスティクス・スロー(パラメータ:14、5、3、20、80)は、モメンタム系オシレータなので、明確なトレンドが発生すると、高水準に張り付き売りシグナルが連続する。そのため、オシレータに従って売買すると大きな損失につながる。
これだけ明確なトレンドが発生しているので、反転の際も明確な反転シグナルが出る可能性がある。まずは5日SMAと10日SMAを下抜けするような展開になったら、要注意となる。ただ、トレンドは上げ・下げ・上げを繰り返すことから、最初の下げに乗ると押し目買いに戻され、短期的な調整下落となることもあるので注意が必要となる。
トレンド発生時には練行足などの非時系列チャートで確認すると、トレンドの反転や継続の判定をすると分かりやすい。
★日米金利差だけでドル/円市場が変動するわけではないが、金利差の拡大では円安になりやすく、金利差の縮小では円高になりやすい。
ただ、直近の日米金利差は、日米2年債金利差(赤線)は1.734%、日米10年債金利差(青線)は1.854%となっている。
一方、日米金利差は縮小傾向にあるものの、ドル/円相場は緩やかな円安基調となっている。ドル/円相場は、日米金利差からすると6月~8月のレベルである2%台前半で推移している。
そのため、市場ではドル/円相場は日米金利差との相関が外れたと言われることが多くなった。しかし、よく見るとレベルはかい離しているものの、日米金利差の伸縮でドル/円相場も動いていることが分かる。
では何故日米金利差との相関が外れているかであるが、昨年も年末に向けてドル/円相場は高止まりした。12月は欧米企業の決算ということもあり、季節要因でドル需要が世界的に高まりやすい。そのため、今年も年越しのドル手当てが終了するまでは強含み推移しやすい。ただ、12月中旬以降ドルの手当てが終了しドル需要が弱まわってくると、日米金利差が縮小していることからドルが失速する可能性もあるので注意が必要となる。
★NY株式市場では、三指数とも大幅上昇した一方で、米長期金利も上昇したことで、イールドスプレッドは三指数ともに大幅縮小した。三指数とも割高なほどは買われているわけではないものの、過去のイールドスプレッドと比較して割安感は払しょくされている。3指数ともに高水準で推移しているものの、米長期金利が以前に比べて低下していることから、過熱感は抑えられている。また、米長期金利は1.8%台に再び上昇しており、今後米長期金利が低下するのか、上昇するのか重要なポイントとなる。
NYダウは、連日25日SMAの27,744ドルがレジスタンスして意識され上値が抑えられている。また、ストキャスティクス・スロー(パラメータ:14、5、3、20、80)では、高値圏で%DがSlow%Dを下抜けして両線ともかい離幅を拡大して下向きとなっており下押しバイアスが強い。テクニカル的には、下落基調が継続しているので注意が必要となる。今後も長期金利の動向次第で米国株の割高・割安感が意識されるようになる。NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。割高になると米国株を売って、安全資産である債券などに資金がシフトされやすくなり、米国株の下落調整しやすい地合いとなる。一方で過剰に売り込まれるようなら、米長期金利の低下にともなって一気に割安感が出る。
★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。
そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。
○米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲4.293%
・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲3.069%、19/4/25-▲3.048%
(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/6/3-▲4.038%、
19/8/5-▲4.102%
(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)
・12月4日:▲3.431%⇒12月5日予想▲3.390%
12月5日のNYダウは反発した一方で、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲4.293%から▲0.903%と平均値よりかい離していることで割高になっている。18年12月3日の天井▲3.069%まで▲0.321%に接近してきた。19年4月25日の天井3.048%まで▲0.342%に接近してきた。
NYダウが上昇したことで株式益利回りは低下した。さらに、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で大幅に縮小した。米国債券に対してNYダウが前日比で割高となった。前日比ではNYダウを買うよりも米国債を買う方が良いことになる。高く始まったあとマイナス圏に沈む場面もあったが、終盤持ち直した。市場では『米中貿易協議の行方を見極めたい投資家が多く、相場は方向感が出なかった』との指摘があった。15日に迫る対中制裁関税『第4弾』の発動を前に、米中が部分合意に至るかについては見方が分かれている。耐久消費財・アパレルやテクノロジー・ハード・機器が上昇する一方で小売やエネルギーが下落した。
○米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲3.621%
・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲2.731%、19/4/25-▲2.966%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/6/3-▲3.881%、
19/8/5-▲4.002%、19/8月15日-4.179%
・12月4日:▲3.374%⇒12月5日予想▲3.331%
S&P500が上昇した一方で、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲3.621%から▲0.290%とかい離していることで割高になっている。また、18年12月3日の天井となった▲2.731%まで▲0.600%に接近した。19年4月25日の天井となった2.966%まで▲0.365%に接近した。
○米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲2.122%
・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、19/4/25-1.468%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/6/3-▲2.328%、
19/8/5-▲2.383%、 19/8/15-▲2.498%
・12月4日:▲1.805%⇒12月5日予想▲1.769%
NASDAQが上昇した一方で、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドが前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲2.122%から▲0.353%と平均値より縮小した。また、18年12月3日の天井となった▲1.198%まで▲0.571%に接近した。19年4月25日の天井となった▲1.468%まで▲0.301%に接近した。
NASDAQが上昇一方で、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは1.80%台割れまで縮小した。NASDAQはハイテク関連銘柄が多く米中貿易摩擦の影響が大きく、三指数の中で上下に振れるボラティリティが最も高くなっている。特に米中通商協議の行方に左右されやすく、報道に振れやすい地合いとなっている。
三指数のイールドスプレッドは、指数が上昇したうえ、米長期金利も上昇したことで三指数は縮小した。米国株は史上最高値近辺に推移しているものの、米長期金利が低位にあることから、割高感を感じるまでは買われているわけではない。だだし、全般米国株への割安感は薄れてきている。割高・割安感がないということは見方を変えれば、上振れ・下振れしやすいとも言える。また、米長期金利が上昇すると、一気に米国株に割高感が出てくるので、今後の米長期金利の動向には注意が必要となる。
※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。
※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。
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