★欧州市場朝方の取引では、ドル/円の戻りは依然鈍く、108.53円近辺でドル軟調の流れが持続した。なお、欧州主要株価指数は小幅反落して取引を開始した。欧州株やNYダウ先物の弱含みでリスク回避的な円買いが進み、クロス円がドル/円を下押しした。また、米長期金利の低下が止まらず、ドル売りを誘発した。一旦押し目買いに下支えられると、米長期金利が下げ渋るに連れ、108.50円台に小幅持ち直した。しかし、欧州株がマイナス推移となったことによるリスク回避傾向の円買いや、米長期金利1.814%前後へ低下したことによるドル売りが重石となった。
米経済指標の発表などもなく、手掛かり材料に欠けたことから相場は方向感が出なかった。その後、関係筋によると、米国、メキシコ・カナダ協定(usmca)がようやく、署名成立が近いとの報道が好感され、ドル買いがやや優勢となった。好調な米3年債入札の結果を受けドルは一旦伸び悩んだ。手掛かり材料が乏しい中、108.60円近辺でもみ合う展開となった。
★欧米主要経済指標
特になし
★欧米市場のポイント
・ドル/円は108.39-68円のレンジ相場
・英総選挙で保守党の勝利で合意なきり立ち回避の思惑からポンド買い
・欧州株の下落を背景にリスク回避目的の円買い優勢
・重要イベント控えて相場の方向感出ず
・米3年債の好調な入札結果を受けドル/円伸び悩む
・VIX指数は13.62から15.86へ上昇
★2019年1月2日から日経225(赤破線)、DAX指数(独の株価指数:黒線)、CAC40指数(仏の株価指数:青線)を比較すると同じような動きをしている。相関係数では、日経225とDAX指数は0.8513、日経225とCAC40は0.8311とかなり高い相関係数となっている。ちなみに日経225とNYダウは0.8096と、2指数から比較するとやや相関係数は低くなっている。
要するに前日にDAX指数とCAC40が下落しているようなら日経225も下落しやすく、逆の場合は日経225も上昇しやすいといことになる。
また、割高を売って・割安を買うサヤ取りをするのなら、これらの3指数を使って戦略を立てるのも良さそうだ。
★トルコリラ/円のボリンジャーバンド(パラメータ:21、±1σ、±2σ、±3σ)はバンド幅が縮小するスクイーズから下放れの様相となっている。しかし、一目均衡表の雲の上限がサポートラインとして意識され下げ渋っている。
一方で、ストキャスティクス・スロー(パラメータ:14、5、3、20、80)は、%DとSlow%Dが上値を切り下げ両線とも下向きとなっていることから下押しバイアスが強いことを示している。
現在は雲の上限がサポートとして意識されていることから、エクスパンションするか微妙なところである。ただ、現在は下放れかそれともレンジ内での動きになるかであり、買い方は警戒しておく必要がありそうだ。先行き雲の厚みが薄くなることから、抵抗体としての機能が低下しやすい。
★東京金の日足では、100日SMA(黒線)の5,126円がサポートとして意識されていたが、先週末には下抜けした。また、5日SMA(赤線)の5,133円、10日SMA(黄線)の5,125円、25日SMA(青線)の5,132円をも一気に下抜けしたことで、一転してレジスタンスとして意識されやすい。
ストキャスティクス・スロー(パラメータ:14、5、3、20、80)は、%DがSlow%Dを下抜け、両線ともかい離幅を広げながら下向きとなっており、下押しバイアスが強いことを示している。
下値では、10月1-2日の安値5,071-73円や11月12-13日の安値5,067-71円近辺で下げ止まるかが注目される。5,067円ラインを下抜けすると、200日SMA(紫線)の4,889円が視界に入ってくる。
NY金先物市場も上値の重い展開となっているが、投機筋の金先物市場CFTC建玉では、11月26日付け買い持ち高271,634枚から12月3日付け買い持ち高290,705枚と前週から+19,071枚増となっていることで、押し目買いが入っていることを示している。
★NY株式市場では、三指数とも大幅上昇したうえ、米長期金利も上昇したことで、イールドスプレッドは三指数ともに大幅縮小した。三指数ともやや割高感が出始めている。過3指数ともに高水準で推移していたものの、米長期金利が以前に比べて低下していたことで過熱感が抑えられていた。しかし、このところの米長期金利上昇によって、過熱感が出始めてきている。また、米長期金利は1.8%台に再び上昇しており、今後米長期金利が低下するのか、上昇するのか重要なポイントとなる。
NYダウは、25日SMAの27,783ドルがレジスタンスして意識され上値が抑えられていたが、一気に上抜けた。また、5日SMAの27,726ドルや10日SMAの27,891ドルも上抜けたことで、再び上昇基調を回復した。ストキャスティクス・スロー(パラメータ:14、5、3、20、80)では、%Dがやや上向きとなってきており、Slow%Dを上抜け寸前となっている。そのため、テクニカル的には、下落基調から、一転して上昇基調へと転換した。今後も長期金利の動向次第で米国株の割高・割安感が意識されるようになる。NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。割高になると米国株を売って、安全資産である債券などに資金がシフトされやすくなり、米国株の下落調整しやすい地合いとなる。一方で過剰に売り込まれるようなら、米長期金利の低下にともなって一気に割安感が出る。
★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。
そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。
○米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲4.269%
・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲3.069%、19/4/25-▲3.048%
(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/6/3-▲4.038%、
19/8/5-▲4.102%
(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)
・12月5日:▲3.382%⇒12月6日予想▲3.288%
12月6日のNYダウは上昇した一方で、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲4.269%から▲0.981%と平均値よりかい離していることで割高になっている。18年12月3日の天井▲3.069%まで▲0.219%に接近してきた。19年4月25日の天井3.048%まで▲0.240%に接近してきた。
NYダウが上昇したことで株式益利回りは低下した。さらに、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で大幅に縮小した。米国債券に対してNYダウが前日比で割高となった。前日比ではNYダウを買うよりも米国債を買う方が良いことになる。中国政府が『米国産の大豆や豚肉について追加関税の免除を継続する』と発表したことを受け、米中協議の進展期待が高まった。11月米雇用統計や12月米消費者態度指数(ミシガン大調べ)速報値が良好な内容となったことも投資家心理の改善につながり、一時350ドル超上げた。長期金利の上昇を受けて金融銘柄に幅広く買いが広がった。クドロー国家経済会議委員長が、米中貿易交渉について改めて第一段階の合意は間近との認識を示したことも好感され、終日堅調推移となった。
○米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲3.602%
・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲2.731%、19/4/25-▲2.966%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/6/3-▲3.881%、
19/8/5-▲4.002%、19/8月15日-4.179%
・12月5日:▲3.337%⇒12月6日予想▲3.256%
S&P500が上昇した一方で、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲3.602%から▲0.346%とかい離していることで割高になっている。また、18年12月3日の天井となった▲2.731%まで▲0.525%に接近した。19年4月25日の天井となった2.966%まで▲0.290%に接近した。
○米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲2.109%
・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、19/4/25-1.468%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/6/3-▲2.328%、
19/8/5-▲2.383%、 19/8/15-▲2.498%
・12月5日:▲1.779%⇒12月6日予想▲1.711%
NASDAQが上昇した一方で、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドが前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲2.109%から▲0.398%と平均値より縮小した。また、18年12月3日の天井となった▲1.198%まで▲0.513%に接近した。19年4月25日の天井となった▲1.468%まで▲0.243%に接近した。
NASDAQが上昇一方で、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは1.70%台前半まで縮小してきている。NASDAQはハイテク関連銘柄が多く米中貿易摩擦の影響が大きく、三指数の中で上下に振れるボラティリティが最も高くなっている。特に米中通商協議の行方に左右されやすく、報道に振れやすい地合いとなっている。
三指数のイールドスプレッドは、指数が上昇したうえ、米長期金利も上昇したことで三指数は連日縮小した。米国株は史上最高値近辺に推移しているうえ、米長期金利も上昇してきたことで、やや割高感を感じるようになってきた。米長期金利がもう一段上昇すると、一気に米国株に割高感が出てくるので、今後の米長期金利の動向には注意が必要となる。
※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。
※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。
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