★欧州市場朝方の取引では、先週に複数のビックイベントをこなし、材料出尽くしで欧州タイムに入っても動意は見られず、109.40円前後でのこう着相場が継続した。ドイツの製造業PMIが低調な内容となり、ユーロ圏経済の回復の遅れを嫌気したユーロ売りに連れ、ドル/円も109.50円近辺にドルが上値を伸ばす展開となった。なお、欧州株は全面高で推移した。英国の製造業とサービス業PMIはいずれも50割れで一段と追い込み結果となったことでリスク回避の円買いでじり安となった。NY市場を前に調整模索の様相となり109.40円前後でこう着地合いとなった。
NYダウは堅調に推移し一時180ドル超上昇したものの、相場の反応は限定的となった。その後、NYダウが一時202ドル高、米長期金利は1.88%へ上昇したことでドル買いが優勢となった。しかし、米長期金利は高止まりしたが、新規材料は見当たらず、ドル買いも盛り上がらず徐々に上値が重くなった。
★欧米主要経済指標
・独・12月製造業PMI速報値:43.4(予想:44.6、11月:44.1)
・独・12月サービス業PMI速報値:52.0(予想:52.0、11月:51.7)
・独・12月総合PMI速報値:49.4(予想:49.9、11月:49.4)
・ユーロ圏・12月製造業PMI速報値:45.9(予想:47.3、11月:46.9)
・ユーロ圏・12月サービス業PMI速報値:52.4(予想:52.0、11月:51.9)
・ユーロ圏・12月総合PMI速報値:50.6(予想:50.7、11月:50.6)
・英・12月製造業PMI速報値:47.4(予想:49.2、11月:48.9)
・英・12月サービス業PMI速報値:49.0(予想:49.5、11月:49.3)
・英・12月総合PMI速報値:48.5(予想:49.5、11月:49.3)
・米・12月NY連銀製造業景気指数:3.5(予想:4.0、11月:2.9)
・米・12月製造業PMI速報値:52.5(予想:52.6、11月:52.6)
・米・12月サービス業PMI速報値:52.2(予想:52.0、11月:51.6)
・米・12月総合PMI速報値:52.2(11月:52.0)
・米・12月NAHB住宅市場指数:76(予想:70、11月:71←70)
★欧米市場のポイント
・ドル/円は109.35-67円のレンジ相場
・12月のユーロ圏と主要国の製造業PMIが軒並み予想下回る
・米国とトルコの関係悪化懸念からトルコリラ売り優勢
・米中貿易協議の第1段階合意を好感したドル買い優勢
・米長期金利は一時1.88%台まで上昇
・VIX指数は12.63から12.14へ低下
★トルコリラ/円の日足で、50日SMA(赤線)と200日SMA(青線)で分析する。この2本のSMAを使った取引方法は、50日SMAと200日SAMが大きくかい離している時にロウソク足が50日SAMを上抜け(下抜け)したら、買い(売り)で順張りする方法である。その後、200日SMA近辺まで価格が上昇(下落)したら利益確定の手仕舞い売買する方法である。
直近では50日SMAと200日SMAのかい離幅が縮小している中、200日SMAが強力なレジスタンスとなり上値を抑えている。同様のケースでは2月に50日SMAと200日SMAのかい離幅が縮小した後、200日SMAを明確に上抜け出来ず下落基調となった。
現在も200日SMAが強力なレジスタンスとなっていることで、上値の重さが意識されやさすい。2017年10月9日以降200日SAMの下に潜り込んでいることから、200日SMAを上抜け出来るかがトルコリラ/円の最大の焦点となる。
★東京原油の日足では、10月4日の安値34,200円を起点として11月21日の安値37,280円を結んだトレンドライン(S1)を上回っていることから、上昇基調は継続している。ただ、10月29日高値39,110円を起点として11月28日高値40,410円を結んだトレンドライン(R1)に上値を抑えられている。
各単純移動平均線(SMA)では、低下傾向にある200日SMA(紫線)と260日SMA(茶線)がレジスタンスとして意識され上値を抑えている。ただ、5日SMA(赤線)と10日SMA(黄線)は上向きとなっており、短期的には上昇基調が継続している。
ストキャスティクス・スロー(パラメータ:14、5、3、20、80)は、%DがSlow%Dを上抜けしているものの、やや過熱感があることと%Dが横ばいとなってきたことで、上昇基調が鈍化してきている。
まとめると、上昇基調は継続しているものの、レジスタンスに上値を抑えられ上昇の勢いも鈍化してきていることから、投資判断は『様子見』となる。200日SMAと260日SMAやR1を上抜け出来ると上昇の勢いが戻る可能性がある。一方で、上値の重さに5日SMAや10日SMAを下抜けしてくると再びS1までの下押しが意識される。また、S1を下抜けするようなら、75日SMA(緑線)や100日SMA(黒線)が下値目処として意識される。
★NY株式市場では、三指数とも小幅上昇したものの、米長期金利が大幅低下したことで、イールドスプレッドは三指数ともに前日比で小幅に拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。三指数ともに高値圏で推移している一方で、米長期金利も以前より上昇してきたことでわずかに過熱感が出始めてきた。重要イベントを通過したことで、次の材料探しの展開となる。金利の上昇が進むようなら、NY株式に割高感が高まる。そのため、今後米長期金利が低下するのか、上昇するのか重要なポイントとなる。
NYダウは小幅上昇し、一時史上最高値を上回った。5日SMAの27,994ドル、10日SMAの27,860ドル、25日SMAの27,883ドルがサポートラインとして意識される。また、ストキャスティクス・スロー(パラメータ:14、5、3、20、80)では、%DがSlow%Dを上抜け両線とも上向きとなっているものの、%Dがやや横ばいとなってきており上昇の勢いは鈍化してきてる。今後も長期金利の動向次第で米国株の割高・割安感が意識されるようになる。NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。割高になると米国株を売って、安全資産である債券などに資金がシフトされやすくなり、米国株の下落調整しやすい地合いとなる。一方で過剰に売り込まれるようなら、米長期金利の低下にともなって一気に割安感が出る。
★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。
そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。
○米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲4.184%
・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲3.069%、19/4/25-▲3.048%
(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/6/3-▲4.038%、
19/8/5-▲4.102%
(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)
・12月12日:▲3.214%⇒12月13日予想▲3.286%
12月12日のNYダウは小幅上昇したものの、米長期金利が大幅低下したことでイールドスプレッドは前日比で小幅に拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲4.184%から▲0.898%と平均値よりかい離していることで割高になっている。18年12月3日の天井▲3.069%まで▲0.217%に接近してきた。19年4月25日の天井3.048%まで▲0.238%に接近してきた。
NYダウが小幅上昇したことで株式益利回りは低下した。しかし、米長期金利が大幅低下したことでイールドスプレッドは前日比で小幅に拡大した。米国債券に対してNYダウが前日比で割安となった。前日比では米国債券を買うよりもNYダウを買う方が良いことになる。米中が貿易交渉『第1段階』の合意に達し、15日発動予定の対中追加関税が見送られたことが好感されて一時150ドル超上昇した。ただ、トランプ米大統領はツイッターに『25%の関税は残るだろう』と投稿した。既存の制裁関税の撤廃に否定的な見解を示したことで、上値は重かった。これから始まる『第2段階』の交渉に対する不透明感もあった。目先の材料の出尽くし感もあり、その後は小幅な値動きで揉み合う展開となった。
○米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲3.520%
・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲2.731%、19/4/25-▲2.966%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/6/3-▲3.881%、
19/8/5-▲4.002%、19/8月15日-4.179%
・12月12日:▲3.172%⇒12月13日予想▲3.244%
S&P500が小幅に上昇したものの、米長期金利が大幅低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲3.520%から▲0.276%とかい離していることで割高になっている。また、18年12月3日の天井となった▲2.731%まで▲0.513%に接近した。19年4月25日の天井となった2.966%まで▲0.278%に接近した。
○米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲2.048%
・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、19/4/25-1.468%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/6/3-▲2.328%、
19/8/5-▲2.383%、 19/8/15-▲2.498%
・12月12日:▲1.658%⇒12月13日予想▲1.722%
NASDAQが小幅上昇したものの、米長期金利が大幅低下したことでイールドスプレッドが前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲2.048%から▲0.326%と平均値より縮小した。また、18年12月3日の天井となった▲1.198%まで▲0.524%に接近した。19年4月25日の天井となった▲1.468%まで▲0.254%に接近した。
NASDAQが小幅上昇したものの、米長期金利が大幅低下したことでイールドスプレッドは1.70%台前半まで戻した。NASDAQはハイテク関連銘柄が多く米中貿易摩擦の影響が大きく、三指数の中で上下に振れるボラティリティが最も高くなっている。特に米中通商協議の行方に左右されやすく、報道に振れやすい地合いとなっている。
三指数のイールドスプレッドは、指数が小幅上昇したものの、米長期金利が大幅低下したことで三指数ともに小幅に拡大した。米国株は史上最高値近辺に推移しているうえ、米長期金利も1.80%台に上昇してきたことで、やや割高感を感じるようになってきた。米長期金利がもう一段上昇すると、一気に米国株に割高感が出てくるので、今後の米長期金利の動向には注意が必要となる。
※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。
※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。
★12月6日以降の東京金60分足では、24時間SMA(緑線)に支えられ上昇基調が継続している。各移動平均線も緩やかに上昇していることからも、基調が継続していることを示している。
NY金先物市場は1465.50-1482.30ドルのレンジ相場となった。米中第1段階協議は正式に合意し、15日発動予定の対中追加関税は見送られたと発表され、売りが入る場面もあったが、米下院司法委員会がトランプ大統領弾劾訴追案を巡る採決を実施し、権力乱用と議会妨害の弾劾条項を賛成多数で可決したと伝わったことも材料視され、逃避資産の金に買いが入った。 また、この日発表された11月の米小売売上高は市場予想を下回ったことも材料視された。
価格帯別出来高では、出来高の多い価格帯を上抜けしてきたことから、もう一段上昇すると売り方からの買い戻しが入りやすくなる。高値圏まで上昇してきたことから、出来高が膨らんでくるかが焦点となる。ただ、一旦上値が重くなると、買い方からの利益確定売りが入りやすい。
MACD(パラメータ:12、26、9)は、ゼロラインの上方でほぼ横ばいになっていることから、トレンドレスの状態となっている。一方で、ストキャスティクス・スロー(パラメータ:14、3、3、20、80)は、%DがSlow%Dを上抜け両線とも上向きとなっていることから、上昇基調は継続している。
東京金の日足では、75日SMAの5,169円をわずかに上抜けしてきたことから、もう一段の上昇が期待される。明確に上抜け出来ると9月5日の高値5,304円が視界に入ってくる。NY金先物市場は、米中貿易交渉の先行き不透明感や、トランプ大統領の弾劾訴追案が米下院で可決されたことなどから買い戻しの展開となった。これらの問題は今後も継続することから、一方的な金売りにはつながりにくい。為替市場では、ドル/円は109円台後半まで円安が進行したものの、NY市場で上値が重くなり下押しする展開となった。週明けからドル売りが強くなるのか、それとも110円台へ再び円安進行するか注目される。
注目点は、75日SMAをじわりと上抜けしてきたことで、戻り基調は強まってきている。そのため、75日SMAを維持出来るかが焦点となる。
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