★NY株式市場では、三指数は上昇・下落まちまちの展開だったが、米長期金利が低下したことでイールドスプレッドは三指数ともに前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。三指数ともに高値圏で推移している中、米長期金利も1.90%前後で推移していることから過熱感が出始めてきている。そのため、いつ下落調整相場になっても不思議ではない状態になってきている。米長期金利の上昇が進むようなら、早々にNY株式に割高感が強まり下落調整しやすい。そのため、今後も米長期金利の動向が重要なポイントとなる。
NYダウは反発上昇した。5日SMAの28,558ドルがサポートラインとして意識され上昇基調が継続している。また、ストキャスティクス・スロー(パラメータ:14、5、3、20、80)では、%DとSlow%Dが重なる展開となってきており、上昇の勢いは鈍化してきている。今後も長期金利の動向次第で米国株の割高・割安感が意識されるようになる。NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。3指数ともにこの割高の目安近辺までスプレッドが縮小してきている。割高になると米国株を売って、安全資産である債券などに資金がシフトされやすくなり、米国株の下落調整しやすい地合いとなる。一方で過度に売り込まれるようなら、米長期金利の低下にともなって一気に割安感が出る。
★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。
そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。
○米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲4.121%
・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲3.069%、19/4/25-▲3.048%
(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/6/3-▲4.038%、
19/8/5-▲4.102%
(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)
・12月26日:▲3.086%⇒12月27日予想▲3.098%
12月27日のNYダウがわずかに上昇したものの、米長期金利が低下したことでイールドスプレッドは前日比でわずかに拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲4.121%から▲1.023%と平均値よりかい離していることで割高になっている。18年12月3日の天井▲3.069%まで▲0.029%に接近してきた。19年4月25日の天井3.048%まで▲0.050%に接近してきた。
NYダウがわずかに上昇したことで株式益利回りは低下した。一方で、米長期金利が低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大した。米国債券に対してNYダウが前日比で割安となった。前日比では米国債券を買うよりもNYダウを買う方が良いことになる。米中貿易協議の第1段階合意を巡り、『調印に向けて作業が順調に進んでいる』との観測が引き続き相場を支えた。『年末商戦は好調だった』との観測も買いを誘った。年末で経済指標や政治イベントも乏しく、小幅な値動きに終始する展開となった。
○米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲3.464%
・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲2.731%、19/4/25-▲2.966%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/6/3-▲3.881%、
19/8/5-▲4.002%、19/8月15日-4.179%
・12月26日:▲3.061%⇒12月27日予想▲3.081%
S&P500がわずかに上昇した一方で、米長期金利が低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲3.474%から▲0.393%とかい離していることで割高になっている。また、18年12月3日の天井となった▲2.731%まで▲0.350%に接近した。19年4月25日の天井となった2.966%まで▲0.115%に接近した。
○米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.994%
・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、19/4/25-1.468%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/6/3-▲2.328%、
19/8/5-▲2.383%、 19/8/15-▲2.498%
・12月26日:▲1.550%⇒12月27日予想▲1.574%
NASDAQがわずかに下落したうえ、米長期金利も低下したことでイールドスプレッドが前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲1.994%から▲0.420%と平均値より縮小した。また、18年12月3日の天井となった▲1.198%まで▲0.376%に接近した。19年4月25日の天井となった▲1.468%まで▲0.106%に接近した。
NASDAQはハイテク関連銘柄が多く米中貿易摩擦の影響が大きく、三指数の中で上下に振れるボラティリティが最も高くなっている。特に米中通商協議の行方に左右されやすく、報道に振れやすい地合いとなっている。米中貿易交渉の進展期待が高まると買われやすい。一方で、米中関係悪化の報道では、売られやすい展開なりやすい。
三指数のイールドスプレッドは、指数上昇・下落まちまちの動きだったが、米長期金利が低下したことで、三指数ともにわずかに拡大した。米国株は史上最高値近辺に推移しているうえ、米長期金利も1.90%前後で推移していることから、割高感を感じるようになってきた。米長期金利がもう一段上昇すると、一気に米国株に割高感が出てくるので、今後の米長期金利の動向には注意が必要となる。
※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。
※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。
★12月21日以降の東京金60分足では、24時間SMA(緑線)がサポートラインとなりもみ合い相場が続いている。各SMAも全て緩やかに上昇していることから、過熱感なく上昇基調は継続している。一目均衡表の雲も緩やかに上昇しており、高低の中心値が上昇してことを示している。24時間SMAと雲の上限がサポートラインとして継続するかが焦点となる。
NY金先物市場は1512.10-1519.90ドルのレンジ相場となった。金先物価格は連日上昇していたこともあり、利食い売りが入り一時前日比でマイナスに沈む場面もあった。しかし欧州通貨やオセアニア通貨に対してドルが弱含むと、対ドルで取引される金先物は割安感から買いが優勢となり4日連続して続伸して引けた。ただ、年末前でまとまった規模の取引は観測されなかった。
価格帯別出来高では、もみ合う地合いのなかで出来高が急速に膨らんでいることから、買い方からの利食い売りを吸収しながらもみ合い相場が続いている。売りが一巡すると再び上昇基調になりやすい。
MACD(パラメータ:12、26、9)は、ゼロラインの上方からMACDがシグナルを下抜け緩やかに低下基調にある。また、ストキャスティクス・スロー(パラメータ:14、3、3、20、80)も上方で%DがSlow%Dを下抜け、両線とも下向きとなっている。そのため、短期的には一旦下押しバイアスがかかっている。
東京金の日足では、5日MSAの5,288円の上方に位置しており、5日SMAと10日SMAの両線が上向きとなっていることから、短期的な上昇基調は継続している。60分足では、下押しバイアスがかかっているが、日足では上昇基調に変化がない。そのため、60分足で下げ止まると再び上昇基調に戻る可能性が高い。押し目買い狙いとなりそうだ。NY金先物市場も、長期金利の低下や米ドルインデックス指数が低下していることから、底堅い展開となっている。為替市場は109円台半ばでもみ合う展開が継続している。昨年は年末に向かって円高基調となったが、今年は底堅い展開が続いている。
年内取引最終日となる。本日の注目点は5日SMAを維持して終了出来るかにある。明確な上昇トレンドとなっていることから、オシレーターに過熱感があっても高水準で張り付く可能性が高いので注意が必要となる。
★クリスマス休暇明けの欧州市場朝方の取引では、ドル売り・欧州通貨買いに主導され、ドルが全面的に軟調に取引され109.47円前後でドルが伸び悩んだ。欧州市場序盤の取引では、ドルインデックス指数が97.27レベルに低下幅を広げたことで、小幅な値動きながらドルの上値の重い展開が継続した。なお、欧州株は概ね堅調に推移した。欧州市場中盤では、リスク選好によるドル安・円安の流れが進展した。ドル/円の下値は限定的だった。円売り・ドル売りが優勢となるなか、依然として109円台半ばで方向感が出なかった。
欧州通貨でドル売りが進んだ影響を受けて一時下押しする場面があった。ただ、クリスマス休暇を取っている投資家が多く商いは低調だった。ロンドンフィックスでドル買いが優勢となり、一時109.59円付近までドル買いとなったが、通過後は再びドル売りが強まった。ユーロを中心にドル売りが優勢となっていることもあり上値の重い一方で、クロス円の買いも出ているとでもみ合う相場から抜け出せない展開となった。米長期金利の低下が重石となりじり安となった。
★欧米主要経済指標
発表はなし
★欧米市場のポイント
・ドル/円相場は109.34∸59円のレンジ相場
・欧米株式相場が堅調推移したことでリスク選好地合い
・ロンドンフィックスに絡んだドル買いが観測
・クリスマス休暇を取っている投資家が多く商いは低調
・VIX指数は12.65から13.40へ上昇
★基本的なVIX指数(恐怖指数:赤線)・S&P500(青線)・NY金(黒破線)の相場動向は、リスク回避の動きが強まるとVIX指数とNY金が上昇しやすく、S&P500は下落しやすい。一方で、リスク選好の動きになるとS&P500は上昇するが、VIX指数とNY金は下落しやすいと言うのが基本的な動きになる。
2019年5月までは基本的な動きになっていた。しかし、6月以降はVIX指数が下落したことでS&P500が上昇したことは基本的な動きとなっていたが、NY金もS&P500と同様の動きとなるイレギュラーの動きとなった。
それNY金はそれ以降、VIX指数が上昇すると一緒に上昇するものの、VIX指数が下落しても緩い押し程度になっている。
そのため、VIX指数が低下している一方でNY金が上昇するような動きとなっている。
考えられることは、米国株3指数が史上高値を更新する強い動きとなっている一方で、市場参加者には米国株の高所恐怖症が出始めている。ヘッジファンドや機関投資家などは、パフォーマンスを確保するために指数が割高としても順張り運用しなければならない。様子見している間に指数が上昇してしまうと利益を上げられないからである。そのため、米国株で運用しながらも、株価下落のヘッジとして金の運用も並行していると思われる。
こういう動きの時は、基本的な動きからかい離していることで相場を見誤りやすい。株価が上昇してVIX指数が低位推移しているから、金も下落するだろうとの思惑から売りたくなる。しかし、株価が上昇すればするほど、株価下落するヘッジ手段としての金の需要も高まり相場が底堅くなりやすい。
米国株価指数への割高感を市場参加者が感じ始め、ヘッジとしての金買いを強めている可能性もある。
★東京金が年初来高値を更新したことから、過熱感が出ているだろうと思ってしまう。しかし、東京金の週足では、強い上昇基調が継続していることから値ごろ感からの売りには注意が必要な感じである。
2018年8月17日週の安値4,112円がボトムとなり、現状でも上昇基調が継続している。直近では、9月6日に5,304円の高値を付けた後、もみ合いながらも13週SMA(赤線)を下抜け下落調整が鮮明となった。しかし、上向きとなっている26週SMA(青線)がサポートラインとなり下げ止まる展開となった。さらに、再び13週SAMを上抜けしてきたことから、下落調整終了となり直近高値を上抜けたことで上昇トレンド復帰となっている。
ストキャスティクス・スロー(パラメータ:14、5、3、20、80)も、%DがSlow%Dを上抜けかい離幅を広げながら両線もと上向きとなっている。そのため、上昇の勢いが強いことを示している。
まとめると、年初来高値を更新したことで、値ごろ感からの売りたくなるところである。しかし、中期的トレンドとなる週足では強い上昇基調が継続しており、安易な売りには注意が必要となる。高値圏にはあるものの、トレンドは上向きとなっていることで、順張りの買い、又は押し目買い狙いとなりそうだ。下押しの場合は、13週SMAの5,178円近辺や26週SMAの5,128円付近がサポートラインとして意識される。
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