★NYダウの週足では、200週SMA(赤線)23,620ドルがサポートラインとして意識され下げ止まっている。過去の事例では、200週SMAで反転すると再び上昇基調が継続する。ただ、下抜けてしまうと大きな調整下落となりやすいことが分かる。
200週SMA寸前まで接近してきており、反転するのかそれとも下抜けするのか相場の節目にきている。
★NY株式市場では、三指数とも大幅下落したうえ、米長期金利も0.5%台と低水準に低下となったことで、イールドスプレッドは前日比で三指数ともに大幅拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。三指数とともにかなり割安感で出てきていることから、反発すると大きくなりやすい。米国ではFRBによる利下げや財政政策拡大の動きはあるが、今回のリスク回避の動きは新型コロナウイルスの感染拡大や原油急落にある。そのため、利下げしても財政政策を実施しても市場の不安は払しょくしない。まずは、感染拡大が縮小することや新型コロナウイルスのワクチンが開発されるなど、終息の方向が出るまでは不安定な市場が続く。また、原油価格も下げ止まると安心感が出てくる。三指数ともにイールドスプレッドが大幅に拡大したことから、かなり割安感が強まっている。
NYダウは、2月12日史上高値の29,568ドルから下落率20%の23,654ドル寸前まで下落したものの、下抜けることなく終了した。しかし、5日SMAの25,769ドルと10日SMAの26,076ドルが真下を向いていることから、下落の勢いが強いことを示している。そのため、5日SMAや10日SMAがロウソク足に追いつくまでは、不安定な値動きになりやすい。一方、ストキャスティクス・スロー(パラメータ:14、5、3、20、80)は、再び%DがSlow%Dを下抜けしたことから、下押しバイアスが強まってきている。米長期金利が大幅低下したことでイールドスプレッドが大幅拡大しており、割安感が強まっている。リスク回避の動きが強く、ネガティブな材料に反応しやすい地合いとなっている。好材料が出てくると、割安感が強いだけに一気に上昇基調となる。
NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。
★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。
そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。
○米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲4.960%
・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲3.069%、19/4/25-▲3.048%
20/01/17‐▲3.018%
(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、
20/2/28-▲4.541%、20/3/6-4.764%
(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)
・3月6日:▲4.764%⇒3月7日:予想▲5.447%
3月9日のNYダウが大幅下落したうえ、米長期金利も大幅低下したことでイールドスプレッドは前日比で大幅拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲4.960%から+0.487%とかい離が逆転していることで割安になっている。19年1月3日の大底▲4.226%を+0.523%と上回った。19年8月5日の大底▲4.102%を+1.345%と上回った。20年2月28日の大底4.541%と+0.906%上回った。20年3月6日の4.764%を+0.683%と上回った。
NYダウが大幅下落したことで株式益利回りは低下した。また、米長期金利も大幅低下したことでイールドスプレッドは前日比で大幅拡大した。米国債券に対してNYダウが前日比で割安となった。前日比では米国債券を買うよりもNYダウを買う方が良いことになる。新型コロナウイルスの世界的な感染拡大で景気や企業業績の減速懸念が一段と高まるなか、原油価格の急落が売りに拍車をかけた。S&P500種株価指数は寄り付き後まもなく7%超急落し、売買を一時中断する措置(サーキット・ブレーカー)が発動され15分間取引停止となった。なお、サーキット・ブレーカーが実施されるのは今の制度が2013年に導入されて以来初めてとなる。
○米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲4.348%
・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲2.731%、19/4/25-▲2.966%
20/01/17-▲2.990%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、
19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%
20/3/6-▲4.829%
・3月6日:▲4.829%⇒3月9日予想▲5.505%
S&P500が大幅下落したうえ、米長期金利も大幅低下したことでイールドスプレッドは前日比で大幅拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲4.348%から+1.157とかい離が逆転していることで割安になっている。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を+1.636%上回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を+1.503%上回った。19年8月15日の▲4.179%を+1.326%上回った。20年2月28日の大底4.499%まで+1.006%上回った。20年3月6日の4.829%を+0.676%上回った。
○米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲2.811%
・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、19/4/25-1.468%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、
19/8/15-▲2.498%、 20/3/6-▲3.183%
・3月6日:▲3.183%⇒3月9日予想▲3.707%
NASDAQが大幅下落したうえ、米長期金利も大幅低下したことでイールドスプレッドは前日比で大幅拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲2.811%から+0.896%とかい離が逆転していることで割安になっている。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては+1.528%上回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して+1.324%上回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して+1.209%上回った。20年2月28日の大底2.803%まで+0.904%上回った。20年3月6日の▲3.183%に対して+0.524%上回った。
NASDAQはハイテク関連銘柄が多く米中貿易摩擦の影響が大きく、三指数の中で上下に振れるボラティリティが最も高くなっている。特に米中通商協議の行方に左右されやすく、報道に振れやすい地合いとなっている。NASDAQ市場では過去のイールドスプレッドを上回るなど急速に割安感が高まっている。そのため、新型コロナウイルスの感染などのポジティブな報道があると、急速な戻り基調となりやすい。イールドスプレッドが一気に▲3.70%台まで拡大しており割安感がより強くなっている。
三指数のイールドスプレッドは、三指数が大幅下落したうえ、米長期金利も大幅低下したことで三指数ともに前日比で大幅拡大した。新型コロナウイルスの感染拡大や原油価格の急落などにより、世界的な景気悪化懸念も加わり大幅に下落した。また、全般的には米長期金利が0.5%台の低水準で推移していることから、株価には割安感が強い。ウイルス感染報道や米中貿易交渉、中東情勢、英国のブレグジットなどの報道で市場は振れやすい状況となっている。
※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。
※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。
★3月3日以降の東京金60分足では、5,450円がサポートとして意識され下げ止まる展開となっている。ただ、上値も5,520円がレジスタンスとして意識され上値を抑える展開となっている。雲のネジレ近辺に位置していることから、トレンドの加速や反転など相場の節目になりやすい。
NY金先物市場は1658.00-1704.30ドルのレンジ相場となった。週明けオセアニア市場からリスクオフ地合いが強まり、時間外取引の金先物も買いが先行し、7年以上ぶりとなる1700ドル台まで上値を伸ばした。しかしながら、上昇一巡後は利益確定の売りに押し戻され、NY勢の本格参入後は前週末の引け水準を挟み方向感無く上下した。株安を意識した買いが入ったが、まとまった規模ではなかった。
価格帯別出来高では、5,450円近辺で短期的に出来高が膨らんでいることから、押し目買いが根強く入っていることを示している。手仕舞い売りが一巡すると再び戻り基調となりやすい。ただ、5,650∸5,700円近辺で出来高が多いことから、買い方からの『やれやれ売り』が入りやすく上値の重石となる。
MACD(パラメータ:12、26、9)は、ゼロラインの下方でMACDがシグナルとGCしており、戻り基調となっている。また、ストキャスティクス・スロー(パラメータ:14、3、3、20、80)も%DとSlow%Dの両線が上向きとなっており、上向きバイアスが強いことを示している。
東京金の日足では、25日SMAの5,618円は下抜けしたものの、75日SMAの5,398円がサポートラインとして意識されている。5日SMAの下落も緩やかになってきていることで、下落の勢いも鈍化してきた。ただ、10日SMAが下向きとなっており、レジスタンスとして意識され上値を抑えている。NY金先物市場では心理的節目となる1,700ドルを付けたことで利益確定売りが入りやすかった。また、米国株が大幅下落していることから、金の利益確定売りが入りやすい。為替市場では、不安定な動きが続いており、ボラティティも高まっている。リスク回避の円買いが強まっており、戻りも鈍い展開となっている。ただ、101円前半では底堅い展開となっている。
米国株の下落が継続していることから、米国株の損失と金の利益確定で損益を相殺させるような金売りが入りやすい。さらに、リスク回避の円買いも東京金の上値を抑える要因となっている。
★欧州市場朝方の取引では、新型肺炎の感染拡大に加え、原油相場の暴落を受けたリスク回避の動きが持続した。なお、欧州株は大幅続落して取引を開始した。欧州勢参入後、米長期金利が一時0.31%台に急落となった後、0.46%付近にやや持ち直したことを受け、ドル売り圧力は緩和した。NY原油先物が32ドル台半ば近辺、米長期金利も0.51%台に持ち直し、過度のリスク回避が緩和される中102.70円付近にドルは反発した。しかし、欧州株が大幅安で推移、米長期金利も0.47%付近に再低下となるに連れて、102.30円前後で推移した。
現物の米国株が7%超急落したことで取引が停止されるとドル/円には売りが膨らんだ。米国株の取引き再開に向けてショートカバーが入りドルは急速に戻した。市場では『日銀によるレートチェックの噂』もあった。下げ幅を縮めた米国株を眺めながら102.60円までじり高となった。NYダウが一時2100ドル超安まで下げ幅を拡大し、NY原油先物も約24%安で引けるなど、リスク回避の動きが続く中で上値も限定的となった。
★欧米主要経済指標
特になし
★欧米市場のポイント
・ドル/円相場は101.16-102.78円のレンジ相場
・日銀によるレートチェックの噂も
・新型肺炎の世界的な感染拡大と原油先物価格の急落を嫌気
・米国株は7%下落でサーキットブレーカーが発動
・一時101.16円と2016年10月以来約3年5ヵ月ぶり安値
・VIX指数は41.94から54.46へ上昇
★ドル/円が104円台前半から101円台半ばまで急速に円高が進行した。しかし、一旦102円台後半まで戻り基調となっている。何がサポートラインとなり下げ止まったかであるが、月足の120ヵ月SMA(緑線)が意識され下げ止まる展開となった。
この120ヵ月SMAは2016年6月から9月までサポートラインとして意識され、4ヵ月下値を支えた。その後は、円安基調となり2016年12月に118.66円まで上昇した。
ストキャスティクス・スロー(パラメータ:14、5、3、20、80)は、一旦戻り基調となっていたが、再び%DがSlow%Dを下抜ける展開となっており、下押しバイアスが強まってきている。
120ヵ月SMAがサポートラインとして意識されているが、2016年の時はストキャスティクスでは売られ過ぎまで低下していた。しかし、今回はこれから下落する様相となっていることで、120ヵ月SMAを下抜ける可能性もある。
あれだけ急速に下落しても、節目では一旦下げ止まる展開となるのはアルゴリズムが動いているからに他ならない。そのため、120ヵ月SMAを明確に下抜けると、アルゴリズムはドル売り・円買いを強める可能性があるということになる。
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