★NY株式市場では、三指数とも大幅反発したうえ、米長期金利も上昇したことで、イールドスプレッドは前日比で三指数ともに大幅縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。米大統領選の民主党候補指名争いで、中道派のバイデン前副大統領が躍進したことを好感した買いが膨らんだ。2月ADP全米雇用報告や2月米ISM非製造業指数が予想を上回ったことも買い安心感につながった。このところリスクオン・オフで大幅に振れる展開となっている。三指数ともにイールドスプレッドが縮小したものの、かなり割安感は残っている。そのため、先行き新型コロナウイルスが終息するような展開になると、一気に大幅に反転する可能性が高くなっている。
NYダウがは、260日SMAの26,969ドルを上抜けしてきたが200日SMAの27,249ドルがレジスタンスとして意識され上値を抑えている。5日SMAが横ばいとなり短期的な下落の勢いが鈍化してきた。ただ、10日SMAが上値を抑えている。一方、ストキャスティクス・スロー(パラメータ:14、5、3、20、80)は、売られ過ぎ域から%DがSlow%Dを上抜けてきたことで、戻り基調になる兆しも出てきている。大きく反発したことや、米長期金利が上昇したことでイールドスプレッドが大幅縮小したが、割安感は残っている。
NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。
★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。
そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。
○米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲4.859%
・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲3.069%、19/4/25-▲3.048%
20/01/17‐▲3.018%
(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/6/3-▲4.038%、
19/8/5-▲4.102%、20/2/28-4.541%
(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)
・3月3日:▲4.563%⇒3月4日:予想▲4.267%
3月4日のNYダウが大幅反発したうえ、米長期金利も大幅上昇したことでイールドスプレッドは前日比で大幅縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲4.859%から▲0.592%と平均値よりかい離していることで割高になっている。19年1月3日の大底▲4.226%を+0.041%と上回った。19年6月3日の大底4.038%を+0.229%と上回った。19年8月5日の大底▲4.102%を+0.165%と上回った。20年2月28日の大底4.541%まで▲0.274%かい離した。
NYダウが大幅反発したことで株式益利回りは低下した。また、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で大幅縮小した。米国債券に対してNYダウが前日比で割高となった。前日比ではNYダウを買うよりも米国債券を買う方が良いことになる。米大統領選の民主党候補指名争いで、中道派のバイデン前副大統領が躍進したことを好感した買いが膨らんだ。2月ADP全米雇用報告や2月米ISM非製造業指数が予想を上回ったことも買い安心感につながった。個別ではユナイテッドヘルスやアメリカン・エキスプレスなどの上昇が目立ち、NYダウを構成する全30銘柄が上昇した。
○米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲4.215%
・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲2.731%、19/4/25-▲2.966%
20/01/17-▲2.990%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/6/3-▲3.881%、
19/8/5-▲4.002%、19/8月15日-4.179%
20/2/28-▲4.499%
・3月3日:▲4.563%⇒3月4日予想▲4.281%
S&P500が大幅反発したうえ、米長期金利も大幅上昇したことでイールドスプレッドは前日比で大幅縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲4.215%から+0.066とかい離が逆転していることで割安になってきた。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を+0.412%上回った。19年6月3日の大底となった3.881%を+0.400%上回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を+0.279%上回った。19年8月15日の▲4.179%を+0.102%上回った。20年2月28日の大底4.499%まで▲0.218%かい離した。
○米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲2.668%
・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、19/4/25-1.468%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/6/3-▲2.328%、
19/8/5-▲2.383%、 19/8/15-▲2.498%
・3月3日:▲2.898%⇒3月4日予想▲2.697%
NASDAQが大幅反発したうえ、米長期金利も大幅上昇したことでイールドスプレッドは前日比で大幅縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲2.688%から+0.009%とかい離が逆転していることで割安になっている。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては+0.518%上回った。19年6月3日の大底となった▲2.328%に対して+0.369%上回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して+0.314%上回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して+0.199%上回った。20年2月28日の大底2.803%まで▲0.106%かい離した。
NASDAQはハイテク関連銘柄が多く米中貿易摩擦の影響が大きく、三指数の中で上下に振れるボラティリティが最も高くなっている。特に米中通商協議の行方に左右されやすく、報道に振れやすい地合いとなっている。NASDAQ市場では過去のイールドスプレッドを上回るなど急速に割安感が高まっている。そのため、新型コロナウイルスの感染などのポジティブな報道があると、急速な戻り基調となりやすい。イールドスプレッドが▲2.6%台まで縮小したが割安感は残っている。
三指数のイールドスプレッドは、三指数が大幅反発したうえ、米長期金利も上昇したことで三指数ともに前日比で大幅縮小した。米大統領選の民主党候補指名争いで、中道派のバイデン前副大統領が躍進したことを好感した買いが膨らんだ。このところリスクオン・オフで株価指数も大きく振れる展開が続いている。ただ、全般的には米長期金利が1%前後まで低下していることから、株価には割安感が強い。ウイルス感染報道や米中貿易交渉、中東情勢、英国のブレグジットなどの報道で市場は振れやすい状況となっている。
※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。
※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。
★2月27日以降の東京金60分足では、雲の上限は上抜けしたものの、120時間SMA(赤線)と240時間SMA(茶線)がレジスタンスとして意識され上値を抑える展開となっている。上抜けできるのか、下押しするのか、相場の節目となっている。雲のネジレ付近で終了していることから、寄り付きからトレンドの加速や反転など相場の節目になりやすい。
NY金先物市場は1632.60-1654.30ドルのレンジ相場となった。米国株が大幅反発するなど、新型肺炎の経済的影響を背景としたリス回避の動きが緩み、金の買いが一服した。ただ、3日に緊急利下げに踏み切った米連邦準備理事会(FRB)が17-18日の会合で追加利下げを行うとの見方も強い中、下値は限られた。アジア市場では1654.30ドルまで買われた後に1632.60ドルまで下落した。その後、1650.60ドルまで戻したが、通常取引開始後は株高を意識して1640ドルを挟んだ水準で推移し、上げ渋った。
価格帯別出来高では、もみ合いながら出来高が膨らんでおり売買が交錯していることを示している。下値で出来高が多いことから、上値が重くなると利益確定売りも入りやすく、売り一巡するまでは上値が重くなりやすい。
MACD(パラメータ:12、26、9)は、ゼロラインの上方から緩やかに低下傾向となっている。また、ストキャスティクス・スロー(パラメータ:14、3、3、20、80)も、%DがSlow%Dを下抜け両線とも下向きとなっていることで、下押しバイアスが強まっている。オシレータでは下落基調が継続していることを示している。
東京金の日足では、下向きの5日SMAの5,622円は上抜けしたものの、緩やかに上向きの10日SMAの5,724円がレジスタンスとして意識され上値を抑える展開となっている。5日SMAが下向きから横ばいになるまでは、再び下押しする可能性もある。NY金先物市場は、米国株の大幅上昇から上値が重くなったが、新型肺炎の感染拡大が続いていることから、下値も限定的となっている。為替市場では、リスク選好の動きとなったものの、17-18日の米FOMCで利下げ観測があり戻り上値の重い展開となった。そのため、東京金の重石となっている。
本日の注目点では、5日SMAの5,622円を維持出来るかにある。下値では25日SMAの5,612円も意識される。一方で上値では、10日SMAの5,724円がレジスタンスとして意識される。
★欧州市場朝方の取引では、中道派のバイデン前副大統領が9つの州で勝利を確実にしたことを受け、NYダウ先物が上昇幅を拡大するに連れてリスク選好の円売りが進行した。ただ、米長期金利が0.94%台に再び低下となったことで、ドルが軟調に推移した。その後、NYダウ先物が600ドル近く上昇したことを支えにドルはじり高となった。NYダウ先物が740ドル超高まで上値を伸ばし、米長期金利が1%台を回復したことでドルのショートカバーが入り上昇した。
その後は、米国株はしっかりとした動きを見せていたが、米国債金利の低下やクロス円の下落に連れたドル売りが優勢になった。新型肺炎の感染拡大による景気リスクへの懸念で上値は重いものの、バイデン氏が優勢との報道や米国株の上昇を支えにドルは底堅い展開となった。前日の米緊急利下げを受けて米長期金利が低下する中、ドル/円の戻りは鈍かった。
★欧米主要経済指標
・独・2月サービス業PMI改定値:52.5(予想:53.3、速報値:53.3)
・独・2月総合PMI改定値:50.7(予想:51.1、速報値:51.1)
・ユーロ圏・2月サービス業PMI改定値:52.6(予想:52.8、速報値:52.8)
・ユーロ圏・2月総合PMI改定値:51.6(予想:51.6、速報値:51.6)
・ユーロ圏・1月小売売上高:前月比+0.6%(予想:+0.6%、12月:-1.1%←-1.6%)
・英・2月サービス業PMI改定値:53.2(予想:53.3、速報値:53.3)
・英・2月総合PMI改定値:53.0(予想:53.3、速報値:53.3)
・米・2月ISM非製造業景況指数:57.3(予想:54.8、1月:55.5)
・米・2月サービス業PMI改定値:49.4(予想:49.4、速報値:49.4)
・米・2月総合PMI速報値:49.6(速報値:49.6)
・米・2月ADP雇用統計:前月比+18.3万人(予想:+17.0万人、1月:+20.9万人←+29.1万人)
★欧米市場のポイント
・ドル/円相場は107.14-65円のレンジ相場
・欧州委員会が仏伊のリセッションリスクを指摘
・バイデン前副大統領の躍進を好感してリスク選好
・2月米非製造業指数が57.3と予想を上回る
・17-18日のFOMCでの追加利下げ観測もドルの重石
・VIX指数は36.82から31.99へ低下
★東京金の一目均衡表の日足で何が起きているのかを検証してみる。高値もみ合いしていた2月28日に大きな下げとなったが、基準線(青線)がサポートラインとなり下げ止まった。しかし、週明けの3月2日も引き続き大きな下げ基調が継続したが、雲の上限がサポートラインとして意識され下ヒゲを伴って下げ止まる展開となった。ただ、翌日も弱含む展開となったが、52期間の高低の中心値である先行スパン2の当日線(灰線)がサポートラインとして意識され下げ止まった。翌日も下値はサポートラインで止まり上値トライとなったが、転換線(赤線)と基準線が重なる5,668円がレジスタンスとして意識され現在上値を抑えている。
また、2月28日の高値5,913円と3月2日の安値5,423円の半値戻しも5,668円となっており、重要な価格のポイントとなっている。
26期間遅行する遅行線(緑線)は、ロウソク足がサポートラインとして意識され下抜けることなく反転している。
ストキャスティクス・スロー(パラメータ:14、5、3、20、80)は、%DがSlow%Dを下抜け両線とも下向きとなっていることから下押しバイアスが強いことを示している。
まとめると、大きな下げからの戻り基調となっているが、転換線・基準線・高低の中心値が重なる5,668円を上抜け出来るか重要な節目となっている。上抜け出来るようなら、半値戻しは全値戻し言われるように再び上値トライとなりやすい。しかし、上抜け出来ないと上値の重さが意識され再び下押しトライとなりやすい。
非常に重要な相場の節目にあることから、慎重に動向を見極める必要がある。
★ドル/円の月足では、2015年6月高値125.85円を起点として2018年10月高値114.55円を結んだトレンドライン(R1)と2016年6月安値98.98円を起点として2019年1月安値104.70円を結んだトレンドライン(S1)では、約4年かけて三角持ち合いを形成している。
1月には、17ヵ月SMA(赤線)と34ヵ月SMA(青線)を上抜け、三角持ち合いの上限となるR1を上抜けたことで、三角持ち合い上放れになるとの思惑が高まった。しかし、米国株が暴落するような動きになると、リスク回避の円買いが強まり結局は上放れはダマシとなってしまった。
そのため、1月ロウソク足は上ヒゲのながい陰線となった。そして、再び17ヵ月SMAと34ヵ月SMAを下抜けと共に、三角持ち合いの下限であるS1を下抜けする可能性が高まってきた。
ただ、ストキャスティクス・スロー(パラメータ:14、5、3、20、80)は、%DがSlow%Dを上回っており、緩やかに上向きとなっていることから円安基調は残っている。
数カ月後には、三角持ち合いの頂点となり上放れまたは下放れすることになる。そのため、今後も三角持ち合いからの放れに注目が集まる。
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