★NY株式市場では、三指数はまちまちの動きとなった。ただ、米長期金利が低下したことでイールドスプレッドは前日比で三指数ともに拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。そのため、三指数ともに割高感が若干緩和される結果となった。株価が上値追いとなるには米長期金利の低下がポイントとなる。また、市場の注目は米国企業の10-12月期決算結果や欧米の貿易協議に移ってきている。そのため、欧米タイムで株価指数が動きやすい展開となっている。米国株への過熱感が残っていることから、コロナウイルスの感染者拡大などのネガティブ報道には十分注意する必要がありそうだ。NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。三指数とも割高危険水位までスプレッドが縮小してきているので注意。
NYダウは、5日SMAの29,238ドルを下抜けた。何とか10日SMAの29,085ドルがサポートとなり下げ止まっている。ただ、上値を切り下げる展開となってきており、下落調整的な動きになってきた。また、ストキャスティクス・スロー(パラメータ:14、5、3、20、80)も、買われ過ぎ過熱感から%DがSlow%Dをわずかい下抜けしてきており、下落基調的な動きになってきている。ただ、史上最高値圏で推移しており、欧米貿易協議の行方や米企業決算結果やコロナウイルスの感染拡大報道などで上下に振れやすくなっている。米国株全般に過熱感が出ており、いつ下振れしても不思議ではない状況となっていることには警戒が必要である。
★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。
そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。
○米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲4.130%
・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲3.069%、19/4/25-▲3.048%
20/01/17‐▲3.018%
(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/6/3-▲4.038%、
19/8/5-▲4.102%
(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)
・1月22日:▲3.104%⇒1月23日予想▲3.147%
1月23日のNYダウが小幅下落したうえ、米長期金利も低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲4.130%から▲0.983%と平均値よりかい離していることで割高になっている。18年12月3日の天井となった▲3.069%まで▲0.078%に接近した。19年4月25日の天井となった3.048%まで▲0.099%に縮小した。20年1月17日の天井となった▲3.018%まで▲0.129まで接近した。米長期金利が低下したうえ株価も下落したことで、イールドスプレッドは拡大し徐々に割高感も緩和してきた。
NYダウが下落したことで株式益利回りは上昇した。また、米長期金利も低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大した。米国債券に対してNYダウが前日比で割安となった。前日比では米国債券を買うよりもNYダウを買う方が良いことになる。新型コロナウイルスの感染拡大への懸念から投資家心理が悪化し一時210ドル超下げた。シンガポールでも感染者が発見されたことが嫌気された。しかし、世界保健機関(WHO)が新型コロナウイルスについて『緊急事態宣言』を見送ると急速に買い戻しが入り、プラス圏を回復する場面があった。
○米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲3.467%
・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲2.731%、19/4/25-▲2.966%
20/01/17-▲2.990%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/6/3-▲3.881%、
19/8/5-▲4.002%、19/8月15日-4.179%
・1月22日:▲3.067%⇒1月23日予想▲3.100%
S&P500がわずかに上昇した一方で、米長期金利が低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲3.467%から▲0.367%とかい離していることで割高になっている。また、18年12月3日の天井となった▲2.731%まで▲0.369%に接近した。19年4月25日の天井となった2.966%まで▲0.134%に接近した。20年1月17日の天井となった2.990%まで▲0.110%に接近した。S&P500のイールドスプレッドは再び3.0%台に戻ったが、買われ過ぎ過熱感は残っている。
○米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲2.110%
・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、19/4/25-1.468%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/6/3-▲2.328%、
19/8/5-▲2.383%、 19/8/15-▲2.498%
・1月22日:▲1.782%⇒1月23日予想▲1.813%
NASDAQが上昇した一方で、米長期金利がそれ以上に低下したことからイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲2.110%から▲0.297%と平均値より縮小した。また、18年12月3日の天井となった▲1.198%まで▲0.615%に接近した。19年4月25日の天井となった▲1.468%まで▲0.345%に接近した。NASDAQは15日のPERが29倍台後半から27倍台後半に急低下した。そのため、割高感が修正されたこともありさらに上昇する可能性もある。
NASDAQはハイテク関連銘柄が多く米中貿易摩擦の影響が大きく、三指数の中で上下に振れるボラティリティが最も高くなっている。特に米中通商協議の行方に左右されやすく、報道に振れやすい地合いとなっている。米中貿易交渉の進展期待が高まると買われやすい。一方で、米中関係悪化の報道では、売られやすい展開になりやすい。米中間で『第1段階合意』は署名されたが、次は『第2段階合意』に向けて米中間で協議される。そのため、今後も米中貿易摩擦に関する報道に振られる展開が予想される。中国発の新型コロナウイルスの感染が拡大してきた。2003年に発生したSARS発生後では、中国GDP第1四半期は11.1%だったが、第2四半期のGDPは9.1%に低下した。そのため、感染拡大の規模が大きくなると中国経済に悪影響を与える。
三指数のイールドスプレッドは、三指数はまちまちの動きとはなっていたが、、米長期金利が低下したことで三指数ともに拡大した。新型コロナウイルスの感染が拡大するようなら、リスク回避の債券買いになりやすく米長期金利が低下しやすい。そのため、今後も金利が低下するようなら、イールドスプレッドはさらに拡大しやすく米国株の割高感が払しょくされる。NYダウやS&P500は割高感が残っていることから、上値の重い展開が続きやすい。
※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。
※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。
★2002年11月から2003年7月のSARS封じ込め成功の発表までの日経225と東京金の価格動向を追ってみた。
日経225は、11月27日にインフルエンザ流行が発生しているとWHOに報告された時は上昇基調の途上であった。しかし、数日後にピークを打つと一転下落基調となった。その後も上げ下げを繰り返しながら徐々に上値・下値を切り下げながら下落基調となった。ただ、4月28日の7,603.76円が底値になると日経225は上昇基調となった。7月5日にSARS封じ込め成功との発表があった翌営業日に7日では大陽線となる上昇となった。その後は、ダブルトップを形成しする展開となったが、大崩れすることなく9月中旬まで上昇が続いた。
東京金は、11月27日にインフルエンザ流行が発生しているとWHOに報告さると、明確な上昇トレンドが発生する展開となった。ただ、大流行の兆しが出た3月以降は一変して弱含みとなった。しかし、短期間で下落調整が終了すると再び反転する展開となり、その後はもみ合う展開が続いた。ただ、6月4日の高値1,312円がピークとなると下落基調となり、7月5日のSARS封じ込め成功の発表後も低下基調が続いた。ただ、7月29日安値7月29日の1,150円が底値となり、その後は戻り基調が続いた。
★1月17日以降の東京金60分足では、一目均衡表の雲の上限と120時間SMA(赤線)がレジスタンスとして意識され上値の重い展開になっている。一時サポートラインとして意識されていた240時間SMA(茶線)を下抜けしたこで、戻り場面では早目の利益確定売りが入りやすい。雲の上限を上抜け出来るかが焦点となる。
NY金先物市場は1551.30-1567.50ドルのレンジ相場となった。新型コロナウイルスが検出された湖北省武漢市以外で初の死者が出るなど、中国の新型肺炎への懸念が払しょくされず、金融市場全般にリスク回避ムードが高まり、安全資産の金は買いが優勢となった。 WHOが『緊急事態宣言』を見送り米国株安は一服したものの、金買いは縮小しなかった。
価格帯別出来高では、出来高の多い価格帯まで戻り基調となったことから、買い方からの『やれやれ売り』が入りやすかった。やれやれ売りを吸収して上昇するには出来高が膨らむ必要がある。そのため、出来高が膨らむかが注目される。
MACD(パラメータ:12、26、9)は、ゼロラインを上抜けしてきたものの、MACDの上向きの勢いが鈍化してきている。また、ストキャスティクス・スロー(パラメータ:14、3、3、20、80)は、買われ過ぎ域から%DがSlow%Dを下抜けてきていることで、下押しバイアスが強まる可能性がある。
東京金の日足では、引き続き5日SMAの5,503円がレジスタンスとして意識され上抜の重い展開となっている。一方、10日SMAの5,486円がサポートラインとして意識され下値も限定的となっている。NY金は、新型コロナウイルス感染拡大の懸念からリスク回避の金買いが継続しやすい展開となっている。米長期金利もリスク回避の債券買いから金利が低下基調にあることも金の下支えとなりやすい。為替市場では、109円台半ばでもみ合いとなっており、過度な円高基調にはなっていない。ただ、今後もウイルスの感染拡大や死亡者が増加するようなら、リスク回避の円買いにつながりやすい。
本日の注目点は、引き続き5日SMAを上抜けできるのか、それとも10日SMAを下抜け下値模索の動きになるのかが焦点となる。金はリスク回避から買われやすい一方で、リスク回避の円買いにより東京金の上値を抑える展開となりやすい。
★欧州市場朝方の取引では、NYダウ先物が下げ幅を縮小し、日経先物も60円高に反発する中、リスク回避の円高は一服となった。なお、欧州株は概ね軟調に取引を開始した。欧州市場では、米長期金利が下げ渋ったほか、欧州株式市場ではプラスに転じる指数もあり、ドル/円も底堅く推移した。欧州株式市場の反転やNYダウ先物のプラス圏浮上が期待され、リスク回避的な円買いは後退した。ただ、109.65円付近まで戻る場面があったが、直ぐに押し戻されるなど反発力の弱い展開となった。
米新規失業保険申請件数が事前予想を下回ったことで、米雇用情勢改善が示唆され一旦ドルは下げ渋った。しかし、ラガルドECB総裁の会見をきっかけにユーロ/円が下落するとドル/円にも売りが出た。また、新型肺炎の感染拡大への懸念を背景に世界で株安傾向となり、リスク回避が強まり円買いが優勢となった。下げ渋っていた米国株が再び下げ幅を拡大し、米長期金利が1.71%台まで低下幅を広げたことも手掛かりにドル売りが優勢となった。その後、世界保健機関(WHO)が新型コロナウイルスについて『緊急事態』を宣言しなかったことでドル/円の下支えとなった。
★欧米主要経済指標
・ユーロ圏・1月消費者信頼感指数速報値:‐8.1(予想:-7.8、12月:-8.1)
・米・先週分新規失業保険申請件数:21.1万件(予想:21.4万件、前回:20.5万件←20.4万件)
・米・失業保険継続受給者数:173.1万人(予想:175.6万人、前回:176.9万人←176.7万人)
・米・12月景気先行指数前月比‐0.3%(予想:-0.2%、11月:+0.1%←0.0%)
★欧米市場のポイント
・ドル/円は109.23∸65円のレンジ相場
・ラガルドECB総裁の会見をきっかけにユーロ下落
・新型肺炎の感染拡大でリスク回避姿勢強まる
・米長期金利は一時1.7117%前後まで低下
・WHOが新型肺炎について『緊急事態宣言』を見送る
・VIX指数は12.91から12.98へ上昇
★日経225の日足では、25日SMA(青線)がサポートラインとして意識されていた。しかし、下向きとなった5日SMA(赤線)の23,963円や10日SMA(黄線)の23,928円がレジスタンスとして意識され下押しする結果となった。
過去にも25日SMAを下抜けしたものの、短期で25日SMAを回復して再び上昇基調が続いた。今回も数日間内に25日SMAを回復するようなら、トレンドは継続しやすい。
ただ、ストキャスティクス・スロー(パラメータ:14、5、3、20、80)は、買われ過ぎ過熱圏から%DがSlow%Dをわずかに下抜けしてきたことで、下押しバイアスが強まる前兆となっている。
まとめると、前日まで25日SAMがサポートラインとして意識されていたが、本日の下落で下抜けしてきたことで、下落調整の可能性が高まってきた。しかし、短期間で25日SMAを回復する展開が過去にあり、直ぐに『売り』と判断するのは時期尚早となる。明日の値動きが重要なポイントとなる。
下押しした際は、1月8日に75日SMA(緑線)で反転したこともあり、今回も75日SMAの23,171円近辺がサポートラインして意識される。
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