★日経225は、新型肺炎拡大が世界景気に悪影響をもたらすとの警戒感にイラク米大使館ロケット弾着弾等に投資家心理が一段と冷え『春節』休暇で上海・香港などアジア市場休場で日本株にグローバル投資家のヘッジ売りが膨らだことから大幅下落となった。
そのため、25日SMA(青線)がサポートラインとして意識されていたが、一気に下抜けした。下値では、1月8日にサポートラインとして意識され後に反転した75日SMA(緑線)の23,218円が意識される。
ただ、ストやスティクス・スロー(パラメータ:14、5、3、20、80)は、買われ過ぎ域から%DがSlow%Dを下抜け両線とも下向きとなっていることで、下押しバイアスが強まっている。
まとめると、今晩突然新型肺炎のワクチンが開発されるなど、状況が急変するようなら75日SMAで下げ止まる展開が予想される。しかし、日々感染者や死亡者が増えている状況では早々に改善しにくい。また、NYダウ先物も大幅な下落基調となっていることから、75日SMAを下抜けする可能性が高い。その際は、100日SMA(黒線)の22,772円が下値目処として意識される。さらに、下抜けするようなら、200日(紫線)の22,047円が下値目処として意識される。今回の下落は新型肺炎の感染拡大が懸念されているものであって、世界的な金融危機を発生させるものではない。そのため、利益確定や手仕舞い売りが一巡すれば、戻り基調となりやすい。そのため、下値から反転するのを待つ状況となる。
★2002年11月から2003年7月のSARS封じ込め成功の発表までのドル/円の価格動向を追ってみた。
ドル/円は、02年11月27日にインフルエンザ流行が発生しているとWHOに報告された時は円安基調の途上であった。しかし、02年12月5日高値125.70円でピークを打つと一転円高基調となり、03年1月17日安値117.38円と約8.32円の円高になった。その後も約6円前後の範囲で上げ下げを繰り返しながらもみ合い相場が続いた。3月頃には大流行の兆しとなったが、ドル/円市場では持ち直しの展開となった。ただ、5月に入ると再び円高基調が強まり5月19日安値115.03円まで円高基調が進んだ。その後は、上げ下げを繰り返しながら120円の上値を意識しながら110円台後半で推移した。
7月5日にSARS封じ込め成功との発表があった翌営業日に7日はドル/円の反応が鈍い展開となった。7月15日まで円高が進んだものの、その後は緩やかに円安基調となった。しかし、03年8月1日に120.68円がピークとなった後は、一転円高基調となり04年2月中旬まで円高となり105.14円付近まで円高が続いた。
感染の初動報道では反応は鈍かったが、徐々にリスク回避の動きが強まり約1ヵ月超に渡り円高基調が継続した。ただ、3月頃の感染がピークとなった頃から円安基調となった。その後はもみ合いながらも、5円幅前後のボラティリティの高い変動となった。
週明けは109円台を割れて108円後半まで円高基調となっているが、感染者が増加している初動なのでドル/円の値ごろ感からの買いは注意が必要である。SARSの時はかなり変動幅が大きくなったことから、ロスカットは早めにする必要がある。感染者の増加が止まるまでは注意が必要となる。また、新型コロナウイルスが世界経済に与える影響次第では、感染封じ込め成功後もリスク回避の円高が継続する可能性もある。
★1月20日以降の東京金60分足では、日付が変わる前後に大陽線による上昇となったが、引けにかけては上値を切り下げる展開となった。本日寄り付き直後に雲のネジレがあることから、トレンドの加速や反転など相場の節目になりやすいので注意が必要となる。
NY金先物市場は1555.80-1575.50ドルのレンジ相場となった。中国の新型肺炎の世界的な感染拡大懸念で、安全資産の金が買われた。米疾病対策センター(CDC)は米国で2人目、3人目の新型コロナウイルス感染が確認されたと発表した。米国株安や米長期金利の低下を受けて安全逃避的な金買いが優勢となった。
価格帯別出来高では、出来高の多い価格帯を上回っていることから、一旦上値が重くなると利食い先行の動きが強まりやすい。そのため、一時大陽線による上昇となったものの、上値が重くなったことで引けにかけて買い方からの利食い売りが入ったものと思われる。ただ、引けにかけて下ヒゲロウソク足となっていることで、押し目買い引けとなった。
MACD(パラメータ:12、26、9)は、ゼロライン近辺でもみ合った後、急速に上昇基調となった。ただ、MACDの上昇がやや鈍化している。また、ストキャスティクス・スロー(パラメータ:14、3、3、20、80)は、買われ過ぎから%DがSlow%Dを下抜け、両線とも下向きとなっていることから、下押しバイアスが強くなってきている。引けにかけて上値を切り下げる展開となっていることで、寄り付き直後の動きがポイントとなる。
東京金の60分足では、上値の重い展開となっていたが、日足では5日SMAの5,500円を再び上抜けしてきたことから、短期的には回復基調となっている。10日SMAの5,493円近辺がサポートラインとして意識されている。NY金は、新型コロナウイルスの感染が拡大していることから、安全資産とされるNY金買いになりやすい。ただ、為替市場ではリスク回避の円買いが強まりやすく、週明け早朝は108円台後半まで円高が進行している。そのため、東京金の上値を抑える要因となる。
週末を通して新型コロナウイルスの感染者が急増し、世界へ拡散してきた。そのため、リスク回避の動きが強まりやすいことから、安全資産とされる金買いが強まりやすい。一方で、リスク回避の円買いも強まりやすく、東京金の上値を抑える。そこで、NY金の上昇に対して東京金の上値の重さが意識される可能性がある。5日SMAと10日SMA前後でもみ合い相場が続いていることから、もみ合いから放れると大きな動きとなりやすいので注意が必要となる。
★欧州市場朝方の取引では、感染が拡大している新型コロナウイルスによる肺炎に関して、世界保健機関(WHO)が『国際的な公衆衛生上の緊急事態』との判断を見送ったことを受けたリスク回避緩和の流れが持続した。なお、欧州株は反発して取引を開始した。日米株価指数先物が強含み、米長期金利も上昇傾向となるとドルはじり高となった。欧州市場中盤の取引では、米長期金利が失速となったが、ドルは全般底堅く推移した。対欧州通貨でのドル高を支えに底堅いものの、上値も限られた。
米長期金利が1.70%台まで低下したことなどが相場の重石となったほか、1月米製造業PMI速報値が予想を下回ったこともドル売りを誘った。その後、米疾病対策センター(CDC)が米国で2人目の新型コロナウイルス感染が確認されたと発表したこと受けて、NYダウがマイナス圏に沈み、リスク回避の円買いとなった。さらに、CDCが3人目の新型コロナウイルス感染が確認したとの報道を受けて円買いが強まった。中国の新型コロナウイルスの感染拡大懸念でNYダウが250ドル超安まで下げ幅を拡大し、米長期金利が1.67%台まで低下したことをながめドル売りが継続した。
★欧米主要経済指標
・独・1月製造業PMI速報値:45.2(予想:44.5、12月:43.7)
・独・1月サービス業PMI速報値:54.2(予想:53.0、12月:52.9)
・独・1月総合PMI速報値:51.1(予想:50.5、12月:50.2)
・ユーロ圏・1月製造業PMI速報値:47.8(予想:46.8、12月:46.3)
・ユーロ圏・1月サービス業PMI速報値:52.2(予想:52.8、12月:52.8)
・ユーロ圏・1月総合PMI速報値:50.9(予想:51.2、12月:50.9)
・英・1月製造業PMI速報値:49.8(予想:48.8、12月:47.5)
・英・1月サービス業PMI速報値:52.9(予想:51.1、12月:50.0)
・英・1月総合PMI速報値:52.4(予想:50.7、12月:49.3)
・米・1月製造業PMI速報値:51.7(予想:52.5、12月:52.4)
・米・1月サービス業PMI速報値:53.2(予想:53.0、12月:52.8)
・米・1月総合PMI速報値:53.1(12月:52.7)
★欧米市場のポイント
・ドル/円は109.12∸65円のレンジ相場
・良好な英経済指標受け利下げの思惑がやや後退
・ECBによる金融緩和政策の長期化観測でユーロ売り
・米1月製造業PMIが予想を下回ったことでドル売り
・新型コロナウイルスの感染拡大を嫌気
・VIX指数は12.98から14.56へ上昇
★NY株式市場では、三指数が下落したうえ、米長期金利も大幅低下したことでイールドスプレッドは前日比で三指数ともに拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。そのため、三指数ともに割高感は徐々に緩和されているが、割安感には至っていない。株価が上値追いとなるには米長期金利の低下がポイントとなる。また、市場の注目は米国企業の10-12月期決算結果や欧米の貿易協議に移ってきている。そのため、欧米タイムで株価指数が動きやすい展開となっている。新型コロナウイルスの感染者拡大などのネガティブ報道には十分注意する必要がありそうだ。NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。三指数とも割高危険水位までスプレッドが縮小してきているので注意。
NYダウは、5日SMAの29,176ドルと10日SMAの29,087ドルを下抜けしたが、25日SMAの28,791ドルがサポートとなり下げ止まった。5日SMAが下向きとなっており、10日SMAとデッドクロスし、25日SMAを下抜けするようなら、下落調整的な動きが継続する。また、ストキャスティクス・スロー(パラメータ:14、5、3、20、80)も、買われ過ぎ過熱感から%DがSlow%Dを下抜けしてきており、下落基調になっている。欧米貿易協議の行方や米企業決算結果やコロナウイルスの感染拡大報道などで上下に振れやすくなっている。米国株には下落調整色が強まってきたので、警戒する必要がありそうだ。
★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。
そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。
○米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲4.145%
・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲3.069%、19/4/25-▲3.048%
20/01/17‐▲3.018%
(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/6/3-▲4.038%、
19/8/5-▲4.102%
(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)
・1月23日:▲3.135%⇒1月24日予想▲3.208%
1月24日のNYダウが大幅下落したうえ、米長期金利も大幅低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲4.145%から▲0.937%と平均値よりかい離していることで割高になっている。18年12月3日の天井となった▲3.069%まで▲0.139%に接近した。19年4月25日の天井となった3.048%まで▲0.160%に縮小した。20年1月17日の天井となった▲3.018%まで▲0.190まで接近した。米長期金利が低下したうえ株価も下落したことで、イールドスプレッドは拡大し徐々に割高感も緩和してきた。
NYダウが下落したことで株式益利回りは上昇した。また、米長期金利も低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大した。米国債券に対してNYダウが前日比で割安となった。前日比では米国債券を買うよりもNYダウを買う方が良いことになる。米疾病対策センター(CDC)が米国内で2人目の新型コロナウイルスによる肺炎の感染を確認したと発表すると、米国内の感染拡大を警戒した売りが優勢となった。『フランスでも新型肺炎の感染2例を確認』と伝わると売りが加速し、一時310ドル超下げた。また、すでに米中貿易摩擦で鈍化の兆しが現れていた中国経済が、一段と落ち込むとの懸念も売り材料となった。
○米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲3.486%
・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲2.731%、19/4/25-▲2.966%
20/01/17-▲2.990%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/6/3-▲3.881%、
19/8/5-▲4.002%、19/8月15日-4.179%
・1月23日:▲3.105%⇒1月24日予想▲3.193%
S&P500が下落したうえ、米長期金利も低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲3.486%から▲0.293%とかい離していることで割高になっている。また、18年12月3日の天井となった▲2.731%まで▲0.462%に接近した。19年4月25日の天井となった2.966%まで▲0.227%に接近した。20年1月17日の天井となった2.990%まで▲0.194%に接近した。S&P500のイールドスプレッドは3.2%弱まで回復しており、過度な過熱感は緩和してきている。
○米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲2.133%
・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、19/4/25-1.468%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/6/3-▲2.328%、
19/8/5-▲2.383%、 19/8/15-▲2.498%
・1月23日:▲1.826%⇒1月24日予想▲1.904%
NASDAQが下落したうえ、米長期金利も大幅に低下したことからイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲2.133%から▲0.229%と平均値より縮小した。また、18年12月3日の天井となった▲1.198%まで▲0.706%に接近した。19年4月25日の天井となった▲1.468%まで▲0.436%に接近した。NASDAQは15日のPERが29倍台後半から27倍台後半に急低下した。そのため、割高感が修正されたこともあり底堅い展開となりやい。
NASDAQはハイテク関連銘柄が多く米中貿易摩擦の影響が大きく、三指数の中で上下に振れるボラティリティが最も高くなっている。特に米中通商協議の行方に左右されやすく、報道に振れやすい地合いとなっている。米中貿易交渉の進展期待が高まると買われやすい。一方で、米中関係悪化の報道では、売られやすい展開になりやすい。米中間で『第1段階合意』は署名されたが、次は『第2段階合意』に向けて米中間で協議される。そのため、今後も米中貿易摩擦に関する報道に振られる展開が予想される。中国発の新型コロナウイルスの感染が拡大してきた。2003年に発生したSARS発生後では、中国GDP第1四半期は11.1%だったが、第2四半期のGDPは9.1%に低下した。そのため、感染拡大の規模が大きくなると中国経済に悪影響を与える。
三指数のイールドスプレッドは、三指数が下落したうえ、米長期金利も大幅低下したことで三指数ともに拡大した。新型コロナウイルスの感染が拡大するようなら、リスク回避の債券買いになりやすく米長期金利が低下しやすい。そのため、今後リスク回避の株価下落と米長期金利が低下するようなら、イールドスプレッドは拡大しやすく米国株の割高感が払しょくされる。ただ、三指数とも割安感が出るには至っておらず、下落の余地は残っている。
※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。
※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。
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