★NY株式市場では、三指数が上昇したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で三指数ともに縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。株価の下げ止まりや上値追いとなるには米長期金利の低下が重要ポイントとなる。また、新型コロナウイルスの感染者拡大が続いており、ネガティブな報道で株価が大幅下落しやすいので十分注意する必要がある。ウイルスのワクチン完成や感染者が縮小するような動きになるまでは、リスク回避の動きが継続しやすい。NASDAQには割安感も出始めていることから、底堅い展開が予想される。
NYダウは、5日SMAの28,595ドルと25日SMAの28,821ドルがレジスタンスとなり下落基調続いている。ただ、75日SMAの28,076ドルがサポートラインとなり下げ止まるかが注目点となる。5日SMAが下向きとなっており、10日SMAとデッドクロスし両線とも下向きとなっていることから、短期的には下落基調が継続している。一方で、ストキャスティクス・スロー(パラメータ:14、5、3、20、80)は、%Dが横ばいとなってきており、下落の勢いが鈍化してきている。さらに、欧米貿易協議の行方と米企業決算結果やコロナウイルスの感染拡大報道などで上下に振れやすくなっている。割安感の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。
★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。
そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。
○米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲4.396%
・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲3.069%、19/4/25-▲3.048%
20/01/17‐▲3.018%
(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/6/3-▲4.038%、
19/8/5-▲4.102%
(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)
・1月31日:▲3.636%⇒2月3日:予想▲3.589%
2月3日のNYダウが上昇したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲4.396%から▲0.807%と平均値よりかい離していることで現在は割高になっている。19年1月3日の大底▲4.226%を▲0.637%と縮小した。19年6月3日の大底4.038%を▲0.449%と縮小した。19年8月5日の大底▲4.102%を▲0.513%と縮小した。
NYダウが上昇したことで株式益利回りは低下した。また、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小した。米国債券に対してNYダウが前日比で割高となった。前日比ではNYダウを買うよりも米国債券を買う方が良いことになる。新型肺炎の拡大を懸念した売り圧力がひとまず和らぎ反発して始まったあとは、前週末に大幅下落した反動で自律反発狙いの買いも入り一時370ドル超上げた。1月ISM製造業景況指数が節目となる50以上に回復したことが好感されたほか、中国人民銀行が市場に1730億ドルを供給したことでコロナウィルスによる経済鈍化懸念が和らぎ、終日堅調推移となった。
○米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲3.750%
・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲2.731%、19/4/25-▲2.966%
20/01/17-▲2.990%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/6/3-▲3.881%、
19/8/5-▲4.002%、19/8月15日-4.179%
・1月31日:▲3.634%⇒2月3日予想▲3.576%
S&P500が上昇したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲3.750%から▲0.174%とかい離していることで現在は割高になっている。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%に対して▲0.293%より縮小。19年6月3日の大底となった3.881%から▲0.305%とイールドスプレッドは縮小。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%から▲0.426%縮小した。19年8月15日の▲4.179%とは▲0.603%より縮小した。
○米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲2.399%
・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、19/4/25-1.468%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/6/3-▲2.328%、
19/8/5-▲2.383%、 19/8/15-▲2.498%
・1月31日:▲2.359%⇒2月3日予想▲2.286%
NASDAQが大幅上昇したうえ、米長期金利も上昇したことからイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲2.399%から▲0.113%とかい離していることで現在は割高になっている。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては+0.107%上回った。19年6月3日の大底となった▲2.328%に対して▲0.042%縮小した。19年8月5日の大底となった▲2.383%から▲0.097%と縮小した。19年8月15日の大底となった▲2.498%から▲0.212%縮小した。
NASDAQはハイテク関連銘柄が多く米中貿易摩擦の影響が大きく、三指数の中で上下に振れるボラティリティが最も高くなっている。特に米中通商協議の行方に左右されやすく、報道に振れやすい地合いとなっている。『第2段階合意』に向けて米中間で協議される。そのため、今後も米中貿易摩擦に関する報道に振られる展開が予想される。また、中国発の新型コロナウイルスの感染が拡大してきた。2003年に発生したSARS発生後では、中国GDP第1四半期は11.1%だったが、第2四半期のGDPは9.1%に低下した。そのため、感染拡大の規模が大きくなると中国経済に悪影響を与え、NASDAQの上値も抑えられる。ただ、NASDAQは割安感も出てきていることから、戻り基調になると大きな戻り相場となりやすい。ただ、世界的にリスク回避の動きとなっており、どこまでイールドスプレッドが拡大するか注目点となる。
三指数のイールドスプレッドは、三指数とも上昇したことや、米長期金利が上昇したことで三指数ともに前日比で縮小した。新型コロナウイルスの感染急速に拡大していることから、リスク回避の債券買いになりやすく米長期金利が低下しやすい。そのため、今後リスク回避の株価下落と米長期金利が低下するようなら、イールドスプレッドはより拡大しやすく米国株の割高感が出てくる。NASDAQには割安感も出てきていることから、引き続き戻り場面では大きな動きになりやすい。
※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。
※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。
★1月28日以降の東京金60分足では、240時間SAM(茶線)と雲の下限がレジスタンスとして意識され上値の重い展開が続いた。雲の下限が上向きになるが、上値では各SMAがレジスタンスとして意識されやすく上値の重い展開が予想される。また、夜間取引から雲のネジレがあり、トレンドの加速や反転など相場の節目になりやすい。
NY金先物市場は1573.20-1598.50ドルのレンジ相場となった。新型肺炎の拡大懸念は引き続きあるものの、米国株式市場が反発しドルが堅調に推移していることでリスク回避の地合いが弱まり、金先物価格は続落した。一時1,600ドルに迫ったが、利益確定を狙った売りが増えた。
価格帯別出来高では、上値に出来高が多い価格帯があり戻り場面では、買い方からの『やれやれ売り』が入りやすく上値の重石となる。
MACD(パラメータ:12、26、9)は、ゼロラインの下方でわずかにシグナルを上抜けしてきた。また、ストキャスティクス・スロー(パラメータ:14、3、3、20、80)も%DとSlow%Dが上向きとなっており、戻り基調が継続している。
東京金の日足では、5日SMAと10日SMAがほぼ重なるような動きとなっており、もみ合い相場が継続している。25日SMAの5,463円が緩やかに上昇してきており、サポートラインとして意識される。ただ、ストキャスティクス・スロー(パラメータ:14、5、3、20、80)では、上値を切り下げる動きとなっており下落基調の兆しが出ているので注意が必要となる。NY金は心理的な節目となる1,600ドルを目前にして、利益確定売りが入りやすい地合いとなっている。為替市場では、108円台半ばでドルが底堅い展開となっており、東京金の下支えとなっている。
本日の注目点も5日SMAと10日SMAを維持出来るのか、それとも下値トライとなるかにある。もみ合い相場が続いていることから、上放れ・下放れすると大きな動きになりやすい。ただ、新型コロナウイルスが猛威を振るっているなど、世界的な景気減速リスクが高まっていることから、下押し場面では押し目買いが入りやすい。
★欧州市場朝方の取引では、米長期金利反発を背景にドル売りは後退した。なお、欧州株は小幅反発して取引を開始した。欧州勢の参入とともに強まったドル買いが一巡すると、米長期金利が低下する中、108.70円を目先の上値として意識されドルが失速した。英・EU間の通商協議に対する先行き不透明感が意識され、クロス円の下落につれたドル売りが強まった。また、米長期金利の上昇一服や日経先物の下落なども相場の重石となった。
NY勢参入後にドル売りは一服したものの、ドルの買い戻しの勢いも限定的だった。NYダウが一時340ドル超上昇したほか日経先物が持ち直し、1月米ISM製造業景気指数が予想を上回ったことで、ドル買いが優勢となった。しかし、米疾病予防管理センターが2件目の人から人への新型肺炎の感染を発表するとドル売りが優勢なった。ドルは対ポンドや対カナダドルで堅調地合いを維持したことで、ドル/円の下値も限られた。
★欧米主要経済指標
・独・1月製造業PMI改定値:45.3(予想:45.2、速報値:45.2)
・ユーロ圏・1月製造業PMI改定値:47.9(予想:47.8、速報値:47.8)
・英・1月製造業PMI改定値:50.0(予想:49.8、速報値:49.8)
・米・1月製造業PMI改定値:51.9(予想:51.7、速報値:51.7)
・米・1月ISM製造業景況指数:50.9(予想:48.5、12月:47.8←47.2)
・米・12月建設支出:前月比‐0.2%(予想:+0.5%、11月:+0.7%←+0.6%)
★欧米市場のポイント
・ドル/円は108.41-80円のレンジ相場
・英国とEUのFTA交渉が難航するとの懸念からポンド売り
・1月米ISM製造業景気指数が市場予想を上回りドル買い優勢
・米疾病予防管理センターが2件目の新型肺炎の感染を発表
・中国当局が景気への影響を阻止する景気刺激策を好感
・VIX指数は18.84から17.97へ低下
★東京ゴムRSS3の日足で、2019年10月3日安値154.3円と2020年1月17日高値208.7円結んだフィボナッチ・リトレースメントと白銀比率から分析する。一旦50%押しである181.5円を下抜けしたものの、白銀比率の70.7%押しとなる170.2円がサポートとなり戻り基調に転じた。50%押しを一時回復したものの、75日SMA(緑線)の186.56円がレジスタンスとして意識され、再び下押しする展開となり50%押しを下抜けた。そして、再び白銀比率70.7%がサポートとなり、下げ止まる展開となっている。ただ、上値では100日SMA(黒線)の180.97円と50%押しの181.5円がレジスタンスとして意識されている。
1月27日と同様に白銀比率70.7%がサポートとなって下ヒゲロウソク足となっている。そのため、明日のロウソク足が重要ポイントとなる。また、再び白銀比率70.7%で下げ止まると『三点同値は買いに歩あり』となり酒田五法では買いシグナルとなる。
そのため、もう一度白銀比率70.7%がサポートとなるのかが注目点となる。下抜けすると下値模索の動きになりやすい。
★SARS時のNYダウと日経225の相場動向を見てみる。2002年11月27日にWHOへの報告があったものの、数日間は共に上昇基調となっていた。しかし、一転して下落基調となった。今回も当初は株式市場への影響は軽微であったが、感染者や死亡者の増加と共に株式市場への影響も大きくなってきた。
2003年3月頃に大流行の兆しとなったが、NYダウは3月11日に底値となり回復基調となった。日経225もNYダウの上げに連れて戻り基調となったものの、再び下落基調となり4月28日の大底を付けるまで下落基調が続いた。この間はNYダウと逆相関の動きとなった。
SARSの時はちょうど大流行の兆しが出た3月頃にNYダウがボトムアウトした。それに遅れること約1ヵ月半で日経225はボトムアウトした。7月5日のSARS封じ込め成功の発表時にはNYダウと日経225はSARS発表時よりも高値を付けた。
今回も新型コロナウイルスのワクチン開発や感染者減少などポジティブ材料が出たところが、反転のきっかけとなりやすい。現在はワクチンもなく感染者も拡大していることで、リスク回避の動きになっている。
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