FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

2018/12/03/15:22:39

12月5日は米国金融市場は休場

ホワイトハウスのサンダース報道官は1日、トランプ大統領が12月5日を国民追悼の日に定めると発表した。報道によると、NY証券取引所、ナスダックの米株式・オプション市場が休場となる。米証券業金融市場教会は債券現物市場の5日の休場を勧告している。

 

日経平均株価:米中貿易戦争の一時休戦を好感した買い優勢

米中首脳会談で中国へ追加関税の猶予が決まり、米中の『貿易戦争』一時休戦を高官した海外ヘッジファンドなどが先物に買いを入れて現物株市場で裁定買いを誘った。結局、7日続伸となる前週末比223円高の2万2574円で終了した。

 

東京外国為替市場:米中首脳会談を受けてリスク選好の円売り先行

ドル/円は、週末に行われた米中首脳会談において、米国が中国に対する追加関税の先送りを決定したことからリスク選好の円売りが先行し、113.80円近辺で取引が始まった。しかし、113円台後半で上値の重さが確認されると、利益確定売りに押され113円台半ばまで値を下げた。FRBの利上げ打ち切りの観測が浮上していることも、ドル売りにつながった。午後もこの流れが続き、113.43円まで軟化した。しかし、30日のNY市場で付けた113.41円が下値の目処として意識されると、下げは一服した。その後は113.50円を挟んでもみ合い相場となった。ユーロ/ドルは、一部メディアが『イタリアのコンテ首相は、財政赤字目標を対GDP比で1.9~2.0%に設定する用意がある』と報じたことがユーロ買いを誘い、1.137ドル近辺へ上昇した。

 

仮想通貨は小規模マイナー(採掘業者)の撤退により軟調推移

仮想通貨ビットコイン(ドル建て)価格は、4040ドル台前後で軟調推移している。25日に付けた昨年9月以来の安値3400ドル台から持ち直していたが戻りが鈍く、ビットコインキャッシュ(BCH)の分裂騒動を契機とした小規模マイナー(採掘業者)の採掘事業断念や手持ち機材やコイン売却の撤退増加の負の影響が続いている。

 

英国議会でEU離脱案の採決を控えポンドの上値は重い

英国とEUが合意した離脱案が英議会で否決されるとの懸念が強く、ポイントは上値の重い動きが続きそう。離脱案の承認をめぐる採決は12月11日午後7時(日本時間12日午前4時)から開始される。英議会で離脱案が否決された場合は、合意なきEU離脱の可能性が高まる。イングランド銀行(BOE)は金融安定方向で、合意なき離脱はGDPを8%押し下げ、ポンドを25%下落させると予想した。また、メイ首相が辞任することも考えられる。辞任しなかった場合は、保守党が『メイ降ろし』の信任投票、また議会で内閣不信任投票が行われる可能性もある。2度目の国民投票を行う可能性もないとは言えない。メイ首相は2度目の国民投票はないと明言しているが、メイ政権が倒れることになれば国民投票の可能性も高まる。

 

米国市場では11月ISM製造業景況指数が公表

10月実績は57.7で2ヵ月連続の低下となった。10月の新規受注は57.4に急低下した。輸入関税導入の影響が出ている。11月については新規受注水準の回復は難しいとみられているが、雇用情勢の改善が期待されており、全体の景況指数は10月実績をやや上回る可能性がある。米利上げ継続方針への期待は弱まっているが、製造業の成長は株高につながり、ドル売りを弱める要因となる。

 

欧米イベント

○16:00   11月トルコ製造業購買担当者景気指数数(PMI)
○16:00   11月トルコ消費者物価指数(CPI、予想:前月比▲0.29%/前年比23.02%)
○17:15   10月スイス小売売上高(予想:前年同月比▲0.6%)
○17:30   11月スイスSVME購買部協会景気指数(予想:56.2)
○17:50   11月仏製造業PMI改定値(予想:50.7)
○17:55   11月独製造業PMI改定値(予想:51.6)
○18:00   11月ユーロ圏製造業PMI改定値(予想:51.5)
○18:30   11月英製造業PMI(予想:51.7)
○22:00   クオールズ米連邦準備理事会(FRB)副議長、講演
○23:15   ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、講演
○23:45   11月米製造業PMI改定値(予想:55.4)
○24:00   10月米建設支出(予想:前月比0.4%)
○24:00   11月米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景気指数(予想:57.5)
○4日02:00   11月ブラジル貿易収支(予想:42億8000万ドルの黒字)
○4日03:00   カプラン米ダラス連銀総裁、講演
○ユーロ圏財務相会合(ブリュッセル)

 

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欧米タイム直前市場コメント!

2018/11/30/15:12:38

日経平均株価:米中首脳会談への期待の買い優勢

週末の米中首脳会談が一定の合意に達するとの期待から短期筋が買い戻しに動き一時上げ幅を100円に迫った。ただ、積極的に上値を追う動きは限られた。結局、前日比88円高の2万2351円と6日続伸して終了した。

 

★東京外国為替市場:月末絡みのドル買いが下支え

ドル/円は、月末に絡む国内輸入企業のドル買い・円売りに支えられ、113.45円付近へ小幅値を上げた。しかし、FRBの利上げ打ち止め時期が想定より早まるとの観測が浮上しており、追随する動きは見られなかった。その後は、日経平均株価の伸び悩みをながめ、113.35円近辺へじり安となった。午後は、週末に予定されている米中首脳会談のイベントを控えて様子見ムードが強まり113.40円近辺でもみ合い相場となった。ユーロ/ドルは、1.1395ドル前後で小動きの展開が続いた。欧州勢待ちの様相となっている。

 

貿易戦争による中国経済の下押し圧力が強まっている

本日発表された中国11月製造業PMI(購買担当者景気指数)が前月比-0.2ptの50.0と3ヶ月連続で悪化し、好不況分岐点「50」丁度へと16年7月(49.9)以来の低水準へ落ち込んだ。米中『貿易戦争』の影響によるもので、特に『新規受注』が前月比-0.4ptの50.4へと悪化し、輸出に限った『新規受注』は前月比+0.1pの47.0と6ヶ月連続で節目「50」を割り込んだ。輸入も同0.5pt低い47.1と5ヶ月連続で50を下回っており、米中『貿易戦争』の影響が中国経済の下押し圧力となって、より顕在化しつつある。中国政府はすでに金融・財政の政策総動員により景気減速に対峙しているが、より一層と内需拡大により安定成長を目指す必要がある。中国経済の減速感が鮮明となってきていることから、今後中国内の不動産価格も押し下げる可能性が高く、近い将来不動産バブル崩壊のトリガーになる可能性もある。

 

欧州市場では11月ユーロ圏消費者物価指数が公表

10月実績(改定値)は前年比+2.2%で2012年12月以来の上昇率となった。エネルギー価格が指数の上昇に寄与した。ただ、10月のコア指数は前年比+1.1%にとどまった。11月については、エネルギー価格の上昇幅がやや縮小すると見られており、需要増による物価への影響は小さいことから、インフレ率は10月実績をやや下回る可能性がある。

 

米国の物価は安定基調:米国金利を押し下げる要因に

米国商務省が発表した10月コアPCE価格指数は前年比+1.8%となり、市場予想+1.9%を下回り、2月来の低水準となった。9月は+2.0%から+1.9%へ下方修正された。10月個人所得は前月比+0.5%となった。伸びは予想+0.4%を上回り、9月+0.2%から拡大、1月来で最大となった。また、10月個人消費支出も前月比+0.6%。伸びはやはり市場予想+0.4%を上回り、3月来で最大となった。
同時刻に米労働省が発表した先週分新規失業保険申請件数は前週比+1万件の+23.4万件と、減少予想に反して、前回22.4万件から増加、5月来で最高となった。失業保険継続受給者数は171万人と、やはり減少予想に反して、前回166万人から増加、年初来で最高となった。 予想を下回ったインフレ指標を受けて米長期金利は低下した。

 

米FOMC議事要旨でパウエルFRB議長の発言を裏付け

FRBは11月7-8日に開催されたFOMCの議事録を公表した。全般的に米国経済は依然強く、財政刺激策の上方リスクや強い消費を認識しているとした。同時に、潜在的なドル高や世界経済の見通しリスク、貿易、企業債務、低いインフレ期待を下方リスクとして認識していると指摘した。また、ほぼ全メンバーがかなり近くの利上げが正当化されるとの見解を示したが、将来の利上げでは、一部のメンバーがタイミングに不透明感を表明した。一部のメンバーはFF金利誘導目標がすでに中立に近いと指摘した。
さらに、声明では『一段の緩やかな利上げ』との文言を削除する可能性を指摘した。今後は、経済指標次第と強調することが必要との指摘も見られた。
パウエルFRB議長やクロリダFRB副議長による最近の講演での、『金利は中立に近づいた』との発言を裏付けた。

 

欧米イベント

○16:00   11月英ネーションワイド住宅価格指数(予想:前月比0.1%)
○16:00   10月トルコ貿易収支(予想:5億ドルの赤字)
○16:00   10月独小売売上高指数(予想:前月比0.3%/前年比2.7%)
○16:00   10月独輸入物価指数(予想:前月比0.5%/前年比4.2%)
○16:45   10月仏卸売物価指数(PPI)
○16:45   11月仏消費者物価指数(CPI)速報値(予想:前月比▲0.2%/前年比2.0%)
○17:00   11月スイスKOF景気先行指数(予想:99.5)
○18:00   11月ノルウェー失業率(予想:2.2%)
○19:00   10月ユーロ圏失業率(予想:8.0%)
○19:00   11月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値(予想:前年比2.0%)
○19:00   メルシュ欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○19:00   外国為替平衡操作の実施状況(介入実績)
○20:00   7-9月期ブラジル国内総生産(GDP、予想:前年同期比1.6%)
○21:00   7-9月期インドGDP(予想:前年同期比7.4%)
○21:00   10月南アフリカ貿易収支(予想:22億5000万ランドの赤字)
○21:45   クーレECB理事、講演
○22:30   9月カナダGDP(予想:前月比0.1%)
        7-9月期カナダGDP(予想:前期比年率2.0%)
○22:30   10月カナダ鉱工業製品価格(予想:前月比▲0.5%)
○22:30   10月カナダ原料価格指数(予想:前月比▲5.3%)
○23:00   ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、講演
○23:45   11月米シカゴ購買部協会景気指数(予想:58.0)
○G20首脳会議(ブエノスアイレス、12月1日まで)
○12月1日 米中首脳会談

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欧米タイム直前市場コメント!

2018/11/29/15:17:13

日経平均株価:リスク選好でも利益確定売りに押される

米FRB利上げ打ち止めが早まるとの思惑で前日のNYダウ617ドル高の大幅3日続伸で投資家心理が改善し米中首脳会談の関税凍結合意の期待と相まって買い優勢となり、一時上げ幅を260円に広げた。しかし、5日続伸で高値警戒感から利益確定売りに押された。結局、前日比85円高の2万2262円と5日続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:パウエル米FRB議長発言後ドルが総じて弱い展開

ドル/円は、前日に行われたパウエルFRB議長の講演が前回よりハト派的な内容と受け止められ、ドルが主要通貨に対して下悪した流れを引きつぎ113.40円付近まで下落した。米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表が、中国からの輸入車に対する関税について強硬姿勢を示していることも、ドルの重石となった。午後もこの流れが続き、米長期金利の低下や日経平均株価の上げ幅縮小をのがめてさらにドル売り・円買いが進み113.23円付近まで下落した。ユーロ/ドルは、FRBの利上げペースが鈍化するとの思惑から持ち高調整などのユーロ買い・ドル売りが入り1.1390ドル付近へじり高となった。

 

貿易関税で米小売企業の受注減少で中国のサプライヤーも窮地に

米小売り大手は、関税発動による痛みが広がるのに伴い、発注の削減や値下げ要求などを通じ、中国のサプライヤーへの圧力を強めている。
広報担当者の話や決算会見によると、小売り大手ウォルマートやホームセンター大手ホームデポは、関税が引き上げられたり対象が拡大したりする可能性に備え、発注を前倒ししている。関係筋によると、ネット小売り大手アマゾン・ドット・コムは、関税の影響で他社よりも安い価格で販売できない一部の自社製品について、発注を減らしている。

 

米国住宅指標が低水準に:米国金利上昇の影響がじわり

米商務省が発表した10月新築住宅販売件数は54.4万戸となり、市場予想57.5万戸を下回り、2016年3月以降2年半ぶりの低水準となった。一方、9月分は59.7万戸と、55.3万戸から上方修正された。新築住宅が住宅市場に占める割合は小さいが、契約時点での統計であるため、住宅市場の先行指標として注目される。5カ月連続の減少で米国の住宅市場の停滞が再確認された。 同時刻に発表された米国の11月リッチモンド連銀製造業指数は14と、予想外に10月15から低下。4月来で最低となった。

 

米国の7-9月期GDPは予想通りで景気は底堅いも

米商務省が発表した7-9月期国内総生産(GDP)改定値は前期比年率+3.5%となり、市場予想通り速報値の水準を維持した。7-9月期個人消費改定値は前期比年率+3.6%。伸びは予想+3.9%を下回り、速報値+4.0%から下方修正された。GDP価格指数改定値は前期比+1.7%と、予想に一致し、速報値から修正はなかった。
同時刻に発表された10月前渡商品貿易収支は772憶ドルの赤字となった。赤字幅は過去最高に達しとなり、市場予想770憶ドルを上回った。輸出が大幅に減少。

 

米国市場では10月PCEコア指数が公表

9月実績は前年比+2.0%となった。また、10月消費者物価コア指数は前年比+2.1%で上昇率は鈍化した。10月のコアPCEは、家賃、保険、衣料品価格の上昇率がやや鈍化するかの巣英があることから、全体の物価上昇率は9月実績を下回る可能性がある。

 

米国市場では米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨が公表 

11月7-8日開催分のFOMCの議事要旨が公表されるが、ハト派寄りの意見が多く含まれていた場合、2020年まで利上げスタンスは継続しないとの観測が広がりやすい。また、12月利上げ期待もやや低買いしており、ドル売りが本格化する可能性も残る。

 

欧米イベント

○15:00   10月南アフリカマネーサプライM3(予想:前年比7.05%)
○15:45   7-9月期スイス国内総生産(GDP、予想:前期比0.4%/前年比2.9%)
○16:45   10月仏消費支出(予想:前月比0.5%)
○16:45   7-9月期仏GDP改定値(予想:前期比0.4%)
○17:00   デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演
○17:30   7-9月期スウェーデンGDP(予想:前期比0.3%)
○17:55   11月独雇用統計(予想:失業率5.1%/失業者数変化▲1万人)
○18:30   10月英消費者信用残高(予想:10億ポンド)
○18:30   10月英マネーサプライM4
○18:30   10月南アフリカ卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.6%/前年比6.3%)
○19:00   11月ユーロ圏消費者信頼感指数(確定値、予想:▲3.9)
○19:00   11月ユーロ圏経済信頼感指数(予想:109.0)
○22:00   11月独消費者物価指数(CPI)速報値(予想:前月比0.2%)
○22:30   7-9月期カナダ経常収支(予想:115億カナダドルの赤字)
○22:30   10月米個人消費支出(PCE、予想:前月比0.4%)
       個人所得(予想:前月比0.4%)
        PCEコアデフレータ(予想:前月比0.2%)
○22:30   前週分の米新規失業保険申請件数(予想:22万件)
○23:00   10月米住宅販売保留指数(仮契約住宅販売指数、予想:前月比0.5%)
○30日04:00   米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(11月7-8日分)
○30日04:00   メスター米クリーブランド連銀総裁、エバンズ米シカゴ連銀総裁、ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁、カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、討議に参加
○30日05:00   カプラン米ダラス連銀総裁、ローゼングレン米ボストン連銀総裁、討議に参加
○20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議(アルゼンチン・ブエノスアイレス)

 

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欧米タイム直前市場コメント!

2018/11/28/15:10:30

日経平均株価:米中貿易交渉の合意期待で買い優勢

米政府が27日に米中首脳会談の開催を正式発表し貿易交渉の合意期待に海外投資家の先物への買いが先行し値がさ株への裁定買いに上げ幅を広げた。一方で、欧州連合(EU)関係者の『米政権が来週にも輸入車に関税を課す』との発言が伝わり自動車株への連想売りが重荷となとなった。結局、前日比224円高の2万2177円と4日続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:日本株高を好感してリスク選好の円売り

ドル/円は、日経平均株価の続伸に支えられ、113.85円近辺まで上昇した。しかし、心理的節目となる114.00が視野にはいると、上げ幅は一服した。その後は、月末に絡んだ国内輸出企業のドル売り・円買いが入り、113.80を挟んでもみ合いとなった。午後は、日経平均株価が上げ幅が拡大したことや、中国株高を好感した円売りが優勢となり、113.90円まで上昇した。ユーロ/ドルは、1.1295ドル前後でのもみ合い相場となった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

パウエル米FRB議長の講演に市場は注目

FRBのパウエル議長は28日、NYエコノミッククラブで講演を予定している。投資家は議長が10月に示した『利上げ打ち止めには程遠い』との見解を修正するかどうかに焦点を当てている。10月の株式相場は急落した。このため、一部投資家はFRBがタカ派姿勢を緩めるのではないかと期待している。 しかしながら、パウエル議長がFRBの利上げ打ち止めを示唆する確率は非常に低いと考える。議長は、貿易戦争の激化、米国や世界経済の成長減速リスクへの懸念が浮上する中、『FRBは引き続き利上げ軌道の見直しを続ける』と繰り返す可能性が高い。 FOMCは2019年に3回の利上げを予想している。一方で、投資家は慎重で、1回の利上げを織り込んでいるに過ぎない。FOMCメンバーは、経済の状況が維持できれば、緩やかな利上げを継続する可能性が強いと繰り返している。 議長の『金利は中立水準に程遠い』との見解が市場を震撼させた。市場は、速すぎる利上げを回避することをFRBが保証することを求めている。議長が28日の演説で、行き過ぎた利上げに踏み切らない確信を与えられるかどうかに注目が集まる。

 

米中首脳会談次第では1ドル=7元大台突破の可能性も

週末の30日にアルゼンチンの首都ブエノスアイレスで開幕する主要20カ国・地域(G20)首脳会議、G20に合わせて予定される米中首脳会談に世界の注目が集まっており、足もとの人民元は様子見ムードが強い。ただ、米中首脳会談の難航も懸念されるなか、人民元は約10年ぶりの1ドル=7元大台突破は回避しているものの、6.9元台の人民元安水準での推移が続いている。米中首脳会議が米中の対立激化に歯止めをかけられるとの期待感も少なくないが、強気同志の会談は物別れに終わる可能性が高く、首脳会議後の人民元が7元大台を試す動きとなる可能性が高い。中国は国内の不良債権処理に追われており、景気減速も見られるなか、貿易戦争の激化は避けたいのが本音である。また、米国にとっても貿易戦争の激化は一層の関税引き上げなどによるインフレを招き、減税策が効果を失う恐れがある。中国は貿易黒字削減には前向きな姿勢を示す可能性はあるものの、トランプ政権が重要視している知的財産権の侵害などについては妥協する可能性は低い。

 

米露の新たな火種:ロシアによるウクライナ艦船拿捕事件

ロシアによるウクライナ艦船の拿捕(だほ)事件が米国とロシアの間で新たな火種に急浮上してきた。26日の国連会合で双方は非難の応酬を展開した。しかし、ロシアによるクリミア半島併合に関わるだけに歩み寄りの余地は小さい。今週末のG20首脳会議にあわせて調整している米ロ首脳会談でも議論になりそうだ。ただ、対ロ強硬に染まる米政権で唯一ともいえる例外なのがトランプ大統領でもある。26日にはホワイトハウスで記者団に「私たちの立場はよく知られている。この状況を快く思っていない」とウクライナへの圧力を続けるロシアに不満をにじませたが、明確な批判は避けた。

 

米国市場では7-9月期国内総生産改定値を公表

速報値では、個人消費は前期比年率+4.0%の高い伸びを記録した。4-6月期実績の+3.8%増を上回った。減税効果による可処分所得の拡大が支出を促した。民間在庫投資が増加したことも成長に寄与した。改定値では個人消費、在庫投資、純輸出などの数値が改訂される可能性がある。

 

欧米イベント

○15:30   レーン・アイルランド中銀総裁、講演
○16:00   12月独消費者信頼感指数(Gfk調査、予想:10.5)
○16:00   7-9月期南アBER消費者信頼感指数(予想:15)
○18:00   10月ユーロ圏マネーサプライM3(予想:前年比3.5%)
○21:00   MBA住宅ローン申請指数
○21:05   クーレ欧州中央銀行(ECB)理事、講演
○22:00   デギンドスECB副総裁、講演
○22:30   7-9月期米国内総生産(GDP)改定値(予想:前期比年率3.5%)
○24:00   10月米新築住宅販売件数(予想:前月比3.7%/57万5000件)
○24:00   11月米リッチモンド連銀製造業景気指数(予想:15)
○29日00:20   プラートECB専務理事、講演
○29日00:30   EIA週間在庫統計
○29日01:30   米財務省、インフレ指数連動2年債入札
○29日01:30   イングランド銀行(BOE)、半期金融安定報告書とストレステストの結果発表
○29日01:45   カーニーBOE総裁、記者会見
○29日02:00   パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、講演
○29日03:00   米財務省、7年債入札
○20カ国・地域(G20)財務相代理会合、財務相ワーキングディナー(アルゼンチン・ブエノスアイレス、29日まで)

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欧米タイム直前市場コメント!

2018/11/27/15:16:44

日経平均株価:前日の米国株上昇につれた買い優勢

前日NYダウが350ドル超の上昇を受け先物への継続的な買いが先行した。ハイテク株中心に見直し買いを誘い一時上げ幅を194円に広げた。結局、前日比140円高の2万1952円と3日続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:ドルは底堅く113円台半ば近辺で推移

ドル/円は、日経平均株価が伸び悩むと、持ち高調整などのドル売り・円買いに押されて113.38円まで下落した。早朝にトランプ大統領が、新たな対中関税を発動する可能性に言及したことも、引き続きドルの重石となった。しかし、感謝祭翌週の米サイバーマンデーが好調で、年末商戦の期待が高まっており、下値を追う動きは限られた。午後は、日経平均株価の上げ幅拡大をにらみながら113.50円前後でもみ合いが続いた。今晩のFRBメンバーの講演内容を見極めたいとのムードが広がり、上下に動き難い展開となった。ユーロ/ドルは、イタリア政府が財政赤字目標を引き下げる方向で調整していることが好感され、1.1340ドル台へじり高となった。

 

英国でのEU離脱協定を巡る対応に注目:ポンドは波乱含み

英国市場では、英国内でのEU離脱協定を巡る対応が注目材料となる。25日にはEUが臨時首脳会議を開き、英国のEU離脱合意案を正式了承した。一方で英国内では、メイ首相が推し進めた合意への反発が与野党で拡大した。英議会では12月から来年にかけて離脱合意に関する一連の審議・採決が行われる見通しとなっており、ポンドは承認の進展と反対激化に一喜一憂の不安定さが続きそうである。

 

米12月利上げ観測が残る限りはドルは底堅い展開か

米国市場ではFRB幹部の発言機会が相次ぐほか、29日にはFOMCの議事録(11月7-8日の開催分)が公表される。貿易摩擦や世界経済の減速懸念のほか、最近の原油安と株安などもあり、来年の利上げペース鈍化や利上げ休止が微妙に示唆されると、米債金利低下とドルの下落材料となり得る。ただし、貿易摩擦問題については、今週末に米中の首脳が協議を行う予定となっている。一旦の休戦や追加関税の猶予延期などで歩み寄りがあると、FRBの利上げ障害は一つ除去される。同時にFRBによる12月18-19日のFOMCでは、現状段階で利上げ断行が予測されている。米12月利上げの観測が残る限り、ドル/円はドルの下値余地限定やドルの押し目買い地合い持続が意識されやすい。

 

米年末商戦好調で利上げ継続か

米国の年末商戦が始まった。消費者はよりオンラインでの消費に傾斜していることが明らかになった。投資家の間で、来年の米国経済の成長減速への警戒感が膨らむ中、感謝祭明けの出足もいまいちで、昨年に比べ客足は1%減速した。しかし、オンラインでの売り上げは好調で、24日に明らかになったデータでは、ブラックフライデーの売り上げは前年比23.6%増の62.2憶ドルに達した。アドーブアナリスティクスの調査で明らかになった。ウォールマート、アマゾンといったインターネット小売り100社が調査対象となった。スマートフォーンなどのモバイル機器の売り上げが伸びたほか、家具などの高額承認の売り上げも好調だった。 先に発表された感謝祭当日のオンライン売り上げも前年比28%増の37億ドルに達し、過去最高を記録した。また、感謝歳明けの月曜26日のサイバーマンデーでのオンライン販売も昨年から18%増の78憶ドル規模に拡大する見通しとなった。 投資家の懸念をよそに、小売りは相変わらず好調だった。米国経済をけん引する消費が好調だと、FOMCも利上げを維持する可能性がある。

 

米中首脳会談では一旦の対立緩和期待も

米中のメンツを賭けた対立は根深く、経済冷戦は長期化するという警戒感が強い。一方でトランプ氏からすると、現在は米中貿易対立が米国の株安や米ハイテク企業の収益悪化の一因となっている。トランプ氏の世論支持率の源泉は『景気改善と株高』となっており、このまま景気鈍化と株安が明確化していくと求心力の低下につながってしまう。ただでさえ、11月の中間選挙では下院議会で野党・民主党が過半数を奪還しており、今後の議会運営では政権支持率という世論の味方が重要さを増してきた。しかもトランプ氏の支持者には製造業や軍隊関連などの年金生活者が多く、現状からの一段の株安は年金運用に打撃をもたらす。米国経済は年末商戦の本格化という大事な時期を迎えており、景気の腰折れ回避という意味でも、トランプ氏による『自らの成果アピール』の形で米中貿易摩擦の一旦の対立緩和が期待される。

 

米国市場では11月消費者信頼感指数が公表

10月の実績は137.9に上昇した。同月の期待指数は114.6に上昇し、2000年9月(115.89)以来の高水準となった。11月については、雇用情勢は依然として良好との見方が多いことから、10月実績に近い水準となる見込みとなっている。10月時点でビジネス環境の改善に対する期待が高いことも信頼感指数にとってプラス材料となる。

 

欧米イベント

○16:45   11月仏消費者信頼感指数(予想:94)
○19:00   10-12月期南アフリカ経済研究所(BER)企業信頼感指数(予想:40)
○22:30   クラリダ米連邦準備理事会(FRB)副議長、講演
○23:00   9月米住宅価格指数(予想:前月比0.4%)
       7-9月期米住宅価格指数
○23:00   9月米ケース・シラー住宅価格指数(予想:前年比5.3%)
○24:00   11月米消費者信頼感指数(予想:135.9)
○28日01:00   メルシュ欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○28日03:00   米財務省、5年債入札
○28日04:30   ボスティック米アトランタ連銀総裁、エバンズ米シカゴ連銀総裁、ジョージ米カンザスシティー連銀総裁、討議に参加
○20カ国・地域(G20)財務相代理会合、財務相ワーキングディナー(アルゼンチン・ブエノスアイレス、29日まで)

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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