FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

2018/12/25/15:18:11

日経平均株価:リスク回避の売り止らず

マティス国防長官の辞任にFRB議長の更迭論や「つなぎ予算」失敗による政府機関閉鎖などトランプ大統領の政権運営への先行き不安に米中「貿易摩擦」による米中はじめ世界景気失速懸念に24日ダウ平均654ドル安の大幅4日続落を嫌気して投資家心理が弱気に傾斜し、一時下げ幅を1000円超へ広げ心理的節目2万円を割り込んだ。アナリスト予想の下方修正は続いているが、『19年3月期の純利益は前期比+2.0%と業績予想は依然として増益を維持している』東証1部の予想配当利回りも21日現在、2.54%とアベノミクス開始前の12年11月以来、約6年ぶりの高水準にあり、米国発の株安が一巡すれば、バリュエーション(投資尺度)から判断すれば、日本株は押し目買い好機となる可能性もある。結局、1010円安の1万9155円と5営業日続落となった。この5日間で約2350円の下落となり、PBRは1倍割れとなった。

 

東京外国為替市場:ドル/円は111.00円近では実需買いの動きも

ドル/円は、日経平均株価の大幅安をながめて110.05円付近まで下落した。一部メディアが『トランプ米大統領は株価下落の責任で、ムニューシン財務長官の解任を検討している』と報じたことも、ドルの押し下げにつながった。ただ、心理的節目の110.00円付近では、本邦実需筋などのドル買い・円売りオーダーが厚いと観測されており、下げが一服した。午後は、日経平均株価や上海総合株価指数の動向をにらみながら110円台前半でもみ合いとなった。クリスマス休暇を迎えて海外勢の流動性が低下しているため、商いは薄かった。ユーロ/ドルは、米政府機関の一部が閉鎖されたことや政治の混乱を嫌気したドル売りが優勢となり、1.14ドル台前半の高値圏で取引された。

 

世界の投資資金は先進国から新興国へ

米中貿易摩擦や米景気減速への懸念を背景に世界的な株安が進んでいるが、12月に入ってから特に下げが目立っているのは米国や日本といった先進国となっている。一方で、通貨安に伴う資金流出への警戒感から年央にかけて大きく揺れた新興国株の下げは足もとで限られており、株式投資家は先進国から新興国にマネーを移している。先進国の株価に連動する指数『MSCIワールド』の価格は11月末から12月21日までで10%あまり下落したが、新興国の株価に連動する指数である『MSCIエマージング』の下落率は約3.8%にとどまっている。通年でみれば先進国より新興国株の下げが目立つものの、12月は先進国株の方が下落スペースが速い。

 

米財務長官が余計なことをしてトランプ大統領が火に油を注いだ

米国の財務省は、ムニューシン財務長官が大手米銀6行の最高経営責任者(CEO)に電話、流動性供給が十分であることを確認したとの声明を発表した。財務省高官によると、電話は通常行われる市場調査のひとつに過ぎず、異例ではないと主張した。また、声明発表は透明性を強化することを目的としたと説明したほか、各CEOは経済が良好で、流動性に問題はないと、確認したと強調した。 ただ、NYタイムズ紙によると、財務長官からの電話を受けた主要銀行のCEOは『驚き』を表明したという。一部のアナリストは、流動性に問題がない状況での財務省による異例な声明の発表や、休暇先からの財務長官の銀行CEOへの流動性に関する電話は、市場や投資家が気づいていない状況があるのではと、逆に警戒感を誘うこととなった。
一部米政府機関の閉鎖に加えて、トランプ大統領がパウエル議長の更迭を検討しているとの報道が投資家心理を一段と悪化させた。ムニューシン財務長官や財務省高官はトランプ大統領がパウエル議長を更迭する意向はないと、市場説得に努めたものの、懸念は完全には払しょくせず。そんな中、トランプ大統領は追い打ちをかけるようにツィートで、『米国経済の唯一の問題はFRB』『FRBは市場や、ドル高、国境を巡る民主党の政府機関閉鎖の影響を理解していない』と再び非難した。

 

政府機関の一部閉鎖は自業自得:トランプ大統領愚痴まくり

トランプ米大統領はクリスマスイブの24日、ホワイトハウスでツイートを連発し、野党の民主党などへの愚痴をぶちまけた。トランプ氏はクリスマス休暇をフロリダで過ごす予定だったが、メキシコ国境での壁建設費を巡って民主党と対立し、政府機関の一部が閉鎖されたため休暇をとりやめていた。自身を『かわしそうな私』と言うなど不満が募っている様子だ。『ものすごく必要だ!』トランプ氏の24日朝は、やはり国境の壁のつぶやきから始まった。昼過ぎのツイートでは『絶対に必要な国境警備について民主党と話し合うため、私はホワイトハウスでたった一人で(かわいそうな私)待っている』と自分を慰めた。

 

欧米市場イベント

○スイス、ドイツ、フランス、スウェーデン、ノルウェー、ポーランド、英国、南アフリカ、カナダ、米国、ブラジル、メキシコ(以上、クリスマス)、休場

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欧米タイム直前市場コメント!

2018/12/21/15:16:07

日経平均株価:景気減速懸念から売りが継続

前日NY市場でNYダウが464ドル安と続落するなど世界連鎖株安に景気先行き不透明感を受け海外投資家がリスク回避の売りを強めた。一時下げ幅は300円超と節目2万円に接近した。結局、前日比226円安の2万0166円と4日続落して終了した。

 

東京外国為替市場:リスク回避によるドル売り根強い

ドル/円は、世界経済の減速懸念や日経平均株価の続落を背景にドル売り・円買いが先行し、111.10円付近まで下落した。しかし、テクニカル的に重要なサポートの110.89円が意識さえると、ドルの下げは一服した。午後は、クリスマス休暇を前に短期筋などのショートカバーが入り、111.44円高近辺までじり高となった。日経平均株価の下げ幅縮小で、過度なリスク回避姿勢が和らいだことも円売りを誘った。ユーロ/ドルは、1.14ドル半ばで方向感に乏しい値動きとなった。欧州勢の待ちの様相となっている。

 

英国経済はEU離脱の先行き不透明感もあり減速傾向

11月の英小売売上高はブラックフライデーの影響もあって予想を上回ったものの、大きな流れは、英・欧州連合(EU)離脱を控えて依然として減速傾向だと、英インデペンデンス紙が指摘している。 前月比+1.4%(自動車燃料含むベース)となったが、アナリストは0.3%の上昇を予想していた。しかし、10月まで3カ月の上昇は0.4%に過ぎない。4月以来で最も弱い消費者拡大ペースで、EU離脱(ブレグジット)を控えるなか、消費者信頼感を揺るがす状況となっている。 小売売上高は英国内総生産(GDP)の2割を占め、経済全般の信頼感のバロメーターとされている。英統計局は現地今朝レポートで、10月のGDP成長ペースは、第3四半期の0.6%より低下し、0.4%にとどまるとした。 

 

米政府機関閉鎖でも年末年始の影響は軽微

トランプ米大統領はメキシコとの国境の壁建設費が予算案に含まれない限り、暫定予算案には署名しない方針を示し、政府機関閉鎖の可能性が再燃した。21日に期限がくる予算で、政府機関閉鎖を回避すべく上院は2月8日までの暫定予算案で可決した。大統領は共和党下院と、ワシントン時間正午に会合を設ける予定。
政府機関閉鎖への危機が強まったため米国株式相場は再び下げ幅を拡大した。ただ、米下院は20日、壁建設費用を盛り込んだ暫定予算案を可決したとの報道が伝わった。しかし、上院が反対するのは確実視されており、21日深夜に9つの政府機関が閉鎖される可能性が高い。

政府機関閉鎖になった場合でも、年末年始の米経済への影響は限定的にとどまる。1兆2000億ドル規模の2019年度裁量的予算の約75%は既に承認されている。暫定予算案が不成立に終われば、国境や空港の警備に当たる要員など約40万人の不可欠な公務員は無給で勤務を続けるが、約35万人は自宅待機となる。

 

ファンドからの資金流出で資金の流れに変化が生じている

米国のレバレッジドローン・ファンドは12月19日終了週に33億ドル(約3670億円)の純流出となり、過去最大の資金流出を記録した。資金純流出は5週連続となった。そのため、流通市場価格は2016年9月以来の安値に低迷している。11月21日以降、レバレッジドローン・ファンドから99億ドルが引き揚げられたが、年初来では依然として43億ドルの純増となっている。

 

欧米イベント

○16:00   11月独輸入物価指数(予想:前月比▲0.5%/前年比3.6%)
○16:00   1月独消費者信頼感指数(Gfk調査、予想:10.3)
○16:45   12月仏企業景況感指数(予想:102)
○16:45   11月仏卸売物価指数(PPI)
○16:45   11月仏消費支出(予想:前月比横ばい)
○16:45   7-9月期仏国内総生産(GDP)確定値(予想:前期比0.4%)
○18:00   12月ノルウェー失業率(予想:2.3%)
○18:30   7-9月期英経常収支(予想:212億ポンドの赤字)
○18:30   7-9月期英国内総生産(GDP)改定値(予想:前期比0.6%/前年比1.5%)
○22:30   10月カナダ小売売上高(予想:前月比0.4%/自動車を除く前月比0.2%)
○22:30   10月カナダGDP(予想:前月比0.2%/前年比2.2%)
○22:30   7-9月期米国内総生産(GDP)確定値(予想:前期比年率3.5%)
           個人消費(確定値、予想:前期比3.6%)
           コアPCE(確定値、予想:前期比1.5%)
○22:30  11月米耐久財受注額(予想:前月比1.6%/輸送用機器を除く前月比0.3%)
○24:00   12月ユーロ圏消費者信頼感指数(速報値、予想:▲4.3)
○24:00   11月米個人消費支出(PCE、予想:前月比0.3%)
          個人所得(予想:前月比0.3%)
          PCEデフレータ(予想:前年比1.9%)
          PCEコアデフレータ(予想:前月比0.2%/前年比1.9%)
○24:00   12月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、確報値、予想:97.5)
○米政府つなぎ予算期限

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欧米タイム直前市場コメント!

2018/12/20/15:20:56

日経平均株価:節目を次々に割り込む大幅安

米FOMC後のパウエルFRB議長会見が市場の期待ほど『ハト派』でなく、19日NYダウが351ドルの大幅安となったことを受けて海外投資家の売りが先行した。後場には節目として意識された価格帯を次々に割り込み個人投資家の追証売りやヘッジファンドの先物のロスカット売りにより『売りが売りを呼ぶ』展開となった。一時下げ幅は700円を超えた。結局、前日比595円安の2万0392円と続落して終了した。

 

東京外国為替市場:日本株の大幅安でリスク回避の円買い

ドル/円は、午前中は国内輸入勢のドル買い・円売りから112.60円近辺まで上昇した。しかし、前日のNY市場で付けた112.67円が上値の目処として意識されると、上げが一服した。その後は、日経平均株価のさえない動きをながめて112.50円を挟んでもみ合いとなった。午後は、日経平均株価の大幅安でリスク回避姿勢が強まり、112.01円まで下落して約2ヵ月ぶりの安値を付けた。米長期金利が低下したことも、ドルの押し下げにつながった。ユーロ/ドルは、1.13ドル台後半で小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

今年1月から海外投資家は日本株を大量売り越し

日本株を主導する海外投資家は、今年1月から日本株を大量に売り越している。現物株の売り越しは11月末までに累計4兆円を遥かに超え、先物は7兆円を突破した。米国の対中関税発動による米中「貿易戦争」激化など世界経済の先行き不透明感が強まり海外投資家がヘッジ目的の売りに大挙した。海外投資家の日本株売り越しは、アベノミクス期待への剥落であり、投資家の期待感を映すPER(株価収益率)は日経平均ベースで約11倍台まで売られ、今年の標準的なレンジ(約13-14倍)を下抜けた。今年1月に-4773億円の売り越し、2月には-1兆1425億円と大幅な売り越しとなり、3月も-9976億円の売り越しが続き、4月にようやく2072億円の買い越し転換となるも5月には再び-6642億円の売り越し、6月も-7413億円の売り越しが続いた。初夏7月には4114億円の買い越しに転じるものの続かず、8月には再び-4825億円の売り越し、9月も-1557億円の売り越しと続き、米国株が急落した10月は-2565億円の売り越し、中間選挙後の「株高アノマリー」が不発に終わった11月も-2999億円の売り越し、そして師走相場入り12月第1週が-6002億円の大幅売り越しである。

 

 ★英政府も『合意なし離脱』に備える動きも

英政府は欧州連合(EU)からの離脱まで100日に迫ったのを受け、国民生活に混乱を及ぼしかねない「合意なし離脱」に備えた対策を加速する。経済の減速に備えた一時的な減税策や、政府・行政の対策に関する費用の積み増しを検討する。EUとの合意を目指す姿勢は続けるものの、不測の事態に備えた対応も同時並行で進める。
英イングランド銀行(中央銀行)は「合意なし離脱」の場合に2019年末にかけて実質国内総生産(GDP)が最大8%落ち込むと試算している。政府による減税策の詳細は明らかになっていないが、企業と個人の双方の税負担を一時的に軽減し景気の落ち込みを和らげる方針だ。政府や行政のコスト増については16年以降に40億ポンド(約5700億円)を手当て済みだが、その上積みも検討する。

 

FOMCに対する期待が剥落しリスク回避の動きに転じる

米連邦準備制度理事会(FRB)は連邦公開市場委員会(FOMC)で市場の大方の予想通り政策金利(フェデラルファンドFF金利の誘導目標)を0.25ポイント引き上げ2.25-2.50%とすることを決定した。 声明ではいくらかさらなる緩やかな利上げが正当化すると判断するとした。また、リスクも概ね均衡しているとしながらも世界のイベントを監視していくと加えた。2019年の平均利上げ見通しは従来の3回から2回に引き下げられた。
市場が期待していたほど、声明はハト派色を強めなかったため失望感から株式相場は下落し、米10年債利回りは2.83%まで上昇後、2.78%まで低下した。 300ドル近く上昇していたNYダウ平均は351ドル安で引けた。

 

米国の政府機関封鎖は回避の可能性:最悪のシナリオ回避か

ダウ・ジョーンズ通信は19日、米議会上院がつなぎ予算を可決したと報じた。下院は20日に採決を行うといい、下院でも可決されればトランプ大統領の署名をもって債務上限の期限は来年2月9日まで先延ばしされる。現在の予算では22日の12時1分に期限を迎える予定だった。

 

欧米イベント

○17:30   11月香港消費者物価指数(CPI、予想:前年同月比2.5%)
○17:30   スウェーデン中銀、政策金利発表(予想:▲0.50%で据え置き)
○18:00   10月ユーロ圏経常収支(季調前/季調済)
○18:30   11月英小売売上高指数(自動車燃料含む、予想:前月比0.3%/前年比1.9%)
       11月英小売売上高指数(自動車燃料除く、予想:前月比0.2%/前年比2.3%)
○21:00   英中銀金融政策委員会(MPC)2日目、終了後政策金利発表(予想:0.75%で据え置き、資産買取プログラムは4350億ポンドで維持)
○21:00   MPC議事要旨
○22:30   10月カナダ卸売売上高(予想:前月比0.4%)
○22:30   12月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数(予想:15.0)
○22:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:21万6000件/166万5000人)
○24:00   11月米景気先行指標総合指数(予想:前月比横ばい)
○21日04:00   メキシコ中銀、政策金利発表(予想:8.25%に引き上げ)
○米財務省2年、5年、7年債入札条件

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欧米タイム直前市場コメント!

2018/12/19/15:20:51

日経平均株価:節目の2万1000円を割り込む

寄り付きは下落スタートとなったものの、値ごろ感を意識した年金基金など機関投資家の運用比率維持の押し目買いが入ったほか、ヘッジファンドなど海外短期筋の先物の買い戻しが入り、一時上げに転じた。しかし、米中貿易戦争や米FRBの利上げによる世界景気減速懸念が重石となった。また、ソフトバンク新規上場による株式需給緩和を嫌気した売りに押された。そのため、心理的節目だった2万1000円を割り込んだ。結局、前日比127円安の2万0987円と続落して終了した。

 

東京外国為替市場:株価下落でリスク回避の円買いが優勢

ドル/円は、日経平均株価が節目と見られていた2万1000円を割り込んだことで調整色が強まり、112.19円まで下落した。しかし、下値では値ごろ感からドルの押し目買いが見られ、下げ一服した。その後は、株価の下げ幅縮小をながめてショートカバーが入り、112.60円近辺へもと直した。ただ、米金利先高観が後退していることからドルの反発は限られ、利食い売りなどに112.30円台へ押し戻された。一部メディアが『トランプ米大統領は21日の暫定予算期限切れを前に、24日に米政府機関を閉鎖するように示唆した』と報じたこともドル売りを誘った。午後は、日経平均株価の下げ幅拡大がリスク回避の円買いを誘い、112.25円近くへじり安となった。ただ、FOMCを控えて下値を追う動きは限定され、112.30円台でもみ合い推移した。ユーロ/ドルは、1.13ドル台後半で小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

通信会社ソフトバンク新規上場:値動きは低調

ソフトバンクグループの国内通信子会社が19日東証1部に株式を新規上場した。上場に伴う市場からの資金吸収額は約2兆6000億円と、国内の新規株式公開(IPO)として過去最大の案件とあって、東証など兜町は祝賀ムードに包まれた。ただ、初値が1463円と公開価格1500円を下回るなど、値動きは低調とあって、投資家や証券会社の営業マンの熱気はいまひとつだった。終値は1282円と公開価格を14.5%下回った。

 

米FOMCの利上げとドル/円相場

現在の米連邦準備理事会(FRB)の政策金利は2.00~2.25%である。2015年12月から0.25%刻みに8回利上げをした。利上げ決定後の東京市場17時時点の円相場を見ると、最初の2回こそ円安となったが、その後はいずれも円高が進む結果となった。

○FRBが利上げを決めた直後の東京市場17時時点(前日比)

利上げ決定日    直後の東京市場

①2015年12月16日   0.51円の円安

②2016年12月14日   2.64円の円安

③17年3月15日       1.47円の円高

④  6月14日     0.67円の円高

⑤  12月13日      0.67円の円高

⑥18年3月21日     0.76円の円高

⑦  6月13日      0.71円の円高

⑧  9月26日      0.25円の円高

利上げで米国株が調整し、リスク回避の円高が進むなど、円高になった背景は複数ある。ただ、その中で最も大きいのは利上げの織り込み度合いである。利上げが想定内になればなるほど、目先の利益確定による円買い・ドル売りが出やすくなり、先行きの利上げ見通しが注目されやすい。

 

トランプ大統領  対  パウエルFRB議長

米国大統領がFRB議長・理事を罷免するには、「連邦準備法(Federal Reserve Act)」10節2項に基づいて、「正当な理由」(※職務怠慢、不正行為)が必要となっている。すなわち、米大統領の金利引き下げ要請を聞き入れないというだけでは、クビに出来ない。 トランプ米大統領は、イエレンFRB議長(民主党員)を、異例の1期限りで続投を見送り、『ミスター平凡』と揶揄されていたパウエルFRB議長(共和党員)を任命した。FRB理事としてFOMCで反対したことがなかったことが任命の理由だと思われるが、意に反して利上げ路線を踏襲したことで、トランプ米大統領の逆鱗に触れている。 

 

FOMCに向けて世論調査では:98%が利上げ実施

米連邦公開市場委員会(FOMC)の開催を控えて実施されたCNBCの世論調査によると、回答者の98%が米連邦準備制度理事会(FRB)が12月会合で、追加利上げに踏み切ると見ていることが明らかになった。調査には43名のエコノミスト、ファンドマネジャー、ストラティジストが回答した。 しかし、2019年の利上げに関しては様相が変わる。前回の調査で、回答者平均で3回または2回の利上げを予想していたが、現状では1回または2回の利上げ予想に引き下げられた。また、前回まで市場の大半は、FRBが中立水準を上回るまで利上げを継続すると見ていたが、今回の調査ではFRBが中立水準を上回るまで利上げを継続することはないとの予想が上回った。
今後12カ月間に景気後退入りする確率は23%と、トランプ大統領就任後最高に達した。12月に利上げ後のFOMCの行動は88%が利上げを予想しているものの、回答者の12%はFRBが12月利上げ後、2019年10月までに利下げに転じると見ている。

 

欧米イベント

○16:00   11月独生産者物価指数(PPI、予想:前月比▲0.1%)
○18:00   ハンソン・エストニア中銀総裁、講演
○18:30   11月英消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.2%/前年比2.3%)
         CPIコア指数(予想:前年比1.8%)
         小売物価指数(RPI、予想:前月比0.1%/前年比3.2%)
○18:30   11月英卸売物価指数(PPI、食品とエネルギーを除くコア指数、予想:前年比2.3%)
○19:00   10月ユーロ圏建設支出
○21:00   MBA住宅ローン申請指数
○22:00   11月ロシア失業率(予想:4.8%)
○22:30   7-9月期米経常収支(予想:1243億ドルの赤字)
○22:30   11月カナダCPI(予想:前月比▲0.4%/前年比1.8%)
○24:00   11月米中古住宅販売件数(予想:前月比▲0.6%/年率換算520万件)
○20日00:30   EIA週間在庫統計
○20日04:00   米連邦公開市場委員会(FOMC)、終了後政策金利発表(予想:2.25-2.50%に引き上げ)
○20日04:00   FOMC、経済・金利見通し発表
○20日04:30   パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、定例記者会見
○英中銀金融政策委員会(MPC、20日まで)

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2018/12/18/15:17:20

日経平均株価:NYダウにつれたリスク回避の売り拡大

世界経済減速懸念から前日NYダウが500ドル超下落したことにつれ、朝方から日本株にも売りが先行した。また、1ドル=112円台後半の円高も投資家心理を悪化させた、一時下げ幅を400円超となった。結局、前日比391円安の2万1115円と大幅反落して終了した。

 

東京外国為替市場:株価が軟調推移したことでリスク回避の展開

ドル/円は、FRBの利上げペースが鈍化するとの思惑から持ち高調整などのドル売り・円買いが入り112.65円へ下落した。米長期金利が小幅ながら低下したことも、ドルの押し下げ要因となった。午後もこの流れが続き、日経平均株価の下げ幅拡大をながめて111.46円まで下落した。また、中国国家主席の演説で、市場が期待していた景気に配慮する発言がなかったことも、リスク回避の円買いを誘った。しかし、FOMCを控えて下押しは限られ112円半ば前後でもみ合いとなった。ユーロ/ドルは、一部メディアが『イタリア政府と欧州委員会の予算交渉を巡り、30億ユーロのかい離がある』と報じたことが意識され1.1340ドル付近まで下落した。

 

中国では米中貿易摩擦で経済は失速気味

14日に中国国家統計局が発表した11月小売売上高は前年比+8.1%と市場予想や前月を下回り、約15年半ぶりの低い伸びとなった。自動車の売上高が10%急減した影響が大きい。同鉱工業生産は前年比+5.4%と、約3年ぶりの低い伸びとなった。政府によるシャドーバンキング(影の銀行)の取り締まりで企業の資金調達が圧迫され、生産や投資に悪影響が生じる中、中国経済は失速している。米中貿易戦争はいったん休戦に入ったものの、内需の弱まりや高水準の家計債務、不動産市場の減速などで来年も成長の鈍化が続く可能性が高い。中国の景気減速懸念で人民元はさえない動きが今後も続く可能性が高い。

 

英国が合意なき離脱なら格下げ見通し:格付け会社フィッチレーティング

格付け会社フィッチ・レーティングスは17日、英国が合意なく欧州連合(EU)を離脱することになれば、同国の格付けを来年初めに再び引き下げることはほぼ確実と述べた。 フィッチのソブリン部門のトップアナリスト、ジェームズ・マコーミック氏はロイターに対し、来年3月、移行期間の合意なく離脱すれば、英国経済はリセッションに陥る可能性が大きいと指摘。 混乱が早期に解消されれば影響は軽微にとどまる可能性があるものの、2019年が0.6%のマイナス成長というより悲観的な結果が予想されるとした。

 

米世論調査では2019年の経済悪化が3分の1に上る

堅調な米景気と、国民の分断を助長する大統領とを背景に、米国の先行きに関する国民の見方はまちまちになっている。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)とNBCニュースが実施した最新の共同世論調査によると2018年は同国にとって「良好(good)」または「平均的(average)」な年だったと回答する人が過半数を占める一方、この国が誤った道を進んでいるとの回答も過半数あった。
同調査によると、米経済が2019年に悪化すると回答した人は全体の3分の1に上った。

 

2019年会見年度の暫定予算の攻防:土壇場で回避される可能性も

米国ではメキシコ国境の壁建設を巡り、トランプ大統領と野党・民主党の対立が先鋭化している。2019会計年度(2018年10月から2019年9月)の予算案は、トランプ氏が壁建設に50億ドルを求め、13億ドルを主張する民主党と対立している。暫定予算(つなぎ予算)の期限は21日であり、予算切れとなれば一部政府機関の閉鎖が懸念されている。21日までは対立応酬がドル安や円高のリスクとして警戒される反面、クリスマス休暇前の政府機関閉鎖は原因を作ったほうが国民からの批判を浴びるため、土壇場での問題先送りや条件付きの暫定合意などが想定される。

 

米国市場では11月住宅着工件数が公表

10月実績は前月比+1.5%、123万戸となった。また、先行指標となる10月建設巨漢件数は前月比▲0.6%、126万件となった。10月集合住宅の着工件数は回復した。11月については、建設許可件数が伸び悩んでいることから、10月実績と概ね同水準になるとみられる。

 

欧米イベント

○18:00   12月独Ifo企業景況感指数(予想:101.7)
○22:30   10月カナダ製造業出荷(予想:前月比▲0.2%)
○22:30   11月米住宅着工件数(予想:122万5000件、前月比▲0.2%)
        建設許可件数(予想:126万件、前月比▲0.4%)
○米連邦公開市場委員会(FOMC)1日目

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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