FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

2021/04/06/15:12:14

日経平均株価:連騰による利益確定売り優勢

寄り付きは5日の米国株の上昇を受けて高く始まったものの、寄り付きを高値に早々に失速した。しばらく前日終値近辺で一進一退が続いたが、値下がり銘柄も多い中、次第に下方向に勢いがついた。3万円近辺ではいったん下げ渋る動きが見られたものの、節目を割り込むと売りが加速した。3月24日安値から前日まで1800円幅の上昇を記録しただけに、利益確定売りも出やすかった。結局、前営業日比392円安の2万9696円と4日ぶりに反落して終了した。

 

東京外国為替市場:米長期金利低下でドル売り優勢

ドル/円は、本邦実需筋などのドル買い・円売りに支えられ、110.35円付近へじり高となった。最近発表されている米経済指標が好調で、米経済は順調に回復しているとの見方が広がっていることもドルの押し上げ要因になった。午後もこの流れは続き、110.40円付近まで値を上げた。しかし、米長期金利が低下しているため、日米金利差縮小が意識される中でドルの上値は重かった。その後は、日経平均株価の下げ幅拡大を眺めてドル売り・円買いが入り、110.15円付近へ下落した。ユーロ/ドルは、イースター休暇明けとなる欧州勢の動向を見極めたいとの雰囲気もあり、1.18ドル台前半で方向感に欠ける値動きとなった。

 

日本の需給ギャップは3期連続マイナス:経済停滞とデフレの兆し

日銀は5日、日本経済全体の需要と潜在的な供給力の差を示す『需給ギャップ』の推計値が2020年10~12月期はマイナス2.01%だったと発表した。マイナスは3四半期連続となった。マイナス幅は同年7~9月期のマイナス3.37%から縮小したが、新型コロナ禍による経済停滞で需要が供給を下回る状態が続いている。

 

トルコのCPIは6ヵ月連続で前回上回る結果

3月消費者物価指数(CPI)は前月比+1.08%、前年比+16.19%とほぼ市場予想に沿った結果となった。トルコCPIはほぼ予想通りだったとはいえ、前年比は6カ月連続で前回を上回り続けている。また、3月トルコ生産者物価指数は前年比+31.2%と2月の+27.09%から大きく上振れし、2019年4月以来の水準を記録した。インフレの悪化は今後も避けられそうになく、経済活動に支障をきたすことにもなる。カブジュオール・新トルコ中銀総裁による金融政策の舵取りも難しくなる。新総裁は現状の引き締めスタンスの維持を表明しているが、今後『維持』だけではインフレを抑制できないことも十分考えられる。

 

8日のメキシコのCPIに注目:中銀のインフレ目標の上抜けが確実視

メキシコ国内での注目は、8日発表の3月メキシコ消費者物価指数(CPI)となる。市場予想は前年比で4.67%上昇となっており、メキシコ銀行(中央銀行)のインフレ目標(3.0%の±1.0%)上限を5カ月ぶりに上抜けることが確実視されている。3月前半のインフレ率が4.12%とすでにインフレ目標の上限を上抜けていたが、8日のCPI次第ではさらにインフレに対する注目が集まることになる。中銀当局者もインフレ圧力の高まりには懸念を示しており、金融緩和再開への道が一段と遠のくことになれば、高金利通貨としての一面もあるペソにとってはプラス材料になる。

 

ゴールドマン・サックス・グループはドル安戦術から退却

ゴールドマン・サックス・グループは約半年前に始めたドル安を見込む取引をやめ、顧客への助言も撤回した。同社の為替チームは『戦術的退却』と題したリポートで、オーストラリア・ドルやニュージーランド・ドルを含むG10資源通貨のバスケットに対し勧めてきたドルのショート(売り持ち)ポジション構築を解消した。米国債利回りの上昇でドルが買われ、ヘッジファンドやその他の投資家もドル安見込みを撤回している。

 

強いISM非製造業指数を受け早期利上げ観測も

米供給管理協会(ISM)が発表した3月ISM非製造業景況指数は63.7と、2月55.3から予想59.0以上に上昇し、1997年来で最高を記録した。活動の拡大と縮小の境目となる50を10カ月連続で上回った。景況指数は69.4と、2月55.5から上昇し、1997年統計開始以降最高となった。重要項目の新規受注も67.2と、2月51.9から上昇し過去最高を記録した。ワクチン接種ペースの加速で経済活動の再開にも拍車がかかり、一段と強い回復に期待が集まる。3月雇用統計に続いて強いISM非製造業指数を受けて、早期の利上げ観測も強まりつつある。

 

米国市場では7日にFOMC議事要旨が公表:3月16-17日分

現状は3月FOMCを含めて、米連邦準備理事会(FRB)は『2023年末までの超低金利政策継続』、『足元のインフレ上昇は短期的で限定的』、『雇用の完全回復には時間』といった慎重姿勢をメインとしている。今週以降に改めてこうした姿勢が再確認されると、ドルの上値抑制や調整ドル安につながる余地をはらむ。一方で前週はバイデン米大統領が、新たな大型インフラ投資計画案を打ち出したほか、米国の雇用統計は大幅な改善となっている。こうした要因により、微妙に利上げ時期の前倒し示唆や先行きの景気とインフレに過熱警戒感などが見られ始めると、為替相場ではドル高が支援されやすい。ただしその場合、米国株には悪材料となる。FRBが微妙に市場のリスク軽視やバブル熱狂への警告姿勢を強めてくると、リスク回避による米株安と円高、対円以外での安全逃避のドル高に作用する余地も残されている。

 

欧米市場イベント

○18:00   2月ユーロ圏失業率(予想:8.1%)
○7日01:00  3月ロシア消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.6%)
○国際通貨基金(IMF)、世界経済見通しを公表
○香港(イースターマンデーの振り替え)、休場

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欧米タイム直前市場コメント!

2021/04/05/15:11:15

日経平均株価:先物に継続的に買い

前週末の米国株式市場は休場だったものの、公表された米雇用統計が予想を上回る結果となったことを好感して、全体的に買い優勢で始まった。また、短縮時間で取引された米長期金利の利回りは上昇したものの、直近の高水準に届かなったことで値がさ株に安心感が広がった。先物に継続的な買いが入り約2週間ぶりに3万円台を付け一時上げ幅を300円超に広げた。結局、前営業日比235円高の3万0089円と3日続伸して取引が終了した。

 

東京外国為替市場:利益確定や持ち高調整からドルの上値が重い

ドル/円は、本邦輸出勢などがドル売り・円買いに動き110.55円付近へ下落した。このところ上昇ピッチが急だったことから、利益確定や持ち高調整のドル売り・円買いが入りやすい面もあった。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、110.60円台を中心とした狭いレンジでもみ合いとなった。今晩発表される3月米ISM非製造業景況感指数や米国株価動向を見極めたいとの雰囲気から、積極的な売買は手控えられた。ユーロ/ドルは、先週末の3月米雇用統計の強い数字で、欧米景況感格差を意識したユーロ売り・ドル買いが入り、1.17ドル台後半から1.17ドル台半ばへ水準を切り下げた。

 

短観想定レートが実勢よりドル高の場合は高確率で株高形成

今年3月短観で大企業・製造業の想定ドル/円レートは、2021年度通期が105.38円となっていた。あくまで現状段階ながら、早くも+5円の為替差益となっている。こうした四半期ベースでの『翌期・実勢ドル/円のドル安値-短観想定ドル/円』という比較では、2017年1-3月に+5.2円幅の実勢ドル優位があった(為替差益)。当時の日銀短観では大企業・製造業の業況判断が同年3月の+12から、同年12月には+25へと改善となっている。連動する形で日経平均株価は上昇した。月間高値ベースでは同年3月の1万9668円から11月の2万3382円にかけて、+3714円幅の年末高が形成されている。その前では2013年1-3月に、+7.6円幅の実勢ドル優位があった。2013年の場合、日経平均株価は月間高値で3月の1万2650円から12月は1万6320円へと+3669円の年末高が形成されている。こうした例を含めて、短観想定レート比で翌期以降の実勢がドル高に振れる場面では、高確率で業況判断の改善と日経平均の上昇トレンドが連動形成されている。

 

トルコ市場では3月消費者物価指数(CPI)が公表

3月CPIは前年比16%超えまでの上昇が見込まれており、予想通りであれば2019年7月以来の水準となる。米系投資銀行のアナリストからは、通貨安などが押し上げ要因となり、4月のトルコインフレは18%台まで上昇するとの予測も出ている。インフレが悪化し続けるなかでは、トルコ国内のドル化の流れを止めるのも難しくなる。カブジュオール・新トルコ中銀総裁は先週、現在のインフレ見通しでは金融引き締めスタンスを維持しなければならないとの考えを示した。同中銀総裁は時期尚早な利下げはしないとも述べており、その言葉を信じるのであれば、市場が懸念していた非正統的な金融政策(物価を下げるために利下げ)はひとまず避けられる。もっとも、高金利を否定するエルドアン大統領に指名された新総裁が、いずれは緩和に踏み切るとの見方は根強いままである。

 

南アではロックダウ再開ならばランドの重石

先週発表されたABSA製造業PMIで、雇用のみ景況感の節目となる50を下回ったが、輸出だけでなく国内需要も50を上回ったことがランド円を支える要因として挙げられる。また、2020-21年会計年度の税収が1.25兆ランドと、財政赤字に苦しむ南アにとっては非常にポジティブなニュースになったことも支えになる。一方、南アでもウイルス感染第3波が近づいていることには警戒したい。イースター休暇は現行のロックダウン水準(レベル1)が保たれたが、市場では水準の引き上げを予想する声が出ている。イースター中にアルコールはレストランやバーでの提供が許可されたものの、小売店での販売が禁止されたことなどが、ラマポーザ政権が再ロックダウンを考えている証拠ではないかとの見方もある。ロックダウン再開になれば、ここ最近のランド/円の買い基調の重石になる。

 

メキシコの8日CPI結果に注目集まる:金融緩和の行方

メキシコ国内での注目は8日発表の3月メキシコ消費者物価指数(CPI)である。市場予想は前年比で4.67%上昇となっており、メキシコ銀行(中央銀行)のインフレ目標(3.0%の±1.0%)上限を5カ月ぶりに上抜けることが確実視されている。3月前半のインフレ率が4.12%とすでにインフレ目標の上限を上抜けたが、8日のCPI次第ではさらにインフレに対する注目が集まることになる。中銀当局者もインフレ圧力の高まりには懸念を示しており、金融緩和再開への道が一段と遠のくことになれば、高金利通貨としての一面もあるペソにとってはプラス材料になる。

 

米国の雇用回復基調だが依然としてコロナ以前の水準に戻らず

米3月雇用統計では、米3月の雇用統計は、新型コロナウイルスのワクチン接種が進み、バイデン米政権の追加経済対策や事業への規制が緩和されたことを受けた労働市場の復調の兆候を示す好結果となった。非農業部門雇用者数が前月比+91.6万人、2月も46.8万人増(37.9万人増から上方修正)となり、3ヵ月連続で増加した。2020年3月(▲168.3万人)と4月(▲2067.9万人)での新型コロナウイルス感染による過去最大規模の雇用喪失▲2236.2万人から、2020年5月以降で1456.3万人の雇用回復となったが、失業者数は971.0万人であり、コロナ以前の水準まで依然として779.9万人が必要となる。

 

米国市場では3月ISM非製造業景況指数が公表

2月実績は55.3だった。3月については、新型コロナウイルスの感染予防のためのワクチン接種拡大、3月CB消費者物価信頼感指数の大幅な改善、サービス関連産業の盈虚鵜活動拡大などを背景に、非製造業景況指数は2月実績を上回る見込みである。

 

欧米市場イベント

○16:00   3月トルコ消費者物価指数(CPI、予想:前月比1.04%/前年比16.11%)
○22:45   3月米サービス部門PMI改定値(予想:60.2)
○22:45   3月米総合PMI改定値
○23:00   3月米サプライマネジメント協会(ISM)非製造業指数(予想:58.5)
○23:00   2月米製造業新規受注(予想:前月比▲0.5%)
○ニュージーランド、オーストラリア、ドイツ、スイス、フランス、英国、スウェーデン、ノルウェー、ポーランド(以上、イースターマンデー)、中国(清明節)、香港(清明節の振り替え)、南アフリカ(ファミリーデー)、休場

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欧米タイム直前市場コメント!

2021/04/02/15:17:08

日経平均株価:グロース系株買いで上昇幅拡大

前日の米国株式市場が上昇したことを好感し、朝方から上値を追う展開になった。物色の流れは、これまでのバリュー株中心の動きから、半導体関連株をはじめグロース系の銘柄にシフトし、再び値がさ株全体をリードする格好となった。結局、前営業日比465円高の2万9854円と続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:利益確定や持ち高調整のドル売り優勢

ドル/円は、前日に米長期金利が1.67%台へ低下したことで、日米金利差縮小を意識したドル売り・円買いが先行し、110.50円付近まで値を下げた。しかし、バイデン米政権が打ち出す大型インフラ投資計画への期待が高まっているため、下値を追う動きは限られた。その後は、国内輸入企業などがドル買い・円売りを持ち込み、110.65円付近へ値を戻した。午後は、今晩発表される3月雇用統計を控えて、利益確定や持ち高調整のドル売り・円買いが入り、110.48円付近までじり安となった。ユーロ/ドルは、週末を控えて積極的な売り買いは目立たず、1.17ドル台後半で小幅な値動きに終始した。

 

3月日銀短観の企業想定為替レート

日銀が1日発表した3月短観(全国企業短期経済観測調査)で企業が想定する2021年度の円相場は1ドル106.07円だった。回答が集中した3月中旬は109円台の安値圏で推移していたが、20年度の見通し106.66円から0.6円ほどの円高を見込み、足元の円安進行を十分に織り込めていない企業が多いことが判明した。21年度の全産業の下期想定レートは106.10円、輸出企業は上期105.39円、下期105.36円を想定する。

 

トルコの信用リスクを示すCDSは高止まり

欧州序盤に発表された3月トルコ製造業PMIが52.6と前回51.7を上回ったことや、カブジュオール・トルコ中銀総裁が現状の金融政策を維持する意向を示したと伝わったことなどがリラの支えになった。また、トルコ中銀の新総裁が市場の緩和観測の打ち消しに走り回るなか、リラの下値を試す動きは小休止となる。昨日は中銀関係筋の話しとして、カブジュオール総裁が投資家に対し『現状のインフレ見通しのなかでは引き締め策が求められている』『時期尚早な利下げはしない』と述べたことが一部通信社から報じられた。ただ、信用リスクを示すクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)は高止まりしており、先行きの警戒感は15日の金融政策決定会合の結果を見極めるまではくすぶり続ける。気になるところでは、昨日トルコ中銀が発表した先月26日時点での外貨準備高(グロス、金保有高除く)が508.9億ドルと、前週からの減少幅が約30億ドル(約5.6%減)まで拡大したことである。

 

南アランド買いを促す2つの好結果

昨日は南アからランド買いを促す2つの好結果が発表された。1つ目はABSA製造表PMIだが、今年に入り1月から3月まで製造業PMIは全て上昇し、第1四半期が好調だったことを示している。PMIの中身も良く、輸出が好調だっただけでなく、国内需要も3月からロックダウンの規制が緩和されたことで好結果となった。唯一雇用指数のみ50を下回っているが、この指数も若干ながら改善されている。2つ目は南アフリカ歳入庁(SARS)が昨日発表した2020-21年会計年度の税収が1.25兆ランドとなったことである。新型コロナウイルス感染拡大前の当初目標は1.425兆ランドだったが、10月に1.112兆ランドに下方修正、2月の予算発表時に1.212兆ランドに若干上方修正をしたが、それよりも税収が多かったことになる。税収増は財政状況が悪い南アにとっては非常にポジティブな要因になる。

 

メキシコでは観光客の急増で感染拡大懸念

メキシコで世界有数の観光地とされるユカタン半島では、イースター休暇により観光客が急増しており、マスクを着用しないマナーの悪さが目立っていると現地メディアでは報じられている。新型コロナ感染拡大を危惧してメキシコ当局はユカタン州のマヤ遺跡をイースター休暇の間、閉鎖すると発表した。せっかく1月をピークに下り坂となっていた感染者数の増加がマナーの悪い観光客のせいで再び右肩上がりとならないかが懸念される。

 

法人増税では米共和党との審議は難航する見込み

バイデン大統領はインフラ投資の財源として望む法人税率21%の28%への引き上げの論拠は強い。法人税の約2割、年間700億ドルがタックスヘイブン(租税回避地)の優遇措置で徴収されず、米法人税の徴収額は僅かGDP比約1%相当に留まりOECD加盟国の平均3%を大きく下回る。さらに、キャピタルゲイン(売却益)税率を所得税と同率にする策も理に適うし、より累進的な相続税や高額所得者への所得税引き上げ(富裕層増税)が実現すれば、歳入はさらに増える。だが、こうした策はいずれも共和党には受け入れ難いものであり、上院共和党トップのマコネル院内総務はバイデン計画を『雇用を殺す』新税を仕組んだ『トロイの木馬』と冷淡だ。インフラ投資計画は法人増税で審議が難航、年内いっぱい時間を要する可能性が高い。

 

米国市場では3月雇用統計が公表

エコノミストの平均予想では、失業率は6.0%と2月の6.2%からさらに低下、非農業部門雇用者数は平均予想で65万人増と、2月の37.9万人増から伸びが拡大、10月来で最大の伸びが予想されている。コンファレンスボードが発表した3月消費者信頼感指数においても消費者が労働市場に一段と自信を強めたことも明らかになった。3月雇用統計では、100万人近くの雇用増予想もある。

 

欧米市場イベント

○15:45   2月仏財政収支
○21:30   3月米雇用統計(予想:非農業部門雇用者数変化64.7万人/失業率6.0%/平均時給、前月比0.1%/前年比4.5%)
○24:00   ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演
○聖金曜日の祝日(グッドフライデー)でインド、ドイツ、スイス、フランス、スウェーデン、ノルウェー、南アフリカ、英国、カナダ、メキシコ、ブラジルなど休場。米国は株式・商品市場が休場、債券市場が短縮取引。
○4日 豪州、NZが冬時間に移行

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欧米タイム直前市場コメント!

2021/04/01/15:25:11

日経平均株価:短観改善を好感した買いも上値追いにはならず

名実ともに新年度入り相場となったが、米国株が堅調推移したことで、朝方から買い優勢の動きとなった。期末を意識した決算対策の売りも一巡したことで、新規資金への流入が期待された。また、寄り付き前に発表された3月日銀短観は、大企業・製造業の業行判断指数と非製造業が3期連続で改善となり、事前予想を上回ったことも好感された。午後からは底堅く推移したものの、積極的に上値を追うような展開にはならず、狭いレンジでの動きが続いた。結局、前営業日比210円高の2万9388円と反発して終了した。海外投資家の3月第4週では4週ぶりに3729億円の売り越しになった。

 

東京外国為替市場:急ピッチの円安に警戒感

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りが通常より多く持ち込まれ、110.83円まで上昇する場面があった。しかし、前日につけたおよそ1年ぶりの高値110.97円が意識され、追随する動きは見られなかった。その後は、急ピッチの上昇に対する警戒感から、利益確定や持ち高調整などのドル売り・円買いに押され、110.60円近辺へ値を下げた。午後もこの流れは続き、米長期金利の上昇一服を眺めてさらにドル売り・円買いが進み、110.57円まで下落した。しかし、今晩発表される米経済指標を見極めたいとの雰囲気もあり、下値を追う動きは限られた。その後は、バイデン米政権が打ち出す大型財政政策への期待からドル買いが入り、110円台後半でもみ合いとなった。ユーロ/ドルは、1.17ドル台前半で小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

日銀短観は3期連続改善:製造業と非製造業では2極化の構図

3月短観によると、大企業・製造業の業況判断指数(DI)はプラス5、非製造業はマイナス1だった。ともに3期連続の改善となったものの、前回12月調査からの改善幅は製造業の方が大きく、2極化の構図が出ている。大企業・製造業の業況判断DIは、2019年9月以来の水準となった。大企業・非製造業の業況判断DIは、2020年3月以来の水準となった。事業計画の前提にっている想定為替レート(全規模・全産業)は、21年度のドル/円が106.07円、ユーロ/円が123.10円だった。ドル/円は20年度の106.66円に比べてやや円高、ユーロ/円は121.76円から円安の設定となっている。

 

トルコ新中銀総裁が利上げ出来るかに注目集まる

新たなトルコ中銀総裁の発言を信じるならば、今月15日に開催される金融政策決定会合での利下げは見送られることになる。『インフレ抑制のために断固たる姿勢で臨む』とする声明は変更される可能性はあるが、『物価が高止まりする中での金融緩和』という事態は避けられるかもしれない。 ただ、為替がリラ安に振れてしまったため、今後はインフレが更に上昇する懸念は高まっている。米ゴールドマン・サックスは、2月に15%台だったトルコ消費者物価指数(CPI、前年比)は4月には18%台まで上昇するとの見通しを示した。カブジュオール中銀総裁は実質金利もプラスを維持するとしていまる。しかしながら、エルドアン大統領の圧力の下で利上げはかなり難しく、そうなると実質金利におけるリラの魅力は一層後退することになる。

 

南アではイースター休暇後のロックダウン水準を注視

南アからは、ポジティブなニュースが少ないことは念頭に置いておく必要がある。イースター休暇(南アは4月2日休場)中は、厳格なロックダウンを行うことは辛うじて回避された。しかし、イースター中はアルコールはレストランやバーでの提供は許可されているが、小売りが販売することは禁止されることになった。南アでは感染第3波が急速に進んでいることもあり、今後の小売り業への影響が懸念されている。また、イースター後に感染第3波に対するロックダウンの水準引き上げの可能性もあることにも目を配っておく必要がある。

 

メキシコ政権では電力産業法で経済界との溝が深まる

メキシコ政権による国営企業保護の動きが顕著となっており、経済界との溝がますます深くなっている。エネルギー部門においては、国営電力公社CFEを優遇する内容が盛り込まれた電力産業法の改正案を可決させたことは記憶に新しいが、ガソリン供給を保障するために国営石油会社ペメックスを守ることを目的として、炭化水素法の改正案を議会に提出した。これは原油の輸出入や給油所の運営で民間企業の許認可を停止できるものとなっており、国営企業に有利に働くものであり、経済界からは大きな批判が出ている。

 

米国市場では2日に3月雇用統計が公表

エコノミストの平均予想では、失業率が6.0%と2月の6.2%からさらに低下すると予想、非農業部門雇用者数は平均予想で65万人増と、2月の37.9万人増から伸びが拡大すると見られている。先行指標の中で雇用統計との相関関係が最も強いとされる民間の雇用者数を示す3月ADP雇用統計は前月比+51.7万人と、9月以来の大幅な伸びとなった。コンファレンスボードが発表した3月消費者信頼感指数においても消費者が労働市場に一段と自信を強めたことも明らかになっている。ワクチン接種ペースの加速で、経済活動の再開も進んだため、週次失業保険申請件数も減少。パンデミックによる経済封鎖が開始された昨年3月以降で最小となった。継続受給者も引き続き減少基調にある。3月の雇用の増加に拍車がかかり、100万人近くの雇用増を予想するアナリストもいる。

◆市場エコノミスト予想失業率:6.0%(2月6.2%)非農業部門雇用者数:前月比+65万人(+37.9万人)民間部門雇用者数:前月比+63.8万人(+46.5万人)平均時給:予想:前月比+0.1%、前年比+4.5%(+0.2%、+5.3%) 

 

欧米市場イベント

○15:00   2月独小売売上高指数(予想:前月比2.0%/前年比▲6.3%)
○15:30   3月スイス消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.4%)
○15:30   2月スイス小売売上高
○16:00   3月トルコ製造業PMI
○16:30   3月スイスSVME購買部協会景気指数(予想:64.5)
○16:50   3月仏製造業PMI改定値(予想:58.8)
○16:55   3月独製造業PMI改定値(予想:66.6)
○17:00   3月ユーロ圏製造業PMI改定値(予想:62.4)
○17:30   3月英製造業PMI改定値(予想:57.9)
○20:30   3月米企業の人員削減数(チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマス社調べ)
○21:30   2月カナダ住宅建設許可件数(予想:前月比▲1.4%)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:68.0万件/377.5万人)
○22:45   3月米製造業PMI改定値(予想:59.2)
○23:00   3月米ISM製造業景気指数(予想:61.3)
○23:00   2月米建設支出(予想:前月比▲1.0%)
○2日01:00   10-12月期ロシア国内総生産(GDP、予想:前年比▲2.2%)
○2日02:00   ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁、講演
○2日03:00   3月ブラジル貿易収支(予想:31.00億ドルの黒字)
○ノルウェー、メキシコ(聖木曜日)、休場
〇石油輸出国機構(OPEC)など主要産油国の閣僚会合(テレビ会議)

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朝の市場コメント!

2021/04/01/08:05:20

米国株式市場はまちまち:景気敏感株に利益確定売りが重石

NYダウは85.41ドル安の32981.55ドル、ナスダックは201.48ポイント高の13246.87ポイントで取引を終了した。バイデン大統領の発表を控え、大型インフラ計画が回復をさらに支援するとの期待に、寄り付き後は上昇した。ただ、主力のハイテク株には押し目買いが入ったものの、短期的な過熱感から景気敏感株などは利益確定目的の売りに押された。また、月末を迎えて持ち高調整目的の売りも出た。また、増税や債務拡大への懸念に上値が抑制され、引けにかけてダウは下落に転じた。VIX指数は19.61から19.40へ上昇した。

 

NY外国為替市場:米長期金利上昇でドルは底堅い展開

ユーロ/ドルは、時間外の米10年債利回りが上昇幅を縮めるなか、月末・期末のロンドン16時(日本時間0時)のフィキシングに向けて全般にドル売りが進み、一時1.1760ドルまで値を上げた。ただ、フィキシング通過後は米10年債利回りが1.74%台まで再度上昇したこともあって伸び悩む展開になった。ユーロ/ポンドなど一部ユーロクロスの下落につれた売りも進み、1.1720ドル付近まで上値を切り下げた。

 


ユーロ/ポンドは29日につけた直近安値の0.8506ポンドを下抜けて、一時0.8503ポンドと昨年2月以来の安値を更新。この日発表された10-12月期英国内総生産(GDP)改定値が予想より強い結果となったこと、フランスで新たなロックダウン開始が発表されたことなどが材料視された。 

 

ドル/円は、ロンドンフィキシングにかけてドル売りが強まった場面では一時110.41円付近まで下押しした。ただ、フィキシングを通過すると米長期金利の上昇を手掛かりにした買い戻しが入り、110.70円台まで下値を切り上げた。なお、引け間際にバイデン米大統領によるインフラ再構築計画についての演説が始まったが、すでに計画の骨子が報道で伝わっていたこともあり、相場への影響は限定的だった。 

 

NY原油先物市場は続落:2021年の需要予想の引き下げ懸念

NY原油先物市場は58.85ドル-61.17ドルのレンジ相場となった。EIA石油在庫統計で、原油とガソリンがともに取り崩しとなったことを受けて強含む場面もあった。しかしながら、明日から始まるOPECプラスの会合を前に、2021年の需要予想を引き下げるとの懸念が広まったこともあり、下げ幅を広げて引けた。なお、3月は月間を通して原油先物は約3.8%下落した。ロンドン市場の序盤にかけて61.17ドルまで買われたが、ニューヨーク市場で一時58.85ドルまで下落した。

 

NY金先物市場は反発:ドル高一服で買い戻し

NY金先物市場は1677.30-1716.30ドルのレンジ相場となった。米10年債利回りが一時1.70%まで低下するなど米金利の動きに連れて、対欧州通貨を中心にドルが小幅に売られたこともあり、金先物価格は3日ぶりに反発した。NY入り後は緩やかながらもほぼ一本調子で上昇した。ドル高を嫌ってアジア市場で1677.30ドルまで下落したが、ロンドン市場で下げ止まり、ニューヨーク市場で1716.30ドルまで戻した。

 

米国債券市場は反落:米景気回復期待から売り優勢

米国債券市場で長期ゾーンは反落(利回りは上昇)した。米10年物国債利回りは前営業日比0.04%高い(価格は下落)1.74%で終了した。バイデン米政権のインフラ投資計画を受けて米景気回復への期待が高まるなか、安全資産とされる米国債は売りに押された。

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