FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

2021/04/21/15:11:43

日経平均株価:ウイルス感染拡大への警戒感から売り優勢

世界的な株安を嫌気したほか、国内での新型コロナウイルスの感染拡大への警戒感から、寄り付きから400円を超える下落した。いったん戻りを試しに行ったが、すぐに上値が重くなると、その後は下値を探る流れが続いた。前日に続き日銀によるETFの買い入れがないとの観測があり、相場の重石になった。結局、前営業日比591円安の2万8508円と大幅に続落して終了した。

 

東京外国為替市場:リスク回避の円買い強まる

ドル/円は、日経平均株価の大幅安を眺めて下値を模索する展開となり、108円を割り込んで一時107.88円付近まで下落し、3月5日来の安値を付けた。世界的に新型コロナウイルスの新規感染者が増加していることもあり、リスク回避の円買いを誘った。ただ、下値では本邦輸入勢などがドル買い・円売りに動き108円台を回復した。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、108.00円を挟んでもみ合いとなった。本邦実需筋の売り買いが午前で一巡したこともあり、商いは薄かった。ユーロ/ドルは、1.2030ドル前後で小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

日銀の今月ETF購入はゼロ:株式市場に広がる不安

日銀は20日、TOPIXが午前に前日比1.25%安となったが、ETFを買い入れなかった。3月にETF購入の方針を変更し4月から適用すると公表したが、まだ今月は買っていない。月間で購入がゼロとなると、黒田日銀総裁が就任して以降で初めてとなる。市場では、テーパリング(段階的な金融緩和の縮小)かと見構えている。日銀は明らかにしていないが、市場は長らくTOPIXの午前の下落率が0.5%を超えると、日銀がETFを購入するとみていた。まず変化があったのは、2月18日にTOPIXが午前に0.54%安となったが買い入れず、翌19日も0.76%安となったが日銀は動かなかった。しかし、1.92%安となった2月26日に購入したため、市場は1.0%超の下落で買うルールになたっと受け止めていた。しかし、昨日はETF買いは見送られた。

 


ECBでは超緩和維持:テーパリングの憶測は時期尚早

欧州中央銀行(ECB)は今週予定されている定例理事会で、大規模な金融緩和策を据え置くと見られている。回復の遅れに対処するために、ECBが超緩和策を維持することが正当化される。 一部のアナリストは、夏に向けて、ワクチン接種が進み、新型コロナウイルス感染が沈静化することを見込み、ECBが景気の見通しを引き上げると見ている。もし、域内の大規模金融緩和継続への強い公約がなければ、6月にテーパータントラムが起こると、警戒されている。投資家はさらに、この会合で、中央銀行による長期金利の上昇を抑制する戦略の明確化を求めている。
ラガルド総裁は最近のインタビューで、欧州経済が第1四半期に縮小する可能性を警告した。成長軌道を脱したわけではないが、回復ペースが米国経済の回復に遅れることも認識。物価安定の目標には程遠いと、慎重な見解を示している。4月理事会でも同様に、慎重な見通しを示す可能性が強く、緩和策縮小を織り込むには時期尚早と見る。

 

トルコリラは中銀の独立性への信頼を取り戻すまでは上値の重い展開

与党・公正発展党(AKP)副党首は『実質金利マイナスとした金融政策は100年に1度の策であり、今後のトルコ実質金利は常にプラスである』との考えを示した。先週末は、エルドアン政権高官から『トルコ中銀の声明は緩和を意味するものではない』との発言も伝わっている。エルバン財務相もインフレ対策を最優先と再度強調したが、リラ相場の反応は限られたままである。インフレの改善見込みが立たない中でトルコ中銀の政策も手詰まり感が出てきており、市場の期待値を上げるのは簡単ではない。まずは『中銀の独立性』への信頼を取り戻すことが必要かもしれない。しかしながらエルドアン大統領が先月、トルコ中銀総裁を突然更迭したショックを拭い去るのは簡単ではない。

 

本日は市場の注目度が高い南アの3月消費者物価指数(CPI)が発表

2月CPIは前年比で南ア準備銀行(SARB)の目標バンドとする3.0-6.0%を割り込む2.9%となったが、今月は3.2%程度が市場予想となり、再び目標バンドに戻る可能性が高まっている。今回のCPIは先週SARBが南ア特有のインフレリスクを指摘したことで注目度が高まっている。今回は市場予想を上回れば素直にランド買い、もし再び3%割れになった場合はランド売りに反応する可能性が高い。

 

米共和党のインフラ投資対案は6000億ドル以下の可能性も

米上院の共和党議員らは、バイデン大統領が掲げる2兆3000億ドルのインフラ投資計画への対案について、週内に概案の取りまとめを目指しており、規模は6000億ドルを下回る可能性がある。シェリー・ムーア・カピト議員は記者団に対し、概案には財源の手当てについても盛り込まれ、バイデン氏の大規模な提案とは対照的な内容になると表明した。『向こう数日中、できれば週の終わりまでに取りまとめたい』と語った。ロジャー・ウィッカー議員は規模について『6000億ドルを下回るかもしれない』と指摘した。部分的にはこれまで使われていない資金を再配分する形で活用する可能性があるほか、『ガソリン税を納めていない電気自動車からも公平な負担を求める可能性がある』と述べた。

 

欧米市場のイベント

○15:00   3月英CPI(予想:前月比0.4%/前年比0.8%)
○15:00      CPIコア指数(予想:前年比1.1%)
○15:00   3月英小売物価指数(RPI、予想:前月比0.4%/前年比1.6%)
○17:00   3月南アフリカCPI(予想:前月比0.7%/前年比3.2%)
○17:05   ラムスデン英中銀(BOE)副総裁、講演
○19:30   ベイリーBOE総裁、講演
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○21:30   3月カナダCPI(予想:前月比0.6%/前年比2.3%)
○23:00   カナダ銀行(BOC、中央銀行)、政策金利発表(予想:0.25%で据え置き)
○23:30   EIA週間在庫統計
○24:00   マックレムBOC総裁、記者会見
○22日02:00   米財務省、20年債入札
○インド(ヒンドゥー教ラーマ神生誕日)、ブラジル(チラデンテスの日)、休場

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欧米タイム直前市場コメント!

2021/04/20/15:12:03

日経平均株価:海外勢のポジション調整の売り優勢

前日の米国株安に加え、対ドルでの円高基調や、国内での新型コロナウイルス感染拡大への警戒感も重石となって、下げ幅を拡大した。主力企業の決算を来週に控え、弱気な業績見通しやコメントを発表する可能性が出てきたことも相場の重石となった。市場では、国内の新型コロナウイルスの感染拡大を警戒し、海外勢がポジション調整の売りを出しているとの指摘もあった。下げ幅は一時600円を超えた。結局、前営業日比584円安の2万9100円と4営業日ぶりに反落して終了した。

 

東京外国為替市場:108円台前半でもみ合う展開

ドル/円は、日経平均株価の大幅安がリスク回避の円買いを誘い、約1ヵ月ぶりに108円を割り込んで107.97円付近まで下落した。しかし、下値では本邦輸入勢などがドル買い・円売りに動き、108.30円付近まで持ち直した。米長期金利が上昇したこともドルの買い戻しにつながった。ただ、オセアニア通貨に対してドル売りが強まると、108.20円付近まで下落した。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、108.20円前後でもみ合いとなった。ユーロ/ドルは、欧州で新型コロナウイルスワクチン接種が加速するとの思惑からユーロ買い・ドル売りが進み1.20ドル台半ばから一時1.2070ドル付近まで上昇した。

 

中国向け輸出が過去最高:貿易相手として依存を深める構図

財務省が19日発表した貿易統計で2020年度と3月単月の中国向け輸出額は過去最高を記録し、日本が主要な貿易相手として中国への依存を深めている構図が鮮明となった。米中関係悪化による日本への影響を懸念する声も高まっている。20年度の中国向け輸出は前年度比9.6%増の15兆8997億円、3月単月でも前年同月比37.2%増の1兆6344億円となり、いずれも過去最高を更新した。日本からの輸出は半導体の製造装置といった一般機械や電気機器の組み立て部品が中心である。中国からは通信機や半導体部品の輸入が多かった。日本から米国への輸出は16.5%減の12兆4416億円。

 

欧州経済は夏に向けて回復に楽観的な見方

独連銀は4月月報の中で、新型コロナウイルス感染が収束せず、ロックダウンが長期化したほか、VAT(付加価値税)の引き上げなどが影響しドイツ経済が1-3月期に縮小するとの見通しを明らかにした。加えて、アストラゼネカ製ワクチンを巡る混乱で、ワクチン普及も遅れている。ただ、ゴールドマンサックスは夏にかけ欧州でもワクチン接種ペースが加速し、新型コロナウイルスによる入院者数が減少し、回復が強まると見ており、ECBが債券購入を増やす可能性は低いと見ている。ECBは景気見通しを緩やかに引き上げる軌道にあるため、ドイツ連邦債30年物売却やユーロの買い持ちを推奨した。

 

CSのアルケゴス問題は奥深い可能性もあり業績が懸念される

スイスの金融大手クレディ・スイス・グループが19日、プライムブローカー部門の幹部2人が退職すると発表した。米ファミリー・オフィスのアルケゴス・キャピタル・マネジメントの破綻で47億ドルの損失が生じ、幹部刷新が続いている。JPモルガンは19日付の欧州クレジット・リポートで『アルケゴス関連で47億ドルの損失を発表したが、潜在的なコストについての憶測が続き、その後に報告されたブロック・トレードで21年4~6月期(2Q)の業績にさらに打撃を与え、最終的には銀行のスリムな余剰資本の維持能力が懸念されている』と指摘した。リポートでは、『これ以上の損失がどれだけ大きいのか推測することはできないが、22日の決算は今後の四半期で損失がどのように出るのかを理解する上で重要と考える』と指摘した。

 

トルコ中銀独理性への不信感と23年の総選挙に向けての駆引き

『トルコ中銀のタカ派スタンス後退』と受け取られた先週の金融政策決定会合後、エルドアン大統領の側近は市場の『早期利下げへの警戒感』を和らげようと躍起になっている。ただし、3月会合後に総裁を含めた3人の金融政策委員会(MPC)が大統領によって入れ替えられ、中銀独立性への不信感が高まる中では側近行動の効果は限られている。 なお、エルバン財務相は昨日、野党から糾弾されているアルバイラク前財務相時代の巨額な為替介入について、データを公けにすることを示唆した。エルドアン大統領の娘婿であるアルバイラク氏を不利にするような資料が出てくるとは思えないが、内容次第では野党の勢いが増す可能性もある。2023年の総選挙に向けて与野党の駆け引きは続く。

 

南ア中銀総裁は禁輸政策の難しさについて発言

南ア準備銀行(SARB)はインフレリスクについて発言したが、週末にはこの発言に対してクガニャゴSARB総裁を批判する声が高まった。一部では『南ア国内が未曽有の危機にあり、デフレリスクがある中でインフレについて話すとは』というものである。また『SARBは保守的すぎる』『利下げは早すぎた』との批判も出た。これに対してSARB総裁は『以前は右側だけに攻撃されたが、今度は左側からも攻撃される』と金融政策のかじ取りの難しさについて発言をし、批判には耳を貸さない姿勢を貫いた。

 

米国債相場も落ち着きを取り戻しつつ

今月末に開催される連邦公開市場委員会(FOMC)を控え、ブラックアウト期間に入るため、連邦準備制度理事会(FRB)高官の講演やイベントがなく、材料に欠ける。
一時警戒されていたインフレが急速に大幅上昇する兆候なく、さらに、パウエル議長やクラリダ副議長などFRBの高官が、経済がFRBの目標達成に程遠く、当面大規模緩和を維持する方針を示したため米国債相場も落ち着きを取り戻しつつある。

 

欧米イベント

○15:00   3月英雇用統計(失業率/失業保険申請件数推移)
○15:00   12-2月英失業率(ILO方式、予想:5.0%)
○15:00   3月独生産者物価指数(PPI、予想:前月比0.6%)
○21:50   デコス・スペイン中銀総裁、講演
○21日01:00   3月ロシア失業率(予想:5.6%)

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欧米タイム直前市場コメント!

2021/04/19/15:17:19

日経平均株価:アジア主要株価指数の堅調を受けて持ち直す展開

朝安で始まった後、企業決算に対する期待もあり押し目買いに切り返す展開となった。しかし、方向感に欠き往来相場から抜け出せない状態が続いた。商いは乏しく前場の東証1部売買代金は1兆円台を割り込んだ。ただ、韓国や台湾、中国などアジアの株式市場で総じて堅調となったことが日本株を支えた。結局、前営業日比2円高の2万9685円とわずかに上昇して3日続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:日米首脳会代の共同宣言についてリスク回避の円買い

ドル/円は、米長期金利低下を眺めて108.55円付近へ下落した。16日に行われた日米首脳会談の共同宣言について、中国が不満と反対を表明していることもリスク回避の円買いを誘った。ただ、心理的節目の108.50円に接近すると下げは一服となった。その後は、値ごろ感からドルの押し目買いが入り、108.65円付近へ値を切り返した。午後は、米国の金融緩和政策が長期化するとの思惑から仕掛け的なドル売り・円買いが持ち込まれ、108.50円付近まで下落した。米国株先物が軟調なこともドルの押し下げ要因となった。ユーロ/ドルは、ドル/円のドル安が波及して、1.19ドル台半ばから1.19ドル台後半へ水準を切り上げた。

 

日本の3月の貿易収支は予想上回る黒字幅

財務省が本日発表した貿易統計速報によると、3月の貿易収支は6637億円の黒字となり、黒字幅は予想を上回った。輸出は前年比16.1%増の7兆3781億円と、2ヵ月ぶりに増加した。自動車や非鉄金属、プラスチックがプラスに寄与した。輸入は前年比5.7%増の6兆7144憶円と、2ヵ月連続で増加した。医療品や鉄鉱石、電算機類の輸入が増えた。輸出のうち、米国向けは前年比4.9%増の1兆2395億円と5カ月ぶりに増加した。欧州連合(EU)向けも同12.8%増の7145億円と、20ヵ月ぶりにプラスに転じた。対中輸出は前年比37.2%増の1兆6344億円と9ヵ月連続で増加した。プラスチックや原料品、非鉄金属の輸出が伸びた。単月の実績と同時に公表した2020年度の貿易収支は1超3070億円の黒字となり、3年ぶりに黒字を確保した。

 

暗号資産の急落:急落理由は定まらず

代表的な暗号資産(仮想通貨)であるビットコインが急落した。情報サイトのコインデスクによると、ドル建て価格は日本時間19日朝に1ビットコイン=56,000ドル前後と、14日に付けたた最高値(64,000ドル台後半)を1割超も下回る水準で推移した。18日には52,000ドル台まで水準を切り下げる場面もあった。急落の理由については定まっていない。米ブルームバーグ通信では、18日に『米財務省が暗号資産を利用した資金洗浄対策を強化するという懸念が急落を招いたという情報がネット上で流れた』と伝えた。一部上昇サイトは、暗号資産に不可欠なマイニング(採掘)を多く実施しているとされる中国・新疆ウイグル自治区で起きた停電が切っ掛けと伝えている。

 

22日のトルコ中銀の金融政策委員会の議事要旨に注目

先週開催されたトルコ中銀金融政策決定会合では、主要政策金利である1週間レポレートは19%で据え置かれたが、声明では(昨年11月以降強まっていた)タカ派姿勢が明らかに後退した。インフレが加速しているにもかかわらず、いずれ中銀が利下げに踏み切るとの思惑がくすぶり続ける中でリラは買いづらい。なお、22日には、今回のトルコ中銀が金融政策委員会(MPC)の議事要旨を公表する。普段はそれほど材料視されないが、今回は声明内容を変えてきたため、どのような意見がMPC内で出ていたか注目される。想定以上にハト派に傾いていた場合、リラの下値を試す場面もある。 ただ、15日の中銀会合後の値動きを見る限りでは、下がったところでは買いたい向きは意外と多そう。投機筋は既にリラショートで待ち構えているとの見方もでき、下落後の反発には警戒が必要である。

 

トルコとギリシャの外相会談では非難の応酬

トルコの首都アンカラで15日、チャブシオール外相とギリシャのデンディアス外相が会談した。東地中海の資源開発などをめぐり鋭く対立してきた両国は、今回の会談で関係修復を図ったが、会談後の記者会見では両外相が非難の応酬を繰り広げ、かえって相互不信の根深さが浮き彫りとなった。会見は当初友好的な雰囲気で進んだ。しかし、デンディアス氏がトルコによる東地中海での『主権侵害』に言及すると、チャブシオール氏は『侵害はない』と主張した。さらに『メディアの前でトルコを非難するなら、私もやり返さざるを得ない』と憤りをあらわにした。これに対し、デンディアス氏は『何も問題がないようには振る舞うことはできない』と反論した。チャブシオール氏は『緊張が続くことを(ギリシャが)望むなら、われわれも同じようにする』と述べ、けんか状態になった。両国は今回の外相会談の成果次第で、首脳会談の開催も視野に入れていたが、展望は不透明になった。

 

21日の南ア消費者物価指数に注目:利上げ期待論が出てくる可能性も

2月の南ア消費者物価指数(CPI)は2.9%増と、SARBの目標バンド3-6%を下回ったので早急な利上げは考えにくい。また、クガニャゴSARB総裁が『インフレ予測のリスクは均衡しており、金融緩和策の継続は可能』『インフレ見通しを見る限りでは政策を調整する必要はない』と発言し、早期の利上げはないと打ち消しに走ってもいる。しかしながら、前回のSARB金融政策委員会(MPC)では今まで利下げを主張していた2人が据え置きに転じている。今週は21日3月のCPIが発表されるが、市場では3%前半まで回復し、再び目標バンドに戻るとの予想になっている。予想通りになればSARBが否定しても、利上げ期待論が出てくる可能性もあり、ランドの下支えとなる。ただし、米露関係、米中及び多くの国が中国との関係悪化などの地政学リスクで、新興国通貨買いの梯子が外されることには要注意である。

 

メキシコではエネルギー産業を巡る国内ので争い

14日にはメキシコ下院で民間石油企業による石油製品の輸入許可撤回を可能にする法案が可決された。国家主導のエネルギー戦略を進めるロペスオブラドール大統領の肝いり案件だが、石油製品市場での公正な競争に悪影響を与えるとして経済界から意見書が送られており、企業側の反発は必至とみられている。また、先に成立した電力産業法改正法案も施行早々に裁判所から適用差し止めを命じられており、エネルギー産業を巡る政府、民間企業、そして裁判所の争いは今後も続くことになる。

 

欧米市場イベント

○17:00   2月ユーロ圏経常収支(季節調整済/季節調整前)
○18:00   2月ユーロ圏建設支出
○21:15   3月カナダ住宅着工件数(予想:25.00万件)

 

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欧米タイム直前市場コメント!

2021/04/16/15:15:09

日経平均株価:全般様子見ムード強く小幅な値動き

米国株式市場が堅調推移、米10年債金利が低下したことで地合いが好転したことで、寄り付くは高く始まったものの、変異種によって新型コロナウイルスの国内感染者が拡大していることが、上値を抑える要因となった。経済正常化が遅れるとの懸念から、その影響を受けやすいバリュー株が上値を重くした。下落に転じる場面もあり、前日終値を挟んだ展開になった。また、日本時間17日未明に日米首脳会談を控えており様子見ムードも強かった。結局、前営業日比40円高の2万9683円と小幅続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:様子見ムード広がり108円台後半でもみ合い

ドル/円は、米長期金利が1.57%前後で推移していることを嫌気したドル売り・円買いが先行し、108.61円付近まで下落した。しかし、この水準が海外市場の安値であるこが意識されるとドル売りも一服、さらに仲値にかけて国内輸入企業などのドル買い・円売りが通常より多く持ち込まれたことに加え、ドルの巻き戻しもあり108.90円台へと値を戻した。その後は、まちまちな日経平均株価やアジア主要株価を睨みながら、108.90円付近でもみ合い相場となった。午後は、日米首脳会談の動向を見極めようとの向きから、様子見ムードが広がり108円台後半で小動きとなった。まん延防止等重点措置が拡大されるなど、国内情勢にも先行き不透明感が漂っていることも、参加者の意欲を低下させた。ユーロ/ドルは、米長期金利が1.58%付近で停滞していることで、欧米金利差縮小を意識したドル売り・ユーロ買いが継続され、1.1970ドル台へと上値を伸ばした。

 

本邦生命保険会社は米国債投資を増やす可能性が高い

国内の主要な生命保険会社は2021年度の資産運用計画で、為替差損の回避措置(ヘッジ)を講じた米国債への投資を増やす可能性が高い。今年に入ってからの米長期金利の大幅な上昇に伴い、ヘッジ後の利回りが15年以来の高水準となっている。米10年物国債利回りから為替ヘッジコストを差し引いた利回りは年初に0.5%未満だったが、3月末には約1.4%と15年末以来の高水準を付け、その後も高止まりしている。これは生保が主な買い手となる日本の30年物国債利回りの約2倍に当たる。一方、米短期金利は米連邦準備制度理事会(FRB)による金融緩和の長期化で過去最低圏にとどまり、日米の短期金利差とドルと円の需給格差で決まる為替ヘッジコストは0.3%台と15年1月以来の低水準で推移している。

 

トルコ中銀の金融政策はタカ派スタンスが後退

トルコ中銀は、市場予想通りに主要政策金利である1週間レポレートを19.00%で据え置いた。ただし、声明では『必要に応じて、追加の金融引き締めを行う』という文言を削除した。また、引き締めスタンス維持としながらも、前回まで付けられた『長期的に断固として』との強い表現は取り除かれた。前回までのタカ派スタンスが明らかに後退した。トルコでは、インフレ加速、経常赤字の拡大、中銀独立性への不信感、外貨準備高の減少、新型コロナウイルス感染の急増、観光セクターの回復見通しは立たず、失業率増加も歯止めがかからず、また欧州連合(EU)との関係悪化懸念など、リラを売りに繋がる材料は多く見受けられる。

 

メキシコのべメックス製油所火災:損傷の修復に最大3ヵ月

国営石油会社ペメックスが所有するベラクルス州の製油所で7日、大規模な火災が発生した。7人の負傷者を出したものの死者は出さずにその後鎮火したが、火災の影響は決して小さなものではなかった。ペメックスが13日に発表したところによると、ベラクルス州の製油所は現在使用できない状況である。操業は早ければ数日以内、生産は4月30日から再開される可能性があるが、火災による損傷の修復には最大で90日かかるとしている。同製油所はペメックスが運営する6つの製油所のうちの1つで、1日あたり生産能力は最大28.5万バレル。昨年の1日あたりの生産量が160万バレルほどのペメックスにとっては痛手となる。

 

6兆ドルに膨れ上がる巨大ブラックボックス:金融基金のリスクにも

ヘッジファンドなら米SEC(証券取引委員会)に登録義務があり、保有資産、取引銀行との関係などを開示する必要があるが、ファミリーオフィスには報告義務がない。米国が金融規制改革法『ドッド・フランク法』に金融機関の自己勘定取引への規制『ボルカー・ルール』を盛り込む等、世界の金融当局が金融危機の再来を防ぐべく規制を強化した。その一方で個人の取引が金融システムを揺るがす可能性は低いと規制の抜け穴として膨張してきたのが『ファミリーオフィス』という『影の銀行』である。ファミリーオフィスは、欧米を中心に1万社以上存在するとされ、運用規模は6兆ドル(約660兆円)に上り、既に資産規模は世界で約6兆ドル(約660兆円)とヘッジファンドの約3.6兆ドル(約396兆円)やベンチャーキャピタルの約1.36兆ドル(約50兆円)を遥かに凌ぐ巨大ブラックボックスと化している。ヘッジファンドを凌駕する巨大『影の銀行』ファミリーオフィスの膨張とその膨れ上がる高リスク資産への過剰流動性の横溢は、コロナ危機に伴い世界の中央銀行が実施する未曾有の大規模QE(量的緩和)を背景としていることは言うまでもない。『高圧経済』に向かう米経済にあって米長期金利が一段跳ね上がれば第2、第3のアルケゴスが局地金融危機となって資産バブル調整の『蟻の一穴』となりかねない。

 

米国小売の高水準持続は不可能:今後は緩やか伸びに転じる可能性強い

米商務省が発表した3月小売売上高は前月比+9.8%と、2月-2.7%からプラスに改善した。伸びは予想の2倍近くとなり、過去最大の伸びを記録した昨年5月来で最大となった。パンデミックで激しく落ち込んだ昨年3月に比べ+27.7%。ワクチンの普及が奏功し、経済活動の再開に伴いバーやレストランでの売り上げは前月比+13.4%。スポーツ用品:+23.5%、衣服・アクセサリー:+18.3%、自動車・自動車販売:+15.1%だった。変動の激しい自動車を除いた小売も前月比+8.4%と、2月-2.5%からプラスに改善し、予想を上回った。 経済活動の再開が進んだことに加えて、期待されていたとおり、政府の国民への直接資金供給や中小企業支援を含めた経済対策が大きく貢献した。支給された現金の用途では、41.6%が貯蓄、24.7%が消費。2020年春の第1弾経済支援策では、34.5%が貯蓄、29.2%が消費に充てられた。一度きりの直接資金供給が奏功した10%近くの小売りの伸びを今後も、持続的に維持することは困難である。引き続きワクチン普及で経済活動の再開が進み、経済がパンデミック前の状況に回復する軌道にあるものの、今後の小売りは、緩やかな伸びに転じる可能性が強い。

 

欧米市場イベント

○15:30   3月スイス生産者輸入価格
○18:00   カンリフ英中銀(BOE)副総裁、講演
○18:00   2月ユーロ圏貿易収支(予想:季節調整前なし/季節調整済220億ユーロの黒字)
○18:00   3月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)改定値(予想:前年比1.3%)
○18:00   3月ユーロ圏HICPコア改定値(予想:前年比0.9%)
○21:15   3月カナダ住宅着工件数(予想:25.00万件)
○21:30   2月対カナダ証券投資
○21:30   2月カナダ卸売売上高(予想:前月比▲0.4%)
○21:30   3月米住宅着工件数(予想:161.1万件、前月比13.4%)
         建設許可件数(予想:175.0万件、前月比1.7%)
○23:00   4月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、速報値、予想:89.6)
○23:45   カプラン米ダラス連銀総裁、講演
○日米首脳会談(ワシントン)

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欧米タイム直前市場コメント!

2021/04/15/15:14:23

日経平均株価:様子見ムード広がり上値の重い展開

寄り付きでは続落スタートとなったものの、その後急速に下げ幅を縮小しプラス転換した。しかし、来週の主力企業の決算発表をにらみ様子見ムードが広がり、指数は上げ幅を縮小した。昼休み中に、新型コロナウイルス感染がさらに拡大した場合の東京五輪開催について『とても無理というならやめないといけない』と自民党の二階幹事長が発言したと報じられたが、株価の反応は薄かった。中国・上海市場や香港市場の株安も重荷となり上値の重い展開になった。結局、前営業日比21円高の2万9642円と小幅に反発して終了した。

 

東京外国為替市場:手掛かり材料難から108円台後半で小動き

ドル/円は、オセアニア通貨や資源国通貨を中心としたドル安の流れがドル/円に波及し、108.81円付近まで小幅に下落した。ただ、仲値発表後にはドルの巻き戻しも入ったことで、108.90円台へと押し戻され下げ幅を消した。午後のドル/円は、新規の手掛かり材料難から、積極的な売り買いは目立たず、108円台後半で小動きとなった。4月の日銀地域経済報告(さくらレポート)が公表された。9地域のうち、北海道と東北の2地域の景気判断を下方修正、残る7地域は据え置きとした。全体としては『持ち直し基調にある』などとしたが、ドル/円相場への影響は限定的だった。ユーロ/ドルは、デンマークがアストラゼネカ製ワクチンの使用を完全に中止する方針を打ち出すなど、欧州の新型コロナウイルスを巡る先行き不透明感もあり、欧州勢の動向を見極めようとの向きから、1.19ドル台後半で小動きとなった。

 

トルコ中銀の金融政策が注目:大方の予想は金利据え置き

カブジュオール氏がトルコ中銀総裁に就任して初となる会合では、主要政策金利である1週間レポレートは現行19%で据え置かれるというのが大方の予想である。一時警戒感が高まった早期緩和が避けられるのであれば、リラ相場にとっては安心材料とはなりやすい。ただ問題は、エルドアン大統領に解任されたアーバル・前総裁の下、タカ派姿勢を鮮明にしてきた声明内容を維持することができるかである。前回3月の前倒し利上げ(予想100ベーシスポイントのところ200ベーシスポイント引き上げ)を決定した会合でも、『金融引き締めのスタンスは断固として維持』『必要に応じて、追加の金融引き締めを行う』と述べていた。足もとのインフレが依然として上昇傾向を強めているにもかかわらず、もし中銀が引き締めスタンスを少しでも緩めてしまえば、市場に失望感を与えてしまう。一方、声明文言に大きな変更がなければ、新総裁に対する警戒感も後退するかもしれない。ただ、『エルドアン大統領に睨まれている金融政策委員会は、いずれ緩和策に転じざるを得ない』という市場の見方を変えるのは難しい 。

 

南アは物価指標次第では利上げ期待によるランド買いの可能性も

昨日南アフリカ準備銀行(SARB)は『水道・電気料金がインフレ予測の上方リスクを示している』『南アは高インフレ経済のままであり、中期的に消費者物価指数(CPI)が上昇すると南ア特有のリスク認識が高まり、徐々に高い金利につながる』とも発表している。2月の南アCPIは2.9%増で、SARBの目標バンド3-6%を下回るものだったので早急な利上げは考えにくい。しかしながら、前回のSARB金融政策委員会(MPC)では今まで利下げを主張していた2人が据え置きに転じたこともあり、今後の指標次第では利上げ期待も出てくる可能性もあり、ランド買いにつながりやすい。

 

メキシコの回復はバイデン米政権による大規模経済政策の恩恵

メキシコ銀行(中央銀行)のディアスデレオン総裁は『景気の回復は様々セクターで不均一であり、メキシコは新たな課題に直面する』と言及した。昨年後半の景気回復は『外需と輸出が中心となり、消費や投資といった部門を遥かに上回った』と述べた。今後の回復についても輸出関連企業が先導するとしており、バイデン米政権による大規模経済政策の恩恵を受けられるメキシコは、内需に弱みを抱えつつも他国と比較して景気回復ペースが早まる可能性もあある。

 

米イラン間接協議は15日に再開:中東和平につながるか注目

サキ米大統領報道官は14日の記者会見で、イラン核合意をめぐるイランとの協議について『間接的な形だが、15日ウィーンで再開する』と明らかにした。その上で『長期のプロセスになるのは分かっているが、(協議再開は)前向きなサインだ』と述べた。米国の核合意復帰とイランの合意違反停止を話し合う協議は、合意当事国の英仏独中ロとイランの間で6日にウィーンで開かれ、米国は欧州が仲介する間接交渉の形で参加する。今週中に再開する方針だった。しかしその後、イラン中部ナタンツのウラン濃縮施設でトラブルが発生し、イランは『テロ行為』と非難した。同国のアラグチ外務次官が13日、濃縮度を60%に高めた高濃縮ウランの製造着手を表明するなど、態度を硬化させていた。サキ氏は会見で、ナタンツの施設でのトラブルに関し『追加的な見解は持ち合わせていない』と述べ、米国の関与を改めて否定した。

 

米国ではインフレの脅威はなく金融緩和の維持を正当化

米労働統計局が発表した3月消費者物価指数(CPI)は前月比+0.6%と、伸びは2月+0.4%から予想以上に拡大し2012年8月来で最大。特に米連邦準備制度理事会(FRB)が注視している変動の激しい燃料や食料品を除いたコアCPIは前年比で+1.6%と、伸びは、2月+1.3%から予想を上回り12月来で最大となったものの、依然FRBの目標である2%を下回った。また、内訳では、ガソリン価格の上昇やパンデミックの影響を受けて需要が増えた中古車価格、車やトラックのレンタル価格の大幅上昇が目立ち、全体指数を押し上げたことがわかっており、FRBが指摘したとおり、インフレが一時的にとどまる可能性もある。現状でインフレの脅威を示すような結果ではなく、経済が最大雇用に達するには程遠いことを考えると、FRBの長期にわたる大規模金融緩和の維持は正当化される。

 

米国市場では3月小売売上高が公表

2月実績は、強い寒波に見舞われた地域があったことから、前月比▲3.0%の落ち込みとなった。オンライン販売の反動減も影響した。3月については、2月に減少した自動車、外食、電気製品のセールスが持ち直すと予想されており、高い伸びとなる可能性がある。

 

欧米イベント

○15:00   3月独消費者物価指数(CPI)改定値(予想:前月比0.5%/前年比1.7%)
○15:30   3月インド卸売物価指数(WPI、予想:前年比5.90%)
○15:45   3月仏CPI改定値(予想:前月比0.6%/前年比1.1%)
○20:00   トルコ中銀、政策金利発表(予想:19.00%に据え置き)
○21:30   2月カナダ製造業出荷(予想:前月比▲1.0%)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:70.0万件/370.0万人)
○21:30   4月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数(予想:42.0)
○21:30   4月米ニューヨーク連銀製造業景気指数(予想:19.5)
○21:30   3月米小売売上高(予想:前月比5.9%/自動車を除く前月比5.0%)
○22:15   3月米鉱工業生産指数(予想:前月比2.8%)
        設備稼働率(予想:75.7%)
○23:00   2月米企業在庫(予想:前月比0.5%)
○23:00   4月全米ホームビルダー協会(NAHB)住宅市場指数(予想:83)
○16日00:30   ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演
○16日01:00   3月ロシア鉱工業生産(予想:前年比▲1.0%)
○16日03:00   デイリー米サンフランシスコ連銀総裁、講演
○16日05:00   メスター米クリーブランド連銀総裁、講演
○16日05:00   2月対米証券投資動向

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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