FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

2021/03/24/15:13:44

日経平均株価:世界的な景気回復の不透明感から売り優勢

米国株の下落要因が世界的なコロナ感染の再拡大であったことから、これまでコロナ収束を見越して買われていた銘柄群が軒並み売られた。東京エレクトロンなど一握りの半導体株には買いが入ったが、グロース株を見直すまでの動きには至らず、指数は下げ基調が継続した。短期の海外投資家などが日経先物に売りを出したことで、先物安で割高となった現物株にも売りが出た。市場からは『値下がり局面であっても、機関投資家などはすでに年度末の持ち高を固めてしまっており、買いを入れにくい』との指摘もあり、下支え要因が乏しいことが株価を下押しした。結局、前営業日比590円安の2万8405円で終了した。

 

東京外国為替市場:108円台半ばでもみ合いう展開

ドル/円は、本邦国内勢などのドル買い・円売りが先行し、108.64円付近まで値を上げた。しかし、欧米での新型コロナウイルス感染再拡大が警戒されているため、上値を追う動きは限られた。その後は、米長期金利低下や日経平均株価の大幅安を眺めたドル売り・円買いに押されて108.45円付近へ下落した。午後は、米長期金利や日経平均株価の動向を睨みながら、108.50円を挟んでもみ合いとなった。海外時間に予定されているFRB当局者の発言や米5年債入札を前に、様子見を決め込む市場参加者も多かった。ユーロ/ドルは1.18ドル台半ばで小動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

欧州市場では3月マークイットユーロ圏製造業購買担当者景気指数(PMI)が公表

2月実績は57.9だった。3月については、欧州諸国における新型コロナウイルスの感染流行が続いていることや、雇用環境の大幅な改善は期待できないことから、2月実績をやや下回る可能性がある。

 

独がロックダウンの期限を延長する発表

ドイツ連邦政府と州政府は23日、新型コロナウイルス感染拡大阻止のためのロックダウン(都市封鎖)の期限を、従来の28日から4月18日まで延長すると発表した。昨年11月に緩めの制限から始まった封鎖は、強化を経て5カ月半に及ぶこととなった。
2月はほぼ数千人だった1日の感染者数は、3月には1万7000人を超える日もあるなど、第3波が到来した。英国の変異ウイルスが新規感染の7割を占め、猛威を振るっている。メルケル首相は『新たなパンデミック(世界的大流行)だ』と訴え、警戒を呼び掛けた。

 

トルコの金融市場への不信感は高いまま

格付け会社フィッチ・レーティングスも『トルコ中銀総裁の更迭で金融政策の信頼性とインフレ抑制見通しが損なわれた』と述べ、今後は新たな中銀総裁の手腕を見極める必要があるとしている。就任後にカブジュオール新総裁は金融機関のトップと会談し、信用構築に努めている。ただ、来月半ばの金融政策決定会合までは市場のモヤモヤ感は燻ったままであり、そういった中でリラの上値は追いは難しい。同国金融市場への不信感は高まったままであり、トルコ資産から撤退する外国人投資家のヘッジ解消が集中したことで、昨日はリラ翌日物スワップレートが一時1400%まで急騰した。

 

南ア市場では2月消費者物価指数が公表:政策金利の動向にも影響

南アでは、本日発表される2月消費者物価指数(CPI)次第では神経質な動きになる可能性が高い。CPIは市場予想では前年比で+3.0%となっている。これは南ア準備銀行(SARB)の目標バンド3-6%の下限でもある。トルコをはじめ新興国の一部では利上げを行っているが、バンド下限に近付いている南アは利上げを行う状況ではない。むしろ、これ以上のCPI低下は、市場が利下げを促す可能性もある。結果次第では他の新興国通貨と比較すると金利面でのうまみもなく、昨日のように株式市場も軟調に推移した場合はランド/円は下げ幅を拡大するリスクもある。

 

メキシコにとって明るいニュース:米国がメキシコへワクチン供給

メキシコでは、国内の新型コロナ状況においては引き続き警戒感が高まる状況だが、ワクチンについて19日に米国が保有する英アストラゼネカ製のワクチンを270万回分、メキシコに供給することが決定した。これにより、7月末までには国民の約6割にあたる8000万人への接種が目指せると政府は明らかにしており、メキシコにとっては久しぶりの明るいニュースとなっている。

 

『補完的レバレッジ比率』条件緩和措置は3月末に終了

2021年3月19日、米連邦準備理事会(FRB)は、3月末に期限を迎える『補完的レバレッジ比率(SLR)』の条件緩和措置を3月31日に終了する、と発表した。共和党やウォール街の米国金融機関は、金融システムと米国債市場に与える影響軽減のため期限を延長するように要請していたが、民主党のウォーレン上院議員やブラウン上院銀行委員長は、延長を認めないよう要請する書簡を金融当局に送付していた。 2022年2月に任期を迎えるパウエルFRB議長は、2期目の再任を目論んでおり、民主党の有力議員の支持を必要としていることから逆らえなかったのかもしれない。

 

米財務長官は法人増税の必要性を指摘:米国株式市場への影響も

イエレン米財務長官は23日、下院金融サービス委員会で証言を行い、国内経済は新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)の影響でなお危機的状況にあるとしながらも、新たな公共投資の財源確保に向けた将来的な増税計画に理解を求めた。一つの可能性として、法人税を28%に戻すことが考えられるとしたものの、『バイデン政権は中小企業のほか、国民を阻害するような政策は提案しない』と述べた。委員会では共和党側から、米経済が増税を検討できるほどに経済が健全であるとどうして言えるのかとの質問が出された。これに対し、イエレン氏はパンデミックで多くの職が失われ『失業という大問題』に直面しているとしながらも、『経済が再び力強さを取り戻した後、バイデン大統領はインフラ、気候変動リスクへの対応、人的資源への投資、研究開発(R&D)、製造業などを巡る長期的な投資不足への対応を提案する公算が大きい」と指摘した。『財源確保は必要だ』と述べた。

 

米国市場では3月米マークイット製造業購買担当者景気指数(PMI)が公表

2月実績は58.6だった。先行指標とみられている3月NY連銀製造業景気指数は2月実績を上回っていること、ワクチン接種の拡大などによって雇用環境は多少改善されていることから、3月は2月実績をやや上回る可能性がある。

 

欧米市場イベント

○16:00   2月英消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.5%/前年比0.8%)
○16:00   2月英CPIコア指数(予想:前年比1.4%)
○16:00   2月英小売物価指数(RPI、予想:前月比0.6%/前年比1.6%)
○17:00   2月南アフリカ消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.9%/前年比3.0%)
○17:15   3月仏製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値(予想:56.5)
○17:15   3月仏サービス部門PMI速報値(予想:45.5)
○17:30   3月独製造業PMI速報値(予想:60.8)
○17:30   3月独サービス部門PMI速報値(予想:46.2)
○18:00   3月ユーロ圏製造業PMI速報値(予想:57.7)
○18:00   3月ユーロ圏サービス部門PMI速報値(予想:46.0)
○18:30   3月英製造業PMI速報値(予想:55.0)
○18:30   3月英サービス部門PMI速報値(予想:51.0)
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○21:00   2月メキシコ失業率(季節調整前、予想:4.40%)
○21:30   2月米耐久財受注額(予想:前月比0.8%/輸送用機器を除く前月比0.6%)
○21:50   バーキン米リッチモンド連銀総裁、討議に参加
○22:45   3月米製造業PMI速報値(予想:59.3)
○22:45   3月米サービス部門PMI速報値(予想:60.0)
○22:45   3月米総合PMI速報値
○23:00   パウエルFRB議長とイエレン米財務長官が米上院銀行委員会でCARES法について証言
○23:30   EIA週間在庫統計
○24:00   3月ユーロ圏消費者信頼感指数(速報値、予想:▲14.5)
○25日00:40   ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
○25日02:00   米財務省、5年債入札
○25日02:35   ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、討議に参加
○25日04:00   デイリー米サンフランシスコ連銀総裁、講演

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

欧米タイム直前市場コメント!

2021/03/23/15:10:26

日経平均株価:積極的な買いが手控えられ上値の重い展開

米国株高を受けて200円超上昇して始まると、序盤は上を試す流れとなった。しかし、2万9500円に迫ったところで上値が重くなって失速した。買いが先行したファーストリテイリングが萎んだことも嫌気された。その後、しばらくは上げ幅を2桁に縮めたところで盛り返す動きが見られたが、買い手の握力がなくなり、プラスではあるが安値圏で前場の取引を終えた。午後からは、米長期金利の高止まりに積極的な買いが手控えられ欧米諸国と中国政府の対立激化に伴う中国株の下落も重荷となった。結局、前営業日比178円安の2万8995円と3日続落して終了した。

 

東京外国為替市場:手掛かり材料難から108.75円でもみ合う展開

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りが先行し、108.87円付近まで値を上げた。しかし、前日の東京市場でつけた高値108.95円が意識され、追随する動きは見られなかった。その後は、米長期金利低下や日経平均株価の上げ幅縮小がドル売り・円買いを誘い108.70円台へ押し戻された。午後は、手掛かり材料難から積極的な売り買いは目立たず、108.75円を挟んで方向感に乏しい値動きが続いた。ユーロ/ドルはドイツやフランスなどで新型コロナウイルスの感染が再拡大しているため、欧州景気の回復が遅れるとの見方から1.19ドル台前半で上値が重い展開となった。

 

米国株を8週ぶりに売り越し:米長期金利上昇を嫌気

B of Aセキュリティーズの23日付の顧客フローのリポートによると、同社の顧客は15~19日の1週間に米株を12億8800万ドル売り越した。8週ぶりの売り越しとなる。この週は19日に米FRBが補完的なレバレッジ比率(SLR)規制の特例延長をしないと発表したことで、米銀による米国債売りが出るとの警戒感から米長期金利が一時1.74%まで上昇したことを受け、S&P500指数が週間で0.76%安と反落した時だった。傾向としては、ヘッジファンドの最近の買い越し傾向が一転して売りに回ったことが目立ち、売越額も20年12月半ば以来の大きさを記録した。その一方で、個人投資家の買い越しが続き、4週平均の買越額は過去4年間で最も大きい。新型コロナウイルスの経済対策に伴う給付金の影響が関心を集める。

 

トルコリラ売りも一服も下値警戒感は残る

カブジュオール新総裁は臨時会合開催の可能性を否定し、物価の安定を重視する方針も示したことで、市場では早期緩和への警戒感が若干ながらも和らいでいる。また、エルバン・トルコ財務相も『財政政策で金融政策をサポート』『為替相場の自由変動制を堅持』などと発言し、市場の不安緩和に努めたことで過度なリラ売りは一服している。次回の金融政策決定会合(4月15日)までは3週間以上あり、市場が落ち着きを取り戻すことは十分考えられる。しかしながら大手格付け会社ムーディーズは、今回の中銀総裁解任でトルコへの資本流入の逆流が起きると指摘している。新たなトルコ中銀総裁の下でいずれ政策金利がインフレを下回る水準まで引き下げられる可能性も高いと述べており、リラの下値警戒感は暫く残る。

 

南アでは明日から重要イベント

今週は南アから24日(水)に2月消費者物価指数(CPI)、25日(木)に2月卸売物価指数(PPI)と南ア準備銀行(SARB)の金融政策委員会(MPC)が予定されていることで、本日は動きにくい展開予想される。なお、南アでは先週もフェーズ2の電力負荷制限が続いていたが、今週も一部では負荷制限が継続れている。産業界への影響は計り知れないが、負荷制限があまりにも頻繁に起こっていることで、市場への影響は限られている。

 

メキシコの注目は26日の金融政策会合の結果

メキシコ国内に目を向けると、注目はやはり26日(金)のメキシコ銀行(中央銀行)の金融政策となる。中銀は前回(2月)に3会合ぶりの利下げ(4.25%から4.00%へ)を決定したが、利下げの決定は全会一致となった。そのため一部では3月会合でも追加緩和に動くのではとの思惑もあったが、現在の市場予想は4.00%での据え置きとなっている。金融政策委員会のメンバーからインフレに関して大きな懸念は伝わっていないが、足もとでメキシコ消費者物価指数(CPI)が中銀のインフレ目標(2.0-4.0%)上限に迫る動きとなっている。声明文では今後の金融政策やインフレ圧力に対する言及などが注目される。

 

下院金融委員会でのパウエル米FRB議長は慎重姿勢を強調

米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は23日に行う下院金融委員会での証言で、米議会とFRBの『前例のない』支援策により、米経済は『大きく改善した』との認識を示す。同時に、完全な回復には『程遠い』として警戒感も表明する。証言の準備原稿によると、パウエル議長は『回復は一般的に予想されていたよりも速く進み、力強さを増しているように見える』とし、消費支出が増加して、住宅部門も完全回復を上回ったとの認識を示す。ただ『新型コロナウイルス感染再拡大とソーシャルディスタンス(社会的距離の確保)で最も大きな影響を受けた部門はなお脆弱で、特に労働参加率がパンデミック(世界的大流行)前の水準をなお大きく下回っていることを踏まえると、失業率が6.2%にあることは不足分を過小評価している』と指摘。『回復は完全には程遠い。このため、FRBは必要な限り経済に対する支援を提供し続ける』と述べる。

 

FRBの慎重姿勢が正当化される理由:サプライチェーンの混乱が要因

米2月シカゴ連銀全米活動指数は-1.09と、1月0.66から改善予想に反してパンデミックの影響で経済が封鎖された直後の4月来のマイナスに落ち込んだ。サプライチェーンの混乱によるチップ不足が影響したと説明されている。2月中古住宅販売件数も前月比6.6%減の622万戸と、昨年8月来で最小となった。パンデミックで需要が急増する中、供給が追い付かず、在庫が過去最大の下落率を記録した。今まで経済の中で、唯一明るいスポットだった住宅市場も、建築材料や労働賃金の上昇に加えて、やはりサプライチェーンの遅れで、頭打ちとなっている。FRBの一部高官は、最近のインフレの上昇は、パンデミックにより生じたサプライチェーンの混乱が受給のギャップに影響を及ぼし、一時的に押し上げていることが要因と見ている。景気は回復に向かっているものの経済にはパンデミックの影響が依然、広範に見られており、FRBが指摘している通り、不透明感は強い。FRBの慎重な姿勢が正当化される。

 

欧米市場イベント

○16:00   2月英雇用統計
○16:00   11-1月英失業率(ILO方式、予想:5.2%)
○17:40   ホールデン英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○18:55   カンリフ英中銀(BOE)副総裁、講演
○19:00   ビルロワ・フランス中銀総裁、講演
○20:50   ベイリーBOE総裁、講演
○21:30   10-12月期米経常収支(予想:1885億ドルの赤字)
○22:00   ブラード米セントルイス連銀総裁、講演
○23:00   2月米新築住宅販売件数(予想:前月比▲6.5%/87.5万件)
○23:00   3月米リッチモンド連銀製造業景気指数(予想:16)
○23:10   ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演
○24:00   バーキン米リッチモンド連銀総裁、討議に参加
○24日01:00   パウエルFRB議長とイエレン米財務長官が米下院金融サービス委員会でコロナウイルス支援・救済・経済安全保障(CARES)法について証言
○24日02:00   米財務省、2年債入札
○24日02:30   ブレイナードFRB理事、講演
○24日03:45   ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、討議に参加

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

朝の市場コメント!

2021/03/23/08:00:16

米国株式市場は上昇:米長期金利の低下や大型公共投資報道で買い優勢

NYダウは103.23ドル高の32731.20ドル、ナスダックは162.31ポイント高の13377.54ポイントで取引は終了した。予想を下回った2月中古住宅販売件数やシカゴ連銀全米活動指数を嫌気し寄り付き後、下落。しかし、米長期金利が低下したことで、ハイテクなど高PER(株価収益率)株に押し目買いが入った。マイクロソフトやアップル、インテルなどが上昇し、指数を押し上げた。半面、JPモルガン・チェースやゴールドマン・サックスなど金融株は売られた。19日に米連邦準備理事会(FRB)が銀行の資本規制の緩和を延長しないと方針を示したことで、業績への影響を懸念した売りが続いた。ただ、バイデン政権が最大3兆ドル規模の大型公共投資を検討していると報じられると、景気回復への期待が一段と強まり、引けにかけて上げ幅を拡大した。VIX指数は20.95から18.88へ低下した。

 

NY外国為替市場:対ユーロに対してドル安傾向

ユーロ/ドルは、米長期金利の低下などながめユーロ買い・ドル売りが優勢となった。前週末の高値1.1937ドルを上抜けて一時1.1947ドルまで上値を伸ばした。米国株相場が上昇したことで、リスク選好のドル売りも観測された。なお、独シュピーゲル誌は『ドイツはロックダウン(都市封鎖)を4月18日まで延長する』と報じたものの、相場の反応は限られた。

 

ドル/円は、対ユーロなどでドル安が進んだ影響を受けた半面、ユーロ/円などクロス円の上昇につれた買いが入ったためドル円自体は方向感が出なかった。NY時間の安値は108.65円付近、高値は108.86円付近で値幅は21銭程度だった。なお、ニューヨーク・タイムズ紙は『バイデン政権は3兆ドル規模のインフラ投資計画を検討している』と報じたものの、米ホワイトハウスはこの報道について『時期尚早でありホワイトハウスの考えを反映していない』との見解を示した。 

 

トルコリラは、先週末にエルドアン・トルコ大統領が金融引き締め政策を推し進めるアーバル・トルコ中銀総裁を更迭したことを受けて、週明け早朝取引では一時12.80円と昨年11月以来の安値まで売り込まれた。ただ、欧米市場では値動きが細り、方向感に乏しい展開となった。なお、米格付け会社ムーディーズは『トルコ中銀が政策金利を再びインフレを下回る水準まで引き下げる可能性』『エルドアン大統領による中銀総裁の解任で信用圧力が高まる』『トルコへの資本流入が逆行する可能性は高い』との見解を示した。 

 

NY原油先物市場は小幅続伸:株高を意識した買いも上値は重い

NY原油先物市場は60.35ドル-62.04ドルのレンジ相場となった。18日の大幅下落後から見られた安値を拾う動きは本日も継続され、60ドル台では下げ渋った。ニューヨーク勢の本格参入後はリスク選好地合いの強まりと共に61ドル後半まで強含んだ。もっとも、欧州の一部でロックダウン(都市封鎖)が延長され、世界経済の早期正常化への期待が後退しつつあることが原油相場の重石となった。アジア市場では伸び悩み60.35ドルまで下げたが、ニューヨーク市場の序盤にかけて反転し、株高を意識して62.04ドルまで買われた。ただ、その後は再び伸び悩み、61.09ドルまで弱含みとなる場面があった。

 

NY金先物市場は小幅に反落:ポジション調整売りも一巡

NY金先物市場は1726.40-1747.00ドルのレンジ相場となった。時間外では、為替相場のドル高を眺めながらドル建ての金先物は利食い売りが先行した。もっともニューヨーク勢が本格参入すると一転ドル売りが優勢となり、金相場も下げ幅を縮小して終えた。アジア市場の序盤で1747.00ドルまで買われた後、1726.40ドルまで売られたが、ポジション調整的な売りは一巡した。ニューヨーク市場で1740.20ドルまで戻した。

 

米国債券市場は5営業ぶりに反発:ポジション調整目的の買い

米国債券市場で長期ゾーンは5営業日りに反発(利回りは低下)した。米10年物国債利回りは前営業日比0.03%低い(価格は上昇)1.69%で終了した。今週予定されている2・5・7年債入札を前にポジション調整目的の買いが入った。ただ、『バイデン政権は3兆ドル規模のインフラ投資計画を検討している』との報道を受けて、国債増発による需給懸念が強まり売りが出る場面もあった。 

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

欧米タイム直前市場コメント!

2021/03/22/15:10:40

日経平均株価:米国株安を懸念した売り優勢

寄り付きから300円を超える下落となり、その後も下げ幅を拡大した。先週末の米長期金利が1.7%台上昇したほか、NYダウが大幅安となったことが嫌気されたことに加えて、日銀の政策変更を受けて、ファーストリテイリングなど指数寄与度の大きい銘柄に対する売り圧力が強まった。また、ルネサスエレクトロニクスの工場火災による半導体不足懸念で、完成車メーカーや自動車部品の関連株が下落したことも重荷になった。結局、前営業日比617円安の2万9174円で終了した。

 

東京外国為替市場:リスク回避の円買いに上値の重い展開

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りに支えられ、108.96円付近まで値を上げた。しかし、19日の海外市場でつけた高値109.05円が意識され、上値を追う動きは限られた。その後は、米長期金利の低下や日経平均株価の大幅安を眺めたドル売り・円買いに押され、108.75円付近へ軟化した。午後は、米長期金利や日経平均株価を睨みながら、108.80円前後で取引された。今週う予定されているパウエル米FRB議長の議会証言や米国債入札を前に、様子見を決め込む市場参加者も多かった。ユーロ/ドルは、1.1895ドルを挟んで小動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

英国では離脱の経済への影響が懸念:ポンドの上値を圧迫

英国がEU離脱に伴う英本土と英領北アイルランド間の食品などの物流への規制導入を一方的に10月まで先送りしたことに対し、EUは国際条約『離脱協定』に違反するとして法的措置に着手した。EUは英政府に措置開始を通知する書簡を送付し、1カ月以内の回答を求めている。EUは協議による事態打開を模索しているが、EU司法裁判所が英国に今後制裁金を科す可能性もある。英国が昨年末にEUを完全離脱し、英・EU間の貿易にさまざまな規制が課されるようになったことが打撃となり、英国の1月EU向け輸出は前月比で40.5%減少した。EUからの輸入も28.9%減少し、徐々に離脱の経済への影響が懸念され、ポンドの上値を圧迫する可能性がある。

 

トルコ中銀総裁の突然の更迭

アーバル前総裁は、悪化するばかりのインフレを抑制するために金融引き締めを進め、合計8.75%の政策金利引き上げを実施してきた。金融市場はアーバル氏の物価鎮静に向けた断固たる態度を好感していた。しかしながら、エルドアン大統領は金利高に不満を持ち続け、先週18日の金融政策決定会合で市場予想を上回る利上げが決定されたことで、ついに堪忍袋の緒が切れた。一部メディアによれば、カブジュオール新総裁は 『中銀は高金利政策を進めるべきではない』という趣旨の論文を発表したとされている。また、エルドアン大統領と同じ考えである『利上げはインフレをもたらす』との意見も主張していた。今のところ、新総裁の下での次回会合は予定通り4月15日に開催されるが、緩和にむけた地ならしが行われることは充分に考えられる。

 

南アでは今週の経済指標に注意:インフレ指標結果次第では利下げも

南アでは今週、小売売上高などの経済指標が発表されたが、米連邦公開市場委員会(FOMC)前だったこともあり、ZARの反応が限られた。南アの国内情勢を全く無視した値動きが続いたが、今週はようやく南ア発の要因でZARが動く可能性がある。経済指標では24日に3月消費者物価指数(CPI)、25日に3月生産者物価指数(PPI)が発表される。25日には南ア準備銀行(SARB)が金融政策委員会(MPC)を開く。SARBは3.5%で金利を据え置くと予想されるが、CPIやPPIが弱い結果となった場合には利下げ期待が出てくる可能性もある。また、国営電力会社エスコムが長期に渡り電力の負荷制限を行うことになっただけでなく、デ・ルイター最高経営責任者(CEO)に対する人種差別発言の調査が入るなど、エスコム関連ではネガティブな要素が多く、懸念材料となる。

 

メキシコでは電力産業改正法案を巡る懸念続く

メキシコ国内で何かと物議を呼んでいる電力産業法改正法案である。国営の連邦電力委員会(CFE)が発電した電力を優先して採用するほか、民間企業とすでに結んでいる売買契約の条件を修正できるなど、CFEが電力セクターで有利になるような事項が多数含まれていることから、民間の電力部門参入を妨げるほか、国民の負担増にもつながるとして、経済界からは批判が相次いでいた。にも拘わらず、ロペスオブラドール政権は強硬的に議会で可決にもっていき、3月9日に公布された。ただ、16日に2人の裁判官が11社の民間企業からの差し止め要求を受け入れて、電力産業法改正法が憲法に反するとの見解を示した。これを受けて大統領は17日の定例記者会見で『このまま違憲であると言い続けるのであれば、憲法改正も視野に入れている』と半ば脅しの発言をした。大統領の国営会社を強引に復興する行為が新たな火種を生んでいることは確かである。

 

米国ではSLRを今月末に終了すると発表

連邦準備理事会(FRB)はパンデミックにより混乱した金融市場への対応として昨年4月から実施していた大手銀に対する『補完的レバレッジ比率(SLR)』の条件緩和措置を今月末に終了すると発表した。銀行を優遇しているとする民主党からの圧力を受けた対応との見方もあるが、銀行の基盤が十分に強いという見方が背景となる。ただ、金融安定化のため『適切な措置を講じる』とし、規制の内容を今後修正する可能性も残した。

 

米国市場では2月中古住宅販売件数

1月実績は669万戸で市場予想を上回った。住宅ローン金利は低水準で推移していること、雇用情勢の改善などが影響しているとみられる。2月については、中古住宅価格の中央値は上昇していることや、住宅在庫は低水準にとどまっていることから、販売件数は1月実勢を下回る可能性が高いと予想される。

 

欧米市場イベント

○16:00   2月トルコ失業率
○17:30   2月香港消費者物価指数(CPI、予想:前年同月比1.0%)
○18:00   1月ユーロ圏経常収支(季節調整済/季節調整前)
○21:00   クノット・オランダ中銀総裁、講演
○22:00   パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、パネルディスカッションに参加
○22:00   バイトマン独連銀総裁、講演
○23:00   2月米中古住宅販売件数(予想:前月比▲2.8%/年率換算650万件)
○23:00   バーキン米リッチモンド連銀総裁、講演
○23日00:15   シュナーベル欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○23日00:30   デコス・スペイン中銀総裁、講演
○23日02:00   デイリー米サンフランシスコ連銀総裁、講演
○23日02:30   クオールズFRB副議長、講演
○南アフリカ(人権の日の振替休日)、休場

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

欧米タイム直前市場コメント!

2021/03/19/15:18:21

日経平均株価:日銀金融政策決定会合の結果を受け一時急落

米国株式市場で、米長期金利の上昇を嫌気して主要3指数がそろって下落した流れを引き継ぎ、寄り付きから大きく下落した。その後は日銀の金融政策決定会合の結果発表を控えて様子見ムードが強まり、日経平均は3万円近辺でのもみ合いが継続した。日銀の金融政策決定会合の結果発表を受け、急速に軟化した。日銀の金融政策の点検で、今後はTOPIX連動もののみを購入することを決定したことが嫌気された。結局、前営業日比424円安の2万9792円と反落して終了した。

 

東京外国為替市場:日銀金融政策決定会合直後に円買い強まる

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りが持ち込まれ、109.10円付近へじり高となった。米長期金利が高止まりしており、日米金利差拡大が意識されたこともドルの押し上げにつながった。ただ、日経平均株価が軟調だったことからドル買い・円売りは続かず、109.00円を挟んでもみ合いとなった。昼過ぎに、日銀金融政策決定会合で金融緩和政策を点検し、結果を発表した。そして、長期金利の許容変動幅をプラスマイナス0.25%程度に拡大すること表明した。事前に報道されていた観測記事通りの内容だったため、ドル/円は持ち高調整などのドル買い・円売りが入り、109.13円付近まで急上昇する場面があった。ところが、日銀はETFの買い入れ目標について、原則年6兆円としてきた購入額の目安をなくし、今後は購入対象をTOPIX連動型に限定することを決めた。これを嫌気して日経平均株価が急速に下げ幅を拡大すると、リスク回避の円買いが強まり、108.85円付近へ下落する荒い値動きとなった。ユーロ/ドルは、1.19ドル台前半で小動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

米中高官の直接協議始まる:異例の激しい応酬

米中直接会談が18日、アラスカ州アンカレジで始まった。会談の冒頭から報道陣の前で激しい非難の欧州が繰り広げられる異例の展開となり、対立の深刻さを浮き彫りにした。今回の協議で両国の合意が見込める分野はほとんどないもよう。協議は夜まで続き、19日も継続される見通しである。

 

英中銀は政策据え置き:先行きは不透明

英中央銀行は18日政策金利を予想通り0.10%に据え置き、資産買い入れ枠も据え置いた。国内経済には新型コロナウイルスによる落ち込みから回復の兆しがあるが先行きは不透明と協調し、早期に金融引き締めに動くとの憶測を否定した。中銀は『前回の金融政策委員会以降、当面の経済活動に関するニュースは前向きなものだったが、中期的な見通しをどの程度変えたかはそれほど明確ではない』と指摘した。『見通しに対するリスクバランスは、委員によって程度が異なる』とした。コロナ対策の規制は、中銀が先月考えていたよりも『やや早めに』解除される可能性があるとの見方を示した。

 

トルコ中銀は市場予想以上の利上げ:金融引き締めスタンス変更なし

トルコ中銀は主要政策金利である1週間物レポ金利を2%引き上げ、年19%にすると決めた。市場参加者の間では利上げ幅を1%との予想が多く、その倍の幅の利上げはサプライズとなった。トルコ中銀は声明で『中期的なインフレ見通しの上方リスクを考慮し、前倒しで協力な追加の金融引き締めを実施することを決めた』と説明した。『金融引き締めの姿勢は断固として維持する』とし『必要に応じて追加の金融引き締めを行う』とも述べ、政策姿勢は『インフレファイター』であることを強調した。

 

メキシコでは工場操業を一時停止:ホンダやトヨタ

メキシコではホンダやトヨタなどがメキシコの工場操業を一時停止すると発表した。新型コロナウイルスの感染拡大や先月メキシコを襲った悪天候の影響、半導体などの部品不足などを理由に挙げている。一方、バイデン米大統領は英アストラゼネカ製の新型コロナワクチン(米確保分在庫)をメキシコやカナダに送ることを検討しているとの報道も伝わっている。メキシコとの間では今週中にも合意の可能性があるとされており、メキシコでのワクチン接種ペースが今後加速することも期待される。

 

全米の製造業活動は活発化:市場は30年ぶりのインフレを懸念

地区連銀製造業景気指数の上昇を受けて、全米の製造業活動を示すISM製造業指数も1983年来で最高に達する可能性が示唆された。この年のGDPは7.9%。2021年も米連邦準備制度理事会(FRB)の見通しで6.5%成長と、1984年来で最大の伸びを予想している。ゴールドマンサックスは8%成長を予想している。
1980年代はインフレの高騰がもとで、景気後退入りしている。市場は30年ぶりのインフレを懸念している。一方、パウエル議長は大規模経済対策やワクチンという一時的な要因により見通しを押し上げたが、労働市場は依然スラックが多く、最大雇用には程遠く、金融緩和の縮小に言及する時期ではないと、慎重姿勢を保った。長期金利の上昇も現在のところ懸念を表明していない。

 

欧米市場イベント

○15:30   黒田東彦日銀総裁、定例記者会見
○16:00   2月独生産者物価指数(PPI、予想:前月比0.7%)
○19:30   ロシア中銀、政策金利発表(予想:4.25%で据え置き)
○19:45   パネッタ欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○21:30   1月カナダ小売売上高(予想:前月比▲3.0%/自動車を除く前月比▲2.6%)
○22:00   カンリフ英中銀(BOE)副総裁、講演
○20日01:00   2月ロシア失業率(予想:5.7%)

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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