FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

2021/03/31/15:15:07

日経平均株価:米国株市場の下落した流れを引き継ぐ

前日の米国株式市場が下落した流れを引き継いだ。ただ、外国為替市場では円安が進行したことで主力輸出株には追い風となった。また、為替と連動する先物買いが入り、下げ幅を縮小する場面が見られたが、その後は安値圏へ沈んだ。結局、前営業日比253円安の2万9178円と5日ぶりに反落して終了した。信用評価損率は26日申し込み時点でマイナス7.41%と、前の週(マイナス5.9)%)から3週ぶりにマイナス幅が1.42ポイント悪化した。

 

東京外国為替市場:米長期金利上昇からドル買い優勢

ドル/円は、本邦国内勢や海外勢などから月末・期末に絡むドル買い・円売りフローが持ち込まれ、110.85円付近へ上伸した。米長期金利が1.74%付近へ上昇し、日米金利差が拡大したこともドルの押し上げにつながった。午後に入っても、堅調地合いは続いて一時110.97円付近まで上昇、およそ1年ぶりとなるドル高・円安をつけた。ただ、心理的節目の111.00円に接近すると上げは一服した。その後は、急ピッチの上昇に対する警戒感から利益確定や持ち高調整のドル売り・円買いも見られ、110.80円台を中心に取引された。海外時間にバイデン米大統領が公表するインフラ投資計画の内容を見極めたいとのムードが広がった。ユーロ/ドルは、1.1710ドル前後でこう着相場になった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

トルコ大統領の中銀人事への介入を嫌気:CDSは高止まり

エルドアン・トルコ大統領は30日、トルコ中銀副総裁の更迭を発表。20日の総裁解任に続く大統領の中銀人事への介入が嫌気された。大統領が2週間弱で中央銀行の総裁と副総裁を入れ替えたことで、中銀独立性への信認は大きく揺らいだままである。信用リスクを示すクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)もトルコ5年物国債CDSは460ベーシスポイント(bps)台と高止まりしている。リラの買い難さは依然として続き、実際に新たな総裁の下での政策内容を確認するまでは上値の伸びも限定される。

 

南アの今週末のロックダウンの規模は変更なし

昨日ラマポーザ大統領が首相と会談を行ったが、現地ニュースによると、今週末のイースター休暇時はロックダウンの規模(現在はレベル1)の変更は行われないと報じている。南アでも感染が拡大していることで、一部ではレベル2への引き上げの可能性も話し合われた。本日の南ア経済指標は2月の貿易収支が発表されるが、市場が動意づくのは難しそうである。

2月南アフリカ貿易収支(予想:195億ランドの黒字)

 

アトランタ連銀総裁は米債利回り上昇を容認

米連邦準備制度理事会(FRB)のクオールズ副議長はオンライン討論会(金融安定化関連)に参加し、FRBがインフレを2%以上に押し上げることを公約していると主張した。 また、ボスティック米アトランタ連銀総裁は、今後の雇用の大幅増を期待しているとしたほか、利回りの上昇においてFRBの対処の必要性はないとの考えを示した。

 

3月消費者信頼感指数は高水準:米経済の成長に強気の向き増える

コンファレンスボードが発表した3月消費者信頼感指数は109.7と、2月90.4から予想以上に上昇し、パンデミックが開始した昨年3月以降1年ぶり高水準となった。2月からの19.3の上昇は18年近くで最大となった。現況指数は110.0と、やはり昨年3月来で最高となった。期待指数は109.6と、2019年7月以降ほぼ1年半ぶり高水準となった。ワクチン接種ペースの加速が経済活動の再開を助け、さらに、追加経済対策が回復を後押しするとの期待が高まった。また、今後数か月の労働市場への期待も広がった。
消費者信頼感の回復が消費の拡大に繋がると、アナリストは米国経済の成長により強気になっている。本年の米国経済が7%、来年の経済が5%と力強い成長を予想している。また、3月の雇用統計でも100万人の雇用増予想も出始めた。

 

バイデン米大統領のインフラ計画に注目集まる

バイデン米大統領は31日、ピッツバーグでの演説でインフラ計画「ビルド・バック・ベター(より良き再建)」を公表し、税制改革案についても説明を始める見通しである。そして、約2兆ドル規模の雇用・インフラ支出計画を公表する。8年間にわたる雇用対策と道路・橋梁プロジェクト向けの支出計画となる。また、年間40万ドルを超える個人所得に対する最高税率を39.6%に戻したい意向である。さらに、法人税率を21%から28%に引き上げることや、外国子会社からの利益に対するグローバルミニマム税の導入などが含まれるという。

 

米国市場では3月ADP雇用統計が公表

新規失業保険申請件数は緩やかに減少している。さらに、米国各州で経済活動の拡大が報告されていることから、3月における民間部門の雇用者増加数は直近数カ月の実績を上回る可能性が高いとみられる。

 

欧米市場のイベント

○15:00   10-12月期英国内総生産(GDP)改定値(予想:前期比1.0%/前年比▲7.8%)
○15:00   10-12月期英経常収支(予想:340億ポンドの赤字)
○15:00   3月英ネーションワイド住宅価格指数(予想:前月比0.4%)
○15:45   3月仏消費者物価指数(CPI)速報値(予想:前月比0.7%/前年比1.2%)
○15:45   2月仏卸売物価指数(PPI)
○15:45   2月仏消費支出(予想:前月比2.0%)
○16:00   2月トルコ貿易収支(予想:34億ドルの赤字)
○16:55   3月独雇用統計(予想:失業率6.0%/失業者数変化▲0.3万人)
○18:00   3月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値(予想:前年比1.3%)
○18:00   3月ユーロ圏HICPコア速報値(予想:前年比1.1%)
○19:00   外国為替平衡操作の実施状況(介入実績)
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○21:00   2月南アフリカ貿易収支(予想:195億ランドの黒字)
○21:15   3月ADP全米雇用報告(予想:55.0万人)
○21:30   1月カナダ国内総生産(GDP、予想:前月比0.5%/前年比▲2.6%)
○21:30   2月カナダ鉱工業製品価格(予想:前月比2.5%)
○21:30   2月カナダ原料価格指数
○22:00   ビルロワ・フランス中銀総裁、講演
○22:45   3月米シカゴ購買部協会景気指数(予想:60.7)
○23:00   2月米住宅販売保留指数(仮契約住宅販売指数、予想:前月比▲2.9%/前年比6.5%)
○23:30   EIA週間在庫統計
○バイデン米大統領、インフラ再構築計画を発表

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欧米タイム直前市場コメント!

2021/03/30/15:11:52

日経平均株価:配当落ちでも強い相場を継続

配当落ちの影響が180円程度ある中でも、寄り付きは20円程度の下落にとどまった。実質的にはプラスのスタートを受けてすぐにプラス圏に浮上したが、29500円に接近したところでは上値が抑えられた。そこからしばらくは前日終値近辺でもみ合ったが、次第にマイナス圏が定着した。ただ、下げ幅を3桁に広げたところでは買いが入って持ち直し、小幅な下落で前場の取引を終えた。午後からも手掛かり材料に乏しく堅調を保ったものの模様眺めムードが強くなった。結局、前営業日比48円高の2万9432円と4日続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:110.00円を目の前にして足踏みの展開

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りや米長期金利上昇に支えられ、110円台乗せをうかがう展開となった。前日にバイデン米大統領が『4月19日にまで9割の成人に新型コロナウイルスのワクチン接種を行う』と発言したことも、ドルの押し上げ要因となった。午後は、心理的節目の110.00円を目の前にして足踏み状態が続き、109.95円前後で小動きになった。バイデン米大統領が31日に発表するインフラ投資計画を控え、様子見ムードが広がっている。ユーロ/ドルは、1.1760ドル台を中心とした狭いレンジで取引された。欧州勢待ちの様相となっている。

 

ババを引いたのが野村證券とCSが実情

昨日、アジア時間帯から話題になっていた一部HF(ヘッジファンド)の清算に伴う大手証券の巨額損失問題は、NY時間に入ると不透明感がかなり払しょくされることになり落ち着きを取り戻した。ファンドの清算を余儀なくされたことから、信用供与も含めて取引を管理していたプライムブローカーのGS、MS、CS、UBS、野村證券の担当者が一堂に会して市場を混乱させないように処理する方法を模索した。それぞれがブロック取引でポジションをHFから引き取ったまでは良かった。しかし、どういった経緯かは分からないが、この中の数社がこそこそと少しずつ市場に売り始めたことが判明した。それを察知したGSが先週末に一斉にポジションを閉めにかかると、その1時間後にはMSも同様に売り始めてしまうというチキンレースになった模様である。結果として売り遅れてしまったCSと野村證券がババを引く形となったというのが実情だったようである。当然、金融システム全体に及ぼす影響は軽微であるわけで、NYダウが買い戻されたことも納得がいく動きとなった。

 

日銀短観の企業の想定為替レートに注目

日本では4月1日に日銀短観が公表される。注目されるのは企業の想定為替(ドル/円)レートだ。前回12月調査は全規模・全産業ベースで、1ドル=106.79円となっていた。
今回は小幅なドル高修正にとどまり、現状の109円前後からドル安水準になっていると、ドルの売り手である輸出企業には余裕が意識され、『焦ってドル売りに動くドル戻り売り圧力』が緩和される。反対にドルの買い手である輸入企業は、『ドル高レベルでドル買いを迫られることへの焦り』が増大する。ドル押し目買い姿勢が前のめりとなる可能性もあり、ドルの下切り上がりに寄与する可能性もある。

 

国内からエルドアン大統領への不信感

エルドアン大統領は昨日、トルコ国民に向けて外貨資産をリラ資産に移すよう再び訴えたが、その言葉に従う人が多いとは思えない。インフレ抑制策に積極的な取り組みをみせてきたアーバル氏を中銀総裁の席から追い出したことで、国内からの不信感も高まるばかりである。また、トルコ政府は、新型コロナウイルス感染が再拡大していることから、58の都市で週末2日間の外出禁止令を出した。また来月半ばから始まるラマダン時期の行動制限も発表している。ワクチンの接種は進んでいるとされているが、感染者数は逆に増えており、トルコの正常化にはまだまだ時間がかかる。


アフリカの金融機関は回復テンポが早い:南アランド相場には無反応

週末にコンサルティング会社のマッキンゼー社がアフリカ(中でも南アとケニア)の金融機関は、先進国よりも早く新型コロナウィルス流行前の水準に回復するというレポートが発表した。その理由としては両国の金融機関には十分な貸倒引当金があることとされている。しかし、市場に与える影響はなかった。

 

米国市場では3月CB消費者信頼感指数が公表

前回実績は91.3だった。先行指標的な3月ミシガン大学消費者信頼感指数は83.0で2月実績の76.8を大幅に上回った。新型コロナウイルスの感染流行は終息していないものの、ワクチン接種のペース加速や追加経済対策などの効果が期待できることから、3月の数値は2月実績を上回る可能性が高い。

 

欧米市場イベント

○15:00   2月独輸入物価指数(予想:前月比1.3%/前年比1.1%)
○15:00   2月南アフリカマネーサプライM3(予想:前年比9.00%)
○15:45   3月仏消費者信頼感指数(予想:91)
○16:00   3月スイスKOF景気先行指数(予想:104.6)
○18:00   3月ユーロ圏経済信頼感指数(予想:96.0)
○18:00   3月ユーロ圏消費者信頼感指数(確定値、予想:▲10.8)
○21:00   3月独消費者物価指数(CPI)速報値(予想:前月比0.5%/前年比1.7%)
○22:00   1月米住宅価格指数(予想:前月比1.2%)
○22:00    1月米ケース・シラー住宅価格指数(予想:前年比11.0%)
○22:00   クオールズ米連邦準備理事会(FRB)副議長、講演
○23:00   3月米消費者信頼感指数(予想:96.9)
○24:00   センテノ・ポルトガル中銀総裁、議会証言
○31日03:30   ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、討議に参加
〇国連安全保障理事会、北朝鮮による弾道ミサイル発射を受けて非公式の緊急会合

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欧米タイム直前市場コメント!

2021/03/29/15:20:58

日経平均株価:配当権利取りの買いと金融株への警戒感からの売り交錯

前週末の米国株式市場が上昇したことを受け、好地合いを引き継いだ。日経平均は18日の戻り高値3万0485.00円から24日安値2万8379.06円まで押した幅の半値戻し(2万9432.03円)を一時達成したが、引けまで維持することは出来なかった。実質年度末最終売買日とあって、配当権利取り狙いの買いが上昇要因になっているとの指摘もあった。一方、米投資会社のアルケゴス・キャピタルを巡る混乱が日米の金融株に広がるとの警戒感がにわかに広がり、午後に急速に上げ幅を縮小した。結局、前営業日比207円高の2万9384円で終了した。

 

東京外国為替市場:月末・期末に絡むドル売り優勢

ドル/円は、本邦輸出勢などから月末・期末に絡むドル売り・円買いが継続的に持ち込まれ、109.50円付近へ下落した。このところ一本調子の上昇が続いたため、利益確定や持ち高調整のドル売り・円買いは入りやすい面もあった。午後に入っても軟調地合いは続き、日経平均株価が急速に伸び悩むと、さらにドル売り・円買いが進んで109.38円付近まで値を下げた。米長期金利が1.64%台へ低下したことも、ドルの押し下げにつながった。ただ、バイデン米政権が検討しているインフラ投資計画の詳細を見極めたいとの雰囲気もあり下げが一服した。その後は、値ごろ感からドル買い戻す動きも見られ、109.45円を挟んでもみ合いとなった。ユーロ/ドルは、海外メディアが『一部のスイス系銀行が米ヘッジファンドとのデフォルトを伴うポジションを解消し、損失が生じる可能性がある』と報じたことから、1.17ドル台後半で上値の重い展開になった。

 

日銀のマイナス金利政策を撤廃が7割

QUICKが公表した3月の債券月次調査では、日銀がマイナス金利政策を今後『撤廃する』との予想が全体の67%だった。『深掘りする』との予想をの33%を上回った。撤廃の時期は『2024年以降』との回答が60%と最も多かった。調査は日銀による3月の金融政策会合後の23~25日に実施した。米国の入り上げ時期については『23年以降』との予想が61%と最も多かった。今後6ヵ月の国内債券相場の変動要因としては『海外金利』を挙げた回答が50%で最も多かった。前回調査からは10ポイントの上昇で、50%を超えるのは12年8月調査以来となる。米金利の動きへの関心は一段と高まった。

 

野村ホールディングスで多額の損害を生じる可能性

野村ホールディングスは29日に『26日、当社の米国子会社において、米国顧客との取引に起因して多額の損害を生じる可能性のある事象が発生』したとのリリースを発表した。『当該顧客に対する請求額は3月26日時点の市場価格に基づく試算で約20億ドルあり、本取引に関連するポジションの処理や市場価格の変動等により、当該金額は今後増減する可能性』があると報じている。報道によると、26日には米ゴールドマン・サックスなどが中国のIT(情報技術)や米メディア企業の株式について、相対で大量売却する『ブロック取引』を行っていたという。一部企業の時価総額が急減する場合があり、こうした混乱に関連し、野村でも損失が発生する可能性が浮上したようだと伝えている。

 

英国と欧州連合(EU)との緊張感の高まりがポンドの上値圧迫

EUは英国がグレートブリテン島と北アイルランドの間での通関手続きを一方的に緩和し、EU離脱協定に違反したとして、法的措置に乗り出している。北アイルランド問題が解決しないと、英国とEUの関係がむしばまれ、亀裂が一段と深刻になり、英国とEU全体の経済と安全保障上の利益が脅かされる可能性がある。 また、英国とEUは金融サービス規制を巡る協力に関して1月から協議し、今月内にも合意に達する可能性が報じられているが、欧州委員会のマクギネス委員は英国の金融機関に対してどういうアクセスを認めるかについて結論は急がないと表明した。

 

メキシコ中銀はインフレ動向を注視:中銀目標を上回ってきたことを警戒

25日に行われたメキシコ中銀の金融政策決定会合、声明文を前回2月との比較した。まず、声明の最終段落である金融政策の方向性については、『中銀の目標インフレレンジ(±3.00%)に持続的に収束するよう、情報に基づいて措置を講じる。金融政策と財政政策両面で必要な行動を取る必要がある』と前回から一言一句変わらなかった。次に、為替水準と金利、経済状況については、前回が『ペソと金利は狭い範囲で推移した。経済活動は予想を若干上回るペースで改善している』となっていたが、今回は『ペソは下落し、中長期金利が上昇した。1-2月は経済活動が大きく低下』に変更している。また、インフレについては、前回の『四半期レポートに沿った動き』から『四半期レポートを若干上回っている』に変更している。 さらに、現状の金融政策における課題については、インフレ、経済活動、金融市場のリスクと項目自体は変わっていないが、今回は『非常に不確実な環境で』との文言を追加した。以上を見てみると、直近3月前半のインフレ指数が+4.12%と中銀目標の±3.00%を上回ってきたことを大きく警戒する形となっており、今後のインフレ動向には一段と注目する材料になる。

 

今週のドル/円の売買要因

ドル買い要因は、海外投資家の日本株売り・円売り、バイデン米政権の第2弾経済対策への期待感、改善が見込まれている米3月雇用統計となる。ドル売り要因は、3月期末決算に向けた本邦機関投資家のレパトリエーション(国外滞留資金の本国環流)、補完的レバレッジ比率(SLR)条件緩和の終了、極東の地政学リスク回避の円買いとなる。 バイデン大統領は、31日に第1弾の新型コロナウイルス救済法案(1.9兆ドル)に続く第2弾の『ビルド・バック・ベター(より良き再建)』計画(3-4兆ドル規模)を発表する予定である。米国の経済回復への期待感が高まっており、3月消費者信頼感指数に要注目となる。米3月雇用統計は、失業率が6.1%で2月の6.2%から低下、非農業部門雇用者数は前月比50万人の増加で2月の37.9万人の増加から改善が見込まれている。予想通りならば、ニューヨーク株式市場や米10年債利回りの上昇観測が強まり、米連邦準備理事会(FRB)のテーパリング(資産購入の段階的縮小)への警戒感が高まることで、ドル買い要因となる。3月末で条件緩和措置が終了するSLRに関しては、米金融機関の収益悪化や2000億ドル規模の米国債売却への警戒感が高まっており、トリプル安の可能性が警戒される。バイデン政権と中国との対立が激化しつつあること、北朝鮮がミサイル発射実験を再開していることは、地政学リスクの高まりからリスク回避の円買い要因となる。

 

欧米市場イベント

○17:30   2月英消費者信用残高(予想:▲15億ポンド)
○17:30   2月英マネーサプライM4
○24:00   ウォーラー米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○欧州・英国は28日から夏時間に移行済み
○インド(水掛け祭 )、休場

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欧米タイム直前市場コメント!

2021/03/26/15:11:49

日経平均株価:配当権利取りの買いが活発化

前日の米国株高を好感したほか、来週月曜日に年度末の最終売買日を控え、配当権利取りの動きが活発化、幅広い業種で買いが先行した。そのほか、24日までに4日続落となった反動が継続しているとの声も聞かれた。結局、前営業日比446円高の2万9176円続伸して終了した。

市場では、『年度末は一年の中でも機関投資家のリバランスで株が売られやすい時期だが、今日は最終売買日を控えた配当権利取りで株価が上昇した。しかし、来週はイースター休暇を控えており、海外投資家が不在のなか商いが膨らみにくくなる』との声も出ていた。

 

東京外国為替市場:米景気の早期回復期待からドル買いやや優勢

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りや日経平均株価の大幅高に支えられ、109.31円付近まで上昇した。前日にバイデン米大統領が就任100日後となる4月末までに、新型コロナウイルスのワクチン接種目標を1億回から2億回に倍増させると表明し、米景気が早期に回復するとの期待が高まっていることもドルの押し上げにつながった。しかし、15日につけた109.36円が上値の目処として意識されると上げは一服した。その後は、週末を控えて利食い売りにも見られ、109.25円を挟んでもみ合いとなった。午後に入っても、109.20年台を中心とした狭いレンジでの取引が続いた。ユーロ/ドルは1.17ドル台後半で小動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

新トルコ中銀総裁の経歴

カブジュオール新トルコ中銀総裁は1967年5月生まれで現在は53歳。トルコ国営メディアによれば、ドクズ・エイリュル大学経済行政学部経営学科を卒業後、イスタンブール大学の会計研究科で監査専門の学位を所得した。英ヘースティングズ大学で経営管理学を専攻とも一部で報じられているが、その時期は掴めない。1991年から民間銀行のエスバンクで9年間、その後、国営銀行ハルクバンクで10年間勤めている。政治家としては、15年の総選挙で与党・公正発展党(AKP)のバイブルト県の候補に選ばれ当選。次の総選挙が行われた18年まで議員を務めている。18年の選挙では、立候補しなかったのか/できなかったのか、落選してしまったのは定かではない。また一部のトルコメディアでは、新総裁のハルクバンク時代に、マフィアや国粋主義系ギャングのためにやったとされるマネーロンダリングで告発されたこともある。トルコ中銀の新総裁、なかなかの経歴であり、今後もいろいろと物議を醸しだす可能性がある。 

 

南ア中銀は政策金利据え置き:市場の予想通り

昨日、南ア準備銀行(SARB)は市場予想通りに、3.5%に政策金利を据え置いた。ただ、前回3会合まではMPCメンバー2人が0.25%利下げを支持していたのに対し、今回は全会一致で決定した。前日発表されたCPIがSARBの目標バンド3-6%の下限を割り込む2.9%という結果となったにもかかわらず、全会一致の決定になったことは意外にも感じるが、SARBは今年のGDP予測を3.6%から3.8%に上方修正するなど、今年の回復に自信を示していることが要因である。またインフレも今年は抑制されるとしたものの、2022年や23年の間にはSARBの目標の中間点でもある4.5%付近まで上昇すると予想をたてている。この結果を受けてランドは対ドルで一瞬買われる場面もあったが、反応は限定的で、再びランドは上値が重くなっている。

 

FRBは米金融機関も正常化へ向けて規制解除方向

米連邦準備理事会(FRB)は25日、新型コロナウイルス感染拡大を受けて導入した銀行の配当支払いと自社株買いに対する制限について、6月に行う次回のストレステスト(健全性審査)後に『大半』の銀行を対象に解除する方針を示した。次回のストレステストで自己資本が規制で定める最低基準を引き続き満たすと証明できる大手行は、配当金と自社株買いの制限の対象から外れる。一方、最低基準を下回る銀行は9月末まで制限が続く。銀行は現在、前年の純利益を超えない範囲に限り、配当支払いと自社株買いが認められている。2年に1回の頻度でストレステストを受ける比較的小規模の銀行については、配当と自社株買いの制限が6月30日に自動的に解除される。

 

米7年債入札は低調:入札結果次第で他の市場への影響度高まる

財務省は620億ドル規模の7年債入札を実施した。最高落札利回りは1.3%と過去6回入札平均の0.721%を大きく上回った。応札倍率は2.23倍と、過去6回入札平均の2.28倍を下回り需要は低調だった。外国中銀を含む間接入札落札比率も57.3%と、過去6回入札平均の58.3%を下回った。 前回の入札に続いて低調な結果を受けて米国債相場は反落し、10年債利回りは1.59%から1.63%まで上昇した。

 

パウエル米FRB議長は景気がほぼ完全回復するまで利上げせず

パウエル米FRB議長は25日経済が新型コロナウイルス禍による落ち込みからほぼ完全に回復するまで利上げは行わず、最大雇用と物価安定目標の達成で『さらに著しい進展』が見られないうちは量的緩和策も縮小しないと強調した。米公共ラジオ局(NPR)とのインタビューで『さらに長期間、我々は利上げを可能にするためのテストを設定した』と表明した。『経済がほぼ完全に回復した後、透明性の高い方法で時間をかけて非常に緩やかに、緊急時に提供した支援策を引き揚げていく』と語った。『さらに長期間』という文言には2023年末までの3年間を超えるニュアンスが含まれていると考えられる。FRB当局者の政策金利見通し分布(ドット・チャート)によると、18人中11人は23年末までの利上げはないと見込んでいる。

 

米国市場では2月コアPCE価格指数が公表

1月実績は前年比+1.5%だった。2月については、個人消費の堅調な伸びは期待できないものの、インフレ鈍化の可能性は一段と低下している。サービス消費はまずまず良好であるとみられており、コアPCEの上昇率は1月実績と同水準となる可能性がある。

 

欧米市場イベント

○16:00   2月英小売売上高(自動車燃料含む、予想:前月比2.1%/前年比▲3.5%)
○16:00   2月英小売売上高(自動車燃料除く、予想:前月比1.9%/前年比▲1.5%)
○17:30   レーン・フィンランド中銀総裁、講演
○18:00   3月独Ifo企業景況感指数(予想:93.2)
○18:00   3月ノルウェー失業率(予想:4.2%)
○21:00   2月メキシコ貿易収支(予想:28.15億ドルの黒字)
21:00   サンダース英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○21:30   2月米個人消費支出(PCE、予想:前月比▲0.7%)
       2月米個人所得(予想:前月比▲7.3%)
       2月米PCEデフレーター(予想:前年比1.6%)
       2月米PCEコアデフレーター(予想:前月比0.1%/前年比1.5%)
○23:00   3月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、確報値、予想:83.6)
○27日01:45   テンレイロMPC委員、講演
○28日 欧州・英国が夏時間に移行

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欧米タイム直前市場コメント!

2021/03/25/15:16:36

日経平均株価:自立反発の戻り相場

前日の米国株は下落したものの、日本株は短期間で大幅に下げた反動から自立反発の色合いが強くなり、景気敏感株を中心に押し目買いが入った。また、前日に日銀が通常のETFを前回の購入額から200億円多い701億円買い入れたことも支援材料となった。東証1部の騰落数では値上がり銘柄数が8割を超え、しっかりした地合いが続いた。半導体は軟調地合いだったが、値がさ株では買い戻しの動きが見られた。結局、前営業日比324円高の2万8729円と5営業日ぶりに反発して終了した。3月第3週の海外投資家は、4088億円の買い越しとなり3週連続となった。

 

東京外国為替市場:心理的節目の109.00円が意識される展開

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りや日経平均株価の上げ幅拡大に支えられ、108.99円付近まで値を上げた。米長期金利が一時1.63%台へ上昇したことも、ドルの押し上げにつながった。ただ、心理的節目の109.00円が意識されると利食い売りも見られ、108.90円付近へ緩んだ。午後は、日経平均株価や米長期金利動向を睨みながら、108.90円台を中心とした狭いレンジでのもみ合いが続いた。海外時間に予定されているバイデン米大統領の就任後初となる記者会見を見極めたいとの雰囲気から、積極的な売買は手控えられた。ユーロ/ドルは、1.18ドル台前半で小動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

日銀保有ETFは日経平均が2万円を下回ると簿価割れ

日銀の黒田総裁は25日の参院予算委員会に出席し、日銀が保有する上場投資信託(ETF)の時価が簿価を下回る日経平均株価の水準について『2020年10月以降ETF買い入れの実績などを用いた、やや粗い試算』と前置きしたうえで『やはり2万円程度になる』と話した。日銀は年に2回、ETFを含む保有有価証券の時価情報を公表している。黒田総裁は、直近となる20年9月末時点では日経平均の水準が2万円程度を下回ると保有ETFの時価が簿価を下回る計算だったとも述べた。

 

欧米と中国の対立激化は世界にとってもリスク材料

欧州連合(EU)は22日開いた外相理事会で、中国の少数民族ウイグル族の不当な扱いが人権侵害にあたるとして約30年ぶりに中国当局者らへの制裁を採択した。ブリンケン米国務長官の就任後初の欧州歴訪に合わせ同盟国との協調姿勢をアピールする狙いがある。EUの対中制裁は、EUの前身組織の時代を含め1989年の天安門事件以来であり、EU内の資産凍結や域内渡航の禁止など新疆ウイグル地区の幹部ら中国当局者4人と1団体を制裁対象とした。多くのウイグル族が不当に拘束されている他、労働や不妊手術の強制を問題視した。23日の中国・上海株式市場は朝方こそ買いが先行したが、EU(欧州連合)や米国などが22日に中国の少数民族ウイグル族の不当な扱いが人権侵害と中国当局者らへ制裁を決め中国と欧米諸国との対立激化への懸念から下落を余儀なくされた。欧米と中国の対立激化は世界にとって懸念材料であることは言うまでもない。

 

欧米金融機関のトルコリラの予想レートをリラ安に変更

トルコの与党・公正発展党(AKP)は昨日、エルドアン大統領を党首に再選した。そのエルドアン氏は演説で、自由な市場経済や財政規律にコミットすることでトルコはショックへの耐性が証明されているとし、トルコへの信頼を維持するよう外国人投資家に呼び掛けると述べた。また、国民にも、外貨と金をリラベースの金融商品に移すよう求めた。格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は昨日『トルコの脆弱な国際収支ポジションは最近の出来事で更に悪化する可能性』と指摘しており、長期的な流れでもリラへの売り圧力が今後強まりそうである。欧米金融機関もドルリラの年末予想レートをドル高・リラ安方向に変更しており、前回予想1ドル=8リラだった独コメルツ銀行などは10リラとの見通しを示した。

 

南アでは2月のPPIが発表される:今後の経済を占ううえで重要ポイント

昨日発表された南ア消費者物価指数(CPI)への市場の反応は限られたものとなったが、南ア準備銀行(SARB)の目標バンド3-6%の下限を割り込む2.9%という結果となり、昨年ロックダウンが行われた6月の2.2%以来の弱い結果となっている。明日のSARB・金融政策委員会(MPC)での早急な利下げ論にはならないが、弱いインフレ指標が継続された場合は、利下げこそはなくても他の新興国が利上げに傾いている状況で、金利を動かせないことで高金利通貨から除外され上値が抑えられ可能性がある。本日は2月の卸売物価指数(PPI)が発表されますが、CPIと明日のMPCの間に挟まれ、市場の反応は限られそうである。ただし、結果は今後の南ア経済を占ううえでは重要なものになるので注意が必要である。

 

米・メキシコの代表団が移民問題について対談:失望が垣間見える内容

23日バイデン政権になって初めてメキシコにて移民問題について米・メキシコの代表団が対談を行った。米国からは米国家安全保障会議(NSC)のメキシコ国境問題責任者であるロバータ・ジェイコブソン氏やNSCの西半球局長であるゴンザレス氏、メキシコからはロベルト・ベラスコ北米担当局長。両国は最近の米・メキシコ国境付近で増えている移民を懸念しつつも、『短期的な中米北部の包括的経済発展を促進するための人道的行動』について語った。ただ、米国側は移民の対応をメキシコ側に押し付ける一面も見られるなど、外交アプローチを主軸とするバイデン政権に期待したメキシコ側の失望が垣間見える会談となった。

 

メキシコはジャーナリストにとって最も危険な国

2020年のジャーナリストにとって最も危険な国にメキシコがなった。昨年にメキシコで殺害されたジャーナリストは13人に上り、世界全体でのジャーナリスト死者数の約3分の1を占めている。2000年以来で133人が犠牲になっており、ジャーナリストにとって最も危険な国にメキシコが選ばれたのは過去5年でこれが4回目である。マフィアによる犯罪などを取り扱っていることもあるが、中東・アフリカなどの紛争が絶えない諸国も含まれているので、メキシコにおける状況が如何に深刻なものかを物語っている。ロペスオブラドール大統領は就任以降、暴力を抑制することを公約して積極的に対処してきたが、依然として状況の改善には至っていない。

 

米2月耐久財受注速報値は予想外のマイナス

商務省が発表した2月耐久財受注速報値は前月比-1.1%と、予想外に1月+3.5%からパンデミックによる経済封鎖が開始した昨年4月来のマイナスに落ち込んだ。変動の激しい輸送用機除く2月耐久財受注速報値も前月比-0.9%と、やはり予想外に1月+1.6%から4月来のマイナスになった。また、国内総生産(GDP)の算出に用いられる航空機を除く非国防資本財(コア資本財)の出荷速報値は前月比-1.0%と、予想に一致し1月+1.9%から4月来のマイナスに落ち込んだ。

 

欧米市場イベント

○16:00   ベイリー英中銀(BOE)総裁、講演
○16:00   4月独消費者信頼感指数(Gfk調査、予想:▲11.9)
○16:45   3月仏企業景況感指数(予想:91)
○17:30   スイス国立銀行(中央銀行)、政策金利発表(予想:▲0.75%で据え置き)
○18:00   2月ユーロ圏マネーサプライM3(予想:前年比12.5%)
○18:00   ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、バイトマン独連銀総裁、ビルロワ・フランス中銀総裁、講演
○18:30   2月南アフリカ卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.5%/前年比3.8%)
○18:30   ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、講演
○21:30   10-12月期米GDP確定値(予想:前期比年率4.1%)
○21:30   10-12月期米個人消費(確定値、予想:前期比年率2.4%)
○21:30   10-12月期米コアPCE(確定値、予想:前期比年率1.4%)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:73.0万件/404.3万人)
○23:10   クラリダ米連邦準備理事会(FRB)副議長、講演
○未定   南アフリカ準備銀行(SARB)、政策金利発表(予想:3.50%で据え置き)
○26日01:00   ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演
○26日02:00   エバンズ米シカゴ連銀総裁、講演
○26日02:00   シュナーベルECB専務理事、講演
○26日02:00   デギンドスECB副総裁、講演
○26日02:00   米財務省、7年債入札
○26日04:00   メキシコ中銀、政策金利発表(予想:4.00%で据え置き)
○欧州連合(EU)首脳会議(26日まで)

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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