FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

2021/03/11/15:10:26

日経平均株価:イベント控え様子見ムード強い展開

まちまちの米国株を受けて前日終値近辺からスタートし、しばらくはプラス圏とマイナス圏を行き来した。しかし、NYダウの最高値更新で売りづらさも意識される中、下落から上昇に転じる銘柄も増加し、じわじわと上げ幅を拡大した。市場では、米追加経済対策が成立する見通しが立ち、景気敏感セクターが物色される一方、半導体関連が軟調に推移し、相場の重石となった。明日はSQ(特別清算指数)の算出を控えているほか、今晩の30年債入札の結果を見極めたいという投資家も多く、様子見ムードが続いた。との声があった。結局、前営業日比175円高の2万9211円と3営業日続伸して終了した。3月第1週の海外投資家は、3週ぶりに417億円の買い越しとなった。

 

東京外国為替市場:リスク選好の円売りがやや優勢

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りや米長期金利が上昇したことに支えられ108.55円付近へじり高となった。日経平均株価の上げ幅が100円を超えたこともリスク選好の円売りを誘った。午後もこの流れは続き、内外株高を好感してドル買い・円売りが進み、108.73円付近まで上昇した。原油先物の上昇を眺めた資源国通貨高・円安が波及した面もあった。ユーロ・ドルは、今晩のECB理事会やラガルド総裁の会見を見極めたいとのムードが広がり、1.19ドル台前半で方向感に欠ける値動きとなった。

 

3月のFOMCではドットチャートに注目:タカ派で金利上昇も

スタンダートチャータードは11日付けリポートで、3月米連邦公開市場委員会(FOMC)で米FRBは声明及びドットチャートを含む経済見通しに大きな変更を漏らす可能性が高いと予想している。具体的には2023年に2回の利上げ兆候が示されると見込んでいる。また、新しい景気刺激策によるベースラインの改善と、ワクチン接種の進歩によるダウンサイドリスクの減少により、ドットチャートはこれまで以上に分散する可能性があるとも予想している。FRBが経済が要綱な方向へシフトしているタカ派寄りにシフトしていると投資家が見なすことで、更なる利回り上昇につながる可能性があるとも指摘している。

 

★欧州市場では欧州中央銀行(ECB)理事会が開催

ECBのラガルド総裁は3月1日、新型コロナウイルス感染拡大は企業業績と家計を圧迫しており、借り入れコストの上昇を防止すると述べた。政策金利は据え置きとなる見込みだが、長期金利の上昇やユーロ高は景気回復の妨げとなることから、これらを抑えるために何らかのメッセージが発出される可能性がある。

 

トルコとギリシャの二国間協議の行方に注目:エーゲ海の領海域問題

トルコとギリシャは、エーゲ海の領海域問題の解決に向けた今年2回目となる二国間協議を、来週16-17日にアテネで開催することを決定した。両国が歩み寄ることができれば欧州連合(EU)トルコ関係の改善に繋がるため、話し合いの行方が注目される。 気になるところでは、トルコで新型コロナウイルスの新規感染者数が再び増加傾向にある。昨日発表された過去24時間に感染した人数は、2カ月ぶりの水準となる1万4000人超となった。1万人超えも9日連続となっている。コロナワクチンの接種は進んでいるが、その効果はまだ見受けられない。感染抑制のための制限策が再強化ともなれば、経済活動の停滞から景気回復の遅れに繋がる。

 

南ア経済が好転するのは難しい:ランド/円の深追い注意

南アGDPが好結果だったことはある程度のランドの支えになったが、昨日のBER企業信頼感指数+35(前回+45)をみると、1-3月期も南ア経済が好転するのは難しい。また一昨日発表された経済協力開発機構 (OECD)の世界経済の見通しでは、南アに関しては2021年は3%のマイナス成長、2022年になりようやく2%のプラス成長という予想になっている。短期的には日本売りによる円安、株価上昇によるリスク選好の円安などで、ランド/円が上昇することがあるかもしれないが、深追いするような地合いではない。

 

メキシコではインフレ上昇から追加緩和に動きにくい

2月メキシコ消費者物価指数(CPI)は、前月比で0.63%の上昇(予想は0.59%上昇)、前年比で3.76%の上昇(予想は3.72%上昇)となり、いずれも市場予想を上回る結果となった。メキシコ銀行(中央銀行)のインフレ目標である2.0-4.0%の範囲内にとどまったものの、足もとでのインフレ加速によって中銀が追加緩和に動きづらくなったとの見方もあり、ペソ相場の下支えとなっている。

 

米2月CPIではインフレが急上昇している証拠にならず

米労働省が発表した2月消費者物価指数(CPI)は前月比+0.4%、前年比+1.7%とそれぞれ予想通り1月から伸びが拡大した。前月比では8月以降で最大、前年比では1年ぶりの大幅な伸びを記録した。一方で、米連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ指標として特に注視している変動の激しいエネルギーや食品を除いたコアCPIは前年比で+1.3%と、1月+1.4%から予想外に伸びが縮小し昨年6月来で最小となった。FRBの目標である2%には依然ほど遠く、市場が警戒していたインフレが急上昇している証拠にもならなかった。FRBが速やかに緩和策を縮小するとの思惑も後退した。
しかし、2月は大規模経済対策がまだ始まっていない。経済活動の再開に伴い今まで値引きが続いていた航空運賃などが正常な値に戻るようなパンデミックからの回帰『base effect』が予想される。加えて、1.9兆ドル規模の追加経済対策案が成立し、経済に組み込まれると、3月以降のインフレの一段の上昇は避けられない。今後は根深い低インフレから脱することができるかどうかが課題となる。段階的なインフレの上昇はむしろ健全で、経済には歓迎されると考えられる。

 

21年米企業利益見通し上方修正

2021年の米企業業績見通しを引き上げる動きが広がっている。予想外に好調となった20年第4・四半期の企業決算や、米景気回復を巡り楽観的な見方が増していることが背景にある。リフィニティブによると、先週5日時点で、S&P総合500種株価指数構成企業の21年予想増益率は23.9%。20年の12%減から大きく盛り返すことが見込まれている。20年第4・四半期利益は5日時点で、前年同期比4.1%の伸びを記録した。市場予想は10.3%減だった。S&P構成企業による第1・四半期決算発表は4月半ばに始まり、前年同期比22%の増益となることが予想されている。

 

欧米市場イベント

○16:00   1月トルコ経常収支(予想:16.0億ドルの赤字)
○18:00   10-12月期南アフリカ経常収支(予想:1565億ランドの黒字)
○21:00   2月ブラジルIBGE消費者物価指数(IPCA、予想:前月比0.72%)
○21:45   欧州中央銀行(ECB)定例理事会、終了後政策金利発表(予想:0.00%に据え置き)
○22:30   ラガルドECB総裁、定例記者会見
○22:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:72.5万件/422.0万人)
○12日03:00   米財務省、30年債入札
○インド(シバ神生誕日)、休場

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

欧米タイム直前市場コメント!

2021/03/10/15:16:29

日経平均株価:週末のSQ控え方向感を欠く展開

前日の米国株式市場の上昇を好感して買い優勢で始まったものの、中盤から方向感を欠く動きとなり、相場全体は伸び悩んだ。NYダウ先物が軟調に推移したことが重石となった。値がさのグロース株が復権したかのような相場つきになったが、週末のメジャーSQ算出を控えているため、積極的にポジションを取ろうとする動きは見られず、前場中盤からは見送りムードが支配した。結局、前営業日比8円高の2万9036円とわずかに続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:全般様子見ムード強く108円台後半での小動き

ドル/円は、本邦輸入勢のドル買い・円売りや米長期金利上昇に支えられ、108.85円付近はじり高となった。原油先物価格の下落を眺めた資源国通貨に対するドル高が波及した面もあった。午後もこの流れは続き、108.91円付近まで上昇した。ただ、NY時間に予定されている2月米消費者物価指数(CPI)や米10年債入札を見極めたいとの雰囲気もあり、上値を追う動きは限られた。その後は、利益確定や戻り待ちのドル売り・円買いも見られ、108.90円を挟んでもみ合いとなった。ユーロ/ドルは、欧米金利差拡大を意識したユーロ売り・ドル買い基調が続き、1.1870ドル付近へ値を下げた。

 

ギリシャは5月にも海外観光客を受け入れ

ヨーロッパでも屈指の観光地、ギリシャは、入国時に新型コロナウイルスのワクチンの接種証明か、PCR検査の陰性証明を提示することなどを条件に、ことし5月にも世界中から観光客の受け入れを始める方針を示した。ギリシャのセオハリス観光相は9日、インターネット上で開かれた観光産業の国際的な展示会にギリシャから参加し、ことし5月14日にも世界中から観光客の受け入れを始める方針を発表した。観光客は入国の際、新型ウイルスのワクチン接種を受けた証明か、PCR検査の陰性証明などが必要となり、現在行われている入国後の隔離措置は免除される。また、今後国内の観光業で働く人たちのワクチン接種を優先させる考えも示した。

 

OECDは21年の世界の実質経済成長率を予測

経済協力開発機構(OECD)は9日、2021年の世界の実質経済成長率が5.6%になるとの予測を発表した。新型コロナウイルスのワクチンの普及や米国の追加経済対策の効果を見込み、20年12月時点の予測から1.4ポイント上方修正した。感染の抑制が進むことで『世界経済は21年中ごろまでにはコロナ前を上回る水準に戻る』との見通しを示した。国別にみると、米国の21年の成長率予測は6.5%で、前回見通し(3.2%)から3.3ポイントの大幅な上方改定とした。中国は前回見通しと比べ0.2ポイントの下方修正としたが、引き続き7.8%の高成長を見込む。一方、日本の予測は前回から0.4ポイント上方修正したものの、2.7%どまり。主要先進国の中で最も低い水準となった。

 

OECDはトルコの成長率見通しを約2倍引きあげる

OECD(経済協力開発機構)は9日に世界経済の成長率見通しを発表し、2021年のトルコ成長見通しを前回予測2.9%から5.9%と約2倍引き上げた。財政刺激策、製造業や建設業の回復などが支えとなり、トルコの経済活動はパンデミック前の水準まで上回ったとOECDは述べている。ただし、商品価格の上昇によりトルコのインフレ上振れには注意が必要とされた。いずれにせよ、今年のトルコの経済成長は世界全体の成長率見通し5.6%を上回るとされたことで、大きな流れとしてはリラの支援材料となる。 なお、トルコ政府は9日、レイオフ禁止の大統領令を17日から2カ月延長すると発表した。経済回復の見通しが高まり、新型コロナウイルスの感染を抑制するための行動制限策も3月になり緩和されているが、労働市場の改善にはまだまだ時間がかかりそうである。本日発表の12月トルコ失業率も前回12.9%から悪化するとの予想である。

 

南アは着実に回復基調にある

ウイルスのパンデミック後のGDPは、前年比で4-6月期は-17.1%、7-9月期-6.0%となっていたが、昨日発表された10-12月期GDPは前年同期比で-4.1%となり、着実回復基調にはある。(なお、2020年の通年では-7%となった)本日は、1-3月期南アフリカ経済研究所(BER)企業信頼感指数が発表されるが、GDPの後だけに市場の反応が限られると予想される。

 

米国市場では2月消費者物価コア指数を公表

1月の実績は前年比+1.4%で被服費や医療費が上昇した。2月については、エネルギー価格の上昇が他の分野に影響を及ぼす可能性があるものの、被服費と医療費の上昇率は鈍化すると予想されており、全体のインフレ率は1月実績を下回る可能性がある。

 

欧米市場のイベント

○16:00   12月トルコ失業率(予想:13.5%)
○16:00   2月ノルウェー消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.6%/前年比3.0%)
○16:45   1月仏鉱工業生産指数(予想:前月比0.5%)
○19:00   1-3月期南アフリカ経済研究所(BER)企業信頼感指数(予想:42)
○21:00   MBA住宅ローン申請指数
○22:30   2月米CPI(予想:前月比0.4%/前年比1.7%)
       エネルギーと食品を除くコア指数(予想:前月比0.2%/前年比1.4%)
○24:00   カナダ銀行(BOC、中央銀行)、政策金利発表(予想:0.25%で据え置き)
○11日00:30   EIA週間在庫統計
○11日03:00   米財務省、10年債入札
○11日04:00   2月米月次財政収支(予想:2650億ドルの赤字)

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欧米タイム直前市場コメント!

2021/03/09/15:12:28

日経平均株価:景気回復への期待感から出遅れ株買い

朝方は小幅高でスタートしたが、その後はプラス圏とマイナス圏を行ったり来たりし、不安定な値動きとなった。市場では、景気回復への期待感から出遅れ株へ資金がシフトしており、バリュー株では引き続き物色が活発化との声が聞かれた。ただ、値がさのハイテク株や半導体関連株では利益確定売りが先行し、相場全体の重石となった。また、今週末はSQ(特別清算指数)の算出、来週には米FOMCや日銀の金融政策決定会合を控え、当面はボラティリティの高い相場環境が続く可能性がある。結局、前営業日比284円高の2万9027円と4日ぶりに反発して終了した。

 

東京外国為替市場:心理的節目の109.00円上抜けでストップロス絡む

ドル/円は、米国で大型の追加経済対策が早期に成立する見通しとなり、景気回復が早まるとの期待から一時109.23円付近まで上昇、およそ9カ月ぶりのの高値をつけた。心理的節目の109.00円を上抜けしたことで、ストップロスのドル買い・円売りも観測された。ただ、今晩の米3年債入札を見極めたいとの雰囲気もあり、上げは一服した。その後は、急ピッチの上昇に対する警戒感から利益確定や持ち高調整のドル売り・円買いも見られ、109.20円付近でもみ合いとなった。午後は、急ピッチの上昇に対する警戒感から利益確定や持ち高調整のドル売り・円買いも見られ、109.20円を挟んだもみ合いとなった。ユーロ/ドルは、1.18ドル台半ばで小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

金ETF(GLD)から資金流出が続く:1ヵ月で60億ドル超

8日の米国市場で金価格に連動するSPDRゴールド・シェアーズ(GLD)から資金が流出した。QUICK FactSet Workstationによれば3億1794万ドルの流出となり、これで過去1ヵ月で60億ドル超の流出を記録したことになる。この日の米国市場でGLDは反落し、前日比1.03%安の157.49ドルで終えた。米長期金利の上昇基調が続く中、一時は20年6月5日以来、9ヵ月ぶりの安値水準に沈んだ。GLDには過去1年で58億ドルの資金流入超となっており、米長期金利の上昇傾向にある中でさらなる巻き戻しが警戒される。

 

今週トルコ大統領が経済改革案を発表

今週は、エルドアン・トルコ大統領が経済改革案を発表する予定である。マクロ経済を安定させるための政策や構造改革が主な内容とされているが、外国からの資金を呼び込める中身となるか注目される。特に、インフレ圧力を緩和させるための抜本的な対策が盛り込まれるのかがポイントとなる。

 

エルドアン大統領の支持率よりも不支持率が上回る

トルコの首都アンカラに拠点を置く調査会社『メトロポール』による2月世論調査の結果が明らかになった。それによれば、エルドアン・トルコ大統領への支持率は46%と1年前から約10ポイント減、一方で不支持率は47.8%と1年前から約11%増となり、支持率は不支持率を下回った。また、エルドアン大統領が率いる与党・公正発展党(AKP)の支持者の約1割、国政でAKPと連合を組む民族主義者行動党(MHP)支持者の3割近くが大統領の仕事を評価しないとした。上昇傾向が強まる物価、改善しない雇用問題、新型コロナウイルス対策への不満、また大学自治への介入などで人々の政権に対するイライラが高まっている。2年後には大統領選や総選挙を控えており、長期政権を築いてきたエルドアン大統領も、支持率と不支持率の逆転現象に焦りを覚えると思われる。

 

南アでは10-12月国内総生産が公表:ネガティブサプライに注意

南アからは、本日は10‐12月期の国内総生産(GDP)が発表される。市場予想は前年比では5%弱程度の落ち込みになると予想されている。7-9月期が-6.0%、4-6月期が-17.5%だったことを考えると徐々に改善されていると言える。ただし、ここ最近のランドはネガティブサプライズへの反応が強いことで、市場予想よりも悪い結果となった場合の反応が大きくなることには注意が必要である。

 

米大規模な追加経済対策が米景気回復を押し上げるとの見方

上院はバイデン大統領が提示した1.9兆ドル規模の新型コロナウイルス追加経済対策法案を民主党議員の賛成のみで可決した。最低賃金引き上げなどが除かれたほか、失業給付の補助金が週300ドルと、400ドルから修正されたため下院が再び修正案を可決する必要がある。下院は9日にも採決し、14日までには成立を目指す。大規模な追加経済対策が回復を一段と押し上げるとの見方に米国債相場も軟調推移が継続すると見られる。10年債利回りは1.60%近くで推移した。

 

米FRBは米国債の買い入れ額を増額:米長期金利上昇を懸念した動きか

米連邦準備理事会(FRB)は最近の米長期金利上昇を基本的に『静観』する姿勢を見せ、積極的なけん制は行っていない。しかし、過去1カ月間の行動をみるとFRB
は金融政策で定めた買い入れペースを大幅に上回る規模で米国債の買い入れを進めており、急ピッチの金利上昇に心中穏やかでないことがわかる。FRBのデータによると、2月3日から3月3日までの1カ月間に市場から米国債を952億ドル買い入れた。1月の買い入れ額727億ドルや、昨年7月—1月の月間平均買い入れ額798億ドルから積み増している。

 

欧米市場イベント

○16:00   1月独貿易収支(予想:145億ユーロの黒字)
○16:00   1月独経常収支(予想:218億ユーロの黒字)
○18:30   10-12月期南アフリカ国内総生産(GDP、予想:前期比年率5.0%/前年同期比▲4.6%)
○19:00   10-12月期ユーロ圏GDP確定値(予想:前期比▲0.6%/前年比▲5.0%)
○21:00   2月メキシコCPI(予想:前月比0.59%)
○10日03:00   米財務省、3年債入札

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欧米タイム直前市場コメント!

2021/03/08/15:13:08

日経平均株価:アジア株とNYダウ先物が軟調推移で利益確定売り優勢

強い雇用時計が米国株の買い材料となったことを好感して、寄り付きから300円を超える大幅上昇した。しかし、開始直後に高値をつけると、その後は伸び悩む展開になった。しばらくは値を保っていたものの、前引けにかけては上げ幅を2桁に縮小した。アジア株やNYダウ先物が軟調に推移したことが相場の重石になった。市場からは、『鉱業や鉄鋼、石油、石炭製品など素材やエネルギー関連は堅調な一方、半導体関連やハイテク株の売りが相場を押し下げた。また、新型コロナウイルスの新規感染者数が世界的に幻想傾向にある中、サービス消費の盛り上がりを市場が織り込み始め、巣籠り関連銘柄では利益確定売りが先行した』との指摘があった。結局、前営業日比121円安の2万8743円と3日続落し、2月4日以来、約1ヵ月ぶりの安値となった。

 

東京外国為替市場:FRBが米長期金利の上昇に静観でドル買い優勢

ドル/円は、国内輸出企業などからドル売り・円買いが持ち込まれ、108.31円付近まで下落した。しかし、米国で大型の追加経済対策が早期に成立する見通しとなっているため、下値を追う動きは限られた。その後は、FRB当局者が長期金利の上昇に静観の構えを示し、米金利先行観が強まるなかでドルの押し目買いが入り、108.40円へじり高となった。午後は、日経平均株価のさえない動きを睨みながら、108.30円台を中心とした狭いレンジで取引された。ユーロ/ドルは、先週末に発表された2月米雇用統計の改善で、欧米景況感格差を意識したユーロ売り・ドル買いが優勢となり、1.19ドル台を割り込んで1.1899ドル付近まで下落する場面があった。

 

ドル買い比率は53.2%に低下:利益確定や逆張りの円買い・ドル売り増加

QUICKが8日算出した前週末5日時点の店頭の外国為替証拠金(FX)6社合計(週間)の建玉状況によると、FX取引で円に対するドル買いの比率は53.2%と、前の週末から3.3ポイント低下した。じりじり円安・ドル高基調が保たれたことで、目先の利益確定を目的とした円買い・ドル売りが増えた。集計社数の変更で単純比較はできないが、ドル買い比率は2020年6月以来の低水準となった。

前週は新型コロナウイルスのワクチン普及や米追加経済対策の早期成立に伴う景気や物価の改善期待を背景に米長期金利の上昇が続いた。日米の金利差拡大への思惑から円相場は5日に一時1ドル=108.63円と昨年6月以来の安値をつけた。円安・ドル高が進む中で、利益確定に加え、相場の流れに逆らう『逆張り』の円買い・ドル売りを入れる個人投資家が増えた。

 

18日のトルコ中銀の利上げの思惑から上下に振れる可能性も

先週発表されたトルコの2月消費者物価指数(CPI)でインフレ加速が確認され、市場ではトルコ中銀による早期の追加利上げ観測が高まっている。欧米の一部金融機関のなかには、18日の会合で政策金利を1%引き上げて18%にすると予想する向きも出てきた。アーバル・トルコ中銀総裁も先週末、中銀は恒久的な物価安定を目指していると述べ、引き締めスタンスの維持を再び強調した。一方、中銀の次の一手が利上げのみに限定されるなかでは、物価が簡単に低下するとは思えない。原油相場が高騰していることもあり、インフレが高止まりする可能性は高い。そうなればトルコ経済活動の停滞にも繋がりかねず、リラの上値を積極的に追うのは難しくなってくる。 

 

南アの国内ではポジティブ要因も

南ア国内では、徐々にではあるがポジティブな要因が増えてきている。2020年はアルコールやたばこの販売がほぼ禁止されていたこともあり、税収不足が心配されているが、結果的には前年比で11%程度の減収で収まったことは、財政不安を抱えている南アにはプラスの要因となる。また、先週から南アの国内規制がレベル1の水準まで引き下げられた。これにより夜間外出の禁止時間が深夜0時から4時までに短縮されたほか、集会の収容人数規制も緩和されている。アルコール販売もほぼ全面解禁されており、経済再開への期待が高まっている。

 

米2月雇用統計は予想以上の改善

米労働省が5日発表した2月の雇用統計によると、非農業部門就業者数は前月比37万9000人増加し、市場予想の21万人増を上回った。また、1月の就業者数の増加幅は4万9000人から16万6000人に上方修正された。原動力となったのはレストランの雇用増で、調査の実施時期が寒波到来と重なり、多くの地域で店外飲食が困難だったことを踏まえると、これは見事な数字である。2月の失業率は6.2%に低下し、1月と同じ6.3%になるとみていた市場予想よりも改善した。

米公共放送(PBS)は、イエレン米財務長官がインタビューに応じ、最近の長期金利上昇は金融市場のインフレ懸念ではなく、米経済の力強い回復への期待が引き起こしたものだとの考えを示したと報じている。

 

欧米市場イベント

○15:00   2月景気ウオッチャー調査(予想:現状判断指数34.0/先行き判断指数41.0)
○15:45   2月スイス失業率(季節調整前、予想:3.8%)
○16:00   1月独鉱工業生産(予想:前月比▲0.3%/前年同月比▲3.7%)
○19:00   ベイリー英中銀(BOE)総裁、講演
○24:00   1月米卸売売上高
○24:00   1月米卸売在庫(予想:前月比1.3%)
○ロシア(国際婦人デー)、休場

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

欧米タイム直前市場コメント!

2021/03/05/15:12:58

日経平均株価:値ごろ感からの押し目買いで下げ幅縮小

米国株の大幅安を受けて、センチメントが一段と悪化した。200円超下げて始まり、その後も下を試す流れが続いた。節目の28500円もあっさり割り込み、28300円台に突入。600円超下げたところでようやく下げ止まり感が出てきたが、売り圧力が和らいでも押し目を拾う動きは限られ、前引けでは500円を超える下落となった。前日の米国市場では、パウエル米FRB議長のは発言が金利上昇を静観する内容と受け止められ、失望が広がり、米主要3指数が下落した。連日の大幅下落で値ごろ感からの買いも入りやすく、午後は下げ幅を縮小する展開になった。結局、前営業日比65円安の2万8,864円と続落して終了した。

 

東京外国為替市場:米長期金利上昇で108円台へ円安進行

ドル/円は、日経平均株価の下げ幅が一時600円を超えたことからリスク回避の円買いが先行し、107.82円付近まで下落した。東京市場では久しぶりに108円台へ乗せたことで、本邦輸出勢のドル売り・円買いも継続的に観測された。しかし、前日に米長期金利が急上昇し、日米金利差が拡大していることから下値を追う動きは限られ、107.90円を挟んでもみ合いとなった。午後は、米長期金利上昇や日経平均株価の底堅い動きを眺めたドル買い・円売りが入り、108.12円付近までじり高となった。ただ、昨年7月1日につけた108.16円が重要な上値の抵抗線として意識されると上げは一服した。ユーロ/ドルは、米欧の金利差拡大を手掛かりとしたユーロ売り・ドル買いが一巡すると、1.1960ドル台前後で方向感に欠ける値動きとなった。

 

OPECプラスの協調減産は1ヵ月延長

石油輸出国機構(OPEC)加盟国とロシアなどの非加盟国で構成する『OPECプラス』は4日、ロシアとカザフスタンに若干の増産を認めながらも、協調減産を4月まで1カ月延長することで合意した。原油価格はこのところ上昇しているものの、新型コロナウイルス感染拡大を受けた需要減からの回復はまだ脆弱と判断した。サウジアラビアは日量100万バレルの自主減産を4月まで1カ月延長すると表明した。一方、国内需要を満たすことを目的にロシアに日量13万バレル、カザフスタンに日量2万バレルの増産が認められた。その他の国は現行水準を維持する。

 

トルコリラ買い材料

トルコ中銀の追加利上げ観測ですが、2月トルコ消費者物価指数(CPI)でインフレ加速が確認されたことで、欧米の金融機関から次回18日会合で1%の利上げを予想する向きもでてきた。 エルドアン・トルコ大統領とマクロン仏大統領がビデオ会議形式で会談した。昨年は互いに非難合戦を繰り広げた両者だが、今回はエルドアン大統領が『トルコ仏間の協力は大きな可能性を秘めている』と述べるなど、関係修復を伺わせる話し合いだった。トルコが経済で頼るところが大きい欧州連合(EU)の主要国であるフランスとの関係性は、今後も注視する必要がある。

 

メキシコ国内自動車販売台数は回復基調

2月メキシコ国内自動車販売台数は前月を上回ったため、主力となる自動車販売の回復基調は保たれる結果となっている。ただ、本日は輸出台数の発表があり、直近では2カ月連続で前月を下回っており、今後も伸び悩むようならば自動車産業への懸念となる可能性もあるため、注意が必要である。

 

米上院でコロナ対策法案の審議開始動議を1票差で可決

米上院は、1兆9000億ドル規模の新型コロナウイルス追加経済対策法案の審議開始に向けた動議を賛成51反対50で可決した。党の路線に沿って共和党議員全員が反対票を投じたことで、同法案をめぐり共和党議員の支持を取り付けることは困難となる見通しである。

米議会予算局(CBO)は発表した長期予算見通しで、財政赤字の増大と金利上昇で連邦債務は向こう30年で倍増し、2051年の債務の対GDP比率は202%に達するとの試算を示した。

 

日本勢の外債大量売り越しが米レポ市場に影響

日本勢は過去2週間、外債を大量に売り越した。財務省のデータで2月26日までの2週間の売越額は合わせて約3兆6000億円に上った。売りの大きさは10年物米国債のレポ市場に影響を及ぼすほどだった。年度末を控えた持ち高調整として始まった日本勢の売りが世界の市場ボラティリティー上昇に重なり、米10年国債利回りは一時、新型コロナウイルス流行前の水準まで上昇した。日本からの売りは相手方となるディーラーによるヘッジを引き起こし、これがレポ市場に影響した。

 

米国市場では2月雇用統計が公表

1月の非農業部門雇用者数前月比+4.9万人にとどまった。失業率は6.3%に低下した。2月については、複数の業種で雇用者数が増加するとみられているが、新規失業保険申請件数は大幅に減少していないことから、雇用者数の大幅な増加は期待できない。労働参加率は上昇する可能性があることから、失業率は1月の6.3%から小幅に上昇する可能性がある。

 

欧米市場イベント

○16:00   1月独製造業新規受注(予想:前月比0.7%/前年同月比1.9%)
○16:45   1月仏貿易収支(予想:34.00億ユーロの赤字)
○16:45   1月仏経常収支
○22:30   1月カナダ貿易収支(予想:14.0億カナダドルの赤字)
○22:30   1月米貿易収支(予想:675億ドルの赤字)
○22:30   2月米雇用統計(予想:非農業部門雇用者数変化18.2万人/失業率6.3%/平均時給、前月比0.2%/前年比5.3%)
○23:00   ハスケル英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○24:00   2月カナダIvey購買部協会景気指数
○6日01:00   2月ロシア消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.6%)
○6日05:00   1月米消費者信用残高(予想:120.0億ドル)
○6日05:00   ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演
○中国全国人民代表大会(全人代)開幕

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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