FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

2021/08/26/15:14:41

日経平均株価:ジャクソンホール会合控え様子見ムード強い展開

朝方は反発して始まったが、米金融政策の先行きを見通す上で重要視されるジャクソンホール会議を27日に控えて投資家の様子見姿勢が強まり、徐々に上げ幅を縮小した。中国株や香港株が小安く推移する中、日経平均もマイナス圏の値動きとなった。相場は次第にこう着感を強めた。結局、前営業日比17円高の2万7742円と小幅に反発して終了した。

 

東京外国為替市場:110円台を挟んでのもみ合い相場

ドル/円は、本邦輸入勢はなどのドル買い・円売りが先行し、110.11円付近まで上昇した。しかし、前日の海外市場でつけた高値110.12円が意識され、追随する動きは見られなかった。その後、日経平均株価が朝高後に伸び悩むと、持ち高調整などのドル売り・円買いに109.95円付近へ押し戻された。午後は、手掛かり材料難から積極的な売り買いは目立たず、109.90円台を中心とした狭いレンジでの取引が続いた。27日のジャクソンホールで行われるパウエル米FRB議長の講演を前に、様子見ムードが広がった。ユーロ/ドルは、1.1765ドル前後でこう着相場となった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

総選挙投票日前のTOPIXの勝率は高い

三菱UFJモルガン・スタンレー証券は26日付のリポートで『投票日前のTOPIXの勝率は高く、投票日から半年後も高い』と指摘した。リポートでは、1979年以降の衆議院総選挙(軽14回)では20営業日前から投票日にかけてTOPIXがポジティブとなった割合が92.9%と非常に高いといい、平均リターンもプラス2.5%を記録した。また、投票日から60営業日後のリターンがポジティブとなった割合は50%だったが、『120営業日後は57.1%とになった。平均リターンもプラス3.3%とになり、衆議院総選挙は中期的に株式市場にとってプラスとなることが多い』という。

 

海外投資家売買動向はまもなく転換点へ:野村証券レポート

25日付の日本株フローモニターのリポートで『海外投資家売買動向はまもなく転換点へ』と指摘した。リポートでは、海外投資家が6月5週から7月3週に合計で1兆5228億円を売り越したが、7月第4週から8月2週にかけて7502憶円を買い越したことについて『現物が買い越しに転じた要因の一つとして空売りの減少が挙げられる』と指摘した。空売り比率は依然高水準にあるとしながらも、『7月1週からピークアウト傾向にある。先物については、外資系証券会社のネット先物買い建玉が低水準であることに注目したい』とし、買い戻しが入りやすい状況と指摘した。その上で、『過去のパターンを参考にすると、9月半ば以降空売りが減少する可能性』としながら、総選挙をきっかけに海外投資家の日本株買いが強まる可能性があるともみていた。また、9月はパッシブファンドによる配当絡みの先物買いにも注目とも指摘した。

 

トルコリラは強含みも懸念材料も多いので注意

情勢が緊迫化するアフガニスタンへの対応を巡り、ブリンケン米国務長官とチャヴシュオール・トルコ外相は電話会談をした。そこでブリンケン長官はトルコが地域の重要なパートナーと強調した。なお、トルコ国防省は『様々な会談、現在の状況、条件を検討したうえで、アフガニスタンからトルコ軍が退避を開始した』と発表した。一時は、アフガンのカブール国際空港をトルコ軍が管理・保護するとの話もあったが、アフガンを掌握したタリバンの意向に沿ったようである。昨日はリラ高で推移したが、米長期金利が上昇傾向を強めてきており、今後は、けっして無視できない規模のトルコ対外債務負担がリラの重しとなってしまうかもしれない。また、原油価格の買い戻しも止まらず、石油を輸入に依存するトルコの通貨にとっては流出要因となる。また、一部の中東メディアが、トルコ高官の話しとして『ロシアと追加のミサイル購入契約を結ぶ準備など出来ていない』を伝えた。

 

南アの7月卸売物価指数が公表:ランドの上値の重い展開が継続

本日は南アの7月卸売物価指数(PPI)の発表があるが、ここ最近は南アの経済指標での反応が限られていることで、PPIも市場が動意づくのは難しいと思われる。本日は大きな動きは期待できないが、中長期的にはランド/円は上値が重く推移しそうである。一昨日発表された失業率の悪化や、電力不足懸念、治安不安など南アの好材料を探すのが難しい状況は変わらない。

 

アフガニスタンリスクの高まりに要警戒

アフガニスタンリスクの高まりは、ウィリアム・バーンズ米中央情報局(CIA)長官とタリバンの共同創設者でナンバー2のアブドゥル・ガニ・バラダル氏との会談が物別れに終わったことが大きな要因である。バイデン政権が『31日にアフガニスタンから撤退することを決定した』というよりも、『31日に撤退を余儀なくされた』ということが正しく、期限まで1週間を切った中でどの程度撤退が完了できるかが注目される。バイデン米大統領は一人でも米国人に危害が及んだ場合には、タリバンに報復することも示唆しており、今後1週間のアフガニスタン情勢が一つの山場となる。撤退を前に上述したような独国防相の懸念が現実化した場合には、為替市場もジャクソンホール待ちと悠長なことを言っていられなくなる。

 

米7月耐久財受注速報値は予想ほど悪化せず

商務省が発表した7月耐久財受注速報値は前月比-0.1%となった。伸びは6月+0.8%から4カ月ぶりのマイナスに再び落ち込んだものの、予想ほど悪化しなかった。変動の激しい輸送用機器除く耐久財受注速報値は前月比+0.7%。伸びは6月+0.6%から縮小予想に反して拡大し、4月来で最大となった。国内総生産(GDP)の算出に用いられる7月製造業出荷・資本財(航空機を除く非国防)速報値は前月比+1.0%と、伸びは6月+0.6%から予想以上に拡大した。

 

米国市場では4-6月期国内総生産(GDP)改定値が公表:予想は前期比年率+6.6%

速報値は、前年同期比+6.5%だった。個人消費や企業の設備投資が成長に寄与したが、住宅投資は減少した。サブプライチェーンの制約に伴う在庫圧縮も成長率を抑制した。改定値では個人と企業設備投資はやや上方修正される可能性があるが、速報値からの修正は小幅にとどまる見込みである。

 

欧米市場イベント

○未定     8月月例経済報告
○15:00   9月独消費者信頼感指数(Gfk調査、予想:▲0.7)
○15:45   8月仏企業景況感指数(予想:112)
○16:00   レーン・フィンランド中銀総裁、講演
○16:30   7月スウェーデン失業率
○17:00   7月ユーロ圏マネーサプライM3(予想:前年比7.7%)
○18:30   7月南アフリカ卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.6%/前年比7.0%)
○20:00   7月メキシコ失業率(季節調整前、予想:4.10%)
○20:30   欧州中央銀行(ECB)理事会議事要旨(7月22日分)
○21:30   4-6月期米国内総生産(GDP)改定値(予想:前期比年率6.7%)
       4-6月期米個人消費(改定値、予想:前期比年率12.2%)
       4-6月期米コアPCE(改定値、予想:前期比年率6.1%)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:35.0万件/279.0万人)
○23:10   ビルロワ・フランス中銀総裁、講演
○24:00   シュナーベル欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○27日02:00   米財務省、7年債入札

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

欧米タイム直前市場コメント!

2021/08/25/15:13:19

日経平均株価:様子見ムード強く方向感の出ない展開

前日の米国株高の流れを引き継ぎ、景気敏感セクターを中心に買いが朝方先行した。ただ、今数米国で開かれる年次経済シンポジウム(ジャクソンホール会合)を控える中で上値は重く、前場引けにかけて軟化した。高値警戒感から利益確定売りが先行、売り買いが拮抗した。結局、前営業日比7円安の2万7724円と3営業日ぶりに小反落して終了した。信用評価損率は20日申し込み時点でマイナス12.88%と、前の週のマイナス10.24%からマイナス幅が2.64ポイント悪化した。

 

東京外国為替市場:日経平均株価睨みの109円後半でのもみ合い相場

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りに支えられ、109.87円付近まで上昇した。米長期金利が小幅に上昇したことも、ドル買いにつながった。ただ、前日につけた高値109.88円付近に接近すると上げは一服した。その後は、日経平均株価の失速を眺めたドル売り・円買いに109.70円台へ押し戻された。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、109.75円前後でもみ合い相場となった。全般に様子見ムードの強い展開だった。ユーロ/ドルは、1.1740ドルを挟んで小動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

トルコリラが13円台を維持出来るか注目

トルコが露製地対空ミサイルを追加購入するという関連報道に気を付けながら、13円台を維持できるかが注目される。トルコで新型コロナウイルス感染による死者数が増加傾向にあることも、リラの印象を悪くしている。7月前半は40人を割り込んでいた感染による1日あたりの死者数は、先週末から約3カ月ぶりの230人台にも達した。トルコの保健当局も焦りを隠せず、ワクチン接種を国民に必死に訴えている。

 

南アでは失業率悪化でランドの重石

昨日発表された4-6月期の失業率は、前回の32.6%から34.4%と悪化し、2008年の計測以来最悪の結果となった。若年層(15-24歳)失業率も63.2%から63.3%と過去最大を記録している。また、就活を諦めた失業者を含める拡大失業率は43.2%から44.4%まで増加している。新型コロナウイルスの感染が収まらず、暴動も7月には起きたことを考えると、南アの雇用不安は深刻なままで、ランドの重石になる。

 

メキシコでは感染動向の悪化が続きペソ相場の重石

メキシコ経済を巡っては、米国経済の堅調さが景気回復を促すとの期待がある一方、足下の米国では変異株により感染が再拡大するなかでメキシコにも『第3波』の動きが広がる。政府による積極的なワクチン接種の動きにも拘らずワクチン接種率は集団免疫獲得にほど遠く、政府が掲げる接種計画のハードルは高い。メキシコは感染者数に対して死亡者数の比率が突出するが、足下の感染再拡大による医療インフラのひっ迫を受けて死亡者数も拡大傾向を強めており、メキシコの感染動向は当面厳しい展開が続く可能性が高い。

 

ゴールドマンサックスはFRBによるテーパリング発表確率引き上げ

米連邦準備制度理事会(FRB)のシンポジウムは当初開催が予定されていたワイオミング州ジャクソンホールにあるティトンビレッジ 、 グランドティトン国立公園地域のコロナリスクが引き上げられたため、対面形式からビデオ形式に変更された。このため、FRBも新型コロナウイルのデルタ変異株流行が景気に与える影響を再び見直す必要性を認識し、パウエル議長が今週の会合で、金融緩和縮小の計画を発表するとの思惑が後退しつつある。 ただ、FRBが年内に金融緩和縮小を開始するとの市場での思惑も根強い。ゴールドマンサックスのエコノミストは11月の緩和縮小発表確率を当初の25%から45%まで引き上げた。一方、12月発表確率を当初の55%から35%へ引き下げた。現在の国債購入規模、月800億ドル、住宅ローン担保証券(MBS)の購入月400億ドルそれぞれ増やす量的緩和(QE)を、各会合で米国債の購入を100億ドル、MBSの購入を50億、総額150億ドル規模縮小し、2022年の9月にテーパー終了を目指すと見ている。

 

米下院では予算決議案を可決:超党派インフラ法案は9月末までに採決

米下院は24日に社会福祉の拡充などを盛り込んだ3兆5000億ドルの予算決議案を賛成220、反対212で可決した。支持に回った野党共和党議員はいなかった。超党派による1兆ドル規模のインフラ投資法案については、9月27日までに採決を実施することで合意した。下院民主党は24日未明、予算決議案の採決を延期。ペロシ議長らが決議案の早期承認を求めたのに対し、党内の穏健派は、まず上院で可決された1兆ドル規模の超党派インフラ投資法案を先に採決するべきだと主張し、双方の折り合いがつかなかった。

 

★米国ではブレークスルー感染増加傾向

米ロサンゼルス郡で5月-7月25日までに確認された新型コロナウイルス感染者の25%が、ワクチン接種完了後に感染する『ブレークスルー感染』だったことが、米疾病対策センター(CDC)のデータから分かった。同時期には感染力の強いデルタ変異株が流行しており、3回目の追加接種(ブースター接種)が必要かどうかを判断する際の材料となる見通しである。同データによると、ロサンゼルス郡で新型コロナの感染が確認された年齢16歳以上の住民4万3000人強のうち、1万0895人(25.3%)がワクチン接種を完了、1431人(3.3%)が1回目の接種を終えていた。3万0801人(71.4%)はワクチン未接種者だった。同時に、新型コロナで入院したのはワクチン接種を完了していた人の3.2%、集中治療室(ICU)での治療は0.05%、呼吸器が必要となったのは0.25%にとどまり、ワクチンが重症化予防で効果があることが示された。

 

米新築住宅販売価格は過去最高を更新

24日に発表された7月の米新築一戸建て住宅販売件数(季節調整済み、年率換算)は70万8,000戸と前月比1.0%増と4ヵ月ぶりにプラスとなった。地域別では、人口の多い南部が1.3%増、西部が14.4%増と全体を押し上げ、北東部、中西部は24.1%減、20.2%減と低調だった。一方、前年同月比では27.2%減となっており、前月比ではプラスだった南部、西部も前年同月比では28.4%減、11.9%減と米住宅市場の冷え込みが続いている。販売価格(中央値)は39万500どると過去最高値を更新した。住宅価格が高騰し消費者の手に届きにくいという状況が改善するとは考えにくい。

 

米国市場では7月耐久財受注が公表:予想は前月比-0.1%

6月実績は前月比+0.8%だった。コンピューター、電子機器、一次金属の受注は増加したが、半導体不足を背景に自動車・同部品の受注は減少した。7月については、サプライチェーンの障害や不足が原因で生産ペースは抑制されており、前月比マイナスとなるか旺盛がある。

 

欧米市場イベント

○17:00   8月独Ifo企業景況感指数(予想:100.4)
○17:30   デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○20:00   4-6月期メキシコ国内総生産(GDP)確定値(予想:前期比1.7%/前年同期比19.8%)
○21:30   7月米耐久財受注額(予想:前月比▲0.3%/輸送用機器を除く前月比0.5%)
○23:30   EIA週間在庫統計
○26日01:00   7月ロシア鉱工業生産(予想:前年比8.2%)
○26日02:00   米財務省、5年債入札

 

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欧米タイム直前市場コメント!

2021/08/24/15:11:30

日経平均株価:感染拡大のピークアウト期待感から買い優勢

前日の米国株高や、アジア株の底堅い動きが支えとなり、景気敏感株、半導体関連などのハイテク株をはじめとする幅広い業種で買いが先行した。米ファイザーの新型コロナウイルスワクチンが国内で正式に承認され、ワクチン接種の加速につながるとの思惑が買いを後押しした。外食や百貨店、旅行・レジャー関連、空輸、電鉄といった経済再開(リオープン)銘柄がしっかり推移した。自立反発の範囲内との見方がある一方、感染拡大のピークアウトを先取りする動きとの期待感も買いにつながった。結局、前営業日比237円高の2万7732円と続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:リスク選好の動きからドル/円はじり高

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りに支えられ、109.80円付近へ上昇した。日経平均株価の上げ幅拡大でリスク選好の動きが強まったことも円売りを誘った。午後は、NYダウ先物の底堅い動きやアジア株高を眺めたドル買い・円売りが入り、109.84円付近までじり高となった。米長期金利で小幅上昇したことも、ドル買いにつながった。ユーロ/ドルは、1.1740ドル前後で小動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

トルコでは露製ミサイル購入問題とアフガニスタン難民問題がリラの重石

トルコがロシアから地対空ミサイルS400を追加購入するとの露メディアの報道があった。これが本当であれば、米国やその他の北大西洋条約機構(NATO)同盟国との関係悪化は確実であり、再び対トルコ制裁への警戒感が高まる可能性がある。せっかく下値を切り上げつつあるリラ相場の腰折れにも繋がる。また、国際社会が注目しているアフガニスタン情勢については、難民問題で欧州とトルコで意見の食い違いがある。欧州サイドとしては、トルコが、タリバンを恐れてアフガニスタンを脱出した人々の最初の受け皿になってほしいが、世界で最も難民を受け入れているトルコはこれ以上の流入に難色を示している。単純に欧州が資金援助をすれば解決するような問題でもなく、先行き不透明感は高まる。

 

南アでは4-6月期の失業率:失業者増でも利下げに繋がらず

本日は南アから、4-6月期の失業率が発表される。失業率は非常に重要な経済指標だが、ここ最近は表面の数字だけでは判断がしにくくなっている。これは、南アだけではなく多くの国でも共通しているが、就活を諦めた失業者などが増加していることで、実際の失業率だけではなくデータの詳細を見ていく必要がある。なお、クガニャゴ南ア準備銀行(SARB)総裁が先週『持続可能な雇用を生み出すのは低金利や多くのお金を印刷することではない』と発言しているように、失業者が増えても利下げに踏み込むわけではないと表明していることで、今回の失業率での反応が限られることになる。

 

米住宅関連指標は改善するもマークイットPMIは減速傾向

全米不動産業者協会(NAR)が発表した7月中古住宅販売件数は前月比+2%の599万戸と、前月から予想外に増加し、3月来で最大の伸びとなった。事前にマークイットが発表した8月製造業PMI速報値は61.2と、7月63.4から低下し、予想も下回り4月来で最低となった。また、8月サービス業PMI速報値は55.2と、7月59.9から予想以上に低下し、昨年12月来で最低となった。さらに、8月総合PMI速報値は55.4と、7月59.9から低下しやはり昨年12月来で最低となった。

 

米国の感染ピークが過ぎていることを示唆

B of Aセキュリティーズは23日付リポートで、『ワシントン大学のIHMモデルなどの証拠からは、米国は現在、主にデルタ変異によって引き起こされる新型コロナウイルスの新規感染のピークレベルを超えていることを示唆している』と指摘した。入院者数の動向もピークを過ぎたことと矛盾しないほか、検査陽性率も低下基調にあり、感染のピークが過ぎていることを示唆しているという。実際には新型コロナの新規感染数がピークを迎えていない場合であっても、「この節目を目前に控えていることを示唆している」との見方を示した。英国を指針とすると、症例数の減少は急速に進む可能性があり、IHMEの予測では、『10月11日までに1日あたりの感染者数がピーク時から50%減少し、次回の米FOMCの開催時期である9月22日までには、40%近く減少すると予想されている』とも指摘した。これは、「米国で新型コロナウイルスの感染状況が悪化したため、2021年前半にこれまでのところ低調だったリオープニング取引を再開する良い兆しだ」との見解を示した。

 

今週末のパウエルFRB議長の講演に市場は注目

今週の為替相場では26‐28日に米カンザスシティー連銀が開催する国際経済シンポジウム(ジャクソンホール会合)が注目イベントになっている。パウエルFRB議長は、米東部時間27日午前10時(日本時間:27日午後11時)に『経済見通し』についてオンライン講演を行う予定になっている。すでに11月にかけての量的緩和縮小(テーパリング)は織り込まれつつあるが、米国ではFRBによる超緩和策が一因となる形での物価上昇や住宅価格高騰が国民不満を高めている。バイデン米大統領の支持率低下の一因にもなってきた。その中でパウエル氏が緩和縮小や先行きの利上げに前向きメッセージを示すと、為替相場では全般的なドル高が支援されやすい。ただし、予想以上に緩和見直しへの前のめり発言が見られると、米国株は過去最高値推移による高値警戒もあって調整株安となる。為替相場ではリスク回避により、クロス円主導で短期的な円全面高も想定される。一方で現在の米国では変異種(デルタ株など)を含めたコロナ感染の再増加などで、景気の減速が懸念され始めた。その中でパウエル議長から金融緩和見直しへの慎重姿勢や当面の様子見が示唆されると、全般的なドル安の材料となりやすい。

 

欧米市場のイベント

○15:00   4-6月期独国内総生産(GDP)改定値(季節調整済、予想:前期比1.5%/前年同期比9.2%)
○15:00   4-6月期独GDP改定値(季節調整前、予想:前年同期比9.6%)
○23:00   7月米新築住宅販売件数(予想:前月比3.6%/70.0万件)
○23:00   8月米リッチモンド連銀製造業景気指数(予想:24)
○25日02:00   米財務省、2年債入札
○先進7カ国(G7)緊急首脳会議(オンライン形式)

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欧米タイム直前市場コメント!

2021/08/23/15:16:13

日経平均株価:経済政策のテコ入れ期待から買い優勢

前週末の米国株高の流れを引き継いで高く始まった後も堅調に推移した。そして、上海株や香港株が堅調推移となったことで一段と上げ幅を拡大した。横浜市長選では菅首相の推す候補が敗北したことで、政局の不透明感とともに、政策期待も高まりやすいとの声がでていた。市場では『政権支持率低下を挽回するため、経済政策のテコ入れが期待される』との見方も広がった。日本株が前週に大きく下落したこともあって、幅広い銘柄に自立反発狙いの買いも入った。結局、前営業日比480円高の2万7494円と3営業日ぶりに大幅反発して終了した。

 

東京外国為替市場:110.00円の上値の重石が意識された

ドル/円は、本邦輸入勢のドル買い・円売りや米長期金利上昇に支えられ、109.93円まで上昇した。日経平均株価の大幅高もリスク選好の円売りを誘った。ただ、心理的節目の110.00円に接近すると、利益確定や戻り待ちのドル売り・円買いも見られ109.80円台へ緩んだ。午後は、日経平均株価の上げ幅拡大やアジア株高を眺めたドル買い・円売りが入り、109.95円付近へじり高となった。原油先物相場の反発を好感した資源国通貨高・円安が波及した。ユーロ/ドルは1.17ドル台前半で小動きとなった。欧米市場待ちの様相となっている。

 

FX概況:ドル買い比率62.7%に低下

QUICKが23日算出した前週末20日時点の店頭の外国為替証拠金(FX)6社合計の建玉状況によると、円に対するドル買い比率は前の週末から1.6ポイント低い62.7%だった。円相場が下落する場面で、相場の流れに逆らう『逆張り』の傾向がある個人投資家は円買い・ドル売りに持ち高を傾ける動きがやや多かった。前週は円相場が一時110円台まで下落した。18日公表された7月開催分の米FOMC議事要旨を受け、量的金融緩和の縮小が早まるとの観測が強まり、円相場を下押しした。市場では『円安が進んだ場面で、個人による利益確定目的の円買い・ドル売りも入った』との声が聞かれた。

他の通貨ペアでは円を売って、外貨を買う動きが目立った。円に対するユーロ買い比率は39.3%と3.5ポイント上昇した。オーストラリアドル買い比率は3.5ポイント高い78.3%、ポンド買い比率は9.4ポイント上昇の59.7%となった。

 

欧米の政治状況に影響を与える可能性には注意:アフガン情勢

アフガニスタンの政権が事実上崩壊し、タリバンが15日に首都カブールを制圧し、国を統治することになったことで地政学リスクが警戒されている。野村証券は23日付の利リポートで『金融市場への影響は限定的で、軍事的緊張を理由に市場でリスク回避の動きが進む可能性は低い』と指摘した。リポートでは、隣国のパキスタンに関してアフガニスタンからの難民流入やイスラム過激派への対応など、カントリーリスクが高まる可能性があるとしつつ、『アフガニスタンの経済規模は小さく、原油や天然ガスなど主要な天然資源の産出国ではない。アフガニスタンは内陸国であり、海上輸送ルートが阻害されるリスクも低い』と指摘した。その一方で、中国とロシアがタリバンとの関係構築の移行を示していることから中露の影響力拡大も警戒されるが『両国がアフガニスタンに深入りし、金融市場が警戒する展開も考え難い。歴史的経緯から、むしろタリバン側が警戒する可能性が高い』とも指摘した。ただ一方で、『欧米の政治状況に影響を与える可能性には注意』と指摘。特に、ドイツでは、与党キリスト教民主同盟(CDU)が夏の洪水の対応を巡って批判を受けたこともあり、優位性が揺らぐなど混戦状態にあることを踏まえつつ、難民問題の再燃などで欧米への影響に関心を寄せていた。

 

欧州市場では8月マークイットユーロ圏製造業PMIが公表:予想は61.5

7月実績は、62.8だった。6月実績を下回ったが、高水準を維持している。8月については、ユーロ圏の製造業は7-9月期に多少減速するとの見方が多いこと、製造業とそのサプライヤーが需要に応じてなかなか生産を拡大できず、価格上昇につながっていることから、7月実績に届かない可能性がある。

 

UAEとの歩みよりやタリバンとの仲介役期待がトルコリラの支え

トルコリラの支えとなりそうなのが、トルコとアラブ首長国連邦(UAE)の歩み寄りである。何かと敵対することが多かった両国だが、先週はUAEの国家安全保障顧問がエルドアン大統領を訪問した。その後に大統領は、UAEが非常に多額のトルコ投資を計画しており、近いうちに投資が実行されると述べた。有数な産油国であるUAEの資金がトルコに本当に向かえば、その他の外国人投資家のトルコ回帰もあり得る。また、先週、急速に緊迫化したアフガニスタン情勢も注意する必要がある。同国を掌握したイスラム原理主義勢力・タリバンとトルコは対話ルートを持っており、今後は欧米とタリバンとの仲介役が期待される。地域平和に貢献できるようであれば、国際社会のトルコ信頼度も高まることが予想される。また、今後は増加が懸念されるアフガン難民について、トルコと欧州の駆け引きも注目点となる。

 

南アでは失業率悪化でも利下げへの期待感は高まりにくい

先週、クガニャゴ南ア準備銀行(SARB)総裁は『SARBは物価の安定と最大の雇用を追求するという二重の使命を持っていると思っている人たちがいるが、持続可能な雇用を生み出すのは低金利や多くのお金を印刷することではないことを認識する必要がある』と述べている。これは雇用についてSARBに責任がないということではなく、構造改革などの根本的な改革がない状況で、SARBの金融政策だけでは雇用を増やすことは出来ないことを表明している。そのため、26日発表の4-6月期の失業率が悪化した場合も、利下げへの期待感は高まりにくい。

 

週末のパウエルFRB議長講演のタカ派・ハト派シナリオ

ドル円は底堅い展開か。米国の雇用情勢の改善や物価指数の高止まりを受けて、26-28日のジャクソンホール会合でパウエルFRB議長が2022年2月の任期満了前のテーパリング(資産購入の段階的縮小)開始を表明する可能性に注意したい。タカ派的なシナリオは、パウエルFRB議長がテーパリング開始を表明し、9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)でテーパリング開始時期が協議され、年内の開始が表明される場合となる。ハト派的なシナリオは、昨年12月のFOMC声明文から明記されている『最大限の雇用と物価安定に向けて一段と顕著な進展(substantial further progress)があるまで債券購入を継続する』ことを重視し、パウエルFRB議長がテーパリングに言及しない場合となる。

 

米国ではスタグフレーションリスクに晒される可能性も

『米国では有権者の物価上昇への懸念の高まりが世論調査で示され、野党・共和党はインフレ高進をバイデン大統領の社会保障拡充案とインフラ整備計画を阻止する材料にしようとしている』、『米国でインフレが政治問題化することは過去40年間ほとんどなかったが、バイデン米大統領の新たな取り組みは、2022年の中間選挙を前に物価上昇が与党・民主党にとって急所になりかねない状況を反映している』。その中にあって現状段階から米国でドル安が進むと、輸入物価を中心に一段のインフレ押し上げにつながってしまう。悪い物価上昇と景気打撃(スタグフレーション)のリスクを高めることになる。バイデン大統領の一段の支持率低下や、来秋中間選挙に向けて共和党やトランプ前大統領の勢い増長につながる要因となる。その意味で目先の米国では、悪い物価上昇と内需打撃などによる『悪いドル安』の圧力が注視される一方で、『政治的・政策的なドルの安定配慮』の高まりが焦点となる。

 

欧米市場イベント

○16:15   8月仏製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値(予想:57.2)
○16:15   8月仏サービス部門PMI速報値(予想:56.3)
○16:30   8月独製造業PMI速報値(予想:65.0)
○16:30   8月独サービス部門PMI速報値(予想:61.0)
○17:00   8月ユーロ圏製造業PMI速報値(予想:62.0)
○17:00   8月ユーロ圏サービス部門PMI速報値(予想:59.5)
○17:30   8月英製造業PMI速報値(予想:59.5)
○17:30   8月英サービス部門PMI速報値(予想:59.1)
○22:45   8月米製造業PMI速報値(予想:62.8)
○22:45   8月米サービス部門PMI速報値(予想:59.4)
○22:45   8月米総合PMI速報値(予想:58.3)
○23:00   8月ユーロ圏消費者信頼感指数(速報値、予想:▲5.0)
○23:00   7月米中古住宅販売件数(予想:前月比▲0.5%/年率換算583万件)

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

欧米タイム直前市場コメント!

2021/08/20/15:13:25

日経平均株価:リスク回避の動きから年初来安値を下回る

朝方に安く始まった後も、上値の重い展開が続いた。新型コロナウイルスの感染拡大による内需回復の遅れが引き続き警戒されたほか、米中の景気が減速してグローバル企業の業績に影響しかねないとのリスクも警戒された。景気敏感株が弱かったほか、中国株や香港株が軟調に推移したことも重石となった。トヨタ伊自動車の減産見通しが伝わる中、輸送用機器セクターの戻りも鈍かった。取引時間中には一時、節目となる2万7000円を割り込む場面があった。結局、前営業日比267円安となる2万7013円と続落して終了した。1月6日付けた年初来安値(2万7055円)を約7ヵ月ぶりに下回った。

 

東京外国為替市場:日本株の下落を横目に109.60円近辺でもみ合い

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りが先行して109.90円付近まで値を上げた。しかし、週末を控えて積極的な上値追いは手控えられた。その後は、日経平均株価の下げ幅拡大を眺めたドル売り・円買いに押される展開になり、109.65円付近へ下落した。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、109.60円台を中心とした狭いレンジで取引された。ユーロ/ドルは、1.1685ドルを挟んで小動きとなった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

7月本邦全国消費者物価指数は12ヵ月連続で下落

総務省が発表した7月の全国消費者物価指数(CPI)は、生鮮食品を除く総合指数が99.8と前年同月比0.2%下落した。下落は12ヵ月連続となった。今春に値下がりした携帯電話通話料が指数を押し下げた。携帯通信料は前年同月比39.6%下落した。NTT傘下のNTTドコモのオンライン専用プラン『アハモ』など、携帯大手各社が割安な新料金プランを開始した影響が出た。一方、原油高によるエネルギー価格の上昇を背景に生鮮食品を除く総合の下落幅は前月の0.5%低下に比べて縮小した。『光熱・水道』の灯油が25.2%上昇し、『交通・通信』のガソリンが19.6%上昇した。災害発生件数の増加に伴い火災・地震保険料も押し上げに寄与した。生鮮食品を除く総合指数は前月比では0.4%上昇した。生鮮食品とエネルギーを除く総合指数は前年同月比0.6%下落した。マイナスは4ヵ月連続。生鮮食品を含む総合は0.3%下落した。

総務省は5毎にCPIの基準改定を実施している。今回の発表から、これまでの『2015年基準』から「2020年基準」に切り替わった。

 

トルコの外貨準備高のデータに今後も注目

トルコ中銀が発表した週間データによれば、13日時点の外貨準備高(グロス、金保有高を除く)は673.5億ドルと前週比0.56%減となった。年初来では約35%拡大しているとはいえ充分な金額とは言えず、外貨準備高枯渇への懸念を払しょくするには至っていない。今後も準備高のデータやニュースには目を向けておく必要がある。

 

トルコが難民問題で欧州をけん制

イスラム原理主義勢力・タリバンがアフガニスタンを掌握したことで、同国からの難民増加に対する懸念について、エルドアン・トルコ大統領は欧州が責任を持って対処すべきとの意見を述べた。大統領は、トルコは『移民・難民の保管庫』になるつもりはないとし、難民問題でトルコと協力したいとする欧州をけん制した。世界で最も難民を受け入れていると言われるトルコではあるものの、直近の世論調査では国民の多くがこれ以上の引き受けに難色を示している。エルドアン大統領の発言も国内向けであるが、欧州との関係性に絡むことでもあり、今後の動向が注目される。

 

南アでは4基の発電ユニットが使用停止

国内のニュースとしては、昨日国営電力会社エスコムがボイラーチューブの漏れを修理するためなどが原因で、4基の発電ユニットが使用できなくなった。これにより、急な負荷制限を実施する可能性を示唆した。あまりにも頻繁に負荷制限が行われることで市場の反応は限られているが、南アにとってネガティブなニュースではある。

 

米国では雇用関連指標は改善方向

労働省が発表した先週分新規失業保険申請件数は2.9万件減の34.8万件と、前回37.7万件から予想以上に減少した。4週連続の減少となり、パンデミック以降で最小となった。失業保険継続受給者数も282万人と、やはりパンデミック以降で最小となった。同時刻に発表された米8月フィラデルフィア連銀製造業景況指数は19.4と、7月21.9から上昇予想に反して低下した。昨年12月来で最低となった。

 

バイデン米大統領は同盟国防衛を強調:台湾も同様と失言

バイデン米大統領は18日放送の米ABCテレビのインタビューで、日本や韓国など同盟国が侵略を受ければ『米国は約束を守る』と述べ、防衛義務を果たす方針を強調した。米軍撤収に伴う混乱が続くアフガニスタンとは『根本的な違いがある』と明言した。防衛義務を果たすかどうかを疑う見方を一蹴した。米軍のアフガン撤収を巡る混乱で同盟国の一部には米国の対応を批判する声があがっており、懸念をぬぐう狙いがあるとみられる。バイデン氏は北大西洋条約機構(NATO)の名をあげて『(加盟国の防衛義務を定めた)北大西洋条約第5条の神聖なる約束がある』と力説したうえで『それは日本、韓国も同じだ』と語った。
バイデン氏は続いて『台湾も同じだ』とも述べた。ただ、米国は台湾防衛の意思を明確にしない『戦略的曖昧さ』と呼ばれる政策をとっており、同氏の発言はこれと異なる。就任前から失言癖で知られるだけに、口を滑らせた可能性がある。

 

欧米市場のイベント

○15:00   7月独生産者物価指数(PPI、予想:前月比0.8%)
○15:00   7月英小売売上高(自動車燃料含む、予想:前月比0.4%/前年比6.0%)
○15:00   7月英小売売上高(自動車燃料除く、予想:前月比0.2%/前年比5.7%)
○15:00   4-6月期ノルウェー国内総生産(GDP)
○21:30   6月カナダ小売売上高(予想:前月比4.4%/自動車を除く前月比4.6%)
○24:00   カプラン米ダラス連銀総裁、講演
○21日02:00   バイデン米大統領、アフガニスタン退避の状況について説明

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