★欧州市場朝方の取引では、米長期金利低下を受け、ドル/円やドル/スイスを中心にドルが軟調取引となった。なお、ドラギECB総裁のハト派発言でユーロは急落した。一時108.20円を下抜けしたが、ドルがユーロに対して強含んだ影響もあり戻り基調となった。軟調だった欧州株式市場は、ドラギECB総裁のハト派発言以来プラスに転じた。欧州株高でやや円売りに振れたが、米長期金利の低下でドルの上昇は抑えられた。米長期金利が一時2.01%台まで低下したことで、じわりとドル売りが優勢になった。新潟下越地方で震度6強の地震が発生したことで、リスク回避の円買いが強まった。
トランプ大統領が『習中国国家主席とG20で会談する』などとツイートすると、米中貿易摩擦への懸念が後退し、NYダウが330ドル超上昇しドル買い戻しの動きとなった。その後は、米中首脳による貿易交渉進展の期待によるリスクオンの流れが一巡した。パウエルFRB解任検討報道に対してクドローNEC委員長がパウエル米FRB議長の地位変更を検討していないと明らかにしたため、下押しも限定的となった。
★欧米主要経済指標
・独・6月ZEW景気期待指数:-21.1(予想:-5.6、5月:-2.1)
・ユーロ圏・5月消費者物価指数改定値:前年比+1.2%(予想:+1.2%、速報値:+1.2%)
・ユーロ圏・5月消費者物価コア指数改定値:前年比+0.8%(予想:+0.8%、速報値:+0.8%)
・ユーロ圏・4月貿易収支:+157億ユーロ(3月:+225億ユーロ)
・米・5月住宅着工件数:126.9万戸(予想:123.9万戸、4月:128.1万戸←123.5万戸)
・米・5月住宅建設許可件数:129.4万戸(予想:129.2万戸、4月:129万戸←129.6万戸)
★欧米市場のポイント
・108.01-67円のレンジ相場
・英ボリス・ジョンソン前外相が優位保つ
・新潟の地震で一時リスク回避の円買い
・ドラギECB総裁がハト派発言でユーロ売り
・米中協議の進展期待からドル買い戻し
・VIX指数は15.36から15.15へ低下
★日経225の日足では、10日SMA(黄線)とサポートとして意識されていた25日SMA(青線)を下抜けて終了した。早々に回復出来るようなら問題はないが、明日も下落するようなら下押しバイアスが強まる。
5日SMA(赤線)も下向きとなってきており、短期的には下落基調となってきた。
ストキャスティクス・スロー(パラメータ:14、5、3、20、80)は、高位で%DがSlow%Dをわずかに下抜けしてきており、明日も下落するようならデッドクロスが明確となり下値を探る展開となりやすい。
明日上昇して5日SMA、10日SMA、25日SMAを回復するような展開となれば、戻り基調が継続する可能性が高い。しかし、明日も下落するようなら、下値を切り下げる展開となっていることから、6月4日安値20,289円が意識される。そのためにも、明日の日本株相場は重要なポイントとなる。
★東京白金の日足では、下値目処となっている2,775円で6月3日に一旦底値を確認して反発したものの、25日SMA(青線)がレジスタンスとして意識され上値を抑えられた。その後5日SMA(赤線)や10日SMA(黄線)を下抜け、両線とも下向きとなってきた。価格は節目となる2,775円近辺がサポートとして意識されており、下げの勢いは一旦抑えられている
このサポートラインを確り下抜けすると、18年8月16日に付けた安値2,680円が視界に入ってくる。
ストキャスティクス・スロー(パラメータ:14、5、3、20、80)は、%DがSlow%Dを下抜け両線とも下向きになってきていることから、下向きバイアスが強くなってきている。
現在はサポートライン近辺での攻防となっており、下抜けするのか、それとも反転するのかが焦点となる。ただし、上値では5日SMAと10日SMAは下向きとなっているこで、レジスタンスとして意識されやすい。下値では2,680円がサポートとしてかなり意識されやすく、下げ止まるかが注目される。
東京白金の特徴として底値懸念でもみ合い相場が続いてから、大きく反騰することが多いので、しばらくは上下にもみ合いが継続する可能性もある。
★豪ドル/円のボリンジャーバンド(パラメータ:21、±1σ、±2σ、±3σ)日足では、バンド幅が縮小するスクイーズからバンド幅が拡張するエクスパンションの動きとなっている。
±3σが拡張しているうちは、下落基調の勢いが強いことを示している。そのため、プラス3σが横ばいから内側に入ってくるまでは、下落の基調が強いだけに買い方は注意が必要となる。プラス3σが内側に入り、その後マイナス3σも横ばいから内側に入ってくると反転の兆しとなる。
ストキャスティクス・スロー(パラメータ:14、5、3、20、80)は、過熱感はあるものの、%DがSlow%Dを下抜け両線とも下向きが継続していることから、下押しバイアスが強いことを示している。ストキャスティクスはモメンタム系のオシレータであることから、トレンド発生時にはオシレータとしての機能が鈍化して底這いする可能性があるので、過熱感だけで買いとするのはリスクが高い。
まとめると、豪ドルは下落トレンドが発生しており、プラス3σが内側に入ってくるまでは下押しバイアスが強いことから、戻り売り目線となる。また、ストキャスティクスには過熱感はあるものの、ダマシが発生しやすいことから、現段階ではあまり参考にならず、注意が必要となる。豪州では、中国経済が減速傾向にあり、経済的に影響を受けやすいことから、さらなる利下げの思惑もある。そのため、安易な豪ドル買いには注意が必要となる。
★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。
そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。
○米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲4.408%
・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲3.069%、19/4/25-▲3.048%
(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/6/3-▲4.038
(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)
・6月14日:▲3.662%⇒17日予想▲3.640%
14日はNYダウは上昇したほか、米長期金利もわずかに上昇したことで、イールドスプレッドは縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲4.408%から▲0.768%スプレッドがかい離していることや、直近1月3日大底の▲4.226%から▲0.585%スプレッドがかい離している。
NYダウが上昇したことで株式益利回りは低下した。また、米長期金利も上昇したことで、イールドスプレッドは前日比で縮小した。そのため、米国債に対してNYダウが前日比で割高となった。米国株式を買うより米国債券を買った方が良いということになる。今後も、米長期金利の動向が重要ポイント。
○米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲3.719%
・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲2.731%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/6/3-▲3.881%
・6月14日:▲3.571%⇒17日予想▲3.549%
S&P500のイールドスプレッドも前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲3.719%から▲0.170%とスプレッドがかい離していることや、1月3日の▲3.869%スプレッドに対して▲0.320%、6月3日の3.881%から▲0.332%とスプレッドがかい離している。S&P500は1月3日や6月3日からイールドスプレッドがかい離していることで、割安感はないが特に割高感もない状態となっている。
○米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲2.252%
・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/6/3-▲2.328%
・6月14日:▲2.065%⇒17日予想▲2.025%
NASDAQのイールドスプレッドも前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲2.252%から▲0.227%とスプレッドがかい離している。また、1月3日の▲2.179%スプレッドに対しては▲0.154%、6月3日の▲2.328%スプレッドに対して▲0.303%とスプレッドがかい離している。
NASDAQも上昇し、さらに米長期金利が上昇したことで、イールドスプレッドは前日比で縮小した。NASDAQは米中貿易摩擦の影響が大きく、三指数の中で上下に振れるボラティリティが最も高くなっている。
三指数のイールドスプレッドは縮小した。現在は割安感も割高感もない水準で推移している。今後も米長期金利が低下し、米国株が下落調整するようなら、過熱感のない状態で米国株が上昇しやすい。トランプ大統領がFRBに利下げを強要するのは、米長期金利が低下すると米国株が上昇してもイールドスプレッドの縮小が抑えられるからである。
※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。
※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。
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