★欧州市場朝方の取引では、FRBが早期の利下げを示唆したことを受けて、世界的に金融緩和が進むとの見方が強まる中、NYダウ先物が続伸、米長期金利は2.0%割れに続落、ドルは全面安となった。なお、欧州株は堅調に推移した。米長期金利が2.0%台に持ち直し、欧州株が総じて強含み、NYダウ先物も堅調地合いを維持したことで、ドルの買い戻しが優勢になった。米6月フィラデルフィア連銀製造業景気指数が0.3となり、市場予想の11.0を大幅に下回ると、一時107.54付近まで弱含んだが、再び指標発表前の107.67円近辺まで戻した。
米長期金利が1.97%台まで低下したことが相場の重石となったほか、米5月景気先行指標総合指数が市場予想を下回ったことが嫌気された。イランによる米国ドローン追撃を受けて、トランプ大統領が『イランは大きな間違いを犯した』と発言するなど、中東情勢による地政学リスクの高まりからドル売りが強まった。しかし、その後大統領は『イランの米国ドローン撃墜はおそらく個人的なミスだった可能性』を指摘したため、警戒感が後退した。米国株が上昇幅を縮小したことで再び重い展開となった。
★欧米主要経済指標
・英・5月小売売上高(自動車燃料含む):前月比-0.5%(予想:-0.5%、4月:-0.1%←0.0%)
・米・6月フィラデルフィア連銀製造業景況指数:0.3(予想:10.4、5月:16.6)
・米・先週分新規失業保険申請件数:21.6万件(予想:22.0万件、前回:22.2万件)
・米・失業保険継続受給者数:166.2万人(予想:168.0万人、前回:169.9万人←169.5万人)
・米・1-3月期経常収支:-1304億ドル(予想:-1243億ドル、10-12月期:-1439億ドル←-1344億ドル)
・米・5月景気先行指数:前月比0%(予想+0.1%、4月:+0.1%←+0.2%)
★欧米市場のポイント
・107.18-87円のレンジ相場
・欧州勢参入直後はドルショートカバーによる買戻しが優勢
・英中銀金融政策委員会では現状維持を決定
・米国経済指標は軒並み市場予想を下回る弱い結果
・米・イラン軍事衝突への警戒感から一時リスク回避の円買い
・VIX指数は14.33から14.75へ上昇
★東京白金の日足では、5日SMA(赤線)と10日SMA(黄線)を上抜けしたものの、25日SMA(青線)が下落基調にありレジスタンスとして意識されていることから、上値の重い展開となっている。
年末年始から2月中旬まで続いた2,775円前後が底値となりレンジ相場の形成時に類似してきている。
ストキャスティクス・スロー(パラメータ:14、5、3、20、80)も%DがSlow%Dを下抜け両線とも下向きとなっていることから、下押しバイアスが掛かっている。
しばらく2,775円前後が下限となりもみ合い相場が続く可能性もある。まずは、25日SMAを上抜け出来るかが焦点となる。
★ドル/円の日足では、1月3日のフラッシュクラッシュ以降の安値となる1月4日107.47円が意識され一旦下げ止まる展開となっている。
6月11日付けのシカゴIMM投機筋の対米ドルでの差引き持ち高は円ショート(円売り・ドル買い)のポジションが▼45,165枚残っている。
そのため、投機筋からのストップロスとなる円買い・ドル買いが入ると円高が加速する可能性がある。
本日は107.52円で一旦下げ止まったということは、107.50円や1月4日の安値が意識された可能性が高い。このラインを下抜けするとストップロス的な円買いが入り、円高が加速する可能性があるので警戒する必要がある。
5日SMA(赤線)108.23円が10日SMA(黄線)108.32円を下抜けるデッドクロスとなっており、両線とも下向きとなっていることから短期的には下押しバイアスが強いことを示している。また、ストキャスティクス・スロー(パラメタータ:14、5、3、20、80)も、%DがSlow%Dを下抜けしてきたことから、下押しのバイアスがかかってきている。そのため、下げ止まりのサインが出るまでは、ドル買いは注意が必要となる。
★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。
そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。
○米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲4.382%
・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲3.069%、19/4/25-▲3.048%
(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/6/3-▲4.038
(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)
・6月18日:▲3.610%⇒19日予想▲3.631%
14日はNYダウは上昇したが、米長期金利の低下幅が大きかったことで、イールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲4.382%から▲0.751%スプレッドがかい離していることや、直近1月3日大底の▲4.226%から▲0.595%スプレッドがかい離している。
NYダウが上昇したことで株式益利回りは低下した。しかし、米長期金利が低下したことで、イールドスプレッドは前日比で拡大した。そのため、米国債に対してNYダウが前日比で割安となった。米国債券を買うより米国株式を買った方が良いということになる。今後も、米長期金利の動向が重要ポイント。
○米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲3.669%
・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲2.731%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/6/3-▲3.881%
・6月18日:▲3.531%⇒19日予想▲3.546%
S&P500のイールドスプレッドも前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲3.669%から▲0.123%とスプレッドがかい離していることや、1月3日の▲3.869%スプレッドに対して▲0.323%、6月3日の3.881%から▲0.335%とスプレッドがかい離している。S&P500は1月3日や6月3日からイールドスプレッドがかい離していることで、割安感はないが特に割高感もない状態となっている。
○米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲2.223%
・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/6/3-▲2.328%
・6月18日:▲2.007%⇒19日予想▲2.022%
NASDAQのイールドスプレッドも前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲2.223%から▲0.201%とスプレッドがかい離している。また、1月3日の▲2.179%スプレッドに対しては▲0.157%、6月3日の▲2.328%スプレッドに対して▲0.306%とスプレッドがかい離している。
NASDAQも上昇したものの、それ以上に米長期金利が低下したことで、イールドスプレッドは前日比で拡大した。NASDAQは米中貿易摩擦の影響が大きく、三指数の中で上下に振れるボラティリティが最も高くなっている。
三指数のイールドスプレッドは拡大した。現在は割安感も割高感もない水準で推移している。今後も米長期金利が低下していくなら、米国株は過熱感のない状態で米国株が上昇しやすい。トランプ大統領がFRBに利下げを強要するのは、米長期金利が低下すると米国株が上昇してもイールドスプレッドの縮小が抑えられるからである。
※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。
※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。
★6月13日以降の東京金60分足では、直近高値4,707円が心理的な上値目処となっていたが、上抜けしたことで上値を試す展開となりやすい。120時間SMA(赤線)や240時間SMA(茶線)が緩やかに上向きとなっており、短期的には上昇基調が継続している。
NY金先物市場は1344.80-1366.60ドルのレンジ相場となった。米FOMCを控え、市場が全般的に様子見姿勢となるなか、前日の上昇に対する小幅な調整が入った。政策金利の据え置きが予想通り決定され、7月利下げの可能性が高まる結果となったことから、金先物は下げ渋った。その後、FOMC後にドル安が進むと、引け後の時間外取引で上値を伸ばした。
価格帯別出来高では出来高の多い4,674-4,679円から上方にかい離してきたことから、50円抜けとなる4,725円近辺で一旦上値が重くなる可能性がある。上値で出来高が膨らんでいないことから、出来高が膨らむかが注目される。急進しただけに上値が重くなると利益確定売りに押される可能性もある。
MACD(パラメータ:12、26、9)は、ゼロラインからMACDとシグナルがかい離幅を広げながら上向きとなってきていることから、上向きの勢いが強くなっている。ストキャスティクス・スロー(パラメータ:14、3、3、20、80)も、%DとSlow%Dが上向きとなっており、過熱感もないことから短期的には上昇基調を維持している。
東京金の日足では、6月17日の直近高値4,707円を上抜けしてきたことで、2月20日の年初来高値となる4,789円が視界に入ってきた。5日SMAと10日SMAがサポートとして意識され、両線とも上向きとなっていることから、短期的には上昇基調が継続している。モメンタム系のストキャスティクスでは過熱感が出ているが、トレンド発生時には高水準で張り付くので注意が必要となる。NY金は利益確定売りが入ったが、米長期金利の低下や米FRBの利下げ観測からドル安となり、大きく下落する要因は現在のところは見られない。為替市場では、FOMCの結果を受けドル売りとなりやすく、円高が東京金の上値を抑える要因となりやすい。
東京金の注目点は、4,707円を維持しつつ2月20日の年初来高値4,789円を目指す展開となるかが焦点となる。為替市場で108円台を維持出来るかも注目される。本日は『ゴトー日』となるため、仲値決定後の10:00以降の値動きには注意が必要となる
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