★6月11日以降の東京金60分足では、一目均衡表の雲を挟んでもみ合い相場が続いている。引けにかけて下押ししたが、雲の下限がサポートとして意識され下げ止まる展開となっている。寄り付き後に雲のネジレがあることから、トレンドの反転や加速など相場の節目になりやすい。60分足では、徐々に上値を切り下げ・下値を切り上げる三角持ち合いの様相となっており、上下に振れやすい状況となっている。
NY金先物市場は1717.30-1739.30ドルのレンジ相場となった。新型コロナ感染の第2波への警戒感と、経済活動の再開による景気回復への期待感が交錯する中、値動きは限られた。17日のアジア市場で1739.30ドルまで買われたが、利食い売りが観測されており、上げ渋った。ロンドン市場で一時1717.30ドルまで下げた。ニューヨーク市場では、株安などを意識した買いが入ったことで下げ幅は縮小したが、1739ドル近辺で伸び悩む状態が続いた。
価格帯別出来高では、5,950円前後を挟んで出来高が多い状態となっている。そのため、上下に放れると手仕舞い売買が交錯して大きな動きになりやすい。
MACD(パラメータ:12、26、9)は、ゼロラインを挟んで横ばいとなっており、トレンドレス状態となっている。一方、ストキャスティクス・スロー(パラメータ:14、3、3、20、80)は、%DがSlow%Dを下抜けてきたことから、下押しバイアスが強まっていることを示している。
東京金の日足では、25日SMAの5,979円が上値を抑える展開が続いており、上値の重さが意識される。5日SMAと10日SMAも25日SMAとほぼ同値近辺で横ばいとなっていることから、短中期の売買が集中してきていることを示している。そのため、一旦動き出すと多いな動きにつながりやすい。NY金先物市場でも1,700ドル台前半でもみ合い展開となっており、同様に動きだすと大きな動きになりやすい。為替市場では、ドル/円はじり安となっており、107円台を挟む展開となっている。そのため、東京金の上値を重くしている。
本日の注目点も小幅のもみ合い相場が継続していることから、徐々に上下に放れるマグマが溜まってきている。上下どちらに放れるかが焦点となる。
★欧州市場序盤の取引では、ドルは全般もみ合い商状ながら、前日比高安まちまちの展開となった。ドル/円の動意乏しく107.30円台と前日比横ばい推移した。欧州市場では、欧州株式市場がほぼ全面高、NYダウ先物も堅調で、リスク選好的な円売りもドルの上昇を支援した。その後、NYダウ先物が一時マイナス圏に転じ、日経先物も失速したことで、リスク回避の円買いとなった。対欧州通貨などのドル強含みと、クロス円の円高に挟まれて方向感出ず、NY勢参入待ちの様相となった。
米5月住宅着工件数と米5月建設許可件数が予想を下振れしたことで、ドルはじり安となった。米テキサス州で新型コロナウイルス感染の入院者数が11%急増したとの報道を受けて、コロナ感染の第2波への警戒感が高まり、リスク回避の円買いが優勢となった。さらに、NYダウがマイナス圏に沈んだことも円買い材料となった。NYクオモ知事が経済再開の第2段階開始すると発表したことを受け、NYダウが一時プラスに改善し、ドルの買い戻しが入った。米20年債の好結果を受けて、米長期金利低下でじり安となった。パウエル米FRB議長がバランスシートの解消は当面検討することはないとしたことで、米長期金利てかでドル売りが強まった。また、NYダウがやや下げ幅を拡大を嫌気した円買いも入った。
★欧米主要経済指標
・ユーロ圏・5月消費者物価指数改定値:前年比+0.1%(予想:+0.1%、速報値:+0.1%)
・ユーロ圏・5月消費者物価コア指数改定値:前年比+0.9%(予想:+0.9%、速報値:+0.9%)
・米・5月住宅着工件数:97.4万戸(予想:110.0万戸、4月:93.4万戸←89.1万戸)
・米・5月住宅建設許可件数:122万戸(予想:124.5万戸、4月:106.6万戸)
★欧米市場のポイント
・ドル/円相場は106.92-107.44円のレンジ
・米国でコロナウイルス感染の『第2波』への警戒感高まる
・NY知事が経済再開の第2段階開始の発表は好感
・米FRB議長が長期にわたりゼロ金利と量的緩和維持を示唆
・米大統領選世論調査でトランプ大統領苦戦で米株下落幅拡大
・VIX指数は33.67から33.47へわずかに低下
★メキシコペソ/円は、メキシコペソ円は引き続きリスクセンチメントに左右される相場展開が続いている。米石油協会(API)がメキシコでの米投資家による燃料補給・貯蔵施設や輸入ターミナルの利用許可が下りづらくなっている点を挙げて、アメリカ・メキシコ・カナダ協定(USMCA)に違反する行為だと米政府に訴えたという報道が伝わっている。最近では、メキシコ国境での新型肺炎の感染拡大はメキシコからの旅行者などが問題ではないかとホワイトハウスが指摘し、これ以上の悪化なら国境閉鎖もあり得るのではとの思惑も広がるなかで、米・メキシコ関係の懸念材料が浮上している。
テクニカル的にも、6月8日に一目均衡表の雲の上限がレジスタンスとなり上値を切り下げる展開となっている。また、雲の上限が切り下がっていることから、メキシコペソ/円の上値も切り下げってきている。さらに、21日SMA(黒線)を下抜けしたことで、レジスタンスとして意識されている。ただ、ボリンジャーバンド(パラメータ:21、±1σ、±2σ、±3σ)のマイナス1σがサポートラインとして意識され下げ止まる展開となっている。
ボリンジャーバンドの±3σのバンドが縮小傾向にあることから、値動きが小さくなっており、徐々に上下放れのマグマが溜まってきている。
雲の上限が切り下がっていることから、雲の上限を上抜けするのか、それとも上限がレジスタンスとなり下押しするのかが注目点となる。また、6月26日前後で雲のネジレがあり、トレンド反転や加速など相場の節目になりやすい。そのため、来週末近辺でメキシコペソ/円に大きな動きになる可能性がある。
★CFTCの投機筋のNY金建玉(赤線)で6月9日付けでは、ネット買越残高で208,613枚と前週比▲10,421枚と大幅に減少した。
ネット買越残高は2月18日付けの353,649枚がピークとなり買越残高は減少傾向が続いている。
過去の値動きでは、買越残高が増加すればNY金(青線)は上昇しやすく、減少するとNY金は下落しやすい展開となっていた。
そのため、2月18日以降は下落基調が続いていることから、NY金は下落基調を強める展開となっても不思議ではないはずである。
確かにNY金は3月6日以降一時大きく下落したものの、3月19日以降は再び上昇する展開が続き、高値圏でもみ合う展開が続いている。
要するに今の金の上昇は投機筋の買いよりも、実需的な買いが勝っていると言える。
NY金と東京金(黒破線)も比較してみると、ほぼ連動した値動きになっていることが分かる。NY金が底堅い展開が続いていることから、東京金も同様の展開となっている。
注目する点では、CFTCの投機筋による金の買越残高が増加する展開になると、金価格も上値追いの展開になりやすいことになる。これだけ急速に買越残高が減少しているにもかかわらず、金価格の値持ちが良いことから今後の投機筋の動きには注意が必要となる。
★NY株式市場では、三指数が続伸する展開となったうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは三指数とも前日比で縮小(米国10年債金利に対して前日比で米国株は割高)した。米長期金利の変動幅が大きくなっており、イールドスプレッドへの影響が強まる展開となっている。そのため、今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。新型コロナウイルスの感染『第2波』への懸念が上値の重石となった。しかし、パウエルFRB議長が上院銀行委での証言で、回復が軌道に乗るまでゼロ金利政策を維持する方針を繰り返したため引けにかけては再び上昇が加速する展開となった。イールドスプレッドからは、三指数とも割安感は薄らいでいる。そのため、リスク回避の材料が出ると利益確定売りが強まりやすい。
感染拡大が縮小することや新型コロナウイルスのワクチン・治療薬が開発されるなど、終息の方向が出るまでは不安定な市場が続きやすい。また、景気後退は避けられないほか、米大統領選を控えて、米中対立の激化が懸念されてきている。しかし、経済活動再開で先行きの景気回復の期待感だけで株価を押し上げている。そのため、期待感が薄れるような事態となると、再び下値模索の動きとなりやすい。VIX指数は34.40から33.67へ低下した。VIX指数が30台で推移していることから、リスク回避の動きが継続している。VIX指数が高水準で推移していることから、しばらくはボラタイルな動きが続きやすい。VIX指数が20を割ってくると市場に落ち着きが出たことになる。
NYダウは、続伸したものの200日SMAの26,316ドルと260日SMAの26,360ドルがレジスタンスとして意識され上値を抑える展開となった。下値では、5日SMAの25,955ドルを上抜けしたことで、サポートラインとして意識される。また、25日SMAの25,338ドルと100日SMAの25,021ドルもサポートとして意識される。大きな押し目なく戻り基調が続いてたことから、押し目買いが入りやすい。ただ、テクニカル的には上値も重くなってきており、サポートラインを下抜けしてくると、テクニカル的にも下落調整が続く可能性が高まる。各SMAが徐々に集まってきていることから、上下に大きく放れる可能性が高まってきている。
NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。
★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。
そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。
○米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.328 %
・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲3.069%、19/4/25-▲3.048%
20/01/17‐▲3.018%
(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、
20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%
(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)
・6月15日:▲3.397%⇒6月16日:予想▲3.293%(前日比で大幅縮小)
6月16日のNYダウは続伸したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲3.328%から▲0.035%と平均値より下方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲0.933%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲0.809%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲1.248%下回った。20年3月23日の6.017%から▲2.724%下回った。5月米小売売上高が過去最大の伸びとなったことが好感されたことや、低コストの抗炎症薬でウイルス重症患者の生存率を高めることが明らかとなったほか、米政権が1兆ドルのインフラ支出を検討との報道も投資家心理の改善を誘った。その後、中国が感染の再燃でウイルス対策の水準を引き上げ、また、米国でもテキサス州やフロリダ州で感染者数や入院患者数の増加が伝えられると上げ幅を縮小した。新型コロナウイルスの感染『第2波』への懸念から一時は40ドル超高まで上げ幅を縮める場面も見られるなど、相場は総じて荒かった。しかし、パウエルFRB議長が上院銀行委での証言で、回復が軌道に乗るまでゼロ金利政策を維持する方針を繰り返したため引けにかけては再び上昇が加速する展開となった。
○米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.769%
・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲2.731%、19/4/25-▲2.966%
20/01/17-▲2.990%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、
19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%
20/3/23-▲6.222%
・6月15日:▲3.025%⇒6月16日予想▲2.934%(前日比で大幅縮小)
S&P500が続伸したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で大幅縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲2.769%から+0.165%と平均値より上方かい離したことで割安になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲0.935%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.068%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.245%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.565%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.288%下回った。
○米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.812%
・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、19/4/25-1.468%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、
19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%
・6月15日:▲1.793%⇒6月16日予想▲1.729%(前日比で大幅縮小)
NASDAQが続伸したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で大幅縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲1.812%から▲0.083%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.450%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲0.654%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲0.769%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.074%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲2.365下回った。
NASDAQのイールドスプレッドは、一時より半分以下まで縮小してきている。NASDAQのイールドスプレッドも1.7%台まで低下していることから、割安感は払しょくされてきている。ただ、景気回復期待や新型コロナウイルスの感染などのポジティブな報道があると、引き続き好感され買われやすい。一方で、米中関係の悪化懸念も高まってきており、再び下値模索の可能性も残る。三指数の中での割安感が払しょくしている。
三指数のイールドスプレッドは、三指数全てで上昇する展開となったうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは三指数ともに大幅縮小した。パウエルFRB議長が上院銀行委での証言で、回復が軌道に乗るまでゼロ金利政策を維持する方針を繰り返したため引けにかけては再び上昇が加速する展開となった。今後も新型コロナウイルス感染報道や米中対立激化懸念、中東情勢、原油価格の変動、英国のブレグジットなどの報道で市場は上下に振れやすい状況が続く。
※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。
※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。
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