★欧州市場序盤では、NYダウ先物が900ドル超安から740ドル安に下げ幅をやや縮小する中、アジア市場で再燃した円買いの動きに対する反動調整によりドル/円は切り返す展開となった。NYダウ先物が下げ幅を縮小、米長期金利も0.68%近辺に持ち直したことを受け、リスク回避が後退しドル安・円安が交錯した。欧州株式市場は、ほぼ全面安、NYダウ先物は再び下げ幅を拡大し、リスク回避の円買いと安全通貨のドル買いが入りドル/円はもみ合う展開となった。
米6月NY連銀製造業景況指数の好結果だったものの、反応は限定的だった。NYダウが寄り付き直後に付けた760ドル安から徐々に下げ幅を縮めたことをながめ、ドル売りが強まった。NYダウが下げ幅を縮小し105ドル安となり、ナスダックはプラスに転じたほか、米長期金利が0.66%から0.69%まで上昇したことでドル買いが強まった。米国株高を受けてリスク選好のドル売り・円売りが優勢になった。その後はドル売りと円売りが交錯し、107.30円近辺で動意に欠ける動きになった。
★欧米主要経済指標
・ユーロ圏・4月貿易収支:+29億ユーロ(3月:+282億ユーロ)
・米・6月NY連銀製造業景気指数:‐0.2(予想:-29.60、5月:-48.5)
・米・4月対米証券投資・長期有価証券(株式スワップ等除く):-1284億ドル(3月:ネット長期有価証券-1116億ドル←-1126億ドル)
・米・4月対米証券投資全体:+1253億ドル(3月:+3553億ドル←+3499億ドル)
★欧米市場のポイント
・ドル/円相場は107.20-48円のレンジ
・感染第2波や経済活動再開の遅れなどを懸念
・英国とEUは離脱の移行期間を延長しないことを確認
・FRBが個別企業の社債の買い取りを始めると発表
・NYダウは760ドル超安から280ドル超高まで回復
・VIX指数は36.09から34.40へ低下
★メキシコペソ/円の一目均衡表日足では、雲の上限がレジスタンスとなり下落基調に反転した。転換線(赤線)を下抜け基準線(青線)も下抜けしたものの、52期間の高低の中心値となる先行スパン2(黒線)の当日線がサポートラインとなり反転した。
相場の方向性を示す基準線は横向きとなっていることから、再び戻り基調が継続するかが注視される。ただ、上値では下向きの転換線の4.8775円がレジスタンスとして意識される。
徐々に雲の上限が切り下がってきていることから、現状の価格を維持できるようなら雲の上限を上抜け出来る。一方で、雲の上限がレジスタンスとして意識されると徐々に上値が重くなる。
6月24日前後には雲のネジレがあり、トレンドの反転や加速など相場の節目になりやすい。
RSI(パラメータ:14、30、70)では、3月9日を起点として4月24日を結ぶトレンドラインでは徐々に下値を切り上げる展開となっている。6月11日に一時45.37とS1を下抜け、さらに50%ラインを下抜けしたものの、再び上抜けする展開となっており、持ち直す展開となっている。ただ、RSIが下向きとなってきているので、戻りの勢いは低下傾向にある。
一旦下げ止まる展開となっているものの、やや上値も重い展開となっている。雲の上限を上抜けると戻り基調が継続する可能性は強まるが、先行スパン2当日線を下抜けすると再び下値模索の展開となりやすい。
来週は、雲のネジレがあることから、相場に動きが出てくる可能性があるので注意が必要となる。
★東京原油の日足では、4月22日安値15,710円を起点として、5月29日安値24,510円を結んだトレンドライン(S1)を明確に下抜けしてきたことから、下押しバイアスが強まっている。
しかし、緩やかに上向きの25日SMA(黒線)25,899円と下向きの75日SMA(緑線)25,934円を挟んだ攻防となっている。ちょうど、5月21日以降にもみ合い相場となった価格帯での動きとなっている。
そのため、上値を23.60%押しの26,742円と下値を38.2%押しの24,634円でもみ合う展開となる可能性がある。
まとめると、押し目を作りながら徐々に下値・上値を切り上げて上昇してきたことから、今回も25日SMAや75日SMAがサポートラインとなるとの期待から押し目買いが入っている可能性が高い。ただ、S1を明確に下抜けしてきたことから、下押しバイアスが強まっていることには注意が必要となる。世界的な経済活動の再開の期待や産油国の減産期待から戻り基調が続いた。しかし、第2感染拡大の兆しも出てきており、ワクチンや治療薬が開発されるまでは原油価格の持ち直しにも限界がある。
下値では50.0%押しとなる22,930円を維持出来るかが重要ポイントとなる。50.0%押しを下抜けると再び下値模索の展開となりやすい。
★NY株式市場では、三指数が反発する展開となったうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは三指数とも前日比で縮小(米国10年債金利に対して前日比で米国株は割高)した。米長期金利の変動幅が大きくなっており、動向次第でイールドスプレッドへの影響が強まる展開となっている。そのため、今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。自律反発狙いの買いが先行し、一時830ドル超上昇した。市場では『個人投資家の押し目買いなどが入った』との声も聞かれた。ただ、早い段階で経済再開に踏み切ったテキサスやフロリダなど複数の州で新型コロナウイルス感染者数が再び増加するなど、感染『第2波』への警戒感は根強く、一時下げに転じる場面もあった。イールドスプレッドからは、三指数とも割安感は薄らいでいることから、しばらくは調整局面が続く可能性もある。そのため、リスク回避の材料が出ると利益確定売りが強まりやすい。
感染拡大が縮小することや新型コロナウイルスのワクチン・治療薬が開発されるなど、終息の方向が出るまでは不安定な市場が続きやすい。また、景気後退は避けられないほか、米大統領選を控えて、米中対立の激化が懸念されてきている。しかし、経済活動再開で先行きの景気回復の期待感だけで株価を押し上げている。そのため、期待感が薄れるような事態となると、再び下値模索の動きとなりやすい。VIX指数は40.79から36.09へ低下した。VIX指数が30台半ばへ低下したが、リスク回避の動きが強まっている。VIX指数が高水準で推移していることから、しばらくはボラタイルな動きが続きやすい。VIX指数が20を割ってくると市場に落ち着きが出たことになる。
NYダウは、一25日SMAの25,199ドルと100日SMAの25,083ドルがサポートとして意識され下げ止まる展開となった。ただ、ロウソク足は迷い線となる『十字線』となっており、相場では気迷いムードが残っている。上値では200日SMAの26,318ドルと260日SMAの26,356ドルがレジスタンスとして意識されやすい。また、5日SMAが下向きとなっており、上値を抑える可能性がある。大きな押し目なく戻り基調が続いてたことから、押し目買いが入りやすい。ただ、テクニカル的には上値も重くなってきており、サポートラインを下抜けしてくると、テクニカル的にも下落調整が続く可能性が高まる。
NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。
★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。
そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。
○米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.328 %
・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲3.069%、19/4/25-▲3.048%
20/01/17‐▲3.018%
(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、
20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%
(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)
・6月11日:▲3.518%⇒6月12日:予想▲3.405%(前日比で縮小)
6月12日のNYダウは反発したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲3.328%から+0.077%と平均値より上方かい離したことで割安になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲0.821%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲0.697%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲1.136%下回った。20年3月23日の6.017%から▲2.612%下回った。6月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値や5月の輸入物価指数が予想を上回ったため景気見通しの改善を好感して大きく上昇して寄り付いた。また、前日に1861ドル安と過去4番目となる下げ幅を記録したことで自律反発狙いの買いが先行し、一時830ドル超上昇した。市場では『個人投資家の押し目買いなどが入った』との声も聞かれた。ただ、早い段階で経済再開に踏み切ったテキサスやフロリダなど複数の州で新型コロナウイルス感染者数が再び増加するなど、感染『第2波』への警戒感は根強く、一時下げに転じる場面もあった。引けにかけては押し目買いなどに下値が支えられ再び上昇する値動きの荒い展開となった。
○米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.769%
・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲2.731%、19/4/25-▲2.966%
20/01/17-▲2.990%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、
19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%
20/3/23-▲6.222%
・6月11日:▲3.157%⇒6月12日予想▲3.072%(前日比で縮小)
S&P500が反発したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲2.769%から+0.303%と平均値より上方かい離したことで割安になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲0.797%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲0.930%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.107%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.427%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.150%下回った。
○米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.812%
・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、19/4/25-1.468%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、
19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%
・6月11日:▲1.916%⇒6月12日予想▲1.854%(前日比で縮小)
NASDAQが反発したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲1.812%から+0.042%平均値より上方かい離したことで割安になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.325%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲0.529%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲0.644%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲0.949%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲2.240下回った。
NASDAQのイールドスプレッドは、一時より半分以下まで縮小してきている。NASDAQのイールドスプレッドも1.8%台まで低下していることから、割高感はまだ残っている。ただ、景気回復期待や新型コロナウイルスの感染などのポジティブな報道があると、引き続き好感され買われやすい。一方で、米中関係の悪化懸念も高まってきており、再び下値模索の可能性も残る。三指数の中での割安感が払しょくしている。
三指数のイールドスプレッドは、三指数全てで下落する展開となったうえ、米長期金利が大幅低下したことでイールドスプレッドは三指数ともに拡大した。感染『第2波』が現実味を帯び、経済活動の早期正常化への期待が後退し売りが膨らんだ。今後も新型コロナウイルス感染報道や米中対立激化懸念、中東情勢、原油価格の変動、英国のブレグジットなどの報道で市場は上下に振れやすい状況が続く。
※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。
※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。
★6月8日以降の東京金60分足では、5,994円まで上昇したものの心理的な節目となる6,000円がレジスタンスとして意識され売りに押される展開となった。ただ、240時間SMA(茶線)がレジスタンスとして意識されもみ合う展開となっている。週明けには2つの雲のネジレがあり、トレンド反転や加速など相場の節目になりやすい。前回の雲のネジレでも、下落基調から戻り基調への転換点となった。
NY金先物市場は1728.20-1753.00ドルのレンジ相場となった。欧州時間には昨日の急反発の流れを受け1750ドル台まで上昇した。しかし徐々に欧州通貨を中心にドルが強含んだことや週末を前のポジション調整も入り、前日比より下落して引けた。もっとも1週間を通すと金先物価格は3%を超えて上昇して引けた。アジア市場で1728.20ドルまで下げたが、その後反転。ニューヨーク市場で一時1753.00ドルまで買われた。ただ、米国株式の反発を意識して時間外取引で1735.20ドルまで下げており、伸び悩む展開となった。
価格帯別出来高では、出来高の多い価格帯を上抜けしていることから、上値が重くなると利益確定売りが出やすい。高値圏で出来高が膨らむようなら、上値追いの展開となりやすい。
MACD(パラメータ:12、26、9)は、ゼロラインの上方からシグナルを下抜け緩やかに下落基調となっている。また、ストキャスティクス・スロー(パラメータ:14、3、3、20、80)も、%DがSlow%Dを下抜け両線とも下向きとなっていることから、下押しバイアスが強いことを示している。
東京金の日足では、5日SMAの5,946円がサポートとなり、10日SMAの5,968円をわずかに上抜け25日SMAの5,971円の同値に位置している。そのため、明確に上抜け出来るのか、それとも再び下押しするのが注目される。高値圏でのもみ合い相場が4月中旬から続いているので、上下どちらかに放れると大きな動きになりやすい。NY金先物市場は、週末リスク選好の株高・金利高となり利益確定売りに押される展開となった。しかし、心理的節目となる1,700ドルを維持していることから底堅い展開が継続している。為替市場では、全般欧州通貨が売られる展開となり、ドルが強い展開となったことから、ドル/円も107円台前半まで円安傾向となった。
週明けの注目点は、60分足で雲のネジレが2つあり、相場の節目になるかが注目される。日足でも、5日SMA、10日SMA、25日SMAが重なるような展開となっており、やはり上下に放れると大きな動きとなりやすい。高値圏でトレンドレスの状態も長くとなっていることから、何時上下に放れても不思議ではない。
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