FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

2020/09/08/15:14:31

日経平均株価:NYダウ先物堅調推移に連れた買い

欧州株高や為替の円安基調が好感されて高く始まった。その後は手掛かり材料に乏しく伸び悩む場面もあったが、NYダウ先物堅調推移などをながめて盛り返した。新型コロナウイルス感染拡大を受けて下げていた景気敏感セクターの一角堅調だった。ただ、市場では、米ハイテク株の調整が一過性のものであるか見極めたい向きが多く、上値を追いかける機運が出づらかった。一方で、積極的に下値を売り込む材料も見当たらなかった。結局、前営業日比184円高の2万3274円と3日ぶりに反発して終了した。

 

東京外国為替市場:106円前半で小幅もみ合う展開

ドル/円は、7日にトランプ米大統領が中国に対する強硬姿勢を改めて表明したため、米中の対立が激化するとの懸念からドル売り・円買いが先行、106.24円付近まで下落した。しかし、日経平均株価の反発でリスク回避姿勢が和らいだため、下値を追う動きは限られた。その後は、本邦輸入勢などがドル買い・円売りを持ち込み106.30円付近へ値を切り返した。午後は日経平均株価や上海総合株価指数をにらみながら、106.20円台を中心とした狭いレンジで取引された。ユーロ/ドルは、1.1810ドル前後で小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

欧州市場では10日にECB理事会が開催

前週以降にはECB幹部から、ユーロ高の懸念発言が見られ始めた。英フィナンシャル・タイムズ紙は3日、『ECB政策担当者はユーロ上昇が続けば、輸出を圧迫すると同時に物価を押し下げ、さらなる金融刺激を求める圧力を増大させかねないと警告』と報じている。こうした中で先行きの緩和強化の思惑が、ECB理事会の前にかけて調整的なユーロ安の要因となりやすい。理事会後の声明や総裁会見などで、間接的にユーロ高懸念や追加緩和が示唆されると、一段のユーロ安に拍車がかかりやすい。その反面、最近の欧州指標はまだ大きく悪化していない。当座は経済活動の再開やEU復興基金の進展期待などもあり、前向きな景気見通しが示される可能性がある。その場合は改めてユーロが上昇となる可能性も消えていない。

 

南アの4-6月期国内総生産(GDP)が公表

南アのリテール銀行のキャピテック銀行は3-8月期の1株当たりの収益予想を、前年同期比70%減から78%-82%減へ下方修正した。大手のアブサ銀行に続いて収益の大幅減で南アの金融界は非常に困難な状況に陥っている。ロックダウンの影響で一部借り手が借金を返済できない状況に陥っていることなどが収益を圧迫した。なお、昨日の電力負荷制限は15時までステージ1、15時から22時まではステージ2となり、この負荷制限は水曜まで続くとされている。経済には悪影響だが市場は南アの停電には不感症状態となっているため、反応はなかった。本日公表される4-6月期南アの国内総生産(GDP)が最大の注目材料となる。市場予想は-40%から-50%に迫る大幅悪化が予想されている。新型コロナウィルスの感染拡大により、世界中でもかなり厳しいロックダウを行っていた4-5月なども含まれる指標なので、かなりの落ち込みが予想されている。

 

トルコとギリシャは一触即発ムード

東地中海の緊張緩和のため、北大西洋条約機構(NATO)が仲介に乗り出したものの、トルコとギリシャの対立姿勢が弱まらないことが嫌気された。また、通貨安や経済低迷にもかかわらず、エルドアン・トルコ大統領が国際通貨基金(IMF)に支援を求めないと述べたこともリラの重石となった。NATO主導のもとトルコとギリシャは話し合いの場に付くかと思いきや、両国の一触即発ムードは高まっている。トルコメディアは先週末、トルコ軍が約40台の戦車をギリシャとの国境沿いに移動させたことを報じた。これに対し、ギリシャ軍も国境付近やエーゲ海での軍備拡大を進めている。ギリシャとの対立問題で欧州連合(EU)から制裁を示唆されているトルコだが、エルドアン大統領は6日、ミシェルEU大統領に『今後はEUの誠意が問われることになる』と発言した。また昨日の閣議後には『トルコの前に立ちはだかる者は、いずれ重い代償を払う羽目になる』と述べ、東地中海における権利を守るために積極的な政策を取り続けることを明言した。トルコがギリシャ側に歩み寄る雰囲気はなく、このまま東地中海の地政学リスクが高まるようであれば、通貨リラを手放す動きは止まらない 。

 

メキシコでは9日にCPI発表があり政策金利にも影響

メキシコ国内では9日に8月メキシコ消費者物価指数(CPI)の発表が予定されている。メキシコCPIは4月に前年比2.15%で底を打った後、3カ月連続で伸びが加速しており、7月時点では3.62%とメキシコ銀行(中央銀行)が定めたインフレ・ターゲット(3.0%±1%)の上限超えも視野に入ってきた。市場ではすでに24日の金融政策決定会合における追加利下げを織り込みつつあるが、CPIの結果次第では今後の金融政策に対する不透明感が高まることも考えられる。

 

欧米市場イベント

○15:00   7月独貿易収支(予想:160億ユーロの黒字)
○15:00   7月独経常収支(予想:173億ユーロの黒字)
○15:45   7月仏貿易収支(予想:62.11億ユーロの赤字)
○15:45   7月仏経常収支
○18:00   4-6月期ユーロ圏GDP確定値(予想:前期比▲12.1%/前年比▲15.0%)
○18:30   4-6月期南アフリカGDP(予想:前期比年率▲47.2%/前年同期比▲16.5%)
○9日02:00   米財務省、3年債入札
○9日04:00   7月米消費者信用残高(予想:130.0億ドル)
〇英国と欧州連合(EU)の首席交渉官級による第8回協議(ロンドン、10日まで)

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欧米タイム直前市場コメント!

2020/09/07/15:13:45

日経平均株価:米国休場で利益確定売り優勢

前週末の米国株市場で主要3指数がそろって下落したことを受け、朝方は主力株を中心に幅広く売られた。売り一巡着はプラス圏に浮上する場面もあったが、7日の米国株市場が休場ということもあり積極的に買い上げていいうほどの材料はなく、再びマイナス圏に沈んだ。ハイテク株を中心に利益確定売りが優勢だった。ソフトバンクグループ(SBG)は7.15%安で終了した。結局、前営業日比115円安の2万3089円と続落して終了した。

 

東京外国為替市場:米中関係悪化報道からリスク回避の円買い

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りに支えられ106.39円付近まで上昇した。しかし、4日の海外市場でつけた106.50円が上値の目処として意識されると、上げは一服した。その後は、日経平均株価のさえない動きを眺めたドル売り・円買いに押され、106.20円台へ下落した。複数のメディアが『米政府は中国の半導体受託製造会社最大手を禁輸措置の対象として検討している』と報じたこともリスク回避の円買いを誘った。午後は、日経平均株価やアジア主要株価の動向をにらみながら、106.30円を挟んだもみ合いとなった。ユーロ/ドルは、ECB当局者によるユーロ高けん制発言を警戒したユーロ売り・ドル買いが入り、1.1835-40ドル水準から1.1827ドル付近まで小幅に値を下げた。

 

アベノミクス継承なら円高は回避

今週の注目点の1つが自民党総裁選となる。安倍首相(自民党総裁)の後継を決める今回の総裁選は8日告示、14日投開票の日程となる。次期首相の最有力候補とされる菅氏はアベノミクスを継承する意向を示している。市場では現状の財政・金融政策の枠組みが大きく変わる可能性が低いとの見方が広がっており、円の対ドル相場の上値を抑える可能性が高い。

 

ソフトバンクGの巨額取引でハイテク株の乱高下懸念

ソフトバンクグループ(SBG)のオプションを利用した巨額取引が、米ナスダック市場を中心とする世界のハイテク株相場のかく乱要因になっている。ナスダック総合株価指数は歴史的な過熱状態にあり、今後の相場の乱高下を警戒する市場関係者が増えている。米ハイテク企業の個別株コールオプション(買う権利)に関するもので、購入額は約40億ドル。コール買いが回り回って現物株の急伸をもたらしている。伝えられるような投機まがいの取引をすれば、株主への背信行為になりかねない。

 

南アランドはネガティブ材料でも反応の鈍い展開

先週発表された7月の南ア貿易収支は市場予想よりも黒字幅が大きくなった。貿易黒字が大きいのは国内景気が落ち込み、輸入が弱かったことが原因で南ア経済の弱さを示した。また、電力の負荷制限がステージ2からステージ4へと引き上げられ、週末も同ステージの負荷制限が続いたことはランド売りの要因として上値を抑える。南アは現在冬だが、寒波による電力需要の拡大が電力施設を圧迫したことが、ステージ引き上げ要因となっている。南アからポジティブなニュースを探すのは難しい状況である。しかし、ここ最近はネガティブなニュースにも反応が鈍いため、大きく下落する地合いでもなさそうである。今週は8日に発表される4-6月期国内総生産(GDP)と9日の4-6月期財政収支に注目が集まる。今回のGDPは大規模ロックダウン期の指標であり、大きな落ち込みが予想されている。

 

米政府は12月政府機関閉鎖の事態回避期待

ムニューシン米財務長官は6日、ホワイトハウスと議会の合意により連邦政府は12月初めまでの予算がが確保できる見通しだとし、予算案の詳細が週末までにまとまることに期待を示した。現行の予算が期限切れとなる9月末に政府機関が閉鎖される事態は回避されるとみられる。民主党関係者によると、同党のペロシ下院議長は予想の延長で合意した。ただ、関連法案の詳細はまだ明らかになっていない。ムニューシン米財務長官はホワイトハウスの記者団に対し『予算継続について明確な決議を行う。12月初めまでを見込んでいる』と述べ、『週末までに内容が固まることを期待している』と付け加えた。

 

欧米イベント

○15:00   7月独鉱工業生産(予想:前月比4.5%/前年同月比▲7.3%)
○17:00   7-9月期南アフリカ経済研究所(BER)消費者信頼感指数(予想:▲30)
○米国、カナダ(レーバーデー)、ブラジル(独立記念日)、休場

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欧米タイム直前市場コメント!

2020/09/04/15:09:25

日経平均株価:米国株急落につれた売り優勢

前日の米ダウ平均807ドル安やナスダック指数約5%安などの急落を受け、売りが先行して広範囲に売られた。ただ、売り一巡後は下げ渋り、2万3000円台をキープした。しかし、週明け7日のNY市場レーバーデー祝日を控えた海外投資家による売りが先物に集中し現物株を押し下げた。結局、前営業日比260円安の2万3205円と反落して終了した。

 

東京外国為替市場:106円台前半の狭いレンジでの展開

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りに支えられ、106.22円付近まで上昇した。日経平均株価の下げ幅縮小で、過度なリスク回避姿勢が和らいだことも円売りを誘った。しかし、トランプ米政権が対中強硬姿勢を示し、米中の対立激化が警戒されているため、上値を追う動きは限られた。午後は、日経平均株価や上海総合株価指数の動向を睨みながら、106.10円台を中心とした狭いレンジで取引された。今晩発表される8月米雇用統計を控えて、様子見ムードも強かった。ユーロ/ドルは、1.185ドルを挟んで方向感に欠ける値動きとなった。

 

中国メディアは米国債の保有残高を減少させる可能性を報道

米中対立への懸念が強まるなかで、中国メディアの論評が金融市場で波紋を呼んでいる。環球時報は『中国は米国債の保有額を8000億ドル程度まで徐々に減らすだろう』との上海財経大学の教授の見通しを紹介している。米財務省によれば中国の6月末時点で1兆744億ドルとなっており、見通しが実現すれば2割強の減少となる。記事では、『軍事衝突のような極端な場合には全ての米国債を売るかもしれない』との教授のコメントも引用している。もともと中国の米国債保有額は減少傾向にあった。運用先の多様化を進めているとみられ、6月末の保有額は前年同月比を3%下回っている。中国の米国債売却の現実味が増せば、米中対立は激しさを増す。中国メディアの報道は、こうしたリスクを投資家に再認識させた。

 

トルコの物価指数高止まりでインフレ対応に苦慮

昨日発表された8月トルコ消費者物価指数(CPI)は、前年同月比で+11.77%と市場予想をやや下回ったが、トルコ中銀の年末物価見通しである+8.9%にはまだ遠い水準である。 8月トルコCPIは予想比下振れしたが、同月生産者物価指数(PPI)は前年同月比+11.53%と前回8.33%から大きく上昇した。PPIは数カ月先のCPIに反映するとされ、今後のトルコ中銀によるインフレ対応は益々難しくなっていく。
 また、中銀の外貨準備高の減少幅の大きさも危惧されている。昨日明らかになった8月28日時点のグロスの外貨準備高は415.9億ドルと前週から8%超減少、年初来では48.8%の減少幅を記録した。

 

米8月サービス活動鈍化と貿易赤字拡大でQ3GDP抑制へ

米供給管理協会(ISM)が発表した8月ISM非製造業景況指数は56.9と7月58.1から予想以上に低下した。ただ、活動の拡大を示す50は3カ月連続で上回った。 4日の8月雇用統計の発表を控えて、先行指標としても注目される同指数の雇用は47.9と42.1から上昇も6カ月連続で活動の縮小を示す50を割り込んだままとなった。追加財政策の遅れや経済活動再開の遅れで労働市場の回復は容易ではない。
消費の伸びの鈍化に加えて、米商務省が3日に発表した7月貿易収支は636億ドルの赤字となった。赤字幅は6月535億ドルから予想580億ドル以上に拡大し2008年4月来で最大だった。7-9月期のGDPの伸びを抑制することになる。

 

米FRBの新金融戦略では実質金利をマイナスで推移させる方針

米連邦準備理事会(FRB)が金融政策の新戦略を公表してからの1週間で、新戦略が実際の政策運営にどのように表れるのか、次第に明らかになるつつある。FRB当局者2人は3日に、インフレ率が2.4%前後に上昇しても、金利をゼロ近辺に維持することに違和感はないとの立場を示した。複数のFRB当局者によるここ数日の発言は、FRBがインフレ押し上げに向けてより緩和的なスタンスに直ちにシフトする可能性は示唆していない。大半の当局者が、景気支援のための次の措置は、議会が実施すべきだと考えていることが示された。

 

米国市場では8月雇用時計が公表

8月中旬時点の新規失業保険申請件数は100万件を超えていることから、8月の非農業部門雇用者の増加幅は7月実績を下回る見込みとなっている。失業率10%を下回る可能性があるが、労働参加率は上昇する可能性があるため、失業率の大幅低下は期待できない。

■市場エコノミスト予想失業率:9.8%(7月10.2%)非農業部門雇用者数:前月比+135万人(7月+176.3万人)民間部門雇用者数:前月比+128.4万人(7月+146.2万人)平均時給:予想:前月比0%、前年比+4.4%(7月+0.2%、+4.8%)

 

欧米市場イベント

○15:00   7月独製造業新規受注(予想:前月比5.0%/前年同月比▲6.0%)
○15:45   7月仏財政収支
○15:45   7月仏経常収支
○17:30   8月英建設業購買担当者景気指数(PMI、予想:58.5)
○18:25   ビルロワ・フランス中銀総裁、講演
○18:30   サンダース英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○21:30   8月カナダ雇用統計(予想:新規雇用者数変化27.5万人/失業率10.1%)
○21:30   8月米雇用統計(予想:非農業部門雇用者数変化140.0万人/失業率9.8%/平均時給、前月比横ばい/前年比4.5%)
○23:00   8月カナダIvey購買部協会景気指数
○24:00   レーン欧州中央銀行(ECB)専務理事兼チーフ・エコノミスト、講演
○5日01:00   8月ロシア消費者物価指数(CPI、予想:前月比▲0.1%)

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欧米タイム直前市場コメント!

2020/09/03/15:14:00

日経平均株価:アベノミクスの継続表明を受け安心感広がる

欧米銀の金融緩和の長期化期待を背景に欧米株が大幅に上昇した流れを引き継いだ。また、菅官房長官が2日夕の総裁選出馬会見で『アベノミクス』継続を表明して投資家の買い安心感が広がった。海外勢の先物買いが支えとなり2月21日以来約6ヶ月半ぶり高値水準で堅調推移するも個人投資家などの戻り待ちの売りが重石となった。8月第4週では、海外投資家が2週連続で1597億円の売り越しとなった。結局、前営業日比218円高の2万3465円と続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:新規材料乏しく106.30円前後でもみ合う展開

ドル/円は、新規の材料乏しく106.25円付近でこう着した。日経平均株価は大幅高となっていたものの、FRBによる低金利政策が長期化するとの観測が高まっているため、積極的なドル買い・円売りは手控えられた。午後は、ユーロ/ドルのユーロ安・ドル高が波及したことを受け106.34円近辺までじり高となった。米長期金利が小幅に上昇したことも、ドル買いにつながった。しかし、今晩発表される米国の経済指標を見極めたいとのムードが高まり、106.30円を挟んでもみ合う展開となった。ユーロ/ドルは、一部の海外メディアが『ECB理事会のメンバーはユーロ高の実体経済への影響を懸念している』と報じたことから、持ち高調整などのユーロ売り・ドル買いが入り、一時1.1790ドル台へ下落した。

 

欧州市場では7月ユーロ圏小売売上高を公表

6月実績は前月比+5.7%と、今年2月の水準を回復した。衣料品と自動車燃料などの販売が増加した。7月については、衣料品を含めて複数の項目で販売増加が予想されており、前月比でやや増加する可能性がある。

 

メキシコシティで数千人のデモ:デモが拡大するか注目

日曜日に数千人のデモ参加者が首都メキシコシティに集まり、ロペスオブラドール大統領の辞任を訴えた。首都の街路を占拠したデモ参加者が大統領を非難した要因は経済危機や犯罪の多発、医薬品の不足など多岐にわたります。メキシコでは新型コロナウイルスの影響で今年の成長率が10%を超える減速となる見込みであるほか、コロナ感染前の昨年も10年ぶりのマイナス成長を記録した。また、麻薬撲滅を目指した政権とマフィアとの対立などもあり、昨年の殺人件数は統計開始以来で最多となった。
大統領は今回のデモについては意に介す様子もなく、『そんなことよりも貧しい人々や小さな町の人々とより多くの時間を費やす必要がある』と述べているが、デモ参加者が非難する要因は事実であるだけに耳の痛いところである。

 

トルコでは8月消費者物価指数(CPI)が公表

日本時間16時に発表される8月消費者物価指数(CPI)は、市場予想が前年比+11.91%と前回+11.76%からの上振れが見込まれている。通貨安による輸入価格の上昇が要因の1つである。トルコ中銀は7月の四半期・物価報告で20年末インフレ見通しを+7.4%から+8.9%に上方修正したが、その水準まで低下する兆候は今のところまったくない。エルドアン・トルコ大統領の圧力で中銀が取り得る金融政策はかなり限定されており、インフレ上昇力が強まるようならば、実質金利マイナスが意識されてリラの下値警戒感が増す。

 

国際社会でトルコの孤立が危惧される状況

東地中海のエネルギー資源探査に端を発するトルコとギリシャの領有権争いは、激化の傾向が強まっている。そういったなか一部ドイツ紙が今週初、エルドアン大統領がギリシャとの戦争を誘発させるため、ギリシャ艦艇を(相手側に犠牲者を出さないという条件で)撃沈させるように命じたと報じた。ただ大統領の要求は実行不可能とされ、トルコ側の将軍が拒否したと記事では述べている。独紙によればエルドアン大統領は、ギリシャが反撃してきた場合は本格的な戦争を始め、それによりトルコの軍事産業が潤い、低迷する経済の回復に繋がると考えている。報道通りであれば、欧州連合(EU)や北大西洋条約機構(NATO)からのトルコ批判が強まることが予想され、国際社会でのトルコの孤立が危惧される。 なおトルコ外務省は昨日、記事の内容を否定する声明を出した。

 

9月4日に米国労働省が最新8月の雇用統計を公表

先行指標の中で、米労働省が発表する雇用統計と最も相関性が高いとされる民間部門の雇用者数を示すADP雇用統計の8月分は+42.8万人と、予想+100.0万人を大きく下回った。さらに、雇用統計よりも現状の労働市場の状況を図る上で最適と見られている週次失業保険申請件数も8月初旬に3月に経済封鎖以来で初めて100万件を割り込んだのち、ウイルスの再燃で、経済活動の再開が遅れ再び100万件台に増加している。米国経済の中でも比較的順調に回復している製造業の雇用の伸びも緩慢となっている。全米の製造業活動動向を示すISM製造業活動指数は予想を上回る回復を見せたが、雇用は依然弱く、44.4と、13カ月連続で50を割り込み活動は縮小したままである。追加財政策の遅れや経済活動再開の遅れで、労働市場の回復は停滞している。一部企業は従業員の一時的解雇から恒久的解雇を強いられている。航空各社はすでに従業員解雇計画を発表した。政府からの追加支援がなかった場合、10月1日に実行する。ウイルス後の経済は雇用体系も大きく変わる可能性があり、より効率化することにより今後、今までのような人員が必要でなくなる可能性も懸念される。労働市場が今後、再び悪化する可能性が警戒され、回復を支援するためのFRBの長期にわたりゼロ金利策を維持する緩和策を正当化する。

■市場エコノミスト予想失業率:9.8%(7月10.2%)非農業部門雇用者数:前月比+135万人(7月+176.3万人)民間部門雇用者数:前月比+128.4万人(7月+146.2万人)平均時給:予想:前月比0%、前年比+4.4%(7月+0.2%、+4.8%)

 

欧米市場イベント

○15:30   8月スイス消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.1%)
○16:00   8月トルコCPI(予想:前月比1.00%/前年比11.91%)
○16:50   8月仏サービス部門PMI改定値(予想:51.9)
○16:55   8月独サービス部門PMI改定値(予想:50.8)
○17:00   8月ユーロ圏サービス部門PMI改定値(予想:50.1)
○17:30   8月英サービス部門PMI改定値(予想:60.1)
○18:00   7月ユーロ圏小売売上高(予想:前月比1.0%/前年比1.9%)
○20:30   8月米企業の人員削減数(チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマス社調べ)
○21:30   7月カナダ貿易収支(予想:25.0億カナダドルの赤字)
○21:30   7月米貿易収支(予想:580億ドルの赤字)
○21:30   4-6月期米非農業部門労働生産性・改定値(予想:前期比7.5%)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:95.0万件/1400.0万人)
○22:45   8月米サービス部門PMI改定値(予想:54.7)
○22:45   8月米総合PMI改定値
○23:00   8月米サプライマネジメント協会(ISM)非製造業指数(予想:57.0)
○23:00   ベイリー英中銀(BOE)総裁、講演
○23:00   ラムスデンBOE副総裁、講演
○24:00   シュナーベル欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○4日01:30   エバンズ米シカゴ連銀総裁、討議に参加
○米財務省3年、10年、30年債入札条件

 

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欧米タイム直前市場コメント!

2020/09/02/15:15:27

日経平均株価:戻り待ちの売りで上値の重い展開

前日の米国株高を受けて寄り付きは3桁の上昇となった。ただ、高く始まった後は短期的な過熱感を意識した売りも出て、伸び悩む展開となった。良好な外部環境を好感しつつも上値は重く、じわじわと上げ幅を縮めた。しかし、2万3200円を割り込むかというところでは、盛り返す動きも見られた。日経平均とは対照的に、マザーズ指数は寄った後も上げ幅を広げる強い動きを見せている。結局、前営業日比109円高の2万3247円と反発して終了した。

 

東京外国為替市場:106.05円を挟んだもみ合い相場

ドル/円は、本邦輸入勢のドル買い・円売りや日経平均株価の反発に支えられ、106.13円付近まで上昇した。ユーロやポンドなどの欧州通貨に対するドル高が波及した面もあった。ただ、前日の海外市場でつけた106.15円が上値目処として意識されると、上げは一服した。その後は、ペロシ米下院議長が新型コロナウイルスの対策について『民主党とホワイトハウスとの間には、引き続き深刻な認識の違いがある』との見解を示したことがドル売りを誘い、106.05円前後でもみ合った。午後は、日経平均株価や上海総合株価指数をにらみながら、106.05円を挟んでもみ合いとなった。ユーロ/ドルは、前日に伝わったレーンECB専務理事のユーロ高けん制発言を手掛かりとしたユーロ売りが一服、1.1905ドル前後で方向感に欠ける値動きとなった。

 

中国の外交攻勢は目立った成果上がらず

中国は欧州との関係を改善して米国の影響力に対抗するため、外交攻勢を強めているが、これまでのところ目立った成果は上げられずにいる。王毅外相は2週間にわたる欧州訪問の最終行程に入った1日、ドイツを訪問した。だが、より友好な関係にある国々からも、懐疑的な反応が示されている。外交政策専門家によると、米国では大統領選の結果がどうあれ中国に対して友好的な政権が生まれる公算が小さい中、中国は米欧による対中共同戦線の構築を先回って阻止しようと躍起になっている。

 

大型ハリケーンのメキシコ経済への影響も限定的

大型ハリケーン『ローラ』のメキシコ湾上陸により、同湾周辺の石油施設の従業員が一時的に避難していたが、徐々に業務に復帰し、国内最大となるヒューストン港は通常の状態に戻ってきている。国内生産の17%を占める同湾での生産ストップがメキシコ経済の打撃になるとの懸念が浮上していたが、どうやらそこまでのダメージにはならない模様である。

 

トルコとギリシャで偶発的な軍事衝突リスク高まる

東地中海のエネルギー資源探査を巡るトルコとギリシャの緊張が高まるなか、トルコは探査期間の延長を発表した。一方、ギリシャがトルコ近海の島に軍隊を上陸させたとも伝わり、それに対してチャウショール・トルコ外務相は『限度を超えた武装化がなされれば、損失を被るのはギリシャ』と強い口調で反発している。互いに歩み寄る姿勢を見せる様子はなく、偶発的な軍事衝突への懸念は強まるばかりであり、今後も地域動向には注視する必要がある。ギリシャを支持するフランスのトルコに対する強硬姿勢も気になるところである。

 

米国製造業はV字回復基調も救済策途絶え鈍化の可能性も

民間マークイットが発表した8月製造業PMI改定値は53.1と、予想外に速報値53.6から下方修正も2019年1月来で最高を記録した。輸出が4年間で最大に拡大し新規受注の強い伸びにつながったことが全体指数を押し上げた。 また、全米の製造業活動を判断する上で注目される米供給管理協会(ISM)が発表した8月ISM製造業景況指数は56.0と、7月54.2から予想以上に上昇し2018年11月来の高水準となった。3月から5月にかけて50割れとなり活動が縮小したのち、3カ月連続で50を回復し、活動が拡大した。重要項目である新規受注は67.6と、7月の61.5からさらに上昇し、2004年1月来で最高を記録した。ただ、8月の強い製造業の結果も、政府の追加パンデミック救済策が途絶えたため、勢いが再び鈍化してしまう可能性も除外できない。

 

欧米市場イベント

○15:00   8月英ネーションワイド住宅価格指数(予想:前月比0.5%)
○15:00   7月独小売売上高指数(予想:前月比0.5%/前年比4.1%)
○18:00   7月ユーロ圏卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.5%/前年比▲3.4%)
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○21:15   8月ADP全米雇用報告(予想:95.0万人)
○21:30   4-6月期カナダ労働生産性指数(予想:前期比6.5%)
○22:00   ベイリー英中銀(BOE)総裁、ラムスデンBOE副総裁、ブリハ英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○23:00   7月米製造業新規受注(予想:前月比6.0%)
○23:00   ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、講演
○23:30   ブロードベントBOE副総裁、ホールデンMPC委員、講演
○23:30   EIA週間在庫統計
○3日01:00   メスター米クリーブランド連銀総裁、討議に参加
○3日02:00   バイトマン独連銀総裁、講演
○3日03:00   米地区連銀経済報告(ベージュブック)

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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