FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

2020/10/01/15:07:59

日経平均株価:システムトランブル

本取引所グループ(JPX)は1日、全銘柄の売買を終日停止することを発表した。

システム障害について『明日以降、正常な売買ができるような対応を行っている』と公表した。株価情報などを発生する相場報道システムのハードウェアで故障が発生し、バックアップへの切り替えがうまくいかなかったという。関係者によると、午前7時ごろサーバーに問題が発生したもよう。東証では午後4時半から宮原社長らが記者会見を開く。

 

東京外国為替市場:手掛かり材料難から105円台半ばでもみ合い

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りに支えられ105.55円付近まで値を上げた。しかし、東京証券取引所でシステム障害が発生し、午前9時の取引開始から全銘柄の売買が停止されたため、手掛かり材料難から上値を追う動きは限られた。その後は前日のアジア時間に行われた米大統領候補によるテレビ討論会で、富裕層の課税に積極的なバイデン民主党候補が優位に立っていることから、持ち高調整などのドル売り・円買いに105.45円付近へ押し戻された。午後は、今晩発表される9月米ISM製造業景況感指数を控えて様子見ムードが広がり、105円台半ばでこう着した。ユーロ/ドルは、中国や香港市場の休場で、海外勢の流動性が低下しているため、1.17ドル台半ばで小幅な値動きに終始した。

 

トルコは源泉徴収税の免除でも効果薄:地政学リスクの高まりに注意

トルコ政府は30日、1年以上のリラ預金の利息に課せられる源泉徴収税を10%から0%に引き下げることを発表しが、同時に外貨購入税も1%から0.2%に引き下げた。同税はリラ下落に対する対抗措置として導入されたが、効果はほとんどない。当局は税率引き下げにより、投資家がトルコの規制緩和を好感し、トルコ市場に資金が還流することを狙っている。

南コーカサス地方のアゼルバイジャン(トルコが支援)とアルメニア(トルコと歴史的に問題を抱える)間の戦闘は収まる様相を見せていない。両国はロシア仲介による停戦に向けた話し合いも否定的と報じられている。そのようななか、戦闘の激化・長期化を懸念する欧米各国はトルコの関与を警戒している。トルコがアゼルバイジャンへの軍事支援を強めるようであれば、国際社会からの批判や孤立に繋がりかねない。そうなれば当然、リラは買われ難くなる。

 

8月CPIは南ア準備銀行の目標内でもポジィティブ要因にならず

世界情勢がいたるところで不安定となっていることもあり、新興国通貨にとっては上値が重い地合いが続く。昨日発表された8月の南ア消費者物価指数(CPI)は7月の3.2%から3.1%へと低下したが、南ア準備銀行(SARB)の目標とする3-6%の間に収まっている。食品やアルコール以外の飲料が前年比で+3.9%となったことがCPIを下支えした。一昨日発表された4-6月期の雇用統計で約220万人も失業者が増加したことが判明したが、失業者が増加している地合いでの生活必需品価格の上昇はポジティブ要因にはならない。

 

格付け会社フィッチはメキシコに対して楽観的な見解

昨日は格付け会社フィッチがメキシコに関する最新のレポートを発表。『メキシコの財政引き締め政策が石油資金の枯渇を防ぐ』『2020年の赤字幅予測を減少させたのは、予想よりも歳入が多くなることを反映している』『2021年の予測リスクはメキシコ中銀による利益により減少している』『部分的ではあるが、控えめな経済のリバウンドを期待する』と楽観的な見解を示した。

 

米大統領選テレビ討論会に新規則導入

米大統領選のテレビ討論会主催団体は30日、次回討論会から新たな規則を導入する方針を表明した。29日夜の第1回討論会で共和党のトランプ大統領と民主党のバイデン前副大統領が互いの発言を何度も遮り、進行に支障を来したことを受けた措置となる。
主催団体は声明で『討論をより秩序立ったものにするために追加的な仕組みが必要だということが、昨夜の討論会で明らかになった』とし、近く具体的内容を発表する方針を示した。第2回討論会は10月15日に開かれる。

 

米大統領選でバイデン候補優位ならトルコリラ売りの様相


米国で新大統領の誕生が現実味を帯びてくる中、トルコの通貨リラは売られる場面があった。どうも、来年以降の米トルコ関係悪化が懸念されたようだ。バイデン氏はこれまで、エルドアン・トルコ政権に対して厳しい姿勢を示してきた。8月には、同氏がインタビューで『エルドアン大統領は独裁者であり、トルコへの安心感は大きく低下している』との考えを示し、トルコの野党リーダーを支持し、選挙によって政権交代を求めることを表明したことが明らかとなった。これに対しトルコでは、政府内からだけではなく、(支持するとされた)野党リーダーも内政干渉だと反発の声が強まっている。 バイデン前副大統領は、27日に勃発し戦闘が激化しているアゼルバイジャンとアルメニア間の紛争についても、トルコの関与を強く非難している。トルコはアゼルバイジャンを支援し続けるとしており、バイデン氏と真っ向対立の様相となっている。

 

米国市場では9月ISM製造業景況指数が公表

米9月ISM製造業景況指数の予想は55.5と、8月の56.0をやや下回る見通しとなっている。夏場以降は製造業の持ち直しが示されたが、9月イクオに業績回復の勢いがよわ回った場合、ドル売り材料になりやすい。

 

欧米市場イベント

○15:15   インド中銀、金融政策決定会合(予想:4.00%で据え置き)
○15:30   9月スイス消費者物価指数(CPI、予想:前月比横ばい)
○15:30   8月スイス小売売上高
○16:00   9月トルコ製造業購買担当者景気指数(PMI、予想:53.8)
○16:00   デコス・スペイン中銀総裁、講演
○16:30   9月スイスSVME購買部協会景気指数(予想:54.0)
○16:50   9月仏製造業PMI改定値(予想:50.9)
○16:55   9月独製造業PMI改定値(予想:56.6)
○17:00   9月ユーロ圏製造業PMI改定値(予想:53.7)
○17:30   9月英製造業PMI改定値(予想:54.3)
○18:00   8月ユーロ圏卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.1%/前年比▲2.7%)
○18:00   8月ユーロ圏失業率(予想:8.1%)
○19:20   ホールデン英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○20:30   9月米企業の人員削減数(チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマス社調べ)
○21:30   8月米個人消費支出(PCE、予想:前月比0.8%)
       8月米個人所得(予想:前月比▲2.4%)
       8月米PCEデフレーター(予想:前年比1.2%)
       8月米PCEコアデフレーター(予想:前月比0.3%/前年比1.4%)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:85.0万件/1222.5万人)
○22:45   9月米製造業PMI改定値(予想:53.5)
○23:00   9月米ISM製造業景気指数(予想:56.3)
○23:00   8月米建設支出(予想:前月比0.8%)
○24:00   ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、講演
○2日00:45   レーン欧州中央銀行(ECB)専務理事兼チーフ・エコノミスト、講演
○2日03:00   9月ブラジル貿易収支(予想:71.00億ドルの黒字)
○2日04:00   ボウマン米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○米財務省3年、10年、30年債入札条件
○欧州連合(EU)首脳会議(ブリュッセル、2日まで)
○英国と欧州連合(EU)の首席交渉官級による第9回協議(ブリュッセル、2日まで)

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欧米タイム直前市場コメント!

2020/09/30/15:11:36

日経平均株価:米NYダウ先物の下落につれて下げ幅拡大

新型コロナウイルス再拡大による経済停滞懸念により、前日の欧州株安やNYダウ131ドル安の反落を引き継ぎ売りが先行した。しかし、立ち合い時間中に開催されていた米大統領候補テレビ討論会を見極めたいとのムードが強かったほか、月末事情が意識されて、模様眺めに終始した。ただ、中国9月製造業・非製造業PMI(購買担当者景気指数)の高水準を好感した買いに下げ幅を縮めた。米大統領候補テレビ討論会を終えNYダウ先物が下落したことが嫌気され下落幅が拡大した。また、原油先物相場の大幅下落も投資家心理の重荷となった。結局、前営業日比353円安の2万3185円と反落して終了した。

 

東京外国為替市場:NYダウ先物市場の下落でリスク回避の円買い

ドル/円は、本邦輸入企業などから月末に絡むドル買い・円売りフロー持ち込まれ、105.80円付近まで上昇した。しかし、心理的節目の106.00円が視野入りすると上げはは一服した。その後、午前10時頃から米大統領候補者による第1回テレビ討論会が行われた。富裕層の課税に積極的なバイデン民主党候補のリードを嫌気してNYダウ先物が下落すると、ドル/円は調整色が強まり、105.60円付近まで下落した。午後もこの流れは続き、日経平均株価の下げ幅拡大を眺めてさらにドル売り・円買いが進み、105.47円付近まで下落した。ただ、NY市場の動向を見極めたいとのムードから下値を追う動きは限られ、105.50円付近でもみ合う展開となった。ユーロ/ドルは、ユーロ/円の下げに連れ安となり、1.17ドル台半ばから1.17ドル台前半へ水準を切り下げた。

 

バイデン候補に短時間で選挙資金集める

新興情報サイトのアクシオスは、米大統領選挙の民主党候補であるバイデン氏の陣営が1時間で380万ドルの選挙資金を得たと明らかにしたと報じた。米東部時間の21~22時30分まで行われたテレビ討論会を受け、支持者が応援したいと意欲を高めた。1時間でのバイデン陣営の選挙資金集めとしては過去最大の規模になったといい、トランプ大統領とディベートができるのか心配されたバイデン氏が選挙資金の観点では善戦じた。

 

英・EUの最後の貿易交渉に関する全体会合:妥結へ期待と不安

1月末に欧州連合(EU)を離脱した英国とEUの自由貿易協定(FTA)締結交渉は29日、第9回会合の初日を迎えた。ジョンソン英首相が設定した合意期限の10月15日までに計画されている最後の全体会合で、行き詰まりを打開し、妥結に向けて進展を図れるか、双方の期待と不安が交錯している。今会合はEU本部があるベルギーの首都ブリュッセルで、10月2日まで4日間の日程で開催。英沖合でのEU加盟国の漁業権の在り方や、英EU企業が公平な条件で競争するための枠組み整備といった懸案が引き続き議論の中心となる。

 

素直に喜べない南アの雇用指標改善結果

南アの4-6月期失業率は、前回の30.1%から大幅に改善して2009年4-6月期以来の水準23.3%となった。市場では大規模ロックダウンを行っていた期間でもあるため、史上最悪が予想されていた。ただ予想外の結果にも、市場の反応は限らた。昨日発表された失業率は誰もが驚く結果となった。ただし失業率の詳細をみると素直には喜べない。今回の指標で一番明らかになったのが、労働力人口の大幅減少(500万人減少)である。上述のようにロックダウンにより、失業しているにもかかわらず職を探すことをしなかった(またはできなかった)労働者が多くいることが今回の結果に繋がった。人口と雇用状況の数値を見ても、1-3月期は人口の42.1%が働いていたのに対して、4-6月期は36.3%まで下がっている。各国の雇用指標はそれぞれデータの取り方により変わってくることで、これは致し方ないことだが、やはり潜在的な失業者は多いまま(もしくは増加している)と言える。他の南ア国内の懸念材料としては、国営電力会社エスコムの給与未払いに対し、従業員が来週6日よりストライキに入る。これによる電力不足になることが予想され、南ア経済にとっては悪材料となる。

 

トルコの観光客1位はロシア

トルコが発表した8月の外国人観光客数は181.4万人と、バカンスシーズンということもあり、月ベースでは今年最多となった。もっとも、前年同月比では71.2%減と新型コロナによるダメージはいまだ大きい。しかしながら前年比での減少幅は、99%減超だった4、5月から6月は96%減、7月が86%減、そして8月と着実に縮まっており、回復への光が射し始めた。なお、ここまで8カ月のトルコの外国人観光客数は725.5万人と、前年同時期からの減少幅は76.6%となっている。 8月の外国人客の内訳では、国別順位で1位のロシアから約44万人がトルコを訪れ、観光客全体の割合で4分の1弱を占めた。これまでもロシア客の割合は高かったが過去2年間は全体シェアの17%前後だった。トルコの重要な外貨獲得手段である観光業の復活に向けて、ロシアの重要度が増している。

 

中東地域の地政学リスクの高まりがトルコリラの重石

トルコ隣国(アゼルバイジャンとアルメニア)の紛争激化が嫌気されているだけでなく、トルコ海軍が(東地中海の領有権争いで協議を開始するとした)ギリシャの海域内で軍事演習を実施したことなども伝わっている。また、トルコの戦闘機がアルメニアの戦闘機を撃墜したというアルメニア国防省の発表が伝わるとリラ売り圧力が再び強まった。 トルコと友好関係にあるアゼルバイジャンと、逆にトルコと歴史的に問題を抱えるアルメニアの軍事衝突が続く間は、地政学リスクが意識されて下値への警戒感は高まったままである。ロシアは即時停戦を求めているが、トルコはシリアから傭兵をアゼルバイジャンに送り込み、また軍事ドローンなどの武器も供給しているとされ、アゼルバイジャン支援を強めている。今後はアルメニア側の抵抗が強まることも予想され、戦闘の『激化・長期化・泥沼化』する可能性も上昇する。トルコ負担増への懸念も高まるようであれば、リラの買い難さは続く。

 

メキシコ国内の感染状況は深刻な状態

メキシコ保健省は週明けの28日、新型コロナウイルスについて検査を受けていないが症状があった人などを追加した最新の感染者数を発表した。これまでの感染者数は合計87万699人と修正前から約13万7000人が増加し、追加前の世界8位からロシアに次ぐ5位となった。また、メキシコでは新型コロナの検査がほとんど行われておらず、潜在的にはさらに増加している可能性があるとされており、国内での感染状況は深刻さを増している状況である。

 

欧米イベント

○15:00   8月独輸入物価指数(予想:前月比横ばい/前年比▲4.1%)
○15:00   8月独小売売上高指数(予想:前月比0.5%/前年比4.2%)
○15:00   9月英ネーションワイド住宅価格指数(予想:前月比0.5%)
○15:00   4-6月期英国内総生産(GDP)改定値(予想:前期比▲20.4/前年比▲21.7%)
○15:00   4-6月期英経常収支(予想:8億ポンドの赤字)
○15:00   8月南アフリカマネーサプライM3(予想:前年比10.50%)
○15:45   9月仏消費者物価指数(CPI)速報値(予想:前月比▲0.4%/前年比0.2%)
○15:45   8月仏卸売物価指数(PPI)
○15:45   8月仏消費支出(予想:前月比▲0.2%)
○16:00   9月スイスKOF景気先行指数(予想:106.0)
○16:00   8月トルコ貿易収支(予想:63.0億ドルの赤字)
○16:20   ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
○16:55   9月独雇用統計(予想:失業率6.4%/失業者数変化▲8000人)
○17:00   8月南アフリカCPI(予想:前月比0.2%/前年比3.2%)
○17:00   カジミール・スロバキア中銀総裁、講演
○17:30   レーン・フィンランド中銀総裁、講演
17:30   ホールデン英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○19:00   外国為替平衡操作の実施状況(介入実績)
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○21:00   8月南アフリカ貿易収支(予想:297億ランドの黒字)
○21:15   9月ADP全米雇用報告(予想:64.8万人)
○21:30   7月カナダGDP(予想:前月比3.0%/前年比▲5.3%)
○21:30   4-6月期米GDP確定値(予想:前期比年率▲31.7%)
           個人消費(速報値、予想:前期比▲34.1%)
           コアPCE(速報値、予想:前期比▲1.0%)
○22:45   9月米シカゴ購買部協会景気指数(予想:52.0)
○23:00   レーンECB専務理事兼チーフ・エコノミスト、講演
○23:00   8月米住宅販売保留指数(仮契約住宅販売指数、予想:前月比3.4%/前年比なし)
○23:30   EIA週間在庫統計
○24:00   カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、講演
○1日02:40   ボウマン米連邦準備理事会(FRB)理事、ブラード米セントルイス連銀総裁、講演
○韓国(秋夕)、休場
○英国と欧州連合(EU)の首席交渉官級による第9回協議(ブリュッセル、10月2日まで)

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

欧米タイム直前市場コメント!

2020/09/29/15:13:33

日経平均株価:配当再投資の買いも相まってプラス圏まで回復

前日の欧州株高やNYダウ410ドル高の3日続伸などを支えに先物に買いが入り、年金基金などの配当再投資の買いと相まって次第に下げ幅を縮小する展開となった。本日は9月末配当権利落ちの影響度は142.82円となった。主力の値がさ株を中心に上昇し、日経平均の上げ幅は100円に達する場面もあった。半面、米大統領選に向けたテレビ討論会に対する様子見ムードは上値を抑えた。結局、前営業日比27円高の2万3539円と3日続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:105円半ばでもみ合う展開

ドル/円は、国内輸出企業などから月末に絡むドル売り・円買いフローが持ち込まれ、105.34円付近まで下落した。しかし、前日につけた105.26円が下値の目処として意識されると、下げは一服した。その後は、値ごろ感からドルの押し目買いが入り、105.50円付近へ値を切り返した。午後は、日経平均株価の持ち直しや中国株高に支えられてドル買い・円売りが進み105.59付近までじり高となった。ユーロ/ドルは、1.16ドル台後半で小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

南アフリカでは4-6月期の失業率が公表

昨日発表された8月卸売物価指数は、前月比+0.7%となり市場予想の前月比+0.4%を上回った。また、前年比でも+2.4%となり市場予想の前年比+2.1%を上回る結果となった。本日の注目は4-6月期の南アの失業率になる。1-3月期は30.1%まで上昇したが、4-6月期はこれまでで最悪となる35%程度まで上昇することが予測されている。仮に指標発表後の反応が鈍い場合でも、市場予想よりも悪い場合は南ア経済にとってはネガティブなことには間違いなく、いずれボディブローのように効いて来る。

 

米大統領選の初のテレビ討論会に注目:日本時間30日午前

論会の優劣情勢や直後の世論調査などで共和党のトランプ大統領が優勢となれば、今後の減税などの政策期待のほか、米大統領選でのトランプ氏敗北の場合の『居座り政治混迷』リスク後退などにより、米国の株高とリスク選好の円安、ドルの安定化が支援されやすい。民主党候補であるバイデン前副大統領は高齢が懸念材料となっており、高齢による失態などが見られると、米大統領選に向けてトランプ氏の勢いが強まる可能性もある。

一方、バイデン氏優位となった場合、米中ハイテク対立の緩和などで米ハイテク株は支援材料となる一方、先行きの増税懸念や富裕層・ウォール街叩きの思惑などが米国株には悪材料となる。同時にバイデン氏が優勢となり、トランプ氏は大統領選で敗北しても、『不当選挙』などを理由に再集計要求などの居座りを続けるリスクをはらむ。その意味で現状からのトランプ氏劣勢は、11月の大統領選後の政治混迷リスクを高めることになり、米国の株安とリスク回避の円高、ドル全面安を促す余地がある。

 

米国では再び感染者増加傾向

米ニューヨーク州のクオモ知事は28日、同州の新型コロナウイルス検査の陽性率が1.5%に上昇したと明らかにした。中西部の一部で記録している約15.0%と比較すると、依然低水準にあるものの、ニューヨーク州では数週間連続で1.0%を下回る水準まで回復していたこともあり、懸念される兆候と受け取られた。9月に入り、同州の感染者数は4.4%増加した。しかし、全米レベルでは極めて低い伸びにとどまっている。
クオモ知事によると、感染者数はブルックリンなど複数の地域で増加しており、保健当局者はこれら地域の集団感染の状況を精査しているという。また同日には、全米50州中30州で新規感染者数が増加した。週間の感染者数も27州で2週連続で増加した。

 

米9月ダラス連銀製造業指数は2年ぶり高水準

米国の9月ダラス連銀製造業活動指数は13.6と、8月8.0から予想以上に改善し2018年11月以降ほぼ2年ぶり高水準となった。4月に過去最低に落ち込んだのち5カ月連続で改善した。生産は22.3と8月の13.1からさらに上昇し、堅調。重要項目の新規受注も14.7と、8月9.8から上昇し、やはり過去最低に落ち込んだ4月から5カ月連続で回復基調にある。雇用も14.5と、8月の10.6から上昇し、順調な拡大を見せた。調査で差し引きで新規雇用が多かったと答えた企業は全体の24%、解雇が大半を占めた企業9.5%を上回ったことも労働市場にとり良いニュースとなる。6カ月先のビジネス活動見通しも28.0と、8月の20.4から上昇した。今後は、このペースでの回復が持続できるかどうかが焦点となる。

 

米国市場では9月CB消費者信頼感指数が公表

8月実績は84.8で市場予想を下回った。雇用環境の悪化や経済状況の早期改善への期待は後退したことが要因となった。9月については、雇用情勢の大幅な改善は期待できないものの、現況指数の改善が予想されることから8月実績を上回る見込みとなっている。

 

欧米市場イベント

○15:45   9月仏消費者信頼感指数(予想:93)
○17:30   8月英消費者信用残高(予想:15億ポンド)
○17:30   8月英マネーサプライM4
○18:00   9月ユーロ圏消費者信頼感指数(確定値、予想:▲13.9)
○18:00   9月ユーロ圏経済信頼感指数(予想:89.5)
○21:00   9月独消費者物価指数(CPI)速報値(予想:前月比▲0.1%/前年比▲0.1%)
○21:30   8月カナダ鉱工業製品価格
○21:30   8月カナダ原料価格指数
○22:00   7月米ケース・シラー住宅価格指数(予想:前年比3.6%)
○22:15   ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、講演
○22:30   ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁、講演
○23:00   ベイリー英中銀(BOE)総裁、講演
○23:00   9月米消費者信頼感指数(予想:90.0)
○30日00:40   クラリダ米連邦準備理事会(FRB)副議長、討論会に参加
○30日02:00   クオールズFRB副議長、講演
○米共和、民主両党大統領候補の第1回テレビ討論会
○英国と欧州連合(EU)の首席交渉官級による第9回協議(ロンドン、10月2日まで)

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欧米タイム直前市場コメント!

2020/09/28/15:12:22

日経平均株価:配当権利付き最終売買日で底堅い展開

前週末の米国株式市場の上昇を受けて朝方で始まった後、伸び悩む場面もあった、取引時間中を通じてプラス圏で推移した。配当権利付き最終売買日ということもあり、配当権利取りの動きや再投資への思惑が出やすかった。結局、前営業日比307円高の2万3511円と続伸して終了した。海外投資家の9月第3週(14日~18日)では、5275億円の売り越しとなり、売り越しは2週連続となった。

 

東京外国為替市場:月末絡みのドル売りで若干の円高地合い

ドル/円は、本邦輸出勢などから月末に絡むドル売り・円買いフローが通常より多く持ち込まれ、105.32円まで下落した。米国でギンズバーグ連邦最高裁判事の後任人事を巡り、与野党の対立が激化するとの懸念が燻っていることもドルの重石となった。午後は、日経平均株価をにらみながら、105.30円を挟んでもみ合いとなった。29日の米大統領候補による第1回テレビ討論会を前に、様子見気分も強かった。ユーロ/ドルは、1.16ドル台前半で小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

南ア国内の問題は依然として深刻なまま

南アの国内の電力負荷制限は、9月時点ですでに昨年(1352ギガワット)以上の数値(1383ギガワット)を記録していることなどをみても、南ア国内の問題は依然として深刻なままである。今までは低金利による堅調な株価がランド/円を支えていたが、もし先週のような株安に再び直面した場合は、ランド/円は最安値をトライする方向へ進む可能性も出てきている。また、幾度となく発表の延期を繰り返した4-6月期の失業率が29日に発表される予定である。市場では1-3月期の30.1%から35%程度に上昇すると予測されている。若年層に限ってはすでに50%程度の失業率を記録しているが、若年層の数値も注目される。また30日には8月の消費者物価指数(CPI)と貿易収支も発表される予定である。

 

トルコの近隣諸国で地政学リスク高まりリラの重石

トルコの近隣諸国であるアルメニアとアゼルバイジャンが27日、長年の係争地・ナゴルノカラバフを巡り軍事衝突したことが報じられた。トルコはアゼルバイジャンと強い友好関係を築いている一方、国境を接するアルメニアとは歴史的な問題を抱えている。今回もアゼルバイジャン支持に回ることは確実であり、南コーカサス地方の地域紛争を更に悪化させることもあり得る。新たな地政学リスクの高まりが通貨リラの重石となる。

一方で、東地中海を巡る領有権争いでは、これまで軍高官レベルで話し合いを続けてきたトルコとギリシャが『外交協議を近い将来に再開する』とし、軍事衝突という最悪な事態は避けられる見込みとなった。もっとも、キプロスが欧州連合(EU)に対してトルコ制裁を頑なに訴え続けており、週末に開催予定のEU首脳会議への警戒感は拭いきれない。

 

トランプ大統領が最高裁人事を急ぐ理由

トランプ大統領は、亡くなったギンズバーグ最高裁判事(リベラル派)の後任に、保守派の女性を指名する意向を示している。2016年の米大統領選挙では、スカリア最高裁判事の急逝を受けて、保守派の判事を指名することを公約にしていた。今年も11月の米大統領選挙に向けて、最高裁判事9名中、6名の保守派判事を誕生させることで、再選の可能性を高めようとしている。トランプ大統領が最高裁人事を急いでいる理由は、大統領選が僅差となり、2000年の『ブッシュ対ゴア』の選挙におけるフロリダ再集計のように、最終的な当落判断が最高裁に持ち込まれる可能性があることで、保守派6名対リベラル派3名にしたいという思惑がある。

 

米大統領選のテレビ討論会始まる

11月3日に米大統領選挙が残り1ヵ月ほどに迫る中、29日にトランプ大統領と民主党バイデン候補が初のテレビ討論会に臨む。テレビ討論会は合計3回予定されており、2回目は10月15日、3解明は22日に行われる予定となっている。また、10月7日には副大統領候補の討論会も開かれる予定となっている。

3つの討論会はすべて米東部時間の21時に始まり、90分間中断なく続く予定となっている。

第1回討論会は、両候補の経歴、連邦最高裁、新型コロナウイルス、経済、人種や暴力、選挙の公平の6つのテーマに関して15分間、6回に分けて行われる予定となっている。

なお、第1回目の司会を務めるウォーレン氏は保守系ニュースチャンネルのFOXの司会者にも関わらず、トランプ氏に批判的な人物だと言われている。

 

米8月耐久財受注速報値予想下回るも設備投資は順調

米商務省が発表した8月耐久財受注速報値は前月比+0.4%となった。伸びは7月+11.7%から鈍化し予想+1.5%も下回りマイナスとなった4月来で最小。自動車や軍事関連機材の受注が減少した。変動の激しい輸送用機を除いた8月耐久財受注速報値は前月比+0.4%。伸びは7月+3.2%から予想以上に鈍化。やはり4月来で最小。ただ、国内総生産(GDP)の算出に用いられる航空機を除く非国防資本財(コア資本財)出荷は前月比+1.5%と、伸びは7月+2.8%から鈍化したものの予想+0.8%を上回った。また、設備投資の先行指標となるコア資本財の受注は+1.8%。7月+2.8%から鈍化も予想+1.0%を上回った。

 

欧米市場イベント

○18:30   8月南アフリカ卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.4%/前年比2.1%)
○18:45   シュナーベル欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○20:00   8月メキシコ貿易収支(予想:40.50億ドルの黒字)
○20:00   8月メキシコ失業率(季節調整前、予想:5.8%)
○22:45   ラガルドECB総裁、議会証言
○23:00   ベイリー英中銀(BOE)総裁、講演
○29日03:00   メスター米クリーブランド連銀総裁、講演

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

欧米タイム直前市場コメント!

2020/09/25/15:17:35

日経平均株価:米国株高や配当権利狙いの買い優勢

前日の米国株式市場が上昇したことが好感されたほか、週明けの配当権利最終売買日をにらんで配当権利狙いの買いが活発化した、これらに支えられる格好で株価は終始堅調に推移した。結局、前営業日比116円高の2万3204円と3日ぶりに反発して終了した。

 

東京外国為替市場:週末で持ち高調整などのドル売りで上値重い

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りに支えられ、105.56円付近まで値を上げた。日経平均株価の上げ幅が100円を超えたことも、リスク選好の円売りを誘った。しかし、リベラル派で知られるギンズバーグ連邦最高裁判事の後任人事を巡り、米与野党の対立が激化するとの懸念から上値を追う動きは限られ、105.50円前後でもみ合う展開となった。午後は、週末を控えた持ち高調整などのドル売り・円買いに押され、105.33円まで下落した。ユーロ/ドルは、1.16ドル台後半で方向感に欠ける値動きとなった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

貴金属は換金売りで軒並み安

大幅上昇後の含み益の残る貴金属に換金売りが広がった。しかし、金の下落局面では上場投資信託(ETF)を通じた押し目買いの動きも出ている。金ETFの主要銘柄である『SPDRゴールド・シェア』の保有残高は24日時点で1267トンと前週末比21トン(1.6%)増加した。21日の1日あたり増加量は今年最大規模で『大規模な資金を運用する年金などが金の急落に買い向かっている可能性がある』という。金以外の貴金属も軒並み値下がりした。ニューヨーク先物市場では銀が約2ヵ月ぶり安値を付けたほか、主に産業用素材の性格が強く景気に敏感なプラチナやパラジウムなども売られた。

 

デジタル通貨の規制案を欧州連合(EU)が公表

通貨発行や金融政策などユーロ圏諸国の主権を守るため、発行の事前承認制やルール違反の際の罰金制度を導入するなど厳しい規制を敷く。EUが具体的な規制作りを本格化させたことで、日米中なども対応を迫られる。国境を簡単にまたぐデジタル通貨を巡ってはグローバルな規制作りへ国際協調が課題になる。EUの執行機関である欧州委員会が公表した。2024年までに包括的な規制の導入をめざす。規制案では、デジタル通貨の発行体にEU内に拠点を置くよう求める。計画書をEUに提出し、事前に発行の承認を得ることを義務づける。

 

トルコ中銀は予想外の利上げ:引き締め継続は懐疑的見方

トルコ中銀は主要政策金利の1週間物レポレートを、市場予想8.25%で据え置きのところ10.25%に引き上げた。トルコの利上げは2018年9月以来2年ぶりとなる。中銀は声明で『インフレ期待とインフレ見通しに対するリスクを抑制するために、8月以降の引き締め措置を強化すべきであると評価』と述べた。トルコ中銀は今年6月以降、昨年夏からの緩和サイクルを停止し、8月以降は市中銀行の調達金利引き上げ策を取るなど『裏口的な』利上げは実施してきた。もっともインフレ懸念は高まったままであり、通貨安も止めることができず、そういったなか今回の2%利上げでやっと重い腰を上げたことになる。トルコで権力が集中するエルドアン大統領はこれまで利上げに一貫して強く反対してきており、(独立性を疑われる)中銀が引き締め姿勢を継続できるか懐疑的な見方もくすぶっている。

 

米景気回復シナリオを修復:ゴールドマンサックス

ゴールドマンサックスのエコノミストは、近く追加経済救済策が成立する可能性が後退したため2021年までの回復シナリオを修復した。追加経済救済策が見送られることにより可処分所得が減るほか企業の新規雇用の動きも後退、雇用の伸びが滞り、年末に向けた消費が鈍化するとの見方から本年の第4四半期の見通しを従来の6%から3%へ引き下げた。実際、労働省が発表した19日までの週の新規失業保険申請件数87万件と減少予想に反して前回86.6万件から増加。労働市場の回復失速が新たに証明された。ただ、ゴールドマンは、大統領選挙後に追加経済救済策が成立することやワクチンの実用化を織り込み、2021年に関しては第2、第3、第4四半期の見通しを小幅引き上げた。

 

米国市場では8月耐久財受注が公表

参考となる7月実績は前月比+11.4%だった。自動車工業の再開で生産回復が続いていることや、軍事関連支出の増加が寄与した。8月については、自動車・同部品の受注はやや増加する可能性があるが、民間航空機・部品の受注は落ち込んでいることから、全体の受注額は7月実績との比較でわずかな伸びにとどまる可能性がある。

 

欧米イベント

○16:00   ビルロワ・フランス中銀総裁、講演
○17:00   8月ユーロ圏マネーサプライM3(予想:前年比10.2%)
○17:45   デコス・スペイン中銀総裁、講演
○21:30   8月米耐久財受注額(予想:前月比1.5%/輸送用機器を除く前月比1.2%)
○22:00   ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、講演
○27日 ニュージーランド(NZ)が夏時間に移行

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