FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

2020/08/11/15:15:46

日経平均株価:米景気先行き懸念が和らぎ日本株もつれ高

前日の米国株市場でNYダウが大幅続伸した流れを引き継いだうえ、米経済指標改善に加えトランプ大統領が8日に失業給付上乗せ等を盛り込んだ追加コロナ対策の大統領令を発令し米景気先行き懸念が和らぎ景気敏感株中心に幅広い銘柄に買いが入った。結局、前営業日比420円高の2万2750円と大幅反発して終了した。

 

東京外国為替市場:106.00円付近で小幅もみ合い相場

ドル/円は、3連休明けとなる国内輸入企業のドル買い・円売りに支えられ、106.18円付近まで上昇した。しかし、前日の欧州市場で付けた106.20円が上値目処として意識されると、上げは一服した。その後は、香港や台湾情勢を巡る米中関係のさらなる悪化を警戒したドル売り・円買いが入り、106.00円付近へ押し戻された。午後は、日経平均株価の上げ幅拡大や中国株高に支えられ、106.15円付近へじり高となった。米長期金利が小幅に上昇したことも、ドル買いにつながった。ユーロ/ドルは1.17ドル台半ばで小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

中国の7月の新車販売台数は16%増

中国汽車工業協会が発表した2020年7月の新車販売台数は211万2000台だった。前年同月比で16.4%増えたが、前月比では8.2%減少した。1-7月累計の新車販売台数は前年同月比12.7%減の1236万5000台となり、減少幅は1-6月から4.2ポイント縮小した。

 

トルコ中銀が高値圏での金買いを進めている

トルコ中銀は金(ゴールド)保有額を発表しているが、増加傾向にある。先月30日時点では435.7億ドル相当と、年初来の上昇幅は7割を超えた。金価格は最高値を更新し続けているが、ただそれでも7月30日時点では年初来2割の上昇幅だった(NY金先物終値ベース)。ということは、トルコ中銀が金購入量をかなり増やしているということになる。国際通貨基金(IMF)の国際金融調査(IFS)によれば、トルコ中銀が今年1-6月で購入した金は約160トン。20年上期でトルコの次に購入量が多い中銀はインド中銀の28トンであり、圧倒的にトルコの存在が目立つ。国・地域別(中央銀行)の金保有量ランキングでも、トルコ中銀の金保有量は583トンと11番目に今や位置する(IMFを除く)。5位のロシア2300トンの4分の1弱ではあるが、欧州中央銀行(ECB)505トンよりも多く保有している。気になるところでは、高値圏での保有を増やしていることである。アナリストの間では(ドル/リラは別だが)ドル安が進み、超低金利・大規模な量的緩和が長期化するなかで、金に余剰資金が向かう動きは変わらず、価格は更に上昇するとの見方も多い。金価格がこのまま高止まりすれば、トルコ中銀の外貨準備高を補完することになり、市場の準備高枯渇への懸念も薄まる。ただ、相場は何が起きるか分からない。もし金価格が上値を切り下げるような展開になると、トルコにとってリラ安に加えてのダブルパンチは、かなりダメージが大きくなる。

 

メキシコでは自動車産業が改善方向:ポジティブ材料

最近のペソ相場は国内の材料というよりはドルの強弱に大きく左右されており、主体性は乏しい状況である。国内での新型コロナウイルス感染者は世界で6番目の大きさ、50万人に迫るなど勢いは収まっていないが、経済活動再開の兆しは徐々に見え始めている。国立統計地理情報院(INEGI)が先週に発表した7月自動車生産台数は前年同月比で+0.7%、前月比では2割強も増加した。主力の自動車産業でほぼ通常稼働に戻ってきていることはメキシコにとっては少ないポジティブ材料となっている。

 

サウジアラムコ4~6月期の純利益は大幅減

サウジアラビアの国営石油会社サウジアラムコの4~6月期の純利益は前年同期比73%減の246億リヤル(約7000億円)となった。サウジが3月にしかけた『価格戦争』の余波が自らに跳ね返った。 アミン・ナセル最高経営責任者(CEO)は声明で『世界各地で行動制限の緩和や経済活動の再開の動きが進んでいる。エネルギー市場には部分的な回復がみられる』と述べ、今年後半の収益改善に期待を示した。

 

OECD加盟国の公的債務が1270兆円の増加する見通し

経済協力開発機構(OECD)加盟37カ国の2021年の公的債務残高が、19年と比べて少なくとも約12兆ドル(約1270兆円)増大する見通しであることが10日、OECDの公開資料で分かった。債務残高は19年の69兆6000億ドルから21年には81兆6000億ドルと17%増える。経済活動が新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)で打撃を受け、各国は支援策の資金を主に国債など借金で調達していることに起因する。公的債務の膨張傾向が一段落するまで時間がかかるとの指摘もある。公的債務の増大は将来的に金融市場の混乱要因となりかねず、世界経済の足かせとなる。
OECDは日本や米国、欧州の主要国などが加盟している。公的債務残高は年内に感染症の第2波が起これば、さらに約1兆ドル増えると見込まれる。

 

バイデン氏の副大統領候補の発表に注目

いよいよ今年11月の大統領選に向けて、バイデン氏のランニングメート(副大統領候補)が発表されることになる。今回の民主党副大統領候補は、バイデン氏が77歳と高齢(11月が誕生日なため、大統領就任時は78歳)なことで、大統領選に勝利をおさめても4年後の2024年の選挙には出馬をしないのではないかとも囁かれている。その場合は、副大統領が2024年の選挙で優位に立てることもあり、だれが指名されるのかが今まで以上に関心が高まっている。 候補者指名に余程サプライズがない限りは、為替市場が動くことは難しいでしょう。 ただし、米国の国家や経済を引っ張ることになる人物のバックグラウンドを把握しておくのは、今後の米経済の動きを把握することに大変役立つと思われるので、是非副大統領候補指名にも注目しておきたい。 

 

欧米市場のポイント

○15:00   7月英雇用統計(予想:失業保険申請件数推移1.00万件/失業率なし)
○15:00   4-6月英失業率(ILO方式、予想:4.2%)
○18:00   8月独ZEW景況感指数(予想:55.0)
○18:00   8月ユーロ圏ZEW景況感指数
○20:00   6月メキシコ鉱工業生産(季調済、予想:前月比17.1%)
○21:00   6月インド鉱工業生産(予想:前年同月比▲20.0%)
○21:15   7月カナダ住宅着工件数(予想:21.00万件)
○21:30   7月米卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.3%/前年比▲0.7%)
      食品とエネルギーを除くコア指数(予想:前月比0.1%/前年比横ばい)
○24:00   バーキン米リッチモンド連銀総裁、討議に参加
○12日01:00   デイリー米サンフランシスコ連銀総裁、講演
○12日01:00   4-6月期ロシアGDP速報値(予想:前年比▲9.6%)
○12日02:00   米財務省、3年債入札

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欧米タイム直前市場コメント!

2020/08/07/15:12:13

日経平均株価:連休控え利益確定売り優勢

前日の米国株式市場が上昇したことが支援材料になったものの、明日から3連休を前にして模様眺めムードが強く、全体的に利益確定売りが優勢となり、一時下げ幅を200円超に広げる場面もあった。そうした中、物色面では決算発表を素直に反映する格好となり、好決算銘柄に資金が集中する半面、業績悪化が堅調な銘柄に下げが厳しい銘柄が目立った。結局、前営業日比88円安の2万2329円と続落して終了した。

 

東京外国為替市場:105円台半ばでもみ合い相場に終始

ドル/円は、日経平均株価や上海総合株価指数をにらみながら、105.55円前後でもみ合い相場となった。3連休前の実質的五・十日にあたり、仲値にかけて本邦実需筋の動向が注目されたが、需給に大きな偏りは見られなかった。午後は、今晩発表される7月雇用統計を控えた持ち高調整などのドル買い・円売りが入り、105.64円付近までじり高となった。しかし、前日につけた105.69円が上値の目処として意識されると、利食い売りも見られ、105.55円を挟んでもみ合いとなった。ユーロ/ドルは、トランプ米大統領が午前中に中国のアプリを規制する大統領令に署名したことで、リスク回避のユーロ売り・ドル買いが優勢となり、1.1820ドルドル付近まで下落する場面があった。

 

今晩もトルコ金融市場の脆弱性を嫌気したリラ売りに注意

 昨日はトルコ金融市場の脆弱性を嫌気した投資家のリラを手放す動きは止まらず、NY昼までは売りが売りを呼ぶ展開となった。また、イスタンブール株式市場の主要指数は5%超下落し、トルコ債券への売りも継続された。市場の流動性が薄くなるなか、本日のリラ/円も荒い値動きが予想される。リラ売りに対するやり過ぎ感も確かに出てはいるが、トルコが市場参加者の信任を取り戻すまでは上値は重いままとなる。リラ暴落を受けてトルコ中銀は、過度なボラティリティーに対しあらゆる手段を講じるとの声明を発表した。ただ、金融当局による為替介入が市場価格を歪め、その反動で今回の値動きに繋がったともいえ、皮肉な状況である。外貨準備高の枯渇が現実味を帯びるなかで中銀が出来ることは限られ、『前回18年夏のトルコショック時のような大幅利上げ』への思惑が高まりつつある。なお、トルコの銀行調整監視機構(BDDK)は昨日、『開発銀行を除く全ての外国銀行に対し、リラ投資規制の一部を緩和』と発表した。今後は為替相場への影響を見極めることになる。

 

メキシコ経済を救う移民からの送金

メキシコ銀行(中央銀行)は3日、国外からメキシコへの6月の送金額が35億3000万ドルに達したと発表した。前月から4.7%増、前年同月比で11.1%増となり、金額ベースでも過去2番目の高水準となった。 海外移住者からの送金は、メキシコにとって今や自動車輸出に次ぐ2番目に多い為替収入源となっている。依然として貧困層が多いメキシコでは海外に移住したメキシコ人からの送金に頼らざるを得ない事情もあり、新型コロナウイルスの影響で景気低迷が続くメキシコにとって、海外からの送金は以前にも増して重要度が高まっている。移住先のほとんどは米国であり、米国内の雇用情勢が悪化するなかで送金額への懸念も広がっていたが、予想外のポジティブな内容となった。皮肉にも感染拡大によって対ドルでメキシコペソ安が進んだことが送金額の増加につながったという面はあるものの、ロペスオブラドール大統領が『リビングヒーロー』と呼ぶ移民達が今回もメキシコ経済を救った。

 

前日NY市場のリスク選好材料

米国務省が世界のウイルスパンデミックの状況安定で、海外渡航勧告レベル4の解除を決定、航空会社や旅行社を支援する。また、米政権と民主党指導部による新型コロナウイルス追加経済対策法案を巡る交渉が難航、長期化する様相も見せている中、いずれ合意するとの期待に加えて、交渉が長期化してもトランプ大統領が大統領令を発動し、家賃未払いによる立ち退き猶予や失業給付金などに的を絞った法案や学生ローン返済猶予、給与税減税などで経済が助けられるとの期待が強まった。

 

米国ではコロナウイルス感染再拡大で第2弾の解雇の波

米民間のチャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマスが発表した米国7月の解雇者は前月から92,430人増え262,649人となった。5月、6月と減少したのち、再び増加に転じた。前年比では576.1%増となった。パンデミックが蔓延して以降、3番目の多さとなった。年初来では1,847,696人と前年同期比で399.6%増となった。
また、コーネル大が7月23日から8月1日までに実施した調査でも解雇の第2弾が実施されつつあることが報告されている。一時解雇された従業員の31%が最近再び解雇されたと答えた。また、26%が解雇の可能性を雇用主から通達されたと答えており、ウイルス感染の再燃により、全米で需要が鈍化傾向にあるため労働市場の回復も勢いを失いつつある証拠となった。

 

米国市場では7月雇用統計が公表

経済活動の再開によって米国の雇用情勢は改善しつつあるが、週間の新規失業保険申請件数は140万件程度で推移しており、非農業部門雇用者数の増加幅は6月実績を大幅に下回る見込みとなっている。失業率については、6月実績を下回る見込みだが、ウイルス感染の再拡大の影響で10%台にとどまる見込となっている。

■各社予想 7月米非農業部門雇用者数

JPモルガン        +175.0万人
第一生命経済研究所    +148.0万人
ドイツ証券        +100.0万人
バークレイズ・キャピタル ±0.0万人
BNPパリバ        +80.0万人
HSBC           +50.0万人
みずほ総合研究所     +163.5万人(※7/31時点予想)
モルガン・スタンレー   +200.0万人

市場コンセンサス +158.0万人
前回       +480.0万人

 

欧米イベント

○15:00   6月独貿易収支(予想:113億ユーロの黒字)
○15:00   6月独経常収支(予想:150億ユーロの黒字)
○15:00   6月独鉱工業生産(予想:前月比8.1%/前年同月比▲11.4%)
○15:45   6月仏鉱工業生産指数(予想:前月比8.4%)
○15:45   6月仏貿易収支
○15:45   6月仏経常収支
○20:00   7月メキシコCPI(予想:前月比0.65%)
○21:00   7月ブラジルIBGE消費者物価指数(IPCA、予想:前月比0.35%)
○21:30   7月カナダ雇用統計(予想:新規雇用者数変化40.00万人/失業率11.0%)
○21:30   7月米雇用統計(予想:非農業部門雇用者数変化158.0万人/失業率10.5%/平均時給、前月比▲0.5%/前年比4.2%)
○23:00   7月カナダIvey購買部協会景気指数(予想:57.5)
○23:00   6月米卸売在庫(予想:前月比▲2.0%)
○23:00   6月米卸売売上高(予想:前月比4.9%)
○8日04:00   6月米消費者信用残高(予想:100億ドル)

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欧米タイム直前市場コメント!

2020/08/06/15:11:46

日経平均株価:利益確定売りや業績悪化を嫌気した売り優勢

小幅安でスタートした後、NYダウ先物の堅調推移を眺めてプラス圏に浮上した。しかし、2020年4-6月期の決算発表が本格化する中、ホンダなど業績が悪化した銘柄に売りが膨らんだ。また、2万2500円を超えた水準では利益確定や戻り待ちの売りも厚く、上値を追い切れなかった。NYダウ先物が上げ幅を縮小すると、日経平均は再びマイナス圏に沈んだ。総じて方向性を欠く展開となった。結局、前営業日比96円安の2万2418円と続落して終了した。東京証券取引所が発表した7月第5週(27日~31日)の投資部門別株式売買動向によると、海外投資家(外国人)は4624億円の売り越しとなり、売り越しは2週ぶりとなった。個人投資家は2831億円の買い越しとなり、買い越しは3週ぶりとなった。

 

東京外国為替市場:105円台半ばでもみ合い相場継続

ドル/円は、前日発表された7月ADP全米雇用リポートの低調な数字で、米景気回復が遅れるとの見方からドル売りが先行し、105.45円付近へ下落した。しかし、追加経済対策を巡る米与野党協議の行方を見極めたいとの雰囲気もあり、下値を追う動きは限られた。その後は、国内輸入企業などのドル買い・円売りが入り105.50円台へ値を切り返した。午後は、日経平均株価や上海総合株価指数を睨みながら、105.50円前後でのもみ合いが続いた。ユーロ/ドルは、欧米の景気格差を意識したユーロ買い・ドル売りが一巡すると1.1880ドル前後で小動きとなった。

 

GPIFの4-6月期の運用実績は12兆円台の黒字

公的年金の積立金を運用している年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の4~6月期の運用実績が12兆円台の黒字となったことが5日分かった。1~3月期は四半期ベースで過去最悪の約17兆円の赤字だったが、一転して過去最高の収益となった。新型コロナウイルスの感染が広がる中、米国などが4月ごろから経済活動を再開し国内外の株価が上昇したことが要因である。

 

南ア債券離れがランドの押し下げ要因

ここ最近の南フリカ・ランドの押し下げ要因の一つとして、海外投資家の南ア債離れも一因とされている。7月末の非居住者の南ア債保有率は30.1%と6月の30.6%から再び下がっている。ムーディーズ格下げ前の1月の37.3%と比較すると、下げ幅はかなり大きくなっている。このような南アからの資金流出は今後も続く可能性が高い。また、昨日発表された7月のスタンダード銀行PMIは44.9となり、前回の42.5を上回ったが、景況の強弱を判断する節目50を割り込んだ。

 

トルコリラのオフショアスワップ市場で翌日金利上昇で売り

昨日トルコ祝日明けにリラのオフショアスワップ市場で翌日物金利が急騰したことで、一部の外国銀行によるリラ決済の不履行が報じられた。リラ金融市場の機能不全を投資家が嫌気し、為替市場ではリラを手放す動きが加速した。 昨日のイスタンブール株式市場は下げが一服したものの、トルコ債券への売りは継続され、国の信用リスクを示すソブリンCDSの5年物は続伸しました。一部報道では、トルコ当局が国内銀行を通じてドル売り・リラ買い介入を断続的に実施したと報じているが、これまでのところ効果はかなり限定的なままである。トルコ中銀の外貨準備高の枯渇が現実味を帯び始め、今後、他の中銀と通貨スワップ枠の設定や拡大ができなければ、リラの下値への警戒感は更に高まる可能性が高い。また、国際通貨基金(IMF)も今週発表したレポートで、リラの下落圧力が強まるなかでトルコの外貨準備高の低さを懸念している。

 

米国民の73%が『嫌中』になり米中対立激化の可能性

米ピュー・リサーチセンターの最新世論調査(6月16日-7月14日)によれば、武漢ウイルス感染症の発生以後、米国の反中感情は悪化の一途を辿り、今や米国民の73%が『嫌中』となった。中国は常に歯向かう国を見せしめとし、中国を怒らせた外国やその指導者は、会談や商談を拒否される。中国はこの数年、強く出れば相手が折れることを学び、それにより海外の批判を抑えてきた。こうした大胆で攻撃的になっている中国『戦狼外交』に対し、覇権国・米国に挑戦する中国と受け止める米国民が増え、それが「嫌中」感情の高まりを招いている。民意を汲み、劣勢挽回でトランプ大統領が対中『敵視政策』へ転換、保守系調査会社『ラスムッセン』のトランプ支持率は51%と久しぶりに50%台を回復した。米中対立はさらに激化する可能性がある。

 

米ドルの上値を抑える要因

ドルの上値を抑える要因としては、1つ目は新型コロナウイルスへの追加支援策の協議が米議会で難航していることである。 メドウズ米大統領首席補佐官は『金曜までに明らかな進展が見られない場合は、トランプ大統領は大統領令を発令する準備をする』とも発言している。もし、進展がなかった場合は米議会の混迷が深まるだけではなく、支援策の遅れで経済的なダメージも出てくる。2つ目は米中関係の悪化があげられる。昨日、米政府はアレックス・アザー米合衆国保健福祉長官が台湾へ訪問すると発表した。これに対して中国が激しく抗議をしているが、6年ぶりの米閣僚の訪台は米中関係をより悪い方向に導く。他にも新型コロナウイルスの感染拡大や、昨日はいったん落ち着いたが米国債への買い需要など様々なドル売り要因がある。また、本邦の夏季休業を前にして、輸出企業を中心にドル売り需要があることも上値を圧迫することになる。

 

米国市場では明日7日に7月雇用統計が発表:ネガティブサプライズに注意


市場の平均予想は失業率がと10.5%と、4月に14.7%と過去最高に達したのち、さらに低下が予想されている。非農業部門雇用者数は前月比+150万人と、6月に+480万人と過去最大の雇用増を記録したのち、伸びが鈍化すると見られているものの3カ月連続の増加が予想されている。先行指標の中で、米労働省が発表する雇用統計と最も相関性が強いとされる民間部門の雇用者数を示すADP雇用統計の7月分は+16.7万人とかろうじて増加を保ったものの、6月+431.4万人から伸びが予想以上に鈍化した。地区製造業の雇用は減少から増加に改善しているものの、全米の製造業活動を示すISM製造業景況指数の雇用は44.3と6月42.1から小幅の上昇にとどまり、12カ月連続の50割れで活動は縮小のままである。また、米国経済は消費が7割を占めるため特に注目されるISM非製造業景況指数の雇用は42.1と、6月43.1から逆に低下した。5カ月連続で50を割り込み、活動の縮小は一段と拡大した。 7月は新型コロナウイルスが再燃し経済活動の再開が遅れ、企業は再度、従業員の解雇に踏み切らざるを得なくなった。雇用統計よりも労働市場の先行指標とされる失業保険申請件数は3月末に過去最大を記録したのち減少していたが7月中旬以降再び増加に転じた。トランプ大統領は 『7月の雇用統計は大きな数字になる』と期待しているが、先行指標は失業率が再び上昇、雇用者数も減少に転じるというネガティブサプライズの可能性も示唆しており、警戒される。

■市場エコノミスト予想失業率:10.5%(6月11.1%)非農業部門雇用者数:前月比+150万人(6月+480万人)民間部門雇用者数:前月比+150万人(6月+476.7万人)平均時給:予想:前月比-0.5%、前年比+4.2%(6月-1.2%、+5.0%)

 

欧米市場イベント

○15:00   6月独製造業新規受注(予想:前月比10.1%/前年同月比▲18.5%)
○15:00   英中銀金融政策委員会(MPC)2日目、終了後政策金利発表(予想:0.10%で据え置き、資産買取プログラムは7450億ポンドで据え置き)
○15:00   MPC議事要旨
○15:00   英中銀(BOE)、金融安定報告書を公表
○15:00~   ベイリーBOE総裁、記者会見
○15:15   インド中銀、金融政策決定会合(予想:3.75%に引き下げ)
○17:30   7月英建設業購買担当者景気指数(PMI、予想:57.0)
○20:30   7月米企業の人員削減数(チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマス社調べ)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:140.0万件/1690.0万人)
○23:00   カプラン米ダラス連銀総裁、イベントに参加
○7日01:00   7月ロシア消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.4%)

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欧米タイム直前市場コメント!

2020/08/05/15:12:41

日経平均株価:短期過熱感から利益確定売り優勢

前日までの2営業日で850円以上の上昇で過熱感を警戒した利益確定売りが優勢となった。内需関連中心に国内企業4-6月期決算の大幅減益も買い手控え要因となり一時下げ幅は200円を超えた。しかし、午後に日銀のETF買いが入るとの思惑もあり、下げ渋る場面もあった。結局、前営業日比58円安の2万2514円と3日ぶりに反落して終了した。

 

東京外国為替市場:105円台半ばでもみ合い相場

ドル/円は、前日のNY市場で米長期金利の低下を背景に、主要通貨に対してドルが全面安となった流れを引き継ぎ、105.51円付近まで下落した。本日は五・十日にあたり、仲値にかけて本邦輸出勢のドル売り・円買いも通常より多く観測された。しかし、心理的節目の105.50円が意識されると、下げは一服した。その後は、値ごろ感もあり105.60円付近まで切り返した。午後は、日経平均株価や上海総合株価指数をにらみながら、105.60円台を中心とした狭いレンジで取引された。ユーロ/ドルは、1.18ドル台前半で小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

米中第1段階合意の達成は困難

1月に米中は、中国が米国産農畜産物の輸入を大幅拡大する『第1段階合意』に署名し、中国は米国から365億ドル相当の農畜産物を輸入することに合意した。ただ、5月末までのデータを見ると、同輸入の実績は60億ドル程度である。合意を達成するには2017年の実績を50%上回らなければならないが、これは2017年を31%も下回る水準である。残りの数カ月で中国が輸入を大幅に拡大しなければ、目標を達成するのは困難である。

 

欧州市場では6月ユーロ圏小売売上高が公表

5月実績は、前月比+17.8%だった。都市封鎖の部分的な解除にって小売売上高は大幅に増加した。6月については、経済活動の拡大によって2ヵ月連続で増加する見込みだが、増加幅は5月実績を大幅に下回る可能性がある。

 

SPDRゴールド・シェアーズに大規模資金流入

4日の米国市場で金価格に連動するSPDRゴールド・シェアーズ(@GLD/ U)に5億8877万ドルの大規模な資金が流入した。この結果、過去1週で9億ドル超、1ヵ月で40億ドル超の資金が流入し、純資産は791億71800万ドルと800億ドルの大台に迫っている。この日の米国市場でGLDは大幅に3日続伸して2.12%高の189.59ドルで終え、一時189.60ドルまで上昇して上場来高値を更新した。金現物、先物共に史上最高値を更新する中、GLDを通じて金相場への資金流入が続く格好となった。GLDには年初来で202億ドルの資金が流入した。米国上場ETFで純資産が最大のS&P500に連動するスパイダーS&P500ETF(@SPY/U)からは225億ドルの資金が流出したが、株からゴールドへの資金シフトが起きていることを示唆している。

 

トルコから若者が流出:キリスト教国へ移住

一部のトルコメディアが報じたところによると、昨年トルコから外国へ移住した人数は約33万人に達し、そのうち20歳から34歳までが40.8%を占めた。記事では、トルコは現在、『経済不安、失業、腐敗、権威主義の高まり』で最も才能のある若者の頭脳流出を経験している、という専門家の意見を紹介している。才能ある若者の7割が『何らかの縁故なしではトルコでは成功できない』と考えている、との調査結果も記載された。自国に失望し、外国に夢を抱くのは反政権側の若者かと思いきや、そうでもない。一部調査では、エルドアン大統領を支持する若者でさえも、その6割はサウジのようなイスラム教国家で働くよりも、賃金が安くてもスイスのようなキリスト教国に住むことを望んでいるとした。大統領が目指した『敬虔なイスラム教徒で保守的な世代を育てる』ことは成功していないと指摘されている。

 

米国債市場の変動率急伸には注意:ドルの乱高下要因

米国経済を支える数兆ドル規模の追加財政策の実施に向けて交渉が続く中、米国債相場は続伸を続けている。5年債利回りは過去最低水準を連日更新。米10年債利回りも0.51%まで低下。新型コロナウイルスパンデミック拡大で、米国も緊急事態宣言を発動するにいたり市場が混乱していた時期の3月9日以来の低水準となった。7月に入りウイルスが再燃し回復が停滞したため景気の先行き見通しが再び悪化している。回復は容易ではなく、ウイルスパンデミックにより損傷した経済が危機前の状況に戻るには少なくとも2年ほどかかるといった経済への不安も強まり安全資産としての米国債に投資資金が流入した。ただ、8月は投資家が夏季休暇に入るため通常、参加者が限定的となり相場が動きやすくなる。このため、混乱が起こりやすい月である。米国債市場での変動率が過去最低水準から急伸する可能性も警戒されている。ドルの乱高下にもつながる可能性があるため注意が必要となる。

 

米国市場では6月貿易収支が公表

5月実績は‐546憶ドルで赤字幅は拡大した。財・サービスの輸出は約10年ぶりの低い水準に織り込んだことが要因となった。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、需要と出荷がいずれも停滞した。6月については、輸出が伸び悩んでおり、貿易赤字の大幅な縮小は期待できない。

 

欧米市場イベント

○16:50   7月仏サービス部門購買担当者景気指数(PMI)改定値(予想:57.8)
○16:55   7月独サービス部門PMI改定値(予想:56.7)
○17:00   7月ユーロ圏サービス部門PMI改定値(予想:55.1)
○17:30   7月英サービス部門PMI改定値(予想:56.6)
○18:00   6月ユーロ圏小売売上高(予想:前月比5.9%/前年比▲0.5%)
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○21:15   7月ADP全米雇用報告(予想:120万人)
○21:30   6月カナダ貿易収支(予想:9.0億カナダドルの赤字)
○21:30   6月米貿易収支(予想:501億ドルの赤字)
○22:45   7月米サービス部門PMI改定値(予想:49.6)
○22:45   7月米総合PMI改定値
○23:00   7月米サプライマネジメント協会(ISM)非製造業指数(予想:55.0)
○23:30   EIA週間在庫統計
○6日06:00   メスター米クリーブランド連銀総裁、討議に参加
○6日06:00   ブラジル中銀、政策金利発表(予想:2.00%に引き下げ)
○英中銀金融政策委員会(MPC、6日まで)
○米財務省3年、10年、30年債入札条件

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

欧米タイム直前市場コメント!

2020/08/04/15:11:04

日経平均株価:米国株高と円安で買い安心感

前日の米国株式市場の上昇が好感されたほか、円安が買い安心感を誘い、輸出関連株を中心に幅広く物色された。また、2020年4~6月期決算で最終黒字を確保したり、市場湯尾壮を超えたりした銘柄が『好決算銘柄』として買う動きが活発化し、一時400円超に上げ幅を広げた。結局、前日比378円高の2万2573円と続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:日本株の大幅続伸で106円台を維持

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りや日経平均株価の大幅続伸に支えられ、106.19円付近までじり高となった。しかし、明日発表される7月ADP全米雇用リポートや7月ISM非製造業影響感指数を見極めたいとの雰囲気もあり、上値を追う動きは限られた。その後は、米国で追加経済対策の与野党協議が難航していることから、持ち高調整などのドル売り・円買いに106.05円付近へ押し戻された。午後は、日経平均株価や上海総合株価指数をにらみながら、106.10円前後でもみ合いとなった。ユーロ/ドルは、1.1770ドル前後で小幅な小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

南アの新車販売台数は衝撃的な記録

南アフリカ自動車工業会(Naamsa)が発表した新車販売の統計によると、4月の新車販売台数は98.4%急落し、販売台数は南ア全体で574台という衝撃的な記録になった。ロックダウン中だったとはいえ、南ア経済が新型コロナウイルス感染拡大でいかに危機的な状況に陥っているかを理解できる数値である。

 

トルコの今晩の経済指標に注目

欧州序盤に発表されるトルコの7月経済指標が注目される。消費者物価指数(CPI)は6月から低下が見込まれているが、前年比の市場予想値は12.1%と高水準で推移している。物価の状況は、先週トルコ中銀が上方修正した年末のインフレ予測・8.9%にはまだ遠いと言える。もし、結果が予想比上振れとなれば、実質金利マイナス幅の拡大が再び意識され、通貨リラの買いにくさが増すことになる。インフレ指標と同時に発表されるトルコ製造業PMIは、前回6月分が53.9と5月40.9から大きく改善した。今回7月分も、経済的結びつきが強い欧州連合(EU)がコロナ復興基金案に合意したことで、それなりに好結果が期待できる。もっとも、実体経済が本格的な回復基調となるのは先であり、単純にリラ買いとはなり難い。

 

先行き米国の財政の崖問題への懸念

米財務省は3日、7-9月期の純借入額が9470億ドル(約100兆円)になるとの見通しを発表した。新型コロナウイルス対策で今春以降、歳出が急速に膨らんでいる。4-6月期よりは3分の1程度に減るが、前年同期の約2倍の額を国債発行などでの調達する。
4-6月期の調達額は2兆7530億ドルだった。2020会計年度(19年10月-20年9月)は合計で4兆5070億ドルとなり、前年度(1兆2800億ドル)の3.5倍に拡大する。
21会計年度に入る10-12月期も1兆2160億ドルの借り入れを見込んでいる。

 

米国の製造業回復は順調も雇用に懸念残る

米供給管理協会(ISM)が発表した7月ISM製造業景況指数は54.2と、6月52.6から予想以上に上昇し、昨年3月来で最高となった。ウイルスパンデミックが起因した混乱から製造業は引き続き回復基調にある。調査対象企業のセンチメントは6月に続き楽観的となった。 同指数の重要項目である新規受注は61.5と、2019年9月来で最高となった。また、生産も62.1と、2018年8月来で最高。受注残(back log)も51.8と45.3から50を突破し活動の拡大に転じ、2019年4月来で最高となった。このことは、将来の新規受注を増加させるとの期待にもつながっている。世界経済の回復も手伝い輸出も50.4と5カ月ぶりの活動拡大に転じた。国内経済活動の再開で輸入も53.1と5カ月連続の50割れで活動縮小から拡大に転じ、2019年2月来で最高となった。
唯一、雇用の伸びが冴えないことは懸念材料となる。44.3と、42.1か上昇したものの12カ月連続での50割れで活動縮小を続けている。ただ、強い新規受注や受注残の増加が潜在的に雇用を今後、押し上げる可能性も指摘されている。

 

米国追加対策法案に注目

米国では失業者に対する週600ドルの特別給付措置が7月末で失効した。こうした措置を含めて、対コロナ追加対策法案を巡る与野党協議は難航している。3日から協議が再開されるが、メドウズ米大統領首席補佐官は2日、『非常に近いうちに解決策がまとまるとは楽観視していない』と述べた。今週以降は協議が難航したり、歩み寄りでも対策規模の縮小といった失望があると、ドル安や米株安などによるリスク回避の円高が警戒されやすい。反対に協議打開や当初案通りでの合意が見えてくると、短期的にはドル高や米株高、リスク選好の円安に振れる余地も残されている。3日NY株式市場では、新型コロナウイルスの2兆ドル規模の追加経済対策を巡る米与野党の協議が最終的に妥結するとの期待から米国株買いが優勢となった。

 

欧米市場イベント

○14:45   7月スイスSECO消費者信頼感指数(予想:▲23.5)
○15:45   6月仏財政収支
○16:00   7月トルコ製造業PMI
○16:00   7月トルコ消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.90%/前年比12.10%)
○18:00   6月ユーロ圏卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.5%/前年比▲3.9%)
○23:00   6月米製造業新規受注(予想:前月比5.0%)

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