FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

2020/10/15/15:10:41

日経平均株価:中国経済の回復鈍化懸念から下げ幅拡大

追加の新型コロナウイルス経済対策についてムニューシン財務長官は、来月3日の米大統領選までの語彙に懐疑的な見方を示したほか、朝方発表された米金融大手の決算内容がまちまちだったことなどがセンチメント後退の要因となった。また、中国統計局が発表した9月の中国の卸売物価指数(PPI)、消費者物価指数(CPI)がいずれも市場予想を下回る結果だと伝わり、中国経済の回復鈍化懸念が広まり下げ幅が拡大した。結局、前営業日比119円安の2万3507円と3日ぶりの反落となった。10月第1週の海外投資家は4170億円の買い越しとなった。

 

東京外国為替市場:ドル/円は105.20円台のもみ合い相場

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りに支えられ、105.30円付近まで値を上げた。ムニューシン米財務長官が追加経済対策法案の協議継続について前向きな姿勢を示したことも、ドル買い戻しにつながった。しかし、9月の中国物価統計が低調で、日経平均株価が下げ幅拡大したことからドル買い・円売りは続かず、105.25円を挟んだもみ合い相場となった。午後は、日経平均株価や上海総合株価指数をにらみながら、105.20円台を中心とした狭いレンジ取引となった。ユーロ/ドルは、1.17ドル台半ばで小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

冬季に向け欧州では再びウイルスの流行懸念

新型コロナウイルスの流行が冬季に再来するとの懸念が高まる中、フランス政府は14日、主要都市での夜間外出禁止令を発出した。他の欧州諸国も学校閉鎖や手術の中止、医学生の動員など対応に追われている。欧州の新型コロナ新規感染者は1日当たり約10万人に達し、米国の平均5万1000人超を大幅に上回っている。仏政府はこの日、マクロン大統領は17日から4週間にわたって主要都市での夜間の外出を禁止すると発表した。世界保健機関(WHO)によると、11日までの1週間で英、仏、ロシア、スペインで確認された新規感染者は欧州全体の半分以上を占めた。

 

南ア大統領は経済復興計画を議会に提出

本日ラマポーザ南ア大統領は、国内の経済復興計画を議会に提示する予定となっている。すでに本日のセッションではエネルギー、安全保障、雇用創出、インフラ開発、などについて話すことが内閣のホームページでは発表されている。大きなサプライズは期待できないが、念のために注意は必要がある。また、21日に予定されていたムボウェニ南ア財務相の中期予算発表は28日に延期されたことで、市場はそれまでの間南アの国内要因では動きにくくなっている。

 

トルコリラは欧米との関係悪化懸念から上値が重い

トルコは一時中断するとしていた東地中海のエネルギー資源探査を再開し、これに対して、これまでEU内ではトルコ擁護派であったドイツからも非難する声が出ている。マース独外相は予定していたトルコ訪問をキャンセルし、ドイツはギリシャとキプロス側の立場だと表明した。本日から明日にかけて開催されるEU首脳会議ではトルコについて協議する予定はなかったが、ここにきて議題に上がる見込みも出てきたと一部では報じられている。トルコは欧州の難民問題のカギを握っているため、これまでEUから厳しい制裁は免れてきた。しかしながら、複数のEU高官からは『トルコへの飴と鞭アプローチは失敗』との発言も伝わっており、トルコが東地中海における強硬姿勢を改めない限り、かなり重い対トルコ制裁が課される可能性もある。

また、15日本日は、米国が深く懸念するとした『トルコによる露製地対空ミサイルS400のテスト』が実施される予定である。予定通りとなれば米トルコ間の溝の広がりが危惧される。

 

ペロシ米下院議長逆切れで選挙戦への影響も

CNNがペロシ米下院議長とやりあってしまった。CNNの著名アンカーがペロシ議長に『どうして米国民が困難に陥っているのに、1.8兆ドルというオファーを断っているのか?』と純粋に投げかけたところ、ペロシ議長は逆切れした。『我々が彼らの代表としてやっている。我々が食わしてやっているんだ(We feed them)』を繰り返した。そして何度も言い合った後、『あなたは共和党の弁明者だ(apologist)』と吐き捨てた。民主党が戦略として大統領選前に合意しないというのは至極当たり前のことである。ただ、一番の支援メディアであるCNNでのインタビューで『一線を越えてしまった』わけで、選挙への影響がかなり大きなものとなる可能性が出てきた。日本にいると、純粋に『追加経済対策で合意出来なかった』としか映ってこないが、昨日のCNN放映後のツイッターなどの反応をみている限り、事態としては深刻になりつつある。いずれにしても、ブルーウェーブ一色となっている市場のシナリオがどのように軌道変更していくかが、残り3週間の課題となっている。

 

米国市場では先週分失業保険申請件数が公表:急増する可能性も

先週分の新規失業保険申請件数を発表する。新型ウイルスパンデミック以降、エコノミストは雇用統計よりも現状の米国の労働市場の状況をより正確に反映するとして、同指数に最も注目している。市場エコノミストの平均予想は82.5万件と、前回84.0万件から3週連続で減少すると期待されている。パンデミックにより経済が封鎖される前の3月上旬の水準に一段と近づくと期待されている。しかし、一部では同指数が急増する可能性も懸念されている。カリフォルニア州はパンデミックによる申請の急増でシステムに過負荷がかかり2週間ほどの整備期間中申請の受付を停止していた。先週から申請の受領を再開したため、全国ベースの新規申請件数が急増する可能性があると指摘されている。労働省の試算によると修正分は22.6万件程にのぼる。再び100万件の大台に達することになる。

 

欧米市場イベント

○15:30   9月スイス生産者輸入価格
○15:45   9月仏消費者物価指数(CPI)改定値(予想:前月比▲0.5%/前年比0.1%)
○16:30   9月スウェーデン失業率
○21:30   10月米ニューヨーク連銀製造業景気指数(予想:15.0)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:82.5万件/1070.0万人)
○21:30   10月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数(予想:14.0)
○21:30   9月米輸入物価指数(予想:前月比0.3%)
○22:00   カンリフ英中銀(BOE)副総裁、講演
○22:00   ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演
○23:10   ブラード米セントルイス連銀総裁、講演
○24:00   EIA週間在庫統計
○24:00   クオールズ米連邦準備理事会(FRB)副議長、講演
○16日01:00   9月ロシア鉱工業生産(予想:前年比▲5.9%)
○16日01:00   ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
○16日03:00   バーキン米リッチモンド連銀総裁、講演
○16日06:00   カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、講演
○英・欧州連合(EU)の自由貿易協定(FTA)交渉合意期限(英側設定)
○EU首脳会議(ブリュッセル、16日まで)

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

欧米タイム直前市場コメント!

2020/10/14/15:13:09

日経平均株価:NYダウ先物がプラス圏に転換を好感

米国市場で、新型コロナウイルスのワクチン開発への期待が後退したことや、追加経済政策の不透明感が相場の重石となった。前日の米国株市場で主要3指数が反落した流れを引き継ぎ軟調な展開となったが、NYダウ先物がプラス転換したことで、下げ幅を縮小する展開となった。結局、前営業日比24円高の2万3626円と小幅続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:日経平均株価にらみの狭いレンジ相場

ドル/円は、日経平均株価のさえない動きや中国株安を眺めてドル売り・円買いに押され、105.30円付近まで下落した。米追加経済対策を巡る先行き不透明感が強まっていることも、ドルの重石となった。しかし、前日につけた105.29円が下値の目処として意識されると下げは一服、105.40円付近へ切り返した。午後は、日経平均株価をにらみながら、105.40円台を中心とした狭いレンジで取引された。中国の習近平国家主席が演説で『中国経済は長期的に健全』『中国は全面的な開放を堅持している』などと発言したものの、ドル/円相場への影響はほとんどなかった。ユーロ/ドルは、1.1745ドル前後で小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

欧州市場では8月鉱工業生産が公表

7月実績は前月比+4.1%だった。ドイツ、フランスの鉱工業生産が順調に増加したことが主な要因となった。8月については、ドイツの8月鉱工業生産が大方の予想に反して減少していることから、生産の伸びは鈍化する見込みとなっている。新型コロナウイルスの感染流行は終息していないことから、鉱工業生産が拡大する余地は小さいとみられる。

 

英国とEUのFTA協議の期限間近:合意なき離脱リスクも残る

欧州連合(EU)は13日、ルクセンブルクで開いた総務理事会でEUを離脱した英国との自由貿易協定(FTA)など将来関係を巡る交渉について討議した。合意するには英側の歩み寄りが必要との認識で一致している。英首相官邸によると、ジョンソン英首相とフォンデアライエン欧州委員長は14日に電話協議し、打開策を探る。EU15-16日に首脳会議を開き、対英関係を議論する。今回はその前段階の閣僚級の会合である。出席したEUのバルニエ首席交渉官は『今後数日、数週間にわたって公平な合意に向けて取り組む』とツイッターに投稿した。アイルランドのコベニー外相は『あと数週間残っている』と述べた。ジョンソン氏は首脳会議が始まる15日を交渉期限と区切っている。EU側はそれにはこだわらず10月末-11月初旬まで交渉を続け、合意をめざす姿勢を示した形である。ただ交渉が首尾良く進んでいるわけではない。EU各国の欧州問題担当相は、英側との交渉が『十分な進展を得られていない』との見方で一致、英側の譲歩が欠かせないと立場を確認した。EU議長国ドイツのロート欧州問題担当相は記者会見で『合意なしのリスクを低く見るべきではない』と警戒感を示した。

 

南アフリカのIMFの経済見通しは予想の範囲内

昨日公表された国際通貨基金(IMF)の世界経済見通しでは、南アの2020年GDP予想を-8.0%、2021年を3.0%、消費者物価指数(CPI)は2020年3.3%、2021年は3.9%、失業率を2020年37.0%、2021年を36.5%とした。ほぼ市場が予想していた範囲内だったため、市場の反応は限られた。南ア国内では15日に発表されるラマポーザ大統領の経済見通しに注目が集まっている。すでに諮問委員会の間では経済見通しは暗い状況になるとされている。なお中期予算の発表は昨日ムボウェニ南ア財務相が21日から28日への延期を申し出たことで、延期が予想されている。

 

トルコの欧米関係悪化懸念がリラの上値を抑える

トルコが発表した東地中海におけるエネルギー資源探査の継続に対し、ギリシャだけではなく、独仏などの欧州連合(EU)主要国、そして米国も非難の声を上げた。トルコは昨年リビアと設定した排他的経済水域(EEZ)を盾に引く様子は全くなく、今後も(経済では頼るところが多い)欧米との亀裂の深まりが危惧される。また、米国からは更に、露製地対空ミサイルS400についてトルコは警告を受けている。今週後半に予定通りミサイルテストを実施するようならば、対トルコ制裁への警戒感が高まる。

 

欧米では2つのワクチン開発にブレーキ

米製薬大手ジョンソン・エンド・ジョンソン(JJ)が新型コロナウイルス予防ワクチンの治験を一時中断したことで、ワクチン開発を急ピッチで進めることの難しさが改めて浮き彫りとなった。命を守ると同時に景気支援を目指す取り組みは、再び一歩後退を余儀なくされている。JJ12日、米国で先月開始した大規模な第3相試験(フェーズ 3)を含め、すべての治験を一時中断すると明らかにした。被験者の一人が原因不明の病気にかかったことが原因である。約1カ月前には、英製薬大手アストラゼネカがオックスフォード大と共同開発するコロナワクチンの治験を同様の理由から一時中断している。アストラゼネカはその後、英国内での治験は再開しているが、米国は中断したままである。欧米諸国では現在、4つのワクチン候補が開発レースの先頭を走っているが、このうち2つにブレーキがかかったことになる。世界各国の首脳は冬が近づく中、治験の後期段階にあるワクチン候補が早期に承認されることを切望しており、まず医療関係者らへの投与を計画していた。

 

米長期金利の上昇は民主党の大勝を織り込む動き

米民主党が来月の選挙で圧勝するとの観測が足元で米国債利回りを押し上げており、共和党の大勝で利回りが跳ね上がった4年前の記憶を呼び覚ましている。利回りが上昇基調にあるのは、大統領選に関する直近の世論調査で、民主党のジョー・バイデン候補がドナルド・トランプ米大統領に対するリードを広げるとともに、民主党が上下両院ともに過半数を握るとの見方が強まっていることが要因である。いずれかの政党が政府と議会の双方を掌握すれば、減税や歳出増などの政策を通じて財政赤字の拡大につながるとの見方が広がることが大きい。財政赤字の増大が利回りの押し上げ要因になるのには2つの理由がある。1つは政府の借り入れ拡大が国債増発を招くこと。2つ目は経済成長と物価の双方が押し上げられれば、国債の魅力が薄れるためである。

 

欧米市場イベント

○15:30   9月インド卸売物価指数(WPI、予想:前年比0.78%)
○17:00   ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
○18:00   8月ユーロ圏鉱工業生産(予想:前月比0.8%/前年比▲7.2%)
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○20:00   8月南アフリカ小売売上高(予想:前年同月比▲6.8%)
○20:00   メルシュECB専務理事、講演
○21:00   レーンECB専務理事兼チーフ・エコノミスト、講演
○21:30   9月米卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.2%/前年比0.2%)
        食品とエネルギーを除くコア指数(予想:前月比0.2%/前年比0.9%)
○21:35   バーキン米リッチモンド連銀総裁、講演
○22:00   クラリダ米連邦準備理事会(FRB)副議長、講演
○23:00   ビルロワ・フランス中銀総裁、講演
○23:15   デコス・スペイン中銀総裁、講演
○23:30   クオールズFRB副議長、パネルディスカッションに参加
○15日01:00   ホールデン英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○15日04:00   カプラン米ダラス連銀総裁、講演
○20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議(テレビ会議)

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欧米タイム直前市場コメント!

2020/10/13/15:12:37

日経平均株価:NYダウ先物の反落が重石に

前日のNYダウ250ドル高の続伸を受け買いが先行した。しかし、ドル/円が円高基調となったことや、欧米の新型コロナ感染再拡大を背にNYダウ先物の反落が重石となった。米医薬大手ジョンソン&ジョンソンが最終治験段階にあった新型コロナのワクチン開発を一時停止すると報じたことも投資家心理を冷やし利益確定売りが入った。結局、前営業日比43円高の2万3601円と小幅反発して終了した。

 

東京外国為替市場:105円台前半の狭いレンジ相場

ドル/円は、日経平均株価や上海総合株価指数をにらみながら、105.30円台を中心とした狭いレンジで取引された。仲値にかけて本邦実需筋の動向が注目されたが、需給に大きな偏りは見られなかった。昼頃に発表された9月中国貿易収支は予想を下回ったものの、ドル/円相場への影響はほとんどなかった。午後は、日経平均株価の持ち直しに支えられ、105.45円まで値を上げた。しかし、米製薬大手が開発中の新型コロナウイルスのワクチンについて、臨床試験が一時中断しているとの報道が伝わっていたことからドル買い・円売りは続かず、105.40円を挟んでもみ合いとなった。ユーロ/ドルは1.180ドルを挟んで方向感を欠く展開となった。欧州勢待ちの様相ととなっている。

 

中国9月輸出が4ヵ月連続増加

中国税関総署13日発表の中国9月輸出(ドル建て)が前年比+9.9%と8月(+9.5%)の伸びを上回り4ヶ月連続で増加した。マスクなど新型コロナウイルス関連や衣類に玩具等の労働集約型の製品が好調だった。一方、9月15日から米国の製造装置や設計ソフト半導体のファーウェイへの供給が禁止されたが、それ以前に駆け込みで輸入が増え、9月輸入は同+13.2%と3ヵ月ぶり前年同月を上回った。なお、輸出から輸入を引いた貿易収支は370億ドルの黒字と前年同月比-7%減少した。

 

南アランドの製造業生産改善もランド買いにつながらず

南アの国内情勢では昨日発表された8月の製造業生産は前月比で+3.6%と改善されたが、市場予想には届かず、前年比では-10.8%という結果になった。為替市場はリスクオンにはほぼならず、ランド円もアジア時間につけた6.44円から6.36円までじり安になった。なお、今週15日にラマポーザ南ア大統領は経済復興計画を発表することになっている。

 

トルコ中銀は引き続き補完手段による引き締め

トルコ中銀は12日、全ての銀行を対象にリラ建て所要準備預金に対し中銀が支払う金利(レミュナレーション金利)を2%引き上げると発表した。通貨リラ防衛のため、政策金利操作以外の補完手段による一段の引き締めを実施した。発表当初はリラが強含む場面もあったが、トルコ周辺域の地政学リスクは高まったままであり、くわえてトルコと欧米の関係悪化懸念、経常赤字の拡大などがリラの重石となった。

 

2019年のトルコ腐敗認識指数は2ポイント低下

国際的な非政府団体(NGO)であるトランスペアレンシー・インターナショナル(Transparency International、TI)は毎年、腐敗認識指数(Corruption Perceptions Index、CPI)なるものを発表した。CPIとは、180カ国を対象に、政府や政治家・公務員などの公的分野での腐敗度(汚職、公的資金の流用、公共施設の私的利用、縁故主義など)を、世界銀行を含む複数の機関の調査報告に基づいて数値化したものである。100点満点で、高い値が腐敗や汚職が少なく、クリーンなイメージとなる。トルコですが、19年は39ポイントと前年から2ポイント低下、ランキングでは前年から13カ国に抜かれ91位と腐敗度が悪化した。そのトルコの国会では、政府支出について議会が全ての項目をチェックするのではなく、一部は単に総額だけをみるという法案が提出された。もし案が許されてしまうと、これまでも告発されたような建設プロジェクトにおける政府の汚職が見つかり難くなることが懸念される。エルドアン政権のやりたい放題となれば、20年のCPIランキングは三桁台まで落ちることが確実となる。ちなみに日本は20位。

 

ゴールドマンサックスは民主党勝利でドル売り推奨

一部市場参加者は大統領選挙でバイデン氏が勝利し、下院に加え、現在は共和党が過半数を占めている上院も民主党主導に転じる民主党圧勝を織り込み始めた。民主党勝利の確率が高まることに伴いゴールドマンサックスはドル売りを顧客に推奨している。選挙結果が拮抗し勝者が長期にわたり決まらない不透明性が後退した。不透明感が払しょくすることで質への逃避としてのドル買いが後退することを理由としている。同社は民主党圧勝の確率を60%以上と見ている。民主党は共和党に比べて大規模な財政支援を実施する見込みである。不法移民補助や社会保障も拡大すると見られ、財政赤字もさらに急激に膨らむことになる。このこともドル売り材料になりうる。

 

米主要企業の7-9月期決算発表が本格化

米主要企業の2020年7-9月期決算発表が13日から本格化する。米調査会社ファクトセットの予測集計によると、全体の利益は前年同期と比べて21%減少する見通しである。新型コロナウイルスの影響で経済活動が著しく停滞した4-6月期(32%減)からは改善するものの、厳しい経営環境が続いた。予測では全11業種が悪化する。

 

米国市場では9月消費者物価指数(CPI)が公表

9月消費者物価指数(CPI)は前年比+1.2%と前月の+1.3%からやや鈍化、コア指数は1.8%の見通しとなっている。FRBの一部の非ハト派的な見解もあるが、利上げは程遠くドル売りの手掛かりになりやすい。

 

欧米市場イベント

○15:00   9月英雇用統計(予想:失業保険申請件数推移8.00万件/失業率なし)
○15:00   6-8月英失業率(ILO方式、予想:4.3%)
○15:00   9月独消費者物価指数(CPI)改定値(予想:前月比▲0.2%/前年比▲0.2%)
○16:00   8月トルコ鉱工業生産(予想:前月比横ばい)
○16:30   9月スウェーデンCPI(予想:前月比0.3%/前年比0.6%)
        コア指数(予想:前月比0.3%/前年比0.6%)
○18:00   10月独ZEW景況感指数(予想:74.0)
○18:00   10月ユーロ圏ZEW景況感指数
○21:30   9月米CPI(予想:前月比0.2%/前年比1.4%)
       エネルギーと食品を除くコア指数(予想:前月比0.2%/前年比1.8%)
○23:00   ベイリー英中銀(BOE)総裁、講演
○24:00   デコス・スペイン中銀総裁、講演
○14日01:25   バーキン米リッチモンド連銀総裁、講演
○国際通貨基金(IMF)、世界経済見通し公表

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欧米タイム直前市場コメント!

2020/10/12/15:15:08

日経平均株価:全般的に高値警戒感から様子見ムード

前週末の米国株式市場が上昇したにもかかわらず、全体的に見送りムードが支配し、閑散症状となった。前週末に加えて為替市場でドル/円が若干ながら円高に振れたことを受け、輸出関連株が売り優勢に始まったほか、新興株式市場でこれまでリード役となっていた銘柄が崩れるなど、全体的に見送りムードに包まれた。市場では、『前週までは期待先行で買っていたが、騰落レシオが130台となるなど過熱感が生じ、高値警戒感から買い手控えられている。』との指摘もあった。ただ、今週から本格化する米企業の決算発表を控え様子見ムードも強く、上海総合指数などが堅調推移したこともあり、下値も限定的だった。結局、前週末比61円安の2万3558円と小幅続落して終了した。

 

東京外国為替市場:人民元高・ドル安設定でドル/円押し下げ要因

ドル/円は、日経平均株価のさえない動きをながめた持ち高調整などのドル売り・円買い入り、105.50円付近へじり安となった。また、公表された人民元の対ドル基準値が、元高・ドル安に設定されたこともドル/円の押し下げにつながった。午後もこの流れは続き、105.43円付近まで値を下げた。しかし、この後の欧米株価動向を見極めたいとの雰囲気から下げ渋り、105.45円を挟んでもみ合いとなった。ユーロ/ドルは、海外時間に予定されているラガルドECB総裁の講演を控えて様子見ムードが広がり、1.18ドル台前半で小幅な値動きに終始した。

 

アゼルバイジャンとアルメニアの停戦合意に不透明感

アゼルバイジャンとアルメニアが、ロシアの仲介によるナゴルノカラバフにおける停戦に合意したのも束の間、互いに相手に合意違反行為があったと非難していると報じている。

 

15日は英ジョンソン首相が設定したEUとの交渉期限

英・EUの自由貿易協定(FTA)をめぐり、ジョンソン首相はEU首脳会議が予定されている15日までに合意できなければ『FTAなし』を決断し、交渉を打ち切ると表明した。2日までの協議で進展はあったものの、引き続き漁業権、公正な競争の保証、将来的な紛争の解決方法という最も大きな3つの争点で行き詰まりを解消できなかった。3日にジョンソン首相とフォンデアライエン欧州委員長が電話会談し、今週も協議を継続させることで合意した。今週の協議では、『英国のEU離脱後に双方の市民に認め合う社会保障の権利について合意に近づいている』との報道が出るなど一部で進展が見られ、全体的な見通しはこれまでより明るいとの見方もあるが、現状では両者とも相手の譲歩を求めており、合意に向けた機運は高まっていない。

 

米大統領選候補による第2回テレビ討論会は中止

CNNは、米大統領選候補による第2回テレビ討論会が中止になった15日、民主党候補のバイデン前副大統領がABCテレビ主催の市民対話集会に臨むと報じている。また、トランプ大統領もNBCテレビとのあいだで同じく集会の計画を進めているとされ、それぞれの模様が同時に放送される可能性がある。

 

米国経済はK字回復の様相で格差拡大懸念

米国では、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)による景気後退からの回復が2つの軌道を描いている。一部の労働者や企業、地域は順調、もしくはコロナ流行以前よりも力強くさえなっている兆しが見える一方、それ以外の労働者や企業などは大幅な落ち込みから抜け出せず、先行きが不透明なままだ。ほんの数カ月前、エコノミストらはV字回復、あるいは景気低迷が長引いた後に回復し始めるU字型の軌道を予想していた。しかし、現状を見ると、K字型に近い。Kの字の上向きに伸びる側には高学歴の富裕層、デジタル経済や家庭用必需品の供給に関連する企業、テクノロジーが進んだ西部都市などの地域が含まれ、概してうまくいっている。一方、下向きの側には資格が少なく賃金も低い労働者や旧来産業の企業、観光や人が集まることで経済が回っていた地域が当てはまり、コロナ危機の爪痕が何年も残ると予想されている。

 

米大統領選前に最高裁判事の本会議で採決の予定

12日からは、トランプ大統領が最高裁判事に指名したバレット氏に対する上院司法委員会での審議が開始される。10月26日週には、本会議で採決される予定と報じられている。上院は共和党53、民主党45、無所属2で構成されており、このままなら上院は通過する可能性が高い。トランプ大統領は、郵送投票が不正投票につながることに懸念を表明している。大統領選が僅差となり、2000年の『ブッシュ対ゴア』の選挙におけるフロリダ再集計のように、最終的な当落判断が最高裁に持ち込まれる可能性があることで、最高裁を保守派6名対リベラル派3名にしたいという思惑がある。

 

今週から米国では7-9月期の企業決算が本格化

米国株市場では12日前後から7-9月期の企業決算発表が本格化するが、リストラやドル安、資源安、金利急低下などの効果が下支え要因となりやすい。すでに9月に発表された6-8月期決算の企業収益は底堅さが目立ち、関連株も一旦の好材料出尽くしなどによる株安は抑制されていることで『先行指標』として注目される。今後の収益見通しには不透明材料が多いが、FRBが最優先目標とする雇用の回復は企業の収益修復が大前提となるため、収益配慮による超緩和の長期化余地と、その効果による収益の改善余地が米国株の上昇余地を支援していく。

 

欧米市場イベント

○15:00   9月独卸売物価指数(WPI)
○16:00   8月トルコ経常収支(予想:44.5億ドルの赤字)
○16:00   7月トルコ失業率
○20:00   8月メキシコ鉱工業生産(季調済、予想:前月比2.7%)
○20:00   ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
○21:00   8月インド鉱工業生産(予想:前年同月比▲7.6%)
○23:00   ハスケル英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○13日01:00   ベイリー英中銀(BOE)総裁、講演
○13日05:00   バスキャンド・ニュージーランド準備銀行(RBNZ)副総裁、講演
○国際通貨基金(IMF)・世界銀行年次総会(テレビ会議、18日まで)
○米国(コロンブスデー)、債券市場が休場
○カナダ(感謝祭)、ブラジル(聖母の日)、休場

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欧米タイム直前市場コメント!

2020/10/09/15:17:07

日経平均株価:高値更新で利益確定売りが優勢

前日の米国株式相場は主要3指数がそろって上昇したものの、日経平均株価は前日までコロナショック後の戻り高値を更新し約8ヵ月ぶりの高値となったことや週末を控えていることもあり、利益確定売りが強まった。また、外国為替市場で円高・ドル安が進行したことで、輸出関連株にも売りが出やすかった。結局、前営業日比27円安の2万3619円と反落して終了した。

 

東京外国為替市場:105円台後半でもみ合い相場

ドル/円は日経平均株価のさえない動きをながめ持ち高調整などのドル売り・円買いに押され、105.81円付近まで下落した。午前に公表された人民元の対ドル基準値が、大幅な元高・ドル安に設定された流れが波及した面もあった。ただ、105.80円がテクニカル的なサポートとして意識されると、下げは一服した。その後は、大型連休明けで動向が注目された上海総合株価指数の上昇に支えられ、105.90円付近まで切り返した。午後は、日経平均株価や上海総合株価指数をにらみながら、105.80円台を中心とした狭いレンジでもみ合った。実質的な五・十日に絡む本邦実需筋の売り買いは午前で一巡したこともあり売買は薄かった。ユーロ/ドルは、1.1775ドルを挟んで小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

米国大統領選と為替市場:ドル/円相場のアノマリー

1984年からの過去9回の米大統領選の年は『円安ドル高7回、円高ドル安2回』という動きを見せた。共和党と民主党の2大政党で大統領の椅子を争う選挙が定着した米国の選挙では、共和党候補が勝利すれば円安、民主党候補が勝利すれば円高になるというのが定説である。しかし、過去9回の選挙では共和党が5回、民主党が4回それぞれ勝利を収めているが、『円安ドル高7回、円高ドル安2回』という為替の動きをみてもアノマリーが存在している。

選挙の翌年も円安ドル高の方向に動く傾向がみられるとされ、過去9回の選挙翌年では円安ドル高6回、円高ドル安3回となっている。

 

本日も英国とEUの離脱交渉は継続:楽観的・悲観的発言に注意

本日もバルニエ英EU離脱・欧州委員会首席交渉官とフロスト英・欧州連合(EU)担当交渉官が、非公式ながら離脱交渉について話し合う予定となっている。特にこれからの数日間が重要になるのは、ジョンソン英首相が10月15日に始まるEU首脳会談までに合意が得られない場合は、そのまま離脱に舵を切ろうとしている。楽観論も流れているが、漁業権の問題を含め両者の間にはまだ大きな乖離があることで、どのような展開になるかは全く分からず予断を許さない。楽観的・悲観的発言でここ最近上下しているが、同様な値動きを本日も繰り返すことになる。

 

トルコ中銀の外貨準備高の減少続く

トルコ中銀が昨日発表した2日時点の外貨準備高(グロス、金保有除く)は、414.1億ドルと前週比2.4%減し、年初来では約49%減まで減少幅が広がった。トルコ金融当局は断続的にリラ買い・ドル売り介入を続けているが、その効果は薄いままである。もし懲りずに今後も介入を続けるようならば、原資が尽きる前に他中銀と新たな通貨スワップ枠の設定が必要となる。為替介入以外でリラの下落に歯止めをかけるには、先月に続き大幅な政策金利の引き上げが手段の1つになる。ただ、利下げ好きなエルドアン大統領のもとで連続利上げは難しいというのが大方の見方ではあるが、これだけリラ売りが強まってしまったことで、金融政策による通貨安対策の可能性は残る。

 

米雇用の完全回復は23年以降と長期化:WSJ調査

ウォール・ストリート・ジャーナルの10月の調査で対象となった民間・学界エコノミストの半数以上は、新型コロナ流行による活動停止で失われた全ての雇用が回復するのは2023年かそれ以降になるとの見方を示した。半年前の調査に比べ、予想される回復時期が一段と遅れている。 レイオフが恒久化するケースが増える中、秋口には雇用の伸びが大幅に鈍化し、新型コロナのパンデミック(世界的大流行)からの完全回復は長期戦となる兆候が強まっている。

 

欧米市場イベント

○15:00   9月ノルウェー消費者物価指数(CPI、予想:前月比なし/前年比2.0%)
○15:00   8月英国内総生産(GDP、予想:前月比4.6%)
○15:00   8月英商品貿易収支/英貿易収支(予想:90.00億ポンドの赤字/0億ポンドの黒字)
○15:00   8月英鉱工業生産指数(予想:前月比2.5%/前年比▲4.6%)
        製造業生産高(予想:前月比3.0%)
○15:45   8月仏鉱工業生産指数(予想:前月比1.7%)
○21:00   9月ブラジルIBGE消費者物価指数(IPCA、予想:前月比0.54%)
○21:30   9月カナダ雇用統計(予想:新規雇用者数変化15.66万人/失業率9.7%)
22:00   バーキン米リッチモンド連銀総裁、講演
○23:00   8月米卸売売上高(予想:前月比2.0%)
○23:00   8月米卸売在庫(予想:前月比0.5%)
○23:30   ホールデン英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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